2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,799名(単体) 3,832名(連結)
  • 平均年齢
    43.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.4年(単体)
  • 平均年収
    7,132,006円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

1,223

北米

1,001

アジア

634

全社(共通)

974

合計

3,832

 

(注) 1 従業員数は就業人員数です。

2 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門、研究開発部門等に所属している人員です。

3 前連結会計年度末に比べ従業員数が1,148人減少しています。主な理由は、日本セグメントおよび全社(共通)において、当社の従業員数が減少したことによるものです。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,799

43.7

18.4

7,132,006

 

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

1,159

北米

3

アジア

7

全社(共通)

630

合計

1,799

 

(注) 1 従業員数は就業人員数です。

2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。

3 平均勤続年数および平均年間給与は出向受入者を除いて算出しています。

4 全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門、研究開発部門等に所属している人員です。

5 前事業年度末に比べ従業員数が1,109人減少しています。主な理由は、早期退職者募集の実施および株式会社RACTHERAへの再生・細胞医薬事業(製造プラントに関する事業を除く。)の吸収分割によるものです。

 

(3) 労働組合の状況

当社および子会社の労働組合は、ユニオンショップ制をとっており、組合員数は当連結会計年度末現在1,227人です。

なお、会社と労働組合は、円満な関係を持続しています。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

 

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パートタイマー・

有期労働者

15.0

100.0

84.1

86.0

56.7

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

(補足説明)

・管理職に占める女性労働者の割合については、2025年4月1日時点の数値です。

・男性の育児休業取得率については、2024年度中に育児休業を取得した男性従業員数÷2024年度中に配偶者が出産した男性従業員数として算出しています。

・男女の賃金差につき、当社の賃金制度は従事する役割(職務)グレードにもとづく制度としており、同一グレードの男女の基準賃金の差はありませんが、平均年間賃金の差異が生じている要因は、以下のとおりです。なお、欠勤、休業、休職により賃金支給がない者は算出対象から除いています。

<正規雇用労働者>

女性は男性と比較して一般職の割合が高いことが男女賃金差異の主な要因となっています。

<パートタイマー・有期労働者>

 パートタイマー・有期労働者の大半をパートタイマーが占めていますが、パートタイマーはジョブサイズや勤務時間の違い等により定年退職後再雇用者や契約社員よりも賃金水準が低くなっています。このパートタイマーが全員女性であることが、男女賃金差異の要因となっています。

 

② 連結子会社

 

会社名

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規雇用

労働者

パートタイマー・

有期労働者

SMPビジネスパートナーズ(株)

0.0

0.0(注4)

住友ファーマプロモ(株)

14.3

0.0(注4)

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3 女性活躍推進法及び育児・介護休業法に基づく情報公表を行っていない指標については「-」と記載しております。

4 対象者(2024年度中に、男性労働者であって、配偶者が出産したもの)がいませんでした。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

1.サステナビリティ全般

(1) ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ経営を「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」という理念の実践により、持続可能な社会の実現に貢献し、持続的な企業価値向上につなげることと定義しています。当社の取締役会は、当社の理念実践に向けて迅速・果断な意思決定を行います。意思決定には、サステナビリティを含む当社グループの事業戦略や目標も含まれています。意思決定された事項の実行に際しては、経営幹部に適切に権限委譲を進め、健全なリスクテイクを支援するとともに、実効的な経営の監督を行います。サステナビリティ経営を推進するにあたっては、代表取締役社長の意思決定のための諮問機関である経営会議にて、サステナビリティ経営推進のために取り組む重要課題である「マテリアルイシュー」を審議し、取締役会で承認しています。また、環境、人権、従業員の健康等のサステナビリティを巡る課題については、それらの課題への取組状況が定期的に取締役会へ報告され、持続可能な社会の実現および中長期的な企業価値の向上の観点から、積極的な議論が行われています。

当社のガバナンス体制のさらなる詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2) 戦略

当社グループは、持続可能な社会の実現への貢献と、持続的な企業価値向上の両立を実現するため、多様かつ変容する社会からの期待・要請に対して当社グループの持つ資本(強み)を活用し、当社グループだからこそできる価値創出を行っていきます。そのために取り組む重要課題を「マテリアルイシュー」として特定しています。様々な施策を遂行するとともに、社会状況の変化等を踏まえ、定期的に必要に応じて見直しを行っています。

