人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数10,577名(単体) 29,863名(連結)
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平均年齢39.0歳(単体)
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平均勤続年数9.6年(単体)
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平均年収9,023,870円(単体)
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平均年収の
対前年増減率2.0%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
1. 【人材戦略に関する基本方針等】
・経営戦略に基づく人材戦略
当社グループは、“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”※をミッションとし、人と組織の成長とパフォーマンス最大化が、グループの人的資本価値を向上させる基盤であると考えています。
※2026年4月1日にMissionとValuesの刷新を行なっていますが、2025年度実績として旧Missionを掲載しています。
当社は、「全サービスのAIエージェント化」および「 OA※1・ミニアプリ※2強化」を経営戦略の重点領域として推進しています。経営戦略の実現のため、経営戦略と一体で人材施策を設計しており、全社員のAI人材化および社員一人ひとりのパフォーマンス最大化は不可欠であり、集中的に取り組んでいます。
全サービスのAIエージェント化を目指し、生成AIの活用を義務化する全社ルールの運用を2025年7月より開始しました。これにより、今後3年間で生産性を2倍に高め、生み出された時間やリソースをより付加価値の高い業務や新たな挑戦へ振り向けることで、継続的なイノベーションの創出につなげていきます。社内では、生成AIにおける社員のアイデアや工夫を推奨し、コンテスト等を通して、ナレッジの横展開や社内全体の生成AI活用を推進しています。社員がより創造的な新しいチャレンジに集中できる環境を整備し、新たなプロダクトやサービスを速やかに創出することで、稼ぐ力の向上に取り組んでいます。
また、社内公募制度等を通して重点領域への最適な人材配置を進め、人材ポートフォリオの最適化に取り組んでいます。
さらに、個人の成長意欲と成果を最大化するべく、評価・報酬制度の刷新や、組織内のコミュニケーションと連携を促進する観点から働き方の最適化を進め、経営戦略の実行を加速する仕組みづくりに取り組んでいます。
これらの施策の背景・狙いは全社向けのAll-Hands Meeting等で経営層が繰り返し発信し、双方向の対話を通じて浸透を図っています。多様な社員が一体となり、未来を見据えて成長と成果を追及するカルチャー醸成を促進し、変化に柔軟に対応できる企業づくりに注力しています。さらに、エンゲージメントを重要指標として継続的に測定・把握・分析し、施策改善に活用することにより施策の実効性を向上し、持続的な企業価値向上に取り組んでいます。
※1 OA(Official Account (LINE公式アカウント))
※2ミニアプリ(LINEミニアプリ)
・従業員給与・報酬の額や内容の決定に関する方針
全社員のAI人材化および社員一人ひとりのパフォーマンスを最大化するため、社員一人ひとりが創出した成果およびプロダクト・組織への貢献を適切に評価し、個人の成長意欲を引き出すことで成果が最大化される環境醸成を目指し、評価・報酬制度の刷新を進めています。プロダクト及び全社業績に貢献する注力目標(部門KPI)や、コスト・生産性等の観点を取り入れた、メリハリのある評価を通じて組織全体の活性化を図る方針です。従業員の給与・報酬(昇降給/昇降格を含む)は、半期毎の「個人成果評価」および「グレード評価」の結果を基礎として決定します。さらに、中長期的に経営の一端を担う役職員については、投資家と同じ方向を見て価値創出に挑めるよう、ともに成果を分かち合う株式報酬制度を導入しています。
2. 【従業員の状況】
1. 連結会社における状況
2026年3月31日現在
(注) 1 その他は、報告セグメントに属していない従業員です。
2 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出
向者を含む就業人員です。
3 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の平均雇用人員です。
4 臨時従業員には派遣社員、アルバイトを含みます。
5 主にLINE MAN CORPORATION PTE. LTD.の連結子会社化により前連結会計年度と比べて増加しました。
2. 提出会社の状況
2026年3月31日現在
(注) 1 その他は、報告セグメントに属していない従業員です。
2 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員です。
3 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含みます。
3. 労働組合の状況
当社グループと当社の労働組合との関係について特記すべき事項はありません。
4. 使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度の内容
当社は使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度を導入しています。当該役員・従業員株式所有制度の内容について「1 株式等の状況 8 役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しています。
5. 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の状況
当事業年度の多様性に関する指標は、以下のとおりです。
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した実績を
記載しています。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等と育児目的休暇の取得割合を算出した
実績を記載しています。
3 労働者の男女の賃金の差異については、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を
示しています。
4 労働者の男女の賃金の差異については、正規雇用労働者における賃金や評価など、処遇に関する人事
制度上の取り扱いに男女差はありません。
5 対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2026年3月31日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2025年4月1日~2026年3月31日です。
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した実績を
記載しています。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の
規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」
(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出した実績を記載して
います。
3 労働者の男女の賃金の差異については、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を
示しています。
4 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2026年3月31日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2025年4月1日~2026年3月31日です。
5 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2025年5月20日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2024年5月21日~2025年5月20日です。
6 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2025年12月31日時点、男性労働者の育児休業
取得率が2025年1月1日~2025年12月31日です。
