2026年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 0 100.0 -1,295 - -1,541,667.9

 

3 【事業の内容】

 当社は、新規の「がん免疫治療薬」の開発に領域を定める、探索研究から早期臨床試験段階にある複数のパイプラインを有する創薬ベンチャーです。事業モデル、技術の特徴は以下のとおりであります。

 

(1) 事業モデル

 当社の事業モデルは、新規がん免疫治療薬を自社創製もしくは導入し、探索研究から早期臨床試験までを手掛け、国内外の製薬会社に開発製造販売権をライセンスアウトし、ライセンス先からライセンス収入を得るものです。

 医薬品開発は上市までに一般的に10年以上かかり、投資回収までが長く、開発後期段階になるほど要する資金が大きくなるため、ベンチャーで創薬を事業として成立させるためには、開発投資を早期に回収できる仕組みが必要ですが、医薬品産業においては大手製薬企業が開発途上にあるベンチャーが創製するシーズをライセンスインする取引が豊富に行われています。現在は承認薬に至ったシーズのうち、ベンチャーが創製するシーズの数が、従来の大手製薬企業のそれを上回るようになっています。

 


 

 この事業モデルでは、上市前の開発段階で、ライセンス先製薬企業から開発進捗に応じたライセンス関連収入(ライセンス契約締結時の一時金、その後開発進捗に応じて設定したマイルストンを達成する毎に得られる開発マイルストン収入、上市後は製品売上高の一定割合を得る販売ロイヤリティ収入等)を得ることを目指します。ライセンス後もライセンス先企業と共同開発し、開発費の貢献に合わせて将来の利益を按分したり、ライセンス先から開発協力金を得て開発を主導する等、色々な形態があります。

 


 

当社は、様々な開発ステージにあるパイプライン(医薬品候補)の開発を同時並行で進めることにより、投資早期回収と黒字転換後の継続的な収入の実現を図ります。

 

(2) 開発中のがん免疫治療薬の特徴

 がん免疫治療薬の開発では、動かなくなってしまったがん免疫を再び動くようにすること、いったん動いたがん免疫が、任務を終えた後に「元に戻る」仕組みによってブレーキをかけられるのを防ぎ、持続させることが、創薬のターゲットとなります。これに成功すればがんを治療できることは、2018年にノーベル賞を受賞したPD-1という免疫チェックポイント(免疫のブレーキ)を阻害する抗体が、がん治療に革新をもたらしたことによって、立証されてきました。今を生きる私たちは、この治療の革新の恩恵を受ける途上にあり、がんの個別性や免疫応答の多様性にどう対応していくか、未解明の領域がたくさん残されていると考えています。がん免疫にがんの目印を与えるがんワクチン、T細胞というがん免疫そのものを大量に外から投入する細胞医薬、PD-1以外にもいくつもある「免疫が元に戻る仕組み」を一定期間止める抗体医薬、これらが当社の開発している薬です。がんの克服を目指す人に、新たな治療選択肢を提供するために、これからも研究活動を推進してまいります。

 

(3) 開発パイプライン

 当社の開発パイプラインは以下のとおりです。このほか、次世代パイプラインの構築を目的として複数の探索・非臨床試験研究を実施しております。

 


 

細胞医薬

〔iPS細胞由来再生NKT細胞療法:BP2201〕

 BP2201(iPS-NKT)は、がん細胞の殺傷を含め多面的な抗腫瘍効果をもつナチュラル・キラーT(NKT)細胞*1

を、iPS細胞技術を使って大量製造し、作り置きしたうえでがん治療に用いる新規の他家細胞医薬候補です。

国立大学法人千葉大学において、世界初のiPS-NKTを用いた頭頸部がん患者を対象とする医師主導の第Ⅰ相臨床試

験(2020年6月開始)が実施され、2024年1月に終了しました。主要評価項目である忍容性および安全性に問題が

ないこと、並びに腫瘍増殖抑制例を含む初期的な臨床活性の確認が示され、「Nature Communications」誌2025年

12月30日版で報告されています。

 本治験で用いられた非遺伝子改変iPS-NKT細胞は、いろいろながん種のがん抗原に対するCAR(キメラ抗原受容 

体)遺伝子を導入した、新たな遺伝子改変iPS-NKT細胞医薬へ展開する土台/プラットフォームとなり、幅広いがん

種と世界の幅広い地域への展開を可能にします。

 当社は、開発元の国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)からのiPS細胞由来NKT細胞(iPS-NKT)の

CAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法)をはじめとする他家細胞療法使用を広範かつ排他的に保護する特

許(日米欧で登録済み)の独占使用権を取得しています。

 

〔iPS細胞由来BCMA CAR-NKT細胞療法:BP2202〕

 BP2202(BCMA CAR-ipsNKT)は、非遺伝子改変iPS-NKT細胞に多発性骨髄腫の目印(抗原)となるBCMA(B細胞成

熟抗原)を認識するキメラ抗原受容体(CAR: Chimeric Antigen Receptor)を発現させがん細胞殺傷能を高めた

新規の他家CAR-T細胞療法*2です。

 2026年度から米国における臨床試験実施を予定しており、米国食品医薬品局(FDA)に対する開始申請(IND)の最終

段階に入っております。

 BP2202は、これまで医薬品として承認されている自家CAR-T細胞に用いられる患者自身のT細胞の代わりに、健常

人ドナーから作製した他家のiPS細胞由来NKT細胞を用いることによって作り置きが可能になったCAR-T細胞医薬品

であることを特徴とします。臨床試験を通して検証されている作用メカニズムを有する細胞医薬の細胞部分を、患

者自身のT細胞から、より利便性の高い他家NKT細胞に切り替えていくコンセプトで開発を進めています。

 当社は2023年5月にSTAR-CRISPRTM遺伝子編集技術をライセンス導入し、固形がんを含む様々な適応症に対して

高度な遺伝子組換型CAR-ipsNKT細胞療法プログラムを創出することが可能となりました。現在その先駆けの製品と

して、多発性骨髄腫治療薬候補となるBCMA CAR-ipsNKT (BP2202)の開発を進めています。

 これまでにマスターiPSセルバンクの構築と、マスターiPSセルバンクからNKT細胞への分化誘導を行う製造工程

の確立を終えています。後者については、当社で確立した高純度かつ高増殖の製造工程を、iPS細胞治療薬製造の

先進企業で3Dバイオリアクターを用いる製造プラットフォームを有するCellistic社に移管し、より優れた製造工

程を確立しました。

 同プログラムは、2025年7月に米国食品医薬品局(FDA)より多発性骨髄腫を対象疾患とする希少疾病用医薬品

(オーファンドラッグ)に指定されています。

 

〔HER2 CAR-T細胞療法:BP2301〕

 BP2301は、様々な固形がんで高発現するHER2を標的とするCAR-T細胞療法です。

現在、国立大学法人信州大学においてHER2陽性の再発・進行骨・軟部肉腫及び婦人科悪性腫瘍を対象とする遺伝子

改変HER2 CAR-T細胞の臨床第Ⅰ相医師主導治験を継続しております。

 これまで血液がんを標的とするCAR-T細胞療法は、優れた臨床効果が臨床試験で示され、承認されてきました。

しかし、より患者数の多い固形がんへの展開においては、血液がんのような有効性を示すことができていません。

投与されたCAR-T細胞が、免疫抑制的な腫瘍微小環境において疲弊して機能を喪失し、十分に臨床効果を発揮でき

ないからと考えられています。

 この課題を解決するために、BP2301では、体内での優れた複製能と長期生存能を特徴とし、それによって腫瘍微

小環境における疲弊抵抗性と持続的抗腫瘍効果が期待される幹細胞様免疫記憶型(ステムセル・メモリー・フェノ

タイプ)細胞を多く含むCAR-T細胞を用いる技術の開発に成功しました。これは、国立大学法人信州大学の中沢洋

三教授の非ウイルス遺伝子導入法に基づき、中沢教授及び同大学柳生茂希教授と新規の細胞培養法を共同開発した

ことによって可能になりました。

 本製造方法は、国内、中国、及び米国にて特許査定を受けています。

 

