2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,315 100.0 592 100.0 25.6

事業内容

3【事業の内容】

当社は、「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す。」という企業理念を掲げ、消費者や社員等とのエンゲージメント向上を目的とした法人のマーケティング、コミュニケーション活動を支援するメッセージングプラットフォーム「Cuenote(キューノート)」を開発し、提供しております。なお、当社の事業は、「Cuenote」シリーズによる「メッセージングソリューション事業」の単一セグメントであります。

当社では、自社で開発したソフトウエアをデータセンターに設置したサービス基盤上で稼働させ、クラウドサービスとして提供するSaaS形式と、顧客が指定するサーバ機材にソフトウエアを設置し利用環境を提供するソフトウエア形式の2形式で主に企業や自治体(以降「顧客」と記載します)にサービスを提供しております。 SaaSとは「Software as a Service」の略でソフトウエアをインターネット経由でサービスとして提供するビジネスモデルまたはその活用方式で、利用者はインターネットに接続可能な端末とブラウザ(インターネット閲覧ソフト)があれば目的とするサービスや機能を短期間で利用開始でき、利用期間中においては提供者からシステム保守やソフトウエア更新など専門性の高いサービスが提供されます。
SaaSの収益は、利用開始時の初期設定売上と毎月のサービス利用売上により構成され、顧客がサービスを利用し続ける限りサービス利用売上が計上されるサブスクリプション型収益であり、新規顧客獲得や既存顧客のプラン追加等によるサービス利用売上の増加額が解約やプラン変更による減少額を下回らない限り、毎月の収益が増加し安定的な収益基盤となることから、定期契約額(SaaSのサービス利用売上や買取型ソフトウエアの保守売上など、一定期間の役務や利用を定めた契約に基づく収益:月次経常収益)を重要な経営指標として定め、この指標に影響する期末の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率の推移を管理しております。

なお、当社がデータセンター事業者からデータセンターラック及びインターネット接続回線の供給を受けているデータセンターは、2023年12月31日現在において6箇所(東京都3箇所、大阪府2箇所、福岡県1箇所)となります。

 

<「Cuenote」とは>

「Cuenote」は、顧客のマーケティング、コミュニケーション活動を支援するソフトウエアシリーズで、「安全・信頼性」「利便性」「経済的合理性」の向上を踏まえ、企画、設計、開発、運用、販売、保守を一気通貫でサービス提供できるノウハウを有する垂直統合型のビジネスモデルにより手掛けております。

「Cuenote」シリーズには、メールマガジンやニュース速報など数百万件~数千万件の宛先にもメールを高速配信する性能とマーケティングのための各種機能を搭載した「Cuenote FC」、ECサイトや会員サイトにおける通知や認証など即時性と確実性を求められるトランザクションメールに効果的な「Cuenote SR-S」、SMS(ショートメッセージサービス)による本人認証や通知、督促、プロモーションを実現する「Cuenote SMS」、「Cuenote SMS for LGWAN」、「Cuenote Auth」、マウスやキーボードの容易な操作でセキュリティに配慮されたWebアンケートやWebフォームを作成できる「Cuenote Survey」、地震・自然災害発生時に従業員やスタッフの安否確認や緊急参集をするための「Cuenote 安否確認サービス」などがあり、SaaSやソフトウエア形式で提供しております。

 

 

<「Cuenote」シリーズの主なサービスラインナップ>
「Cuenote」シリーズは、主に次のサービスによって構成されています。

製品名

特徴

主な用途

提供形式

(課金方式)

数百~数千万件の大規模なメール配信を高速・円滑に配信する性能とマーケティングのための各種機能を搭載したサービス。当社売上の67.5%を占める主力製品(2023年12月期実績)。

販売・来店促進、リマインドメールマガジン、料金通知、防災防犯情報、株価通知など

SaaS

ソフトウエア

(定額・従量制)

顧客の既存システムから送信されるメールを受信し、通信キャリア毎の通信条件に応じ円滑に転送(SMTPリレー)する、暗号化通信(TLS)や送信者署名(DKIM)にも対応したサービス。

決済や約定、商品出荷通知など

 

SaaS

ソフトウエア

(定額制)

国内携帯電話事業者と直接接続し、企業から個人向けにSMS(ショートメッセージサービス)を確実に配信するサービス。

本人認証、料金通知や業務連絡、販売・来店促進、リマインドなど

SaaS

(従量制)

LGWAN(総合行政ネットワーク)と接続し、セキュアなネットワークからSMSを配信する自治体向けのサービス。

住民への通知や連絡、督促など

SaaS

(従量制)

