2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の見えないリスクも存在します。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、取締役を中心としたメンバーで構成されるリスク管理委員会で、事業を取り巻く様々なリスクの管理を適切に行い、リスクの未然防止を図っております。

なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

No.

項目

リスク

対策

外部経営環境

●世界の経済動向、金融危機、戦争、自然災害、気候変動、感染症の流行等の影響による受注の減少及び事業活動の停滞及び停止

○大型病院や製造工場等を中心とした多様な業種へのサービス展開

○建物設備メンテナンス及び建物設備工事の重要性が高い顧客への傾注

○顧客への積極的なソリューション提案(省エネ・省コスト提案、環境改善提案)による環境負荷低減を通じた環境問題へのアプローチ

○南海トラフ地震等の大規模災害や未知の感染症発生等を想定し、事業継続計画(BCP)の策定及び従業員の安否確認体制の構築を推進

○可能な範囲での在宅勤務や時差出勤等の実施による働き方の多様化促進

○特に大型病院等の施設維持管理業務において、不測の事態に対応可能な余力体制の構築を推進

○気候変動イニシアティブへの対応を目的とした組織を新設し、現状把握及びリスクと機会の分析を推進

競争環境

●外部経営環境の変化によるお客様のメンテナンスコスト見直し意識の加速

●新規受注に向けた企業間競争の激化

○高い参入障壁を持つビジネスモデルの構築による競争力強化

・機器メーカーの制約を受けない独立系企業グループであることによる柔軟なサービスの提供

・約2,500名の技術系従業員と日本全国及び海外6ヵ国への拠点展開による迅速な自社対応ときめ細かなサービスの提供

・維持管理に高度な技術力が要求される特殊な環境を有する施設への傾注

・高度な技術力に加えて、ソリューション力とトータルサポート力による高品質サービスの提供

 

 

 

No.

項目

リスク

対策

労働力

●国内での生産年齢人口減少に伴う採用環境の競争激化

●人材不足に起因する技術力及びサービス提供力の低下による信用失墜

●人材不足に起因する労働環境の悪化及び退職者の増加等による技術系従業員の不足や多様性の減少

○人材教育の品質向上や新入社員の早期戦力化を目的として現在建設中の技術研修センターにて、技術力の底上げと安全意識の向上を図り、人的資本の価値向上に注力

○国内外での積極的な外国籍従業員の採用による人材確保及び雇用創出への寄与

海外展開

●進出国における言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、政治、経済の混乱、予期せぬ為替レートの変動、商習慣の違い、現地社員のストライキ等による海外事業の停滞

●進出国における競合企業との競争

●事業計画未達による減損

○関係機関及び現地での情報収集、海外マネジメント部門における営業展開や国内各部門による現地社員の教育等の継続的な支援の実施

○強みであるソリューション力とトータルサポート力を最大限に発揮した高品質サービスの提供による競合企業との差別化

メンテナンス・工事施工の事故や災害等

●従業員の人為的なミスによる顧客への損失等の発生

●建物設備工事において、竣工後一定期間における瑕疵担保責任に伴う補修工事等の発生

●顧客からの訴訟等の提起

●賠償責任保険でまかないきれない損失の発生や信用失墜によるブランド力の低下

○新入社員への10年カリキュラム等の充実した研修や実践的なOJTによる技術力向上

○事業実態に即した保険内容への適宜見直し

○特に維持管理に高度な技術力を要する医薬品製造施設等は、医薬施設管理部により最適な施設環境を提供するための品質管理及び品質保証体制を強化

特有の法的規制・取引慣行・経営方針

●官公庁関連案件の入札制度参加資格条件の変更等による機会喪失

●指定管理者制度(官公庁の官業の民間への開放策)等の導入に伴う競争激化による逸注

○官公庁関連を引き続き重要な顧客としつつも、日本全国及び海外6ヵ国に拠点を展開しているメリットを最大限に活かした民間顧客の新規開拓に傾注

情報管理

●不測の事態による保有情報(技術・営業情報等の重要な機密情報や、ステークホルダーの個人情報等)の消失、漏洩または改ざん等の発生

●社会的信用の失墜、被害を受けたステークホルダーへの損害賠償、事業活動への支障等

○重要なサーバーを信頼性の高いデータセンターに設置し、大規模災害時にも情報を保全

○情報セキュリティ対策の継続的強化と、全従業員への情報セキュリティ教育の実施による運用面の強化

〇重要な情報を含む記録装置の廃棄時には、物理破壊後に廃棄

内部統制

●担当者の不注意・判断ミス・共謀、組織内外の環境の変化や非定型的な取引、費用と便益の比較衡量、経営者による不正等の様々な要因による内部統制システムの機能不全

●将来的な不正行為発生の可能性と、それに伴う企業価値の毀損や社会的信用の失墜等

○ガバナンス統括部を中心に、企業価値向上にとって有効かつ効率的な内部統制システムの構築とその運用及び推進を強化

○全従業員を対象としたコンプライアンス研修の実施による、コンプライアンス意識と実務に関わる法令等の知識の向上

○誠実な企業風土の醸成と対話の充実

(注) 特殊な環境を有する施設は「病院及び研究施設」「製造工場等」「その他の特殊な施設」を指しております。

 

配当政策

3【配当政策】

当社グループは、本業の持続的な成長による利益拡大を前提とした、株主の皆様に対する利益還元を重視しております。また、安定的な利益還元を重要な経営課題のひとつと認識しており、経営基盤の強化に向けた内部留保の充実を勘案しつつ、利益配分を決定することとしております。

株主の皆様への安定した利益還元の実現を目的として、1株当たりの年間配当金の下限を40円に設定いたします。それと同時に、連結配当性向の目途を50%程度とする基本方針を設定し、自己資本当期純利益率の目標と併せることで、純資産配当率5%程度を目安とした株主の皆様への持続的な利益還元を実現させてまいります。

なお、当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会としております。

上記方針に基づき、当事業年度の配当金につきましては、1株当たり15円の中間配当を実施済みであり、期末配当は1株当たり普通配当24円とすることで、年間配当金としては、1株当たり39円(前期実績28円)といたしました。

この結果、当連結会計年度の連結配当性向は49.1%となり、また当事業年度の配当性向は60.8%となりました。

内部留保資金につきましては、財務体質の強化並びに将来の事業展開に向けた投資等に有効活用していく考えであります。

なお、当社は「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を実施できる。」旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月31日

515

15.00

取締役会決議

2024年6月21日

824

24.00

定時株主総会決議