2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    611名(単体) 1,155名(連結)
  • 平均年齢
    41.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.6年(単体)
  • 平均年収
    8,054,710円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    9.8%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

① 人材戦略に関する基本方針等

当社グループは、「産業を通じて、国家・社会に貢献する」という社是のもと、社会課題の解決と事業成長の両立を図ることで、持続的な企業価値の向上を目指しています。その実現に向けた指針として、中期経営計画「SMART 2030」を掲げ、「ユニ・トップ」「サステナビリティ」「チャレンジ」を行動の軸に、事業ポートフォリオの高度化と競争力の強化に取り組んでいます。これらの経営戦略を支える基盤が人的資本であり、当社は人財を付加価値創出の源泉として、最も重要な経営資源の一つに位置付けています。

特に、電子・情報、環境・エネルギー、ライフ・ウェルネスといった注力分野においては、技術力や提案力に基づく差別化が競争優位性の確立に直結することから、専門性と挑戦意欲を兼ね備えた人財の確保・育成が不可欠であると認識しています。

当社の人財戦略は、経営戦略と連動した中長期視点での人財ポートフォリオの最適化を基本方針とし、成長分野への経営資源集中や新製品創出を人財面から支えることを目的としています。具体的には、必要とされる専門人財像を明確化したうえで、キャリア採用や育成施策を通じた人財の量・質の両面での強化を図るとともに、スキルの可視化に基づく適所適材の配置を推進しています。

また、自律的に学び、変化に適応しながら価値を創出できる人財の育成を重視し、教育投資の拡充や、能動的に選択できる学習環境の整備に取り組んでいます。加えて、業務プロセス改革やDXの推進を通じて、付加価値の高い業務へ人財をシフトさせることで、生産性の向上と人財活躍の最大化を同時に実現することを目指しています。

さらに、当社は、挑戦と成果を適切に評価する人事制度を整備し、年功に依存しない処遇や複線型キャリアの考え方を取り入れることで、多様な専門性や志向を持つ人財が中長期にわたり活躍できる環境づくりを進めています。

こうした取組を通じて、社員一人ひとりの成長と会社の成長の好循環を生み出し、人的資本の価値最大化を図ってまいります。

人財戦略の実効性については、労働生産性をはじめとする指標を通じて継続的にモニタリングし、経営戦略との整合性を確認しながら改善を図ります。当社は、人的資本への計画的かつ継続的な投資が、中長期的な成長力および企業価値の向上につながるとの考えのもと、今後も経営戦略と一体となった人財戦略を推進してまいります。

従業員の給与その他の給付の決定に関する方針

当社の賃金・報酬は、担う役割、成果および専門性を基軸として決定しています。等級制度に基づき職務価値を明確化したうえで、業績および個人の貢献度を反映した評価を行い、公正性・透明性の高い処遇を行うことを基本方針としています。昇給や処遇水準の見直しにあたっては、業績動向や労働生産性の改善状況に加え、外部労働市場水準や物価動向等を総合的に勘案し、賃金を短期的なコストではなく、将来の付加価値創出につながる人的資本への戦略的投資として位置付けています。

 

人的資本を基盤としたサステナビリティ経営を推進

中期経営計画「SMART 2030」において、人的資本の強化をサステナビリティ経営の中核に位置づけています。当社は、多様な人財がそれぞれの能力を発揮し、安心して働き続けられる環境づくりを強化することで、企業の成長と持続可能な社会の実現に貢献していきます。2016年に「社員活躍推進委員会」を設置し、社員が働きやすい環境づくりとエンゲージメント向上に取り組んできました。2024年12月の社内調査でキャリア形成の課題が判明したため、若手や育児・介護を両立する社員など多様なテーマ別の対話の場を今後も継続していきます。また、デジタル社内報によるコミュニティ形成で孤立感解消や心理的安全性向上を図り、誰もが安心して働ける職場を整備しています。これらの取り組みや意識調査を通じて、挑戦したいと思える組織風土を醸成し、人的資本への投資で多様な人財の活躍と企業価値の向上、持続可能な社会の実現をめざします。

 

(2)【従業員の状況】

① 連結会社の状況

 

2026年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

電子・情報

1,155

(277)

環境・エネルギー

ライフ・ウェルネス

コア・マテリアル

合計

1,155

(277)

