人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数11,035名(単体) 27,003名(連結)
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平均年齢38.4歳(単体)
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平均勤続年数8.8年(単体)
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平均年収8,843,627円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
1. 連結会社における状況
2025年3月31日現在
(注) 1 その他は、報告セグメントに属していない従業員です。
2 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出
向者を含む就業人員です。
3 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の平均雇用人員です。
4 臨時従業員には派遣社員、アルバイトを含みます。
2. 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 その他は、報告セグメントに属していない従業員です。
2 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員です。
3 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含みます。
3. 労働組合の状況
当社グループと当社の労働組合との関係について特記すべき事項はありません。
4. 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の状況
当事業年度の多様性に関する指標は、以下のとおりです。
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した実績を
記載しています。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等と育児目的休暇の取得割合を算出した
実績を記載しています。
3 配偶者の出産時期と、それに伴う育児休業等の取得時期が同一事業年度でない場合を含むため、
非正規雇用社員の育児休業取得率が100%を超えています。
4 労働者の男女の賃金の差異については、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を
示しています。
5 労働者の男女の賃金の差異については、正規雇用労働者における賃金や評価など、処遇に関する人事
制度上の取り扱いに男女差はありません。
6 対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2025年3月31日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2024年4月1日~2025年3月31日です。
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した実績を
記載しています。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出した実績を記載して
います。
3 労働者の男女の賃金の差異については、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を
示しています。
4 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2025年3月31日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2024年4月1日~2025年3月31日です。
5 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2024年5月20日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2023年5月21日~2024年5月20日です。
6 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2024年12月31日時点、男性労働者の育児休業
取得率が2024年1月1日~2024年12月31日です。
7 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2024年11月30日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2023年12月1日~2024年11月30日です。
8 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2025年4月1日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2024年4月1日~2025年3月31日です。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
1.サステナビリティ全般
(1) ガバナンス
当社は、グループ会社横断でサステナビリティを巡る諸課題への取り組みを推進するべく、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会を中心とした執行体制を下記のとおり構築しています。サステナビリティ委員会の配下には、環境分科会・人権分科会を設けており、各分科会が具体的な課題への施策検討・推進を担っています。また、ERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)を統括するリスクマネジメント委員会およびリスクマネジメント統括組織と、サステナビリティ関連組織が連携してサステナビリティに関するリスクの特定・評価・低減に取り組んでいます。
① サステナビリティ委員会
