2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    146名(単体) 1,850名(連結)
  • 平均年齢
    33.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    4.4年(単体)
  • 平均年収
    9,385,342円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    -1.6%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

 当社グループは、システムインテグレーション及び戦略/DXコンサルティングを中核とする事業を展開しており、社会的価値を創出し続けるDX時代のゲームチェンジャーとなることを目指して、2027年3月期から2030年3月期までの4カ年を対象とする中期経営計画「中計2030 -Vision1000-」を策定しております。

当社グループの事業は、エンジニア及びコンサルタントによる顧客の本質的な課題解決を通じて価値創出する労働集約型の特性を有しており、人材は当社グループの競争力及び持続的な企業価値向上を左右する最も重要な経営資源であると認識しております。

 こうした事業特性を踏まえ、生成AI等の先端技術の活用により上流工程における付加価値創出の重要性が高まる事業環境を前提として、当社グループでは、ビジネス領域とテクノロジー領域の双方に精通した「ハイブリッド人材」 を中長期的に確保・育成・定着させることを、人材戦略の中核に位置付けております。

当該人材には、顧客ビジネスを戦略立案から業務設計、開発、運用保守、継続改善に至るまでをEnd-to-Endで一気通貫に支援し、戦略と実装の両面から変革と成功へ導く役割を期待しております。このような考え方のもと、「ハイブリッド人材を中核とした人的資本の高度化」を当社グループのマテリアリティの一つとしております。

 当該人材を中長期的に確保・育成・定着できない場合には、受注機会の逸失やプロジェクトの生産性低下を通じて、収益性の低下につながるリスクがあると認識しております。一方で、人的資本への継続的な投資を通じて、従業員の能力向上やエンゲージメントの向上、離職率の低下が実現できた場合には、提供価値の高度化を通じた持続的な成長及び企業価値向上につながる機会であると考えております。

当社グループでは、人的資本投資の成果を測る経営指標として売上総利益率を重視しており、提供するサービスの付加価値の水準ならびに、コンサルタント・エンジニアの生産性を反映する指標であると位置付けております。これに加え、人材戦略の進捗及び実効性を把握するため、コンサルタント・エンジニア一人当たり売上収益、離職率、従業員エンゲージメントスコア等の指標を設定し、経営層が定期的にモニタリングを行っております。

 これらの指標は、売上総利益率の向上に向けた指標として、人的資本への投資の質及びその成果が経営戦略の実現にどの程度寄与し、中長期的な企業価値の向上につながっているかを把握するためのものであり、指標の動向を踏まえて必要に応じて施策の見直しを行うことで、人的資本投資と経営成果とのつながりを意識したマネジメントを継続しております。

 なお、本項目では、当社グループの企業戦略と人的資本戦略との関係性及びその基本的な考え方の概要を記載しており、事業戦略の詳細については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、人的資本に関する具体的な施策及び指標については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本への対応」をそれぞれご参照ください。

 

 当社グループにおける従業員給与等の決定にあたっては、上記の人材戦略と整合した処遇を行うことを基本方針としております。当社グループでは、給与・報酬を人的資本投資の重要な手段の一つと位置付け、年齢や勤続年数を基準とするのではなく、個々人が発揮した成果及び提供した付加価値に基づいて処遇を決定する「Pay for Value」の考え方を採用しております。

 具体的には、年1回、当該年度の業務において関与した複数の上位者による評価会議を実施し、特定の上位者の主観に偏らない多面的な観点から評価を行っております。当該評価結果を踏まえ、再現性のある能力を考慮した上で翌年度の年俸を決定するとともに、評価理由については本人に対してフィードバックを行い、能力向上及びキャリア形成につなげることを重視しております。

 また、「最高のプレイヤーに最高の報酬を。そして次なる最高のチャンスを」という考え方のもと、金銭報酬にとどまらず、挑戦的な業務機会や成長の場の提供を含むトータル・リワードの維持・向上に取り組んでおります。これにより、付加価値創出力の高い人材の確保及び定着を図り、当社グループの中長期的な競争力の強化につなげております。

 給与水準の設計にあたっては、事業の成長性及び収益性とのバランスを踏まえつつ、高度な専門性を有する人材を継続的に確保・定着させる観点から、人材市場における競争力を意識しております。直近の取組として、採用競争力の強化及び人的資本投資の一環として、2025年4月入社の新卒社員の初年度年俸の100万円引上げや、既存社員の一部職層における給与水準の見直しを実施しております。

 これらの従業員給与等の決定方針は、「中計2030 –Vision1000–」において掲げる収益性の向上、提供価値の高度化及び受注機会の拡大を実現するために必要な人材の採用及び能力向上を促すことを目的として設計しており、人的資本への投資と売上総利益率をはじめとする経営成果との連動を意識したものとなっております。

 

(2)【従業員の状況】

 当社グループは、ITソリューションの提供を中心に事業活動を展開する単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(1)連結会社の状況

2026年3月31日現在

 

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,850

(200)

31.3

4.3

9,925,215

1.0

 (注)1.従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

146

(50)

