事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
売上
-
利益
-
利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
コミュニケーション事業 | 5,806 | 90.9 | 604 | 105.6 | 10.4 |
ソリューション事業 | 445 | 7.0 | -35 | -6.0 | -7.8 |
投資インキュベーション事業 | 139 | 2.2 | 2 | 0.4 | 1.7 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社アクリート)及び子会社4社により構成されており、メッセージングサービス事業を主たる業務としております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置づけは次のとおりであります。
また、当社グループの報告セグメントは、「国内メッセージングサービス事業」及び「海外メッセージングサービス事業」の2区分としておりましたが、2024年3月の定時株主総会にて新たな経営体制への移行を行い、新たな経営陣により、当連結会計年度の7月に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を発表し、従来の報告セグメントを、①「コミュニケーション事業」、②「ソリューション事業」、③「投資・インキュベーション事業」の3つのセグメントへ変更し、当社の事業の新たなステージに向けた取り組みを進めることとなりました。
各報告セグメントに携わっている当社及び関係会社は以下のとおりであります。
・コミュニケーション事業:株式会社アクリート、株式会社テクノミックス、VietGuysJ.S.C.
・ソリューション事業:株式会社アクリート
・投資・インキュベーション事業:株式会社ズノー・メディアソリューション
コミュニケーション事業
コミュニケーション事業はSMSをはじめとするメッセージングサービス事業活動を行う当社及び子会社にて構成されております。当セグメントにおける、各サービスは、国内SMS配信サービス、海外(ベトナム子会社)におけるメッセージングサービス、国内子会社であるテクノミックス社による「学校安心メール」などのメール配信サービスとなっております。
ソリューション事業
ソリューション事業は、GPUサーバーの取扱い開始を契機とする「ハード・アンド/プラス・サービス」という新たな事業領域及び当社グループおよび外部企業との連携・協業による「AI系ソリューション」事業領域で構成されております。
音声・顔分析技術活用の「ANOTHER AI(アナザーアイ)」、行動変容生成AI「NudgeMaker®for SMS」、IoTエッジデバイス「SchooMy」プロジェクトなどの商材取り扱いによる事業領域拡大を図っております。
投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業は、有望な開発系やAIベンチャーへの投資を図ることで当社での社内活用やインキュベーションを通じた投資先の事業育成支援を行いつつ、事業収益面での取り込みを目指してまいります。新たに連結子会社となりました株式会社ズノー・メディアソリューションは第4四半期より連結業績に反映しております。また、翌連結会計年度より新たに株式会社ズノーを迎えいれ、両社のクリエイティブ力やリソースを活用し、SMS配信事業の新たな収益機会とソリューション事業の効率的展開を目指してまいります。
[事業系統図]
事業系統図は以下のとおりであります。
コミュニケーション事業
ソリューション事業
投資・インキュベーション事業
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて622,798千円減少し、3,588,561千円となりました。これは主に、売掛金208,165千円の増加、現金及び預金353,843千円、顧客関連資産468,243千円の減少によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べて567,191千円減少し、1,497,305千円となりました。これは主に、これは主に買掛金77,750千円、長期借入金354,431千円、繰延税金負債97,420千円の減少によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて55,606千円減少し、2,091,256千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加73,498千円、新株予約権の行使に伴う資本金450千円及び資本剰余金450千円の増加に対して、非支配株主持分167,420千円の減少によるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善は進み、緩やかながら回復基調に向かいつつありましたが、ウクライナ並びに中東地域での紛争や金融資本市場の変動、円安進行などの影響から、資源価格の高騰などにより、物価上昇は継続状況にあり、給与水準の伸び悩みや消費活動の停滞が続く中で、依然として経済環境の先行きの不透明感は払拭できず、楽観できない状況が続いております。
