リスク
3 【事業等のリスク】
当社の事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク要因について次のとおり記載しております。また、必ずしも以下に記載するリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から、以下に記載しております。当社におきましては、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合の迅速な対処に努める方針ではありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項並びに本書における本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) 事業内容に関するリスクについて
① Apple Inc.との関係について
当社が運営するクラウド型POSレジ「スマレジ」におけるレジ機能は、Apple Inc.が展開するiOS(アイオーエス)上で稼働するアプリであり、本書提出日現在当該アプリはiOS上でのみ動作いたします。現在、日本国内でのiOS端末のシェアはスマートフォン及びタブレット双方において上位に位置しておりますが、iOSを採用するタブレット等のシェアが下落した場合は当社の事業及び業績に影響を及ぼす恐れがあります。
また、クラウドサービス事業の基本となるアプリについては、Apple Inc.の規定の審査プロセスを通過してその配信を行っておりますが、プラットフォーム事業者であるApple Inc.の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 販売代理店等との取引関係について
当社は、「スマレジ」のユーザー確保及び事業拡大を図るに当たって、国内の企業を「スマレジ」の販売代理店として販売代理契約を締結し、販売促進に向けた協業を行っております。販売代理店には、取次店、代理店及び販売店が存在しており、本書提出日現在での販売代理店数は約450社となっております。
販売代理店と当社との関係は良好でありますが、今後取引の継続が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 物流業務の外部委託について
当社は、商品の保管、入出庫等に係る業務を株式会社マキシマム・アンド・アドバンテージへ委託しております。同社とは通信回線にてデータの授受を行っており、何らかのシステム障害にて通信回線が不能となった場合、入出荷業務に影響を及ぼす可能性があります。また地震やその他不可抗力等、仮に何らかの理由により同社からのサービスの提供の中断・停止が生じた場合、または同社との基本契約が終了し、もしくは変更され、当社がこれに適切な対応ができない場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 在庫リスクについて
当社は、市場動向を注視し、顧客需要の変動に合わせた商品の仕入を行っており、急激な変動への対応を行うとともに余剰在庫の発生を抑制するよう努めておりますが、経済状況や市場動向の急激な変化により、需要が予想を大幅に下回る事態となった場合には、在庫が余剰となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 売掛金回収リスクについて
当社は、取引先各社との売掛取引に際しては、十分な与信管理の下で販売を行っておりますが、予期せぬ取引先の倒産等により貸倒れが発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は提供するサービスに係る利用料金について、クレジットカード決済及び銀行口座振替を利用できるようになっており、一部の決済代行会社に売掛金残高が集中する傾向があります。したがって、相手先のシステム不良等、何らかの事情によりサービス利用料金の決済に支障が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 技術革新及び新規サービスへの対応
クラウドサービス事業では、「スマレジ」の既存機能の向上や追加及びユーザーのニーズに合わせた継続的な商品開発を行っておりますが、技術革新や他社における既存のサービスを上回る新規サービスの出現があり、それらに対応若しくは差別化を図ることが困難な場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ インターネット広告に伴う検索エンジンに係るリスク
当社は主に、ウェブサイトを中心に集客活動(アカウント作成、問い合わせ、ショールーム予約等)を行っており、SEO対策(検索エンジン対策)やインターネット広告によりウェブサイトへの来訪者を増やすよう努めております。現在当社のSEO対策が功を奏しておりますが、検索エンジンやインターネット広告事業者等の何らかの問題により、検索結果順位の低下等が発生した場合や、インターネット広告による費用対効果が悪化した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 投資活動に関するリスク
当社は成長戦略の一環として、「スマレジ」の強化及びスタートアップ企業の育成・支援を目的として「スマレジ・ベンチャーズ」の運営を行っております。投資等の対象としては、店舗向けソリューション全般を対象としており、IT関連で当社との事業シナジーが見込まれる企業に投資しております。投資に関しては、投資リスク等を勘案したうえで決定しておりますが、投資先の経営環境・前提条件の変化等により投資先の財政状態及び経営成績が悪化した場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、投資等に伴い計上される資産については、今後の事業計画との乖離や市場の変化等によって、期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合、減損損失を計上する可能性があります。
(2) 事業環境に関するリスク
① インターネット関連市場について
