2023年9月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業環境について

① 市場動向について

当社事業は、新商品デビューにおけるEコマース市場、新サービスにおける予約販売Eコマース市場等の複数の市場と密接に関連する新商品や新サービスの先行販売にかかる領域を主たる事業対象領域として認識しており、これら市場の動向に影響を受けております。

当社は、これら事業領域において、応援購入サービスにかかる認知度の高まり、話題性・共感性の高いプロジェクトの増加や成立件数の増加、プロジェクトの大型化、国内外他社の参入等に加え、Eコマース市場の多様化等を背景とした市場の拡大傾向を受け、潜在的に大きな成長可能性があると考えております。

また、当該事業領域につきましては、比較的新しい市場であることや市場自体が成長途上にあることから、現時点において、当該市場の定義が確立されたものではなく、今後も定義や規模を変えながら進化していくものと考えております。当社は、当該市場の変化に応じた事業展開を推進していく方針でありますが、今後において、規制導入やその強化、業界におけるトラブル等による信頼性の毀損、その他の要因により当該市場の成長に支障が生じた場合、当社事業にも影響が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

新商品や新サービス分野における消費動向は、経済環境や社会情勢等に強く影響を受けるものであるため、景気動向や雇用情勢、税制、災害その他により個人消費等に著しい影響を及ぼす事象が生じた場合、当社事業にも影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネット環境等について

当社事業は、主としてインターネットを通じてサービスを提供しております。近年におけるスマートフォンやタブレット型端末機器の普及等を背景として、一般ユーザーのインターネット利用環境は継続的に整備が図られ、インターネット上で提供されるサービス及びその利用は拡大傾向にあります。

しかしながら、将来において、インターネット利用にかかる規制強化、利用料改定等を含む通信事業者の動向の変化、急速な技術革新が生じた場合、一般ユーザーのインターネット利用動向やその在り方に重大な変化が生じた場合、また、当社においてこれらの外部環境変化への対応に支障が生じた場合は、当社の事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合について

当社が事業対象とする領域のユニークさから同市場において同じビジネスモデルを展開している事業者は現在存在しておらず、一部の事業者が展開するサービスにおいて市場が重複する部分があると認識しております。自社のECを通じて新商品や新サービスを提供する事業者や一部の既存Eコマース事業者がその対象となります。

当社は、事業展開を通じて新商品、新サービスのデビューにおけるコンサルティング及び審査、マーケティング、PR等にかかるノウハウ等を蓄積するほか、当社サービスの認知度及び信頼性向上を推進しており、今後も各種施策による当社の強みを強固にし、参入障壁を高めていく方針であります。

しかしながら、今後において国内外の新たな事業者参入等により競争が激化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法的規制について

当社の事業は、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」及び「電気通信事業法」並びに関連法令等の法規制を受けております。また、Makuakeで取り扱うプロジェクトにおいては、各案件にかかる事業領域において法規制を受ける場合があります。なお、当社事業は、現時点において当該事業領域に対する明確な法規制はありません。

当社は、各種法的規制を遵守するため、社内規程及び業務マニュアルの整備や役職員に対する教育等をはじめとしたコンプライアンス体制及び管理体制の強化に取り組んでおります。

しかしながら、今後において、当社事業を対象とした新たな法規制の導入、その他法令等の改正や法解釈の変更等が生じた場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社事業又はプロジェクトにおいて、何らかの要因により法規制に抵触する状況が生じた場合には、当社及び事業サービスの信頼性低下や適正な業務運営への支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容について

① Makuakeで取り扱うプロジェクトについて
(a) 良質なプロジェクトの獲得について

当社の事業成長において、魅力的なプロジェクトを継続的に提供していくことが重要な要素であると考えております。当社は、過年度において多くのプロジェクトを実施してきた実績等によるユーザー評価及び知名度の向上等に加え、メディア媒体等を通じたPR活動及び金融機関等との提携(ビジネスマッチング)に基づく紹介等により、良質なプロジェクトの獲得を図っております。また、引き続き地方の拠点展開にかかる体制を強化し、プロジェクト獲得の強化を図っていく方針であります。

