事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
システムソリューション事業 | 4,577 | 56.3 | 1,163 | 167.6 | 25.4 |
エンジニアリングソリューション事業 | 3,055 | 37.6 | 531 | 76.6 | 17.4 |
GPS事業 | 534 | 6.6 | 117 | 16.9 | 22.0 |
その他 | -41 | -0.5 | -1,118 | -161.1 | - |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループ(当社および連結子会社)は、当社(株式会社ゼネテック)および子会社2社により構成されており、システムソリューション事業、エンジニアリングソリューション事業およびGPS事業を主たる事業としております。
当社グループの事業内容および当社の関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、次の3区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
また、当連結会計年度より、社内の組織体制と情報開示するセグメント区分を一致させるため、「システムソリューション事業」セグメントに含まれていた「ERP事業」を「エンジニアリングソリューション事業」セグメントへと区分変更いたしました。
(1)システムソリューション事業
当社グループは、当社の1985年7月の設立以来、移動体通信機分野(ポケットベル、携帯電話、PHSなど)の各種情報端末、自動車関連(カーナビ、カーオーディオ、インフォテインメント(注)1など)の組込みシステム(注)2の設計開発をコア事業として発展してまいりました。
カーエレクトロニクス全般、デジタル情報家電、半導体製造装置分野などの組込みシステムに係るソフトウェア開発およびハードウェア開発において、長年培ってきた受託開発ノウハウを駆使し、仕様分析・検討、基本設計から製造までシステムの一括受託開発を行っております。
今後、特に、モビリティ分野の自動運転システム、安全運転アシストシステム、インフォテインメントシステムなどの成長が期待されており、また、各種制御系機器のインテリジェント化やデータ収集ニーズに伴う各種センサーの情報を取りまとめるエッジコンピュータ(注)3やゲートウェイの需要なども成長が期待され、製造業分野でDX(注)4関連の需要が大きく高まっていくと予測されております。ソフトウェア専業開発と異なり、組込みシステム開発にはハードウェア制御の知識が必須であり、また、製品の性格上、ソフトウェア開発と比べて非常に厳しい品質確保が要求されるものになるため、この領域は、当社グループの強みであるソフトウェアとハードウェアの一体型システム開発力および通信・ネットワーク分野の開発技術力を活かせる分野になります。
また、組込み開発に加え、企業の持つ資源である、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」を一つのシステムで一元管理するERP(注)5 の導入支援・運用コンサルティング業務を行っております。
(2)エンジニアリングソリューション事業
「3次元CAD(注)6/CAM(注)7ソフトウェア」「ロボットティーチングソフトウェア」「3次元シミュレーションソフトウェア」「製品ライフサイクル管理ソフトウェア」について、ライセンス販売、導入・技術支援、サポート、教育・研修などのソリューションサービス事業を行っております。また、今後、飛躍的な成長が見込まれる製造業向けIoT分野において、創立来システム開発で培ってきた通信・制御・センサーデバイス、ネットワーク、クラウド技術をベースにしたモニタリングプラットフォーム「Surve-i」を自社開発し、製造機械・設備の稼働モニタリングシステム「GCモニター」や防犯・災害対策用遠隔カメラ監視ソリューションとして販売しております。
[3次元CAD/CAMソフトウェア]
主力製品である「Mastercam」はCADで設計された製品や部品に対し、工具や切削方法といったNC工作機械(注)8で加工するための様々な情報を付加し、工作機械を制御する数値データに変換するCAMソフトウェアです。ソフトウェアの使用ライセンスに加えて、CAMの導入時に必要なポストプロセッサ(注)9の開発、操作や設定についての教育・研修、保守メンテナンス・サポート契約など様々なサービスを提供しております。
[3次元シミュレーションソフトウェア]
日本国内では、ますます少子高齢化が進む中で、工場の見直し、ライン・設備等の見直し、省力化対応の機械、ロボットやDX関連システムの導入が一層進むと予想されますが、「FlexSim」は、製造・物流現場において投資対効果の高い最適な検証結果を企画段階で容易に導きだすことができ、工場・物流の生産性向上と利益の向上に貢献する離散事象解析3Dシミュレーションソフトウェアであります。
「FlexSim」は、製造・物流の業界だけでなくマテハン・ロジスティックス・医療・港湾・空港・大型商業施設などの「ヒト・モノの流れ」がある多種多様な業界で利用されております。
[製品ライフサイクルマネジメントソフトウェア]
製造業のエンジニアリングチェーン(企画や受注から始まり、設計、製造準備、製造、保守保全等まで設計を中心とした一連の業務プロセス)を管理するシステムでPLM(注)10と呼ばれています。PLMを導入することで製品ライフサイクル全体のリードタイムやコストを大幅に削減し、収益や品質向上につなげるための業務改革を可能にし、企業の開発力や競争力の向上を実現するものであります。
(3)GPS事業
緊急地震速報の受信と同時に、事前に合意登録されている家族の最新の居場所が自動配信され、お互いの安否が把握できるスマートフォン用防災アプリである、防災サポートアプリ『ココダヨ』を提供しております。
2018年9月より株式会社NTTドコモが提供するスマートフォンアプリ定額使い放題サービス「スゴ得」に採用されております。
今後、高齢者や子供の見守り用としてのサービス拡大や、地震・自然災害の多い国や地域へのサービス拡大を目指しております。
(用語解説)
(注)1.インフォテインメント:主に車載システムについて用いられる用語で、情報と娯楽の提供を実現するシステムの総称
(注)2.組込みシステム:特定用途向けに特化、限定した機能を果たすために各種機械や機器に組み込まれるコンピュータシステム
