人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数122名(単体) 7,373名(連結)
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平均年齢50.5歳(単体)
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平均勤続年数23.3年(単体)
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平均年収15,770,000円(単体)
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平均年収の
対前年増減率-5.0%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
当社グループは、人権の尊重をすべての事業活動の前提と位置づけたうえで、持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、事業戦略・コンテンツ戦略と一体となった人的資本経営を推進しています。コンテンツ創出の源泉は「人」であり、従業員一人ひとりが尊重され、安心して能力を発揮できる環境の整備が、中長期的な競争力の基盤になると考えています。 2025年5月に公表した「改革アクションプラン」では、人的資本経営を最重要テーマとして位置づけ、グループ全体で人権・コンプライアンス意識の徹底と企業文化の再構築を進めています。2025年度から2026年度にかけては、各社こうした考え方を理念にとどめることなく、組織体制、ガバナンス、人材マネジメントなどの施策についてさらに実効性を高めて取り組んでいます。
また、長時間労働やハラスメントといった課題に正面から向き合い、研修やガイドラインの整備・徹底を通じて、誰もがやりがいを持って働ける職場環境を実現します。
① 人材戦略(組織・採用・育成)
IP/コンテンツ起点への事業構造転換を進める中で、IP創出から展開・収益化までを一気通貫で推進できる人材基盤を競争力の源泉としているため、既存社員の育成・能力開発への投資に加え、グローバルな視点や高い専門性を有する人材のキャリア採用を強化しています。
(株)フジテレビジョンでは eラーニングを用いたリスキリングやエンゲージメントサーベイおよび360度フィードバックを導入し、人材育成上の課題やマネジメントの質を定量的に把握し改善に活用しています。
2025年7月には、人的資本経営及びコンテンツ戦略の高度化を目的として、大規模な組織改編を実施しました。コーポレート本部を新設し、コンプライアンス、法務、リスク管理、人権、サステナビリティ経営推進といった機能を集約することで、経営の監督・支援体制を強化しました。これにより、従業員が安心して働くための基盤整備と、人的資本施策の実行力向上を図っています。また、制作体制についてはスタジオ本部制を導入し、従来のジャンル別組織を見直しました。人材の流動性を高めるとともに、ジャンル横断での企画創出を可能とする体制に移行することで、多様な人材が能力を発揮しやすい環境づくりを進めています。加えて、コンテンツ戦略本部を新設し、企画、投資、マーケティング、販売を一体的に管理する体制を構築することで、コンテンツを起点とした事業運営への転換を進めています。
~中長期的な展望~
人的資本経営は単年度の施策で完結するものではなく、中長期的な視点に立った継続的な取り組みが必要であると認識しています。
当社グループでは、組織改革、採用、人材育成、評価・ガバナンスの見直しを通じて、人的資本経営を理念から実行段階へと移行させてきました。
今後は、グループ全体の人材ポートフォリオの把握・可視化を次の課題と位置付け、スキルや専門性の体系的な整理に向けた検討を進め、2030年までに150億円規模の人的投資をおこないます。グループ内での人事間連携を強化することにより、人材の流動性や育成の質を高め、事業戦略の実行力向上と中長期的な企業価値の創出につなげていきます。
なお、(株)フジテレビジョンではキャリア採用を強化しており、2026年度の採用人数は2025年度の採用人数を既に上回っております。また、2026年度は新卒採用者数とキャリア採用者数がほぼ同人数もしくはそれを上回る見込みです。
この他グループ各社で多様な働き方と人材育成の基盤整備をおこなっています。詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 人的資本に関する戦略と指標及び目標」をご参照ください。
② 従業員給与等の決定方針