 (注)1.従業員数は、就業人員(当社及び連結子会社から社外への出向者を除く)です。

2.臨時雇用者数は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。

3.当社グループの従業員は同一の従業員が複数のセグメントに従事しているため、合計で記載しています。

 

② 提出会社の状況

 

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

611

(214)

41.4

15.6

8,054,710

9.8

 

セグメントの名称

従業員数(人)

電子・情報

611

(214)

環境・エネルギー

ライフ・ウェルネス

コア・マテリアル

合計

611

(214)

 (注)1.従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者を除く)です。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3.臨時雇用者数は、( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。

4.当社の従業員は同一の従業員が複数のセグメントに従事しているため、合計で記載しています。

③ 労働組合の状況

 当社グループの労働組合は、第一工業製薬労働組合と称し、2026年3月末の組合員数は、539人で化学一般労働組合連合に加盟しています。

 なお、労使関係は良好です。

 

 

④ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

提出会社

当事業年度

管理的地位にある労働者

に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の

育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

9.7

73.3

72.7

74.1

53.6

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

⑤ 使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度の内容

当社は、使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度を導入しています。当該役員・従業員株式所有制度の内容については、「1 株式等の状況 (8)役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社が有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいているため、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ

 当社グループは、化学メーカーとして117年の歴史で培ったコア技術と幅広い経験を基に、SDGs及び国連グローバル・コンパクトの定める4分野10原則に取り組みます。当社が社会的課題の解決に貢献できるテーマをSDGsと紐づけ、③すべての人に健康と福祉を、⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに、⑨産業と技術革新の基盤をつくろう、⑫つくる責任つかう責任、⑰パートナーシップで目標を達成しようの5項目を、特に注力すべきものとして抽出しました。

 これらの注力すべき社会的課題に対処するためにサステナビリティ委員会を設置し、取り組みを加速させています。中期経営計画「SMART 2030」では、ステークホルダーエンゲージメントやESG・サステナビリティ戦略の促進などの非財務戦略を、2030年に向けた成長戦略として掲げています。

 当社のESG基本方針に則り、ESGに関する重要課題と向き合い、人々の環境や暮らしを守り、安全・快適性を高めるため、「こたえる、化学。」を追求し、持続可能な社会の構築に貢献します。

 

<サステナビリティ(ESG)基本方針>

第一工業製薬グループは、ESGに関する重要課題と向き合い、人々の環境や暮らしを守り、安全・快適性を高めるため、「こたえる、化学。」を追求し、持続可能な社会の構築への貢献を目指します。

 

① ガバナンス

 当社は、サステナビリティ推進のための中核組織として、サステナビリティを担当する取締役を委員長とし、全社横断的なメンバーで構成される「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会は、毎月1回以上開催し、サステナブル環境推進WG、人権・社会価値推進WG、ガバナンス・リスク管理WG、環境貢献型製品WG、グループ会社ESGWGの各ワーキンググループにおいて、サステナビリティに関する基本方針や目標の策定、マテリアリティの特定と分析、活動の推進や進捗確認を行っています。

 サステナビリティ委員会の検討内容は、経営会議メンバーで構成される「サステナビリティ会議」に定期的に報告され、方針の決定、上程事項の審議および意思決定、進捗確認を行っています。また、年1回以上、取締役会への答申・進捗報告が行われ、戦略や目標の最終的な意思決定、経営戦略への統合など監督が図られる仕組みとなっています。

 

 

② 戦略

 当社は、昨年度よりスタートした中期経営計画「SMART 2030」では、「ユニ・トップ」、「サステナビリティ」、「チャレンジ」の3つをキーワードとし、人的資本を含む無形資産の最大化と企業の成長を連動させる変革実行を目指す理念としています。

 また、サステナビリティ基本方針の実践として以下の5つの個別戦略を掲げています。

 

<5つの個別戦略>

「カーボンニュートラル」:2050年カーボンニュートラルに向けてGHG排出量削減の取り組みを加速

「環境貢献型製品の拡大」:顧客の環境課題解決に貢献する製品の開発と提供

「人権の尊重」:企業が求められる人権尊重の責任を果たし、持続可能な社会の実現への寄与

「人的資本の強化」:戦略的人財投資による人財の価値最大化を図り、長期的な成長と企業価値向上の実現

「ガバナンスの深化」:社外役員による監督強化と成長支援による公正で透明な経営体制の確保

 当社のマテリアリティをサステナビリティアクションプランに落とし込み、経営計画の方針に基づき推進する成長戦略や事業投資を通じて、課題解決につなげていきたいと考えています。