HTMLやプログラミングの知識がなくとも、比較的容易なマウス、キーボード操作でセキュリティに配慮されたWebアンケートやWebフォームを作成できるサービス。

アンケート(公開・限定)、資料請求や採用応募などの受付用フォーム

SaaS

(従量制)

気象情報と連動し、地震や自然災害発生時に従業員やスタッフの安否確認や緊急参集が行えるサービス。

緊急連絡網、安否確認、参集可否確認

SaaS

(従量制)

 

SMSやIVRを利用し、APIにリクエストするだけで、確認コードの生成、通知、認証の処理を簡単に実装でき、電話番号による認証を行えるセキュアな認証サービス。

本人認証、ECサイトの転売対策、不正アクセス対策

SaaS

(従量制)

 

[Cuenoteの活用事例]
 

 

「Cuenote FC」(メール配信システム)

「Cuenote FC」は、企業がメールを活用して、消費者との関係を構築したり、販売促進を通じ消費者の購買意欲を高めたりといったマーケティング活動を行うために用いるメール配信システムで、SaaS形式及びソフトウエア形式で提供しております。
主な用途としては、ECサイトや会員サイトなど、消費者に対してプロモーション情報や商品の情報を伝えるためのメールマガジン、自治体が災害や防災情報等を住民のスマートフォンや携帯電話に対して、メールで一斉に伝える緊急速報メール、法人が潜在顧客に対して、見込み顧客の購買意欲を高めるためのリードナーチャリング(注1)など、大量のメール配信を行う場面に活用されております。
また、メールを「いつ・誰が開封・クリックしたか」、「メール経由で購入したか(コンバージョン)」といったメールマーケティング効果を測定・把握し、蓄積されたメールの行動データを次のマーケティング施策に活用することで、マーケティング活動を効果的、効率的に実施できると考えております。
さらに、メールの行動履歴(開封・クリックなど)やWebサイトでの行動、購入履歴データなどを利用したセグメントやシナリオメール、顧客属性に合わせたパーソナライズ配信に加え、メールの開封率やクリック率、コンバージョン率を高めるためのABテスト(注2)、お客様システムやマーケティングツールとのデータ連携を可能とするAPI(注3)を活用することで、より効果的なメールマーケティングを実現します。
主な特徴としては、メールを高速配信する処理性能を有することで、大量の会員に対してタイムリーかつ確実に情報を届けられること、豊富な機能でメールマーケティングを実行するうえで、幅広い業界や分野で利用できること、操作性が高く業務の効率化が可能であることなどがあります。
また、「Cuenote FC」の提供形式は、SaaSとソフトウエアがあり、どちらの形式においても提供できることが特徴です。SaaSには以下の提供形式があります。
 ・パブリック型
  アプリケーション及び稼働環境を複数の顧客で共有する方式です。システム資源を複数顧客で利用するた
  め、専用環境を利用する場合に比べ安価に利用いただけます。
 ・プライベート型
  顧客がアプリケーション及び稼働環境を専有する方式です。システムリソースの保証やメール送信時のIP
  アドレスの専有など安定した品質を利用できることから、大規模なメール配信に適しております。また、
  顧客固有ニーズに基づくカスタマイズ等も適用することが可能です。


 
 

「Cuenote SR-S」(メールリレーシステム)

「Cuenote SR-S」は、既存のメール配信システムからSMTPリレー(注4)し、メールを代行して配信することで、メールの遅延や不達を解消するメールリレーシステムです。
メールをSMTPリレーして配信するだけではなく、APIによるメール配信も可能とし、企業側のシステムでMTA(注5)を用意しなくとも円滑なメール配信を実現することも可能です。
主な用途として、ECサイトや会員サイトにおける商品発送、登録完了、購入完了などの重要な通知メールなど、トランザクションメールを高速・確実に届けるために活用されております。
大量の宛先に一斉に送るマーケティングメールには「Cuenote FC」、通知メールなどのトランザクションメールには「Cuenote SR-S」を活用することができ、企業から消費者に送るメールに関する幅広いソリューションを提供しています。

 

「Cuenote SMS」(SMS配信サービス)

「Cuenote SMS」は、企業から個人向けにSMSを配信するサービスです。SMSは、スマートフォンや携帯電話を所有する人に対して、個人が特定されている携帯電話番号へ送信することが可能であること、ナンバーポータビリティにより携帯電話番号自体の変更がされにくいことから、本人認証、重要な通知、業務連絡、督促通知、予約のリマインド、プロモーションなどの用途に利用されております。
当社が提供するSMS配信サービスは、国内の4キャリアと直接接続し、携帯電話事業者が認める正規配信ルートを通じて配信することで、大量・確実にSMSを配信できます。
また、企業の利用用途に応じて、SMS配信サービスを管理画面から操作することで配信を行う手動配信、企業のシステムからAPIを通じて配信の指示を行う自動配信の双方で、SMSを配信できます。
SMSは、電話番号のみでメッセージを送信でき、開封率が高いことから、重要な通知や本人認証の用途において利用が広まっており、メールとSMS双方のメッセージチャネルに対応している「Cuenote」を利用する顧客においては、用途に応じて最適なメッセージチャネルを使って、消費者に情報を届けられるようになります。