33.6

4.4

9,385,342

△1.6

 (注)1.従業員数は就業人員数(当社から当社外への出向者を除き、当社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)重要な子会社(シンプレクス株式会社)の状況

2026年3月31日現在

 

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,269

(141)

31.2

4.8

9,860,362

1.7

 (注)1.従業員数は就業人員数(同社から同社外への出向者を除き、同社外から同社への出向者を含む。)であり、

  臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記

  載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(4)労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(5)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 連結会社

当事業年度

 

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

補足事項

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用

労働者

7.9

55.4

81.1

82.3

56.6

(注)3

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.当社グループの雇用管理はグループで一体的になされているため、厚生労働省の解釈指針に基づき管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率の算出に当たっては、①連結会社としてまとめて記載しております。

 

② 提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用

労働者

93.0

94.5

62.1

(注)2

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.当社グループの雇用管理はグループで一体的になされているため、厚生労働省の解釈指針に基づき管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率の算出に当たっては、①連結会社としてまとめて記載しております。

 

③ 重要な子会社(シンプレクス株式会社)

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

男性労働者の育児休業取得率

(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち正規雇用

労働者

うち非正規雇用

労働者

77.0

77.4

66.0

(注)2

 (注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.当社グループの雇用管理はグループで一体的になされているため、厚生労働省の解釈指針に基づき管理職に占める女性労働者の割合及び男性労働者の育児休業取得率の算出に当たっては、①連結会社としてまとめて記載しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ全般

 当社グループが変化するビジネス環境の中、ビジネスをテクノロジーでリードし、持続的な成長を続けるためには、その源泉となる社会全体の未来を見据えた事業を行い、社会全体で取り組むべき課題の解決に貢献する責任があると考えています。

 加えて当社グループは、「日本発のイノベーションを世界へ向けて発信する」という目標を掲げ、全社員が一丸となり、顧客企業のビジネスの成功に貢献する「高付加価値サービスの創造」を追求しています。私たちは、ビジネスを通じて社会にポジティブなインパクトをもたらすとともに、持続可能な社会の実現に向けて、イノベーション創出企業としての責任を果たしていきます。

 以上の理念を実現するため、顧客の本質的な課題解決を通じた価値創出を起点に、その源泉となる人的資本及び知的資本の蓄積・高度化を進めるとともに、ガバナンスやリスク管理、気候変動問題への対応を含む実行基盤の強化を通じて、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 以下、これらの施策を実行していくための「ガバナンス」、「リスク管理」、「戦略」及び「指標及び目標」について具体的に説明いたします。なお、将来に関する事項につきましては、別段の記載のない限り、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① ガバナンス

 当社は取締役会の監督のもと、取締役社長及び業務執行取締役から構成され、取締役社長が議長を務める経営会議において全社的なリスクマネジメントを行っておりますが、サステナビリティ関連のリスク及び機会の特定・評価については、サステナビリティ会議に権限を委譲して実施しています。サステナビリティ会議は、取締役社長及び当社並びに子会社の業務執行取締役から構成されており、取締役社長が議長を務めております。サステナビリティ会議において審議されたサステナビリティ関連のリスク及び機会の評価と、関連する目標や取組の進捗状況は、経営会議に報告され、全社的なリスクマネジメントの一環として審議されるほか、取締役会に対しても半期に一度報告されることにより、取締役会による実効性のある監督を可能としております。

 取締役会においては、これらの報告を踏まえ、グループ全体の戦略を策定し、中期経営計画やリスクマネジメント方針、事業戦略等に反映する体制を整えております。

 

 

 また、特に従業員の健康や安全衛生に関する具体的な課題を検討し、業務を遂行するため、「サステナビリティ会議」の下に「健康経営委員会」及び「オフィス環境委員会」を設置し、さらに健康経営委員会の下に法定の「衛生委員会」を、オフィス環境委員会の下に「安全委員会」を組織する体制をとっております。健康経営委員会は、衛生委員会を統括する当社グループ取締役を委員長とし、産業医や従業員代表の参画を求めて、整合性のとれた運営体制により、従業員やその家族の心身の健康の維持・増進と、その結果としての生産性向上に資する施策を企画・立案・実行しています。

 さらにサイバーセキュリティ及びデータセキュリティに係るリスクの管理については、3ラインモデル(注)における社内第2線として情報セキュリティ担当役員(CISO)を置き、CISOは事業部門に対する牽制的役割を期するため、当社グループの管理部門担当取締役から任命しています。さらにその諮問機関として各事業部門の部門長をはじめとするメンバーから構成される情報リスク管理委員会を設置し、全社からボトムアップで情報を集約し、解決する体制を整えております。

(注)第1線は事業部門が顧客に対する製品やサービスの提供とリスクの管理を行い、第2線は本社部門がリスク

に関連する事項について、専門知識、支援、モニタリングの提供と異議を唱え、第3線は内部監査部門が目的の達成に関連するすべての事項について、独立した客観的なアシュアランスと助言を行う(内部監査人協会「IIAの3ラインモデル―3つのディフェンスラインの改訂」より引用)

