リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスクについて
① SMS配信サービス市場の拡大について
SMS配信サービス市場は、グローバル市場においては多くの大手SMSアグリゲーターが存在する巨大な市場が存在しておりますが、日本国内においては、一般にSMSが利用されてこなかった背景から、その市場規模はいまだに諸外国に比べて小さなものとなっております。SMS配信サービス市場は、新型コロナ陽性患者対応連絡手段として2022年までに大きく利用拡大してきましたが、2023年になって同じ目的としての利用はほぼ終息しています。一方でコロナ特需とは別に、SMS利用用途の拡大により、利用企業数、配信通数ともにその後も継続的に成長しておりますが、今後、新たな法的規制の導入、SMS配信が不要となる技術革新、携帯電話事業者の方針変更等により、当社の想定どおりSMS配信サービス市場が発展しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合企業について
携帯電話事業者が認める正規配信ルートによりSMS配信サービスを提供するためには、すべての携帯電話事業者と直接接続契約を締結する必要があるため、現状、国内におけるSMS配信サービス市場は当社を含む4社により市場の大半を占めております。しかしながら、今後、市場規模が拡大することで、新規参入企業が増加する可能性は否定できず、競合企業の増加により競争が激化した場合には当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ SMS配信サービスの利用用途及び健全性と一般ユーザーの動向について
当社では、配信コンテンツの利用用途及び健全性について事前審査を行うとともに、「迷惑メール対策推進協議会」構成員及び「フィッシング対策協議会」正会員として、企業と一般ユーザーとの双方にメリットのあるSMS配信を促進することで健全な市場育成を目指しております。しかしながら、競合他社及び正規ルート以外でのSMS配信業者等により、一般ユーザーに受け入れられない迷惑SMSの配信が横行し、SMS配信そのものの信頼性が損なわれるような状況となった場合には、市場の発展が阻害され、当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業内容に関するリスクについて
① 携帯電話事業者との契約関係について
当社は、SMS配信サービスを提供するために、現在、主要な携帯電話事業者4社と直接接続契約を締結しており、当社では事業者から依頼された配信コンテンツを当社システムから携帯電話事業者のSMS配信ルートを利用して、一般ユーザーに配信しております。
従いまして、当社では携帯電話事業者との契約は当社の事業活動の前提となる契約であると考えており、現在、携帯電話事業者と当社の間の契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、携帯電話事業者の新規参入があり、当該携帯電話事業者との契約が想定どおり進捗しなかった場合、携帯電話事業者によりSMSの送信単価の引き上げが実施された場合、その他何らかの事情により当社といずれかの携帯電話事業者との契約の変更があった場合もしくは継続ができなくなった場合には、当社グループの事業運営及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
② 海外SMSアグリゲーターの動向について
当社は海外SMSアグリゲーター向けに、SMPP国際ゲートウェイサービスを提供しており、グローバル企業が海外SMSアグリゲーターに委託したSMS配信のうち国内ユーザー向けの配信の受託を行っており、2023年12月期において、当社の売上高の40.0%を占めております。
複数の海外SMSアグリゲーターとの取引で1社への依存度を下げること、各社との良好な関係を保つことにより各社の動向をタイムリーに把握するような営業体制を構築することでリスクが最小限にするよう対策をしておりますが、大手グローバル企業が委託する海外SMSアグリゲーターを変更することで、当社が国内ユーザー向けの配信の受託ができなくなる、もしくは当該理由により国内ユーザー向けの配信が著しく減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、現在のところ海外SMSアグリゲーターは、システムの安定性並びに日本特有のSMS配信ビジネスに関連する法令(電気通信事業法、迷惑メール防止法)の遵守等の理由で当社サービスの利用を継続的に行っておりますが、当社のゲートウェイサービスを利用してSMS配信を行っている海外SMSアグリゲーターが独自で国内SMS配信サービス市場に参入した場合もしくは他の配信ルートを利用することとした場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 販社・代理店の営業活動について
当社はSMS配信サービスの事業拡大のため、直接販売だけではなく、コールセンター、システム開発会社等と協業して、国内での市場開発及び営業活動を連携して行っております。しかしながら、これらの販社・代理店が当社の想定する営業活動を推進しなかった場合、また、何らかの事情により営業活動が制限され新規取引先の獲得ができなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新規事業について
当社グループは、引き続き積極的に新サービス、新規事業開発に取り組んでまいりますが、これにより人材の採用やプロモーション費用、研究開発への先行投資等に追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性(内的要因)があります。
また、他にも消費者ニーズの変化やトレンドの変化、新たな規制の導入、予期せぬ競合の出現といった競争状態の変化、販売ライセンスの取得、為替変動といった外的要因の影響によって事業推進遅延が起こる場合もございます。新サービスや新規事業の拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ カントリーリスクについて
