2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社グループでは、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性に応じて「特に重要なリスク」と「重要なリスク」に分類しております。

「特に重要なリスク」については予兆から顕在化まで3か月を待たず急速に悪化し、顕在化した場合、経常利益の1/3を超える損失を発生させると想定されるリスクとして定義しており、それ以外で重要と判断されるリスクについて「重要リスク」と位置付け、リスクマネジメントを推進しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
 

(1) グループ全体

(特に重要なリスク)
① 大規模災害や事故、重大な感染症等に関するリスク

当社グループは、複数の事業拠点を使用し事業運営を行っております。事業継続計画の一環として大規模災害等に関するリスクに対応するため、基幹業務、業務コミュニケーションツールについて安全なデータセンターを基盤とするクラウドサービスの利用を促進するとともに、働き方改革の側面からもリモートワーク環境の整備を推進し、リモートでの業務遂行を可能とする対応を実施してきました。そのため、今回の「新型コロナ問題」発生においてはスムースにリモートワーク体制に移行ができております。さらにオフィスにおける感染予防策、役職員の毎日の健康状態の確認等の対応を速やかに実施しました。

しかしながら、今回のような重大な感染症が急速に進んだ場合には、役職員の長期離脱や各事業拠点の閉鎖等の影響も想定されます。また地震や気候変動等に起因する自然災害や予期せぬ事故の発生も、当社グループあるいは取引先企業の重要な設備や事業拠点に影響を与えるだけでなくサプライチェーンにも重大な影響を与えることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このため、従前以上のリモートにおける生産性向上の施策(コラボレーションツールの適用推進、作業業務管理の改善等)を推進してまいります。

② 経営陣への依存に関するリスク

当社グループの戦略決定及び事業運営は、現在の経営陣による討議の結果、意思決定され、運営されております。しかしながら、当該経営陣が当社グループの事業から離脱する事象が発生し、代替的人材を迅速に確保することができない又は同水準のコストで確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このため、経営人材の育成と確保が最重要課題と認識し推進しております。

 

(重要なリスク)

① 新規事業、新規サービスに対するリスク

当社グループでは、暮らしセグメントにおいて、従前よりgoodroom residence、goodoffice、ワークラウンジ等をサブリース、不動産信託受益物件のマスターリース、不動産取得等を行った上で事業を強化してきました。新規開設にあたりましては事業計画に基づき適切なロケーションと価格帯で提供し、開設後は定期的に評価を実施しております。また今後はITセグメントにおいてもRedxサービスビジネスを中心に投資を伴うサービス開発を事業計画の妥当性を十分に検討した上で、積極的に推進していきます。

しかしながら、当初想定した販売計画、収益計画と実績が大きく乖離し投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

② 人材の確保について

当社グループは、経営課題の克服及び今後の事業発展のためには、優秀な人材が必要不可欠であると認識しております。したがって、人事制度の充実を図り、役職員一人ひとりが、多様なキャリア形成や組織力向上に貢献することを意識し、個人や組織の目標達成が事業発展につながるよう、当社グループの経営理念や経営方針等を理解した社員の育成に努めるとともに、優秀な人材を採用する方針であります。しかしながら、当社グループの求める人材が十分に確保できなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

③ システム障害について

社会のデジタル化が進む中、企業においてもDXとデータの利活用による生産性の向上や社会課題の解決が期待されています。一方で、サイバー攻撃の脅威が急速に高まっており、その対策が脆弱であった場合、個人情報の漏洩や、サーバーダウンなどによる事業停止を引き起こす可能性があります。

当社グループでは、システム及び運営するWEBサイト等におきまして、ウィルス対策等セキュリティ対策やシステムの冗長化、監視を実施し、安定的に運用できるように対策を講じております。しかしながら、ITインフラ機器の障害、コンピュータウイルスへの感染、その他不測の事態が生じることにより、システムトラブルが発生した場合には、当社グループのブランドイメージの低下等、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 個人情報を含めた情報管理

当社グループでは、事業活動を通じて個人情報等の秘密情報を取り扱う場合があります。当社グループにおいては、「個人情報の保護に関する法律」に基づき、社内規程の整備、管理体制の構築、外部からの侵入防止対策の実施等を講じるとともにグループ全体でPマークを取得しており、今後ISO/IEC 27001に準拠したISMS 認証(情報セキュリティマネジメントシステム)及びISO/IEC 27017に準拠したISMSクラウドセキュリティ認証の取得を予定しております。