 

② 戦略

 当社グループは、「中計2030 -Vision1000-」の実現に向けて、マテリアリティ(重要課題)を改めて整理し、新たな6項目のマテリアリティを設定いたしました。顧客の本質的な課題解決を通じた価値創出を起点に、その源泉となる人的資本及び知的資本の蓄積・高度化を進めるとともに、ガバナンスやリスク管理を含む実行基盤の強化を通じて、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。具体的なマテリアリティ項目は次のとおりであります。

 

 

特定マテリアリティ

説明

価値創出の推進

(A)

クライアントの本質的な課題解決を通じた価値創出

企業価値の源泉を「クライアントの本質課題の解決=価値創出」と定義し、その実現を支える基盤として、高度な人的資本及び知的資本の蓄積・高度化を礎としています。当社が重視するのは、特定の技術領域に閉じることなく、変化を機会として捉え、新たな価値を創出できる人材です。こうした人材を、体系化された育成プログラム、戦略に連動したアサイン設計、知見の共有・活用基盤を通じて継続的かつ適切に育成・配置し、競争優位を持続的に創出できる体制を確立します。
戦略立案から実行・定着に至るまでを一気通貫で支援することで、構想の実効性と成果創出の確度を高めるとともに、ビジネスとテクノロジーを横断した専門性を統合し、変革の実装と成果の最大化を実現します。また、多様な専門人材が有する知見や経験を構造的に蓄積・活用し、再利用や横断展開を通じて価値提供のスピードと再現性を高めます。
さらに、こうした人材と知的資本を基盤とした取り組みを通じて、金融・非金融の枠を超え、官公庁や社会インフラ領域を含む多様なセクターへ展開し、クライアントの競争力強化と持続的成長に貢献します。加えて、その波及効果により産業や社会全体の変革を後押しし、経済・社会システムの進化を下支えする存在へと役割を拡張します。

価値を生み出す戦略資本

(B)

ハイブリッド人材を中核とした人的資本の高度化

変化を機会として捉え価値創出へと転換できるハイブリッド人材の獲得・育成・最適配置を通じて、価値提供の再現性と生産性を高めていきます。あわせて、外部の専門性やケイパビリティの動向を継続的に注視し、M&Aを含む多様な手段を通じて、当社の戦略と整合する人材・機能を機動的に取り込むことで、供給力の拡充と生産性のさらなる向上を目指します。

(C)

先端領域を起点とした知的資本の進化・活用

先端領域で獲得した知見を組織的・構造的に蓄積・整理し、再利用や横断展開を通じて価値提供の生産性と品質の向上を目指します。研究開発を補完的に位置づけ、知見・技術の獲得及び資産化を後押ししていきます。さらに、積極的な情報発信を通じて知見を対外的に発信し、認知及び信頼の向上と採用競争力の強化を目指します。

価値創出を支える実行基盤

(D)

適切なリスクテイクを支えるガバナンスの確立

機動的な意思決定と成長投資を可能にするため、適切なリスクテイクを支えるガバナンス及びリスク管理体制の高度化を目指します。戦略整合性、財務規律、リスク評価に加え、取締役会の監督・牽制機能を通じて意思決定の質を高めていきます。さらに、全社的リスク管理に基づくモニタリングを継続することで、事業継続性と信頼の確保を目指します。

(E)

ステークホルダーとの持続的な信頼関係の構築

価値創造と中長期の企業価値向上を支える基盤として、ステークホルダーとの継続的な対話を重視します。株主・投資家、クライアント、従業員、ビジネスパートナー、社会の期待や要請を的確に捉え、透明性の高い情報開示とコミュニケーションを通じて信頼を高めるとともに、経営及び事業運営に反映していくことを目指します。

(F)

気候変動を踏まえた事業運営とレジリエンスの強化

気候変動に関するリスク及び機会を経営判断に織り込み、事業運営及びバリューチェーンに反映することで、事業継続性の確保とレジリエンスの強化を目指します。あわせて、国際的なフレームワークへの対応を通じて開示の透明性を高め、資本市場からの信認の向上を目指します。

 

 当社グループが特定した各マテリアリティと関連する取組事項及び開示項目との対応関係は、以下の表のとおりであります。

 

特定マテリアリティ

主要な関連項目

(A)

クライアントの本質的な課題解決を通じた価値創出

第1 企業の概況 3事業の内容

第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

(B)

ハイブリッド人材を中核とした人的資本の高度化

第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組

(2)人的資本への対応

第4 提出会社の状況 5従業員の状況等

(1)人材戦略に関する基本方針等

(C)

先端領域を起点とした知的資本の進化・活用

第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組

(3)知的資本への対応

第2 事業の状況 6研究開発活動

(D)

適切なリスクテイクを支えるガバナンスの確立

第2 事業の状況 3事業等のリスク

第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等

(E)

ステークホルダーとの持続的な信頼関係の構築

第1 企業の概況 3事業の内容

第2 事業の状況 3事業等のリスク

(F)

気候変動を踏まえた事業運営とレジリエンスの強化

第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組

(4)気候変動の対応

 