(注)3.エッジコンピュータ:製造現場においては、工場内に多数設置されたセンサー等から得られる大容量データに対し、端末近くで高速な処理をするコンピュータのこと
(注)4.DX:デジタルトランスフォーメーション。ビッグデータなどのデータとAIやIoTを始めとするデジタル技術を活用して業務プロセスを改善。製品やサービス、ビジネスモデルそのものを変革するとともに、組織、企業文化、風土を改革し、競争上の優位性を確立すること
(注)5.ERP:Enterprise Resources Planningの略であり、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配し有効活用する考え方。現在では、「基幹系情報システム」を指すことが多く、企業の情報戦略に欠かせない重要な位置を占める
(注)6.CAD:Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)。パソコンの画面上で図面を作成するためのソフトウェア。2次元は平面上での製図、3次元は立体空間の製図
(注)7.CAM:Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)。NC(Numerically Controlled :数値制御)工作機械の加工プログラムを作成するソフトウェア
(注)8.NC工作機械:Numerically Controlled Machine Tools(数値制御される工作機械)。数値制御とは「工作物に対する工具経路、その他加工に必要な作業の工程などを、それに対応する数値情報で指令する制御」のこと
(注)9.ポストプロセッサ:CAMの言語を工作機械の言語に変える翻訳機
(注)10.PLM:Product Lifesycle Managementの略であり、企画・要件定義から製造・配送・保守に至るまでの工程全体のライフサイクルを管理するシステムのこと
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,620百万円となり、前連結会計年度末と比べて1,374百万円増加しました。主な増減は、現金及び預金の増加817百万円、売掛金の増加660百万円、契約資産の減少168百万円であります。固定資産は2,529百万円となり、前連結会計年度末と比べて1,253百万円増加しました。主な増減は、有形固定資産の増加573百万円、のれんの増加376百万円であります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は7,149百万円となり、前連結会計年度末と比べて2,628百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,333百万円となり、前連結会計年度末と比べて1,574百万円増加いたしました。主な増減は、買掛金の増加168百万円、短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の増加1,020百万円、未払金の増加373百万円であります。固定負債は1,411百万円となり、前連結会計年度末と比べて864百万円増加しました。主な増減は、長期借入金の増加592百万円、退職給付に係る負債の増加243百万円であります。
この結果、負債合計は4,745百万円となり、前連結会計年度末と比べて2,439百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,403百万円となり、前連結会計年度末と比べて188百万円増加いたしました。主な増減は、利益剰余金の増加164百万円であります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなかで各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復基調が続いております。しかしながら、物価上昇の継続や米国の通商政策による影響等には注視が必要であり、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
一方で、当社グループが属する情報サービス産業においては、社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する需要を背景に、さまざまな分野において積極的なIT投資が継続しております。
このような環境のもと、当社グループは2023年5月31日に公表した中期経営計画(2023年度~2025年度)の事業成長戦略、経営基盤戦略および行動指針に基づき、「システムソリューション事業」「エンジニアリングソリューション事業」「GPS事業」の3つの事業の業容拡大を通じて経営目標の達成に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、当社グループの業容拡大に向けた事業成長戦略の取組みと並行し、経営基盤強化のためのキャリア採用、新卒採用そしてM&Aにも積極的に取り組みました。
セグメント別では、システムソリューション事業においては自動車メーカーとの直接取引の増加とともに、統合ECUなどの付加価値の高い車載系案件に注力したことで増収および利益率の向上に繋げました。エンジニアリングソリューション事業では付加価値の高い3次元シミュレーションソフトウェア「FlexSim」が2年連続で年間販売数量「世界1位」を獲得しました。GPS事業においては防災サポートアプリ『ココダヨ』のサービス全体累計ダウンロード数が167万件を突破するなど、3事業ともに着実な成果を上げました。
経営基盤戦略に掲げるM&Aについては、製造業の課題解決のためのソリューション拡充を目的とし、2024年4月にPLM(Product Lifecycle Management)ソフトウェアの導入支援を行う株式会社フラッシュシステムズ(愛知県名古屋市、以下「フラッシュシステムズ」という。)の全株式を取得しPLM事業の拡大を図りました。システムソリューション事業およびエンジニアリングソリューション事業の業容拡大を目的とし、2025年3月6日に完全子会社化した株式会社モアソンジャパン(静岡県浜松市、以下「モアソンジャパン」という。)の業績につきましては、2026年3月期第1四半期連結会計期間から四半期連結損益計算書および四半期連結包括利益計算書に含める予定であります。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は8,124百万円(前期比13.7%増)、営業利益は693百万円(前期比10.2%増)、経常利益は683百万円(前期比7.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は421百万円(前期比1.5%増)となり、連結会計年度において過去最高の売上高および段階利益を更新いたしました。
