リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。ただし、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当社グループは、以下のような事項の発生及び顕在化の可能性を認識し、その発生の抑制や回避、また発生時においては業績、財政状態に与える影響を最小化するべく努めてまいります。
(1)気候変動について
当社グループは、気候変動に伴うリスクや機会を経営上の最重要課題であると捉え、事業に大きな影響を及ぼすものと認識しております。当社グループはTCFD提言に賛同するとともに、TCFD提言のフレームワークに基づき、気候変動が事業に及ぼす影響の分析、対応策の検討を進めております。
気候変動についての事業等のリスクは、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え及び取組 (2)気候変動への対応 ②戦略」に記載しております。
(2)自然災害・事故等について
大規模な地震やその他の自然災害、事故、感染症の蔓延等により、当社グループの各事業所、製造拠点が被害にあった場合、事業活動の中断や著しい縮小を余儀なくされた場合、または一部の製商品の需要が著しく減少した場合には、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらには、上記に起因して電力や原材料の供給不足などが発生し、サプライチェーンに大きな障害が生じた場合には生産活動の制限により、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、安全・防災に関する専任部署を設置し、これらリスクを低減すべくグローバルBCP体制の構築に取り組んでおります。事業環境に与える影響への対応につきましては、「(4)事業環境の変化について」及び「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。また、原材料の供給不足に伴う影響及び製造拠点の被害に伴う影響への対応につきましては、「(3)原材料市況等の影響と調達活動について」及び「(5)海外への事業展開について」をご参照下さい。
(3)原材料市況等の影響と調達活動について
当社グループの主要販売製品である印刷インキなどの原材料は、石油化学製品への依存度が高いため、原油価格及び為替相場に異常な変動が生じた場合などには、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料を製造している国において、自然災害・事故あるいは法律又は規制の予期しない変更などが生じ、安定調達が困難になるリスクや、需給関係の悪化に伴う相場の異常な変動が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロシアのウクライナ侵攻に起因する原燃料の価格高騰、中国における環境規制の強化などに伴い、原材料価格が上昇するリスクを事業環境に照らして認識しております。国内では物流の2024年問題対応、海外ではパナマ運河の水量不足による通航制限や紅海危機によるスエズ運河からアフリカ喜望峰経由迂回による輸送コストの急激な値上がりは調達コストに影響します。当社グループでは原材料の価格動向に注意を払うとともに調達先の拡大や長期契約の締結等により、原材料の価格変動リスクの影響を緩和する工夫を行い、安定して原材料が調達できるように努めております。また、現地法人相互での互換化を進めており、複数購買やグローバル調達等も進めることで当社グループ全体における原材料費の低減や安定調達を図っております。
さらには、当社グループの「調達基本方針」を定め、公正・公平で誠実な調達活動を通じ、サプライチェーン全体に関わる地球環境の保護・保全、資源保護や、労働安全性、人権など社会へ配慮し、企業としての社会的責任を果たします。全ての調達取引先は、より良い製品・商品・サービスを提供するための大切なパートナーと認識し、相互信頼を築きつつ共存共栄と持続可能な社会の実現を目指してまいります。
(4)事業環境の変化について
近年の当社グループを取り巻く事業環境の主な変化について、「少子高齢化の進行など人口動態の変化」、「国内・海外での市場・競争環境変化」、「デジタル化によるバリューチェーンの変化」、「環境制約・社会課題への対応」を認識しております。その変化による影響に対して、「地球環境と地域社会を重視したESG・サステナビリティの取り組み強化」、「印刷インキ、機能性材料事業の拡大」、「新しい事業領域への挑戦」を戦略の方向性とし、対応してまいります。詳細は、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」をご参照下さい。
(5)海外への事業展開について
当社グループは、米州をはじめアジア、欧州などの世界各国にグローバル展開しております。このため、カントリーリスクが顕在化した場合、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、為替相場に異常な変動が生じた場合は、業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは当社主導のもと、グループネットワークを生かしてリスク情報を収集し、事業に相当程度の影響を与えうるカントリーリスクを発見・特定した上で、その対応を図ることとしております。当社グループは、事業を展開するほとんどの国・地域において、製造拠点を有しており、有事の際には周辺国における代替生産をはじめとして、事業の継続を図ってまいります。
上記は、当社グループの事業に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要施策と位置付けており、業績、投資計画、経営環境を総合的に
勘案し、積極的かつ安定的な配当と機動的な自己株式の取得を実施していきます。
当社の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。また、配当につきましては、中期経営計画2026(CCC-Ⅱ)期間中に総還元性向50%以上又はDOE(株主資本配当率)2.5%以上を目指します。なお、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
内部留保金は、長期的な展望に立った当社グループにおける研究開発設備や生産設備等の投資への資金需要に備えることとし、それぞれの事業分野の動向に積極的に対応し、競争力の強化並びに収益力の向上を図ることが、企業価値の向上につながるものと考えております。
上記の方針に基づき、当事業年度の年間配当金は1株当たり35円(中間配当15円、期末配当金20円)といたしました。なお、当事業年度は、2023年6月30日を基準日として中間配当を実施いたしました。この結果、当事業年度の連結配当性向は23.5%、連結純資産配当率は1.9%となりました。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下の通りであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年8月10日 |
750 |
15 |
取締役会決議 |
||
2024年3月27日 |
1,000 |
20 |
定時株主総会決議 |