③ リスク管理

 当社は、経済的損失、事業の中断又は停止、信用又はブランドイメージの失墜をもたらしうる危険性をリスクと定義し、リスクを低減・回避するためにリスクマネジメント体制を整備しています。

 サステナビリティ会議では、各構成員から当社グループを取り巻く環境を踏まえたサステナビリティに関する課題が報告され、サステナビリティ関連のリスクを幅広く特定しています。そこで特定したリスクについては、発生可能性と、実際に発生した際に当社グループにもたらす損害のインパクトの二軸で評価し、各リスクの重要度を決定します。重要と判断したリスクに関しては経営会議及び取締役会へ報告する体制をとっています。

 また、重要と判断されたサステナビリティ関連のリスクについては、サステナビリティ会議において目標の設定や進捗管理を行い、半期に一度、取締役会へ報告することで定期的なリスクのモニタリングを実施し、対応状況の評価や重要リスクの見直しにつなげています。

 

④ 指標及び目標

 主な指標及び目標につきましては、「(2)人的資本への対応」、「(3)知的資本への対応」及び「(4)気候変動への対応」において、個別に記載しております。

 

(2)人的資本への対応

① ガバナンス

 人的資本に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ① ガバナンス」に記載のとおり、取締役会の監督のもと、サステナビリティ会議における審議に加え、経営戦略及び事業成長を支える重要な経営課題の一つとして、経営会議において継続的かつ重点的に議論・モニタリングを行っております。また、人材戦略、人材育成、組織開発及びエンゲージメント向上等の主要施策について、経営会議を中心に推進及び進捗管理を実施しております。

 

② 戦略

 マテリアリティのうち「ハイブリッド人材を中核とした人的資本の高度化」の実現を図るため、変化を機会として捉え価値創出へと転換できるハイブリッド人材の獲得・育成・最適配置を通じて、価値提供の再現性と生産性を高めていきます。

 

a.人材の採用

 当社グループの事業において中心的な経営資源は人材であり、顧客企業からの要求に応えるためにビジネスとテクノロジー双方に精通した優秀な人材を確保・定着させることを最重要戦略としております。特に当社グループでは、新卒の優秀な人材を採用し、様々なスキルを習得させる人材の育成に力を入れており、中途採用においても、高水準の報酬を用意することに加え、質の良い社内環境を確立することが競合他社との競争に勝つためには必要と考えております。

 

b.人材の育成

 新卒採用内定者については、全てのビジネスにおいて、持続的成長の実現のために最も重要なキーファクターの一つとして位置付けられている「テクノロジーの基礎」及び「金融の基礎」について学ぶ内定者研修を実施しており、未経験からでも学習を重ねることで、研修終了時にはこれらの基礎を身につけることを主眼としております。

 また、新卒採用者については、入社後は4月から7月までの4か月間に渡り、新入社員研修を実施しており、様々な専門性をもった一流のビジネスパーソンによって編成されるプロジェクトチームの一員として参画するための最終準備として、「テクノロジー×ビジネス」の基礎スキル/基本動作の習得を目指しております。この新人研修の段階において、全ての新入社員は、原則として基本情報技術者試験、外務員資格試験等の各種試験に合格しなければならないこととしています。これらの研修に関しては、部門横断組織であるコンピテンシーリードが企画、立案しております。

 新卒採用者が現場に配属される初年度は、ユニット・リーダーと呼ばれる先輩社員と新入社員2名が3人1組でユニットを組み、先輩社員の伴走のもとで、早期段階での「テクノロジー×ビジネス」の高付加価値人材として成長していく第一歩を踏み出すこととしています。新卒社員の直属の先輩となるリーダーは、毎年、経営陣が自ら選出しており、優秀な先輩の仕事ぶりを間近で学ぶことで、より飛躍的な成長の実現を企図しております。

 このほか、コンピテンシーリードにおいては、第一線の社員による当社顧客のビジネス展望やマーケット動向、プロジェクトマネジメント及び最新テクノロジーに関するプラクティス紹介や知見の共有等の成果報告、発表を部門横断で共有できる社内研修会(「Simplex Biz Day(Week)」及び「Simplex Tech Day」)を企画・実施しており、社員は自らの意思で興味のあるセッションに参加し、自らの能力の向上を図ることが可能となっております。また、社員の資格取得等の自己研鑽を支援するため、Amazon Web Service(AWS)関連資格取得をはじめ、業務に関連する資格取得費用及び書籍購入費の補助、Eラーニングツール「Udemy Business」の導入、大学院への進学及び留学等を理由とする休職を可能とする制度、自身が所属する部署と異なる社内の部署に短期で留学する社内短期留学制度などを実施しております。この社内短期留学制度は、自身が所属するプロジェクト/部署から業務理解、人脈形成などのために一時的に別プロジェクトに在籍することを目的とした制度であり、当社グループの業務内容の多角化や広域化により自らが所属するプロジェクト以外の業務を知る機会が減っている中で、創造的なコラボレーションが生まれることを期待し、社員のキャリア形成に資するために実施しております。