執行機関としてサステナビリティ委員会を設置し、当社グループのマテリアリティ(重要課題)や気候変動・人的資本をはじめとしたサステナビリティ領域の方針・各種施策に関する審議および決定、推進状況の確認を行っています。下部組織である「環境分科会」や「人権分科会」での議論の内容も、サステナビリティ委員会において報告されます。
② 環境分科会
環境分科会は、グループ各社の環境責任者が委員として就任し、当社グループの環境方針・施策の検討や、各社における施策の共有・推進等を行っています。2024年度の主な議題は、生物多様性保全に関するセミナーの実施や、各社の環境データの集計報告および展望・施策の共有で、グループ全体の課題認識の共通化を図っています。
③ 人権分科会
人権分科会は、グループ各社の人権責任者が委員として就任し、当社グループの人権方針・施策の検討や、各社における施策の共有・推進等を行っています。2024年度の主な議題としては、各社を対象に実施した人権に関する調査の結果報告や、策定した人権リスク特定プロセスの共有を実施しました。
④ リスクマネジメント委員会
当社グループにおける経営および事業に関わる全社横断的なリスク管理体制として、ERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)体制を構築しており、サステナビリティに関するリスクも含めリスクマネジメント委員会が統括しています。リスクマネジメント体制の詳細は、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「(2)リスク管理」および「3 事業等のリスク」をご参照ください。
監督体制については、取締役会がサステナビリティ委員会から重要事項の付議・報告を随時受けるとともに、リスクマネジメント委員会からもサステナビリティに関するリスクを含む全社リスクの報告を原則半年に一度受けています。取締役会は、付議された重要事項の審議・決議を行うことを通じて、サステナビリティに関するリスクおよび対応状況を監督しています。サステナビリティ委員会から取締役会への付議・報告事項としては、社会・経営環境の変化に応じたマテリアリティの見直し方針や、人的資本の方針等があります。
各組織体の役割、構成、開催頻度
また、取締役※のサステナビリティ推進へのコミットメントを図るべく、役員報酬のうち、現金賞与額決定の指標として±5%の範囲でサステナビリティ評価を組み込んでいます。サステナビリティ評価は、ミッションおよび中長期的な企業価値向上の実現に向けてカーボンニュートラルの進捗度、多様性に関する指標、セキュリティガバナンスをはじめとした各マテリアリティ指標における前年度の実績に加えてESG評価機関の外部評価によって構成されています。なお、サステナビリティ評価の指標(±5%)は独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会にて決議されています。報酬ポリシーは下記リンクよりご覧ください。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/governance/corporate-governance/#anc8
※監査等委員である取締役を除く。
取締役会および指名報酬委員会・ガバナンス委員会等のガバナンス体制の詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
(2) リスク管理
当社は、取締役会監督のもと、代表取締役社長をリスクマネジメント最高責任者としたERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)体制を構築しています。具体的には、包括的に当社グループにおける経営および事業に関わるリスクを的確に把握し対応するための全社横断的なリスク管理体制を整備しており、サステナビリティに関するリスク管理についてもERM体制に統合されています。ERM体制におけるリスク評価を通じて、当社グループのミッションの実現および事業活動に関わる目標の達成等に影響を及ぼすリスクを特定し、リスクが顕在化した場合の影響度(リスクが目標達成に与える影響の大きさ)と発生可能性(どのくらいの可能性/頻度で顕在化するか)の観点から分析しています。そして、影響度×発生可能性=リスクの大きさとし、リスク評価をした上で対応を行っています。
ERM体制において把握したリスクのうちサステナビリティに関するリスクについては、事業部門およびグループ会社から収集したリスクアセスメント結果をもとにリスク主管部門であるESG推進室が、リスクの識別・評価・優先順位付け・モニタリングを行い、サステナビリティ委員会配下の環境分科会・人権分科会に報告の上、リスクへの対応策を検討・実施しています。
リスク管理の詳細は「3 事業等のリスク」、気候変動に関するリスクと機会についてはサステナビリティに関する考え方及び取組内の「3. 気候変動に対する取り組み」をご参照ください。
(3) 戦略
当社グループは、“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。” をミッションとしています。私たちは事業を通じて社会にポジティブなインパクトをもたらすと共に、地球環境や人権等を含めた社会課題に向き合い、未来世代に責任を持ったサステナビリティ経営を推進していきます。推進にあたって、以下のサステナビリティ基本方針と6つのマテリアリティを定めています。
1.サステナビリティを社会、事業の両軸で捉え推進する
2.グループ各社の特性を活かしながら、一丸となってサステナビリティに取り組む
3.前例に捉われずにチャレンジし、イノベーションを継続的に生む努力をする
① マテリアリティ策定プロセス
当社グループは、持続可能な社会およびミッション“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”を実現するべく、マテリアリティを策定しています。
② 評価マップ
ステークホルダーの期待と、当社内での分析を踏まえ、GRIスタンダード、主要なESG評価項目等を参考に、社会からの要請に照らして自社の活動を整理し、ステークホルダーと当社の双方にとって重要性の高い項目を抽出しました。