当社が法人向けSMS配信事業を2010年に開始して以降、15年間にわたって日本で法人向けSMS配信市場を創造し、牽引してきたパイオニアとして、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションの実現に取り組み、現在では5,000社を超えるグローバルIT企業や国内大手企業など様々な企業の方々にご利用いただいており、SMS市場ではトップシェアを競う企業に成長してまいりました。また、2021年より「アジアのアクリート」を掲げての事業国際化とSMS以外の領域への進出による新たな成長を目指して、株式会社テクノミックス、株式会社Xoxzo、VietGuys JSC.(以下、VGS社という)を傘下に加え、2022年8月にお知らせした中期経営計画に沿った事業活動を行ってきました。しかしながら、当社の事業に係る事業環境の大きな変化、当社の経営・事業体制の立ち遅れと脆弱さなどにより、中期経営計画の見直しが必須となり、2024年3月の定時株主総会にて新たな経営体制への移行を行い、新たな経営陣により、当連結会計年度の7月に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を発表し、従来の報告セグメントを、①「コミュニケーション事業」、②「ソリューション事業」、③「投資・インキュベーション事業」の3つのセグメントへ変更し、当社の事業の新たなステージに向けた取り組みを進めることとなりました。新たな取り組みの一環として当連結会計年度にSMS配信事業の新たな収益機会を引き出し、ソリューション事業の効率的かつ合理的な展開のために株式会社ズノー・メディアソリューション(以下ZMS社という)を新たに子会社化しました。しかしながら一方で、新たな事業構想から外れた株式会社Xoxzoについては、全株式譲渡を実施しております。
このような事業環境と中期経営計画の修正の下、3つの報告セグメントによる当連結会計年度の売上高は対前年同期比16.8%増の6,347,970千円となりました。
売上高については当社グループの主たる事業である「コミュニケーション事業」が競合他社との厳しい価格競争もありながらも、5,806,290千円と国内SMS配信通数と海外アグリゲーター経由でのSMS配信通数がともに増加しており、安定した売上高を計上しております。新たなセグメントである「ソリューション事業」はその本格的な事業開始が当期第3四半期からであったこともあり、445,454千円となっており、「投資・インキュベーション事業」についても、やはり事業開始時期が当期第3四半期であったことから138,800千円でした。
事業利益に関しては当連結会計年度では、アクリートにおける採用活動の抑制による人件費削減が見られたものの、新セグメントにおける初期準備・導入コストの計上や、配信数増加にともなう仕入原価の増加等の要因もあり、営業利益は対前年同期比で6.9%増ではありますが、営業利益率は5.2%という結果となりました。
以上の結果をまとめますと、当連結会計年度の業績は、売上高6,347,970千円(前年同期比16.8%増)、営業利益331,881千円(前年同期比6.9%増)となり、経常利益331,350千円(前年同期比8.3%増)となりました。また、後述の減損損失などの理由により、特別損失455,461千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は73,498千円(前年同期比119.9%増)となりました。
なお、売上高については事前に想定していた株式会社ズノーの連結子会社化の時期が予定よりもずれ込み、翌連結会計年度となったために連結売上高において計画と実績数値に差異が生じたこと、親会社株主に帰属する当期純利益においては、VGS社にて顧客関連資産における減損損失を計上することとなったことから当社は業績予想の修正を行っております。
当社の業容につきましては、主たる事業である「コミュニケーション事業」の内、SMS配信サービスの市場環境は、2024年度から2029年度までの年平均成長率は24.8%増と見込まれ、(「ミックITリポート2024年11月号」(デロイトトーマツミック経済研究所株式会社))、今後も成長を続けると予想されていますが、競合他社との価格競争は依然として継続しております。そのような市場環境のなか、当社では国内SMS配信通数と海外アグリゲーター経由でのSMS配信通数がともに増加しており、グループ全体の安定した事業成長を牽引しております。特に海外アグリゲーター経由でのSMS配信は、配信単価が下落傾向にありましたが、当第3四半期に続き、当第4四半期においても対前年同四半期比で116%と順調に配信数を伸ばし売上に大きく寄与しました。つぎに、新たな収益源の確立となるべく「ソリューション事業」では、GPUサーバーの売上が当第4四半期には計上ができず、収益獲得が2025年以降へ持ち越されることとなりました。また、「投資・インキュベーション事業」では、新たなシナジー効果を期待し、ZMS社をグループ会社として新たに迎え入れ、当第4四半期から連結業績に反映することになりました。
当社は2025年2月10日に「事業多様化と構造改革」をテーマとした中期経営計画[2025-2027]を発表いたしました。中期経営計画[2025-2027]では、「超情報化社会におけるコミュニケート・プラットフォームカンパニー」の実現に向けたSMS単一事業展開からの脱却を図り、前述した3つの事業セグメントでの事業領域拡大を図ることでの収益構造改革を行ってまいります。そのテーマの中心として、「AIテクノロジー」をフックとしたビジネスポジションの構築、さらにもう1つの成長因子として「海外企業との提携/協業を行うなどの事業国際化」を進めてまいります。さらには新たなマーケティングによる事業領域の拡大による経営の活性化や事業体制改編を行い、多様なメッセージサービス展開への挑戦やAI技術を含む独自のソリューションにも取り組んでまいります。
各セグメントの業績は以下のとおりとなります。
① コミュニケーション事業
コミュニケーション事業はSMSをはじめとするメッセージングサービス事業活動を行う当社及び子会社
にて構成されております。当セグメントにおける、各サービスの概況は以下のとおりであります。
a.国内SMS配信サービス
当連結会計年度において、まず国内SMS市場では競合他社との価格競争による販売単価については下落
傾向が続いておりますが、SMS配信数は対前年同期比109%と引き続き増加しております。今後はSMS
市場の通数での優位性を活用し、RCS(+メッセージ)市場やSNS系メッセージにおいても通数のトッ
プシェアを目指すことで増収・増益を目指していく方針です。また、海外SMSアグリゲーター経由でのS
MS配信についても、引き続き国内SMS市場同様に競合他社との価格競争が続いている中で、SMS配信
数も対前年同期比116%と増加しておりますが、当連結会計年度第3四半期より順調に配信数を伸ばし、回
復傾向にあります。また、当第3四半期連結会計期間において新たな取り組みとして業務提携を発表した中
