リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、以下の記載のうち、予想、見通し、方針等、将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため実際の結果とは異なる可能性があることにご留意下さい。
1.法的規制等に関する事項
(1) 許認可等に関するリスク
当社は、原薬などの販売に当たり医薬品医療機器等法その他の規制を受けますが、これらについて法令違反があった場合、あるいは必要とされる資格を保有する人財が離職しその補充ができない場合には、監督官庁から業務の停止や許認可の取消し等の処分を受けることになり、当社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、業務の停止や許認可の取消し等の処分を受ける原因となる事由は発生しておりません。
主な許認可等の状況
許認可等の名称 |
所管官庁等 |
許認可等の内容 |
有効期限 |
取消し等となる事由 |
医薬品販売業許可 |
東京都 |
東京都保健所長 許可 (5302190371) |
2025年6月30日 (6年ごとの更新) |
医薬品医療機器等法、その他薬事に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、医薬品医療機器等法第75条第1項により、その許可が取り消され又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命じられることがある。 |
(2) 医薬品の研究開発における医薬品医療機器等法その他の規制に関するリスク
当社が業を営む医薬品業界では、研究、開発、製造及び販売のそれぞれにおいて、国内外の薬事に関する法令、薬事行政指導、その他関係法令等により様々な規制を受けております。当社は、日本国内市場に留まらず欧米を含む国外市場への進出も想定して各開発品の研究開発を進めておりますが、これらの開発品を医薬品として上市させるためには、各国の薬事に関する法令、関連するガイドライン及びその他の規制に準拠して製造販売承認の申請を行い、承認を取得することが必須となります。このため、臨床試験等において、医薬品としての品質、安全性及び有効性 を示すことができない場合には、承認を得られず、上市できないため、当社の事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現在の医薬品医療機器等法においては、原薬の外部委託製造が可能となっておりますが、今後このような外部委託製造に関する規制や海外品の輸入等に関する規制が改定された場合、当社の事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 医療制度改革の影響に関するリスク
我が国では、医療費の抑制を目的として、薬価改定を含む数々の医療制度改革がこれまで実施されてきており、今後の高齢化社会を見据えた場合、その方針は継続されるものと考えられます。このため、当社開発品の上市後に当該医薬品の薬価が影響を受け、当社がパートナー製薬企業に販売する原薬又は製剤の販売価格や、パートナー製薬企業の販売実績に応じて当社が受領するロイヤリティ収益にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
2.医薬品開発事業に関する事項
(1) 医薬品開発事業全般に関するリスク
医薬品の研究開発は、基礎研究から製造販売承認の取得、上市に至るまで、段階的に進めていく必要がありますが、非臨床試験や臨床試験において予期せぬ副作用が発生した場合や期待する治療効果が確認できない場合には、当該開発品の研究開発は中止されます。当社の開発品について、これらの理由により研究開発が続行できなくなった場合には、当社の事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、医薬品の研究開発において、当初計画したとおりの研究開発結果が得られない場合、各種試験の開始又は完了に遅延が生じた場合、治験薬製造等において問題が発生した場合等には、製造販売承認の取得が遅れる可能性があります。当社は、このような事態を極力回避すべく、各開発品の評価及び進捗管理を適時実施し、必要に応じた追加経営資源の投下等を通じた研究開発の遅延リスク低減に努めておりますが、研究開発が計画どおりに進捗しない場合には、当社の事業計画並びに財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 医薬品の品質・副作用に関するリスク
当社が開発に関与する医薬品の安全性に関する情報は、限られた被験者を対象に実施した臨床試験から得られたものであり、上市前に副作用の全てを把握できない可能性があります。現時点において、当社は、直接医薬品を販売する計画はありませんが、パートナー製薬企業によって販売される製品について、上市後に予期せぬ副作用が発生する可能性を完全には否定できません。重篤な副作用が発生した場合、製品の回収あるいは販売中止を余儀なくされ、当社の原薬等の販売についても継続することが困難となり、以後の経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
