人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数5,026名(単体) 7,778名(連結)
-
平均年齢42.0歳(単体)
-
平均勤続年数15.0年(単体)
-
平均年収12,073,828円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2024年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。
2.当社グループは、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、グループ全体での従業員数を記載しております。
(2)提出会社の状況
2024年12月31日現在
(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。
2.当社は、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、当社全体での従業員数を記載しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社グループには、当社及び国内関係会社(株式会社中外医科学研究所、株式会社中外臨床研究センター、中外製薬工業株式会社、中外製薬ビジネスソリューション株式会社)を対象とした中外製薬労働組合が組織されており、2024年12月末現在の組合員数は4,727名であります。労使は、相互信頼をベースとした協力的な関係を維持しております。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
<男女の賃金差異について>
・当社は、年齢・属性に捉われず誰もが活躍でき、役割・成果に応じたメリハリのある評価・処遇を実現することを目指した人事制度を導入しており、処遇は男女同一であり、現在生じている賃金差異は職務、等級、年齢構成の違いによるものです。
・管理職においては、職務等級制度導入により、ポジションに基づき賃金が決まることから、93.7%と平均年間賃金の差異は小さく、役職の各階層においては90%を超える水準となっています。
・一般職の賃金差異(85.0%)の主な要因は、ライフイベントによる男女の育児休業・育児短時間勤務取得状況の差や、時間外勤務手当等の差異によるものです。特に、育児休業・短時間勤務取得者の割合が多いG3(86.1%)においては、その影響が大きく現れています。当社では、男性の育児参画に向け、育児休業の長期取得に関する目標を設定すると共に、継続的に意識啓発や環境整備に取り組んでおり、男性の育休取得平均日数は増加しています。(2023年:21.4日⇒2024年:31.5日)
・差異の解消に向けては、女性マネジャーの積極的な登用やキャリア形成支援等、継続的に女性活躍推進の取り組みに注力しています。女性活躍推進の目標及び取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。
・2025年から導入した新人事制度では、既に管理職に導入済みの職務等級制度を一般社員にも拡大し、ジョブポスティングの仕組みと組み合わせることで、社員が年齢や属性に関係なく、自らのキャリアをデザインし、その実現に向け、より挑戦できる環境を整備しました。
(注)1.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。
2.マネジャーに占める女性労働者の割合(%)は、部下のいる管理職(マネジャー)、プロジェクトリーダー、高度専門職等のポジションを担う者であり、当社基準で算出しています。対象は中外製薬株式会社及び連結子会社を含めた人数です。
3.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。
4.男性労働者の育児休業取得日数(日)は、「公表前事業年度に復職した労働者の平均育児休業取得日数」を算出しています。
分子:公表前事業年度に育児休職を終了し、復職した労働者の合計育児休業取得日数(日)、分母:当該育児休業取得人数(人)
5.労働者の男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。
・育児休業取得者、短時間勤務者(パートタイマ―を含む)の労働時間の補正は行っていません。
・一般職には4つの等級(G1~G4)があります。
・その他雇用労働者は、契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマーです。