当社グループはベトナムに在外連結子会社を有していることから海外各国の独自のビジネス環境を前提として事業を展開しております。海外でのビジネスには、各国の政治、経済の諸条件の変更、各種法制度の見直し等、ビジネスに大きな変動が生じる恐れがあります。当社グループは、こうした事業遂行上の環境変化に対して各国の行政窓口、取引先、各種専門家等から常に最新の情報を収集するよう努めておりますが、予期できない政治、経済の変化や自然災害、紛争の勃発などが生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ システムの安定性について
当社が提供するサービスは、当社が開発したSMS配信システムにより提供されております。当社では、システムトラブルが発生しないよう24時間体制での監視を行うとともに、大量配信による負荷、セキュリティ対策、自然災害等を想定したシステム運用を行うことで、システムダウンや重大なシステム障害等を防止する体制を維持・改善することを重大な経営上の課題と認識しておりますが、何らかのトラブルによりシステムダウンやシステム障害等が発生した場合には、当社の社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティーリスクについて
当社グループでは、サービス提供において、業務上、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業の機密情報を知り得る場合があります。このため、当社グループでは情報セキュリティ体制の強化に努めるとともに、2014年10月にISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメント)、2020年1月にISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)の規格に適合する証明を取得しております。しかしながら、コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これらの機密情報の漏洩が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社の信用失墜の事態を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権の侵害について
当社グループは、第三者の知的財産権に関して、外部の弁護士、弁理士を通じて調査を行い、権利侵害がないよう留意することでリスクの回避を行っておりますが、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性や今後第三者により知的財産権が成立する可能性があります。
万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者により損害賠償請求、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払請求等が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業活動において使用している一部の技術に関し、第三者の知的財産権が成立しているものが存在していることを確認しておりますが、当社グループでは当該知的財産権が成立する以前から当該技術を使用しており当社グループは先使用権を有していると認識しており、当該知的財産権に関する侵害はないものと考えております。
⑨ 為替相場の変動について
当社の海外SMSアグリゲーター向けのSMPP国際ゲートウェイサービスは外貨建てとなっている取引もあるため、円建ての取引に変更してもらうなど為替相場の影響を受けないよう対策をしておりますが、急激な円高等為替相場の状況により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2023年12月期における外貨建て売上高は、708,079千円となっております。
また、当社グループはベトナムに在外連結子会社を有しております。為替相場の変動は、連結決算における海外連結子会社財務諸表の円貨換算額に影響を与えるため、為替相場に著しい変動が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 資産の減損損失について
当社グループが保有する固定資産において将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があります。当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要が生じた場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ M&Aについて
子会社である株式会社テクノミックス、株式会社Xoxzo及びVietGuys J.S.C.は、当社グループの業績に貢献するものと見込んでおります。しかしながら、事業環境の変化等により当初の想定を下回る場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 訴訟等について
当社グループでは、これまでに訴訟は発生しておりません。しかしながら、将来において予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や賠償金額によって、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 組織体制について
① 小規模組織体制及び人材の確保・育成について
当社グループは、本書提出日現在、従業員114名と子会社4社を含めてもいまだに小規模組織であり、現状、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。現在、市場の成長に伴い、当社グループも大きく成長段階にあり、事業拡大に応じた採用活動を行っていくとともに従業員の育成を行い、人員増強を引き続き進める方針でありますが、優秀な人材を獲得することがタイムリーにできなかった場合、当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制の強化について
当社グループでは、企業価値の継続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、法令遵守を徹底してまいりますが、人材の確保の遅れ等により、十分な内部管理体制の構築ができない状況となった場合、適切な業務運営が困難となる可能性があります。
