リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、以下の記載は、当社株式への投資に関連する全てのリスクを網羅するものではありませんので、ご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)市場動向に係るリスク
当社グループが属するビジネスコミュニケーションプラットフォーム関連の市場は成長を続けており、サービスの導入が進むことによって、今後も高い成長を続けていくことが予想されます。しかしながら、SMS配信サービス市場でいえば、当社グループを含め4社により市場の大半を占めて寡占市場となっています。それゆえ、市場の成長スピードが大きく鈍化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そして、逆に市場の拡大が急速に進んだ場合であっても、当社グループが同様のペースで順調に成長しない可能性があります。さらには、市場が成熟していないため、今後、新規参入等により市場シェアの構成が急激に変化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合他社に係るリスク
当社グループのSmart AI Engagement事業としては、「メッセージングサービス」及び「HR関連サービス」を展開しており、当連結会計年度末において、国内外に競合他社が存在しております。当社グループとしましては、これまで培ってきた技術を生かして、顧客のニーズに合致したサービスの開発を継続して参りますが、競争環境の更なる激化等、競合の状況によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3)取引先に対する依存に係るリスク
①取引先に関するリスク
当社グループの売上高のうち、メッセージングサービスの海外の主要顧客割合が15.0%を占めております。同社の方針変更等により大幅に金額が減少した場合に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②仕入先に関するリスク
SMS配信プラットフォームを運営するに当たり、当社は主要な携帯電話事業者4社と直接接続契約を締結しており、当社グループでは企業から依頼された配信コンテンツを当社システムから携帯電話事業者のSMS配信ルートを利用して、一般ユーザーに配信しております。現在、携帯電話事業者と当社の間の契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、携帯電話事業者の経営方針が変更となった場合、SMS送信単価の引き上げ等が実施された場合、その他何かしらの事情により当社といずれかの携帯電話事業者との契約が継続できなかった場合に、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)技術革新に係るリスク
当社グループが、サービスを提供するAI技術を活用した業界においては新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が頻繁に行われており非常に変化の激しい業界となっております。そのため常に新しい技術要素を取り入れて参りますが、何らかの理由で技術革新への対応が遅れた場合、当社グループが提供するサービスの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のため、予定していないシステムの投資が必要となった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5)システム障害に係るリスク
当社グループの事業は、サービスの基盤をインターネットに依存しているため、自然災害や事故等により通信ネットワークが遮断された場合には、サービスを提供することが不可能となる場合があります。また、アクセスの一時的な増加による負荷増大によって、当社のサーバーが停止し、サービス提供に支障が出る場合があります。
さらには、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によって、当社のシステムに重大な影響が出る場合があります。当社といたしましては、定期的なシステムのバックアップを実施すると共に、外部のデータセンターを利用することでセキュリティ強化や安定的なシステム運用ができるような体制の構築に努めておりますが、前述のような状況が発生した場合には、当社への損害賠償請求等により直接的な損害が生じる可能性の他、当社グループ及び当社システムへの信頼の低下により、間接的に当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材の確保及び育成に係るリスク
当社グループが、今後更なる業容拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保、育成することが重要な課題となります。現在も採用活動による人材の獲得に加え、入社後の社内における研修・育成等、人材の流出に対応した各種施策を推進しております。しかし、人材の採用や社内における人材の育成が計画通りに進まず、適正な人員配置が困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7)顧客情報の管理に係るリスク
当社グループは、提供するサービスに関連して顧客企業の機密情報や個人情報を取扱っております。これらの情報資産を保護するため、プライバシーマーク(有効期限:2024年10月16日)及びISO/IEC 27001:2013(有効期限:2024年8月28日)を取得している他、情報セキュリティに関する方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。しかしながら、このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、個人情報に関する事故等の発生や重大な認証違反があり不適合の是正進捗がない場合は、認証取消となり当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(8)法的規制に係るリスク
①電気通信事業法
当社グループは、電気通信事業者として総務省に届出を行っており、電気通信事業法に基づく通信役務の提供を行っております。今後、これらの法令や規則等の予測不能な変更あるいは新設が各事業の営業成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該法令に基づく命令若しくは処分に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認められた場合、許認可取消を受ける可能性があります。
当社グループは、当該法令の遵守に努めており、当連結会計年度末において、こうした取消事由に該当する事項は生じておりませんが、かかる事態が発生した場合には、当社事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②特定電子メールの送信の適正化等に関する法律
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律は、一時に多数の者に対してなされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることに鑑み、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的としており、SMS配信も対象となっております。