しかしながら、将来において、競合となりうる新規事業者の参入、その他の要因により良質なプロジェクトの継続的な獲得及び提供が困難となる状況が生じた場合、プロジェクトサポーターの集客や応援購入総額に影響が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(b) プロジェクトにおけるトラブルについて

Makuakeにおいては、新しいアイデアや技術等を具現化する新商品や新サービスを中心として、多種多様なプロジェクトが掲載されております。また、各プロジェクトは、プロジェクト実行者のプロジェクトサポーター募集期間後に、リターンとして当初予定していた新商品や新サービスの提供が困難となるリスクを含んでおります。プロジェクトにかかるリターン不履行その他のトラブルが発生又はそれが増加した場合には、当社においてプラットフォーム運営者としての責任を問われる可能性があります。

当社は、プロジェクト推進にかかる社内ガイドライン・マニュアル等を整備し、個々のプロジェクトにおける実現可能性や法令遵守、プロジェクト実行者の評価等に留意した審査・チェックを実施することにより、プロジェクトの実行が頓挫するリスクの低減に努めております。

また、当社サイトにおけるリスク説明や注意喚起、各プロジェクトにおけるリスク事項の掲載等の充実を図り、サポーターに対して応援購入サービスにかかるリスクの周知・啓蒙を行っております。

なお、当社規約においては、プロジェクト実行に際して、実行の頓挫、不備又は瑕疵が生じた場合には、プロジェクト実行者がプロジェクトサポーターに対する責任を負うものと定めており、当該状況が発生した場合には、プロジェクト実行者よりプロジェクトサポーターに対する債務を履行するよう要請しております。しかしながら、プロジェクト実行者による債務の履行が困難となる場合においては、サポーターの一方的な不利益発生等を回避するため、個別事案における事情を考慮した上で、当社加入保険の活用等による返金措置を行う仕組みも構築しております(当社返金措置については、プロジェクト実行者のモラルハザードを生じさせるリスクが内在していることから、その対応については個別事案ごとに慎重に判断することとしており、全てのトラブル事案に一律に適用するものではありません)。

これらの取組みにもかかわらず、プロジェクトにおけるトラブル発生等は、当社事業に対する信頼性を低下させ、実行者及びサポーターの集客や応援購入に悪影響を及ぼす可能性があるほか、保険その他の費用負担等により、当社事業の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(c) サイト掲載情報の適正性について

当社は、プロジェクトサポーターに各プロジェクトの魅力や商品の特徴等について正確に伝えるべく、当社掲載基準を策定し、虚偽記載、法令等に反する記載、公序良俗に反する記載、その他誤認を生じさせる記載等の排除に努めるようMakuakeに掲載される各プロジェクトにかかる情報を事前に確認、チェック体制を構築しております。

しかしながら、これらの当社対応にもかかわらず、不適切な記載や誤った情報が掲載され、これらの情報に基づきプロジェクトサポーターの購入が行われた場合、クレームや事後的なトラブル等が生じ、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② プロジェクトサポーターの集客について

当社は、WEB広告、アプリ広告、各種CRM等への先行投資及びメディア媒体等を活用したPR活動の推進によりプロジェクトサポーターの獲得に注力しておりますが、今後、集客にかかるコスト上昇や個人情報保護にかかるWEB及びアプリ広告の規制変更、当社事業における集客力の低下等が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業運営体制について

① 人材の確保及び育成について

当社がユーザーに支持されるサービス提供を継続し、事業成長を実現していくためには、優秀な人材の確保及び育成は重要な経営課題であり、採用活動及び人材育成活動に継続的に取り組んでおります。

しかしながら、今後において、人材獲得競争の激化や人材市場の環境変化等により、当社が計画する人材を適時に確保できない場合や人材の育成が計画どおりに進捗しない場合、また、当社人員の社外流出等が生じた場合、当社の事業成長に影響が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 内部管理体制について