 

c.人材の評価

 完全実力主義のもと評価を実施しておりますが、各人の置かれた状況を合理的に配慮し、年次を問わず「仕事の成果・質」で評価を決定しております。具体的には、年に1度、評価会議の場で全正社員の翌年度の理論年俸(基本年収)を決定します。各年度の仕事で関わった上位者全員から評価を受けるため、特定の上司の主観に偏ることなくフェアに評価されるスタイルとなっております。評価に際しては、プロジェクトの難易度や過去の経験値を含めて、その人の持つ「再現性のある実力」を評価して理論年俸を決定する(再現性)、成長幅の限度を定めずに実力を見極め、個々人の成長を正当に評価する一方で、単年度の実績が芳しくなかったことを理由に、成長の機会が提供されなくなることはない(Up or Stay)、出産や介護等、ライフステージが変化する社員に対しても、成果に対して正当な評価をする(Pay for Value)という観点から行っております。以上のように、当社グループでは、創業以来、「最高のプレイヤーに最高の報酬を、そして次なる最大のチャンスを」という考え方を大切にし、自己成長を希望する各人にとって魅力的な就業環境を提供しております。

 

d.社外の教育活動への貢献

 当社グループが培ってきた金融フロンティア領域におけるシステム開発の知見及び顧客企業におけるDXコンサルティングに関する知見をもって、関連する学術分野の発展に寄与することを企図し、株式会社シンプレクス・インスティテュートとともに金融戦略・経営財務プログラム修士課程(MBA)を設置している国立大学法人一橋大学に対する寄附及び寄附講義(情報化戦略とその実践、リスク管理と金融教育)並びに国立大学法人京都大学に対する寄附の提供をしております。

 

e.社内環境整備方針

 当社グループでは、働く人の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで、働く人やその家族の心身の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指して「健康経営宣言」を行っております。

 同宣言に基づく具体的な取組みとしては、定期健康診断の受診はもとより、再検査となった場合の費用支援、ストレスチェック(年2回)の結果によるメンタルヘルスケアの実施、産業医(精神科・内科)/公認心理師の配置、入院/療養等に利用できる特別有給休暇制度の創設、所得補償保険・団体生命保険への加入、各拠点にリラクゼーションルームを設置/あん摩マッサージ指圧師によるマッサージの提供、社内カフェテリアでの夕食又はカフェテリア手当の支給、心身の健康管理/ハラスメント/働きがいに着目した「エンゲージメント・サーベイ」の3か月ごとの実施等を行っております。

 また、「自己実現」を応援できる会社として、法令遵守のもと可能な限り柔軟性を持ち、目標にチャレンジできる「働きがいのある」職場環境づくりの一環として、働き方を選択することができるコミットメントスタイル制度の導入、出社/リモート/モバイルのいずれでも執務ができる環境の整備、柔軟かつ効率的な勤務体系の導入(フレックスタイム制、裁量労働制)、連続労働時間の抑制の導入(勤務間インターバル制度)、情報発信の充実による社内コミュニケーションの活性化(経営陣が直接従業員に対して経営の状況や課題を説明する全体会議を年2回実施、経営陣により選定された各部門をリードする社員が主催する全社月次会を実施、Slackコミュニケーションツールの導入)等を行っております。

 さらに、出産や育児・介護をしながら生き生きと仕事を続けられるよう、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づく法定の制度はもちろん、同法が定める期間以上に育児休業を延長できる制度(子どもが最長2歳4か月に達するまで)、育児休業の申出期間の短縮措置、ベビーシッター割引券の配布等を実施しています。

 このような出産、育児に限らず、多様な人材を受け入れ、継続的に価値を発揮できる状態(Diversity and Inclusion(D&I))を目指すため、社員有志の主導により、多様な人材・働き方の拡充を推進するプロジェクト(社内プロジェクト呼称:Gerbera)を立ち上げ、定期的に会合を開き、成果の共有を図っているほか、健康経営の取組みが実効性をもって推進されるよう、組織から独立した総合相談窓口を健康経営委員長の下に設置して社員の意見をくみ上げていく体制を整えております。

 以上のような取り組みから、厚生労働省から、2023年9月にはシンプレクス株式会社が、「子育てサポート企業」として「くるみん」の認定を取得しました。また、2024年5月にはXspear Consulting株式会社が、女性の活躍促進に関する状況が優良な企業が認定される「えるぼし認定 2段階目」を取得しました。

 

③ リスク管理

 「(1)サステナビリティ全般 ③ リスク管理」及び「第3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループ全般のリスク管理体制、管理方法の中で識別、評価、管理しています。

 

④ 指標及び目標

 当社グループにおける人的資本への対応に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は次のとおりであります。

 

指標の内容

目標

(注)1

実績

前連結会計年度

実績

当連結会計年度

人材の多様性

期末従業員数(契約社員を除く。)

1,560人

1,850人

うち原価部門(コンサルタント・エンジニア)

1,424人

1,671人

うち管理部門

136人

179人

総従業員数に対する女性比率

16.3%

15.9%

管理職に対する女性比率

10%

7.2%

7.9%

新卒採用者に対する女性比率

13.5%

13.3%

取締役 男女別人数(女性比率)