国Techown社に加え、新たな海外企業との業務提携を推進し、収益拡大に努めてまいります。
b.海外(ベトナム)におけるメッセージングサービス
海外メッセージングサービスにつきましては現在ベトナムにおけるメッセージングサービスを行う子会社で
あるVGS社にて展開しております。ベトナムを含めた東南アジアにおいては、メッセージ手段の多様化に
伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。VGS社は、
CDP(Customer Data Platform)サービスを軸として、ベトナム国内におけるメッ
セージングサービスのオムニチャネル化を推進し、SMS以外のサービス拡充や他社との提携を推進するこ
とにより、事業拡大と収益率向上に取り組んでおります。なお、当グループにおける海外展開については、
その他のアジア各国においても新経営陣の持つ海外ネットワークを活用して当社の業容拡大を推進してまい
ります。
c.メール配信サービス
子会社であるテクノミックス社により、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間
の連絡をスムーズに行うための手段である「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急
連絡システム「自治体安心メール」等を展開しております。メール配信サービスの利用顧客は、当連結会計
年度からは、当社及び販売代理店との連携強化による顧客拡大に注力しておりますが、少子化の影響を受け
提供対象となる学生数の減少に伴い、配信通数が減少傾向にあります。
以上の結果、当セグメントの売上高は5,806,290千円(前年同期比8.2%増)、セグメント利益は604,042千円(前年同期比88.8%増)となりました。
② ソリューション事業
ソリューション事業は、SMS以外において領域の拡大を図っていきます。具体的にはGPUサーバーの
取扱い開始を契機とする「ハード・アンド/プラス・サービス」という新たな事業カテゴリーの商品販売の
企画展開と、当社グループおよび外部企業との連携・協業による「AI系ソリューション」で構成されてお
ります。当連結会計年度において、GPUサーバーの売上を計上したことを受け、翌連結会計年度以降も引
き続き取り組んでまいります。また、GPUサーバー以外にも、「ハード・アンド/プラス・サービス」、
および音声・顔分析技術活用の「ANOTHER AI(アナザーアイ)」、行動変容生成AI「Nudg
eMaker®for SMS」、IoTエッジデバイス「SchooMy」プロジェクトなど「AI系ソリ
ューション」においても領域拡大を図ってまいります。なお、スクーミー社が提供するIoTエッジデバイ
ス「SchooMy」の総販売代理店事業はすでに開始しており、翌連結会計年度より実績が計上される見
通しです。
以上の結果、当セグメントの売上高は445,454千円、セグメント損失は34,587千円となりました。
③ 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業は、有望な開発系やAIベンチャーへの投資を図ることで当社での社内活用やインキュベーションを通じた投資先の事業育成支援を行いつつ、事業収益面での取り込みを目指してまいります。当連結会計年度において、ZMS社は第4四半期より連結業績に反映いたしました。また、翌連結会計年度に株式会社ズノーを迎えいれ、両社のクリエイティブ力やリソースを活用し、SMS配信事業の新たな収益機会とソリューション事業の効率的展開を目指してまいります。一方で株式会社Xoxzoについては、中期経営計画[2025-2027]における事業構想から外れたことから、当連結会計年度にて株式譲渡を実施することとなりました。今後も引き続き、当社にとって親和性・事業シナジーのあるような、有益と判断した投資や国内外企業との提携・協業を推進してまいります。
以上の結果、当セグメントの売上高は138,800千円(前年同期比37.6%増)、セグメント利益は2,416千円(前年同期は損失9,054千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、1,471,151千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、214,954千円の収入(前年同期は191,139千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、非資金項目の減価償却費112,674千円、減損損失439,943千円の調整、売上債権の増加150,776千円、仕入債務の減少123,137千円であり、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失115,246千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、104,678千円の支出(前年同期は95,151千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出24,807千円、投資有価証券の取得による支出60,000千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出24,312千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、473,338千円の支出(前年同期は461,793千円の支出)となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入100,000千円、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出100,000千円、長期借入金の返済による支出421,284千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出62,000千円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
|