当社グループにおける従業員給与は、役割・成果・市場水準を踏まえた競争力ある水準を基本とし、各社の業績及び外部環境を勘案して決定しています。 (株)フジテレビジョンの報酬制度としては、2024年4月にグレード制に移行し、実績に即して評価と昇格が行われています。さらにベースアップも5年連続実施しており、2026年度の賃上げ率は5.1%となりました。
(2) 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。
2 従業員数の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。
3 前連結会計年度末に比べ「全社」の従業員数が79名増加している主な理由は、当社への兼務出向者が増加したことによるものです。
(2) 提出会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、関係会社から当社への出向者を含む就業人員であります。なお、従業員数には㈱フジテレジョンからの兼務出向者数も含めております。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 持株会社である提出会社の従業員数はいずれのセグメントにも区分されないため、「(1)連結会社の状況」の「全社(共通)」に記載しております。
(3) 最大人員会社の状況
ア 当事業年度における従業員数が最も多い会社
㈱フジテレビジョン
(注) 1.従業員数は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含む就業人員数であります。なお、当社への兼務出向者数は、従業員数から除外せず、含めております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
イ 上記アの会社の次に従業員数が多い会社
㈱グランビスタホテル&リゾート
(注) 1.従業員数は、他社への出向者を除き、他社からの出向者を含む就業人員数であります。
2.従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。
3.臨時従業員には、パート・アルバイト及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(4) 労働組合の状況
労使関係については、特に記載すべき事項はありません。
(5) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
当社グループは、2026年5月より「好きでつながる明日をともに」を経営ビジョンに掲げ、コンテンツへの興味や共感から生まれる「好き」を起点に、人と人が安心してつながる未来を生み出していくことを目指しています。この経営ビジョンの実現に向けては、事業活動を通じた価値創出と、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを一体的に推進していくことが重要であると考えています。
一方、㈱フジテレビジョンにおいて人権・コンプライアンスに関する事案が発生したことを受け、当社グループは、グループ全体における人権尊重、コンプライアンス、リスク管理およびガバナンスの実効性を改めて見直し、再構築することを最優先課題として取り組んでいます。2025年4月にグループ人権委員会を、2025年7月に取締役会への諮問機関としてリスクポリシー委員会を新設しました。グループ人権委員会は、当社代表取締役社長を委員長、外部有識者を副委員長、グループ各社の代表取締役社長を委員として構成されており、グループ各社の人権関連施策におけるトップコミットメント体制の確立や人権デューディリジェンスの継続実施などに取り組んでおります。リスクポリシー委員会は、独立社外取締役と外部有識者等による委員4名で構成されており、客観的な視点からリスクの抽出・評価・方針策定を行い、人権リスクをはじめとする重要な経営リスクをグループ横断で監督しています。これらの新設組織を踏まえて、当社は、執行部におけるサステナビリティ委員会、グループ人権委員会、グループリスク・コンプライアンス委員会の3委員会体制を構築し、その上で、リスクポリシー委員会が人権リスクをはじめとした、当社及び当社グループ各社における経営リスク全般の監督を行うことで、取締役会による執行部への牽制・監督機能が有効に働く体制としています。