(3) 医薬品業界における競合に関するリスク
医薬品業界においては、国内外の製薬企業、バイオベンチャー、大学、研究機関等がそれぞれ独自に、又は協力して医薬品の研究開発に取り組んでおり、同じ疾患を対象とした開発品が複数存在することは珍しくありません。このため、競合となる開発品の研究開発結果等によって、当社の開発品が市場において優位性を失い、研究開発中止を余儀なくされるおそれがあります。当社としては、開発品の選定・優先順位付けにおいて、競合環境を綿密に調査することで、このような競合リスクの低減に努めていますが、当社の開発品がいち早く上市できた場合でも、安全性や有効性においてより優れた競合品の新規参入等によって当社開発品の市場シェアが奪われ、当社の事業計画及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、バイオシミラー事業においては、2019年に上市したダルベポエチンアルファのバイオセイム以降、バイオセイムの上市はなく、当社第3製品のラニビズマブバイオシミラー及び第4製品のペグフィルグラスチムバイオシミラーについては、他社のバイオシミラーも上市しておりません。しかし、今後バイオセイムや他社によるバイオシミラーが上市した場合には、営業活動を通じた市場シェアの奪い合いが発生し、市場シェアの低下や想定を超える薬価下落等の影響を受け、当社の事業計画及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 細胞治療事業(再生医療)における新規開発品の創出に関するリスク
細胞治療等の新規創薬モダリティにおいては、新しい技術の創出や複数技術の組み合わせ等による技術革新が進んでおり、細胞治療事業においては、自社研究に加えて、大学や他のバイオベンチャー等との協業を通じて、新規開発品の探索及び創出を図っております。しかしながら、これらの活動により、新規開発品の探索及び創出が確実にできる保証はありません。このため、何らかの理由により、新規開発品の探索及び創出活動に支障が生じた場合には、当社の事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.事業モデルに関する事項
(1) 収益計上に関するリスク
医薬品の基礎研究開始から上市に至るまでには通常10年以上の年月を要することから、研究開発の成果が事業収益として計上されるまでには長期間を要します。また、医薬品開発の成功確率は近年益々低くなっており、上市に至らないケースも多いため、最終的に事業収益が計上されない可能性もあります。そのため、当社は、自社で臨床開発や製造販売を実施せず、パートナー製薬企業に臨床開発以降を主導してもらうことを基本方針とし、契約一時金や開発マイルストンペイメントの設定による早期収益化を目指しています。また、バイオシミラー事業と細胞治療事業の組み合わせによるハイブリッド型の事業モデルを構築することで、開発リスクと収益計上リスクの分散を図っています。しかし、各種取り組みにもかかわらず、提携時期や研究開発の遅延、研究開発の中断等が発生した場合には、当社の事業計画や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) パートナー製薬企業との契約に関するリスク
当社は、バイオシミラー事業においても、細胞治療事業においても、原則自社での臨床開発は行わず、臨床開発以降はパートナー製薬企業が主導することを想定しているために、パートナーが見つからない場合には、それだけ有望な開発品であっても、開発の遅延が生じ、必要に応じて当該開発品の開発中止を判断することになります。このようなリスクを低減するため、当社は、定期的に国内外の製薬企業等における複数の部署と面談することで、幅広い人間関係の構築と、相手の関心のある疾患領域や創薬モダリティの把握に努めています。また、バイオシミラー事業においては新たな開発候補品の選定・細胞株の構築段階から、細胞治療事業においては基礎研究・製造プロセス開発段階からパートナー候補製薬企業との協議を開始することで、相手が求めるデータ等を把握し、研究開発活動に反映するとともに、早期提携に向けたパートナリング活動を推進しています。しかし、パートナー製薬企業との契約締結に至れない場合には、当社の事業計画や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) パートナー製薬企業に関するリスク
当社は、各事業においてパートナー製薬企業と提携し、協働して開発活動を行っておりますが、相手方における経営環境の変化や経営方針の変更等、当社が制御し得ない要因によって、開発活動が中断あるいは中止になった場合、または又は何らかの理由により当該契約が解除された場合には、当社の事業戦略や事業計画に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、バイオシミラー事業においては、パートナー企業の需要予測に基づいて、上市済みバイオシミラーの原薬等の製造を委託していますが、当該需要予測が下方修正された場合には、原薬等の販売遅延や余剰在庫により、当社の経営成績や資金繰りに重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) バーチャル型研究開発に関するリスク