金額(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
コミュニケーション事業 |
5,873,837 |
108.2 |
ソリューション事業 |
445,454 |
- |
投資・インキュベーション事業 |
138,678 |
137.6 |
調整額 |
△42,575 |
- |
合計 |
6,347,970 |
116.8 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであり
ます。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
Telesign Corporation |
707,859 |
13.03 |
250,168 |
3.94 |
Twilio Inc. |
375,322 |
6.91 |
516,575 |
8.14 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」にも記載しておりますが、売上高は6,347,970千円(前年同期比16.8%増)となりました。これは主に、当社グループの主たる事業であるコミュニケーション事業が競合他社との厳しい価格競争もありながらも、5,806,290千円と国内SMS配信通数と海外アグリゲーター経由でのSMS配信通数がともに増加しており、安定した売上高を計上しております。新たなセグメントであるソリューション事業はその本格的な事業開始が当期第3四半期からであったこともあり、445,454千円となっており、投資・インキュベーション事業についても、事業開始時期が当期第3四半期であったことから138,800千円となり、通期で業績貢献したことが要因となっております。
売上原価は、4,785,787千円(前年同期比24.5%増)となりました。これは主に、当社において、国内SMS配信数増加に伴う携帯電話事業者からの仕入高増加によるものが増加要因となっております。
販売費及び一般管理費は、1,230,301千円(前年同期比3.7%減)となりました。これは主に、広告及び販促費用を見直し及びWeb会議等活用し出張旅費の低減化が減少要因となっております。
以上の結果、営業利益は331,881千円(前年同期比6.9%増)となりました。
経常利益は、貸付による受取利息1,232千円、為替差益4,642千円及び借入による支払利息6,427千円により、331,350千円(前年同期比8.3%増)となり、株式会社Xoxzoの株式売却による関係会社株式売却益による特別利益8,865千円、投資有価証券評価損及び顧客関連資産等の減損損失などの特別損失455,461千円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は115,246千円(前年同期は11,652千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は73,498千円(前年同期比119.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウエアの開発資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、事業開発に伴うM&Aによる株式取得費用や、新事業領域への進出を見据えた研究開発費用等であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
今後のさらなる成長の為に、SMSを活用した付加価値の高いサービスの開発や、SMS配信サービスの営業体制強化のためのプロモーション、また、市場シェア拡大のためのM&A、新事業領域への進出を見据えた研究開発等に取り組む方針です。これらの事業活動に必要となる資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は502,371千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,471,151千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しておりますが、当連結会計年度における当社グループの売上高の29.9%を占める海外アグリゲーター経由のSMS配信サービスの海外アグリゲーターの動向、競合企業の動向及び携帯電話事業者との契約関係は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。
⑤ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、法人向けSMS配信事業を2010年に開始して以降、15年間にわたって日本で法人向けSMS配信市場を創造し、牽引してきたパイオニアとして、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションの実現に取り組み、現在では5,000社を超えるグローバルIT企業や国内大手企業など様々な企業の方々にご利用いただいており、SMS市場ではトップシェアを競う企業に成長してまいりました。しかしながら、当社の事業に係る事業環境の大きな変化、当社の経営・事業体制の立ち遅れと脆弱さなどにより、2022年8月にお知らせした中期経営計画の見直しが必須となり、2024年3月の定時株主総会にて新たな経営体制への移行を行い、新たな経営陣により、当連結会計年度の7月に「中期経営計画の修正に関するお知らせ」を発表し、従来の報告セグメントを、①「コミュニケーション事業」、②「ソリューション事業」、③「投資・インキュベーション事業」の3つのセグメントへ変更し、当社の事業の新たなステージに向けた取り組みを進めることとなりました。