・2024年内の海外勤務者、及び入社者(キャリア入社者、新卒入社者、転籍者)は含めていません。
・2024年12月末付の労働者数に基づき算出しています。
② 連結子会社
<男女の賃金差異について>
・各グループ会社における男女の賃金差異に関する理由・背景については、上記の中外製薬株式会社と同様です。
(注)6.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。
7.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。
8.労働者の男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。
・育児休業取得者、短時間勤務者(パートタイマ―を含む)の労働時間の補正は行っていません。
・その他雇用労働者は、契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマーです。
・2024年内の海外勤務者、及び入社者(キャリア入社者、新卒入社者、転籍者)は含めていません。
・2024年12月末付の労働者数に基づき算出しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。詳細につきましては当社ホームページをご参照下さい。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
中外製薬ウェブサイト「サステナビリティサイト」(2024年活動情報は2025年5月頃公開予定)
https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/index.html
(1)サステナビリティ課題全般
① ガバナンス・リスク管理
当社のサステナビリティ全体の責任者は、取締役会ならびに経営会議の議長である代表取締役 CEO が担当しており、全社の経営戦略及び業務執行上の重要な意思決定は経営会議で行っています。また、執行面の責任については経営会議メンバー全員が関与・コミットする体制となっています。具体的かつ専門的な事案については、経営会議の諮問機関として四つの委員会が推進する体制となっています。地球環境保全をはじめとするサステナビリティ全体に関する事項の俯瞰的・統合的な方針や戦略の策定ならびに実行についてはサステナビリティ委員会、法令順守や各種コンプライアンスに関連することはコンプライアンス委員会、リスクマネジメントについてはリスク管理委員会、サステナビリティに関するコミュニケーションについては広報IR委員会で議論する体制となっています。各委員会の委員長は、いずれも経営会議のメンバーで構成されています。
② 戦略
当社は、サステナビリティを事業活動の中心に据えて社会課題の解決をリードし、その活動を通じて創出される価値をさまざまなステークホルダーと共有し、社会と共に発展する「共有価値の創造」を経営の基本方針としています。
私たちの掲げるミッションは「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献すること」です。そのミッションに基づき、私たちだからこそ生み出せるイノベーションで、「患者中心の高度で持続可能な医療」を実現することによって共有価値を創造します。この経営の基本方針に基づき、当社の価値創造のプロセス全体を表現したのが「価値創造モデル」です。
価値創造の源泉を活用しながら、サステナビリティを含む経営上の重要な課題を整理し、経営の方向性や方針を定める上での基軸(重要な要素)となるのがマテリアリティ(重要課題)です。当社は、2019年に初めてマテリアリティ(重要課題)を特定しました。以降、社内外との対話を通じ、社会からの期待・要望や戦略の進捗のもと、随時アップデートし、価値創造戦略の基盤として活用してきました。
2024年には、ダブルマテリアリティ(環境や社会が企業に与える影響(財務マテリアリティ)と企業活動が環境や社会に与える影響(インパクトマテリアリティ))の考え方に基づき、リスクと機会を分析し、総合的にマテリアリティの見直しを行いました。見直しにあたり、医療関係者、患者団体、アカデミア、金融市場関係者、公益財団法人、NGOなど、幅広い外部ステークホルダーからの視点を積極的に取り入れると共に、事業活動を取り巻く将来の環境動向・リスクを踏まえ、当社が社会から期待され、求められている課題を網羅的に抽出しました。また、将来にわたる事業環境の展望・分析に加え、サステナビリティに関するグローバルなイニシアチブであるSDGs、GRI(Global Reporting Initiative)、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)などを活用したギャップ分析を実施し、当社が十分に満たせていない事項なども精査して取り入れ、マテリアリティを価値創造の方針を考える基軸ととらえ直し、従来の26項目から、16項目の重要課題を特定・集約しました。また、「Challenges」、「Co-creation」、「Commitments」という3つの軸によるストーリーとして整理しています。