当連結会計年度におけるセグメント別の状況は次のとおりであります。
(システムソリューション事業)
当社グループのソフトウェア開発は、ECU(Electronic Control Unit)やCDC(Cockpit Domain Controller)などの車載(モビリティ)開発、デジタル家電や産業機器などの組込系ソフトウェア開発を主に行っております。
当連結会計年度においては、デジタル家電において主要顧客の開発調整があったものの、当社の得意領域である車載案件において自動車メーカーとの直接取引の増加、そして自動車メーカーに直接部品を供給する企業(Tier1)との開発案件の増加に加え、統合ECUなどの付加価値の高い開発案件に注力したことが奏功して、売上高は3,054百万円(前期比4.4%増)となりました。また、当社グループの強みであるソフトウェアとハードウェアの一体型開発であるシステム開発の売上高は、主要顧客の好調な生産状況を受け、1,522百万円(前期比12.4%増)と大幅な増収となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,576百万円(前期比5.6%増)、セグメント利益は1,162百万円(前期比16.5%増)となり、セグメント利益率は前期比2.4ポイント増の25.4%となりました。
(エンジニアリングソリューション事業)
当社グループのエンジニアリングソリューション事業は、主に製造業のDX推進を支援する各種ソリューションの提供を行っております。
3次元シミュレーションソフトウェア「FlexSim」については、前期から継続して自動車、電機、電子部品などの大手顧客から増設および新規分の強い引き合いをいただいた結果、売上高は805百万円(前期比34.1%増)と大幅な増収となりました。3次元CAD/CAMソフトウェア「Mastercam」については、開発元のライセンス・メンテナンス価格が上期に改定されたことに呼応して10月に販売価格の見直しを行ったことで第3四半期連結会計期間の販売は低調でありました。しかしながら、12月から「Mastercam国内販売35周年・ゼネテック株式上場5周年大謝恩キャンペーン」を実施したことで当第4四半期連結会計期間の売上は回復し、通期の売上高は前期同等の1,347百万円(前期比0.4%増)となりました。PLMについては、フラッシュシステムズの新規連結および大手SIerとの連携強化による新規案件増加などで売上高が前期に比べ大幅に増加しました。
なお、EVC(Engineering Value Chain:製造プロセスにおける設計部門を中心とした一連のシステム開発)関連開発について、2026年3月期第1四半期連結会計期間からシステムソリューション事業に報告セグメントを変更する予定にしております。このEVC関連開発は、情報セキュリティ関連開発からスタートし売上が拡大しております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,054百万円(前期比29.4%増)、セグメント利益は531百万円(前期比29.0%増)となりました。
(GPS事業)
当社グループのGPS事業は、自社開発の防災サポートアプリ『ココダヨ』の提供を行っております。
サービス全体の累計ダウンロード数は2025年3月末現在167万件を突破し、順調に利用ユーザーが増える結果となりました。また、株式会社NTTドコモが提供するスマートフォンアプリ使い放題サービス「スゴ得コンテンツ」向けサービスにおいて、前期比で売上単価が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は534百万円(前期比11.7%増)、セグメント利益は117百万円(前期比37.3%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は451百万円(前年同期は602百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益662百万円、減価償却費58百万円、のれん償却額97百万円などの資金増加要因が、賞与引当金の減少額135百万円、法人税等の支払額337百万円などの資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は388百万円(前年同期は55百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出66百万円、無形固定資産の取得による支出152百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出183百万円などの資金減少要因が、保険積立金の払戻による収入17百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入48百万円などの資金増加要因を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は655百万円(前年同期は410百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額800百万円、長期借入金による収入200百万円などの資金増加要因が、配当金の支払額256百万円などの資金減少要因を上回ったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
システムソリューション事業において、半導体製造装置ユニットの受託製造を主とする組み込みシステム開発をおこなっておりますが、当社の設計仕様に基づき外部企業に生産委託するファブレス形式によっており、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループの事業は、受注から売上計上までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
システムソリューション事業(千円) |
4,576,868 |
5.60 |
エンジニアリングソリューション事業(千円) |
3,054,545 |