  抗体医薬

  抗体医薬では、腫瘍組織においてがん細胞を排除する免疫の働きを抑制する免疫チェックポイント分子*3もしく

 は免疫調整分子に結合し、その機能を阻害する抗体の開発を進めています。

   CD39分子とTIM-3分子を双方発現する免疫細胞においてこれらを同時に阻害する抗CD39×抗TIM-3二重特異性抗体

 BP1212、がん細胞上に発現するCD39分子とT細胞上に発現するCD3分子双方を標的とするT細胞エンゲージャーBP1223

 を開発パイプラインとして有します。

  BP1212は、固形がんを対象に、腫瘍組織内の樹状細胞が陥る免疫抑制状態を解除し、抗腫瘍T細胞免疫を誘導させ

 るものです。この作用メカニズムを裏付ける非臨床試験データを、2025年6月に開催された学会Immune Response in

 Cancer and Infection(IRCI)2025において発表しております。

  またBP1223は、急性骨髄性白血病を対象に、がん細胞が発現するCD39を標的に、T細胞に活性化刺激を入れながら

 がん細胞に接近させ、がん細胞を殺傷させる作用メカニズムのものです。急性骨髄性白血病を対象とする薬効薬理

 試験及び作用機序解析を国立がん研究センター東病院と共同で進めており、研究成果の一部を2024年12月開催の米

 国血液学会にて発表しました。

 

 

(4) 許認可、免許及び登録等の状況について

① 許認可、免許及び登録、行政指導等

医薬品開発は、各国の医薬品の開発及び当局への申請等に関する法律、日本では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:薬機法、2014年11月25日施行、「薬事法」から改称)、米国では「連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)及びその関連する法令」、上記の他、日本及び米国を含め各国における当局の省令やガイダンス、ならびに安全性に関する非臨床試験の実施基準(GLP;Good Laboratory Practice)、臨床試験の実施基準(GCP;Good Clinical Practice)、製造管理及び品質管理規則(GMP;Good Manufacturing Practice)の下で進めております。

 

② 知的財産権の状況

当社は、2022年11月に理研からiPS由来NKT細胞を全世界で独占的に開発・製造・販売する権利を導入するオプション権を行使し、iPS由来NKT細胞の他家細胞療法使用を広範かつ排他的に保護する特許の独占実施権を得ました。

<主要な特許の状況>

発明の名称

特許登録番号

出願国
(登録国)

権利者

NKT細胞由来iPS細胞およびそれ由来のNKT細胞

5652783

日本

理研

8945922

米国

2336303

欧州

アロNKT細胞を用いた免疫療法およびそのためのT細胞抗原受容体(TCR)遺伝子のα鎖領域が均一なVα-Jαに再構成されている細胞および該細胞由来NKT細胞のバンキング

6320473

日本

理研

10813950

米国

264738

欧州

CAR発現免疫細胞を含む細胞集団の製造方法

7576547

202080055102.7

(出願番号)17/626,345

日本

中国

米国

当社

国立大学法人

信州大学

京都府公立

大学法人

 

    (注)1.欧州については、欧州特許条約に則った特許出願(EPC出願)によっております。

     2.「CAR発現免疫細胞を含む細胞集団の製造方法」の米国における出願は特許査定を受領しています。

[用語解説]

*1(NKT細胞)

 ナチュラル・キラー(NK)細胞とT細胞の特徴を併せもち、自然免疫と獲得免疫の橋渡しをする役割をもつ免疫細

 胞。がん細胞をT細胞受容体やNK細胞受容体を通して直接殺傷する能力をもつと同時に、T細胞受容体を通して樹状

 細胞など他の免疫細胞を活性化させる作用をもつ。活性化すると、多様なサイトカインを産生し、自然免疫系に

 属するNK細胞の活性化と樹状細胞の成熟化を促す。成熟した樹状細胞は、さらに獲得免疫系に属するキラーT細胞

  を増殖・活性化させることで、相乗的に抗腫瘍効果が高まる。

 