当社グループでは、SMS配信審査の中で法令違反が発生しないように利用目的を事前に確認する等の対応を行っておりますが、万一当社顧客が法令違反をし、業務改善命令や罰則等を受けた場合に当社の業績に影響を与える可能性があります。
(9)知的財産権に係るリスク
当社グループは、運営するサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分注意を払っております。しかしながら、今後当社グループが属する事業分野において第三者の権利侵害が成立した場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払いが発生する可能性があり、また当社グループの知的財産権が侵害された場合においても、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10)自然災害、事故等に係るリスク
当社グループでは、自然災害、事故等に備え、定期的なバックアップ、稼働状況の監視等によりトラブルの事前防止または回避に努めておりますが、当社グループ所在地周辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループ設備の破壊や電力供給の制限等の事業継続に支障を来す事象が発生して、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11)内部管理体制に係るリスク
当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識の下、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しております。
また、小規模組織の当社グループでは特定の人材に過度に依存しないよう組織的な経営体制を整備し、全般的な経営リスクの軽減に努めると共に、管理体制の整備・強化を図っております。しかしながら、管理体制の拡充を上回る速度で拡大した場合、適切な代替要員の不在や人員増強の遅延等により、当社グループの内部管理体制に支障が生ずる可能性があります。
(12)新株予約権の行使による株主価値の希薄化に係るリスク
当社グループは、取締役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブ等を目的として、新株予約権を付与している他、今後も優秀な人材確保のため新株予約権を発行する可能性があります。現在付与されている、または今後付与する新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。当連結会計年度末、これらの新株予約権による潜在株式数は194,090株であり、発行済株式総数4,037,350株の4.81%に相当しております。なお、新株予約権の詳細は、後記「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご参照ください。
(13)訴訟等に係るリスク
当社グループでは、これまでに訴訟は発生しておりません。しかしながら、将来において当社の取締役、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や賠償金額によって、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(14)資本提携及びM&Aに関するリスク
当社グループは、事業規模の拡大や営業基盤の強化による収益性及び競争力向上を目的として、当社グループ
の事業と関連性があり、事象シナジーを見込める企業を対象とした資本業務提携及びM&Aを積極的に実施して参ります。このような活動においては、譲受対価によっては償却費用が増加し、あるいは提携先及び出資先の業績によっては、評価損を計上する等の状況となり、結果として当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&Aにおいては、のれん計上後の経営環境の変動等により、のれんの超過収益力が著しく低下した場合には減損損失が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当該リスクへの対応については、当社グループでは、経営会議及び取締役会において、案件の妥当性及び合理性を慎重に審議し実行し、M&A後のモニタリング状況についても同様の会議体において報告を行い、リスクの把握に努めて参ります。
(15)ソフトウエアの投資に関するリスク
当社グループにおけるソフトウエア投資は、競争力の確保及び維持、収益力向上の観点で重要であり、継続的かつ積極的なソフトウエア投資が重要課題の一つとなっております。当社グループにおいては、ソフトウエアの開発計画の大幅な遅延、開発コストの増加、収益計画の下振れ等により、投資回収が当初計画どおり見込めない場合には減損損失が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、当該リスクへの対応について、経営会議及び取締役会にて案件の妥当性及び合理性等を慎重に審議し投資を行っており、投資実行後も定期的なモニタリングを行い、同様の会議体において報告を行い、減損に関するリスク回避をするように努めております。
(16)CVC投資に関するリスク
当社グループにおけるCVC事業は、コミュニケーション事業領域のスタートアップ企業や女性起業家を中心に投資を展開しております。具体的な投資対象は、当社グループにおける既存事業領域の拡大、新規事業創出に繋がる独自の技術・サービスを持つ国内外のスタートアップ企業が対象となります。従いまして、実質的な財務リターンを求めるというよりは、戦略リターンを重点においた投資を行っております。
投資に際しては、当社グループが定める投資ルールに基づく投資・運用プロセスに従い、投資検討時は詳細なデューデリジェンス、投資実施後は事業進捗に対する定期的にモニタリング等を徹底し、可能な限りリスクを回避するよう努めております。
しかしながら、投資先企業の財政状況の悪化などにより、投資価値が毀損したと判断した場合には減損計上の処理を行います。これら減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けておりますが、現在、当社は成長過程にあると考えているため、収益基盤の強化及び事業領域の拡大のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資等に充当し、より一層の業容拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
このことから、当社は創業以来配当を実施しておらず、今後においても将来の事業展開と財務体質の強化を目的に、必要な内部留保を確保することを基本方針としております。
なお、内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開に資する設備投資に有効活用していく所存であります。
当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって中間配当及び期末配当を行うことができる旨を定款に定めており、期末配当を行う基準日は毎年12月31日、中間配当を行う基準日は毎年6月30日であり、その他基準日を定めることができます。
なお、今後の配当実施の可能性及び、その実施時期、毎事業年度における配当の回数等については未定であります。