③ 特定マテリアリティ
評価マップを踏まえ、当社グループのミッションを実現する「6つのマテリアリティ」を特定しました。
④ マテリアリティとミッション
当社グループは、ミッションである“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。” の実現に向けて、6つのマテリアリティを定めました。私たちはこれらの課題に取り組み、誰もが安心してインターネットのチカラを利活用できる未来をステークホルダーと共に創っていきます。
⑤ サステナビリティに関するリスクと機会
当社グループは、サステナビリティ経営を推進するべく、当社グループをとりまく環境・社会課題をリスクと機会含め網羅的に捉えた上で6つのマテリアリティを策定しています。
特に気候変動問題については、世界的に重要な課題として広く認識されていることに加え、当社の事業においてもデータセンター稼働等に電力を大量に使用していることからリスクと機会の両面で企業価値に影響を与える可能性が高いと考えています。当社では、データセンター稼働時にはサーバーの冷却等のため水資源に大きく依存しており、気候変動による水枯渇リスクへの対応とともに自然資本の持続的な活用も不可欠であると認識しています。そのため、当社は持続可能な成長を遂げる上で「気候変動への対応」および「自然資本の持続可能な活用」を重要な経営課題として認識し、リスクと機会を特定しています。リスクと機会の詳細は、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「3. 気候変動に対する取り組み」をご参照ください。
また、人権の尊重についても重要視しており、「国際人権章典」「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」「子どもの権利とビジネス原則」等の国際的な人権規範を支持・尊重し企業活動を行っています。2021年10月に策定した「人権に関する基本方針(人権ポリシー)」を、2025年4月に「LINEヤフーグループ人権ポリシー」として見直し、国際的な人権規範や当社グループの状況に適合した内容へ改定しました。ポリシーに則りビジネスに関わる全ての人の人権を尊重するために、従業員やサプライヤー、お客様、地域社会といった様々なステークホルダーと対話し、働きかけながら、取り組みを一層強化しています。具体的な対応としては、人権に関する主なリスクを下記のとおり把握し、緩和・是正措置を推進しています。
※人権の尊重に関する取り組みの詳細は、以下サイトをご覧ください。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/social/human-rights/
リスクの把握と緩和・是正措置(2024年度)
(4) 指標と目標
当社グループは、特定したマテリアリティ毎に「実現に向けた取り組み」および「評価指標」※を設定し、取り組みの進捗を継続的にモニタリングしています。加えて、当社グループの事業環境や社会情勢に鑑みて中長期で優先して取り組むべき課題を見直し、サステナビリティ委員会での決議の上、特に優先すべき課題として指標と目標を設定し、目標の達成に向けて取り組みを進めています。
※「評価指標」は取り組みの進捗をグループ内で把握し、更なる施策を検討する目的で設定しているため非開示情報を含みます。なお、主な開示実績は以下サイトよりご覧ください。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/management/#anc4
① データ/AIを活用した新たな体験(WOW/!)の提供
便利で感動的なユーザー体験は、新たな機能や優れたUI/UXの提供に加え、データ/AIを駆使したアプローチから生まれます。当社の存在意義は、多様なサービスのクロスユースを促進し、データ連携によりデータの質を高めた上でAI解析を行うという手順を効果的に繰り返し、新たな体験を生み出すことにあります。そのために体制構築・技術投資・教育等を推進していきます。
② 安心・安全なデジタルプラットフォームの運営
安心・安全なITサービスの提供は、社会のニーズであり、信頼、評価につながります。そのためには、事故ゼロを目指したグループ横断的な教育の実施が不可欠であると考えます。また、デジタルプラットフォーマーとしての責任として健全な運用の仕組みを構築し、その取り組み内容を透明性を持って開示していきます。
③ しなやかで強靭な社会基盤の構築
不確実性が増す世界は、社会のレジリエンスを高める必要に迫られています。デジタライゼーションにより新たな顧客体験の提供や新たな事業価値を創造してきた当社グループは、より長期的、より広い視野に立ち、社会基盤の構築に貢献していきたいと考えます。そのために、「防災・減災と復興支援」「3R推進」「DX推進」「情報格差の是正」を重点領域とし、社会と連携して取り組んでいきます。
④ 人材の強化
インターネット事業における競争力の本質は、革新的なサービスやプロダクトの創出力にあり、これは社員の力によって支えられています。社員が活力を持って働き、卓越したサービス・プロダクトを生み出すサイクルを確立することが、当社にとって最優先事項の一つです。
当社グループでは、社員がパフォーマンスを最大限に発揮し、組織全体の成長力向上に寄与するために、「人と組織の成長とパフォーマンス最大化により、グループの人的資本価値を向上する」をグループ全体の人材戦略に掲げました。特に、「人材強化」については、マテリアリティの一つに位置付けています。また、社員の成長を支援し、働く環境を整えることで人材を強化すると共に、経営と社員のコミュニケーションを活性化させ、社員のエンゲージメント向上の取り組みによってカルチャー醸成を促進しています。
人材戦略の二つの主軸である「人材強化」と「カルチャー醸成」について、エンゲージメント調査を通じてその進捗を測ることとし、前年比で維持・向上を目指していきます。
また、当社では多様性の観点から、女性管理職比率を重要な指標と捉えており、具体的な人材戦略および指標と目標の詳細は、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「2. 人的資本・多様性に対する取り組み」をご参照ください。