7 記載の0.0%は、取得対象となる男性労働者が存在しなかったことによるものです。
8 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2025年11月30日時点、男性労働者の育児休業
取得率・労働者の男女の賃金の差異ともに2024年12月1日~2025年11月30日です。
9 非正規雇用労働者(パート・有期労働者)は1名のみであり、男女賃金の割合が計算できないため
計算から除外しております。
10 各社の対象期間は、管理職に占める女性労働者の割合が2026年3月31日時点、労働者の男女の賃金の
差異が2025年4月1日~2026年3月31日です。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
1. サステナビリティ関連財務開示
(1) サステナビリティ関連財務開示の作成方法について
① 全般的情報
本サステナビリティ関連財務開示は、当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)を報告期間として作成しています。本サステナビリティ関連財務開示は、2026年6月17日に、当社代表取締役社長CEO 出澤 剛 および当社上級執行役員CFO (最高財務責任者) 坂上 亮介 によって承認されました。
② ガイダンスの情報源に関する情報
(ガイダンスの情報源によって特定された産業)
当社グループが行う事業およびビジネスモデルが、メディア・コマース・戦略事業であることに鑑み、当社グループに関連する産業として、次の産業を特定しています。
・インターネットメディアおよびサービス
・電子商取引
・ソフトウェアおよびITサービス
・広告・マーケティング
・商業銀行
・証券・商品取引所
・消費者金融
(サステナビリティ関連のリスクおよび機会の識別)
当社グループは、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を識別するにあたり、上記の産業に関するSASBスタンダード(2023年12月最終改訂)を参照し、検討を行いました。
SASBスタンダードに基づき、当社グループにおいて特に重要なリスクおよび機会として、プライバシーおよび情報セキュリティ、広告・表現、人材の確保・育成および多様性、システム障害および事業継続、知的財産および競争環境、事業インフラやサプライチェーンにおける環境負荷、ならびに金融社会包摂に関する事項を特定しました。
その結果、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクおよび機会として、次のカテゴリを識別しました。リスクおよび機会の詳細な内容は、「(4) 戦略」に記載しています。
(識別したリスクおよび機会に関する重要性がある情報の識別)
当社グループでは、識別した複数のサステナビリティ関連のリスクおよび機会のうち、安全・安心なデジタルプラットフォームの運営、人的資本価値の最大化、および未来世代に向けた地球環境への責任については、当該リスクを識別する際に適用した各産業に関するSASBスタンダード(2023年12月最終改訂)を参照して設定した指標を開示しています。以下は参照した、SASBスタンダードの指標です。
・利用者情報についての法執行要請の数(安全・安心なデジタルプラットフォームの運営)
・従業員エンゲージメントの割合(人的資本価値の最大化)
・業務執行役員のジェンダー割合(人的資本価値の最大化)
・総取水量(未来世代に向けた地球環境への責任)
(2) ガバナンス
当社は、グループ会社横断でサステナビリティを巡る諸課題への取り組みを推進するべく、取締役会がサステナビリティ関連のリスクおよび機会の監督に責任を負い、その適切な評価および管理を行うため、執行機関として代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置しています。
当社は、リスクマネジメント委員会および配下のリスクマネジメント統括組織によりERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)体制を構築しており、サステナビリティに関するリスクおよび機会についても当該体制のもとグループ会社から収集しています。収集したリスクおよび機会は、サステナビリティ委員会および配下のESG部門が識別・評価・優先順位付け・モニタリングを行っています。
サステナビリティ委員会はリスクマネジメント委員会と連携を図りながら、サステナビリティ関連のリスクおよび機会の特定、対応状況、および指標・目標の進捗状況について、年に3回程度取締役会へ付議し、報告等をしています。これにより取締役会が実効性のある監督を行う体制を構築しています。
サステナビリティ関連のリスクおよび機会における各組織体の役割、構成、開催頻度、主な議題
当社は、取締役会がサステナビリティ関連のリスクおよび機会に対応する戦略を適切に監督するため、「環境や社会等のサステナビリティに関する専門性・経験」をサステナビリティスキルと定義し、取締役会の構成において当該知見を確保しています。
当該スキルは、気候関連・人権等のサステナビリティを巡る外部環境の変化やリスクおよび機会を把握する上での前提となるものであり、取締役会は当該スキルを含む多様な専門性を備えた体制のもと、サステナビリティ委員会等を通じて提供される情報を踏まえ、重要事項の審議・決定を行っています。
また、サステナビリティを巡る最新の動向や当社グループへの影響を的確に把握し続けるため、各取締役の役割に応じた必要な情報を継続的に取得し、知見を深める機会を設けています。
※サステナビリティスキルの定義および記載内容は、有価証券報告書提出日現在のものです。
2025年度においては、社外取締役に対し、当社を取り巻くAI動向については社内にて説明を行うとともに、サステナビリティに関する法規制の最新動向については外部の専門機関等による講義を実施しました。 加えて、サステナビリティ委員会においても外部有識者を招聘し、中長期的なサステナビリティトレンドや経営環境の変化に関する最新の情報を定期的に取得する体制を設けています。
こうした専門性や役割に特化した取り組みを通じて継続的なスキルの開発を図り、取締役会全体としての監督の実効性を向上しています。
なお、取締役会全体のスキルマトリックスについては、以下よりご覧ください。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/governance/corporate-governance/#anc14
取締役会は、サステナビリティ委員会において策定されるサステナビリティ関連の指標・目標について報告を受け、その妥当性を審議・承認することで目標設定を監督しています。加えて、設定した目標に対する進捗状況を定期的にモニタリングしており、 その実効性を高めるため、役員報酬(現金賞与)の決定指標として、±5%の範囲で「サステナビリティ評価」を組み込んでいます。サステナビリティ評価では、ミッションおよび中長期的な企業価値向上の実現に向け、サステナビリティ関連のリスクおよび機会の指標における実績に加え、目標に対する進捗度や取り組みの質、社会的なインパクト等を加味して総合的に評価しています。
気候関連の評価項目(温室効果ガス排出量等)は、当該サステナビリティ評価の一部に含まれていますが、これを区分して識別することはできません。
これらの評価指標(±5%)は、独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会にて審議・決定されています。報酬ポリシーの詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご参照ください。
(3) リスク管理
当社は、リスクマネジメント委員会および配下のリスクマネジメント統括組織によってERM (全社的リスクマネジメント)体制を構築しており、サステナビリティ関連のリスクおよび機会についてもERM体制によってグループ会社から収集しています。収集したリスクおよび機会は、サステナビリティ委員会および配下のESG部門が識別・評価・優先順位付け・モニタリングをして取締役会へ付議し、取締役会での承認・報告がされています。
① リスクおよび機会の収集・識別
リスクおよび機会の収集は、グループ会社からの各事業におけるリスクおよび機会の収集に加え、当社のサステナビリティ関連組織による規制動向や社会環境の変化の調査結果も踏まえたリスクおよび機会も対象としています。
気候関連については、シナリオ分析を行うことで事業に及ぼす影響とともにリスクおよび機会を特定し、その分析結果をERMによるリスクおよび機会の収集・識別に用いるとともに、気候レジリエンスの評価も実施しています。詳細は「(4) 戦略」の(気候関連)をご参照ください。
