リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。ただし、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではありません。また、投資判断上、又は当社グループの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項についても、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。
当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。当社グループは再生医療等製品及び医薬品等の研究開発を行っておりますが、それらの研究開発には長い年月と多額の費用を要し、またすべての研究開発が成功するとは限りません。特に販売開始前の研究開発段階のパイプラインを有する製造・開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、投資家の投資対象として相対的にリスクが高いと考えられており、当社への投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) 再生医療等製品及び医薬品等の研究開発及び製造販売に関するリスク
① 医薬品医療機器等法及び再生医療等安全性確保法等の法的規制について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの開発、製造及び販売を行うため、「医薬品医療機器等法」、「再生医療等安全性確保法」、「製造物責任法」及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等、多数の法的規制を受けております。
当社グループは、事業に関連する法規制について、業界団体等を通じた情報収集、社内チームでの検討や、専門家からの助言に基づき、関連法令等の遵守の徹底と管理体制の構築を図っておりますが、当社グループが法規制に抵触しているとして、許可・登録の取り消し処分等を受けた場合、事業の停止や当社グループに対する社会的信用の失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループに関連する法令等の改廃や新規の法的規制の制定により、事業の継続が困難になる場合や、多額の追加コストが発生する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 薬価制度と医療費抑制政策について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、現在、開発を行っているヒトiPS細胞由来心筋細胞シートについて日本国内での製造販売承認の取得を最優先に取り組んでおります。
日本においては、増嵩する医療費を抑制するため、定期的な薬価の引き下げや後発医薬品の使用促進等が進んでいます。当社グループが開発するヒトiPS細胞由来心筋細胞シートその他の再生医療等製品及び医薬品等が国内での製造販売承認を取得した場合、当然ながら薬価政策の影響を受けることになりますが、将来的に薬価が大きく引き下げられる場合には、収益性の低下により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 再生医療等製品の安全性について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
再生医療等製品の開発においては、新しい研究開発成果や安全性及び有効性に関する知見が日々発見されております。
現在、治験などの研究開発活動を通じてヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの安全性を慎重に確認している段階でありますが、重大な健康被害につながる顕在化したリスクとしては確認されたものはありません。
しかしながら、今後、治験実施時又は製造販売承認の取得後であっても、研究開発段階又は製造販売承認時には想定できなかった又は発見できなかった事由による健康被害が発生する可能性は否定できません。また、多様な再生医療等製品においては、製品ごとに安全性に関する懸念事項は異なることもあり、現段階では再生医療等製品として安全性が一般的に確立された状況ではありません。そのため、そのような健康被害が発生した場合には、販売停止による売上高の減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 研究開発の不確実性について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当連結会計年度末現在、当社グループはヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認の取得に向け研究開発を行っており、売上高を獲得できる段階には至っておりません。製造販売承認の取得に向けて研究開発を進めてまいりますが、再生医療等製品及び医薬品等の製品開発には不確実性が伴うため、開発活動が想定どおり進まない、又は承認の取得に想定以上の時間を要することで、製品の上市時期に遅れが生じた場合には、売上高の獲得の開始時期が遅れ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼします。
また、当社グループの製品の安全性や有効性が認められず、製品の開発を中止する場合若しくは製造販売承認が取得できない場合、又は適応対象の限定など当初想定どおりの内容の承認を取得できない場合には、売上高の全部又は一部を獲得できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼします。承認が下りた後においても、再審査の結果、承認が取り消される可能性や、追加調査に伴うコストが発生する可能性があります。
さらに、当社グループの製品が当初想定どおりの製造販売承認の取得に至った場合であっても、複数のパイプラインによる収益の多角化を進め、特定のパイプラインによる収益の依存度を低減する必要があると考えておりますが、特定の製品に依存するビジネスモデル下において、当該製品の収益性を損なうような事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 技術革新と競合について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