当社は、社外の受託機関の積極的な活用を前提に、バイオロジクスの研究と製造プロセス開発等に当社の人的資源を集中し、医薬品開発に伴う様々な試験や治験薬製造等を受託機関に委託しております。そのため、当該委託先において一定の信頼性や品質を有する対応が困難となり、試験や製造を代替先に速やかに移管することができない場合には、当該開発品の研究開発に遅れが生じたり、研究開発自体が中止となることで、当社の事業計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、当該開発品の上市後、原薬等の安定供給を担っていますが、製造委託先での安定的な商業製造や、試験委託先での試験実施が困難となった場合には、当該医薬品の販売開始の遅延や市場への供給不足が発生し、当社の経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 知的財産権に関するリスク
バイオ医薬品には、先行医薬品メーカーを含む複数の第三者の特許権等が存在しえます。当社のバイオシミラー事業活動においては、候補品の選定時に加え継続的に国内外の特許調査を実施することにより、関連しうる第三者特許権等を特定し侵害行為が発生しないように努めておりますが、開発途中で第三者特許権等が見い出された場合には開発遅延や中止、ライセンス料や損害賠償の発生により当社の事業計画に大きな影響が及ぶ可能性があります。
再生医療事業においても、高度で複雑な技術の絡む分野であり、第三者の特許権等が多数存在しうるため、研究開発の段階ごとに特許調査を実施することにより、関連しうる第三者特許権等の侵害の回避に努めておりますが、万が一侵害が発生した場合には、当社の事業計画に多大な影響が出る可能性があります。再生医療事業では、自社開発品の権利を保護することにより当社の競争力を高めることにも注力しております。現在出願中の特許出願を成立させるために戦略的な取り組みを行なっていますが、特許権の成立保証はなく、成立した権利の保護範囲や特許発明の代替技術の有無によっては当社の競争力を充分に保護できない可能性があります。特許権が成立した後は、その権利を侵害する第三者に対して権利行使等の措置をとる必要があり、紛争の規模によっては解決のために多くの費用と時間を要する可能性があります。
なお、本書提出日現在、当社が事業活動の中で利用している様々な知的財産権は、当社が権利を保有している又は権利申請中であるか第三者から適法に使用許諾を受けたもの、あるいは第三者の権利が満了したものと認識しており、また、当社の事業活動について第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた事実はありません。
(6) 研究所の使用に関するリスク
当社は、札幌市及び東京都に研究所を置いております。札幌研究所は北海道大学創成研究機構生物機能分子研究開発プラットフォーム推進センターが民間企業との共同研究等のために設けているオープンラボラトリスペースの一部を、東京研究所は三井不動産株式会社が運営する研究施設における賃貸借契約の下、それぞれ当社研究所として使用しております。このため、共同研究契約あるいは賃貸借契約の終了等何らかの理由により、同施設の使用ができなくなった場合には、当社研究所の移転を余儀なくされ、追加的な設備投資や賃借料の発生等によって、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.業績等に関する事項
(1) 財政状態及び経営成績に関するリスク
当社は主にバイオシミラー等の販売で得た収益により研究開発費を除いた固定費を賄える状況となっているものの、2025年度中の治験申請に向けて細胞治療事業の開発費が拡大傾向にあり、現時点では利益を計上することができておりません。当社は、早期の黒字化を目指しておりますが、事業計画が想定通りに進捗しない場合には、黒字化の時期が遅れたり、繰越利益剰余金がマイナスからプラスに転じる時期が遅れる可能性があります。
(2) 特定の販売先への依存に関するリスク
当社の売上高の大半はバイオシミラーの原薬又は製剤供給にかかる売上であり、特にラニビズマブバイオシミラーのパートナーである千寿製薬㈱に対する依存度が非常に高い状況です。また、2023年11月に上市したペグフィルグラスチムバイオシミラーが成長することで、当該製品のパートナーである持田製薬㈱に対する依存度が高くなることが想定されます。今後新たなバイオシミラー又は再生医療等製品等を新規パートナー製薬企業と開発することで、特定の販売先への売上依存度の引き下げを図る方針でありますが、開発が想定どおりに進まない可能性があります。また、現在契約を締結している販売先との契約解消等が生じた場合には、当社の経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(3) 資金調達に関するリスク
