2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,353名(単体) 2,042名(連結)
  • 平均年齢
    44.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.1年(単体)
  • 平均年収
    8,577,806円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

医薬品事業

 

合計

2,042

 

(注)1.従業員数は就業人員数であります。

2.当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,353

44.5

19.1

8,577,806

 

(注)1.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

2.前連結会計年度末に比べ従業員数が1,236名増加しておりますが、主として2023年4月1日付で、旧杏林製薬㈱を吸収合併したことによるものです。

3.平均勤続年数は、旧杏林製薬㈱等における勤続年数を通算しております。

 

(3)労働組合の状況

当社グループには、杏林製薬労働組合連合会(2024年3月31日現在 組合員数12名)、キョーリン リメディオ労働組合(2024年3月31日現在 組合員数111名)及びキョーリン製薬グループ工場労働組合(2024年3月31日現在 組合員数21名)があります。

労使関係は各組合とも良好に推移しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1,4

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)2,4

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1,4,5

全労働者

うち

正規雇用労働者

うちパート・

有期労働者

(注)3

杏林製薬㈱

6.6

30.6

69.2

73.3

48.1

キョーリン リメディオ㈱

20.5

80.0

84.9

81.1

117.2

キョーリン製薬グループ工場㈱

8.9

66.7

68.8

71.0

63.7

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3.パートタイム労働者の人員数について、労働時間を基に換算し算出しています。

4.出向者については、出向元の労働者として集計しております。

5.産育休中の労働者については、該当する期間について、集計から除外しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、時代とともに変化する社会の動き・課題を捉えながら、企業理念「キョーリンは生命を慈しむ心を貫き、人々の健康に貢献する社会的使命を遂行します。」のもと、企業行動憲章に基づく事業活動を通じてサステナビリティ課題(社会と企業の持続的発展)に積極的に対応することが、企業価値の中長期的な向上に結び付くものと考えています。この考え方に沿って、長期ビジョン、中期経営計画において、自社の強固な財務基盤や人的資源など様々なリソースを有効に活用し、コーポレート・ガバナンスを向上し事業を展開します。

 

(1)マテリアリティの抽出

当社グループは、これまでの中長期的な事業活動におけるサステナビリティを巡る様々な課題から、解決に取り組むべきと考える重要課題(マテリアリティ)を「価値創造(事業活動に直結する課題)」、「価値創造を支える基盤(事業活動の基盤に関する課題)」の観点で10項目抽出し、長期ビジョン「Vision 110」及び中期経営計画「Vision 110 -Stage1-」のもと、実践しています。

詳細は、別項「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。

 

<「価値創造」マテリアリティ>

マテリアリティ

関連する事業戦略

主な指標

1.医療ニーズに応える価値の高い製品の創出

⒜⒝⒟

臨床開発マイルストン

導入件数

2.製品価値の最大化

⒞⒟

新薬比率

主力製品の売上

3.高品質な医薬品の安定供給

⒞⒟

欠品、製品回収件数

 

 

<「価値創造を支える基盤」マテリアリティ>

マテリアリティ

関連する事業戦略

主な指標

4.人的資本の充実

働きがいアンケート主要スコア

5.多様な価値観を尊重した働き方改革の推進

女性管理職比率

男性育休取得率

障がい者雇用比率

6.健康経営の推進

健康診断/ストレスチェック受診率

7.環境に配慮した事業活動

CO2排出量削減率

8.コンプライアンスの徹底

重大な違反件数

9.コーポレート ガバナンスの強化

 

10.ステークホルダーとの関係強化

 

 

 

(2)人的資本の充実

当社グループは、「事業は人にあり」という創業者の思いから、人材の成長こそ事業の強化を支える原動力と考え、人的資本の充実に取り組んでいます。また、全社員が全ての人々の人権を尊重し、高い倫理観を持って行動することが重要だと考えています。そのためには社員一人ひとりの多様性・人格・個性を尊重し、健康への配慮や安全で働きやすい社内環境を整備します。

同時に、全社員の倫理観の高揚と成長を促し、働きがいのある企業を目指すという基本的な考え方に基づき企業経営を行います。

 

人的資本の充実においては、社員を大切にし、人と組織を活性化することが、事業戦略を遂行し成果を具現するための重要課題であると認識しています。当社グループは、「社員と会社は、双方から期待される責務を、長期にわたって継続的に果たすことを通じて、相互の利益(社員は会社の発展に、会社は社員の生活の充実・自己実現に貢献する)を実現するパートナーである」という、人材マネジメントシステムの基本的な考え方のもと、採用、配属、成長(育成)、評価、異動、報酬、福利厚生等の仕組み(制度・基準・規程など)の構築と適正な運用を推進します。