② リスクおよび機会の評価
リスクおよび機会の評価は、影響度(リスクまたは機会が顕在化した場合の事業・財務に与える影響の規模)、発生可能性(リスクまたは機会が顕在化する可能性または発生頻度)および範囲(リスクまたは機会が顕在化した場合に影響を受ける事業領域)の観点で、当社グループにとっての重要性を表しています。評価基準では、影響度の規模や範囲が大きく、短期間のうちに発生する可能性が高いリスクおよび機会が最重要であると評価しています。評価において、サステナビリティに関するリスクおよび機会に特別高い優先順位を付けることはしておらず、他の種類のリスクおよび機会の評価方法と同一となっています。
評価は、役員・事業責任者・グループ会社・政府関係者やESG専門家等外部有識者による助言を取り入れ多角的に実施し、サステナビリティ委員会での審議と取締役会の承認・監督を経て経営に組み込まれています。また、社会・事業環境の変化を踏まえて定期的に見直しを行っています。
③ リスクおよび機会のモニタリング
特定したリスクおよび機会については、主管する組織が年度末に当該年度の取り組み実績、目標達成度を分析し、対応策および次年度以降の計画を策定しています。その内容をサステナビリティ委員会へ報告し、同委員会が審議しています。サステナビリティ委員会は、審議した内容を取締役会へ報告しています。なお、気候関連・人権をはじめとするリスクおよび機会については、サステナビリティ委員会の配下の環境分科会・人権分科会が担当部門として対応策を実施しています。
(4) 戦略
当社グループは、“「WOW」なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。”をミッションとしています。事業を通じて社会にポジティブなインパクトをもたらすと共に、地球環境や人権等を含めた社会課題に向き合い、未来世代に責任を持ったサステナビリティ経営を推進していくために、下記のサステナビリティ基本方針を定めています。
1.サステナビリティを社会、事業の両軸で捉え推進する
2.グループ各社の特性を活かしながら、一丸となってサステナビリティに取り組む
3.前例に捉われずにチャレンジし、イノベーションを継続的に生む努力をする
※2026年4月1日にMissionとValuesの刷新を行なっていますが、2025年度実績として旧Missionを掲載しています。
当社グループの主な事業は、国内最大級のユーザー基盤を有するプラットフォームを中核とし、データおよびAIを活用してサービス間の連携を強化することで、利用者の利便性向上とエンゲージメントの拡大を図り、メディア、コマース、決済金融関連サービスの提供を行う戦略事業等での複数の収益機会を創出しています。循環を通じて持続的な成長を実現するとともに、社会課題の解決と企業価値の向上の両立を目指しています。
一方で、当社グループの事業活動は、デジタル社会の進展、技術革新の加速、規制環境の変化、気候変動や人権問題を含む社会的要請の高まり等、様々なサステナビリティ関連のリスクおよび機会の影響を受けます。これらは、当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに中長期的な影響を及ぼす可能性があることから、経営上の重要な要素として認識しています。
上記を踏まえ、当社グループはサステナビリティを社会的責任としてのみではなく、事業戦略そのものに組み込み、企業価値創造の基盤と位置付けています。具体的には、データ・AIの利活用を主軸とした事業構築、信頼性の高いプラットフォーム運営を通じた安全・安心なデジタル社会の実現、人材の多様性と能力を最大限に引き出す人的資本経営の推進等を通じて、持続可能な社会の実現に貢献すると同時に、当社の競争優位性の強化を図っています。
このような事業環境および社会的要請の変化を踏まえ、当社グループの事業活動およびバリュー・チェーン全体を対象として、サステナビリティ関連のリスクおよび機会の洗い出しおよび重要性評価を実施しており、その結果、当社の戦略および価値創造にとって重要と判断した事項について、「重要なサステナビリティ関連のリスクおよび機会」として整理しています。
当社グループでは、重要と判断したサステナビリティ関連のリスクおよび機会を、以下6つのリスク・機会カテゴリに区分し、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を管理する戦略を策定・推進しています。
カテゴリ1:データ/AIを活用した感動(WOW&!)の提供
カテゴリ2:安全・安心なデジタルプラットフォームの運営
カテゴリ3:災害およびデジタル格差への対応
カテゴリ4:持続的成長を支えるガバナンス体制の構築
カテゴリ5:人的資本価値の最大化
カテゴリ6:未来世代に向けた地球環境への責任
(注)カテゴリ1から5までは気候関連以外のサステナビリティ関連のリスクおよび機会のみが含まれています。カテゴリ6には気候関連と気候関連以外のサステナビリティ関連のリスクおよび機会の両方が含まれています。
(気候関連以外のリスクおよび機会)
① サステナビリティ関連のリスクおよび機会の識別
当社ではサステナビリティ関連のリスクおよび機会の管理プロセスに基づき特定した6つの重要なリスク・機会カテゴリ毎に、重要なリスクおよび機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸を特定しています。時間軸の定義設定では、ERM(全社的リスクマネジメント)が設定している発生可能性(どのくらいの可能性/頻度で顕在化するか)の定義との整合性を考慮しており、全社的な意思決定とサステナビリティ関連のリスクおよび機会に関する戦略との一体的な運用につなげています。上記に基づき、「短期」、「中期」および「長期」の定義とリスク・機会カテゴリ毎の時間軸を以下のように定義しています。
〈時間軸の定義〉
短期:1年
中期:3年
長期:5~10年
〈影響が生じる時間軸〉
② サステナビリティ関連のリスクおよび機会への対応戦略
当社はサステナビリティ関連の重要なリスクおよび機会に対応するために様々な取り組みを実施しており、また今後も取り組みを続けていく計画です。対応策についてはKPIを設定し、その進捗をモニタリングしています。KPIの内容および実績については「(5) 指標と目標」を参照ください。
〈2025年度および今後の対応計画〉
なお、取り組みの詳細については、以下よりご覧ください。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/management/#anc4
当社グループでは、特定された重要なリスク・機会カテゴリへの対応策を策定するプロセスにおいて、企業価値向上を目的とした資源配分の最適化を図るため、各施策が事業、社会、および財務状況に及ぼすトレードオフについて検討を行っています。具体的には、「データ/AIを活用した感動(WOW&!)の提供」や「人的資本価値の最大化」といった成長戦略(攻め)の観点と「安心・安全なデジタルプラットフォームの運営」や「持続的成長を支えるガバナンス体制の構築」といった基盤整備(守り)の観点における、トレードオフを認識し、相互影響を分析した上で最適な対応策を選択しています。
AIを活用した新サービスの創出や既存サービスの改善とともに、全社員のAI人材化に向けた育成を通じて組織全体の専門性を高めることは、当社の競争優位性を高めます。一方で、不適切な活用はAI倫理に関するリスクを増大させ、過度なスピード重視はサービスの停止等のリスクを誘発する側面があります。当社は透明・公正かつ迅速な意思決定を行うコーポレート・ガバナンス体制を構築しており、その体制のもとでライフインフラ提供者としての社会的責務を果たすために必要なシステム投資やコスト増加、開発期間を許容し、迅速かつ信頼性のあるサービスの開発・改善を推進する戦略を採用しています。また、AI倫理基本方針やAIに関する社内運用ルールを策定し社会的信頼に裏打ちされた事業成長を目指します。
③ レジリエンス
当社グループは、サステナビリティ関連のリスクから生じる不確実性に対応する能力を評価するため、レジリエンス評価プロセスを構築しており、重要なリスク・機会カテゴリの時間軸に沿った各戦略の有効性を確認しました。
評価プロセスでは、外部環境の変化を考慮した対応策の見直しの要否をサステナビリティ委員会にて取りまとめ、取締役会への報告を行うサイクルを確立しています。また、ERM(全社的リスクマネジメント)との連携により、トップリスクへの対応策に関する有効性評価の結果を活用した、一体的な運用を実施しています。評価結果を通じて、全ての重要なサステナビリティ関連のリスクにおいて予期せぬ社会・経済環境の変動に対しても事業活動を維持できる体制の構築に努めていることを確認しました。今後も環境変化に合わせ、適宜経営資源の追加投入や仕組みの刷新を行い、レジリエンスを基盤として持続的な企業価値の向上を図ります。特に、重要なリスク・機会カテゴリのうち、変化の大きい「安全・安心なデジタルプラットフォームの運営」および「人的資本価値の最大化」は下記の環境変化とそれに対応した調整能力を認識しています。