 

<マテリアルイシュー最終化のステップとマテリアルイシューマップ>

 

「マテリアルイシュー」最終化のステップ

STEP1

環境・社会・経済に対する影響が大きい課題を洗い出すため、SDGs、グローバルリスクレポート、各種フレームワーク(GRIスタンダード、SASBスタンダード、ISO26000、国連グローバル・コンパクト10原則)、ESG調査の評価項目(DJSI、FTSE、MSCI)などを参考に、社会課題/ニーズのリストアップを行いました。

また、当社グループの資本(強み)については社内ヒアリングをベースに、機関投資家から提供された情報も加味した上でリストアップを行いました。

STEP2

リストアップした社会課題/ニーズの中から、当社グループの資本(強み)に関連するものをイシューとして抽出しました。これらのイシューに対して、「社会からの期待」と「企業価値向上への影響度」の2軸を設定し、それぞれ3段階で評価することで、優先的に取り組むべきイシューをマテリアルイシューとして特定しました。

STEP3

マテリアルイシューは、代表取締役社長の意思決定のための諮問機関である経営会議にて審議の上、取締役会による承認を受けました。

 

 

 

マテリアルイシューマップ

 


 

(3) リスク管理

当社グループとしての基本的な考え方を定めた「SMP Group Risk Management Policy」を制定し、当社グループのリスクマネジメント推進体制を当社が中心となり構築しています。この推進体制では、サステナビリティに関するリスクを含めたリスクごとの特性に応じて、グループ横断的に取り組むリスク(グループ横断リスク)とグループ各社が自らの責任において取り組むリスク(業務活動リスク(※1))に分類しています。それぞれのリスクについて、当社がグループ各社から報告を受けることによって、グループ全体のリスクマネジメントを当社が把握し、必要に応じて、指導・助言等の対応を行っています。

当社では、事業活動に影響を及ぼすリスクに対応するため「リスクマネジメント規則」を制定し、代表取締役社長がリスクマネジメントを統括することを明確にするとともに、リスクごとにリスクマネジメントを推進する体制を整備しています。各推進体制の運用状況については、定期的に取締役会に報告しています。

具体的な取組の一つとして、年度ごとに国内外のグループ会社を含めた全部門にリスクアセスメントを実施し、その結果を踏まえた対策の策定・実施・評価を行い、全社各部門が課題解決に向け計画的に取り組んでいます。

※1  地震、台風・豪雨、伝染病・感染症などの災害や、調達・生産・在庫管理、人材管理などグループ各社が自らの責任において取り組む業務活動上のリスク

 


 

(注)CSIRT(Computer Security Incident Response Team):サイバー攻撃による不正侵入の未然防止策の検討を行うとともに、侵入を検知した場合に迅速に対応するための体制。

 

(4) 指標および目標

当社グループが持続可能な社会の実現への貢献と持続的な企業価値向上の両立を実現するためには、マテリアルイシューで設定した目標の達成に向け、KPI等で進捗状況を確認し、軌道修正を行い、PDCAを回していくことが重要です。各マテリアルイシューの目標とKPIについては、毎年度、経営会議において進捗状況の確認や見直しが行われ、審議等を行っています。取締役会においてはその進捗状況を監督し、サステナビリティ経営の実効性向上に向けた取組を進めています。

それぞれのマテリアルイシューの目標およびKPIについては、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/management/assets/pdf/pdf-material-issues-new.pdf

 

当社は、社会および環境パフォーマンス指標について、情報の信頼性を高めるため、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会の国際保証業務基準(ISAE)3000「過去財務情報の監査又はレビュー以外の保証業務」及びISAE3410「温室効果ガス情報に対する保証業務」に準拠した第三者保証(限定的保証)を受け、同社より、2024年7月30日付ですべての重要な点において、会社の定める規準に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しています。2024年度も継続して保証を受けています。