ます。また定期的な研修を通じた人的対策を実施することで情報漏洩と不正使用を未然に防止するように努めております。しかしながら、これらの情報が漏洩した場合、当社グループの社会的信用の失墜、多額の賠償責任、及び法的罰則等により経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、役職員の士気向上や優秀な人材の確保等を目的として、新株予約権を付与しております。2024年3月期連結会計年度末日現在、新株予約権による潜在株式数は1,203,600株であり、発行済株式総数6,775,920株(自己株式32株を含む)に対する割合は17.8%となっております。これらの新株予約権が行使された場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(2) ITセグメント

(特に重要なリスク)

グループ全体に記載したものを除き、特に重要なリスクに該当する事項はございません。

 

(重要なリスク)

グループ全体に記載したもの以外は以下のとおりです。

① 不採算プロジェクトに関するリスク

不採算プロジェクトが発生する要因としては、お客様主導による要件定義又は仕様決めにより意見集約が進まず仕様が二転三転し、それによる工数の増加やプロジェクトの期間の延長等があげられると考えております。

当社グループでは、当社グループ主導で要件定義や仕様決めの方針を出すことで、お客様の真の目的に合致させ、お客様都合によるリスクを減らす取り組みを行っております。また、お客様主導で要件定義や仕様決めがなされるプロジェクト等については契約の在り方を工夫するなど、商談発生時からプロジェクトの進行を通じてリスク管理を行い、納期遅延や不採算プロジェクトの発生を抑制しております。

しかしながら、新規の顧客、あるいは新規の業務や技術への挑戦において、契約条件の不備、当初想定見積りの誤り、プロジェクト管理や体制の不備、技術検証の不足等によって、納期遅延や遅延にともなう遅延損害金や、大幅な工数超過となる不採算プロジェクトが発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

② 事業環境の変化に伴う当社グループの競争力低下

IT技術の進化とともに開発手法、データの持ち方、言語、ネットの活用方法等様々な面での技術革新が進展しております。当社グループでは重要な技術要素に関して社内外の技術教育を実施し全体の技術スキルの底上げを実施しております。しかしながら、急速な事業環境の変化に十分な対応ができなかったこと等により当社グループの競争力が低下した場合には、当社グループの事業戦略、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 景気動向及び市場環境の変化による影響

顧客企業を取り巻く事業環境の変化、経営効率化などの動きにより、顧客の情報関連に対する投資抑制策等の影響を受けることが想定されます。

当社グループでは、当社側から率先して変化を先取りした付加価値の高い顧客提案や対応可能な業種を増やす等の対応を実施しております。しかしながら、経済情勢の急速な変化に伴い顧客企業の経営環境がIT投資ができない程悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

「新型コロナ問題」による顧客の経営環境に及ぼす影響による投資抑制等も当事項に該当します。

④ 法的規制について

民法、労働者派遣法、下請法、職業安定法、労働基準法等の労働関連法令等々、多数の法的規制を受けております。当社グループでは、各種法令を遵守するとともに関係する法令の改定及び新規制定等の状況を注視し事業活動を推進しております。しかしながら、何らかの理由により関連法令等の規制が順守できず、監督官庁から処分を受けた場合や、これらの法的規制の大幅な変更があった場合等には、当社グループの事業活動に支障をきたし、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 必要な外注先がタイムリーに確保できない場合のリスク

ソフトウェア開発を一部外注しており、外注業者の選定にあたっては、優先的に当社グループからの発注を受ける「戦略的パートナー」を確立するための活動を行う等、外注先確保に注力をしております。しかしながら、外注先の人員確保が予定通りにならない場合や、外注先の倒産等予期せぬ事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 競合のリスクについて

ITセグメントの事業では、同業者が多く、厳しい競合状態にあります。当社グループでは、「お客様と良好な関係作り」と「必要不可欠な存在」をスローガンとして掲げ、個々のお客様に適合したサービスをモデル化し提供すること等により差別化を図っております。しかしながら、他業種から価格競争力のある積極的な参入等があった場合には、収益や利益率の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 暮らしセグメント

(特に重要なリスク)
① 法的規制について

暮らしセグメントの事業は、不動産業及び建設業に属し、宅地建物取引業法、建設業法、旅行業法、食品衛生法、公衆浴場法、景品表示法及び関連する法令等々、多数の法的規制を受けております。万一、何らかの理由により関連法令等の規制が遵守できず、監督官庁から処分を受けた場合や、これらの法的規制の大幅な変更があった場合等には、当社グループの事業活動に支障をきたし、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、宅地建物取引業免許及び特定建設業許可は、当社グループの主要な事業活動に必須の免許であります。当社グループでは各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集するとともに、法令遵守を徹底しており、現時点において、当該免許及び許認可等が取消となる事由は発生しておりません。当社グループでは、引き続きリスクマネジメント活動の強化を重点テーマの一つとして掲げ、各種法令への遵守に向けた社員教育及び体制整備に努めております。