*2(CAR-T細胞療法)

 Chimeric Antigen Receptor T-cell Therapy:キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞療法。がん細胞が発現する抗原

 を認識するキメラ抗原受容体を、T細胞(抗腫瘍免疫をもつリンパ球の一種)に遺伝子導入し、培養で増殖させて

 投与する治療法。

 

*3(免疫チェックポイント分子)

 免疫恒常性を保つために自己に対する免疫応答を抑制するとともに、過剰な免疫反応を抑制する分子群のこと。が

 ん免疫においては、過剰な活性化によって自己を攻撃するのを防ぐために存在しているが、発がん過程では、がん

 細胞が免疫系からの攻撃を回避し増殖するために利用される。

 

業績状況

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 業績

当事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)は、世界経済はインフレ圧力の緩和や主要国の金融政策の動向により、緩やかな回復基調を維持していますが、一方で依然として変動性が高い状況も継続しています。

我が国の経済は、国内外の景気回復の兆しを背景に、民間消費や設備投資が緩やかに持ち直しつつあります。一方で、国際情勢の不確実性や地政学的リスクの高まりに加え、物価上昇や金融資本市場の変動等により、依然として先行き不透明な状況が継続しています。特にバイオテクノロジー企業を取り巻く資金調達環境は、国内外の金利動向や投資家のリスク選好の変化等の影響を受け、引き続き慎重な状況が継続しています。

当社は、当事業年度におきましては、第17回乃至第20回新株予約権を発行して調達した資金を、主にCAR-ipsNKT細胞療法の2026年度から予定している米国臨床試験の準備に投じ、事業化に向けて着実に前進しました。

 

細胞医薬

〔iPS細胞由来再生NKT細胞療法:BP2201〕

 BP2201(iPS-NKT)は、がん細胞の殺傷を含め多面的な抗腫瘍効果をもつナチュラル・キラーT(NKT)細胞を、

iPS細胞技術を使って大量製造し、作り置きしたうえでがん治療に用いる新規の他家細胞医薬候補です。

国立大学法人千葉大学において、世界初のiPS-NKTを用いた頭頸部がん患者を対象とする医師主導の第Ⅰ相臨床試

験(2020年6月開始)が実施され、2024年1月に終了しました。主要評価項目である忍容性および安全性に問題が

ないこと、並びに腫瘍増殖抑制例を含む初期的な臨床活性の確認が示され、「Nature Communications」誌2025年

12月30日版で報告されています。

 本治験で用いられた非遺伝子改変iPS-NKT細胞は、いろいろながん種のがん抗原に対するCAR(キメラ抗原受容

体)遺伝子を導入した、新たな遺伝子改変iPS-NKT細胞医薬へ展開する土台/プラットフォームとなり、幅広いがん

種と世界の幅広い地域への展開を可能にします。

 当社は、開発元の国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」)からのiPS細胞由来NKT細胞(iPS-NKT)の

CAR-T(キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞療法)をはじめとする他家細胞療法使用を広範かつ排他的に保護する特

許(日米欧で登録済み)の独占使用権を取得しています。

 