⑤ 未来世代に向けた地球環境への責任
当社グループは、主要な事業の一つであるインターネットメディア/サービスの性質上、データセンター稼働等に必要となる電力やサーバー冷却等に不可欠な水資源に大きく依存しています。また、自社のみならず連携する企業も多岐にわたることから、サプライチェーン全体での影響は甚大です。これらの活動で排出する「温室効果ガス」や「水資源」への依存を減らしていくことは、「未来世代に向けた地球環境への責任」であるとともに、自社の「原材料調達力」を高め事業リスクを低減させることに繋がると考えています。なお、当社における気候変動対策の詳細は、サステナビリティに関する考え方及び取組内の「3. 気候変動に対する取り組み」をご参照ください。
特に優先すべき課題
・カーボンニュートラル
評価指標: 温室効果ガス排出量
目標: 当社グループとして2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)
当社として2025年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)
実績: 94,067 mtCO2e(当社およびグループ会社、2023年度)
81,198 mtCO2e(当社、2023年度)
・ネットゼロ
評価指標: 温室効果ガス排出量
目標: 当社グループとして2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2&3)
実績: 3,383,876 mtCO2e(2023年度)
・水資源の保全
評価指標: 水使用量(売上収益100万円あたり)
目標: 当社グループとして2030年までに10%削減(2022年度比)
実績: 0.367㎥(2023年度)
⑥ グループガバナンスの強化
業界・事業のスピード・成長に合わせた当社らしいグループガバナンスの体制を構築・向上させていくことを特に優先すべき課題として掲げています。人権をはじめとした中長期にわたる継続的な取り組みが必要な領域は、サステナビリティ委員会を中心に取り組みを推進していきます。また、コーポレート・ガバナンスの強化を目的として取締役会の実効性をさらに高め、当社グループの企業価値向上を図ることを目指します。
特に優先すべき課題
当社らしさのあるコーポレート・ガバナンス体制の構築・向上
評価指標: 取締役会の独立性・多様性
目標: ①取締役会における独立社外取締役過半の実現
②取締役会における多様性方針/考え方の開示
実績: ①株主総会「決議通知」における掲載
https://www.lycorp.co.jp/ja/ir/stock/agm.html
②コーポレートガバナンス報告書への掲載
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/governance/corporate-governance/
2.人的資本・多様性に対する取り組み
(1) 戦略
当社グループは“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”をミッションと定め、圧倒的なプロダクトドリブンを目指す姿として位置付け、人々に驚きや感動を与える新たな価値創出に挑戦しています。
当社グループが取り組む事業における競争力の本質は、革新的なサービスやプロダクトの創出力にあり、これらは社員の力によって支えられています。当社グループ各社が提供してきた多彩なサービスを創り上げ、事業を牽引してきた多くの社員の存在こそが当社およびグループ会社の強みであり、社員がさらに活力を持って働き、卓越したサービス・プロダクトを生み出すサイクルを確立することが、最優先事項の一つです。
そこで当社グループは、人と組織の成長とパフォーマンス最大化が、グループの人的資本価値を向上すると考え、「人材強化」と「カルチャー醸成」を双軸として取り組んでいます。特に、「人材強化」については、マテリアリティの一つに位置付けています。社員の成長を支援し、働く環境を整えることで人材を強化すると共に、経営と社員のコミュニケーションを活性化させ、社員のエンゲージメント向上に繋がる取り組みによってカルチャー醸成を促進しています。
また、人的資本領域では、当社グループの取り組み状況のモニタリングを進めています。
LINEヤフーグループの人材戦略図
■人材育成方針(人材強化・成長支援)
DX、AI、データの活用等に優れたスキルや経験を有し、数多くのサービスを創出し、多様な事業を牽引する多彩な人材ポートフォリオが当社グループの強みです。その社員の成長に資する多様な機会を創出することで社員とプロダクトや事業双方の持続的な成長を目指しており、そのための機会・環境の構築に取り組んでいます。
■社内環境整備方針(人材強化・環境づくり)
当社グループでは、人権に関する基本方針(人権ポリシー)を定め、人権を尊重し、社員の誰もがその属性やライフステージに関わらずパフォーマンスを発揮できる環境づくりに取り組んでいます。また当社では、全社DE&I意識調査を実施してDE&Iに関する社内の状況や社員の意識を可視化し、その調査結果に基づいて、以下の「LINEヤフー DE&I基本の考え方」を定めました。
多様性の理解と尊重は、プロダクトドリブンをより加速し、ミッションを実現する上で大切だと考えています。イノベーションを創出し、多くのユーザーを感動させるプロダクトを創るためには、作り手である社員自身が多様であること、そして多様性への理解と尊重が不可欠だと考えているからです。
LINEヤフー DE&I基本の考え方
―共に働く仲間、それぞれが持つ属性や個性、文化について互いに理解・尊重すること
―同じゴールをめざすために、違いを知り、率直な議論と対話をすること
―誰もがその属性やライフステージに関わらず、能力を最大限に発揮できる環境をみんなで作ること
自律的な働き方の促進に向け、当社では、全ての社員が協調し、チームとして最も高いパフォーマンスを発揮するために、社員が個々の多様なライフスタイルやライフステージに応じて最適な労働場所やスケジュールを自律的にマネジメントしています。情報技術を活用して場所や時間の制約を取り払うことで、個人と組織の生産性向上を目指しています。同時に、深夜時間帯や休日勤務を前提とした働き方は従来どおり認められないものとし、社員の健康を守ります。