(4) 法的規制について
当社グループは、会社法、金融商品取引法、労働基準法、個人情報保護法、法人税法等の一般的な法令に加え、電気通信事業法、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(俗称:迷惑メール防止法)の規制を受けております。また、将来的に同法の改正や事業に関する分野を規制する法令等の制定、あるいは自主的な業界ルールの制定等が行われた場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
① 電気通信事業法
当社及び各連結子会社は、電気通信事業者として総務省に届出を行い登録されています。従って、電気通信事業法及び関連する省令等を遵守する必要があります。
同法においては、電気通信事業者の取扱い中にかかる通信の秘密を侵す行為及び電気通信事業に従事する者またはかつて従事した者が、電気通信事業者の取扱い中にかかる通信に関して知り得た他人の秘密を漏らす行為が規制されております。当社は、同法で規定される通信の秘密等の原則を徹底し、法令違反が発生しない体制での事業運営を行っており、現在まで同法に抵触した事実はございません。しかしながら、万一法令違反が発生した場合、業務改善命令もしくは罰則を受け、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
② 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律は、一時に多数の者に対してなされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることを鑑み、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的としており、当社が配信している事業者から個人向けのSMS配信も対象となっております。
当社では、同法で規定されるあらかじめ同意したユーザーのみへの広告宣伝SMS配信を行うオプトイン方式、同意を証する記録の保存、表示義務を遵守していることを当社の顧客である配信元事業者等に確認を行うことで、SMS配信審査の中で法令違反が発生しない体制での事業運営を行っておりますが、万一当社の顧客が法令違反をし、業務改善命令もしくは罰則を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 大株主について
当社の大株主であるBANA1号有限責任事業組合は、当社の分割法人であるインディゴ株式会社の取締役4名が組合員であり、当社株式保有を目的として設立された有限責任事業組合であります。当社とインディゴ株式会社及びBANA1号有限責任事業組合との間には、取引関係はなく、2023年12月期においては、組合員2名が当社の執行役員を兼務しておりました。
BANA1号有限責任事業組合は、長期的に株式を保有する方針である旨を伺っているため、当社といたしましては安定株主であると認識しております。
2023年12月31日現在、BANA1号有限責任事業組合は、当社発行済株式総数(自己株式を除く。)の24.2%を保有しておりますが、何らかの事情により、長期的な株式保有の方針が変わる可能性があります。それに伴い、当社株式が売却された場合、当社株式の市場価格や流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) その他のリスクについて
① 配当政策について
当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と認識し、配当性向30%を目標として、業績に応じた配当の支払いを安定的、継続的に実施することを基本方針としております。
しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性があります。
② 新株予約権について
当社は、当社取締役、監査等委員、従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合には、既存株主の保有株式の価値が希薄化される可能性があります。
2023年12月31日現在、新株予約権による潜在株式数は37,000株であり、発行済株式総数5,973,500株の0.6%に相当しております。なお、新株予約権の詳細は、後記「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご参照ください。
配当政策
3【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と認識し、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、配当性向30%を目標として、業績に応じた配当のお支払いを安定的、継続的に実施していくことを基本方針としております。
当社が剰余金の配当を行う場合は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針と考えております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。なお、中間配当につきましては、取締役会の決議によって、毎年6月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
しかしながら、当事業年度においては当初の業績予想を大幅に下回る実績になったことから、上記配当方針及び最近の業績動向等を勘案し、2023年12月31日を基準日とする期末配当につきましては、誠に遺憾ではございますが、無配とさせていただくことといたしました。これにより当事業年度の年間配当金は1株当たり5円の配当となり、配当性向は31.5%となりました。
2024年12月期につきましては、先行き不透明な状況を鑑み、配当予想は未定ではありますが、可能な限り早期に復配できるよう努めてまいります。
また、内部留保資金につきましては、事業の継続的な拡大発展を実現させるための設備投資及び事業基盤の長期安定に向けた財務体質の強化等に有効に活用していく所存であります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年8月14日 |
28,456 |
5 |
取締役会決議 |