〔iPS細胞由来BCMA CAR-NKT細胞療法:BP2202〕

 BP2202(BCMA CAR-ipsNKT)は、非遺伝子改変iPS-NKT細胞に多発性骨髄腫の目印(抗原)となるBCMA(B細胞成

熟抗原)を認識するキメラ抗原受容体(CAR: Chimeric Antigen Receptor)を発現させがん細胞殺傷能を高めた新

規の他家CAR-T細胞療法です。

 2026年度から米国における臨床試験実施を予定しており、米国食品医薬品局(FDA)に対する開始申請(IND)の最終

段階に入っております。

 BP2202は、これまで医薬品として承認されている自家CAR-T細胞に用いられる患者自身のT細胞の代わりに、健常

人ドナーから作製した他家のiPS細胞由来NKT細胞を用いることによって作り置きが可能になったCAR-T細胞医薬品

であることを特徴とします。臨床試験を通して検証されている作用メカニズムを有する細胞医薬の細胞部分を、患

者自身のT細胞から、より利便性の高い他家NKT細胞に切り替えていくコンセプトで開発を進めています。

 当社は2023年5月にSTAR-CRISPRTM遺伝子編集技術をライセンス導入し、固形がんを含む様々な適応症に対して

高度な遺伝子組換型CAR-ipsNKT細胞療法プログラムを創出することが可能となりました。現在その先駆けの製品と

して、多発性骨髄腫治療薬候補となるBCMA CAR-ipsNKT (BP2202)の開発を進めています。

 これまでにマスターiPSセルバンクの構築と、マスターiPSセルバンクからNKT細胞への分化誘導を行う製造工程

の確立を終えています。後者については、当社で確立した高純度かつ高増殖の製造工程を、iPS細胞治療薬製造の

先進企業で3Dバイオリアクターを用いる製造プラットフォームを有するCellistic社に移管し、より優れた製造工

程を確立しました。

 同プログラムは、2025年7月に米国食品医薬品局(FDA)より多発性骨髄腫を対象疾患とする希少疾病用医薬品

(オーファンドラッグ)に指定されています。

 

〔HER2 CAR-T細胞療法:BP2301〕

 BP2301は、様々な固形がんで高発現するHER2を標的とするCAR-T細胞療法です。

現在、国立大学法人信州大学においてHER2陽性の再発・進行骨・軟部肉腫及び婦人科悪性腫瘍を対象とする遺伝子

改変HER2 CAR-T細胞の臨床第Ⅰ相医師主導治験を継続しております。

 これまで血液がんを標的とするCAR-T細胞療法は、優れた臨床効果が臨床試験で示され、承認されてきました。

しかし、より患者数の多い固形がんへの展開においては、血液がんのような有効性を示すことができていません。

投与されたCAR-T細胞が、免疫抑制的な腫瘍微小環境において疲弊して機能を喪失し、十分に臨床効果を発揮でき

ないからと考えられています。

 この課題を解決するために、BP2301では、体内での優れた複製能と長期生存能を特徴とし、それによって腫瘍微

小環境における疲弊抵抗性と持続的抗腫瘍効果が期待される幹細胞様免疫記憶型(ステムセル・メモリー・フェノ

タイプ)細胞を多く含むCAR-T細胞を用いる技術の開発に成功しました。これは、国立大学法人信州大学の中沢洋

三教授の非ウイルス遺伝子導入法に基づき、中沢教授及び同大学柳生茂希教授と新規の細胞培養法を共同開発した

ことによって可能になりました。

 本製造方法は、国内、中国、及び米国にて特許査定を受けています。

 

  抗体医薬

抗体医薬では、腫瘍組織においてがん細胞を排除する免疫の働きを抑制する免疫チェックポイント分子もしくは免疫調整分子に結合し、その機能を阻害する抗体の開発を進めています。

CD39分子とTIM-3分子を双方発現する免疫細胞においてこれらを同時に阻害する抗CD39×抗TIM-3二重特異性抗体BP1212、がん細胞上に発現するCD39分子とT細胞上に発現するCD3分子双方を標的とするT細胞エンゲージャーBP1223を開発パイプラインとして有します。

BP1212は、固形がんを対象に、腫瘍組織内の樹状細胞が陥る免疫抑制状態を解除し、抗腫瘍T細胞免疫を誘導させるものです。この作用メカニズムを裏付ける非臨床試験データを、2025年6月に開催された学会Immune Response in Cancer and Infection(IRCI)2025において発表しております。

またBP1223は、急性骨髄性白血病を対象に、がん細胞が発現するCD39を標的に、T細胞に活性化刺激を入れながらがん細胞に接近させ、がん細胞を殺傷させる作用メカニズムのものです。急性骨髄性白血病を対象とする薬効薬理試験及び作用機序解析を国立がん研究センター東病院と共同で進めており、研究成果の一部を2024年12月開催の米国血液学会にて発表しました。