29.40 |
GPS事業(千円) |
534,108 |
11.72 |
合計(千円) |
8,165,522 |
13.84 |
(注)1.各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社ニューフレアテクノロジー |
854,384 |
12.0 |
1,045,131 |
12.9 |
ソニー株式会社 |
986,355 |
13.8 |
866,225 |
10.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの経営成績
イ.売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ976百万円増の8,124百万円(前期比13.7%増)となりました。これは主にシステムソリューション事業において自動車メーカーとの直接取引の増加とともに、統合ECUなどの付加価値の高い車載系案件に注力したこと、エンジニアリングソリューション事業において3次元シミュレーションソフトウェア「FlexSim」の売上が増加したことによるものであります。
セグメント別(セグメント間の内部売上高又は振替高を含む)では、システムソリューション事業4,576百万円(前期比5.6%増)、エンジニアリングソリューション事業3,054百万円(前期比29.4%増)、GPS事業534百万円(前期比11.7%増)となりました。
ロ.売上原価
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ614百万円増加の4,853百万円(前期比14.5%増)となりました。これは主に、システムソリューション事業において開発案件が好調に推移したことにより労務費、外注費が増加したことによるものであります。なお、売上総利益率は40.3%(前期比0.4ポイント減少)となりました。
ハ.販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ298百万円増加の2,577百万円(前期比13.1%増)となりました。これは主に、子会社のM&A費用、人員増による人件費の増加などによるものであります。なお、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は前期比0.2ポイント減少の31.7%となりました。
ニ.営業利益
上記の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ64百万円増加の693百万円(前期比10.2%増)となりました。
ホ.経常利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ48百万円増加の683百万円(前期比7.6%増)となりました。これは主に、助成金収入、保険解約返戻金、受取補償金が減少したことによるものであります。
ヘ.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ6百万円増加の421百万円(前期比1.5%増)となりました。なお、1株当たり当期純利益金額は36円81銭となり、1株当たり年間配当金は18円00銭、連結配当性向は48.9%となりました。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に影響を与える要因としては、市場動向、人材の確保、各プロジェクトの採算性および新規ビジネスへの投資があります。
イ.市場動向
(システムソリューション事業)
今後の組込みシステム市場の動向につきましては、2027年度までの年平均成長率は5.3%と堅調に推移するものと予測されております(出典:ミック経済研究所「エンベデッドシステム・ソリューション市場の現状と展望2023年度版」より)。
また、車載ソフトウェア市場規模につきましては、2030年には1兆円に迫るものと予測されております(出典:矢野経済研究所「車載ソフトウェア(自動車会社、自動車部品サプライヤー等)市場規模推移・予測(領域別)」より)。
(エンジニアリングソリューション事業)
当事業の主要顧客である製造業の設備投資は、持ち直しの動きがみられる(出展:内閣府「月例経済報告(令和7年4月)」一方、米国関税措置の影響で投資抑制が懸念されております。
ロ.人材の確保
当社グループは、継続的に付加価値の高いサービスを提供するために、高いITスキルを備え、当社グループの企業理念を理解し、主体的に課題解決を行うことのできる優秀な人材の育成および確保が不可欠であると認識しております。OJTや体系的な育成プログラムによる研修を実施し、社員のスキル向上をはかるとともに、積極的な採用活動に取り組み、優秀な人材の確保に努めてまいります。
また、技術者確保のひとつの方法として、パートナーと位置付ける協力会社からの技術者の受け入れを行っております。
ハ.各プロジェクトの採算性
当社グループのシステムソリューション事業において、プロジェクト単位ごとに適正利益の確保に努めるとともに、開発想定工数が大幅に乖離することがないようプロジェクトの進捗管理を行っております。しかしながら、不測の事態等により開発工数が増大した場合には、プロジェクトの採算が悪化する可能性があります。
当社グループでは、開発工数の実績が計画を上回ることがないよう、常にプロジェクトの進捗状況を把握すると同時に、プロジェクトの責任者が問題発生の兆候を発見した場合は適時報告するよう努めております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況 に記載のとおりであります。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、人件費及び外注費であります。当社グループは、運転資金については、内部資金、金融機関からの借入金により調達しております。
③ 経営方針、経営戦略、営業上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長をしていくことによって企業価値を高め続けていくことを経営目標としており、売上高、営業利益、営業利益率を経営指標として重視し、これらの拡大を目指しております。当連結会計年度における売上高は8,124百万円(前期比13.7%増)、営業利益は693百万円(前期比10.2%増)、営業利益率は8.5%(前期比0.3ポイント減)であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表作成にあたって、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づいて見積りを行っておりますが、見積りには不確実性があるため実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、本社に商品・サービス別の事業本部を置き、各事業本部は、取扱う商品・サービスについて包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