また、抜本的なガバナンス改革が必要との認識から、役員選任プロセスを透明化し、特定の者に長期間権限が滞留しない仕組み作りとして、役員定年制・在任期間制限規定の導入、取締役会の多様性の確保と、サクセッションプラン(後継者育成計画)の策定を行いました。役員定年制・在任期間制限規定の導入により、2025年4月より代表取締役は70歳、常勤取締役・執行役員は65歳を定年とし、社外取締役と監査等委員は上限8年の在任期間制限を設けたことに加え、2025年6月には相談役制度・顧問制度を廃止しました。取締役会の多様性の確保では、2026年3月末時点で女性役員比率は40%、役員平均年齢は57.6歳となっており、第85回定時株主総会を経た新役員体制では、女性比率は45.5%、平均年齢は56.1歳となる見通しです。引き続き取締役会の多様性の確保に努めてまいります。サクセッションプラン(後継者育成計画)は、独立社外取締役が委員長を務め、かつ過半数が社外取締役で構成される指名・報酬委員会において策定され、代表取締役社長、経営層、ならびに経営層候補となる人材プールに求められる要件を定めました。当該要件には、一般的なリーダーに求められる統率力に加え、当社が認定放送持株会社として担う放送の公共性を重視し、社会的責任を全うする基本理念を踏まえ、良識、利他心等の資質を含んでおります。
サクセッションプランの詳細については、当社ホームページに掲載しております。
[掲載ページ] https://www.fujimediahd.co.jp/corporate/governance.html
当社グループでは、これらのガバナンス改革とあわせて、サステナビリティに関する課題をグループ横断で審議・推進する体制として、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。さらに、将来のSSBJ基準の適用を含む開示要請の高度化を見据え、サステナビリティ委員会の下部組織として、人的資本分科会、気候変動対応分科会、CSR推進分科会の3つの分科会を、2026年8月に設置予定です。各テーマに特化した分科会を設けることにより、人的資本戦略の策定・運用、CO2排出量算定・削減に向けた取り組み、社会課題の解決に資する活動等について、グループ横断で検討を深め、施策の具体化と実行力の向上を図ります。その活動状況等については、サステナビリティ委員会を通じて取締役会へ定期的に報告してまいります。
さらに、㈱フジテレビジョンでは、今般の事案を受けて人権尊重の徹底や未来を見据えた人的資本経営の推進を含む「サステナビリティ経営」の実現にむけて「サステナビリティ経営委員会」を設置しました。当委員会では、弁護士などからなる外部アドバイザリーボードの助言を受けながら、人権、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)、人的資本等に関する取り組みについて、部署の垣根を越えて全社横断的に議論を行ってまいります。委員会の議論状況は都度㈱フジテレビジョンの取締役会に報告し、取締役会によるモニタリングの対象としつつ、重要な取り組み方針等について取締役会で決議しております。あわせて、当社グループ人権委員会及びサステナビリティ委員会にも報告し、グループ全体での取り組みとの一貫性を確保し、当社による監督を行ってまいります。
(2) リスク管理
当社グループでは、サステナビリティに関連するリスクのうち、特に人権、人的資本、気候変動に関するリスクを、グループの持続的成長及び企業価値に影響を及ぼし得る重要なリスク領域として認識しています。(1)ガバナンスで記載の通り、2025年7月に社外取締役及び外部有識者等で構成するリスクポリシー委員会を設置しました。リスクポリシー委員会は、取締役会と連携し、客観的な視点で当社グループ全体のリスク管理及び危機管理方針を提言し、リスク管理及び危機管理体制の監督を行い、その結果を取りまとめ取締役会に報告・提言します。
具体的には、リスクポリシー委員会の下部組織として設置されたリスク小委員会が主体となり、グループ各社にリスクに関するアンケートを実施し、各社の経営リスクの洗い出しを行いました。そのアンケート結果と外部有識者の意見を踏まえ、グループとして特に強く認識されているリスクを取りまとめ、2025年12月のリスクポリシー委員会にて、「人権・ハラスメント」や「コンプライアンス(法令・社会倫理遵守)」等の項目を含む、グループ共通の2026年度リスクレジスターを策定しました。当社は、決定したリスクレジスター及びリスク回避・軽減計画に基づき、リスク発見時の情報エスカレーションと経営判断の徹底を図るとともに、グループ各社の役職員に対してコンプライアンスを含むリスク管理・危機管理の研修や具体的事例・シナリオを用いた実践的なトレーニングを実施するなど、予見されるリスクを回避・軽減させる具体的な取り組みを進め、リスクに強い組織文化の定着を目指します。リスクポリシー委員会は、当該計画の進捗を定期的にモニタリング・評価し、その結果をグループリスク・コンプライアンス委員を通じてグループ各社にフィードバックすることをPDCAサイクルで行い、時代と共に変化をするリスクに対応していきます。