第三者保証を受けた社会パフォーマンス指標および環境パフォーマンス指標については、次のリンク先で開示す


を付した指標をご覧ください。

 

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/csr_data.html

 

 

2.重要なサステナビリティ項目

上記のとおり、当社グループでは「社会からの期待」と「企業価値向上への影響度」の観点から「革新的な医薬品と医療ソリューションの創出」をはじめとするマテリアルイシューを特定していますが、当社グループがこれらのマテリアルイシューに取り組み、持続可能な社会実現への貢献と当社グループの持続的な企業価値向上の両立を目指すにあたって重要なサステナビリティ項目となる「人的資本と多様性」、「環境への取組」についての考え方および取組は、以下のとおりです。

 

(1) 人的資本と多様性

ア.戦略

当社は人材の多様性の確保を含む人材育成や社内環境整備の方針について、取締役(社外取締役および非業務執行取締役を除く。)と執行役員が参加する人材戦略会議にて議論を行っています。各方針は、以下のとおりです。

 

(人材育成方針)

当社は、個人の成長と事業の成長は車の両輪であるとの考え方の下、経営戦略と連動した人材戦略により、個人と事業の成長を実現し、社会に対して継続的に価値を提供することを目指しています。

そのため当社では、「住友ファーマが求める社員像」(※2)を設定し、各種研修やジョブローテーションなどを通じて、社員の成長をサポートしています。各種研修に関しては、専門性に加え、経営の知識を兼ね備えた人材も積極的に育成しています。

今後は、グローバルで一体となって目標を達成するために、当社グループ(日本、北米など)全体における人材ポートフォリオの構築およびより効果的・効率的な採用・育成・配置を行っていきます。

 

※2 住友ファーマが求める社員像


 

 

当社の主な取り組みについて

(ア)選抜型研修の実施

未来のリーダーや経営者を育成するため、選抜型教育研修プログラムSMP Academyを2016年7月に設立しました。若手から中堅、管理職の各層において、向上心があり潜在的能力の高い社員を選抜し、2016年度以降で644人が受講しました。約1年にわたる研修プログラムにおいては、外部講師に加えて経営陣自らも講師を務めることにより、高い視点から事業全体を俯瞰し、新たな価値を創造する構想力を養成しています。引き続き、当社グループ全体における人材ポートフォリオを意識し、選抜型研修を順次実施していく予定です。

 

(イ)グローバル人材の育成

当社では、海外子会社や海外アカデミア・研究機関に人材を派遣するなど、経験を通じたグローバル人材の育成に取り組んでいます。

さらにグローバル人材を増やすために、グローバルで通用するリーダーシップや異文化コミュニケーション力、マネジメント力の強化を図っていきます。

また、グローバルコミュニケーションの土台となる英語力については、語学学校通学補助や全社員を対象としたe-learning等を導入し、スピーキング力やライティング力についても底上げを行う予定です。

 

(ウ)新たな価値創造とオペレーション改革をDXで実践する人材の育成

当社は、2021年8月から新たな価値創造とオペレーション改革をDXで実践する人材を育成するため、DX研修をスタートしました。全社員向け、管理職向けのe-learningをはじめ、さらにハイレベルなデータサイエンスの実践知識習得を目指すコースを設定し、各種のデータやデジタルツールを積極的に活用し、さまざまな課題を解決できるデジタル人材の早期育成を目指しています。育成数の目標は、シチズン・データサイエンティスト(※3)を2024年度までに100人、シチズン・デベロッパー(※4)を2027年度までに150人としています。2024年度までの実績として、114名のシチズン・データサイエンティストと76名のシチズン・デベロッパーが誕生しました。

※3 データ利活用による価値創出の起点となる人材

※4 デジタルツールを用いて職場での業務効率化を自律推進できる人材

 

(エ)タレントマネジメントによる戦略的人員配置と採用

当社は、タレントマネジメントシステムを導入・運用し、人材(タレント)が、どのようなスキルや能力を持っているのかを一元的に把握・管理しています。将来の事業を見据え、求められる能力を特定し、タレントマネジメントシステムのデータを利用することで、計画的な人材育成と最適な人材配置を行い、経営目標を達成します。