「Challenges」として、独自のサイエンス力と技術力、新たな発想で、革新的な医薬品とサービスの創出へ挑戦します。その挑戦を支えるべく、「Co-creation」として、ロシュをはじめ多様なパートナーと真に求められている新しい価値を共創します。そして、「Commitments」として、持続可能な社会に向け、ヘルスケアを中心とした社会課題の解決に取り組み、誠実かつ先進的に行動します。これら3つの軸による価値創造を進めることにより、患者中心の高度で持続可能な医療を実現していきます。
これら重要課題を踏まえて、当社が中長期で目指す姿として、2030年のトップイノベーター像を策定し、その実現に向けた成長戦略として「TOP I 2030」を設定しています。成長戦略についての詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
③ リスク
当社が考えるサステナビリティに関する主要なリスクについては、全社リスクマネジメントプロセスの中で可視化して、特定しています。当社ではリスクを、経営戦略に関連する潜在リスク(戦略リスク)と事業遂行におけるリスク(オペレーショナルリスク)に分類しています。その中でも、サステナビリティに関するリスクとしては、制度・規制・政策に関連するリスク、ITセキュリティ・情報管理に関するリスク、大規模災害、サプライチェーン、パンデミックなどの外部環境の動向に左右される事項、ならびに人権や地球環境問題などの企業市民としての社会的責任が大きい事項について、注視して取り組んでいます。
当社の考えるリスクの詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。
④ 指標及び目標
当社では重要課題について、外部環境の変化や、戦略の進捗、社会からの要請を踏まえて定期的に見直しを行い、それらを加味した単年度計画を立案し、進捗を管理することで、機動的な戦略遂行・計画の修正を行っています。
また、経営の基本方針である「共有価値の創造」のプロセス全体を表現した価値創造モデルを策定しております。価値創造における重要指標についてモニタリングを加えた上で、戦略の進捗ならびに外部環境変化の評価に基づき、機動的な資源配分の見直しや経営計画の修正を行い、目指す姿の実現に向けてアジャイルな対応を図っています。
価値創造モデルにおいては、価値創造の源泉となる経営資源(資本)を整理しています。具体的には、①人財(人的資本)、②技術・知的財産(知的資本)、③ロシュや外部との協働(社会関係資本)、④製薬・設備(製造資本)、⑤環境・エネルギー(自然資本)、⑥財務・経営関連(財務資本)の6つを重要な源泉としており、それぞれに現状を定量・定性の両面から捉え、それを踏まえた重点テーマと課題を特定、認識し、対策を進めています。その中で、とりわけ重視しているのが、イノベーションを起こし、当社の価値創造の原動力となる人的資本と、事業を支える重要な基盤となる自然資本です。
(2)人的資本への取り組み
① 人財マネジメント方針
当社では、患者中心の高度で持続可能な医療の実現を目指す上でカギとなるのは「人財」だと考えています。イノベーションを起こすのは人財であり、社員一人ひとりが価値創造の原動力だからです。当社の成長戦略「TOP I 2030」で掲げる「R&D アウトプット倍増」、「自社グローバル品 毎年上市」という高い目標を達成するためには、今まで以上に人財の「個」の力を高める必要があると考えており、自律型人財、すなわち、会社のビジョンと、自身のパーパスをシンクロさせ、主体的に考えながら周囲を巻き込んで事業を推進できる人財の育成は極めて重要な課題と捉えています。そのような人財を「輝いている個」と定義し、輝いている個が増えイノベーションが生まれるよう、人財マネジメント方針に基づき様々な人事施策を講じています。特に、2025年1月からは新人事制度を導入し、ジョブ型人事制度の拡大やジョブポスティング制度の導入、高度専門ポジションの拡充、雇用上限年齢の撤廃を進めることで、「個」の成長・挑戦を一層加速させながら、3つの個(描く・磨く・輝く)を実現し、個が変わり(輝いている個の増加)、会社が変わり、ひいては中外グループ全体の成長に繋がることを目指しています。