また、㈱フジテレビジョンにおいても、2025年7月にリスクポリシー委員会とリスク管理部を新設しました。リスクポリシー委員会は、過半数が社外取締役で構成された、人権リスクを含む執行側のリスク対応全般を監督する組織で、委員長も社外取締役から選定されます。リスク管理に関する基本方針、リスクチェックシート、その他リスクに関して取締役会またはリスクポリシー委員会が必要と認めた事項について担当者から報告を受け、取締役会に助言を行います。リスク管理部は、経営に重大な影響を与える可能性のある社内のあらゆるジャンルのリスクを日常的に評価・特定し、社内関係部署と連携しながら未然防止に努めるべく、社長室に新設しました。平時からの把握を前提とし、重大リスク発生時にはリスク管理部が事務局となって、被害を最小限にとどめるために関係部署が横断的に対策に動ける体制を構築しています。また、各部署が自らリスクを棚卸ししたリスクチェックシートを作成し、評価・対策を文書化する運用も従前通り継続しています。
(3) 人権に関する戦略と指標及び目標
①戦略
今般の事案を踏まえて、人権・コンプライアンス意識向上をグループ経営の最重要課題とし、「グループ人権委員会」の発足(2025年4月)、グループ社長会でのコンプライアンス事案報告必須化(2025年4月)、「グループ人権方針」の改定(2025年9月)、外部弁護士による「FMHグループ通報窓口」の設置・運用開始(2025年8月)を行いました。
a. 「グループ人権委員会」の発足
「グループ人権委員会」は、当社社長を委員長、グループ各社の社長を委員として構成され、さらに人権分野を専門とする外部弁護士を副委員長として招聘し、人権関連施策の運用状況の可視化、人権デューディリジェンスの継続実施、実効性のある人権救済メカニズムの構築を主に進めてまいりました。また担当部門として「法務・コンプライアンス局」を2025年4月に発足させ、機能の強化・ 拡大を支えています。
また、経営層をはじめ広く役職員に対し研修を義務付け、ハラスメントや人権侵害を決して許さない職場環境を整備するよう徹底しました。
b. グループ社長会でのリスク・コンプライアンス事案報告の必須化
2025年4月以降、月次で開催するグループ社長会で各社のコンプライアンス事案の報告を必須化していましたが、2025年10月以降はその範囲を広げ、各社のリスクとコンプライアンスに関する事案の報告を必須化しました。なお、グループ各社にて経営に大きな影響を及ぼしうる事案が発生した際には、グループ各社のリスク担当者より、当社の法務・コンプライアンス局および経営企画局への報告を義務化しており、事案発生時に当社への報告が確実に行われる体制を構築しました。
c. 「グループ人権方針」の改定
「グループ人権方針」は、2023年11月に策定した内容から、人権尊重へのさらなる意識向上と体制の充実を図るため、2025年9月に改定しました。改定版では、国内外で高まる人権意識・潮流を反映し、国際基準により合致した内容とし、人権尊重の姿勢を具体的に示しています。なお、 改定に際しては、事業内容やビジネスモデルが多様なグループ各社の人権侵害リスクに対応できること、㈱フジテレビジョンを含むグループ各社の役職員が人権方針に対する理解を深めることを目的として、グループ各社が改定のプロセスに参画することを特に重視しました。
「グループ人権方針」の詳細については、当社ホームページに掲載しております。
[掲載ページ] https://www.fujimediahd.co.jp/sustainability/hrp.html
d. 外部弁護士による「FMHグループ通報窓口」の設置・運用開始
外部弁護士による「FMHグループ通報窓口」は、人権及びコンプライアンス体制強化を図る目的で、当社の「グループ人権方針」の理念に基づいた「苦情処理メカニズム(グリーバンスメカニズム)」として機能させるべく、2025年8月より運用を開始しました。当窓口はグループ各社の役職員だけでなく、取引先など社外のステークホルダーも利用でき、直接外部の弁護士に違反行為を通報・相談できます。被害者が安心して相談できる環境を整備するために、窓口の周知徹底を行うとともに、2025年11月にはグループ各社の相談窓口従事者にワークショップ形式の実践的な研修も行い、制度の整備に留まらない確実な運用を目指しています。
また、㈱フジテレビジョンにおいては、人権尊重を自らの経営上の最重要課題として捉え、社長を委員長とするサステナビリティ経営委員会、及びその下に人権プロジェクトを設置し、トップコミットメントのもと全社横断的に研修・ワークショップなどを実施し意識の醸成に努めてまいりました。2026年3月には、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」等の国際基準に沿って「誰も傷つけない(Do No Harm)」という考え方を踏まえ、経営、制作、報道、各種取引を含む全ての事業過程に着実に組み込んでいくための中長期的な方向性を示した「人権ロードマップ」を公開しております。ステークホルダーとの継続的な対話を通じて人権リスクを特定・評価し、その結果を踏まえた対応と見直しを重ねることで、改善を続ける「人権ファースト」のコンテンツ・カンパニーとしての責任を果たしてまいります。