また、蓄積した情報を基にピープルアナリティクスを実践し、人事領域における施策の意思決定を加速化し、社員の成長を促す因子やエンゲージメントに寄与する因子の探索を行っています。

今後は、解析したデータを活用することで社員の持つ才能をスピーディに開花させ成長を加速し、組織成果を最大化する人事施策の実現を目指した取組を進めていきます。

 

(オ)研究プロジェクト制導入による人材育成

当社は、革新的新薬の創出を加速するために研究プロジェクト制を導入しています。これは研究テーマを発案した熱意ある研究者を研究プロジェクトリーダーとして任命し、研究プロジェクトリーダーがチームメンバーとともに研究の前期から後期まで一貫して研究プロジェクトを中心的に推進するというものです。研究プロジェクトリーダーには年齢や経験を問わず、予算執行や人事評価の権限を与え、裁量権を持って研究プロジェクトをマネジメントすることで成果創出、人材育成に繋げています。これまでに研究プロジェクト制のもとで創出された10剤の臨床移行を達成し、現在も15以上の研究プロジェクトが進行中です。2017年10月以降、43人の研究プロジェクトリーダーを輩出しています。

 

 

(社内環境整備方針)

当社では、社員一人ひとりが持てる能力を十分に発揮することが理念の実現に不可欠であると捉えています。そのため、性別や国籍などの属性にとらわれることなく、能力を発揮したいと望むすべての人に活躍の機会を提供していくことが重要と考え、多様な人材の活躍を推進し、多様な働き方を選択できる制度を整えています。

 

当社での主な取り組みについて

(ア)挑戦する風土づくり

当社では、社員の主体性に基づいた仕事への挑戦を促すため、自己申告制度と公募による異動を導入しています。自己申告制度では、自己申告書に基づき、上司は部下一人ひとりとキャリア面談を実施し、社員の個別の状況やキャリア志向を把握することにより、長期的な育成計画を立案し、能力の向上を図っています。また、公募による異動については、自らの希望が公募で叶うことにより仕事への高いモチベーションの維持や意欲ある社員の異動による組織の活性化などの成果があがっています。

 

(イ)多様な人材の活躍の推進

(女性活躍推進)

当社では、性別に関わらず活躍できる環境の整備を推進しています。女性のキャリアアップのための研修等を実施するとともに、女性の就労継続や育児休業からの早期復職を目的に育児短時間制度や認可外保育所利用補助、MR地域選択制度などを導入し、仕事と育児の両立支援をサポートしています。また、「女性は育児、男性は仕事」といった無意識の固定観念や無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)を解消し、性別に関わらず仕事と育児を両立させ、互いに助け合う風土を醸成することを目的に男性の育児休業の取得や男性の育児への参画を推進しています。育児休業の10日間有給化や男性社員に向けた育児休業説明会を開催するなどの取組を実施し、2024年度の男性の育児休業取得率は100.0%と2022年度以降、継続的に100%を達成しています。

また、2027年度までに女性管理職比率を20%以上(2025年4月1日時点:女性管理職比率15.0%)にすることを目標とし、女性リーダーの育成にも注力してまいります。将来的には、社員構成に占める男女割合と管理職に占める男女割合が同程度になることを一つの目標として考えています。

 

(性の多様性に関連する理解促進)

当社は、性的指向、性自認に関する差別的言動を行わないことをコンプライアンス行動基準に明記し、LGBTQなどの性の多様性に関連する理解促進に取り組んでいます。全社員を対象とした研修やセミナーを開催するとともに、多様なセクシュアリティに関する相談窓口の設置や2020年4月からは社宅や慶弔などの各種制度で同性パートナーを配偶者と同等に扱う同性パートナーシップ制度を導入しています。

 

(障がい者の活躍推進)

当社では、障がいの特性に配慮しつつ、個人の能力を活かす人員配置を行うことを基本としており、様々な部門で障がいのある社員が活躍しています。また、精神障がい者の自立を支援するために設立した特例子会社「ココワーク」では、葉物野菜の太陽光型水耕栽培に取り組んでいます。

 

 

(治療と仕事の両立支援制度を整備)