〈安心・安全なデジタルプラットフォームの運営〉
当社グループを取り巻く環境において、個人情報保護やサイバーセキュリティへの社会的要請が高まっており、国内外における法規制の強化も加速しています。一方でサイバー攻撃等の犯罪行為は高度化・巧妙化の一途を辿っており、昨今グループ会社においてもランサムウェア被害による事業停止事案が発生しました。発生した事案の徹底的な原因分析と、それに基づく防御・検知・復旧体制の再構築を迅速に実施しました。当社グループでは、NIST(米国国立標準技術研究所)等の国際的なフレームワークに基づいた多層防御体制を敷き、現行の包括的なセキュリティ対策が有効に機能していると評価しています。
〈人的資本価値の最大化〉
現在、生成AI技術の急速な進展に伴い、IT・AI分野における専門スキル要件は高度化・変化しています。当社グループが持続的な成長とイノベーションを実現するためには、事業戦略に合致した人材の確保・育成が不可欠です。当報告期間である2025年度では、全社員を対象とした生成AI活用推進施策を開始しました。具体的には、生成AI使用ルールの策定とともに、全社員が日常業務でAIを使いこなす「AI人材」へと進化するためのツール提供および学習機会の拡充を継続的に実施しています。今後、既存業務を効率化した上で、社員がより創造的な新しいチャレンジに集中できる環境を整備し、イノベーションの創出を目指しています。また、市場環境や技術動向の変化を常時モニタリングし、経営会議や取締役会において、人的資本を含む経営資源の配分を適宜見直す体制を構築しています。以上の取り組みにより、当社グループは急速な技術革新や労働市場の構造変化といった予期せぬ外部環境の変化が生じた場合においても、必要な人材能力を迅速に特定・再配置し、事業戦略を遂行できるよう努めています。
(気候関連)
① 気候関連のリスクおよび機会の識別
当社グループでは、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連のリスクおよび機会として、次のものを識別しています。
リスク
a. 炭素税や排出量取引によるコスト増加、および電力とエネルギー需要の増加
(移行リスク、時間軸:短~中期)
b. 顧客の行動変化に伴う影響(移行リスク、時間軸:短~中期)
c. 異常気象の激甚化による影響(物理的リスク、時間軸:短~中期)
機会
a. 技術革新や環境配慮の進展(時間軸:長期)
b. ライフスタイルや行動変容に対応したサービスの提供(時間軸:短~中期)
当社グループは、気候関連のリスクおよび機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸について、「短期」、「中期」および「長期」をそれぞれ以下のように定義しています。
〈時間軸の定義〉
短期:~2030年(GHG関連投資計画、カーボンニュートラル目標)
中期:~2035年(日本政府NDC目標)
長期:~2050年(ネットゼロ目標)
〈前提〉
・当社グループは、グループ全社の温室効果ガス「スコープ1」および「スコープ2」を2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」における2030年度目標の達成に向けて「GHG関連投資計画」を策定の上、まずは2028年度までの5か年のGHG投資計画に関する戦略的意思決定を経営会議にて行っています。
・日本政府は、世界全体の1.5℃目標と整合する2050年ネットゼロの実現に向けた目標として、2035年度に温室効果ガスを2013年度比で60%削減すること等を掲げたNDCを国連に提出しています。
・当社グループは、取引先等で排出される温室効果ガス「スコープ3」も含めた事業活動に関わる全ての温室効果ガス排出量を2050年度までに実質ゼロにする「ネットゼロ」の実現も目指しています。
なお、当社ではERM(全社的リスクマネジメント)活動において、気候関連リスクを含むリスクの見直しを年次サイクルで行っていることからも、特定したリスクおよび機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸は、当社グループが戦略的意思決定に用いている計画期間と整合しているものと考えます。
② 気候関連のリスクおよび機会が集中している部分
当社グループでは、メディア事業、コマース事業および決済金融関連サービスの提供を行う戦略事業等、多様なインターネットサービスを展開しており、データセンター、オフィス、物流センター等において事業を運営するための大規模な電力を使用しています。特にデータセンターにおける電力使用量は、当社グループ全体の大部分を占めていることからも「① 気候関連のリスクおよび機会の識別」にて特定した気候関連のリスクおよび機会が集中している部分であるといえます。電力使用量の増加や排出量取引制度および化石燃料賦課金の導入は、税負担や運用コストの増加といった財務影響を及ぼすリスクがあるため、データセンター電力使用量の効率性向上と再生可能エネルギー化がそのリスク回避につながると考えています。一方で、データセンターの設備やサーバーを定期的に入れ替えることにより、高いエネルギー効率での運用が可能となり、電力使用量を削減する機会にもなります。また、事業継続性の確保および安定的なサービス提供の観点からも、データセンターの安定稼働は重要な経営基盤の一つです。異常気象の激甚化に伴う自然災害リスクを最小化し、データセンターの安定稼働を維持するために、拠点の分散化は重要な取り組みとして認識しています。
③ 気候関連のリスクおよび機会が現在与えている影響
当報告期間における「① 気候関連のリスクおよび機会の識別」にて特定した気候関連のリスクおよび機会に対する主な取り組みは以下のとおりです。
リスク
a. 炭素税や排出量取引によるコスト増加、および電力とエネルギー需要の増加
主にデータセンターにおける電力使用量に対しては、当社グループとして2030年度までにスコープ1,2を実質ゼロとする「2030カーボンニュートラル宣言」および当社として2025年度までにスコープ1,2を実質ゼロとする「2025カーボンニュートラル宣言」をそれぞれ目標として設定し、再生可能エネルギーの割合を増やすことによって炭素税等による運用費の増加に備えています。なお、当報告期間である2025年度には実質再生可能エネルギー100%化を実現し、「2025カーボンニュートラル宣言」の目標を達成しました。加えて、サーバー等から発生する熱の冷却に外気を活用した空調システムを採用する等、緩和策となる新規設備投資を継続的に行うことによるエネルギー効率の改善と電力使用量の低減にも取り組み、続く「2030カーボンニュートラル宣言」の達成を目指します。
b. 顧客の行動変化に伴う影響
気候変動が社会・経済へと広範囲に影響して被害が発生した場合には、当社グループの一部事業における売上収益減少がリスクとして考えられます。バリュー・チェーン観点においても、広告主のビジネス自粛や消費者心理の冷え込みによる影響が想定されます。そのため、利用者の維持拡大と共に、より多様な事業を展開するポートフォリオ経営や防災減災サービス等、社会にとって必要不可欠なライフラインサービスを適応策として継続的に提供していくことによりリスクを最小限に抑えることができると考えています。
c. 異常気象の激甚化による影響
気候変動による大規模な災害が発生した場合には、事業継続性の懸念がリスクとして考えられます。安定したサービスを提供できるよう、被害を低減させるためのデータセンターおよび物流センター機能の分散化や気候変動による海面上昇の影響を考慮した当社の高知センター移転等、適応策となる環境整備によってリスクを最小限に抑えることができるものと考えています。また、当社グループのバリュー・チェーンでは、物流センターへの調達寸断リスクを低減して安定的な商品供給体制の確保をするためにも、可能な限りサプライヤーの分散化を推進する必要があると認識しています。
機会
a. 技術革新や環境配慮の進展
当社グループにおける電力使用量の大部分は、データセンターの運営によるものです。このため、より効率的かつ省エネルギー型のデータセンターの設計および運用を推進することは、エネルギー効率の改善を通じた電力使用量の削減につながります。これにより、環境負荷の低減に加え、エネルギーコストの削減等の効果も期待できます。また、当社グループは、これらの取り組みを自社の事業活動にとどめることなく、バリュー・チェーン全体へと拡大していくことも重要であると認識しています。環境配慮型の資機材・サービスの選定やサプライヤーとの協働を通じて、調達段階における環境負荷の低減および供給体制の高度化を図ることで、緩和策としてのバリュー・チェーン全体における持続可能性の向上に努めていきます。