新たな取り組みの一環として当連結会計年度にSMS配信事業以外の新たな収益機会を引き出すことを目的に、「ソリューション事業」として効率的かつ合理的な展開と事業領域の拡大を図っております。具体的にはGPUサーバーの取扱い開始を契機とする「ハード・アンド/プラス・サービス」という新たな事業カテゴリーの商品販売の企画展開と、当社グループおよび外部企業との連携・協業による「AI系ソリューション」で構成されております。新たなセグメントとして開始した当連結会計年度において、GPUサーバーの売上を計上したことを受け、翌連結会計年度以降も引き続き取り組んでまいります。また、GPUサーバー以外にも、「ハード・アンド/プラス・サービス」、および音声・顔分析技術活用の「ANOTHER AI(アナザーアイ)」、行動変容生成AI「NudgeMaker®for SMS」、IoTエッジデバイス「SchooMy」プロジェクトなど「AI系ソリューション」においても領域拡大を図ってまいります。なお、スクーミー社が提供するIoTエッジデバイス「SchooMy」の総販売代理店事業はすでに開始しており、翌連結会計年度より実績が計上される見通しです。
「投資・インキュベーション事業」においては、有望な開発系やAIベンチャーへの投資を図ることで当社での社内活用やインキュベーションを通じた投資先の事業育成支援を行いつつ、事業収益面での取り込みを目指してまいります。当連結会計年度において、ZMS社は第4四半期より連結業績に反映いたしました。また、新たに株式会社ズノー社を迎えいれ、両社のクリエイティブ力やリソースを活用し、SMS配信事業の新たな収益機会と「ソリューション事業」の効率的展開を目指してまいります。一方で株式会社Xoxzoについては、中期経営計画(2025/12~2027/12)における事業構想から外れたことから、当連結会計年度にて株式譲渡を実施することとなりました。今後も引き続き、当社にとって親和性・事業シナジーのあるような、有益と判断した投資や国内外企業との提携・協業を推進してまいります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、「デジタル社会に、リアルな絆を」を会社のビジョンとして掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、メッセージングサービス事業を展開しております。
2025年2月に中期経営計画(2025/12~2027/12)を発表し、中期テーマとして「事業多様化と構造改革」を掲げ、「超情報化社会におけるコミュニケート・プラットフォームカンパニー」となることを目指します。超情報化社会でのキープレイヤーたることが当社グループの価値創出につながるという考えのもと、幅広いマーケットへ事業拡大を目指してまいります。
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループの事業は、国内市場にて事業活動を行う当社及び国内子会社、海外市場にて事業活動を行う海外子会社がそれぞれ各市場に適した経営戦略を立案し、事業活動を展開しております。
当社は、2024年7月よりソリューション事業及び投資インキュベーション事業という新たな事業を開始したことにより、社内組織及び事業管理区分の見直しを行い報告セグメントの変更を行うことといたしました。
当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「国内メッセージングサービス事業」及び「海外メッセージングサービス事業」の2区分を統合した「コミュニケーション事業」、「ソリューション事業」及び「投資インキュベーション事業」の3区分に変更しております。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを開示しております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表作成において採用している会計処理の方法と同一であります。報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。セグメント間の内部売上高又は振替高は市場実勢価格に基づいております。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報及び収益の分解情報
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
報告セグメント |
調整額 |
連結財務諸表 計上額 |
|||
|
コミュニケーション事業 |
ソリューション事業 |
投資インキュベーション事業 |
計 |
||
売上高 |
|
|
|
|
|
|
顧客との契約から生じる収益 |
5,333,074 |
- |
100,484 |
5,433,558 |
- |
5,433,558 |
その他の収益 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
外部顧客への売上高 |
5,333,074 |
- |
100,484 |
5,433,558 |
- |
5,433,558 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
30,036 |
- |
340 |
30,376 |
△30,376 |
- |
計 |
5,363,110 |
- |
100,824 |
5,463,935 |
△30,376 |
5,433,558 |
セグメント利益又は損失(△) |
319,862 |
- |
△9,054 |
310,807 |
△340 |
310,467 |
セグメント資産 |
4,107,614 |
- |
103,745 |
4,211,359 |
- |
4,211,359 |
その他の項目 |
|
|
|
|
|
|
減価償却費 |
111,619 |
- |
18,528 |
130,147 |
- |
130,147 |
のれんの償却額 |
24,352 |
- |
3,170 |
27,523 |
- |
27,523 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
70,921 |
- |
- |
70,921 |
- |
70,921 |
(注)1.セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
|
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
|
報告セグメント |