 

③リスク管理

 当社は、グループ全体のリスクマネジメントを実施するために、担当する執行役員を委員長とし、各部門および関係会社の代表者で構成されるリスクマネジメント統制委員会を定期的に開催して計画的に活動を進めています。リスクマネジメント統制委員会では、事業目的の達成を阻害する恐れのあるリスクを適切なレベルまで低減することを目的として、リスク管理システムに基づいてPDCAサイクルを回しています。定期的および都度、新たなリスクの洗い出しを行い、リスクの特定、分析、評価を行っています。特定されたリスクは、影響度と発生頻度でリスクマトリクスを作成し、重要度をランク分けしています。重要度の高いリスクは、委員会の管理リスクとして、リスク対応担当者を決定し、対策の計画や進捗状況のモニタリング、レビューを実施しています。

 なお、サステナビリティに関する現状想定されるリスクとして、環境および人権問題への対応不備や遅れによる事業活動の制限、海外生産拠点における水ストレスの悪化、カーボンプライシング政策の導入によるコストの増加等が考えられますが、リスクへの対応を機会と捉え、グリーン・トランスフォーメーション戦略に基づく取組みの展開や「国連グローバル・コンパクトの4分野10原則」に基づく取組み等を計画に沿って実施しています。

 

④指標及び目標

 当社は、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、2030年度までに当社グループの国内拠点におけるGHG排出量(Scope1及びScope2)を2013年度比で30%削減する目標を設定しています。主要な対策として、省エネを推進するとともに、再エネ由来の電力の調達や太陽光発電の導入を進めていきます。

 また、持続的な成長を支える重要な基盤として、研究開発活動を推進しています。事業環境の変化に迅速に対応し、社会のニーズに応える製品・サービスを創出し続けるため、新製品化率25%以上を目標として設定し、中長期的な事業の継続性と収益性の向上に努めます。

 人的資本については、労働生産性の向上を重要課題として位置づけ、人財の価値最大化を図るべく、人財育成目標や健康経営目標を設定し、戦略的投資を積極的に行っています。各目標に関する主要な指標(KPI)の進捗状況については、後述の(3)人的資本「④ 指標及び目標」をご参照ください。

 

項目

注記

目標(2030年度)

GHG排出量削減(対2013年)

 

30%削減

新製品化率(単体)

(注)1

25%以上

労働生産性(単体)

(注)2

9.7百万円/人以上

(注)1.過去3年間に製品化した製品の売上高を、売上高の総額で割ったものです。

2.営業利益を従業員数で割った、一人あたりの営業利益を指します。

 

(2)気候変動

 当社は、気候変動関連のリスクおよび機会が経営上の重要課題であるという認識のもと、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しています。気候変動が当社の事業活動に与える影響などについて情報開示を進め、サプライチェーン全体で脱炭素社会の実現に取り組むことで持続可能な社会をめざします。

 

① ガバナンス

 サステナビリティ委員会では、気候変動への対応に関する基本方針や目標の策定、マテリアリティの特定と分析、活動の推進や進捗確認を行っています。また、年1回、気候変動に関するシナリオ分析の見直しを行い、その結果を踏まえて、当社の対応策を審議・決定するとともに、サステナビリティ会議および取締役会へ報告することで、経営戦略への統合など監督が適切に図られる体制を整えています。

 

② 戦略

 気候変動がもたらすリスクや機会が当社の事業に与える影響をシナリオ分析で評価しています。シナリオ分析は、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表する気候変動シナリオを参照し、移行リスクは国の政策が強化されることを想定して1.5℃/2℃未満シナリオ、物理リスクは災害が激甚化することを想定して4℃シナリオを用いています。リスクや機会の影響が顕在化する時間軸において、事業や財務へ及ぼす影響を定量的に評価し、当社としての対応策を立案して、事業戦略のレジリエンスを強化しています。

 シナリオ分析の結果、カーボンプライシング導入などの政策リスクの影響が大きく、特に炭素税導入による原料への価格転嫁の影響が大きくなると予測しています。また、物理リスクとしての自然災害の激甚化による工場への影響は中長期的に高まると予測しています。その一方で、環境への意識の高まりにより、環境負荷の少ない製品の需要が増加すると予測され、当社が持つ製品や技術は、気候変動対策に取り組む新たな市場ニーズを捉え、当社の事業拡大の機会になると考えています。製造工程の短縮による省エネルギー化に貢献できる製品や、温暖化を防ぐためのクリーンエネルギー実現に貢献する製品など、気候変動問題を解決するための研究開発に取り組み、市場の求めるニーズに応えていきます。