当社では、「LINEヤフー Working Style」として「全ての社員が協調し、チームとして最も高いパフォーマンスを発揮できる働き方」である、オフィスワークとリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークを進めてきました。
また、今後さらに新しいプロダクトを生み出すためには、コミュニケーションの質を強化することが必要だと考えています。リモートワークの良さを活かすとともに、対面でのコミュニケーションの良さを今まで以上に取り入れるために、今後は出社日を設けることで、新しい働き方を目指します。
働くwell-beingの向上を目指し、当社グループでは代表取締役社長による「健康宣言」のもと、全ての働く人が心身ともに最高のコンディションで業務に従事することができる企業を目指し、様々な取り組みを行っています。 当社は、2025年3月に日本健康会議による「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」通称「ホワイト500」に選定されました。今後も、全ての働く人が心身ともに最高のコンディションで仕事に向き合うことのできる企業を目指していきます。
また当社グループでは、ミッションを実現するために定義した働き方である「バリュー」を通じて、一体感の創出と独自のカルチャー醸成につなげ、社員がパフォーマンスを発揮できる環境づくりを目指します。
(2) 指標と目標
当社では、多様性の観点から、女性管理職比率を指標として位置づけ、2030年までに、2023年10月1日時点の従業員男女比率(33%)と同等を目指すこととしています。目標達成のために実施する具体施策は(1)戦略をご確認ください。
また、当社グループにおける人材戦略の二つの主軸である「人材強化」と「カルチャー醸成」については、一律の取り組みではなく各社の独自性を活かした人事方針等に基づく各々の施策推進により、前年よりも維持・向上を図っていくことを目指します。具体的な指標・方向性については、各社で実施中のエンゲージメント調査等の該当項目において、集計値の変化幅を三段階のテーブルに分け、グループ全体として前年比で維持・向上が見られたかをモニタリングし、開示していきます。
■多様性(女性管理職)
多様性についての評価指標と目標は、当社を対象としています。
■人材戦略
人材戦略についての評価指標と目標は、2024年度は当社を対象としていますが、2025年度より対象を当社グループとし、グループ全体の実績を開示予定となります。
3.気候変動に対する取り組み
(1) ガバナンス
当社は、グループ会社横断でサステナビリティを巡る諸課題への取り組みを推進するべく、最高意思決定機関である取締役会の監督のもと、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を中心とした執行体制を構築しています。サステナビリティ委員会の配下には、グループ各社の環境責任者が委員となる環境分科会を設け、当社グループの環境方針・施策の検討や、グループ各社における具体的な課題への施策の共有・推進等を担っています。また、ERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)を統括するリスクマネジメント委員会およびリスクマネジメント統括組織と、サステナビリティ関連組織が連携して気候変動や自然資本および資源循環に関するリスクの特定・評価・低減に取り組んでいます。
監督体制については、取締役会がサステナビリティ委員会から重要事項の付議・報告を随時受けるとともに、リスクマネジメント委員会からもサステナビリティ関連のリスクを含む全社リスクの報告を原則半年に一度受けています。取締役会は、付議された重要事項の審議・決議を行うことを通じて、気候関連のリスクとその対応状況を監督する責任があります。具体的には、当社グループのマテリアリティ、GHG削減目標をはじめとする環境関連目標の策定や進捗の監督等を行っています。
なお、当社では気候変動に関わるリスクおよび機会への対応が、別のサステナビリティ関連のリスクおよび機会を生み出すトレードオフの可能性があることを認識し、対応を協議・実施する際にはトレードオフの発生可能性も含めて評価しています。
トレードオフを考慮した事例:
・太陽光発電事業は再生可能エネルギーの増加に寄与するものの、生物多様性に対して悪影響を及ぼす
可能性があります。
・それらの悪影響を回避するため、当社がバーチャルPPA契約を締結した岡山県真庭市に建設される
「真庭太陽光発電所(2026年竣工予定)」は、自然環境への負荷を考慮し新たに土地の開拓が不要な
ゴルフ場跡地に建設されます。生物多様性保全の観点では、環境アセスメント法に基づき、
地域に生息する生物に対応して適切に環境が保全されています。
・また「真庭太陽光発電所」の建設および運転に必要な事業者および従業員は、地元雇用が優先される
予定です。これにより、雇用が創出され、地域の発展につながります。
また、取締役※のサステナビリティ推進へのコミットメントを図るべく、役員報酬のうち、現金賞与額決定の指標として±5%の範囲でサステナビリティ評価(気候関連を含む、他のマテリアリティ指標との区分不可)を組み込んでいます。サステナビリティ評価は、ミッションおよび中長期的な企業価値向上の実現に向けてカーボンニュートラルの進捗度をはじめとした各マテリアリティ指標における前年度の実績に加えて、ESG評価機関の外部評価によって構成されています。なお、サステナビリティ評価の係数(±5%)は独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会にて決議されています。報酬ポリシーは下記リンクよりご覧ください。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/governance/corporate-governance/#anc8
※監査等委員である取締役を除く。
当社グループは、環境関連課題をはじめとした地球環境保全への取り組みを重要な経営課題と認識し、6つのマテリアリティのうち“未来世代に向けた地球環境への責任“として定め、その取り組みの指針となる「環境基本方針」を制定しています。
