2024年8月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済・市場の状況について

 当社グループは、一般消費者が店舗において購買を行う、その時点に着目した販売促進ツール(POP広告)を現状、主として取り扱っております。

 当社グループの販売先は、近年、食料・飲料製造業など一般消費者を最終顧客とする製造業に対する販売活動に注力することにより、その比率を高めております。その一方で従来からの販売先であるスーパーマーケット・家電量販店・小売専門店等の流通小売業の比率が依然高いことから、景気後退、消費低迷等により流通小売業の販促費予算が削減されPOP広告経費が削減された場合、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。2020年に発生しました新型コロナウイルスに端を発した景気後退と同程度の不況に見舞われた場合、当社グループの業績が大幅な営業赤字に陥る恐れがあります。

 

(2)別注製品の依存度について

 別注製品は、個々のニーズに対応したデザイン制作を必要とするため、ポップギャラリー製商品と比べ売上総利益率が低くなっております。そして、クライアントからの個々のニーズをきめ細かく把握し、より付加価値の高い企画・デザインにするためにも、企画営業部、営業推進部、メディア・デザイン部等、数多くの部署の人員が携わり活動します。また、クライアントが指定するオーダーメイドの商材・提案となるため、競合他社が提供する商材・提案と競合することも年々多くなってきており、受注率にも影響することが今後も懸念されます。

 当社グループとしては、専門性の向上や企画提案の強化によって、企画からデザインそして最終製作物としての別注製品の付加価値を高め、粗利率並びに受注率の向上を図っております。しかしながら、別注製品の需要動向並びに獲得した売上高・売上総利益によっては、当社グループの製商品の構成比が大きく変化し売上総利益率の変動等の影響により、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。この対策として、ポップギャラリー製商品の販売促進やPOPKIT(ポップキット)などの新サービスの開発・販売に注力し別注製品に過度に依存しない事業体制の構築に注力してまいります。

 

(3)ポップギャラリー製商品の在庫について

 当社グループが取り扱うポップギャラリー製商品のポスター類・のぼり類は、季節に対応した製商品として大量生産し、多くのユーザーに少量販売の体制をとっており、随時デザインの見直しによる入れ替えを行っております。

 生産につきましては売れ筋を見極めた厳正な管理を実施しておりますが、製商品の入れ替えに伴い在庫処分が発生することがあります。

 また、近年ユーザーニーズの多様化により、イベント品・プレミアム品を中心に品揃えを充実させておりますが、魅力がなくなった製商品は、在庫処分として売却損や廃棄損を計上することがあり、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、在庫販売を基本とするポップギャラリー製商品の販売金額が落ち込み、想定よりも資金化に時間を要する場合には、在庫評価損を計上し、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製商品の欠陥について

 当社グループが取り扱う製商品・サービスの品質管理には十分注意しておりますが、万が一、不良品やサービスミスが発生した場合には、製商品の作り直し、回収費用、廃棄、値引き等の負担がかかる可能性があります。

 受注金額の大きな案件において上記事象が発生した場合には、業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループにおける事業品質の維持及び向上のため、継続的な改善の取り組みをしております。

 

(5)DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴うデータ及びデジタル技術の活用について

 近年DX導入の必要性が強く要請されておりますが、当社グループが属する業界や取り扱う製商品・サービス分野においても、データ及びデジタル技術を活用した事例が増えてきております。消費者の購買行動自体が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を強く受け行動が変容し、実際の購買行動も実店舗からの購入に加え、ECサイトからの購入が増加するなど顕著な変化が見受けられます。また消費者の購買行動はデータ活用によりますます可視化されていきます。このような環境の中、当社グループにおいても、実店舗における従来の販促商品・サービスに加え、デジタル領域におけるデータ活用・販促サービスの提供をする必要に迫られます。

 当社グループにおいても、WEBサービスPOPKIT(ポップキット)の提供を開始しております。今後も既存事業におけるデータ・デジタル技術の活用に加え、新しいサービスの開発や事業提携、M&A等も検討してまいりますが、デジタル分野の技術革新はその速度が極めて速く、当初優位性を持った商品・サービス・事業が急速に陳腐化し、無形固定資産の減損等の発生リスクもあることから、慎重に事業活動を進めてまいります。

 

(6)季節要因の影響について

 当社グループの主たる販売先は、スーパーや家電量販店などの流通小売業の他、食料・飲料製造業など一般消費者を最終顧客とする製造業などです。

 近年製造業に対する販売活動に注力することにより、売上高に占める比率は高まってきており、通年での売上実績の獲得が期待できますが、慣例的行事やイベントの集中する上半期(歳暮・クリスマス・年末年始・成人式・バレンタインデー)に流通小売業に対する売上実績や販促企画に伴う売上実績が集中するという、季節要因の影響は依然として残っており、売上高及び営業利益が上半期に偏る傾向があります。従いまして、上半期に営業利益が赤字となった場合、通期業績においても営業利益が赤字に陥る恐れがあります。このため、下半期に売上・営業利益の獲得が見込めるメーカー向け企画提案のさらなる推進やPOPKIT(ポップキット)等の新サービスの販売により、通期で営業利益が獲得できる事業体制の構築に注力してまいります。

 

(7)法的規制について

 当社グループは、下請代金支払遅延等防止法、個人情報の保護に関する法律、著作権法等の法令及び諸規制の重要性を認識し、厳格な管理のもとで運用に努めています。コンプライアンスの重要性を含めて社員教育を実施するとともに、管理状況に関する監視と不具合の継続的改善に一層の徹底を図ってまいります。

 しかしながら、各種法令・諸規制に対して事故が発生した場合には信頼性の低下に伴う売上高の減少や損害賠償の請求を受けるなど、当社の業績・財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、WEB3・0、メタバース、NFT、仮想通貨、生成AI等、新しい概念・技術革新が生まれており、これらの領域や新技術を利用し、事業活動を行う場合、関係法令等の慎重な確認・検討が必要となります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元につきましては重要な経営課題のひとつと認識しており、今後の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定して配当を実施していくことを基本方針としております。

 内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える製品開発体制を強化、さらには、M&A展開のための投資など、有効に活用してまいりたいと考えております。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 なお、当社は、「取締役会の決議により、毎年2月末日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 このような方針に基づき第42期の配当につきましては、連結業績及び財務状況等を勘案し、普通配当として1株当たり50円の配当を実施することに決定致しました。

 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

基準日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年11月27日

定時株主総会決議

2024年8月31日

40,202

50.00