 

「Cuenote SMS for LGWAN」

「Cuenote SMS for LGWAN」は、総合行政ネットワーク(LGWAN)から「Cuenote SMS」を利用できる行政・自治体向けサービスです。自治体内のセキュアなネットワークから住民へ通知、連絡など情報を届けることができます。

 

「Cuenote Survey」(Webアンケートシステム)

「Cuenote Survey」は、HTMLやプログラミングなどの知識が不要で、比較的容易なマウスとキーボード操作でスマートフォンやPCに対応し、セキュリティに配慮されたWebアンケートや問い合わせWebフォームを作成できるシステムです。
主な用途として、消費者や企業に対する顧客満足度調査、消費者に対するアンケート、Webサイトで利用される問い合わせ・申し込みフォームなどで利用されております。

 

「Cuenote 安否確認サービス」(安否確認サービス)

「Cuenote 安否確認サービス」は、地震・自然災害発生時に従業員やスタッフに対して、自動で安否確認や緊急参集が行えるサービスです。地震や津波などの気象災害時に気象データと連携して、自動で安否確認メールを配信します。従業員やスタッフが回答した安否状況に関する情報は、管理者がリアルタイムに確認でき、従業員の安否確認や緊急参集などの用途で利用されております。

 

「Cuenote Auth」(認証サービス)

「Cuenote Auth」は、認証コードの自動生成、SMS・IVR(音声自動応答)を活用した認証をAPIで提供し、本人認証の仕組みを「簡単・短期間で」導入することができます。

Cuenote AuthのAPIにリクエストするだけで、「認証コードの生成」、「SMS・IVRによる認証コードの通知」、「認証画面の表示及び認証処理」、「認証結果の取得」など、一連のプロセスを実行させることができます。また、APIはRESTful形式(注6)を採用し、容易に連携可能なことから導入における開発工数が低減できます。

また、IVR連携機能(オプション)をご利用いただくことで、SMSの受信をサポートしない電話番号(固定電話回線)へ音声発信により認証コードを通知することができます。認証に利用する電話番号をCuenote Auth側で判定し、IVRによる音声通知に自動で切り替わるため、幅広いユーザー・端末における本人認証をサポートします。

さらに、最後に認証を行ってから一定期間は同一端末からの再度の認証手続(認証コードの発行~ユーザーでの番号入力)を不要とすることができます。認証コードの通知に利用するSMSやIVRは、送信数に応じてコストが掛かりますが、一定の期間「再認証不要」とすることで、ユーザービリティを低下させることなくコストを抑えることができます。

 

(注)1.リードナーチャリングとは獲得したリード(見込み顧客)に対してメールや電話などを利用し、有益な情報を提供することで見込み顧客の購買意欲を高めていく手法やプロセスであり、主にBtoB(法人向け)のマーケティング手法です。

2.ウェブサイトやメールなどにおいて、画像やコンテンツ、メールの件名など、AパターンとBパターンの2パターンを用意して、どちらがより良い成果を出せるのかを検証するための手法の一つです。
それぞれの成果を比較し、より高い成果を得られるパターンを見つけるために利用されます。

3.Application Programming Interfaceの略で、あるサービスの提供者が、そのサービスを利用するために提供するインターフェースです。APIを利用することで、同じ機能のサービスを開発する必要がないため、開発効率の向上・開発費用の低減が期待できます。

4.SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)リレーとはメールを中継して配信する方法です。

5.Message Transfer Agent。メールソフトより受信したメールを宛先ごとに振り分けて配送機能に渡す機能を持ちます。配送機能も含めたメールサーバ全体を指すこともあります。

6.APIの種類のひとつで、「REST」(レスト)と呼ばれる設計原則に従って策定されたものです。

 

[事業系統図]

当社の事業系統図は以下のとおりであります。

当社では、事業拡大にあたり販売代理店を活用する場合があり、その際には当社サービス提供の対価の受領は販売代理店を経由して行われております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

また、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて、404,375千円増加し2,780,705千円となりました。これは主に当期純利益の計上に伴う現金及び預金の増加367,946千円、売掛金の増加11,309千円、設備投資による工具、器具及び備品が12,009千円増加したこと及び前払費用の増加13,908千円等によるものです。