バイオシミラー事業においては、上市済みバイオシミラーに対する需要拡大に伴って、パートナー製薬企業に販売するバイオシミラー原薬等の製造量が増え、製造のための運転資金が大きく増加しております。製造運転資金の一部は金融機関からの借入で賄っているものの、追加の借入のためには負債資本倍率の改善を求められるために、増資による資金調達も組み合わせる必要があります。調達した資金を活用して、バイオシミラー原薬の製造や研究開発活動を推進することで、当社企業価値の増大を図りますが、増資による資金調達の実施の際には発行済株式総数が増加するため、企業価値の増大規模次第では、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
一方で、細胞治療事業においては、引き続き研究開発投資が先行しており、今後は、当社と連携しながら、S-Quatreとして、事業会社との資本業務提携、ベンチャーキャピタル等との連携を通じた資金調達に取り組みます。なお、S-Quatreが増資で資金を調達することにより、当社のS-Quatreに対する出資比率は徐々に低下します。そのため、調達した資金を活用して再生医療等製品等の研究開発活動を推進することで、S-Quatreの企業価値と当社持ち分の価値向上を図りますが、増資による資金調達の実施の際には発行済株式総数が増加するため、企業価値の増大規模次第では、1株当たりの株式価値が希薄化し、当社持ち分の価値が低下する可能性があります。
また、当初の想定を上回る製造運転資金や研究開発資金が必要となり、機動的な資金調達が困難な場合には、製造や研究開発を継続することができなくなり、当社の経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(4) 財務制限条項への抵触リスク
当社の一部借入金には財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合、期限の利益を喪失し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 為替レートの変動に関するリスク
当社は、バイオシミラー事業において、売上原価に相当する原薬等の製造費用を海外の製造委託先企業に外貨建にて支払っております。当該事業の製品に対する需要拡大が進む一方で、為替市場においてドル円レートが歴史的な円安水準で推移していることを受け、当社製品の収益性は大きく悪化しております。また、細胞治療事業においても一部の試験を海外の試験受託機関に委託しているため、現在の為替レートが、研究開発費の増大につながっています。今後海外市場への事業展開に取り組むことで、為替レート変動の業績への影響を一部相殺できるようにするとともに、パートナー企業等との契約においても、為替レート変動に伴う費用増加について取り決めることで、為替レート変動の業績への影響を低減できるように図る方針です。しかし、事業規模の拡大に伴い、さらに外貨建取引の規模が大きくなった場合や支払サイトの長い外貨建取引を行う場合には、為替レートの変動により当社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6) 投資有価証券の価値変動に関するリスク
当社は本書提出日現在において投資有価証券を保有しております。このため、当該投資有価証券の価値変動に伴い評価損が計上された場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 配当政策に関するリスク
当社は、創業以来配当を実施しておらず、本書提出日現在においても、会社法の規定上、配当可能な状態にはありません。当面は早期の黒字化を目指し、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先する方針であります。一方で、株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいります。しかしながら、利益計画が想定どおりに進捗せず、今後も安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。
5.その他
(1) 情報流出に関するリスク
当社が研究開発の過程で入手する知見、技術、ノウハウ等には重要な機密情報が多く含まれております。当社は、これらの機密情報が社外に流出しないよう、役職員や取引先との間で秘密保持義務等を定めた契約を締結し、厳重な情報管理に努めております。しかしながら、役職員や取引先によりこれらが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が流出し、当社の事業活動に大きな影響を与える可能性があります。
(2) システム障害等に関するリスク
当社はシステム障害、セキュリティ侵害等を未然に防止するために様々な手段を講じておりますが、ウィルス、権限のないアクセス、自然災害、通信エラーあるいは電気障害等が引き起こす事故が発生する可能性を否定することはできません。システム障害、セキュリティ侵害等が発生した場合、当社が保有する医薬品開発過程における重要な情報が喪失又は流出する可能性があります。データの喪失あるいは機密情報の流出を招いた場合、データ復旧のために金銭的・時間的に多大な負担を余儀なくされたり、特定の開発品の開発の進捗が遅延したり、取引先から損害賠償を請求されたり、当社の社会的信用が失墜して社外との提携関係の構築が難しくなる等、当社の事業計画の進捗に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 訴訟等に関するリスク