調整額 |
連結財務諸表 計上額 |
|||
|
コミュニケーション事業 |
ソリューション事業 |
投資インキュベーション事業 |
計 |
||
売上高 |
|
|
|
|
|
|
顧客との契約から生じる収益 |
5,763,837 |
445,454 |
138,678 |
6,347,970 |
- |
6,347,970 |
その他の収益 |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
外部顧客への売上高 |
5,763,837 |
445,454 |
138,678 |
6,347,970 |
- |
6,347,970 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
42,453 |
- |
122 |
42,575 |
△42,575 |
- |
計 |
5,806,290 |
445,454 |
138,800 |
6,390,546 |
△42,575 |
6,347,970 |
セグメント利益又は損失(△) |
604,042 |
△34,587 |
2,416 |
571,871 |
△239,989 |
331,881 |
セグメント資産 |
3,333,996 |
- |
254,564 |
3,588,561 |
- |
3,588,561 |
その他の項目 |
|
|
|
|
|
|
減価償却費 |
112,239 |
- |
435 |
112,674 |
- |
112,674 |
のれんの償却額 |
24,352 |
- |
862 |
25,215 |
- |
25,215 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
28,184 |
- |
- |
28,184 |
- |
28,184 |
(注)1.セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
2.セグメント利益又は損失の調整額の内△239,301千円は、各報告セグメントに配分していない全社費用となっております。
全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
(単位:千円) |
日本 |
ベトナム |
合計 |
3,854,008 |
1,579,549 |
5,433,558 |
(注)売上高はサービスを提供した場所を基礎とし、国に分類しております。
(2)有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3.主要な顧客ごとの情報
(単位:千円) |
顧客の名称又は氏名 |
売上高 |
関連するセグメント名 |
TeleSign Corporation |
707,858 |
コミュニケーション事業 |
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
(単位:千円) |
日本 |
ベトナム |
合計 |
4,426,115 |
1,921,855 |
6,347,970 |
(注)売上高はサービスを提供した場所を基礎とし、国に分類しております。
(2)有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3.主要な顧客ごとの情報
(単位:千円) |
顧客の名称又は氏名 |
売上高 |
関連するセグメント名 |
Twilio Inc. |
516,575 |
コミュニケーション事業 |
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
コミュニケーション事業 |
ソリューション事業 |
投資インキュベーション事業 |
合計 |
減損損失 |
236,666 |
- |
- |
236,666 |
(注)報告セグメント「コミュニケーション事業」に帰属する顧客関連資産及びのれんにつきまして、買収時に見込んだ事業計画を下回って推移していること、また、今後の業績動向等を踏まえ事業計画の見直しを行うにあたり取引先ごとのSMS配信数を補正した結果、当初想定していた事業計画の達成が困難であると判断したことから、減損損失を認識するに至りました。なお、ソフトウェアについては、当該サービスの終了により今後の使用が見込まれなくなったことから、減損損失を認識するに至りました。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
コミュニケーション事業 |
ソリューション事業 |
投資インキュベーション事業 |
合計 |
減損損失 |
439,943 |
- |
- |
439,943 |
(注)報告セグメント「コミュニケーション事業」に帰属する顧客関連資産及びのれんにつきまして、買収時に見込んだ事業計画を下回って推移していること、また、今後の業績動向等を踏まえ事業計画の見直しを行うにあたり取引先ごとのSMS配信数を補正した結果、当初想定していた事業計画の達成が困難であると判断したことから、減損損失を認識するに至りました。なお、ソフトウェアについては、当該サービスの終了により今後の使用が見込まれなくなったことから、減損損失を認識するに至りました。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
コミュニケーション事業 |
ソリューション事業 |
投資インキュベーション事業 |
合計 |
当期償却額 |
24,352 |
- |
3,170 |
27,523 |
当期末残高 |
66,970 |
- |
0 |
66,970 |
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
コミュニケーション事業 |
ソリューション事業 |
投資インキュベーション事業 |
合計 |
当期償却額 |
24,352 |
- |
862 |
25,215 |
当期末残高 |
42,617 |
- |
16,396 |
59,014 |
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
該当事項はありません。