許認可等
 の名称

有効期限

許認可等
 の番号

規制法令

取消事由等

宅地建物
取引業免許

2022年12月19日
 から5年間

国土交通大臣(2) 第9285号

宅地建物取引業法

不正な手段による免許の取得もしくは役員等の欠格条項違反に該当した場合等は免許の取消

(宅地建物取引業法第66条等)

特定建設業許可

2021年11月25日
 から5年間

東京都知事許可

(特-3)

第154585号

建設業法

一般建設業に5年以上の経験を有する常勤役員もしくは同等以上の能力を有する常勤役員がいなくなった場合等は許可の取消

(建設業法第29条)

 

 

(重要なリスク)

グループ全体に記載したもの以外は以下のとおりです。

① 景気動向及び市場環境の変化による影響

建設・不動産市場の動向や行動様式の変化、他業種からの参入等、業界動向の調査・分析を実施しております。しかしながら、今回の「新型コロナ問題」のように建設・不動産市場の急激な縮小や行動様式の急激な変化、競争環境の激化など不測の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

② 建築等外部委託業者の活用に伴うリスク及び外注費、原材料の価格高騰のリスク

リノベーションビジネスで提供するサービス等においては、当社グループがサービスの開発、マーケティング及びコンセプト策定等を行う一方、設計・建築工事業務等については、設計・施工等の能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、外注を活用する場合があります。外注業者の選定及び管理については、協力業者としての基準を設定の上、契約し、安全・品質管理の徹底等に十分に留意しております。また、お客様にとって魅力ある価格帯で提供するため、外注先・資材の仕入れ先を複数確保し、価格の抑制に努めております。

しかしながら、当該外注先の人材・品質・マネジメントに対する当社グループのコントロールが十分機能せずトラブルが発生した場合や外注先からの値上げ要請、資材の需要増加及び為替の変動等により価格が高騰した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 必要な外注先がタイムリーに確保できない場合や資材がタイムリーに調達できない場合のリスク

リノベーションビジネスにおいては、設計・建築工事業務等については、一部外注を活用しており、安定的に施工が実施できるように外注先確保に注力しております。しかしながら、外注先の人員確保が予定通りにならない場合や、外注先の倒産等予期せぬ事態が生じた際に代替となる外注業者の人員確保ができない場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、資材に関しましては海外生産品の調達などサプライチェーンに対するグローバルリスクがあり、代替となる資材や複数の調達経路の確保ができない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。このため、調達経路の複数化や重要資材の早期の確認と確保等をさらに推進してまいります。

④ 工事施工等のリスク

リノベーションビジネスでは、品質管理工程を入れて、設計、施工した物件について不具合が生じないよう担保しております。しかしながら、リノベーション実施前の物件自体に想定していなかった欠陥や問題点があった場合や顧客との施行要件の食い違い、仕入れた部材の欠陥など重大な契約不適合責任があった場合には、完成後であっても再度施工を実施し直すことになり、外注先への追加費用、部材の追加費用及び訴訟費用等が発生し、また完成工事補償引当金を計上するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 競合のリスクについて

暮らしセグメントの事業は、リノベーションあるいは仲介を専門に行っている同業者が多く、それぞれ単体では厳しい競合状態にあります。当社グループでは、リノベーションビジネス及び運営サービスビジネスの各ビジネスの連携で、リノベーションから客付けまでを一連で行うことにより競争力を発揮し、同業者との差別化を図っております。しかしながら、今後当社グループのサービスを上回る付加価値を生み出す競合先が出現した場合には、収益や利益率の低下等により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

⑥ 季節変動について

リノベーションビジネスにつきまして、売上高が下半期に集中する傾向があります。これは、取引先の決算期及び賃貸物件の需要状況に合わせた市場投入を行っていることによるものであります。また、運営サービスビジネスにおいても同様に、新生活シーズンにともない下半期に売上高が集中する傾向にあります。

売上高が下期に集中しておりますため、想定外の事象の発生により下半期の業績が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

株主の皆さまへの利益還元を重要な経営課題であると認識しております。当社は、内部留保を充実させ経営基盤の強化と事業拡大のための投資を優先し、更なる企業価値の向上を目指すことが、株主の皆さまに対する最大の利益還元につながると考えております。

2024年3月期の状況を踏まえ、内部留保の充実を図り事業拡大のための投資を優先しつつも株主の皆さまへの利益還元が可能との判断に至り、2024年3月期の年間配当金は1株当たり3円といたしました。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。また、配当の決定機関につきましては、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行う旨を定款で定めております。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年5月15日

20,327

3

取締役会決議