当社では、社員が病気やけがなどで就業が困難な際には病気休職制度を利用し、安心して治療に専念できるよう支援してまいりました。一方で、医療の進歩や在宅勤務制度の充実等により、病気やけがとうまく付き合いながら治療と仕事を両立させていくことが可能なケースも増えてきました。そこで2024年4月から、病気やけがと向き合いながらも意欲・能力がある社員が適切な治療を受けながらいきいきと働き続けられたり、不妊治療などにおいて治療の機会を逃したり、治療の必要性を理由として働くことを諦めたりすることがないように、治療と仕事の両立を支援するための制度を整備いたしました。また、治療と仕事の両立に関する相談窓口を設置し、個別の悩みについてもサポートしています。

 

導入制度 事例;

治療と仕事の両立支援制度

・通院休暇:病気やけが、不妊の治療計画にそって、あらかじめ計画された入院や検査、治療に伴う副作用に対応するために5日/月(50日/年を上限)まで10分単位で取得可能な休暇制度を導入しました。

・短時間勤務・業務量軽減措置:病気やけがの治療状況や体調に合わせて、1日につき2時間を限度とした労働時間短縮、または業務量を10%または20%軽減できる制度を導入しました。

・在宅勤務制度の柔軟な対応:病気や治療等により、出社は難しくても在宅勤務であれば働くことができる場合に、在宅勤務の上限日数(12日/月)を超える在宅勤務を一時的に認める制度を導入しました。

 

(ウ)健康経営

当社が理念を達成するためには、社員一人ひとりが心身ともに健康で、いきいきと仕事に取り組める職場づくりが大切です。また、社員自らが、自身とその家族の健康維持・増進に努めることで、仕事と仕事以外の生活の充実を図ることが重要であると考えています。

 

当社は、2017年10月に健康宣言“Health Innovation”を策定し、2021年から健康経営施策の内容と取組状況およびその成果を掲載した「健康白書」を毎年作成し、2022年から公表しています。当社は、すべての社員とその家族の健康で豊かな生活の実現に組織一丸となって取り組んでおり、2025年3月には9年連続となる「健康経営優良法人2025(大規模法人部門(ホワイト500))」の認定を受けています。

詳細は、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/social/workplace_environment.html

 

イ.指標と目標

「ア.戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。当該指標に関する目標と実績は、次のとおりです。

 

人的資本と多様性に関する目標及びKPI

指標

KPI目標値

実績値

関連取組

選抜型研修受講者数

毎年80名(※5)

72人(2023年度)

人材育成方針(ア)

デジタル人材・データサイエンティスト数

2024年度までにシチズン・データサイエンティスト100名

114人
(2025年3月31日時点)

人材育成方針(ウ)

2027年度までにシチズン・デベロッパー150名

76人
(2025年3月31日時点)

女性管理職比率

2027年度までに20%以上(※5)

15.0%
(2025年4月1日時点)

社内環境整備方針(イ)

 

※5 住友ファーマ単体としてのKPI目標

 

 

(2) 環境への取組

当社は、2021年11月にTCFD提言への賛同を表明し(※6)、気候変動に関するリスクと機会について、TCFD提言に沿った取組を進め、2022年4月に情報開示を行いました。情報開示以降、継続的に取組の深化を図り、気候変動への備えを確かなものとすべく、開示情報に基づくステークホルダーとの対話を推進しています。今後もステークホルダーとの対話を大切にし、様々な視点から気候変動によるリスクと機会を見つめなおし、「緩和」と「適応」の両面から考えることで、より一層のリスク低減を図るとともに、的確に機会を捉えていきます。当社のマテリアルイシューの一つである「環境への取組の推進」には、気候変動対応の推進も含みます。当社は気候変動が当社事業に与える財務インパクトを意識し、リスク・機会への対応を経営戦略に反映します。

※6 次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/20211102.html

 