[㈱フジテレビジョンの人権ロードマップ]
②指標及び目標
2025年度は、今般の事案を踏まえ、グループ全体における人権尊重の基盤整備、実態把握、救済メカニズムの運用開始を優先して取り組みました。具体的には、「グループ人権委員会」において人権デューディリジェンスを実施するとともに、経営層および役職員を対象とした人権・コンプライアンス研修、「FMHグループ通報窓口」の運用、グループ各社の相談窓口従事者への研修等を行いました。2025年度に開始・実施した各施策については、2026年度以降、対象範囲、実施状況、相談・通報内容の傾向、対応状況等を継続的に把握し、実施状況および有効性を確認するための指標・目標の整備ならびに、グループ全体の人権リスク管理および救済メカニズムの実効性向上に活用してまいります。
当社は、2026年1月より、グループのリスク管理及び危機管理体制に、「リスクレジスター制」を導入しました。2026年度のリスクレジスターの中で、「人権・ハラスメント問題」は特に重大なリスクと捉えており、2026年度については、グループ全体へ人権に関わる研修を年3回行うほか、グループ各社における人権デューディリジェンスや、「FMHグループ通報窓口」の運用、グループ各社の相談窓口従事者への研修を継続し、人権侵害を許さない体制の確立を目指します。
また、㈱フジテレビジョンにおいては、2025年度は社員や労働組合との対話に加え、社長と各部局とのスモールミーティングを15回実施したほか、社外のステークホルダーとの対話を約30件行いました。制作会社や芸能事務所をはじめとする取引先、社員や労働組合、スポンサー、外部有識者、当事者団体など、立場や関係性の異なる幅広いステークホルダーとの対話を通じて、制作現場や取引関係における人権上の課題や懸念、組織風土や制度運用に関する指摘を把握し、改善に努めております。その一部は人権デューディリジェンスの一環として行っており、人権リスクの特定・評価及び施策の見直しや改善につなげております。2026年度もステークホルダーとの対話を継続し、対話で得られた知見をもとに、人権尊重を基軸としたサステナビリティ経営の高度化と改善を進めてまいります。
(4) 人的資本に関する戦略と指標及び目標
①戦略
当社グループは、コンテンツ・カンパニーとして成長戦略を実行するうえで、人的資本を最も重要な経営資源と位置付けています。特に、IPの開発・獲得、制作・ディストリビューション、IPの多角展開からなるIPバリューチェーンを一気通貫で推進できる人材基盤は、当社グループの競争力の源泉であると考えます。その実現に向けては、多様な専門性と創造性を有する人材が、安心して能力を発揮できる環境を整備することが不可欠です。当社グループは、人権の尊重を人的資本経営の基盤とし、成長戦略の実行力を高める人材の獲得・育成、社内環境の整備及び多様な人材の活躍促進に取り組んでいます。
a. 2025年度の取り組み
2025年度においては2025年5月に公表した「改革アクションプラン」に基づき、グループ全体で人権・コンプライアンス意識の向上、心理的安全性の確保、長時間労働やハラスメント等への対応を進めました。また、役職員が人権・コンプライアンスを自らの行動指針として主体的に理解し、実践できる組織風土の構築に向けて、実践的かつ体系的な研修の実施、明確なガイドラインの策定及び周知に取り組みました。これらの取り組みは、当社グループが持続的に成長していくための人的資本経営の基盤を再構築するものです。なお、人権尊重に関する具体的な考え方及び取り組みについては、「(3) 人権に関する戦略と指標及び目標」に記載しています。
「改革アクションプラン」につきましては、当社ホームページに掲載しております。
[掲載ページ] https://www.fujimediahd.co.jp/ir/pdf/actionplan2025.pdf
b. 2026年度以降の方向性
2026年度以降は、2026年5月に公表した「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」(以下「本ビジョン」)に基づき、IPバリューチェーンを一気通貫で推進できる人材基盤への戦略投資を進めます。特に、IPバリューチェーンを設計・統括する人材、IPを生み出す開発人材、IPの育成・展開を強化する人材、ならびにグローバル、MD・ライセンス、データマーケティング、AI活用等を通じてIP価値を拡張・最大化する専門人材の獲得・育成を重点領域として捉えています。これらの人材基盤を強化するため、人材獲得と育成を中心に、2030年度までの5カ年で総額150億円規模の人的投資を行う方針です。