b. ライフスタイルや行動変容に対応したサービスの提供
社会の気候変動問題への関心の高まりは、当社グループにとって事業拡大につながる可能性があるものと認識しています。当社グループでは、各種事業活動を通じて、気候変動の緩和および適応に資する取り組みを推進しています。リユース事業では循環型社会への移行に貢献するとともに、「サストモ」をはじめとするサステナビリティ関連メディアや「Yahoo!ネット募金」等のサービスを通じて、気候関連を含む環境課題に対する社会的関心の喚起および行動変容の促進に努めています。また、バリュー・チェーンにおいても、気候変動への対応を積極的に進めるサプライヤーとの取引をより推進させることで、持続可能性に配慮した調達体制の構築を図っていきます。
他にも、以下のような気候関連のリスクおよび機会への対処を進めています。
・エネルギー調達モデルの変更(気候変動の「緩和」)
当報告期間である2025年度には実質再生可能エネルギー100%化を実現し、「2025カーボンニュートラル宣言」の目標を達成しました。続く「2030カーボンニュートラル宣言」の達成を実現するために、コーポレートPPAによる長期再生可能エネルギー由来の電力契約の開始と環境価値証書の活用等により、当社グループ全体の再生可能エネルギー導入率を100%に引き上げていきます。
・サプライチェーン向け方針の変更(気候変動の「緩和」)
サプライヤー調達方針に環境配慮内容の項目を組み込み、契約内容やエンゲージメントを通じてサプライヤーとともに更なるスコープ3の削減に取り組んでいきます。
当社グループが提供する多様なインターネットサービスの運営にあたっては、データセンターをはじめとする設備において大規模な電力を必要としています。そのため、事業拡大に伴う電力使用量の増加は、エネルギーコストの上昇および温室効果ガス排出量の増加につながる可能性があり、重要なリスクの一つとなります。一方で、技術革新の推進や設備運用の高度化によるエネルギー効率の改善は、電力使用量の抑制および温室効果ガス排出量の削減につながるものであり、重要な機会であると認識しています。当社グループでは、事業成長に伴う電力需要の増加と環境負荷低減とのトレードオフを踏まえつつ、効率的なエネルギー使用の実現に取り組んでいきます。
④ 気候関連のリスクおよび機会が将来与えると予想される影響
「① 気候関連のリスクおよび機会の識別」にて特定した気候関連のリスクおよび機会について、翌年次報告期間以降では以下の影響が想定されます。
リスク
a. 炭素税や排出量取引によるコスト増加、および電力とエネルギー需要の増加
短期的には、炭素税や排出量取引が導入された場合、電力使用に伴う追加的な支出が営業費用として発生しますが、大規模な新規投資は予定しておらず、資金計画上は手元流動資金や営業活動キャッシュ・フローの範囲内で対応する見込みです。また、炭素税や電力価格が上昇した場合に、営業費用が増加して営業活動キャッシュ・フローにマイナス影響が生じる可能性があります。しかしながら、エネルギー効率の改善により営業費用の増加は一定程度緩和される見込みです。
中期的には、炭素価格が段階的に上昇することを踏まえて、再生可能エネルギーの調達を拡大することに伴う追加的な営業費用が継続的に発生する見込みです。加えて、電力使用量の削減を目的とした設備投資を段階的に実施することで、総資産が増加する見込みです。調達に伴う継続的な支出については、資金計画上で安定的な支出として織り込みつつ、新規の大規模な投資は限定的として既存設備の維持・更新を中心とした対応を想定しています。これらの対応に必要な資金は内部資金を基本とし、不足する場合には借入やグリーンボンド等の活用をする見込みです。処分計画としては、バリュー・チェーンにおける炭素排出強度の高い電力契約を順次見直していく予定です。
長期的には、再生可能エネルギー100%化により炭素税負担の回避が見込まれます。一方で、再生可能エネルギー調達費用やエネルギー効率化投資の一部は継続的に発生することになりますが、エネルギー効率化の進展により電力使用量が減少し、費用構造およびキャッシュ・フローは中長期的に安定化することが期待できます。資金計画上は再生可能エネルギー調達コストを安定的な固定費として織り込む見込みです。処分計画としては、非効率な設備や契約を整理することで低炭素化されたポートフォリオに移行し、財政状態は安定化することが想定されます。
b. 顧客の行動変化に伴う影響
短期的には、顧客行動の変化により一部事業で売上収益が減少し、営業活動キャッシュ・フローにマイナス影響が生じる可能性があります。
中期的には、戦略事業への投資を拡大することにより総資産が増加するとともに、必要に応じて長期借入や社債による資金調達を行う見込みです。顧客行動の変化が継続した場合、既存事業の売上収益は減少圧力を受け、営業活動キャッシュ・フローへのマイナス影響が累積的に拡大する可能性があります。また、成長投資に伴い、投資活動キャッシュ・フローの支出が継続して増加する見込みです。
長期的には、投資が収益化し営業活動キャッシュ・フローが安定するとともに、借入金や社債の返済が進み、財政状態は安定化すると想定されます。
c. 異常気象の激甚化による影響
短期的には、自然災害によるデータセンターや物流センター拠点の機能停止に伴い、売上収益の減少および営業費用が発生し、営業活動キャッシュ・フローにマイナス影響が生じる可能性があります。災害時には当社グループが保有する附属設備の修繕・更新が必要となり、一時的な資金需要が発生しますが、主として手元資金の活用により対応する見込みです。
中期的には、事業継続性確保のため拠点分散化投資を実施し、使用権資産や有形固定資産が増加するとともに、リース負債が増加する可能性があります。投資資金については、営業キャッシュ・フローの範囲内でリース料を支払うことを基本とし、不足する場合には借入や社債による調達を行う可能性があります。長期的には、新規の大規模な支出は限定的であり、維持・更新投資を中心とした対応を行うことで、財政状態は安定的に推移する見込みです。
機会
a. 技術革新や環境配慮の進展
短期的には、エネルギー効率向上を目的とした設備改修や新規設備投資等を継続的に行うことにより、投資活動キャッシュ・フローの支出が増加する見込みです。同時に、電力使用量の削減により、営業活動キャッシュ・フローに一定のプラス影響が現れる見込みです。
中期的には、高効率サーバー等への設備投資を継続することでエネルギー効率化による営業費用の低減が進み、営業活動キャッシュ・フローは安定的に改善する見込みです。投資資金については内部資金を基本とし、不足する場合にはグリーンボンド等の外部資金の活用を検討しています。稼働台数圧縮と設置スペース削減が進み電力コスト低減効果が拡大することで、営業活動キャッシュ・フローは安定的に改善する見込みです。さらに建物増棟を抑制できるため、新たなリース契約による固定費負担を回避できる見込みです。一方で、省エネ設備やAI制御の導入に伴う投資活動キャッシュ・フローの支出は一定程度継続します。
長期的には、エネルギー効率化による営業費用の低減がより一層進むことで、電力のコスト削減が進み、キャッシュ・フロー全体として安定性が高まる見込みです。
b. ライフスタイルや行動変容に対応したサービスの提供
短期的には、リユース事業や環境関連広告サービス等の利用拡大により、売上収益および営業活動キャッシュ・フローが増加する見込みです。当該成長に伴う追加的な投資は限定的であり、資金計画上は営業キャッシュ・フローによる内部資金で対応可能となる見込みです。
中期的には、環境意識の高まりにより売上収益の増加効果が拡大し、営業活動キャッシュ・フローは安定的に増加する見込みです。収益増加に伴い総資産は増加しますが、大規模な設備投資や資産処分は想定していません。また、成長に伴う資金需要については、内部資金による対応を基本としており、外部調達は想定していません。
長期的には、バリュー・チェーンにおける循環型社会の進展や脱炭素需要の高まりを背景に、当該サービスの需要が持続的に拡大し、営業活動キャッシュ・フローは安定的に推移する見込みです。投資活動キャッシュ・フローも維持・更新投資に限定されるため、大規模な支出は発生しない見込みです。
⑤ 気候レジリエンス
2025年度に実施したシナリオ分析では、国際的な認知度や信頼性を考慮し、パリ協定に基づき国際的に求められている「産業革命前からの気温上昇を1.5℃以内に抑制する」ことと整合する、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)および気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)が策定したシナリオを参照しています。これらのシナリオは、政府の政策設計や国際的な炭素価格制度、バリュー・チェーン全体の排出削減要請等の基礎となっているため、当社グループの事業戦略上不可欠と判断しました。
