リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、本記載は将来発生しうる全てのリスクを網羅したものではありません。
(1)事業展開に係るリスク
① 市場環境変化に関するリスク
当社グループの事業は、1)国内塗料事業、2)海外塗料事業、3)照明機器事業、4)蛍光色材事業、5)その他事業で構成され、売上の拡大や生産性の向上を図るとともに、原材料費用の低減並びに販売費及び一般管理費の抑制等のコスト削減に注力し、事業環境の変化に影響されにくい高い収益性を維持できる収益体質を確立すべく事業を展開しております。これらの関連業界市場の需要減少や販売地域での景気後退により、地政学的な問題(戦争、テロ、社会的不安等)及び自然災害(地震、台風、大雨等)の要因で販売数量の減少や価格の下落が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
事業ごとの状況は以下のとおりであります。
1)国内塗料事業では、国内市場において広範囲な産業に製品を提供しております。製品の高付加価値化の拡大を図っておりますが、これらの市場において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に創業以来培ってきた防食技術の需要分野は多方面に亘り、売上の重要部分を占めておりますが、防食塗料の需要は公共投資の動向に多大な影響を受けます。また、外装建材用塗料については民間住宅投資の動向やそれに係わる法的規制等に多大な影響を受けます。
2)海外塗料事業では、東南アジア、中国、メキシコに製造・販売拠点を構築し、グローバルに製品を提供しております。新規顧客の開拓や製品の高付加価値化の拡大を図っておりますが、為替レートの変動に加え、法律・規制の変更、不利な影響を及ぼす租税制度の変更や政治・経済状況の激変、テロ・戦争等海外特有の社会的混乱、その他予期せぬリスクが生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
3)照明機器事業では、建設業許可を受け、電気工事業者として登録し、主として当事業の製品である照明器具について、商業施設の内装に係る工事を受注しております。LEDをはじめとした新しい光源の発達に対応すべく今まで培ってきた技術力・ノウハウ・人材を活かして事業の拡大を図っておりますが、販売競争の激化等が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
4)蛍光色材事業では、蛍光顔料、蛍光塗料、特殊コーティング材等で、蛍光色材の国内唯一の総合メーカーとして、国内外市場において広範囲な産業に製品を提供しております。製品の高付加価値化の拡大を図っておりますが、これらの業界市場において需要の低迷が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
5)その他事業では、塗装工事及び塗料製品の運送・保管等で、需要の低迷が生じた場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 原材料調達に関するリスク
当社グループの塗料事業に用いる原材料は、ナフサ等からなる石油化学製品であり、原材料の調達においては複数購買、代替品調査等の施策により安価で安定した調達を図っておりますが、石油関連製品の世界的需要構造の変化及び為替レートの変動により原材料価格が大幅に上昇した場合や、需給バランスの逼迫や遅延により原材料の調達が困難になった場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 販売価格に関するリスク
当社グループは、原材料価格の高騰に対し販売価格に転嫁すべく努力しておりますが、販売競争の激化等により価格転嫁が充分に進まない場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 為替レート変動に関するリスク
当社グループの海外展開する連結会社等は、財務諸表項目の円換算額が為替レートの変動による影響を受けるため為替レートに大幅な変動が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動の基盤である情報システム・情報ネットワークに対し、様々なセキュリティ対策を実施しておりますが、災害、サイバー攻撃、不正アクセス等により情報システム等に改ざんや障害が生じた場合、企業情報及び個人情報等が社外に流出した場合は、事業活動の停滞や社会的評価・信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 退職給付に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等の前提に基づき計算されておりますが、年金資産の運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合は、積立不足等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 固定資産の減損に関するリスク
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下又は市場価格の下落等により、減損損失が発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 繰延税金資産の取崩しに関するリスク
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産が減額された場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法律及び規制に係るリスク
① 法的規制等に関するリスク
当社グループは、事業活動を行う上で、商取引、環境、安全、保安、品質保証、化学物質管理、労働、特許、会計基準及び租税等の様々な法規制の適用を受けており、法令遵守を基本として事業活動を行っております。