したがって、当社は、事業本部を基礎とした商品・サービス別のセグメントから構成されており、「システムソリューション事業」、「エンジニアリングソリューション事業」及び「GPS事業」の3つを報告セグメントとしております。
「システムソリューション事業」は、カーエレクトロニクス、デジタル情報家電などの組込み機器に係る組込みソフトウェア開発や産業用機器に関するハードウェア開発について、設計・開発・製造から評価業務まで、生産性の高い技術をワンストップで提供しております。「エンジニアリングソリューション事業」は、外国企業から製造業向けソリューションの正規輸入販売代理を行っており、販売店への営業支援、顧客への導入支援およびアフターサポート提供等を行っております。「GPS事業」は災害時位置情報自動通知アプリ「ココダヨ」のユーザーエクスペリエンス向上を目的とした新機能の実装やアプリメンテナンスを行っております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。
報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。
セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
調整額 (注) |
合計 |
|||
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システムソリューション事業 |
エンジニアリングソリューション事業 |
GPS事業 |
計 |
||
売上高 |
|
|
|
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外部顧客への売上高 |
4,309,435 |
2,360,483 |
478,056 |
7,147,976 |
- |
7,147,976 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
24,805 |
- |
- |
24,805 |
△24,805 |
- |
計 |
4,334,241 |
2,360,483 |
478,056 |
7,172,781 |
△24,805 |
7,147,976 |
セグメント利益 |
998,213 |
411,897 |
85,419 |
1,495,530 |
△866,099 |
629,430 |
セグメント資産 |
1,533,974 |
1,295,640 |
158,127 |
2,987,743 |
1,532,849 |
4,520,592 |
その他の項目 |
|
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|
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減価償却費 |
12,765 |
20,227 |
14,124 |
47,117 |
19,510 |
66,628 |
のれん償却額 |
6,692 |
73,173 |
- |
79,865 |
- |
79,865 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
42,023 |
10,139 |
41,928 |
94,091 |
45,424 |
139,516 |
(注)1.セグメント利益の調整額は、報告セグメントに配賦できない営業費用であり、その主なものは本社管理部門に係る費用であります。
2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
3.減価償却費の調整額は、報告セグメントに配賦できない資産であり、その主なものは本社管理部門に係る減価償却費であります。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
調整額 (注) |
合計 |
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システムソリューション事業 |
エンジニアリングソリューション事業 |
GPS事業 |
計 |
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売上高 |
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外部顧客への売上高 |
4,535,895 |
3,054,545 |
534,108 |
8,124,549 |
- |
8,124,549 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
40,973 |
- |
- |
40,973 |
△40,973 |
- |
計 |
4,576,868 |
3,054,545 |
534,108 |
8,165,522 |
△40,973 |
8,124,549 |
セグメント利益 |
1,162,572 |
531,379 |
117,257 |
1,811,210 |
△1,117,591 |
693,618 |
セグメント資産 |
2,938,103 |
2,148,554 |
154,187 |
5,240,845 |
1,908,452 |
7,149,298 |
その他の項目 |
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減価償却費 |
14,968 |
12,407 |
16,780 |
44,156 |
14,237 |
58,393 |
のれん償却額 |
6,692 |
91,044 |
- |
97,736 |
- |
97,736 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