ア.ガバナンス

上記、「1.サステナビリティ全般」に記載した内容に加え、GHG(温室効果ガス)排出量削減のような当社グループまたは部門横断的な取組が必要な気候変動に関連する課題については、環境管理体制(※7)のもと、環境安全委員会において議論を行い、中長期環境目標(※8)に落とし込んでいます。また、GHG排出量削減に資する設備投資(カーボンニュートラル投資)等を計画的に実施しています。環境管理体制における気候変動への取組は、サステナビリティに関する取組の一つとして取締役会に報告され(年1回以上)、必要な場合、専門家から助言を受ける機会を設けます。

※7 次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/environment.html

※8 次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/goals_performance.html

 

図1 気候変動リスク/機会の「ガバナンス」体制図


 

 

イ.戦略

当社は、気候変動によるリスクと機会について一次評価として影響度(※9)と可能性(※10)の2つの側面から評価し、その組み合わせによって、重要度のランクをⅠからⅤの5段階に分類しています(図2)。その際、「影響度」については対策の進捗度合いを考慮して評価しています。一次評価によってランクが「Ⅲ」以上となったリスクと機会については、1.5℃シナリオ(※11)および4℃シナリオ(※11)を参考に作成した当社の評価用シナリオ(1.5℃および4℃)(※12)を用いて、より詳細な二次評価を行い、二次評価によって特定された重要なリスクと機会については、できるだけ具体的な内容を想定して財務インパクトを推定し、対策を推進しています。

※9 影響度は、経済的影響、人身への影響、風評信用等、事業への影響のいずれかの観点で評価。

※10 可能性は、1年(短期)、3年(中期)、10年(長期)を時間軸として発生頻度で評価。

※11 IPCCIntergovernmental Panel on Climate ChangeAR6<RCP1.9およびRCP8.5>
IEAInternational Energy Agency) World Energy Outlook 2024<NZEおよびSTEPS>、
環境省等による各種予測値および周辺情報

※12 1.5℃シナリオは、「サステナビリティが重視され、脱化石燃料化に向けた法規制や技術開発が進んだ世界」を、4℃シナリオは、「利便性や効率性が重視され、水害などの気候関連リスクがより高まった世界」を想定。

 

図2 リスクマップ


 

 

表 <気候変動によるリスクと機会>

シナリオ

リスクの分類

リスクの内容

財務

インパクト

対策

1.5℃/
4℃

共通

物理的

リスク

急性

台風や豪雨に起因する洪水、浸水、土砂災害等によって、原材料や購入品の供給および当社製品の販売や供給が途絶する。

―(※13

適応

BCPを策定し、安定供給体制を強化する。

・製品在庫の適正化により、供給途絶を回避する。

・調達先の複数化により、安定調達に貢献する。

1.5℃

移行

リスク

政策・

法規制

炭素税の導入により、
CO2排出量に応じた税負担が生じる。

約11億円/年
(※14)

緩和

2050年度目標(※8)の達成に向けた諸施策の実施

・長期目標の達成に向けて強化した2030年度目標(※8)を達成する。

・計画的な非化石エネルギーへの転換を継続する。

・計画的なカーボンニュートラル設備投資を継続する。

・省エネ対策を継続する。

市場

炭素税の導入により、調達や配送等の費用およびエネルギー関連費用が上昇する。

約64億円/年
(※15)

緩和

GHG削減に向けて、サプライヤーを含むビジネスパートナーに働きかける。

・技術開発や業務効率化による省資源や省エネに継続的に取り組む。

 

 

シナリオ

機会の分類

機会の内容

財務
インパクト

対策

1.5℃/
4℃

共通

機会

資源
効率

水使用量の削減によってコスト削減できる。また、上水の供給過程や排水の処理過程で発生するGHGの削減や、取水源の保護による生態系維持等に間接的に寄与できる。

小(※16)

緩和

2030年度目標(※8)の達成に向けた諸施策の実施

・一部設備の蛇口への節水ノズル設置などを実施済み。今後も積極的に取組を進める。

 

※13 災害規模および影響を受ける品目により異なる。

※14 IEAによる2030年の先進国炭素価格仮定値140USD/t-CO2(以下「炭素価格仮定値」)を採用し、2023年度のCO2排出量約54,000t(連結ベースのScope1+2の排出量)(*1)に乗じて算出。なお、為替レートを150円/USDと仮定。