今後は、改革アクションプランで進めた人権・コンプライアンスを基盤とする職場環境の整備を継続しつつ、本ビジョンの実行に必要な人材基盤の強化に取り組みます。なお、人材戦略の詳細は「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」に記載しております。㈱フジテレビジョンでのキャリア採用強化など一部先んじて進めていますが、重点領域に掲げた人材をグループとして獲得・育成していくために、グループ人材のスキルマップの可視化などを行い、2026年度を通じて具体化を進めてまいります。
「グループビジョン 2026-2030 ver.1.0」につきましては、当社ホームページに掲載しております。
[掲載ページ] https://www.fujimediahd.co.jp/ir/pdf/groupvision2026-2030_Ver1.pdf
c. 社内環境整備方針
(ア) 多様な働き方と人材育成の基盤整備
本ビジョンでは、IPの開発・獲得、制作や多角展開を通じて、IPを多くのユーザーに届けていくことを成長戦略の重要な方向性としています。この実現に向けては、IPバリューチェーンに関わる人材自身が多様な視点や価値観を有し、意思決定や事業運営に参画することが不可欠であるとの認識のもと、当社グループでは特に管理職における多様性の確保を重要課題と位置付けています。その一環として、従業員301名以上のグループ会社において、女性管理職比率を2022年度の19%から2030年度までに30%以上とする目標を掲げ、継続的に取り組んでいます。
また当社グループでは従来、子育てや介護等の事情により休業・休職をせざるを得ない従業員を含め、多様な働き方に対応した環境整備を進めてきました。また、多様性確保に向けた人材育成方針のもと、各階層に応じた研修を実施するとともに、ハラスメント、コンプライアンス、LGBTQ等に関する研修を継続的に行っています。
㈱フジテレビジョンでは、2023年4月からパートナーシップ宣誓や事実婚など、多様なライフスタイルを認める取り組みを制度化し、慶弔や休暇等を分け隔てなく取得・活用できる環境を整備しました。これらの制度は、従業員が安心して長期的なキャリア形成を行うための重要な基盤であると考えています。また、2025年10月よりエンゲージメントサーベイを月次で実施し、定量結果を社内で共有することで、組織の健全性やその推移を可視化しています。さらに、自由記述等の定性情報も踏まえ、職場環境や業務プロセス上の課題の抽出及び改善検討につなげることで、従業員のエンゲージメント向上に活用しています。加えて、2026年2月に管理職を対象に360度フィードバックを導入し、部下からのフィードバックを通じて管理職本人の気づきや内省を促すとともに、人材育成上の課題把握やマネジメントの質の向上に役立てています。
(イ) 健康経営の推進
ワークライフバランス及び心身の健康保持・増進の観点から、㈱フジテレビジョンでは2023年3月に民間団体が主催する「男性育休100%宣言」に賛同し、2023年10月には「健康経営宣言」を発表しました。病休者の復職支援や不妊治療支援体制の整備など、社員の健康を経営の重要課題として捉えた施策を継続的に実施しています。 これらの取り組みは外部からも一定の評価を受けており、㈱フジテレビジョンは厚生労働省の「がん対策推進優良企業表彰制度」において、令和7年度の「がん対策推進優良企業」として4回目の表彰を受けました。グループ会社においても健康施策の充実を進めており、経済産業省及び日本健康会議が共同で実施する健康経営優良法人認定制度で、㈱dinos、㈱ポニーキャニオンが「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に、㈱サンケイビルが「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)」認定されました。㈱dinosは7年連続、㈱ポニーキャニオンは4年連続、㈱サンケイビルは初めての認定です。
②指標及び目標
当社グループは、人的資本に関する取り組みの進捗を把握するため、多様性の確保、仕事と育児等の両立支援、処遇・登用の状況等に関する指標を継続的に確認しています。また、2026年度以降は、本ビジョンに基づく人的資本投資及び人材基盤強化の進捗を適切に把握するため、指標の定義、算定範囲及び管理方法の整備を進めてまいります。
a. 2025年度の目標及び実績