(単体)

男8人 女1人

(11.1%)

男8人 女2人

(20.0%)

取締役 社内社外別人数(社外比率)

(単体)

社内4人 社外5人

(55.6%)

社内4人 社外6人

(60.0%)

定年再雇用在籍者数

(当年度における定年再雇用者数)

10人(5人)

12人(3人)

組織文化

従業員エンゲージメント・サーベイ
実施回数(参考:満足度)

3か月に1回

4回(73点)

4回(74点)

社内留学実施件数

17件

13件

部門横断全社研修会の実施回数

(注)2

4回(50セッション)

3回(37セッション)

採用・離職

採用者数(新卒)

250~300人

223人

233人

採用者数(中途)

250~300人

172人

257人

離職率

10%未満

8%

9%

社内環境整備

有給休暇取得率(注)3

70%以上

76.0%

74.1%

労働者の男女の賃金の差異

(うち正規労働者・非正規労働者)

79.0%

(うち正規80.0%・

非正規61.2%)

81.1%

(うち正規82.3%・

非正規56.6%)

育児休業取得者数

(産前産後休業取得者数)

男26人 女7人

(8人)

男31人 女10人

(10人)

男女別育児休業取得率

男66.7% 女87.5%

男55.4% 女100%

介護休業取得者数

1人

1人

(注)1.目標について、各種施策の継続又は現状以上の数値達成を目指すが定量的に提示が難しい場合又は目標を定量的に算定することが難しい場合は、「-」としております。

2.部門横断研修会である「Simplex Biz Day(Week)」及び「Simplex Tech Day」を定期実施。第一線の社員による当社顧客のビジネス展望やマーケット動向、プロジェクトマネジメント及び最新テクノロジーに関するプラクティス紹介や知見の共有等の成果報告、発表を部門横断で共有できる社内研修会であり、部門横断組織であるコンピテンシーリードにおいて企画・実施しております。

3.年次有給休暇は、毎年1月1日を基準日として付与するため、2024年及び2025年暦年の実績を記載しております。

 

 労働者の男女の賃金の差異については、令和7年度「なでしこ銘柄」応募企業のうち、全回答企業の平均値72.3%及び情報通信業の平均値である78.2%より高い値を示しており、「(2)人的資本への対応 ② 戦略 c.人材の評価」において説明した評価方針が一定の貢献をしているものと考えられます。なお、その他の差異の要因に関しては、女性比率が大きい一般職社員の給与などによるものと考えられます。

 

(3)知的資本への対応

① ガバナンス

 知的資本に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ① ガバナンス」に記載のとおり、取締役会監督のもと、経営会議から権限を委譲されたサステナビリティ会議を中心として推進しております。また、知的資本及びこれに関連する情報資産の保護に関する対応として、サイバーセキュリティ及びデータセキュリティに係る対応については、情報セキュリティ担当役員が議長を務める情報リスク管理委員会を中心として推進しております。

 

② 戦略

 マテリアリティのうち「先端領域を起点とした知的資本の進化・活用」の実現を図るため、先端領域で獲得した知見を組織的・構造的に蓄積・整理し、再利用や横断展開を通じて価値提供の生産性と品質の向上を目指します。

 また、これらの知的資本を継続的に蓄積・活用していくためには、その基盤となる情報資産の安全性及び信頼性の確保が不可欠であると考えています。特に、金融機関を主要な顧客とする当社グループにおいては、サイバーセキュリティにおけるシステミックリスクへの対応を重要な経営課題として位置付けています。堅牢なサーバを含む強固なインフラの構築、そして金融上のシステミックリスクを未然に防ぐために金融機関等コンピューターシステムの安全対策基準(FISC安対)(注1)に対応したシステム開発、内部監査室におけるシステム監査の定期または臨時の実施に加えて、シンプレクス株式会社の開発・提供するソリューションに関して内部統制に係る評価報告書「SOC1Type2報告書」及び「SOC2(Security)Type2報告書」(注2)を取得し、顧客からの受託業務に関する透明性・安全性について監査法人が保証する報告書を顧客に提供しております。

 また、情報セキュリティ基本方針を制定し、創業以来、一貫して高い情報セキュリティ意識で事業に取り組み、その知見と実績を積み上げているほか、社内システムにおいては、ソフトウェア及びハードウェアにおいて堅牢なセキュリティを採用し、機密情報の漏洩等の防止を徹底しています。

 ソリューション別にはISMS(ISO27001)情報セキュリティマネジメントシステム(注3)の認証を受けており、全社員を対象に毎月テーマ別の情報セキュリティ研修及び年に一度のテストを実施する等、常に社員のセキュリティへの意識と知識の向上を図っております。

 さらに、企業間取引における秘密保持はもちろんのこと、顧客が取り扱う個人情報の機密が保たれることは重要と考えられることから、個人情報保護方針を制定し、個人情報の厳格な管理の下に堅牢な製品、サービスの開発・提供を行っております。