a. 1.5℃整合
・IEA NZE(Net Zero Emissions by 2050)、IPCC SSP1-1.9
・移行リスクが最も顕著(政策強化、炭素税、電力価格上昇)
b. 2℃相当
・IEA APS(Announced Pledges Scenario)、IPCC SSP1-2.6
・移行リスクおよび物理的リスクの双方が顕在化
c. 4℃超過
・IEA STEPS(Stated Policies Scenario)、IPCC SSP5-8.5
・物理的リスクが最も顕在化(豪雨・洪水・高温化の増加)
当社グループは、以下のような事業構造を持っており、移行リスクと物理的リスクの双方が事業継続性に影響します。
・大規模なデータセンターを有し電力依存度が高い
・コマースや決済サービス等社会インフラ的サービスの事業継続が極めて重要
・物流ネットワークの停止が売上維持に大きく影響
また、当社グループが掲げる以下の方針とも整合します。
・再生可能エネルギー比率の拡大
・データセンター運用の高効率化
・物流拠点の分散化とバックアップ体制の構築
更には、複数のシナリオを用いて分析を行うことでシナリオ間の差異を比較することができ、長期的な投資や設備計画の優先順位づけも行うことが可能となります。
以上のことから、当社の選択したシナリオが当社グループの気候レジリエンス評価に対して有効であると判断しました。
気候関連のリスクおよび機会は、長期間にわたって当社グループの事業活動に影響を与える可能性があるため、以下の時間軸・事業範囲および主要な前提条件に基づいて、複数の気候関連シナリオ分析を行っています。
〈時間軸・事業範囲〉
・分析に用いた時間軸:2030年~2050年
・分析に用いた事業範囲:当社グループの全事業が対象
〈主要な前提条件〉
a. 当社が事業を営む法域における気候関連の政策
・日本の2050年ネットゼロ目標
・日本の2030年温室効果ガス排出削減46%目標(2013年度比)
・日本の再生可能エネルギー比率36~38%(2030年目標)
・炭素価格制度(カーボンプライシング)の段階的強化
・省エネ法・再エネ促進法に基づく事業者規制の強化
・データセンター事業者への電力効率化要求(PUE改善)の強化
b. マクロ経済のトレンド
・GDP成長率の変動
・エネルギー価格の変動
・炭素価格の上昇
・物流網や労働市場における気候関連の影響
c. 国又は地域レベルの変数
・豪雨、洪水、台風の強度や頻度の増加
・人口動態の変化(都市集中の継続)
・物流インフラの脆弱性
・高温化による電力需要増と停電リスクの増加
・水害リスク
d. エネルギーの使用およびエネルギー構成
・データセンターにおける電力需要の増加
・再生可能エネルギー調達の拡大と比率の上昇
・電力価格の上昇
e. 技術の進展
・データセンター効率化技術(PUE改善)
・サーバー冷却技術の進展
・再生可能エネルギーの低コスト化と普及拡大
・蓄電池技術の進展による電力安定性向上
・物流ロボティクスと自動化技術の進展
・AIによる需要予測と災害対応最適化の高精度化
当社グループでは、気候関連のシナリオ分析結果に基づき、気候レジリエンスの評価を報告期間毎に実施しています。(WEO2025で保留となったAPSも継続利用)
財務的な影響度として開示する指標は、将来的な見込みや発生頻度が推測を伴うものであり、測定の不確実性の程度が高い情報となります。しかしながら、複数のシナリオ分析に基づく柔軟な対応方針の策定や、当報告期間である2025年度には実質再生可能エネルギー100%化を実現し「2025カーボンニュートラル宣言」の目標を達成する等、レジリエンスを踏まえたカーボンニュートラルへの取り組みが順調に推移していることを確認しています。今後も環境変化に合わせ、気候関連のリスクおよび機会における包括的な対処、気候関連の進展や不確実性への対処、短期、中期および長期にわたる戦略およびビジネスモデルの調整等に取り組んでいきます。
(5) 指標と目標
(気候関連以外のリスクおよび機会)
当社グループは、識別したリスクおよび機会もしくは関連する企業のパフォーマンスを測定・モニタリングするために、下記の指標および目標を定めています。いずれの指標実績も第三者によって認証されていません。
① 「データ/AIを活用した感動(WOW&!)の提供」関連
当社グループは、生成AIやデータといった情報技術の活用によって、利用者一人ひとりに最適化されたサービスと質の高い顧客体験を実現することで人々の生活や社会を豊かにするライフプラットフォームの提供を目指し、下記の指標・目標を設定しています。
「LINE MAU/人口比率」は、当社が作成したLINEヤフーサービスにおける絶対指標であり、日本国内におけるLINEの利用率の維持向上を目的として75%以上を目指して設定したものです。2025年度における実績は下記のとおりであり、その推移について「AIトークサジェスト」やLYPプレミアム会員特典の「LINE AI サービス」等の新たな機能リリース等を行い、ユーザーにAIを活用した価値や体験を継続的に提供することで指標達成に寄与したと分析しています。
「Yahoo! JAPAN DUB」は、当社が作成したLINEヤフーサービスにおける絶対指標であり、日本国内における Yahoo! JAPAN サービスの利用数の維持向上を目的として、1.1億以上の維持を目指して設定したものです。2025年度における実績は下記のとおりであり、生成AIの利用が広がることでインターネット検索の需要・利用が減っていることから目標に対して未達であるものの、生成AIを活用した機能を検索やニュースで導入し、昨年並みのDUB水準を維持したと分析しています。 2026年度も同じ目標指標を設定し、引き続き達成に努めます。
※1 当社グループが作成した利用ユーザー数を表すための指標
※2 有効アカウントで各月中にLINEを起動したユーザー数÷全人口で算出(日本国内)
※3 Yahoo! JAPANサービスを閲覧するために利用されたブラウザー数。スマートフォンにおいてブラウザーとアプリの両方を通じて閲覧した場合は重複カウント
② 「安全・安心なプラットフォームの提供」関連
当社グループは、セキュリティ・プライバシー・公正性を備えた安全・安心なデジタルプラットフォームの構築と運営に取り組み、誰もが日常的に安心して利用できる、情報の信頼性・安全性・公正性が担保されたデジタル環境の構築を目指し、下記の指標・目標を設定しています。
当該指標・目標は、IFRS 財団が公表するSASB スタンダードに基づいた産業別の指標であり、当社を対象とした絶対指標として、重大なインシデントの発生を防止すべく2025年度目標を0件に設定しています。2025年度の当局からの報告徴収や指導を受けた重大性の高い件数は0件です。
※1 当社における、当局からの報告徴収や指導を受けた重大性の高い案件
③ 「災害およびデジタル格差への対応」関連
当社グループは、官民の多様な関係者と連携した災害時対応やITリテラシー教育を通じたデジタル格差の解消に取り組むことで、誰もが、いつ何時もデジタル技術を通じて情報とサービスにアクセスできる包摂的社会の実現に貢献することを目指し、下記の指標・目標を設定しています。
「自治体との災害協定による人口カバー率」については、当社が作成した絶対指標であり、全国を広くカバーし続けることを目指し、95%以上を目標として設定しています。災害協定を結ぶことで、当社が災害に関する自治体からの情報を集約・整理し、タイムリーに提供します。2025年度における実績は98.5%であり、今年度7自治体が新たに災害協定を締結し、合計で1,627自治体となりました。
「LINE公式アカウント開設自治体数」については、当社が作成した絶対指標であり、2030年までに全自治体数である1,788の達成を目指しています。2025年度における実績は1,582であり、前年度から順調に増加しています。一定数の人口規模のある自治体では開設が進んでいますが、残りの多くは人口規模の小さい町村が多い状況です。
※1 当社と協定を締結している市区町村単位の自治体の人口÷全人口で算出
※2 今年度から人口の計算に令和7年度の住民基本台帳を使用。前年度までは平成31年度の住民基本台帳であったため、災害協定自治体数は増加したが人口カバー率は低下
※3 自治体特別プランでLINE公式アカウントを開設・運営している自治体数
④ 「持続的成長を支えるガバナンス体制の構築」関連
当社グループは、実効性のある強固なガバナンス体制を構築し、リスク対応力や高いコンプライアンス意識を確保することにより、事業の継続的な成長と社会からの信頼に支えられる企業基盤を構築することを目指し、下記の指標・目標を設定しています。