国内外の数多くの企業や研究機関等により、再生医療領域に限らず、新たな再生医療等製品及び医薬品等に関する研究開発が行われており、技術革新は急速に進んでいる状況にあります。したがって、当社グループがこれからも優位性をもって事業を継続できるとは限らず、競合相手の研究開発の成果、新たな製造方法の確立、競合製品の安全性・有効性によっては当社グループの優位性が損なわれ、売上高が減少することで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 製造販売体制について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:2年以内、影響度:大)
当社グループは、再生医療等製品及び医薬品等に関する研究開発のみならず、その製品化並びに製造及び販売も事業の目的としております。そのため、当社グループでは、自社で商業用細胞培養加工施設を保有するなど、製品の製造及び販売に向けた体制の確立に向けて注力しております。そのため、製造及び販売に従事する人材の確保が計画どおりに進まない場合や、大量培養技術の確立や大量培養をするための体制構築が想定どおり進まない場合、また、原材料等及び製品に係るロジスティクスの構築が想定どおり進まない若しくは想定以上のコストを要する場合、天災地変により細胞培養加工施設の稼働維持が困難となった場合等には、当社グループの経営成績及び今後の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの再生医療等製品及び医薬品等の製造に当たっては、特定のサプライヤーのみ供給可能である特殊な原材料等があるため、それらの不足が生じないように一定量の事前確保等の対応を講じておりますが、当該原材料が不足した場合には、再生医療等製品及び医薬品等の安定的な供給に問題が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループは、製造販売承認された再生医療等製品及び医薬品等については、販売先となる医療機関等との交渉を進め、販売先を確保する方針ですが、競合製品の台頭等により当社グループの事業計画を達成するための販売先の確保ができない場合や各医療機関への販売数量が当社グループの想定する需要を下回った場合、販売先及び販売数量の確保が計画どおりに進まず、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、第一三共株式会社がヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの日本国内での販売権のオプションを有しており、当該オプションの行使がなされた場合には、販売先の拡大は期待できるものの、製品単位当たりの当社グループの利益割合が減少する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 製造物責任について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの製造販売承認を取得した場合、自社の細胞培養加工施設にて製造を行うことから、製造物責任賠償のリスクが存在しております。当社グループは、製造物責任保険を付保する予定でおりますが、最終的に当社グループが負担すべき全額を補填できるとは限りません。
したがって、当社グループの製品が患者への健康被害を引き起こし、当社グループが製造物責任を負う場合には、売上高の減少、賠償額の支払、販売製品の回収の他、当社グループの信用失墜を招くことになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 知的財産権について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、研究開発活動等により獲得した技術・ノウハウ等について、顧問弁理士の助言に基づき特許等をはじめとした知的財産を確保するよう努めております。また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害しないよう顧問弁理士に調査を依頼しております。
しかしながら、第三者により当社グループの知的財産権が侵害された場合や当社グループが第三者の知的財産権を侵害し損害賠償を支払う場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは職務発明規程その他の社内規程を制定しており、役員及び従業員等の職務発明等の譲渡を受ける体制を整えておりますが、特許法等の定めにより、それらの譲渡を受けるに当たっては「相当の対価」を支払う必要があるとされています。これまで発明者等との間で問題は生じておりませんが、将来において発明者等との間で対価についての紛争が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループが日本及びその他の国において出願した知的財産が拒絶査定により登録されなかった場合、又は競業他社が先んじて出願し権利を取得した場合には、当社グループが当該知的財産について法的保護を受けることができない状況、又は当該知的財産を使用できない状況となり、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
また、製品の開発及び製造等の当社の事業活動において、他社の知的財産を利用する必要がある場合には、当該他社との交渉等を行いますが、他社から知的財産の利用の許諾を得られない場合、又は交渉の過程で想定を上回る利用料を提示された場合は、当社グループの事業活動に支障が生じ、又は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業活動に関するリスク
① 小規模組織及び少数の事業推進者への依存について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、従業員59名(臨時雇用者除く)の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっています。今後、業容拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針であります。