*1 集計対象は、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/global_warming.html
(「低炭素社会構築への貢献」)

※15 炭素価格仮定値を採用し、2023年度のScope3カテゴリ1「購入した製品・サービス」およびカテゴリ4「輸送、配送(上流)」のCO2排出量約306,000t(*2)に乗じて算出。

*2 集計対象は、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/global_warming.html
(「低炭素社会構築への貢献」)

※16 間接的な寄与についての試算が困難なため、定性的に記載。

 

 

ウ.リスクと機会の管理

(ア)気候変動リスクと機会を識別、評価するプロセスおよび総合的リスク管理への統合

当社は、気候変動によるリスクと機会を識別・評価するプロセスをリスクマネジメント推進体制に統合しています。リスクマネジメント推進体制では、年度ごとに国内外のグループ会社を含めた全部門にリスクアセスメントを実施、その結果を集約して重要なリスクを特定しています。気候変動についても、このアセスメントでリスクと機会の抽出および評価を行い、中長期的に当社に影響を与え得るリスクの一つと捉えています。

 

(イ)気候変動リスクと機会を管理するプロセス

気候変動リスクと機会については、リスクマネジメント推進体制と環境管理体制が連携して対策を立案、年度計画を立てて取り組み、進捗を毎年評価しています。例えば、物理的リスク「急性」に該当する自然災害(台風・豪雨・洪水)についてはリスクマネジメント推進体制が中心となってBCP(事業継続計画)の策定などを推進し、移行リスク「政策・法規制」に該当する炭素税の導入に備えたGHG排出量削減については環境管理体制が中心となって中長期環境目標を立案、目標管理を行っています。

 

エ.指標と目標

当社は、個々のリスクと機会について、上記の表<気候変動によるリスクと機会>に示したとおり、「緩和」と「適応」の両面から考え、適切に対策を講じています。移行リスク「政策・法規制」に該当する炭素税のリスクについては「緩和」の面から、定量目標を設定してGHG排出量の削減に取り組んでいます。Scope1+2については2022年度に目標を引き上げ、「2030年度までにGHG排出量(Scope1+2)を、2020年度比で42%削減する」としました(※17)。また、当社のGHG排出量の約90%を占めるScope3についても「2030年度までにGHG排出量(Scope3カテゴリ1(購入した製品・サービス))を、2020年度比で25%削減する」目標を設定しました(※17)。これらのGHG排出削減目標はSBTiScience Based Targets initiative)の認定を受けており、パリ協定の求める水準と整合する科学的根拠に基づく目標です。

 

重点課題

目標

指標

実績

(2023年度)

カーボンニュートラル

温室効果ガス(GHG)排出量を削減し、カーボンニュートラルを目指す。

2050年度までにGHG排出量(Scope1+2)をゼロにすることを目指す。

53,920 t-CO2

(2020年度比 約26%削減)

2030年度までにGHG排出量(Scope1+2)を2020年度比で42%削減する。

2030年度までにGHG排出量(Scope3カテゴリ1)を2020年度比で25%削減する。

2020年度比 約21%増加

(※18)

 

 

 

一方、物理的リスク「急性」に該当する自然災害(台風・豪雨・洪水)については「適応」の側面から、BCPの策定(※19)、製品在庫の適正化、調達先の複数化を推進し、一部は完了しています。また、BCPについては年1回の訓練を通じて課題抽出・改善を行って、実効性を高める取組を実施しています。機会については、中長期目標に沿った水使用量の削減(※20)に継続して取り組むとともに、当社でも研究開発を行っている感染症領域への気候変動による影響を引き続き注視していきます。

※17 GHG削減目標の進捗およびScope3排出量については、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/global_warming.html
(「低炭素社会構築への貢献」)

※18 販売する製品の構成が大きく変化したため増加(算出方法:二次データに基づく)。

※19 BCPの策定等については、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/profile/compliance_risk-management/risk_management/
(「リスクマネジメント」)

※20 水使用量削減目標の進捗については、次のリンク先をご覧ください。

https://www.sumitomo-pharma.co.jp/sustainability/environment/resource_saving.html
(「省資源の取組」)

 

図3 GHG削減のロードマップ