当社は、2023年9月末現在において、監査等委員でない取締役7名、監査等委員である取締役3名、従業員191名と小規模な組織となっており、内部管理体制もこれに応じたものとしております。

今後の事業規模拡大に応じて、内部管理体制の一層の強化・充実を図っていく方針でありますが、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築に支障が生じた場合、適切かつ円滑な業務運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システムトラブルについて

当社事業は、主としてインターネットを通じてサービス提供をしており、システムトラブルの発生可能性を低減し、安定的なサービス提供を行うため、サーバー設備増強やセキュリティ強化等の取り組みを継続的に実施しております。

しかしながら、通信回線等の不具合、アクセスの急増、コンピューターウイルスの侵入、外部からの不正アクセス、当社における人為的なミス、停電又は地震や火災等の自然災害等によって、予期せぬシステムトラブルが発生した場合、当社サービスの中断による影響及び当社サービスへの信頼性低下や損害賠償請求等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、急速なアクセス拡大や緊急なセキュリティ強化等のシステム対応の必要が生じた場合には、追加投資等が必要となる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 個人情報保護について

当社は、応援購入サービス事業において、プロジェクト実行者及びプロジェクトサポーター等の個人情報を取得しております。提供サービスの信頼性を確保すべく、個人情報の外部への漏洩や、不適切な利用等防止のため、個人情報管理を事業運営上の最重要事項と捉えており、個人情報の取得・利用・管理・廃棄等に関して管理者を定め、システムセキュリティを強化する等、情報管理に万全を期しております。

しかし、不測の事態により、万一情報漏洩等の事故が発生した場合には、当社の社会的信用が失われ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 知的財産権について

当社は、第三者の特許権や商標権等の知的財産権に関して、外部の弁理士等を通じて調査する等、その権利を侵害しないように留意するとともに、必要に応じて商標権等について知的財産権を登録することにより、当社権利の保護にも留意しております。

しかしながら、当社の認識していない第三者の知的財産権が既に成立している又は今後成立する可能性があり、仮に当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者により損害賠償請求、使用差止請求又はロイヤルティ支払要求等が発生する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 事業成長のためのシステム開発強化について

当社は、MakuakeのWEB及びアプリサービスにおける新機能開発やMakuake関連サービスのシステム開発、案件管理等を目的としたオペレーションシステムの継続的な開発を進めております。また、今後においても、当社の事業成長に必要と考えられる各種システムの強化を実施していく方針であり、当社サービス及びサイトにおける機能強化並びに利便性向上、プロジェクトとのマッチング力向上、検索性向上、トラフィック拡大等への対応強化、プロジェクト推進等にかかる業務オペレーションの効率化等にかかる開発投資を継続していく予定であります。

今後におけるシステム開発投資(設備投資)は、過年度と比較して増加を想定しており、外注事業者の活用等を含めて対応を計画しております。当社の今後のシステム開発投資について、十分な開発人員が確保出来ない場合や開発コストが著しく上昇した場合、各種要因から開発プロジェクトの中断や失敗が生じた場合、開発後において想定どおりの効果を発揮出来ない場合等においては、償却及びその他の費用負担の増加や減損計上等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、システム開発投資の詳細につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

 

(5) 経営成績及び財政状態について

配当政策について

当社は、設立以来配当を行っておりませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。また、当社は現在成長過程にあり、内部留保を確保し、事業規模の拡大や収益力の強化に向けた投資を優先的にすることが、将来における企業価値の最大化と、継続的な利益還元に繋がると考えております。

今後の剰余金の配当につきましては、内部留保の確保とのバランスを考慮した上で実施していくことを基本方針としておりますが、当面は内部留保を優先させる方針であり、現時点において配当実施の時期につきましては未定であります。

 