② 人的資本の向上に向けた戦略
人財の価値を最大限に引き出すために、当社では人財マネジメント方針に基づき以下戦略を実行しています。
・個を描く
「社員一人ひとりがキャリアを描き、未来の自己実現と「TOP I 2030」とをシンクロさせる」ことをテーマに掲げ、次世代経営人財とサイエンス人財やデジタル人財等の高度専門人財の発掘・採用・育成に力を入れて取り組んでいます。本取り組みを通じて、志を持って挑戦し続ける人財、Core Valuesを体現する人財、主体性のある人財を増加させることを目指しています。社員が主体的にキャリアをデザインし、その実現に向けて成長・挑戦することを、より一層後押ししていきます。
・個を磨く
「社員の自主性を尊重し、社員が挑戦し、自律的な学びや専門性を強化する」ことをテーマに掲げて、イノベーションを生み出すためには、個々のスキルアップと社員の挑戦を後押しする仕組みが不可欠です。成長実感を促す人財育成、社外ネットワーク機会の創出、次世代経営人財の計画的な育成などができる体制の強化を目指しています。自律的に挑戦・学習し自らの専門性を磨き続ける人財を支援すべく、ラーニングマネジメントシステムである「I Learning」による学びの強化、社内外における交流機会の創出に注力しています。特に、戦略的提携アライアンス先であるロシュ社との人財交流は当社ならではの取り組みであり、育成への投資に継続的に取り組んでいきます。
・個が輝く
「社員が自身の力を最大限に発揮し、挑戦によって成長が実現できる環境を整える」ことをテーマに掲げて、環境の整備を推進し、挑戦を促す風土、自律支援型マネジャー、多様性を活かすDE&Iの推進の備わった組織文化を醸成し、それらをより強固なものとすることを目指しています。具体的には、働きがい改革やDE&Iの推進、「Check in(上司と部下の1on1)」を通じた自律支援型マネジメントの実践のほか、2025年1月から導入された新人事制度では、自ら手上げで異動先を決められるジョブポスティング制度を導入し、社員自らがキャリアを描き、主体的に実行できる仕組みにして、社員一人ひとりの挑戦や成長を後押ししていきます。
このように、社員一人ひとりが自身の力を最大限に発揮し、イノベーション創出が促進されるための環境づくりを目指し、以下に取り組んでいます。
・「挑戦・成長」を推奨する組織文化の醸成
「TOP I 2030」の実現に向けて、部門や職種、職位の違いに拘わらず自由闊達に議論する文化への変革を目指しています。その一環として、社員の自発的な手上げによる社内公募制の拡充や挑戦した人への称賛の声を届けるリコグニションシステム「ChuLiP」の導入など、社員の挑戦を後押しする仕組みづくりを行っています。また、新人事制度においてジョブポスティングを導入し、手上げによる人事異動を拡充し、社員の挑戦・成長を一層後押しします。
・働きがい改革の推進
2022年より多様な社員一人ひとりの自己実現を目指して、自律的で柔軟性の高い働き方や主体的な行動による能力発揮を支援する「働きがい改革」を進めています。社員一人ひとりの「働きがい」を高めるべく、キャリア自律や成長支援による「社員エンゲージメント向上」と時間と場所の柔軟性の高い働き方や上司・部下の「Check in(1on1)」での対話を通じた関係構築や成長・挑戦の後押し等による「多様な社員が活きる環境づくり」を両輪で推進し「TOP I 2030」実現に向けて輝いている個の更なる増加を図り、グローバル好業績企業と同水準を目指します。
・DE&Iの推進
「多様な価値観や専門性から革新は生み出される」を共通認識とし、異なる考え方やアイデアを尊重し合いながら、多様な人財がそれぞれ最大限の力を発揮し、インクルーシブな組織文化を醸成することで、共に挑戦し、イノベーションの促進を目指しています。この実現に向けて、環境整備や社員の意識醸成、組織文化醸成に関わる様々な取り組みを推進しています。女性活躍推進においては、女性を含め多様な人財が当たり前にビジネス上のあらゆる場面に参画し、意思決定の多様性を広げると共に、活躍できる状態を目指し、2030年末に全ての階層における女性マネジャー比率を社員比率と同水準とすることを目標に掲げ、推進を加速していきます。また、育児や介護、健康課題等と仕事の両立、LGBTQ、障がい者雇用といった社員一人ひとりを取り巻く様々な課題に取り組むことで、多様な社員が生き生きと活躍し、主体的に挑戦・成長できる環境づくりに継続して注力しています。
・健康経営の推進