<環境基本方針>
私たちLINEヤフーおよびLINEヤフーのグループ会社で構成されるLINEヤフーグループは、情報技術の活用により、未来世代に向けた地球環境保全への取り組みを継続的に実践します。
1. 脱炭素社会の実現
・環境負荷低減の中期目標を設定し、その達成に向けサプライチェーンと共に取り組みます
2. 自然資本の保全
・事業による生態系への影響に配慮し、持続可能な調達、廃棄物対策および水資源・生物多様性の保全
に努めます
・地球環境保全の取り組みを支援します
3. 法令順守と国際的責任の遂行
・環境問題を重要視し、リスク低減に努めます
・環境保全に関わる国内法令を順守します
・国際環境イニシアチブに賛同し、国際社会と協調して気候変動対策に取り組みます
4. サービスを通じた、社会との連携
・気候変動にともなう自然災害に対して、自治体との連携や防災・減災サービス等を通じ社会と連携
します
・持続可能な社会の実現に向け、循環型サービスを拡充します
5. 未来を創る、教育・啓発活動
・社員の一人ひとりが、環境問題の重要性を理解し、環境に配慮したサービスの改善やイノベーションの
創出ができるよう、教育・啓発活動を行います
(2) 戦略
当社は、マテリアリティ(未来世代に向けた地球環境への責任)の実現に向けてITのチカラを活用し、当社グループおよびサプライチェーンにおけるパートナーと共に電力の再生可能エネルギー化等脱炭素社会の実現を目指していきます。また、気候関連課題と連関性のある自然資本課題においても、水資源や生物多様性の保全等を通じた取り組みを推進していきます。こうした気候関連課題や自然資本課題への取り組みを、社会の幅広いステークホルダーの皆様と連携を深める事業機会としても捉え、チャレンジし続けていきます。
リスクおよび機会の識別:
(TCFD提言への賛同)
気候変動に伴うリスクや機会は事業戦略に影響を及ぼすものと認識し、2020年6月にTCFD(Task Force on
Climate-related Financial Disclosures)への賛同表明を行いました。TCFD提言を参照の上、短期・中
期・長期のリスクと機会を分類し、自然資本に関わるリスクと機会も併せて開示しています。
(時間軸の前提)
・当社グループは、グループ全社の事業活動での温室効果ガス「スコープ1」および「スコープ2」を
2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」の2030年度目標の達成に向けて
「GHG関連投資計画」を策定の上、まずは2028年度までの5か年のGHG投資計画に関する戦略的意思決定を
経営会議にて行っています。(短期:戦略的意思決定に用いる計画期間)
・加えて、当社グループでは、取引先等で排出される温室効果ガス「スコープ3」も含めた事業活動に
関わる全ての温室効果ガス排出量を2050年度までに実質ゼロにする「ネットゼロ」の実現も目指して
います。(長期:気候変動の「緩和」に関する長期目標)
・一方で、日本政府は、世界全体の1.5℃目標と整合し、2050年ネットゼロの実現に向けた目標として、
2035年度に温室効果ガスを2013年度比で60%削減すること等を掲げたNDCを国連に提出しています。
(中期:日本政府の中期目標)
・これらの状況をふまえ、当社グループでは以下の時間軸にて、気候関連のリスクおよび機会を開示して
います。
(時間軸の定義)
短期:~2030年(GHG関連投資計画、CN目標)
中期:~2035年(日本NDC目標)
長期:~2050年(ネットゼロ目標)
(産業別ガイダンス)
当社の気候関連リスクおよび機会の開示には、国際サステナビリティ基準審議会(以下ISSB という。)
が公表する「IFRS S2 号の適用に関する産業別ガイダンス」(2023年6月公表)
(以下『産業別ガイダンス』という。)に定義されている、開示トピックに関連する気候関連リスク
および機会(※)が既に含まれていることを確認しています。
(※)主にデータセンターの電力/水消費や配送に関わるエネルギー消費に起因するリスク
ビジネスモデルおよびバリューチェーンに与える影響:
メディア事業、コマース事業、Fintech領域を中心に新たな収益の柱を創出する戦略事業等、多様なインターネットサービスを展開する当社グループでは、データセンター、オフィス、物流センター等において事業を運営するための電力を使用しています。特に、データセンターによる消費電力量は当社グループ全体の大部分を占めていることからも、気候関連のリスクおよび機会が集中する部分であると考えています。これら消費電力量の増加や今後導入される排出量取引制度および化石燃料賦課金は、税負担が増す等の財務影響を受けるリスクがあり、データセンターの効率性向上と再生可能エネルギー化がリスク回避につながります。
リスクおよび機会への対応:
当社グループでは気候関連のリスクおよび機会への対応方針として、グループ全社の事業活動に伴い発生する温室効果ガス排出量を2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」を2022年2月に発表しました。データセンターや事業拠点におけるエネルギーの使用効率向上や再生可能エネルギーの導入促進等、カーボンニュートラル実現に向けて取り組みを進めています。2030年度の達成に向けて、まずは2025年度頃までに80%以上を再生可能エネルギー化し、その後の5年間で100%再生可能エネルギー化を進めます。
カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速することを目的に、気候関連課題解決に貢献する事業に対する資金調達手段として、2021年度に国内インターネットセクターにおいて初となる200億円のグリーンボンドを発行しました。調達した資金は、エネルギー使用効率の高いデータセンターの建設や改修への投資、データセンター運営に必要となる再生可能エネルギーの調達資金に充当しています。2021年度以降2025年度まで毎年約40億円の「CO2削減、気候変動対策投資額」や「再エネ投資額」に投資するよう、投資計画にも反映しています。
2030年度までに、当社グループにおけるスコープ1およびスコープ2の温室効果ガス排出量を実質ゼロ(mtCO2e)
基準年:2022年度