グループ各社で毎年実施している「働きがいアンケート」において、その主要スコアの上昇を目指すとともに、人材マネジメントシステムに関する意見を汲み上げ、制度の見直しや改善を行っています。

 

<戦略>

①多様な価値観を尊重した働き方改革の推進

多様な価値観を尊重し、自律的で柔軟な働き方を推進することにより、人と組織の活性化(多様な社員の自律的成長・活躍の実現、組織の生産性向上や変化への対応力強化)を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。

 

a.女性活躍推進

女性活躍推進においては、全女性社員を対象にアンケート調査を実施し、それにより特定した課題に対する対応策として、社員教育(e-learningや外部講師による講演聴講、職場ディスカッション、キャリアデザイン研修等)と多様な働き方を支援する制度の充実(在宅勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤制度、男性育児休業取得促進等)に取り組んでいます。

 

b.男性育休取得率促進

当社は男性女性を問わず、育児がしやすい、多様な働き方を尊重する企業風土を醸成するために、育児休業の取得を希望する男性社員に対し、制度や事例の紹介などを通じて取得の後押しをしています。

 

c.障がい者雇用

健常者と同様に障がいのある方も自らの能力を最大限に発揮し、適性に応じた職場に就き、自立できる社会の実現のために企業としての社会的責任を果たしていきます。

聴覚障がい者向けアプリを活用する等、障がいのある方が働きやすいと感じる職場環境の整備にも取り組んでいます。

 

②健康経営

当社グループは、企業理念の具現及び長期ビジョンの実現のためには、その根幹である社員一人ひとりの“こころ”と“からだ”の両面において健康であることが不可欠であると考え、「健康経営®」を推進すべく、2020年6月16日「キョーリン製薬グループ健康宣言」を制定しました。社員一人ひとりが自分自身の健康増進に意欲的に取り組み、いきいきと仕事に打ち込める職場環境づくりを目指します。

 

主な取り組み

a.会社と健保組合が連携し、さらなる健康増進施策を展開しています。

b.健康診断100%受診を徹底し、社員の健康保持・増進に役立てています。

c.生活習慣(喫煙、飲酒、運動習慣、睡眠、食生活)の改善を促す施策を実施しています。

d.メンタル不調の未然防止、早期発見・早期対応から復職支援及び再発防止までの対策を推進しています。

e.プレゼンティーイズム※調査を行い、健康増進施策の効果検証を図っています。

※疾病就業のこと。出社していても、何らかの不調のせいで頭や体が思うように働かず、本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態

 

 

<指標及び目標>

 

現状

指標

女性管理職比率

8.5%(2023年度)

2030年度までに15.0%

男性育休取得率

32.3%(2022年度)

50.0%以上(2025年度)

障がい者雇用比率

2.43%(2023年度)

2.7%(2027年度)

健康診断受診率

100.0%(2023年度)

100.0%

ストレスチェック受検率

97.5%(2023年度)

100.0%

タバコを吸わない社員

82.7%(2023年度)

85.0%(2025年度)

飲酒量が適量までの社員

76.2%(2023年度)

80.0%(2025年度)

1日1時間の歩行または同等の身体活動を実施する社員

46.2%(2023年度)

55.0%(2025年度)

睡眠で十分な休息がとれている社員

65.8%(2023年度)

75.0%(2025年度)

 

 

(3)気候変動への対応

当社グループは、気候変動への対応が事業の持続可能性に不可欠であると認識し、2023年4月に策定した中期経営計画「Vision 110-Stage1-」において、“環境に配慮した事業活動”をマテリアリティの一つに特定し、取り組みを強化しています。

また当社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)の提言への賛同を表明するとともに、TCFD提言に基づき、気候関連リスク/機会を特定した上で気候変動、環境問題への対応を進めています。

 

<ガバナンス>

気候変動対応を含む環境対策の実行・推進に関して、総務部担当執行役員を委員長とする「環境委員会」を設置し、グループ全体の環境対策等を検討する体制を構築しています。総務部を統括部署とする同委員会では、地域社会の環境に関係する事業活動を行う工場、研究所及び経営戦略に関わる役員/執行役員が中心となって、環境問題に関する対応(ビジョン、目標、ロードマップ等)の検討・見直しを行います。同委員会はEHS活動とも連携し、気候変動におけるリスク、機会の特定、評価、さらなる対応等を含めて環境問題への対応について総合的に取りまとめ、経営会議における意思決定の後、取締役会に報告します。