健康経営を働きがい改革の土台として位置づけ、「社員の自律的な健康管理」と「会社の積極的な働きかけ」にも注力しています。特に、従業員の健康の観点では、喫煙率、がん再検査受診率、高ストレス者面談希望率(希望者/受検者)を重要指標として設定し、進捗のモニタリングを行いながら、誰もが充実して働き続けていくことを目的に様々な取り組みを加速させていきます。
③ 主な指標とその進捗
人的資本の向上に向けた主な施策と指標は以下のとおりです。
*1 入社数ベースの数での算出
*2 グローバル好業績企業を100とした時の当社の状況
*3 3年以内の候補者数合計をキーポジション数で除して算出
(3)気候変動への取り組み
① 環境保全活動に関する考え方
環境保全活動はすべての事業活動を支える重要な基盤であり、長期的視点で環境リスクを低減するだけでなく将来コストの低減、イノベーションを生み出す施設・設備体制構築にもつながるため、企業価値向上に大きく影響するものと考えています。世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な「中期環境目標2030」を掲げ、ロシュや外部パートナーとの連携による革新的な環境保全活動とエビデンスに基づく能動的な情報開示により、環境課題の解決をリードする世界のロールモデルを目指していきます。
② ガバナンス・リスク管理
環境保全活動に関する課題については、サステナビリティ委員会において十分な審議を行った上で、経営会議や取締役会において議論しています。環境保全活動の業務執行の責任は、経営会議メンバーであり、サステナビリティ委員会の委員長である担当執行役員が担っています。担当執行役員は、経営会議で意思決定された事項に基づいて、環境保全活動業務執行の監督を行っています。
環境リスクの管理については、リスク管理委員会が、環境保全活動を含む全社に影響を及ぼすリスクの特定及び対策を策定した上で経営会議や取締役会において議論しています。リスク管理委員会は、気候変動リスクを含むグローバル及び国内のリスクマップを作成し、特に経営に大きな影響を与えるものを全社リスクとして特定し、対策を検討しています。
気候関連リスクは、リスクマップの11の主要なリスクカテゴリのうち主に、「自然災害」「バリューチェーン」「環境と安全性」で特定され、当社のERM(Enterprise Risk Management=全社的リスクマネジメント)において、それらリスクの識別・評価・管理しています。
環境リスク管理の責任は、経営会議メンバーであり、リスク管理委員会の委員長である担当執行役員が担っています。担当執行役員は、経営会議で意思決定された事項に基づいて、リスク管理システムの監督を行っています。
気候変動に関連する取り組みについては、2020年1月に気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しており、TCFDで推奨されているフレームワークに沿って情報開示を行い、ステークホルダーとの対話にも活用しています。
③ 戦略
当社は2030年に到達を目指すトップイノベーター像とそれを実現するための新たな成長戦略「TOP I 2030」を策定しています。その実現に向けた「成長基盤改革」の重点分野の一つに「サステナビリティ・環境」を設定し、2030年を最終年とする「中期環境目標2030」を推進しています。「中期環境目標2030」では、環境課題分析からマテリアリティとして特定した気候変動・エネルギー対策、資源の循環促進・適切な水管理、生物多様性保全に基づき、以下3つの課題を重点分野として定め、積極的に環境保全活動に取り組んでいます。
・気候変動対策
世界的な環境コンセンサスと比較してよりチャレンジングな目標を掲げ、温室効果ガスの排出量の削減とエネルギーの効率的使用の実現に向けて、ロシュをはじめ外部パートナーやアカデミアとの連携による新たな環境対策の創出及び推進により、2030年フロン排出量ゼロ、2050年CO2排出量ゼロに取り組みます。
・循環型資源利用
廃棄物全体の削減目標だけでなく、主な海洋汚染源であるプラスチック廃棄物の削減についても目標を設定し、環境に配慮したプラスチックの共同技術開発やサーキュラーエコノミーに基づく事業活動の推進を通じ、廃棄物ゼロエミッションの実現に向けて取り組みます。加えて、水は製薬にとって重要な原材料の一つであり、世界的にも重要な資源であることから、水の使用量の削減・汚染防止に取り組みます。
・生物多様性保全
かけがえのない地球を次世代につなぐため、自然資本の保全・回復への取り組みに加え、研究開発型の製薬企業として多くの化学物質を取り扱っているため、事業活動における環境インパクトに応じた独自の目標を設定し、製品製造プロセスの検証も含めた有害化学物質削減に取り組みます。