当社のクラウドサービス事業は、インターネットを介して商品を販売し、また「スマレジ」自体がインターネットの活用を前提としていることから、ブロードバンド環境の普及によりインターネット利用環境が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。
今後モバイルとPCの両面でより安価で快適にインターネットを利用できる環境が整い、情報通信や商業利用を含むインターネット関連市場は拡大するものと見込んでおりますが、仮に新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改訂を含む通信事業者の動向など、予期せぬ要因によりインターネット関連市場の発展が阻害される場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 景気変動・顧客動向に関するリスク
当社は様々な業界にクラウドサービスの提供及びレジ周辺機器等の販売を行っておりますが、景気の変動により、顧客企業の倒産、新規出店の減少や店舗の閉鎖、また、インターネット関連市場の拡大に伴い、顧客の動向が変化し小売店等の衰退が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は決済サービスの強化に取り組んでおります。電子決済市場は需要の高まりやEC市場の拡大に伴い順調に成長しておりますが、景気動向等を要因とした経済活動の縮小に伴う決済額や加盟店舗の減少等が起きた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 他社との競合について
当社は、クラウドサービス事業を主たる事業として展開しておりますが、当該分野においては参入障壁が低く、多くの企業が事業展開をしております。当社は、適切なユーザビリティを追求したサービスの提供、ユーザーの要望や常に最適な利用目的をかなえるための機能の改善や追加、更にはカスタマーサポートの充実等に取り組み、競争力の向上を図っております。また、決済サービスに関しても、複数の競合他社が存在しておりますが、「スマレジ」との連携により、包括的なサービス提供と品質管理の徹底に取り組んでおり、今後もスピーディーな事業展開と、開発体制の強化を進めていくことで他社との差別化を図ってまいります。
しかしながら、当社と同様のサービスを提供する他社との競争激化や、充分な差別化を図れなかった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) システムに関するリスクについて
① クラウドによるサービスの提供について
当社は、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。
当社の提供する「スマレジ」は、外部クラウドサーバー(Amazon Web Services、以下「AWS」といいます。)にてユーザーの企業情報及び個人情報をはじめとする情報や、「スマレジ」に関するシステムの全てを一括で管理することによってサービスを提供しており、AWSの安定的な稼働が当社の業務遂行上必要不可欠な事項となっております。そのため、当社ではAWSが継続的に稼働しているかを監視するために、当該監視業務を外部委託しており、障害が発生した場合には当社の役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。
また、AWSは、世界中に点在する複数の地理的リージョン(注1)及びアベイラビリティゾーン(注2)で運用されており、FISC安全対策基準(注3)を満たす安全性を備えております。さらに、社内では「スマレジ」システムの操作権限者の制限、ウィルス対策等、様々な危機対策を講じて運用を行っております。
しかしながら、AWSの不備や人為的な破壊行為、役職員の過誤、自然災害等、当社の想定していない事象の発生によるサービスの停止により収益機会の逸失等を招く恐れがあります。
このような事態が発生した場合には当社が社会的信用を失うこと等が想定され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② AWSの契約について
前述のAWSは、AWSのコンサルティングパートナーであるクラスメソッド株式会社との契約により、利用をしておりますが、何らかの理由により、同社との利用に関する契約の解消や、契約内容の重大な部分に変更があり、「スマレジ」の提供に困難が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 品質管理
「スマレジ」の提供にあたっては、自社サービスの提供のほか、他社システムとの連携によって業績及び認知の向上を図っております。システムの安定稼働のため、社内でのテスト運用をはじめとする品質管理を行っており、運用の安全性を確保していますが、万が一、想定していない範囲での作動により、「スマレジ」の稼働に問題を生じた場合や、他社システムとの連携に支障が生じた場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制及び知的財産等に関するリスクについて
① 法的規制等について
クラウドサービス事業は、電気通信事業法及び個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」といいます。)等の規制を受けております。当社では、顧問弁護士等を通じて新たな規制の情報を直ちに入手し対応するための体制を整えておりますが、今後、新たに当社のクラウドサービス事業に関する規制等の制定等又は改正が実施された場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産について
当社による第三者の知的財産権侵害の可能性については、専門家と連携を取り可能な範囲で調査対応を行っておりますが、当社の事業に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産等を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償請求や使用差止請求等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は特許権、商標権等の知的財産権を所有しており、第三者から侵害されないよう保護に努めておりますが、第三者による当社の権利に対する侵害等により、企業・ブランドイメージの低下、商品開発への悪影響等を招いた場合や、その対応のために多額の費用が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 情報管理体制について