(6) 親会社グループとの関係について

当社の親会社は株式会社サイバーエージェントであり、同社は本書提出日現在において東京証券取引所に上場しており、2023年9月末現在における当社発行済株式総数の51.32%(6,485,000株)を保有しております。同社グループは、2023年9月末現在、連結子会社90社(うち6組合)及び関連会社9社によって構成され、メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業、その他事業を運営しております。同社は当社の親会社であり、同社とは下記②の通り直接取引が発生しております。当該取引条件の設定によっては、同社の利益が当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 

① 親会社グループにおける当社の位置付けについて

当社は、親会社グループにおいて、その他事業に区分されておりますが、同社グループにおいて、当社と同様事業領域において事業を展開しているグループ企業はなく、グループ内における競合は生じておりません。

しかしながら、将来において同社グループの事業戦略や当社の位置付け等に著しい変更が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社としては、日本の製造業の新製品創出力における課題解決ニーズ、地域創生における課題解決ニーズ、ベンチャー創出における課題解決ニーズが日に日に高まっており、ソリューションになりうる我々の事業の一日も早い拡大加速が求められていると考え、上場により知名度や社会的信用度が向上し、プロジェクト実行者とプロジェクトサポーターの裾野を広げることにより、当該課題解決ニーズを果たすことができると判断し、上場を選択しております。

 

② 親会社グループとの取引関係について

2023年9月期において、当社と親会社グループとの主要な取引は以下のとおりであります。

「データ分析ツールの運用業務」につきましては、データ分析ツール費用の支払いであります。「広告・プロモーション業務」は、Makuakeにおける応援購入金額の拡大を目的とした広告配信代行サービスの業務を委託しております。

上記取引のうち継続する取引につきましては、適正な取引条件の確保に努めております。

2023年9月末現在

相手先

取引の内容

金額

取引条件等の決定方法

(親会社)

株式会社サイバーエージェント

データ分析ツールの運用業務

10,658千円

データ分析ツール費用を支払っております。

広告・プロモーション業務

1,189,982千円

広告配信実績に基づく委託料を支払っております。

 

 

③ 人的関係について

当社監査等委員でない取締役7名のうち、取締役(非常勤)である中山豪氏は、親会社である株式会社サイバーエージェントの取締役専務執行役員を兼ねております。当該兼任は、同氏が株式会社サイバーエージェントにおいて培ってきた豊富な経営経験から、当社事業に関する助言を得ることを目的として当社が招聘したものであります。

 

④ 親会社グループとの資本関係

当社は、自らの経営責任を負って独立した事業経営を行っておりますが、当社の親会社である株式会社サイバーエージェントは2023年9月末現在における当社発行済株式総数の51.32%(6,485,000株)を保有しており、当社は同社の連結子会社となっております。

当社の経営において、親会社の承認を必要とする事項は存在しておりませんが、親会社は当社株主総会における取締役の任命等を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、議決権の行使にあたり、親会社の利益は、当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。

 

(7) その他

① 当社の監査等委員でない取締役に対する譲渡制限付株式報酬としての新株発行及び新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、当社の監査等委員でない取締役に対して、株主との価値共有により、当社の企業価値の持続的な向上及び信用維持へのインセンティブを付与することを目的として譲渡制限付株式報酬制度を導入しておりますが、当該制度に基づいて新株式が発行された場合、既存の株主が有する株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。また、当社役職員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

なお、2023年9月末現在における新株予約権による潜在株式数は162,284株(発行済株式総数12,636,700株の1.3%)であり、当社は今後もストック・オプション制度を活用していく方針であります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、設立以来配当を行っておりませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。当社は現在成長過程にあり、内部留保を確保し、事業規模の拡大や収益力の強化のために優先的に投資することが、将来における企業価値の最大化と、継続的な利益還元に繋がると考えております。

今後の剰余金の配当につきましては、内部留保の確保とのバランスを考慮した上で実施していくことを基本方針としておりますが、当面は内部留保を優先し、さらなる事業の強化を図っていく方針であります。

配当実施の時期につきましては未定であります。

また、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。なお、会社法第454条第5項に基づき、取締役会の決議により、毎年3月31日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。