 

<気候変動に関するシナリオ分析>

 

③ リスク管理

 当社は、グループ全体のリスクマネジメントを実施するために、担当する執行役員を委員長とし、各部門および関係会社の代表者で構成されるリスクマネジメント統制委員会を設置し、事業目的の達成を阻害する恐れのあるリスクを適切なレベルまで低減するための活動を行っています。気候変動に関するリスクは、グループ全体のリスク管理システムに統合され、重要度の高いリスクは、委員会の管理リスクとして、リスク対応担当者を決定し、対策の計画や進捗状況のモニタリング、レビューを実施しています。

 

④ 指標及び目標

 当社は、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、2030年度までに当社グループ国内全体でGHG排出量(Scope1、Scope2)を2013年度比で30%削減することを目標としています。また、新たな長期目標として2035年度までに2013年度比で45%削減する目標を設定しました。当連結会計年度は、四日市工場および大潟工場での蒸留塔の運転条件の見直しにより、エネルギー使用の効率化を推進しました。GHG排出量(Scope1、Scope2)は、2013年度比で16.0%削減となりました。省エネの推進に加えて、再生可能エネルギーの利用を拡大し、GHG排出量を削減していきます。

 また、当社単体を対象としてScope3排出量(カテゴリ1~7)の算定を行っています。2025年度の結果についてはDKSレポート2026で公表する予定です。今後、算定範囲は単体からグループ全体に拡大し、Scope3の下流カテゴリの算定を進めていきます。

 

<Scope1、Scope2(国内グループ)>

 

2023年度

実績

2024年度

実績

2025年度

実績

2030年度

目標

GHG排出量削減(対2013年)

22.9%

16.4%

16.0%

30%

GHG排出量(千t-CO2)

39.9

43.3

43.4

36.2

 

<GHG排出量の実績(単体)>

                           (単位:千t-CO2e)

Scope/カテゴリ

2023年度実績

2024年度実績

Scope1

12.7

14.3

Scope2

11.5

13.2

Scope3

184.0

195.1

カテゴリ1

購入した製品・サービス

158.2

169.2

カテゴリ2

資本財

4.3

6.9

カテゴリ3

Scope1,2に含まれない

燃料およびエネルギー活動

10.3

4.3

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

5.8

6.5

カテゴリ5

事業から出る廃棄物

5.1

8.0

カテゴリ6

出張

0.1

0.1

カテゴリ7

雇用者の通勤

0.2

0.2

 

(3)人的資本

 当社グループは、中期経営計画「SMART 2030」に基づき、人的資本を持続的な企業価値向上および事業成長を支える中核的資源と位置付け、戦略的な投資と高度化を推進しています。社会課題の解決と事業成長の両立を目指す中で、人財を付加価値創出の源泉と捉え、専門性と挑戦意欲を備えた人財の確保・育成を通じて競争優位性の確立を図っています。

 また、人財への投資を通じて従業員一人ひとりの成長と組織成長の好循環を創出するとともに、多様な人財が活躍できる環境整備を推進しています。

 さらに、これらの取り組みは当社グループのサステナビリティ戦略全体と整合的に推進し、人的資本の価値最大化を通じた企業価値の持続的向上とサステナビリティ経営の深化を目指しています。

 

① ガバナンス

 人的資本に関する方針および主要施策については、経営戦略と密接に連動させることが重要であるとの認識のもと、経営会議において定期的に審議を行い、その内容および進捗状況を取締役会に報告しています。取締役会においては、人的資本戦略を中長期的な企業価値向上の重要テーマの一つとして位置付け、経営戦略との整合性や施策の実効性について監督・助言を行っています。

 人財戦略の企画・推進については、人財戦略部が中心となって統括し、経営層と密に連携しながら、各本部と協働して施策の立案、実行および進捗管理を行っています。また、施策の状況や課題については適宜経営層に共有し、必要な見直しや対応を迅速に行う体制を構築しています。

 

② 戦略

 当社グループは、人財を付加価値創出の源泉と捉え、電子・情報、環境・エネルギー、ライフ・ウェルネス、コア・マテリアル分野における競争優位性を支える専門人財の確保・育成に取り組んでいます。