④ 気候変動に関するリスクと機会のシナリオ分析結果
CO2排出量は事業から直接排出される排出量(Scope 1、Scope 2)は少なく、大半はサプライチェーンから排出される排出量(Scope 3)が多いことが特徴です。このような認識に基づき、シナリオ分析を実施しました。
・シナリオ分析の前提条件
中外製薬は、気候変動対策を検討するにあたって、脱炭素社会への移行に向けたシナリオについて国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示す脱炭素への取り組みが進んだシナリオ(1.5℃)と緩和対策なく現状のまま社会が進むシナリオ(4℃)のそれぞれにおいて、どのようなビジネス上の課題が顕在化しうるかについて、全社を対象にシナリオ分析を行いました。
分析を行う対象は中外製薬グループ全体とし、原料調達を含めたサプライチェーン全体を考慮しています。また、当社では、シナリオを想定する上での時間軸としてはIPCCが報告書等においてマイルストーンとして設定する2030年ならびに2050年を見据えた分析を行っています。
・シナリオ分析の結果を受けての方向性
シナリオ分析の結果、特定された気候変動に伴う当社のリスクと機会は以下の通りです。特定されたリスクと機会を踏まえて、当社としては気候変動対策を積極的に推し進めるとともに、戦略や目標の設定において活かしていきます。
⑤ 指標及び目標
当社は、中長期的な視点をもって環境保全活動を推進しており、2020年に前中期環境目標の結果分析や社会からの期待・要望の変化を踏まえ、より長期視点かつ包括的で、ロシュ・グループの環境目標とも整合性を持たせた意欲的な「中期環境目標2030」を策定しています。
また、中期環境目標2030の達成に向けて、ビジネスの成長に必要な投資枠(成長投資)とは別に、環境投資枠(環境投資)を設定し、2022年から環境投資額を試算しています。環境負荷が相対的に大きい研究本部、製薬技術/生産技術本部における環境投資額は、累計で1,095億円と試算しています。2024年度の実績は、下記ページにて2025年5月頃公開を予定しています。
「環境投資」ページ
https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/environment/investment.html
・気候変動対策に関する2023年の実績
Scope 1及び2のCO2排出量削減については、ロードマップに基づいたサステナブル電力の積極的な導入や営業車両燃料の電力化など具体的な施策を推進したことにより、国内拠点のサステナブル電力比率は、2023年に100%(購入済みのグリーン電力証書・非化石証書の活用分も含む)を達成しました。中期環境目標2030の実現に向けて、設備の電力化を推進するとともに、化石燃料と再生エネルギー由来の電力使用量の最適化などによる省エネルギー対策に取り組んでいます。また、CO2排出量削減は自社だけでなくサプライチェーン全体で取り組むことが重要であることから、Scope 3のCO2排出量削減目標を設定し、CO2排出量削減目標を設定していないサプライヤーに対し、削減目標設定・推進を働きかけています。
その他の取り組みとして、エネルギー消費量削減やフロン類使用量削減を推進しています。今後、化石燃料の電化によるエネルギー消費量の増加が見込まれるため、さらなるエネルギー消費量の削減や生産計画に合わせた環境設備導入、生産プロセスの改善のほか、海外(アジア)拠点でのサステナブル電力の導入を進めていきます。また、CO2よりも地球温暖化への影響が大きいフロン類使用量については、中外LSP(ライフサイエンスパーク)横浜の一部設備に自然冷媒システムを導入するなど、削減に向け着実に取り組んでいます。
なお、上記2023年実績における温室効果ガス排出量(Scope 1、Scope 2)については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)の国際保証業務基準(ISAE)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証を受けています。2023年度のデータの詳細は、当社ホームページの「サステナビリティに関する方針、データ集2023」を参照下さい。2024年度の実績は、下記ページにて2025年5月頃公開を予定しています。
「サステナビリティに関する方針、データ集2023」ページ
https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/data/policy.html