(注)1.公益財団法人金融情報システムセンターにおいて、わが国の金融機関等が、事業展開を行う上で金融情報システムを活用するに際し、開発や導入、運用等において必要と考えられる安全対策を基準として示したもの

2.米国公認会計士協会(AICPA)が定める受託会社(Service Organization)における受託業務(顧客への提供サービス等)に係る内部統制を評価・報告する枠組みであるSOC(System and Organization Controls)に関し、第三者の立場から客観的に評価して保証意見を表明する報告書。当社グループにおいては下記の対象サービスについて保証意見の表明をいただいております。

・シンプレクス株式会社のソリューションに係るシステムインテグレーションサービス/運用保守サービス/共同利用型(ASP)サービス

3.情報セキュリティに関する機密性、完全性及び可用性とPDCAサイクルを繰り返すことによるマネジメントシステムが組織に備わっていることについて第三者の審査を受け、認証を受ける制度。当社グループにおいては下記の登録範囲において認証を取得しております。

・FX(外国為替証拠金取引)システムにおけるソフトウェア開発、保守、運用業務およびサービス基盤の提供

・暗号資産システムにおけるソフトウェア開発、保守、運用業務およびサービス基盤の提供

・金融機関向けのクラウドシステム開発、保守、運用業務およびサービス基盤の提供

・公共システムにおけるシステム戦略、ソフトウェア開発、保守、運用業務およびサービス基盤の提供

 

③ リスク管理

 「(1)サステナビリティ全般 ③ リスク管理」及び「第3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループ全般のリスク管理体制、管理方法の中で識別、評価、管理しています。

 

④ 指標及び目標

 

指標の内容

目標

(注)1

実績

前連結会計年度

実績

当連結会計年度

スキル・能力

資格取得補助申請件数

121件

179件

業務関連資格保有件数(注)2

 

 

 

AWS認定資格保有件数

515件

504件

情報処理技術者資格保有件数

(うち高度試験等)

1,333件(209件)

1,866件(318件)

人材開発及び研修コスト

(うち内定者・新卒入社者研修期間人件費)

860百万円

(443百万円)

1,112百万円

(659百万円)

能力開発のための研修に要した時間

(期末従業員一人当たり研修時間)

147,596時間

(95時間/人)

184,398時間

(100時間/人)

セキュリティ

年次セキュリティ理解度測定受講率

100%

100%

100%

情報リスク管理委員会開催回数

1週ごと開催

51回

51回

セキュリティインシデント対応訓練実施回数

1回

1回

セキュリティ教育テーマ社内周知回数

12回

12回

ISMS認証取得

一部ソリューションにおいて取得済(注)3

同左

(注)1.目標について、各種施策の継続又は現状以上の数値達成を目指すが定量的に提示が難しい場合又は目標を定量的に算定することが難しい場合は、「-」としております。

2.業務関連資格として、Amazon Web Service(AWS)が実施する認定資格である「AWS Certification」及び独立行政法人情報処理推進機構が実施する情報処理技術者試験(情報処理安全確保支援士を含む高度試験)について集計して記載しております。なお、AWS認定資格に関しては、当社グループ内での取得数が500に達したことを受け、2023年11月に「AWS 500 APN Certification Distinction」の認定を受けております。

3.取得済みのソリューションについては、「(3)知的資本への対応 ② 戦略」をご参照ください。

 

(4)気候変動への対応

① ガバナンス

 気候変動に関連するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ① ガバナンス」に記載のとおり、取締役会監督のもと、経営会議から権限を委譲されたサステナビリティ会議を中心として推進しております。

 

② 戦略

 マテリアリティのうち「気候変動を踏まえた事業運営とレジリエンスの強化」の実現を図るため、気候変動に関するリスクおよび機会を経営判断に織り込み、事業運営およびバリューチェーンに反映することで、事業継続性の確保とレジリエンスの強化を目指します。

 気候変動問題への対応に関して、国際的な気候変動に関する情報開示の枠組みを決定したTCFD(注)に賛同し、当該枠組みで示された方針に準拠して開示を行っております。

(注)金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)をいう。

 

③ リスク管理

 気候変動に伴って当社グループの事業活動に影響があるリスク及び機会を下表のとおり特定し、2100年までに世界の平均気温が4℃前後上昇することを想定したシナリオと2℃前後上昇することを想定したシナリオの2つをメインシナリオとして分析しております。

 2℃上昇シナリオにおいては、気候変動に関する取り組みに対する政策や法規制の変化や、市場における社会的信頼への重要性の増加等の社会移行に係るリスク及び機会を想定しており、4℃上昇シナリオにおいては、自然災害を始めとする急性的に発生し得る物理リスク及び機会とそれらの事象が引き起こす慢性的なリスク及び機会を想定しています。