「取締役会の実効性評価状況での評価結果」は、当社が設定した定性的な評価指標です。当社の取締役会における実効性が常に確保されていることを目標としています。
「コンプライアンスe-ラーニングの受講率」は、当社が作成した絶対指標です。当社グループの主な企業におけるコンプライアンス浸透を目的としたe-ラーニングについて、受講率が90%以上となることを目標として設定しています。
各指標の2025年度の実績は、下記のとおりです。前年度に続き、当社取締役会はその実効性を確保していると評価しています。また、コンプライアンスe-ラーニングの受講率は95%でした。
※1 当社取締役へのインタビューやアンケートを通じた調査・分析を行い、実効性確保の有無を取締役会で評価
※2 当社および当社に対して研修業務を委託している子会社等に対する年間の研修実績データ(研修テーマ、研修対象者数、受講者数等)をもとに集計した数値
⑤ 「人的資本価値の最大化」関連
当社グループは、人材強化とカルチャー醸成を通じて、社員一人ひとりが自らの可能性を発揮しながら挑戦し続けられる成長の土台を整備し、多様性への理解と尊重を基盤とした環境を築くことで、人と組織の成長とパフォーマンスの最大化による人的資本価値の向上を目指し、下記の指標・目標を設定しています。当該指標・目標は、IFRS 財団が公表するSASB スタンダードを参考に定めた指標です。
「エンゲージメント調査の集計値の変化」は、2025年度より当社グループ会社を対象範囲とし、昨対比で調査結果の向上を目指す相対目標としています。2025年の実績は下記のとおりであり、当社における経営戦略に基づき2025年度に実施した評価制度変更や働き方のアップデート等の一連の変化が、グループ全体の集計結果に大きく影響を及ぼしていると考えられます。変化の過程においても社員一人ひとりがパフォーマンスを最大限発揮できることを目指し、成長支援や環境整備、経営と社員のコミュニケーションをはじめとするカルチャー醸成に継続的に取り組んでいきます。
「女性管理職比率」は、当社を対象範囲とした絶対指標であり、2030年までに従業員男女比率と同等となることを目指しています。2025年度の実績は下記のとおりであり、女性管理職比率は前年度と同水準で推移しています。一方で、女性従業員比率は前年度の33%から32%に低下しており、その点を踏まえると、目標に向けた進捗は維持されていると評価できます。今後も既存施策を中心に継続して取り組んでいきます。性別にかかわらず多様な人材が活躍できる環境の整備として、管理職およびその候補者層への意識醸成施策やメンタリング、コーチング等の育成支援を継続して実行しています。
※1 エンゲージメント調査における「成長支援」「環境づくり」「カルチャー醸成」の各項目の集計値の変化幅を、向上/維持/維持・向上は見られずの三段階で評価し、グループ全体として前年比で維持・向上が見られたかをモニタリング
※2 2025年度より対象範囲を当社単体から当社グループに変更しているため、2025年度の実績値は2024年度の実績値と単純比較できません。
※3 当社の当該年度の3月末時点の数字。管理職=ディビジョンリード、ユニットリード、SBU/CBUリード、ドメインリード
※4 2025年度より算出定義を一部変更しているため、2025年度の実績値は2024年度の実績値と単純比較できません。
⑥ 「未来世代に向けた地球環境への責任」関連
当社グループは、再生可能エネルギーの導入や次世代データセンターの建設、環境負荷低減プロダクトの提供により、事業・サービスを通じた気候変動対応や自然資本の保全、資源循環の推進に取り組み、未来世代が安心して暮らせる健全な地球環境の継承に貢献することを目指し、下記の指標・目標を設定しています。
当該指標・目標は、IFRS 財団が公表するSASB スタンダードに基づく産業別の指標であり、当社グループを対象とした絶対指標として、2030年度までに2022年度実績から10%削減となる0.261(m3/百万円)を目指しています。2025年度の実績は、下記のとおりであり、2024年度実績から大幅改善しています。新棟投資が続いてきた北九州データセンターにおいて冷却機能が高まり、水使用量が削減されました。
(気候関連)
① 温室効果ガス排出
スコープ1温室効果ガス排出およびスコープ2温室効果ガス排出の内訳に関する情報(単位:mtCO2e)
スコープ3温室効果ガス排出の内訳に関する情報(単位:mtCO2e)
※ カテゴリー10:販売した製品の加工、カテゴリー14:フランチャイズ、カテゴリー15:投資は対象外です。
※ スコープ3の2025年度数値は2026年6月末日までに公開予定です。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/data/#anc1
当社グループは、温室効果ガス排出量削減に向けた施策において、支配権を有する事業体における意思決定権を持っています。これら事業体の排出量削減の実行可能性が当社グループの実質的な管理範囲に依存することから、「GHGプロトコル(2004年)」に基づき温室効果ガス排出量を測定するにあたり、排出実態を最も適切に反映する測定アプローチとして経営支配力アプローチを選択しました。当社グループの設定する気候関連の指標・目標は、当社が直接管理して改善施策を実行できる範囲に基づいて評価されるべきものであるため、経営支配力アプローチは削減戦略の実効性を測定する上でも整合的です。また、GHGプロトコルにおいて広く採用されている経営支配力アプローチを用いて測定することで、指標の国際整合性が向上し、透明性の高い開示が可能となります。
当社グループは、次の方法により温室効果ガス排出量を測定しています。
a. スコープ1温室効果ガス排出量
当社グループにおけるスコープ1温室効果ガスの発生要因は、主に灯油および軽油の使用が該当します。
「GHGプロトコル(2004年)」に基づき、当連結会計年度における各拠点の入手可能な請求書等に記載の使用量を活動量として、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」等における排出係数を乗じることにより、見積りの方法に基づいてスコープ1温室効果ガス排出量を測定しています。海外においても排出係数は同様であると仮定し、日本国政府の排出係数を用いています。
b. スコープ2温室効果ガス排出量
当社グループにおけるスコープ2温室効果ガスの発生要因は、主に電力の使用が該当します。
・ロケーション基準
「GHGプロトコル(2004年)」に基づき、当連結会計年度における各拠点の入手可能な請求書等に記載の使用量を活動量として、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「電気事業者別排出係数」における全国平均係数を乗じることにより、見積りの方法に基づいてロケーション基準によるスコープ2温室効果ガス排出量を測定しています。
・マーケット基準
「GHGプロトコル(2004年)」に基づき、当連結会計年度における各拠点の入手可能な電力契約毎の使用量を活動量として、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「電気事業者別排出係数」における該当事業者の係数を乗じることにより、見積りの方法に基づいてマーケット基準によるスコープ2温室効果ガス排出量を測定しています。海外では各国の係数を使用し、係数の入手が困難な場合は日本の全国平均係数を用いています。また、各使用量を個別に入手することが難しい場合は、当社の同種拠点における床面積あたりの電力使用量データを用いて算定を行っています。
c. スコープ3温室効果ガス排出量
「温室効果ガスプロトコルのコーポレート・バリュー・チェーン(スコープ3)基準(2011年)」に定めるスコープ3のカテゴリー毎に分類し、「GHGプロトコル(2004年)」に基づき、関連する活動量および排出係数を用いて見積りの方法に基づいて測定しています。
当社グループは国内外に多数の事業所や拠点を有しており、また拠点間の設備仕様も多様であることから、直接測定に必要となる正確なデータの取得が困難です。全ての拠点において直接測定を行うことは現実的ではなく、現段階では合理的な見積りによる測定が当社グループにとって最適と判断し、見積りの方法による測定を選択しています。
② 内部炭素価格に関する開示
当社グループでは、気候関連リスクおよび機会の評価における財務影響を把握するため、内部炭素価格を用いた分析を実施しています。国際通貨基金(IMF)が推奨する2030年75ドル/mtCO2eを用い、リスクおよび機会のシナリオ分析や財務的影響の試算に適用しています。
③ 温室効果ガス排出量目標に関する開示