特に環境・安全・健康を確保するための責任ある自主活動「レスポンシブル・ケア」のほか、ISO14001の認証取得による全事業所での環境マネジメントシステムを実施し、環境汚染の防止に関する各種法律の遵守、重防食塗装を全て水性塗料で可能とする「DNT水性重防食システム」や、低臭気の室内用水性塗料「COZY PACK(コージーパック)」をはじめとする環境対応形各種塗料、抗菌・抗ウイルス塗料「COZY PACK Air」を開発しておりますが、今後の法改正や法規制強化のあり方次第では、生産・研究施設の改善あるいは製品設計・開発に多大な投資を必要とし、新製品開発の遅延による機会損失が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理しておりますが、第三者による侵害や訴訟を提起された場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 製品品質に関するリスク
当社グループは、製品の特性に応じて品質保証及び環境保全を最優先課題として製品を製造しておりますが、様々な技術上、あるいはそれ以外の要因により不良品が発生し、クレームを受ける場合があります。大規模なクレームや製造物責任を問われる事態が生じた場合は、これらの補償、対策費用が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に住宅建材メーカーに納入する外装建材用塗料については、1999年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行されて以降、住宅建材メーカー各社がこれを契機に高級外装材の拡販戦略として10年あるいはそれ以上の長期保証を打ち出し、塗料メーカーにも同様の塗膜保証を求めてきております。同塗料のトップメーカーである当社としては、製品の開発・製造には万全の注意を払い、損害賠償保険等による対策をとっておりますが、保証期間が伸長され、新製品発売により、当社のクレーム発生件数増加や補償負担の発生リスクを伴うものであります。
(3)災害等に係るリスク
① 災害、事故に関するリスク
当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めておりますが、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、火災等の事故が発生した場合は、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
特に当社グループの事業拠点について、塗料事業の生産拠点は分散化を図っておりますが、照明機器事業の生産拠点として、蛍光ランプ類は神奈川県秦野市に、安定器・照明器具類は秋田県潟上市に、蛍光色材事業の生産拠点は神奈川県鎌倉市にあり、自然災害等の外的要因により生産活動を停止せざるを得ないケースでは、代替する生産拠点を有しておりません。
各事業の生産拠点のいずれかが地震等の災害に罹災し稼働困難となった場合、コンピュータの基幹システムに重大な障害が発生した場合、あるいは電力需要調整の必要が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 感染症に関するリスク
当社グループの従業員への新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症に対しては、手洗い、うがい、アルコール消毒等の感染予防対策を講じておりますが、感染者が発生し一時的に操業を停止した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 気候変動対応に関するリスク
当社グループは、環境対応形各種塗料の開発に注力するなど、事業活動を通じてCO2排出量の削減等に取り組み、環境改善や気候変動リスクの低減に努めております。また、以下の気候変動リスクを識別及び評価しております。
・脱炭素化に向けたクリーンエネルギー及びCO2排出削減設備を導入することによるコスト増加
・環境負荷の低い原材料を購入することによる購入コストの増加
・気候変動による異常気象がもたらすサプライチェーンや事業活動停止によるコスト増加
・環境対応形製品への需要シフトといった市場ニーズの変化による当社の既存製品の陳腐化による事業悪化
・温室効果ガスの排出に関する新たな税負担が発生した場合のコスト増加
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対して安定的な配当を行うことを経営上の重要課題の一つとして位置付けており、企業体質の強化、財務内容の健全性維持に努めつつ、業績に応じた配当を安定的に継続実施することを基本とするとともに、株主資本配当率(DOE)を考慮して配当を行うことを基本方針としております。
剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の配当につきましては、2024年6月27日開催の定時株主総会において、当期の業績が堅調に推移したことに加え、2024年3月26日に公表いたしましたとおり、政策保有株式の一部売却及び連結子会社が保有する固定資産の譲渡に伴う特別利益を計上したことを踏まえ、前事業年度の期末配当金から10円増配し、1株当たり35円の配当とすることを決議しました。この配当総額は996百万円、連結配当性向は21.6%となりました。
また、内部留保資金は、研究開発の基盤整備、生産の効率化、財務体質の強化等に有効に活用する所存であります。
なお、当社では、株主総会の決議による期末配当を基本方針としておりますが、会社法第454条第5項の規定に基づき、「毎年9月30日を基準日として、取締役会の決議をもって、株主又は登録株式質権者に対し、中間配当金として剰余金の配当を行うことができる」旨を定款に定めております。
当社は、連結配当規制適用会社であります。