2022年度:117,759
2023年度:94,067
※オフセット後の純量(ネット)記載
気候関連のシナリオ分析:
(前提)
当社グループでは、気候変動がもたらすリスクと機会を適切に把握し、リスクを低減するとともに機会を
拡大するための事業戦略を策定することが重要であると考えています。当社グループが主力事業として
据えて取り組んでいるメディア・コマース・戦略の各事業は現在の気候環境に依存&関係する形で展開
されており、気候関連課題におけるリスクおよび機会は、長期間にわたって自社の事業活動に影響を与える
可能性があるため、以下の事業範囲、時間軸の設定に基づいてシナリオ分析を進めています。
・分析に用いた事業の範囲:当社グループの全事業が対象
・シナリオの時間軸:2030年~2050年
(アプローチ)
シナリオ分析に際しては、国際的な認知度や信頼性を考慮し、国際エネルギー機関(IEA:International
Energy Agency)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate
Change)が策定したシナリオを参照しています。産業革命以前からの気温上昇を+1.5℃以内に抑える
シナリオとしてNZE(Net Zero Emissions by 2050)とSSP1-1.9を、+2℃相当のシナリオとして
APS(Announced Pledges Scenario)とSSP1-2.6を、+4℃を上回るシナリオとしてSTEPS(Stated Policies
Scenario)とSSP5-8.5を用いました。
2℃シナリオでは、事業に影響を与えるレベルの気候変動による急性あるいは慢性的な物理リスクは
生じない想定でありつつも、炭素税の導入や火力発電廃止等によるエネルギー価格の上昇が見込まれ、
当社グループとしての電力使用量増加に伴うコスト増のリスクを認識しています。1.5℃シナリオでは、
そのリスクが更に早まる可能性が考えられます。一方で、環境配慮行動やサステナビリティ市場が拡大する
ことによってサステナブルを重視するユーザーが増加することは、低炭素排出製品やサービスの売上増加
等消費者選好の変化にもつながるため、当社グループの各サービスにとって重要な機会であると考えて
います。
自然資本への配慮:
当社は、自然資本関連の課題に対しても、水資源・生物多様性、資源循環等のリスクと機会を多面的な視点で捉え対応策を講じることで、ステークホルダーとの対話・協力を進め、持続可能な社会構築を目指しています。主な取り組みは、次のとおりです。
・データセンターにおける冷却・加湿用の水利用では、資源の枯渇につながるような過度の環境負荷は
与えていませんが、当社グループの水使用量の目標を定めるとともに、当社グループ会社182拠点の
地域について、世界資源研究所(WRI)のWater Risk Atlasツールを活用し水リスクの確認を行いました。
・TNFDの理念に賛同し、2023年2月にTNFDフォーラムに加盟、2023年11月にTNFD Early Adoptersに登録
しました。今後も、継続的にTNFD情報開示フレームワークに基づいた積極的な情報開示を進めて
いきます。
また、(1) ガバナンスにも記載のとおり、カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーの導入促進では、気候関連のリスクおよび機会との間のトレードオフを考慮した取り組みも進めています。
(3) リスク管理
リスク管理のプロセスおよび方針:
当社は、取締役会監督のもと、代表取締役社長をリスクマネジメント最高責任者としたERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)体制を構築しています。具体的には、包括的に当社およびグループ会社における経営および事業に関わるリスクを的確に把握し対応するための全社横断的なリスク管理体制を整備しており、サステナビリティ関連のリスク管理に関してもERM体制に統合されています。
ERM体制におけるリスクの評価において、当社グループのミッションの実現および事業活動に関わる目標の達成等に影響を及ぼすリスクを特定し、リスクが顕在化した場合の影響度(リスクが目標達成に与える影響の大きさ)と発生可能性(どのくらいの可能性/頻度で顕在化するか)の観点から分析しています。そして、影響度×発生可能性=リスクの大きさとし、リスク評価をした上で対応を行っています。
ERM体制において把握したリスクのうち気候関連をはじめとするサステナビリティ関連のリスクについては、事業部門およびグループ会社から収集したリスクアセスメント結果をもとに、リスク主管部門であるESG推進室がリスクの識別・評価・優先順位付け・モニタリングを行い、サステナビリティ委員会配下の環境分科会に報告の上、リスクへの対応策を検討・実施しています。なお、機会についてはマテリアリティ特定に向けた議論を通じて、グループ各社各部門が事業・サービスの特性に応じた検討内容から抽出しています。
気候関連のリスク管理:
内部環境や外部環境の分析、経営層や実務責任者による認識を踏まえ、特に重要度が高いリスクを「グループトップリスク」と位置づけており、気候関連リスクも含め評価結果が高い場合にはその位置に選定されます。気候関連リスクは、ERM活動および年に1度の環境データの集計機会を通じて、環境による影響も考慮しながら適宜見直し、優先度をつけて対応策を実行しながら進捗のモニタリングを行っています。
また当社では、(2) 戦略にも記載のとおり、気候関連リスクが事業に及ぼす影響を認識するとともに、将来の気候関連の変化や進展および不確実性に対するレジリエンス評価として、定期的にシナリオ分析を行っています。
(4) 指標と目標
当社グループは、主要な事業の一つであるインターネットメディア/サービスの性質上、データセンター稼働等に必要となる電力やサーバー冷却等に不可欠な水資源に大きく依存しています。また、自社のみならず連携する企業も多岐にわたることから、サプライチェーン全体での影響は甚大です。そのため、サプライチェーンを含めた温室効果ガス排出量や、水使用量は特に優先すべき課題として、以下のとおり指標と目標を掲げています。なお、資源循環や環境投資額は評価指標を定めモニタリングを行っています(下表参照)。