当社グループは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速するため、温室効果ガス排出量の目標を設定しています。目標は純量(ネット)ベースの絶対量目標であり、パリ協定を踏まえた日本政府の2050年カーボンニュートラル方針にも整合させています。2030年度の中期目標として当社グループのスコープ1およびスコープ2温室効果ガス排出量を実質ゼロにするとともに、長期目標として2050年度までに当社グループのスコープ3も含めた全ての温室効果ガス排出量を実質ゼロにするネットゼロを達成していきます。目標は、CO2、CH4、N2O、HFCs、PFCs、SF6およびNF3の温室効果ガスに関するスコープ1温室効果ガス排出量、スコープ2温室効果ガス排出量(マーケット基準)およびスコープ3温室効果ガス排出量の合計値に対して設定しました。なお、セクター別脱炭素アプローチは用いていません。
当報告期間である2025年度には実質再生可能エネルギー100%化を実現し、「2025カーボンニュートラル宣言」の目標を達成しました。なお、「①温室効果ガス排出」欄に記載のある排出量に対しては、以下のように自主的な対応を行っています。
スコープ1:J-クレジットを活用したオフセットを実施
スコープ2:再生可能エネルギーの調達が困難な海外の拠点における排出に対して近隣国の再生可能エネルギー証書を反映
※ 上記の実績は純量ベースであり、スコープ2はマーケット基準に基づいています。
※1 スコープ3の2025年度数値は2026年6月末日までに公開予定です。
https://www.lycorp.co.jp/ja/sustainability/esg/data/#anc1
当社グループでは、毎年、目標の連結会計年度末における温室効果ガス排出量を純量ベースで把握することで、それぞれの進捗をモニタリングしています。その結果も踏まえ、連結会計年度の期首には、目標それぞれの変更要否についての検討も行っています。
当連結会計年度において、短期目標は達成、中期および長期それぞれの目標に対する進捗も大きく遅れを取ることなく順調に推移していることを確認しています。
なお、当社としての第三者認証は得ていませんが、親会社であるソフトバンクは、2050年度までにグループ企業を含めた温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の目標において、国際的気候変動イニシアチブのSBTi(Science Based Targets initiative)より、パリ協定で定められている「1.5℃目標」の水準と整合したものであるとして「SBT(Science Based Targets)」の認定を取得しました。当社グループもソフトバンクグループの一員としてネットゼロに取り組んでいます。
また、当社グループでは上記目標を達成するために、まずは温室効果ガス排出量の削減努力を優先した上で、残余排出量に対しては、再生可能エネルギーに由来するJ-クレジット等国際的に信頼性が高いカーボンクレジットの補完的な使用を計画しています。
④その他の気候関連の指標に関する開示
2.人的資本に関する開示(人的資本・多様性に対する取り組み)
(1) 戦略
当社グループは、人と組織の成長およびパフォーマンスの最大化が、人的資本価値向上の基盤であると捉えています。こうした考えに基づき、「社員の成長支援・促進」および「優秀人材の獲得と活躍支援」を人的資本戦略の重要領域と位置づけ、取り組んでいます。
特に近年は、生成AIの活用進展を背景に、業務効率化や生産性向上を通じて人的資源をより創造的な領域へ再配分し、当社グループのさらなる成長を目指しています。
これらの領域を包含する「人材強化」と「カルチャー醸成」を重要なサステナビリティ関連のリスクおよび機会に設定し 、その成果を測る重要な指標として、エンゲージメントの向上をモニタリングしています。
当社グループでは、グループ内の子会社を対象とした人事労務実態調査・人的資本領域調査を年次で実施するとともに、主要各社の人事責任者による会議の定期開催や、グループ各社の人的資本領域の実務担当者を対象としたカンファレンスの開催を通じて、各社の取り組み状況や課題の共有を行っています。これらを通してグループとしての方向性を確認しながら、人的資本領域の改善に取り組んでいます 。
LINEヤフーグループの人材戦略図
※ 2026年4月1日にMissionとValuesの刷新を行なっていますが、上記の図では2025年度実績として旧Missionを掲載しています。
① 人材育成方針(人材強化・成長支援)
DX、AI、データの活用等に優れたスキルや経験を有し、多様なサービスを創出してきた人材ポートフォリオは、当社グループの競争優位の源泉です。
当社では経営戦略の中核である「全サービスのAIエージェント化」および「 OA※1・ミニアプリ※2強化」 を実現するための人材戦略として、生成AIを活用し、業務・サービス変革を推進していくことができる人材の育成に注力しています。
社員一人ひとりの成長がプロダクト価値および事業成長の向上につながるとの考えに基づき、挑戦機会の創出と成長環境の整備を推進しています。
※1 OA(Official Account (LINE公式アカウント))
※2 ミニアプリ(LINEミニアプリ)
② 社内環境整備方針(人材強化・環境づくり)
当社グループでは、人権に関する基本方針(人権ポリシー)を定め、人権を尊重し、社員の誰もがその属性やライフステージに関わらず能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
当社の経営戦略を実現するためには、多様な視点と専門性を持つ人材が、その属性やライフステージに関わらず、能力を最大限発揮して挑戦できる環境が重要であると考えています。そのため、人的資本戦略における「人材強化」を支える基盤として、社内環境の整備を重要な取り組みと位置づけています。
当社では「LINEヤフー DE&I基本の考え方」を定めています。多様性の理解と尊重は、プロダクトドリブンな企業文化をより加速し、ミッションを実現する上で欠かせない要素です。イノベーションを創出し、多くのユーザーに価値を届けるためには、作り手である社員自身が多様であり、互いを尊重し合う環境が基盤になると考えています。
さらに、人的資本の価値を最大化するためには、働く環境の整備とwell-beingの向上も重要な要素と位置付けています。当社では、柔軟な働き方制度の整備とコミュニケーションの質の向上を両立させることで、個人のパフォーマンス向上と組織全体の生産性向上を図っています。
③ カルチャー醸成
当社グループでは、ミッションを実現するために定義した働き方である「バリュー」を通じて、一体感の創出と独自のカルチャー醸成につなげ、社員がパフォーマンスを発揮できる環境づくりを目指します。
(2) 指標と目標
当社では、多様性の観点から、女性管理職比率を指標として位置づけ、2030年までに、従業員男女比率と同等を目指すこととしています(2026年3月末時点の従業員比 女性32%:男性68%)。目標達成のために実施する具体施策は「(1) 戦略」をご確認ください。女性管理職比率は前年度と同水準での推移となっている一方で、女性従業員比率は前年度の33%から32%に低下しており、その点を踏まえると、目標に向けた進捗は維持されていると見ています。
また、当社グループにおける人材戦略の二つの主軸である「人材強化」と「カルチャー醸成」については、一律の取り組みではなく各社の独自性を活かした人事方針等に基づく各々の施策推進により、前年よりも維持・向上を図っていくことを目指します。具体的な指標・方向性については、各社で実施中のエンゲージメント調査等の該当項目において、集計値の変化幅を三段階のテーブルに分け、グループ全体として前年比で維持・向上が見られたかをモニタリングし、開示していきます。2024年度は当社単体の実績を開示していましたが、2025年度からはグループ会社を含めた実績を開示しています※。これにより、各社の独自性を維持しながらグループ全体の状況を可視化し、人的資本価値の最大化を目指しています。
※連結子会社(従業員不在、投資ファンドや事業実態のない企業を除く)のうち、自社でエンゲージメント調査を実施している企業を対象とする
① 多様性(女性管理職) ※1
※1 多様性についての指標と目標は、当社を対象としています。
※2 2025年度より算出定義を一部変更しているため、2025年度の実績値は2024年度の実績値と単純比較できません。
② 人材戦略 ※1
※1 人材戦略についての指標と目標は、2024年度は当社単体を対象としていますが、2025年度より対象を当社グループとし、実績を開示しています。
※2 2025年度より対象範囲を当社単体から当社グループに変更しているため、2025年度の実績値は2024年度の実績値と単純比較できません。