当社は、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。また、当社は2018年11月にプライバシーマークを取得し、以後2年毎に登録を更新しており、従業員への教育、アクセス権限の設定、アクセスログの管理等、情報漏洩のリスクの回避を図っております。このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5) 事業体制について
① 特定人物への依存について
当社の取締役会長山本博士は、開発者としての経験からインターネットサービスの企画運用に至るまで豊富な経験と知識を有し、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。何らかの理由により山本博士が経営執行を継続することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があると考え、当社では、取締役会等において役員及び社員への権限委譲や情報共有を進めるなど組織体制の強化を図りながら、山本博士に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりました。
そして、この度、今後の継続的な成長を目指し、企業集団として次の成長段階に進むため、代表取締役を宮﨑龍平へ交代することといたしました。宮﨑は、2011年に開発者として当社へ入社、近年は自身の担当分野である開発部門のみならず、営業、マーケティング、バックオフィス、CS等へも関与し当社の成長を強く推進してきました。
なお、代表取締役の山本博士は、当社の取締役会長に就任し、引き続き当社事業の成長に寄与する所存であります。
新たな経営体制のもと、2025年4月期は売上高106億を目指し、当社のさらなる成長に邁進してまいります。
② 人材の確保・育成について
当社は、当社の持続的な成長のために、継続的に優秀な人材を確保することが必須であると認識しております。当社の競争力向上にあたっては、それぞれの部門について高い専門性を有する人材が要求されることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を確保し、人材育成に積極的に努めていく方針であります。また当社は、優秀な技術者を確保することがビジネスにおける重要課題であり、海外企業へのソフトウエア開発の外注といったオフショア等も視野に入れながら人員の確保に努めております。しかしながら、優秀な人材の確保が困難となった場合や人材育成が計画通りに進まなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 内部管理体制について
当社は、未だ成長途上にあると考えており、今後の事業及び経営成績を予測する上で必要な経験等が十分に蓄積されていないものと考えております。このため、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しておりますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合は、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(6) その他
① 訴訟などに関するリスク
当社は、クラウドサービス事業、機器販売事業等を行っておりますが、将来何らかの事由の発生により、訴訟提起を受ける可能性があります。その訴訟の内容及び結果によっては当社の事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
② 配当政策について
当社では、利益配分につきましては、経営成績及び財務状態を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。しかしながら、当社は成長過程にあるため、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先し、創業以来無配としてまいりました。
現在におきましても、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
(注1)地理的リージョン
地理的に独立したサーバーの設置エリアのことをいいます。各リージョン同士は完全に独立しているため1つのリージョンで障害が発生しても他のリージョンには影響が出ない設計となっております。
(注2)アベイラビリティゾーン
リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称のことをいいます。
(注3)FISC安全対策基準
金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準のことをいいます。
配当政策
3 【配当政策】
当社では、利益配分につきましては、経営成績及び財政状態を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。また、当社は会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定めております。
しかしながら、当社は成長過程にあるため、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先し、創業以来無配としてまいりました。
当事業年度においても、引き続き当社が成長過程にあると認識していることから、今後の事業拡大のための新規投資等に資金を充当するため、内部留保の確保を優先し、無配とさせていただきます。
なお、当社は会社法第454条第5項の規定に基づき、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。