 

(負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて、33,569千円減少し406,616千円となりました。これは主に未払法人税等4,497千円の増加の一方で、賞与等に係る未払費用36,382千円の減少等によるものです。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて437,945千円増加し2,374,089千円となりました。これは自己株式の処分による30,498千円の増加及び当期純利益の計上による利益剰余金の増加407,446千円によるものです。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進みましたが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰、円安など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

一方、2023年12月11日に内閣府・財務省が発表した内閣府・財務省の法人企業景気予測調査(2023年10~12月期調査)によれば、今年度における国内の設備投資のスタンスを見ると、全産業における大企業の「情報化への対応」が重要度第3位の43.6%と強く意識されており、当社が属する情報通信業界及び非接触型ビジネスモデルでは、マーケットの拡大や収益機会の増加が続くことを物語っております。

当社においても2023年3月及び12月に月間では76億通を配信、年間を通じては860億通の配信を記録しメッセージ配信サービスの過去最高配信数を更新しております。

このような状況の中、当社は引き続き「SaaS事業成長」「顧客価値向上」に向け、積極的に取組みを行いました。

当事業年度におきましては、次のような提供サービスの拡充を行っております。

・SMS配信サービス「Cuenote SMS」

2023年3月に総合行政ネットワーク(LGWAN)でのSMS送信を可能とする「Cuenote SMS for LGWAN」の提供を開始しております。このサービスはセキュアなネットワークから住民へSMSを送信できる行政・自治体向けのSMS配信サービスです。

2023年4月に双方向SMS機能をご利用いただく際に、携帯4社の共通番号(共通ショートコード)に対応を行い提供開始しております。これまで、企業と個人がSMSを送受信する場合には、企業側が携帯4社の利用者向けにそれぞれ個別の番号を用意する必要がありましたが、携帯4社の共通番号に対応することで、1つの番号で本人認証、重要な通知、業務連絡、プロモーションなどのSMSを送受信できます。また、共通番号は携帯4社が企業単位で発行する番号であり、企業の番号が認識しやすくなることから、送信者のなりすましやフィッシング詐欺を抑制し、企業と個人間における安心・安全なメッセージングサービスの利用にも繋がります。

2023年6月にWebhook対応の配信結果コールバック機能を追加するほか、利便性の向上を目的に同サービスの機能を追加し、提供を開始しております。これまで、APIを用いてCuenote SMSから送信したSMSの配信結果を得るためには、定期的に配信結果を取得する必要がありましたが、今回、追加したWebhook対応の配信結果コールバック機能を利用することで、SMSの配信結果をリアルタイムに受け取ることが可能になります。

・Webアンケート・フォームシステム「Cuenote Survey」

2023年5月にGoogleが提供するタグ管理システム「Google タグマネージャー」(以下GTM)に対応した最新版の提供を開始しております。GTMは、Googleが提供するタグ管理システムで、Webサイトの効果測定や分析などに欠かせないタグの管理を効率的に行うことができるシステムです。この対応により、アンケートやフォームの効果測定や分析を効率的に実施、管理できるようになります。

・「Cuenote 安否確認サービス」

2023年7月に災害訓練メールを定期自動配信する機能を追加し、提供開始しております。

 

サービス提供種別の売上高の概況は以下のとおりであります。

・ストック型収益:Cuenote SaaSのサブスクリプション(サービス利用)売上並びにソフトウエア保守売上が含まれます。当事業年度は顧客個別の要望に応じるエンタープライズ向けプランの獲得及びショートメッセージ顧客数の増加によりストック型収益は2,254,589千円、当事業年度末定期契約額は200,695千円(前年同期末比7.1%増)となりました。

・スポット型収益:Cuenote SaaSの初期売上(初期利用登録、カスタマイズ、セキュリティ証明書などの取得代行)並びにソフトウエアライセンス売上(オンプレミス)が含まれます。当事業年度の売上高はSaaS及びオンプレミスの新規受注が堅調に推移したことから、60,679千円となりました。

以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高は2,315,269千円、営業利益は592,466千円、経常利益は592,480千円、当期純利益は409,387千円となりました。

なお、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

売上原価は、725,416千円(前期比0.1%減)となりました。これは主にSMSの配信数減に伴う通信費の減少によるものです。

売上総利益は1,589,853千円(前期比9.3%増)となり、販売費及び一般管理費は、997,386千円(前期比6.7%増)となりました。これは主に各種広告施策に伴う広告宣伝費の増加、採用教育費の増加及び各種支払手数料の増加によるものです。