また、当社グループの事業活動は、経営者、各部門責任者及び特定の研究開発要員に強く依存するところがあります。特に、当社グループが製造販売を目指しているヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの主たる開発者であり、当社の取締役 最高技術責任者でもある澤芳樹大阪大学大学院医学系研究科名誉教授は、その経験、見識及び人脈等を含め当社グループの事業活動において非常に重要な役割を果たしています。そのため、常に優秀な人材の確保と育成、経験、見識及び人脈等の承継に努めてまいりますが、人材の確保や育成が順調に進まない場合、また人材の流出が発生した場合には、研究開発活動や製造活動等に遅延が生じるため、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。
② 特定の取引先への依存について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、2017年9月に第一三共株式会社と「共同研究開発契約」を締結し、心不全治療に用いるヒトiPS細胞由来心筋細胞製造法及びシート化技術の確立、製造販売承認申請に必要な非臨床及び臨床試験の実施、当該製品の製造販売承認の取得を目的とした共同研究開発を行ってまいりました。
これにより、当該共同研究開発に関して、当社グループは第一三共株式会社から研究開発費及び研究開発人員の受け入れを行うと共に、知的財産権等のライセンスの供与を受けております。
当社は、今後も第一三共株式会社とは良好な関係を維持し、共同研究開発等を継続していく方針でありますが、当社にとって不利な条件で契約が改定され又は契約が終了した場合には、研究開発活動の遅延、販売計画の未達等、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定団体への依存について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社は、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科の研究成果であるヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを再生医療等製品として製造及び販売することを目的として設立した企業であります。大阪大学とは、2016年9月に「共同研究講座設置契約書」を締結し、iPS細胞を用いた重症心不全治療の実用化に向け研究を進めてまいりました。現在においても大阪大学は、当社グループの研究開発活動において重要なパートナーであります。
また、当社グループが使用しているiPS細胞に直接関連する特許は、iPS細胞と同様、国立大学法人京都大学のiPS細胞研究所において確立されたものであり、同大学より当該特許権の実施許諾事業を任されているiPSアカデミアジャパン株式会社との間で特許ライセンスに係る契約をそれぞれ締結しております。
当社グループは、今後も大阪大学及びiPSアカデミアジャパン株式会社等とは良好な関係を維持し、共同研究開発等を継続していく方針でありますが、当社グループにとって不利な条件での契約改定又は契約が更新されなかった若しくは解除に至った場合には、研究開発活動の遅延等、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 風評被害の発生について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループや当社グループが属する業界に対する否定的な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づくか否かに関わらず、当社の社会的信用に影響を及ぼすため、売上高の減少や取引先との契約解消等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報管理について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループの事業において、研究又は開発途上の知見、技術、ノウハウ等は非常に重要な秘密情報であります。当社グループは、その流出リスクを軽減するため、役員及び従業員並びに取引先等への守秘義務の設定、並びにクラウドストレージサービスを利用しての細かいアクセス制限の設定や会社指定デバイス以外からの社内ネットワークへの接続の禁止等、秘密情報の管理体制の整備などに努めております。しかしながら、不正アクセス等により、当社グループの知見、技術、ノウハウ等が流出した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業運営においては、クラウドサービスなどを積極的に活用し、システムダウンリスクの低減に努めていますが、それらのクラウドサービスの障害、停止などにより、当社グループの業務が長時間にわたり中断した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 電力不足による研究開発活動及び生産活動の停滞について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、研究開発活動及び生産活動において、多数の電子機器や機械装置を使用しております。当社グループは重要な原材料の分散保管や施設での緊急時の電力確保等、その対応に努めておりますが、電力不足による停電等が生じた場合には、当社グループの研究開発活動及び生産活動等、事業活動に支障が生じる可能性があります。
⑦ 大規模な自然災害又は感染症の流行の発生について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループの事業拠点の周辺地域において大規模な自然災害や感染症の流行等が発生した場合、当社は従業員及び関係者等の安全を最優先に考え事業運営を行います。当社は重要な原材料の分散保管や施設での緊急時の電力確保等、その対応に努めておりますが、施設や設備機器の損壊、サプライチェーンの分断による長期間の原材料の供給不足や高騰、出荷の停滞、従業員の就労不能等が発生する場合には、当社の継続的な事業活動に支障が生じ、また代替品の調達や施設等の修補のために追加費用が生じるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 戦争等の発生による原材料及び資材の不足及び入手困難について