当社は、コンプライアンス体制の構築に注力しておりますが、製薬企業等から特許等の侵害を理由として損害賠償請求を受けたり、訴訟を提起される可能性があります。また、製造物関連、環境関連、労務関連その他に関する訴訟が提起される可能性もあり、これらの結果、当社の社会的信用が失墜し、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 小規模組織であることに関するリスク
当社は、製薬企業や他のバイオベンチャー、大学等の研究機関との協業と、積極的な受託機関の活用を前提として、固定費を抑えつつ効率的に研究開発を推進することを想定しており、高度な専門知識、技能や経験を有するバイオ人財による少人数組織体制が適しています。しかし、バイオロジクスの研究開発経験のあるバイオ人財は限られており、想定どおりに人財の確保ができない場合あるいは人財の流出が生じた場合には、研究開発の推進や社外との提携関係の構築に支障が生じ、当社の事業計画や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
また、事業の拡大に伴い、内部管理体制の強化も必要になりますが、研究開発体制と同様に少人数の組織であるため、想定どおりに人財の確保ができない場合あるいは人財の流出が生じた場合には、内部管理体制の質の低下を招き、当社の社会的信用を損なう可能性があります。
(5) 企業再編、企業買収、合併等に関するリスク
当社は、事業展開及び企業価値向上の手段として、他社との経営統合や企業買収等を用いる可能性があります。そのため、経営統合・企業買収等にかかる費用等が、一時的に当社の経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。また、当該経営統合・企業買収等が当初の計画どおりに進捗しない場合、あるいは事業環境や競合状況の著しい変化により、当該経営統合・企業買収等後に当初想定していた効果が得られず、例えば投資価値の減損処理を行う必要が生じる等、当社の経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 災害及びパンデミック等の緊急事態に関するリスク
当社は、事業活動の中心となる事業所を東京都と北海道に設けており、地理的なリスク分散を図っております。また、当社は研究開発活動の一部を社外に委託していることから、実質的にはさらに広くリスク分散されているものと考えております。しかしながら、これらの地域において地震等の大規模な災害、あるいは新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック等が発生した場合、当社は予め可能な限りの対策を講じ、事業の継続に努めることとしていますが、設備等の損壊やインフラの機能停止等により、当社の事業活動が影響を受ける可能性があります。
(7) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社の経営基盤であるバイオシミラー事業で営業黒字を確保しているものの、細胞治療事業(再生医療)への研究開発投資により期間損益でマイナスが先行する結果となっております。
当期末においても営業赤字が継続しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況となっておりますが、バイオシミラー事業の拡大に伴う運転資金や細胞治療事業の研究活動資金のニーズに対して、バイオシミラー事業によるキャッシュフローで対応することに加え、金融機関からの借入、転換社債型新株予約権付社債および第三者割当による新株予約権の発行等により適時、事業継続に必要な資金調達活動を実施しておりますので、継続企業の前提に関する重要な不確実性はないと認識しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、当面は早期の黒字化を目指し、内部留保による財務体質の強化及び研究開発活動への再投資を優先する方針であります。一方で、株主への利益還元についても重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいります。
当社は、会社法第454条第5項に基づき、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めておりますが、剰余金の配当は期末配当の年1回を基本方針としております。なお、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会となっております。
当社は現在、バイオシミラー事業において一定の売上収益はあるものの、新たな製品の研究開発は継続していること、細胞治療事業(再生医療)も研究開発の過程にあり、これまで配当を実施しておらず、当事業年度の剰余金の配当については無配としております。