この結果、営業利益は592,466千円(前期比13.8%増)、経常利益は592,480千円(前期比13.8%増)、当期純利益は409,387千円(前期比13.9%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前事業年度末に比べて367,946千円増加し、2,089,150千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は458,535千円となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益592,480千円、減価償却費83,040千円、株式報酬費用18,376千円等であり、支出の主な内訳は、売上債権の増減額△11,309千円、未払費用の増減額△36,382千円、前払費用の増減額△6,289千円、法人税等の支払額185,406千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は90,589千円となりました。これはSaasサービス提供用のサーバ機材などの有形固定資産の取得による支出89,601千円及びサーバセキュリティソフトなどの無形固定資産の取得による支出988千円により資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

該当事項はありません。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社の提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社の提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はメッセージングソリューション事業の単一セグメントであるため提供サービス別に記載しております。

 

サービスの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

(千円)

前年同期比(%)

Cuenoteシリーズ

2,314,570

106.1

その他

699

98.7

合  計

2,315,269

106.1

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、

総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は前事業年度に比べ134,063千円増加し、2,315,269千円(前期比6.1%増)となりました。これは主にCuenote FCシリーズの受注が引き続き順調に推移したことによるものであります。なお、経営指標として重視しております、Cuenoteシリーズの期末月の定期契約額は前事業年度に比べ13,317千円増加し、200,695千円(前期比7.1%増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は前事業年度に比べ633千円減少し、725,416千円(前期比0.1%減)となりました。これは主に、技術者増員による労務費の4,732千円の増加、サーバ保守費用の増加による修繕費の19,287千円増加、データセンタ関連費用の増加によるインターネット費の10,619千円増加及びSMSの配信数減による通信費の48,703千円減少等によるものです。

この結果、売上総利益は前事業年度に比べ134,696千円増加し、1,589,853千円(前期比9.3%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度から62,877千円増加し、997,386千円(前期比6.7%増)となりました。これは主に採用活動に伴う採用教育費の28,541千円増加、広告施策に伴う広告宣伝費の17,297千円増加及び持株会運営、各種メディア一括記事検索等に伴う支払手数料の2,368千円増加等によるものです。

この結果、営業利益は前事業年度に比べ71,818千円増加し、592,466千円(前期比13.8%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度における営業外収益は72千円減少し、16千円(前期比81.3%減)となりました。これは主に銀行預金の受取利息の2千円増加及びポイント収入額の74千円減少によるものであります。

また、当事業年度における営業外費用は292千円減少し、2千円(前期比99.1%減)となりました。これは前事業年度に自己株式取得のための支払手数料294千円を計上していたため、当事業年度では同費用の294千円減少及び自己株式処分のための支払手数料2千円増加によるものであります。

この結果、経常利益は、前事業年度から72,038千円増加し、592,480千円(前期比13.8%増)となりました。

(当期純利益)

当事業年度において、税引前当期純利益は592,480千円(前期比13.8%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税189,919千円、法人税等調整額△6,826千円を計上した結果、当期純利益は、前事業年度から49,985千円増加し、409,387千円(前期比13.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性に関する情報

資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、法人税等の支払等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー等、自己資金により、必要とする資金を調達しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

なお、当社の財務諸表で採用されている重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりです。

また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益、営業利益率にあわせ期末の定期契約額(月次経常収益)とメールサービスの解約率を重視しております。各指標の推移は以下のとおりであり、持続的な成長と企業価値の向上に向け順調に推移しているものと認識しております。今後も新規契約の獲得や解約抑制により期末定期契約額を積み上げることで売上や営業利益の拡大に努めてまいります。

 

 

前事業年度

当事業年度

売上高

2,181,206千円

2,315,269千円

営業利益

520,647千円

592,466千円

営業利益率

23.9%

25.6%

期末定期契約額(注)1

187,377千円

200,695千円

メールサービス解約率(注)2

0.37%

0.43%

(注)1.期末月の定期契約売上(期間利用を定めた契約に基づく収益:月次経常収益)となります。

2.メールサービス解約率は、メールサービスの金額基準の月次解約率の該当期間の平均値(小数点第3位を四捨五入)となります。

なお、「Cuenote SMS」「Cuenote Survey」「安否確認」は、含めておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

当社は「価値の高い情報サービスの創造と提供を通して社会に貢献し、常に期待される企業を目指す」という企業理念のもと「SaaS事業の成長」「顧客価値向上」を通じ、事業を拡大してまいりました。
今後も持続的に成長するためには「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対し、事業環境の変化を捉えつつ最善の経営方針を立案することが必要であると認識しております。