 

<戦略>

環境問題については、長期的なビジョンとして「2050年カーボンニュートラルの実現」への挑戦を掲げ、「CO2排出量を2030年度に2015年度比46%削減」という目標に向けて、再生可能エネルギーへの段階的切替や新規設備投資の検討を進めることで、CO2排出量削減に取り組んでいます。また環境保全については、「地球温暖化防止」「資源保護」「自然環境との調和」を重点テーマとして目標を設定し、限りある資源の有効利用を推進します。また当社グループの全ての工場は環境マネジメントシステムの国際基準であるISO14001を取得しており、今後も維持・推進します。

 

<リスクと収益機会の分析>

地球温暖化や気候変動そのものの影響、及び気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化が当社グループの事業や経営に及ぼしうる影響について、脱炭素社会への移行リスク・気候変動に起因する物理的リスク・収益機会に分け、シナリオ分析を行っています。

シナリオ分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書のSSP1-1.9(1.5℃シナリオ)、SSP5-8.5(4℃シナリオ)等を参考にしています。

 

 

■1.5℃シナリオ 移行リスク

分類

事象

リスク

対応方針

政策・法規制

環境税
(炭素税)の導入

・環境税(炭素税)が導入され、研究・生産・営業に関わる温室効果ガスの排出に課税が行われた場合、環境税の導入により、コスト増加となる可能性がある。

・環境委員会設置によるCO2排出量削減活動の更なる推進

・工場・研究所での再生可能エネルギー電力の段階的切替

・営業車両のHV車へ切替

・EHSマネジメントシステムの効率的運用

設備・機器の導入

・新たな法規制により、既存の設備を再生可能エネルギーに対応した設備に更新する場合、新規設置によるコスト増加となる可能性がある。

・省エネルギー設備・機器の新規導入検討と計画的設備更新

市場

調達・操業コストの変化

・電力の再生可能エネルギー比率を上げた場合、電力調達コストが増加する可能性がある。

・調達先・物流委託先の移行リスクへの対応により、生産原価・物流コストが増加する可能性もある。

・再生可能エネルギー電力の計画的導入

・高効率機器の導入検討

・調達先・物流委託先等との協働による物流コストの削減

評判

投資家からの評価

・当社の気候変動対策への遅れにより、投資家の信頼を失い株価へ影響する可能性がある。

・情報開示不足により、株価が下落する可能性がある。

・気候変動対策の実施状況等の適時・適切な開示

・外部調査への参加

 

 

■4℃シナリオ 物理的リスク

分類

事象

リスク

対応方針

急性
リスク

異常気象(台風・大雨等)による直接的な被害

・局地的豪雨・台風の大型化等により、研究・生産・物流拠点が浸水し、操業停止及び修復費用が発生する可能性がある。

・自社拠点だけではなく、サプライチェーン(原料調達・出荷物流)が寸断される可能性がある。

・水害対策等を想定した設備計画の検討・実施

・緊急事態発生を想定した訓練の実施

・適切な在庫管理

・複数の原料調達先・代替先の確保

慢性
リスク

気象パターンの変化・気温上昇・海面上昇等による拠点・調達・操業の変化

・複数の研究・生産拠点が河川に近く、気温上昇による海面上昇、気象パターン変化による河川氾濫への対策、または拠点見直しによりコスト増加となる可能性がある。

・調達先・物流委託先の物理的リスクへの対応により、市場価格が上昇し、生産原価・物流コストが増加する可能性がある。

・気温上昇により、製造・保管・物流における空調の温度管理におけるコスト増加となる可能性がある。

・水害対策等を想定した設備計画の検討・実施

・適切な在庫管理

・BCP(事業継続計画)の観点から拠点の最適化の検討

・複数の原料調達先・代替先の確保

・エネルギー効率の改善

 

 

収益機会

分類

事象

リスク

対応方針

市場の変化

疾病動向の変化

・気温の上昇により感染症が増加し、当社のビジネスチャンスが拡大する可能性がある。

・感染症に関わる予防・診断・治療における当社製品の需要や適応範囲が拡大する可能性がある。

・感染症領域におけるソリューション提供型営業活動の展開

・パイプライン拡充への積極投資

 

 

<指標及び目標>

環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の活動と存続に必須の要件として主体的に行動し、「2050年カーボンニュートラル」の実現に挑戦します。具体的には、CO2排出量を2030年度に2015年度比46%削減することを目標値に掲げています。