 

 

これらの結果、当事業年度につきましては、売上高は84千円(前年同期の売上高は1,133千円)、営業損失は1,295,001千円(前年同期の営業損失は1,160,918千円)、経常損失は1,293,533千円(前年同期の経常損失は1,147,879千円)、当期純損失は1,304,951千円(前年同期の当期純損失は1,151,149千円)となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

 ① 流動資産

当事業年度末における流動資産は前事業年度末より1,482,915千円増加2,554,230千円となりました。これは、現金及び預金が、研究開発に関連する支出があったものの、株式の発行による収入により1,345,727千円増加したことが主な要因であります。

 

 ② 固定資産

当事業年度末における固定資産は前事業年度末より1,337千円増加50,634千円となりました。これは、オフィス賃料の上昇に伴い差入保証金が増加したことによるものです。

 

 ③ 流動負債

当事業年度末における流動負債は前事業年度末より29,696千円増加161,358千円となりました。これは、未払金が37,670千円増加し、資産除去債務が5,056千円増加した一方で、1年内償還予定の社債が25,000千円減少したことが主な要因であります。

 

 ④ 固定負債

当事業年度末における固定負債は前事業年度末より11,091千円増加75,053千円となりました。これは、退職給付引当金が7,247千円増加したこと及び資産除去債務が3,844千円増加したことが主な要因であります。

 

 ⑤ 純資産

当事業年度末における純資産は前事業年度末より1,443,464千円増加し、2,368,452千円となりました。これは、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金の合計が2,749,730千円増加し、当期純損失により利益剰余金が1,304,951千円減少したことが主な要因であります。以上の結果、自己資本比率は前事業年度末の80.6%から90.1%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて1,345,727千円増加し、2,156,198千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は1,365,851千円(前事業年度は1,250,359千円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失1,302,531千円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,928千円(前事業年度は1,370千円の支出)となりました。これは、主に差入保証金の支出1,337千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は2,713,507千円(前事業年度は1,004,840千円の収入)となりました。これは、主に新株予約権の行使による株式の発行による収入2,737,224千円によるものであります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

医薬品開発事業

合計

 

(注)前事業年度及び当事業年度ともに生産実績がありませんでした。

 

(2) 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

医薬品開発事業

合計

 

(注)前事業年度及び当事業年度ともに受注実績がありませんでした。

 

 (3) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医薬品開発事業

84

△92.6

合計

84

△92.6

 

(注)1.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、医薬品開発事業におきまし

    て、当事業年度に特許実施許諾による一時金収入があったことによるものであります。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

当事業年度

(自  2025年4月1日

至  2026年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社A-SEEDS

1,004

88.6

株式会社日本バイオセラピー研究所

128

11.4

84

100.0

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は下記のとおりであります。なお、当社は、医薬品開発事業の単一事業であるため、セグメント別の業績に関する記載を省略しております。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(経営指標について)

当社は、創薬ベンチャーであり、研究開発活動という投資期間が長く、その研究開発活動の成果として、ライセンスアウトによる契約一時金やマイルストン収入等などを獲得するビジネスモデルであります。

中長期的視点からの経営の安定化、企業価値の向上を目指して、また著しい技術革新がなされ、大きな期待を受けているがん免疫治療薬分野における大きな事業機会を逃さないために、既存のパイプラインの推進のみならず、新規のパイプラインを積極的に導入していく方針であります。

従いまして、売上高や当期純損益の推移やROE、ROAといった経営指標を目的とすることはせずに、現預金残高の推移、研究開発活動の効率化、パイプライン数の拡大・充実について、財務状況を勘案しながら、早期のライセンスアウト及び黒字化の実現に向けて、事業を進めてまいります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。この見積りに関しては、過去の実績や適切と判断する仮定に基づいて合理的に算出しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと相違する可能性があります。