特に優先すべき課題
・カーボンニュートラル
評価指標: 温室効果ガス排出量
目標: 当社グループとして2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)
当社として2025年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2)
実績: 94,067 mtCO2e(当社およびグループ会社、2023年度)
81,198 mtCO2e(当社、2023年度)
・ネットゼロ
評価指標: 温室効果ガス排出量
目標: 当社グループとして2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロ(スコープ1&2&3)
実績: 3,383,876 mtCO2e(2023年度)
・水資源の保全
評価指標: 水使用量(売上収益100万円あたり)
目標: 当社グループとして2030年までに10%削減(2022年度比)
実績: 0.367㎥(2023年度)
※各評価指標の数値は下記のESGデータページを反映しています。なお、2024年度数値は2025年6月末日までに
公開予定です。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/data/#anc1
※2023年度のスコープ3カテゴリー13:下流のリース資産のCO2排出量は、データセンターにおける賃貸分の
計上により前年度から増加しています。
温室効果ガス排出の測定方法:
(スコープ1)
当社グループのスコープ1は主に灯油および軽油の消費が該当します。
活動量:算定において、請求書等に記載の灯油および軽油消費量を活動量として利用しています。
排出係数:国の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」の灯油および軽油の値を用いて
います。海外においても排出係数は同様であると仮定し、日本国政府の排出係数を用いています。
選択理由:実消費量データや国が定めた排出係数は信頼性が高いとして利用しています。それらのデータが
利用できない場合には、合理的と考えられる仮定を置き算定を行っています。
(スコープ2)
当社グループのスコープ2は主に電力消費が該当します。
活動量: 算定において、請求書やオーナーが提供するエネルギーデータに記載の電気消費量を活動量
として利用しています。
排出係数:国の「電気事業者別排出係数一覧」に記載の該当事業者の数値を用いています。海外では
重要度の高い拠点等は各国の係数を使用し、それ以外は日本の全国平均係数を用いています。
仮定: 電気の消費量を個別に入手することが難しい場合は自社の同種拠点における床面積あたりの
電力消費量データを用いて算定を行っています。
選択理由:実消費量データや国が定めた排出係数は信頼性が高いとして利用しています。それらのデータが
利用できない場合には、合理的と考えられる仮定を置き算定を行っています。
(スコープ3)
活動量: 各カテゴリーの要求に従い金額データ、物量データ等を活動量として利用しています。
排出係数:主に環境省グリーンバリューチェーンプラットフォームの排出係数データベースを利用して
います。
仮定: 該当する活動量や排出係数が得られない場合は比較的近いと考えられるデータを用いて推計して
います。
選択理由:サプライヤーから受領した1次データや国が定めた排出係数は信頼性が高いとして利用して
います。それらのデータが利用できない場合には、合理的と考えられる仮定を置き算定を
行っています。
環境領域への投資方針:
当社グループは、環境関連のリスクおよび機会に継続的に対処し取り組んでいくために、中期経営計画に組み込む形で資金計画を立てて調達を行い、必要な投資を行っていきます。
※毎年の投資結果はESGデータ集ページ「環境投資額」欄にて報告します。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/data/#anc1
目標設定にあたり:
・二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン類、三フッ化窒素、パーフルオロ
カーボン類および六フッ化硫黄の7種類の温室効果ガスが温室効果ガス排出目標の対象となります。
・温室効果ガス排出目標は、純量(ネット)目標です。
・温室効果ガス排出目標は、セクター別脱炭素アプローチを用いていません。
目標の運用方針:
(進捗のモニタリングとレビュー)
設定した目標に対しては、年に1度当社グループの環境データを集計する決算タイミングで、短・中・長期
の目標それぞれについて財務データの進捗や事業環境のコンディションを確認しながら進捗の確認および
評価を行います。
(目標の第三者認証)
当社グループを含む親会社であるソフトバンク株式会社グループにおいて、2050年までに温室効果ガスの
排出量を実質ゼロにする長期目標が国際的気候変動イニシアチブのSBTi(Science Based Targets
initiative)によって科学的根拠に基づいた「SBT(Science Based Targets)」に認定されました。
当社グループは、今後の目標の設定・変更・進捗評価等、目標設定に関する第三者検証に必要となる対
応をソフトバンクと緊密に連携しながら適宜対応していきます。
(目標改訂のタイミング)
目標は、以下に示すようなタイミングにて、必要に応じて目標の変更要否をサステナビリティ委員会にて
行います。目標の改訂には既存目標の強弱化、取り下げに加え、新規目標の設定も含まれます。
・中期経営計画等事業計画や事業構成等に大きな変更および見直しが生じた場合
・グループ構成等の事業環境に大きな変更および見直しが生じた場合
・サステナビリティ方針、マテリアリティに見直しが生じた場合
・設定した目標値との大きな乖離が発生、あるいは目標設定期間が満了し新たな設定期間の必要性が
生じた場合
・時期以外であっても必要に応じて改訂を要する場合
・社会情勢の変化・法規制の状況に変更が生じた場合
・日本政府や事業実施国の方針転換による事業環境の変化
・新たな国際規制/目標の普及もしくは停滞による事業環境の変化
・新技術の普及もしくは停滞による事業環境の変化