 人財戦略は、経営戦略と連動した中長期視点での人財ポートフォリオの最適化を基本方針とし、キャリア採用

の強化、教育投資の拡充により、人財の量と質の両面から基盤強化を図っています。スキルの可視化に基づく適

所適材の配置を進めるとともに、リスキリングの推進により、環境変化に柔軟に対応しながら価値を創出できる

人財の育成を進めています。

 業務プロセス改革およびDXを推進し、高付加価値業務への人財シフトを進めています。労働生産性を重要指標

として位置付け、教育投資や業務改革の成果を定量的に把握しながら、継続的な改善を図っています。

 また、多様な人財の活躍を促進するため、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進

し、公正・透明性の高い評価・処遇制度の整備を進めています。役割、成果および専門性を基軸とした報酬制度

のもと、挑戦と成果を適切に評価し、多様なキャリア形成を可能とすることで、長期的な人財活躍を支える環境

を整備しています。

 従業員の健康を持続的な企業成長の基盤と捉え、健康経営を推進しています。エンゲージメントの向上や働き

がいのある職場環境の整備を通じて、従業員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる状態の実現を目

指しています。これらの取り組みにより、従業員の成長と組織の成長の好循環を創出しています。

 

<人財戦略>

 

 

③ リスク管理

 当社は、人財戦略を経営戦略と一体で推進するにあたり、人的資本に関するリスクを重要な経営課題として認識し、マテリアリティとの対応関係を明確にしたうえで、その低減および機会創出に向けた取組を行っています。

 具体的には、人財多様化(DE&I)の観点では、価値観やバックグラウンドの画一化による意思決定力の低下や、女性・多様な人財の活躍機会不足をリスクとして認識しています。これに対し、女性管理職登用の推進、多様な専門性や志向を尊重する人事制度の整備、公正性・透明性の高い評価・処遇を通じて、多様な人財が能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。

 人財育成の観点では、成長分野に必要な専門人財の不足や、事業環境の変化に伴うスキルギャップの拡大をリスクとして認識しています。これに対しては、キャリア採用の強化に加え、教育投資の拡充、リスキリング施策の推進、自律的に学び直しが可能な学習環境の整備を通じて、人財の能力向上および中長期的な競争力の確保を図っています。

 また、健康経営の推進の観点では、心身の不調によるパフォーマンス低下や、長期的な人財定着の阻害をリスクとして認識しています。これに対し、働きやすい職場環境の整備や、健康増進施策を通じて、従業員一人ひとりが継続的に高い成果を発揮できる基盤づくりに取り組んでいます。

 さらに、稼ぐ力の観点では、人財が付加価値創出業務に十分にシフトできないことによる労働生産性の伸び悩みをリスクとして認識しています。これに対して、業務プロセス改革やDXの推進を通じて、生産性向上と高付加価値業務への転換を進めるとともに、挑戦と成果を適切に評価する処遇制度の見直しを行い、人財の活躍最大化を図っています。

 これらの取組を通じて、当社は人的資本に関するリスクの低減と価値創出の両立を図り、持続的な成長力および企業価値の向上につなげています。

 

④ 指標及び目標

 当社は、人財戦略の効果および進捗を把握・管理するため、経営戦略およびマテリアリティとの整合性を踏

まえた複数の指標を設定し、継続的にモニタリングしています。

 中でも、稼ぐ力の向上を示す指標として、労働生産性(単体)を重要なKPIの一つに位置付けています。労

働生産性につきましては、「営業利益÷従業員数」により算出し、教育投資や業務プロセス改革、DX推進等に

よる付加価値創出の成果を定量的に把握する指標として活用しています。2030年3月期においては、労働生産

性9.7百万円/人を目標としています。

 また、人財育成の観点から、教育投資額および研修時間を主要な指標として設定しています。計画的な教育

投資を通じて専門性の向上とスキル変革を促進することを目的とし、2030年3月期においては、教育投資100百

万円/年、研修時間20,000時間/年を目標としています。

 さらに、人財多様化(DE&I)の推進状況を把握する指標として、女性管理職比率を設定しています。多様な

視点を経営や組織運営に取り入れることで意思決定の質を高め、持続的な成長につなげることを目的として、

2030年3月期においては、女性管理職比率15%を目標としています。

 加えて、健康経営の推進および人財の持続的活躍を図る観点から、プレゼンティーイズムおよびアブゼンテ

ィーイズム、ならびにワークエンゲージメントを指標として設定しています。心身の健康維持・向上と働きが

いの向上を通じて、生産性および人財定着の強化を図ることを目的とし、2030年3月期においては、プレゼン

ティーイズム5.5%以下、アブゼンティーイズム1.5%以下、ワークエンゲージメント偏差値53.0以上を目標と

しています。

 当社は、これらの指標および目標を通じて、人的資本への投資が中長期的な成長力および企業価値の向上に

つながっているかを継続的に検証し、必要に応じて人財戦略および施策を見直します。

 