 

(2) 当事業年度末の財政状態の分析

①  資産の状況

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末より1,484,252千円増加2,604,864千円となりました。

これは、現金及び預金が、株式の発行等により1,482,915千円増加し、前払金が150,342千円増加したことが主な理由であります。

また、当事業年度末における資産の内訳としましては、現金及び預金が2,156,198千円と、資産の合計の82.78%を占めており、研究開発を推進していくにあたり、当面の資金は確保している状況にあります。

今後の現金及び預金の残高については、株式市場等からの資金調達やライセンスアウトによる契約一時金収入・マイルストン収入の獲得が実施されるまでの期間において、主に研究開発費用及び研究機器等の購入に伴う支出により減少する傾向にあります。現金及び預金の残高を注視しつつ、がん免疫治療薬分野の最先端の研究開発を積極的に推進してまいります。

 

②  負債の状況

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末より40,787千円増加236,412千円となりました。

これは、未払金が37,670千円増加し、未払法人税等が12,072千円増加したこと及び、1年内償還予定の社債が25,000千円減少したことが主な理由であります。

当社の有するパイプライン開発の推進に伴い、未払金が負債の大部分を占める傾向にあります。また、当事業年度末における現金及び預金の残高に対する負債の割合は、比較的小さく、引き続き効率的な研究開発活動を推進してまいります。

 

③  純資産の状況

当事業年度末における純資産は、前事業年度末より1,443,464千円増加2,368,452千円となりました。

これは、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金の合計が2,749,730千円増加し、当期純損失により利益剰余金が1,304,951千円減少したことが主な理由であります。自己資本比率は前事業年度末の80.6%から90.1%となりました。

 

(3) 当事業年度の経営成績の分析

①  売上高の状況

当事業年度の売上高につきましては、前事業年度と比べ1,049千円減少92.6%減)し、84千円となりました。

これは、前事業年度に当社保有特許の実施許諾に係る一時金収入を計上していたことから、前年同期比では減少となったものであります。

 

②  営業損益の状況

当事業年度における営業損失は、前事業年度と比べ134,082千円損失が増加1,295,001千円となりました。

当社は新規のがん免疫治療薬に開発領域を特化し、細胞医薬、抗体医薬、がんワクチンモダリティに関する探索から早期臨床試験段階にある複数のパイプラインの開発を同時並行で進めておりますが、当事業年度の研究開発費は前事業年度と比べ12.8%増加し1,002,493千円となりました。研究開発費の増額は、主にBP2202の米国臨床試験に向けた準備(マスターセルバンク製造準備や製造工程移管準備など)を進めていることによります。

当社の販管費に占める研究開発費の割合は77.4%となり、研究開発費の推移が営業損益に直接影響を与える構造となっております。

各パイプラインの推進に加え、日進月歩でサイエンスが進む環境に迅速に適合していくためにも、新規シーズの導入は今後も引き続き積極的に行っていく方針であるとともに、川崎創薬研究所及び細胞医薬研究所において創出している新規医薬品候補の開発を順次進めてまいります。

 

③  当期純損益の状況

当事業年度における当期純損益は、前事業年度と比べ153,802千円損失が増加1,304,951千円となりました。

当事業年度の売上総利益が前事業年度と比べ1,046千円減少し、販売費及び一般管理費が前事業年度と比べ133,036千円増加した一方、営業外費用で、為替差損6,679千円を計上したことが主な要因であります。

 

(4) 当事業年度のキャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因は、当社が推進する研究開発を遅延又は中止させる事象でありますが、詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(6) 資金の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資金需要は、研究開発にかかる人件費、試薬等材料費、消耗品費、外部委託費及び研究機器の購入等及び事業運営・上場維持にかかる人件費、外部委託費及び特許関連費用等であります。これらの費用及び研究機器の購入等については、自己資金により支出していく予定であります。自己資金については、すべて銀行預金としておりますので、すべての支出について迅速かつ確実に対応できるよう資金の流動性を確保しております。