40,029 |
191,491 |
- |
231,520 |
469,173 |
700,694 |
(注)1.セグメント利益の調整額は、報告セグメントに配賦できない営業費用であり、その主なものは本社管理部門に係る費用であります。
2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
3.減価償却費の調整額は、報告セグメントに配賦できない資産であり、その主なものは本社管理部門に係る減価償却費であります。
4.報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
(固定資産に係る重要な減損損失)
迅速な意思決定と効率化を目的とした大阪拠点の統合を行ったことに伴い、エンジニアリングソリューション事業で利用していた旧拠点の退去関連費用として減損損失5,258千円を「エンジニアリングソリューション事業」セグメントにおいて計上しております。また、「GPS事業」セグメントにおいて、投下リソースの集中と選択のため個人向けサービス「ココダヨSOLO」を終了することとし、減損損失4,942千円を計上しております。
(のれんの金額の重要な変動)
「エンジニアリングソリューション事業」セグメントにおいて、当連結会計年度に株式会社フラッシュシステムズ(愛知県名古屋市)の株式を取得し連結子会社といたしました。なお、当該事象によるのれんの増加額は166,793千円であります。
また、当連結会計年度に株式会社モアソンジャパン(静岡県浜松市)の株式を取得し連結子会社といたしました。なお、当該事象によるのれんの増加額は307,645千円となります。株式会社モアソンジャパンは「システムソリューション事業」および「エンジニアリングソリューション事業」に区分され、当該のれんについては、当連結会計年度末においては調整額に記載しております。
5.報告セグメントの変更等に関する事項
(報告セグメントの変更)
当連結会計年度より、社内の組織体制と情報開示するセグメント区分を一致させるため、「システムソリューション事業」セグメントに含まれていた「ERP事業」を「エンジニアリングソリューション事業」セグメントへと区分変更いたしました。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
報告セグメントと同一のため記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2)有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、記載しておりません。
3.主要な顧客ごとの情報
(単位:千円)
顧客の名称又は氏名 |
売上高 |
関連するセグメント名 |
ソニー株式会社 |
986,355 |
システムソリューション事業 |
株式会社ニューフレアテクノロジー |
854,384 |
システムソリューション事業 |
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
報告セグメントと同一のため記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2)有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、記載しておりません。
3.主要な顧客ごとの情報
(単位:千円)
顧客の名称又は氏名 |
売上高 |
関連するセグメント名 |
株式会社ニューフレアテクノロジー |
1,045,131 |
システムソリューション事業 |
ソニー株式会社 |
866,225 |
システムソリューション事業 |
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
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(単位:千円) |
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システム ソリューション 事業 |
エンジニアリングソリューション 事業 |
GPS事業 |
調整額 |
合計 |
減損損失 |
- |
- |
3,936 |
- |
3,936 |
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
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(単位:千円) |
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システム ソリューション 事業 |
エンジニアリングソリューション 事業 |
GPS事業 |
調整額 |
合計 |
減損損失 |
706 |
4,552 |
4,942 |
- |
10,201 |
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
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(単位:千円) |
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システム ソリューション 事業 |
エンジニアリングソリューション 事業 |
GPS事業 |
調整額 |
合計 |
当期償却額 |
6,692 |
73,173 |
- |
- |
79,865 |
当期末残高 |
40,152 |
586,368 |
- |
- |
626,520 |
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
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(単位:千円) |
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システム ソリューション 事業 |
エンジニアリングソリューション 事業 |
GPS事業 |
調整額 |
合計 |
当期償却額 |
6,692 |
91,044 |
- |
- |
97,736 |
当期末残高 |
33,460 |
662,118 |
- |
307,645 |
1,003,223 |
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。