 当連結会計年度の人的資本に関する指標は、以下のとおりです。

 

<人財育成・働き方・ダイバーシティに関する項目>

項目

注記

目標(2029年度)

2025年度実績

労働生産性

 

9.7百万円/人

9.2百万円/人

教育投資

 

100百万円/年

28百万円/年

研修時間

 

20,000時間/年

7,224時間/年

DX人財育成プログラム受講者割合

(注)2

75%

63%

該当者に対する月平均選抜研修時間

(注)3

800時間

271時間

新卒3年定着率

(注)4

90%以上

95.5%

月平均時間外労働

(注)5

10時間未満

11.5時間

女性産休復職率

(注)6

100%

100%

育児フルタイム復職率

(注)7

100%

100%

障がい者定着率

(注)8

80%以上

87.5%

  (注)1.人財育成・働き方・ダイバーシティに関する取り組みは連結子会社各社で行われていますが、規模・制度の違いから一律に記載せず、人財の大多数が所属する当社単体について上記は開示しています。

2.全従業員に対するDX人財育成プログラム受講者の割合です。

3.年間選抜研修時間を12で割ったものです。

4.2023年度の新入社員のうち、入社3年後に在籍していた人数の割合です。

5.係長以下の休日出勤を含む月平均時間外労働時間を係長以下の従業員数で割ったものです。

6.女性産休取得者人数のうち、産休取得後に復職した人数の割合です。

7.育児休職者取得者人数のうち、育児休職取得後に復職した人数の割合です。

8.2022~2024年度に入社した障がい者のうち、現在も在籍している人数の割合です。

 

<健康経営(健康・安全)に関する項目>

 当社は、設立の翌年の1919年には全従業員対象に健康診断を始めるなど、従業員の健康管理に対し積極的な企業文化を持っています。2017年には健康宣言「第一工業製薬は、従業員を会社の財産と考え、従業員の健康の維持向上に努めます。」を表明し、健康経営への取り組みを開始しました。具体的な取り組みとして、運動習慣の定着を目的に、定期的なウォーキングイベントや毎朝のラジオ体操と、15時の「DKS体操」を継続的に実施しています。あわせて、体力年齢を測定する体力測定会を実施し、運動への意識向上につなげています。またメンタルヘルス対策にも注力しており、新入社員、新任管理職にはカウンセリングのハードルを下げるために自身で予約し受けてもらう体験カウンセリングを行っています。

 そのような健康経営に関する取り組みが評価され、以下のとおり外部機関からの評価を得ています。

 当社における健康経営の取り組みは、従業員の健康を維持・増進することで会社の生産性の向上をひいては企業価値の向上を目指しています。なお、健康経営の実施は、役員の出席する会議体において結果の報告とそれに基づき策定された計画に承認を得ています。

 

項目

目標(2029年度)

2025年度実績

アブセンティーイズムの低減

1.5%以下

1.4%

プレゼンティーイズムの低減

5.5%以下

8.1%

ワークエンゲージメントの向上

偏差値 53以上

51.4

(ポピュレーションアプローチ)

BMI 25kg/m²以上の者の割合を減らす

20%以下

24.6%

(ハイリスクアプローチ)

40歳以上のメタボリックシンド

ローム予備軍と該当者の割合を減らす

24%以下

27.7%

(メンタルヘルス不調者の発生

予防・早期発見・対応)

メンタルヘルス不調による

休職者の発生率

0.20%以下

0.52%

(注)健康経営に関する取り組みは連結子会社各社で行われていますが、規模・制度の違いから一律に記載せず、人財の大多数が所属する当社単体および国内関係会社(ゲンブ㈱、京都エレックス㈱、第一セラモ㈱、第一建工㈱、池田薬草㈱)を対象としています。なお、四日市合成㈱および㈱バイオコクーン研究所については、独自で取り組んでいるため対象外としています。