リスク及び機会

タイプ

影響項目

シナリオ

当社グループへの影響

リスク

移行リスク

規制リスク

炭素税の導入

2℃

・当社グループの二酸化炭素排出量に対

する炭素税が新たに賦課されることにより、費用負担が増加する

市場リスク

顧客行動の変化

2℃

・顧客が環境負荷の低いデータセンター

を選択するようになる一方で、既存の環境負荷の高いデータセンターを使用し続けることによって売上機会が喪失する

・環境負荷の低いデータセンターに移転

するなど対策費用の負担が増加する

評判リスク

環境負荷の高い業種に対する非難

2℃

・ブロックチェーンのマイニングに係る

電力消費量が膨大であることにより、暗号資産取引等に関連するプラットフォームの需要が減少し、売上が減少する

ステークホルダーの懸念又はステークホルダーからの否定的なフィードバックの増加

2℃

・気候変動への取組みが不十分なことによ

り、ブランドイメージに長期的な毀損等の影響を受け、顧客又は株主からの信用低下につながり、企業価値が低下する

物理リスク

急性リスク

甚大な被害をもたらしうる台風や洪水などの異常気象の頻度上昇

4℃

・データセンターの稼働停止により事業機

会が喪失する

機会

製品・

サービス

低排出量サービスの開発及び/又は拡張に伴う資金調達

2℃

・サステナビリティボンドの発行により有

利な資金調達が実現し、資金調達コストが軽減する

気候適応、レジリエンス及び保険リスクに関するソリューション開発

4℃

・災害や気温の変化等による外出抑制の結

果、事業継続の必要性からリモートワークの活用が進み、ICTインフラ需要が高まることによって当社が提供するリモートワークAIソリューションサービスの売上機会が拡大する

4℃

・気候変動の進展による保険商品の多様化

に伴い、当社が提供している保険ソリューションの販売及び新規のシステム開発の機会拡大によって売上機会が拡大する

2℃

・DX推進による気候変動対応システム(天

候デリバティブ等)のインテグレーションやコンサルティングの受注による売上機会が拡大する

市場

積極的な気候変動リスクへの対応

2℃

・社会的な信頼性・イメージの向上によ

り、社員採用活動における他社とのアドバンテージが向上し、採用活動費が低下する

・顧客又は株主からの信頼上昇により株価

が上昇する

レジリエンス

社員の就業環境の向上等

2℃

・ICTを活用した働き方改革、DXによる事業

の効率化改革等により事業の継続性、事業環境等が向上することで、従業員満足度が向上し、離職率が低下する

 

④ 指標及び目標

 気候変動関連のリスク及び機会に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は次のとおりであります。

 

指標の内容

目標

(注)1

実績

前連結会計年度

実績

当連結会計年度

気候変動関連

温室効果ガス(GHG)排出量(注)2

 

 

 

Scope1 事業者自らによる直接排出

0 t-CO2

0 t-CO2

0 t-CO2

Scope2 他社から供給された電気等の

使用に伴う間接排出

0 t-CO2

(2026年3月期)

0 t-CO2

0 t-CO2

Scope3 当社グループの活動に関連する

他社の排出

9,022.3 t-CO2

10,592.5 t-CO2

カテゴリ1 購入した製品・サービス(注)3

4,893.7 t-CO2

6,731.1 t-CO2

カテゴリ2 資本財

2,012.2 t-CO2

929.6 t-CO2

カテゴリ3 Scope1,2に含まれない燃

料及びエネルギー関連活動

89.5 t-CO2

91.2 t-CO2

カテゴリ5 事業から出る廃棄物

26.3 t-CO2

11.2 t-CO2

カテゴリ6 出張

644.7 t-CO2

952.2 t-CO2

カテゴリ7 雇用者の通勤

1,356.0 t-CO2

1,877.2 t-CO2

オフィスビルエネルギー消費量

1,312MWh

1,337MWh

オフィスビル再生可能エネルギー使用率

100%

(2026年3月期)

100%

100%

データセンター等再生可能エネルギー使用率

(注)3、4

63%

65%

(注)1.目標について、各種施策の継続又は現状以上の数値達成を目指すが定量的に提示が難しい場合又は目標を定量的に算定することが難しい場合は、「-」としております。

2.各項目の算出は、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(2026年3月環境省・経済産業省)に基づき算定しております。当社のScope1排出量はごく少量のため算定から除外しております。また、記載のないカテゴリについては、当社グループ事業において該当がない又は重要度が低いため算出対象としておりません。

3.当社グループが契約しているデータセンター及びクラウドサービスの温室効果ガス排出量及び削減貢献率の算定方法が変更されたことに伴い、前連結会計年度の数値を遡及修正しており、比較可能性を確保しております。

4.当社グループが契約しているデータセンター及びクラウドサービスの使用電力に占める再生可能エネルギー又は削減貢献率を電力消費量に換算したものを示したものとなります。

 

 温室効果ガス排出量が増加した主な要因として、事業規模の拡大に伴う調達量の増加や、従業員数が前期末比で300名程度増加したことに伴うものであり、これらは今後も漸増していくことが見込まれます。その一方で、オフィスビルにおいて再生可能エネルギーへの切り替えが進み、Scope2の指標目標を1年前倒しで達成しております。今後もサステナブルな事業環境を積極的に選択することを通じて、エネルギーマネジメントに取り組んでまいります。