(発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、研究開発活動及び生産活動に使用するヒトiPS細胞については当面必要となる量を既に確保しておりますが、原材料及び資材については、日本国外で製造されるもの又は日本国外の原材料を使用して製造されるものがあります。そのため、戦争、紛争等による製造施設の破壊、取引の禁止、物流の停滞、価格の高騰等が発生した場合には、当社グループの研究開発活動及び生産活動等の事業活動に支障が生じ、又は経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 業績・財政状態に関するリスク
① 損失計上と資金繰りについて
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
当社グループは、現状、第三者割当増資による資金調達や、共同研究開発のパートナー企業からの共同研究開発費を受領しており、資金繰りを維持できております。
しかし、当社グループは、研究開発型の企業であり、研究開発にかかる先行投資として長期にわたり多額の資金を必要とするため、その費用負担により当期純損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。また一方で、当社はCDMO事業を開始したものの、現状では黒字化を達成するほどの安定的な収益源を獲得するには至っておりません。
このため、当社グループは、製品が上市し、安定的な収益源を確保するまでの期間においては、必要に応じて適切な時期に増資等を含めた資金調達等を実施する可能性がありますが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社グループの事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
② 固定資産の減損について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
当社グループは、自社研究施設を兼ね備えた商業用細胞培養加工施設を設置したこと等による固定資産を多額に計上しております。保有する固定資産については、固定資産の減損に係る会計基準等に従い、減損の兆候が見られる場合には、将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識の要否を検討しております。
現時点で固定資産の回収可能性に問題はないと判断しておりますが、経営環境の悪化等により、保有する固定資産から十分な将来キャッシュ・フローを生み出せないと判断した場合には、減損損失を認識することになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 株式価値の希薄化について
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社グループは、業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、当社グループの役員及び従業員等に対し新株予約権を発行しております。新株予約権が行使された場合には、発行済株式総数が増加し、株式価値が希薄化することとなります。ただし、第1回新株予約権は、契約上ノックアウト条項が付されており、当社の株価が所定の株価を終値ベースで一日でも下回った場合には消滅します。新株予約権の内容及び本書提出日の前月末現在における未行使残高は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況 ① ストックオプション制度の内容」をご参照ください。
さらに、当社グループは、研究開発型の成長企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、新株発行による増資を中心とした資金調達、及び人材確保のための新株予約権発行を機動的に実施していく可能性があります。
これらの新株発行及び新株予約権発行により、当社グループの1株当たり株式価値が希薄化する可能性があります。
④ 配当政策について
(発生可能性:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
当社は、設立以来、株主に対する配当実績はありません。また、今後についても、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針です。しかしながら、株主への利益還元は当社の重要な経営課題であると認識しており、積極的な投資による企業価値の向上を通じて、将来において十分なキャッシュを獲得した時点で、経営成績、財政状態及び更なる投資による企業価値向上との比較結果等を勘案しつつ、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。現時点において、配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。
配当政策
3【配当政策】
当社は、設立以来配当を実施しておりません。また、今後も積極的な研究開発活動や製造・品質管理体制の構築等を実施していくため、当面は配当を実施せず、資金の留保を優先する方針であります。内部留保資金につきましては、研究開発活動、設備投資、優秀な人材の採用等の資金や、今後予想される経営環境の変化に対応するための資金として、有効に活用していく方針であります。
しかしながら、株主への利益還元については重要な経営課題と認識しております。将来において十分な資金を獲得した時点で、経営成績、財政状態及び更なる投資による企業価値向上との比較結果等を勘案しつつ、配当による利益還元の実施を検討したいと考えておりますが、配当実施の可能性及びその実施時期については、現時点において未定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合には、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。