当社グループでは、多様な視点や価値観を事業運営に取り込むことが、持続的な成長に不可欠であるとの認識のもと、多様性確保に関する目標を定めています。人的資本に関する主な指標及び目標と2025年度の実績は、以下の通りです。
b. 2026年度以降の方向性
戦略に記載のとおり、2025年度においては人権・コンプライアンス意識の向上、心理的安全性の確保、長時間労働やハラスメント等の従来の職場課題への対応を人的資本経営の基盤の再構築として優先して進めました。一方で、本ビジョンにおいて掲げる、IPバリューチェーンを一気通貫で推進できる人材基盤の強化については、2026年度以降、人的資本投資の実行とあわせて具体化を進める段階にあります。当社グループは、2030年度までの5カ年で総額150億円規模の人的資本投資を行う方針のもと、2026年度を通じて、グループとしての人材獲得・育成方針、投資対象、進捗管理の方法を具体化してまいります。あわせて、人的資本投資の実行状況及び人材基盤強化の進捗を継続的に把握するため、指標の定義、算定範囲及び管理方法の整備を進めてまいります。
(5) 気候変動に関する戦略と指標及び目標
①戦略
当社グループは、気候変動への対応を重要な経営課題の一つであると認識し、温室効果ガスの削減目標を定め、カーボンゼロにむけての取り組みを推進しております。2023年5月に行ったTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示の中で、複数のシナリオを想定し、気候変動が当社グループの事業にもたらすリスクと機会について、放送事業、通販事業及び都市開発・観光事業を軸に特定し、その対応策をまとめております。
(シナリオ分析の前提)
事業範囲:㈱フジ・メディア・ホールディングス、㈱フジテレビジョン、㈱dinos、㈱サンケイビル
基準年:2030年
(シナリオ分析の結果)
(a) ネットゼロシナリオ(脱炭素政策のもと気温の上昇は1.5℃程度)
(b) 現行政策シナリオ(最大3.5℃気温上昇。気象災害が激甚化し猛暑日が増加)
各シナリオにおいて特定されたリスク・機会は、サステナビリティ委員会やグループリスク・コンプライアンス委員会に報告、適切な対応を行い、当社グループにおける気候変動リスクに対するレジリエンスを確保するとともに事業機会の拡大を目指してまいります。引き続き、シナリオ分析や財務への影響の精緻化、リスク・機会及び対応策の経営計画への具体的な反映を通じて、気候変動対応を積極的に進めてまいります。
TCFD提言に基づく情報開示につきましては当社ホームページに掲載しております。
[掲載ページ] https://www.fujimediahd.co.jp/ir/pdf/tcfd230516.pdf
②指標及び目標
当社グループは、2023年5月公表のTCFD提言に基づく情報開示において、温室効果ガスの削減目標として2030年度までに㈱フジテレビジョン、㈱サンケイビル、㈱dinosの3社で排出量50%削減(基準年2013年度比)、2050年度までにカーボンニュートラルの達成を目指すことを目標に掲げております。
2024年度実績について、㈱フジテレビジョンのカーボンオフセットを含めたグループ排出量は基準年比56.3%の削減となりました。一方、集計対象会社のうち㈱フジテレビジョンにおいて排出量が2023年度比増加となりました。㈱フジテレビジョンのエネルギー消費量は、省エネ施策が奏功し2023年度比93.7%となりましたが、調達先電力の調整後CO2排出係数が増加したため、CO2排出量が増加し、グループとしても2023年度比1.6%の増加となりました。また、㈱フジテレビジョンのカーボンオフセット分を加味しないグループ排出量は基準年度比27.2%の削減となりました。同様に調達先電力の調整後CO2排出係数が増加した影響により、グループとしては2023年度比2.2%の増加となりました。引き続き、外部環境要因を加味しながら事業活動における一層のエネルギー消費量の削減に努めてまいります。
なお、これまで温室効果ガス削減目標は㈱フジテレビジョン、㈱サンケイビル及び㈱dinosの3社を対象としておりましたが、2026年5月に公表した「Group Vision 2026-2030 Ver.1.0」において、算定対象の拡大とデータ管理体制の高度化を進め、グループ全体での排出量管理および目標設定へ移行する方針としております。その上で2050年までにグループ全体でカーボンニュートラルを達成することを新しい目標として掲げております。
さらに、2026年度より㈱フジテレビジョンおよび㈱dinosに加え、一部グループ会社においてサプライチェーン上で発生する温室効果ガス排出量(スコープ3)の算定を開始しました。算定対象及び算定方法の整理、ならびにデータ収集・管理体制の整備を進めることで、環境負荷の把握と低減に向けた検討を進めてまいります。