2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,888名(単体) 34,363名(連結)
  • 平均年齢
    46.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    20.7年(単体)
  • 平均年収
    8,441,281円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    2.7%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

 少子高齢化による生産人口の減少やAI/ロボティクスをはじめとしたデジタル技術の進化、持続可能社会の要請の一方で急速に高まる地政学リスクといったマクロ環境の中、当社は、「Imaging to the people」という経営ビジョンを掲げ、ROE8%を実現するための経営戦略を中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」にて打ち出しております。この実現のために従業員一人ひとりが、社内外の全てのステークホルダーと共創し、“コニカミノルタならでは”の価値を提供していく姿を目指し、「自ら学び続け、事業の壁・地域の壁を越え、結果にこだわり続ける人財」を創る人財育成方針と「多様性を武器にし、相互に切磋琢磨し、挑戦し続ける文化」を創る社内環境整備方針を掲げております(詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております)。

 上述のとおり、人財は経営戦略の達成における重要な資本であるとの認識のもと、人財育成への投資に加え、従業員給与やその他の給付の額・内容については、事業の成長性や収益力の状況、外部労働市場環境等を踏まえ、従業員のモチベーションの維持・向上及び人財獲得における競争力の確保の観点から、適正な水準となるよう設定しております。

 

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

2026年3月31日現在

 

セグメントの名称

従業員数(人)(注1)

デジタルワークプレイス事業

27,929

プロフェッショナルプリント事業

インダストリー事業

2,878

画像ソリューション事業

2,236

報告セグメント計

33,043

その他

561

全社(共通)

759

合計

34,363

(注1)従業員数は就業人員数であります。

(注2)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、総じて同一の従業員が両事業に従事しております。

(注3)当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。

 

 

②提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

(注1)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)(注2)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

3,888

46.4

20.7

8,441,281

2.7

 

セグメントの名称

従業員数(人)(注1)

デジタルワークプレイス事業

1,656

プロフェッショナルプリント事業

インダストリー事業

988

画像ソリューション事業

480

 報告セグメント計

3,124

全社(共通)

764

合計

3,888

(注1)従業員数は就業人員数であります。

(注2)平均年間給与は、賞与及び基準外賃金が含まれております。

(注3)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、総じて同一の従業員が両事業に従事しております。

(注4)当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。

 

③労働組合の状況

 当社においては、コニカミノルタ労働組合があり、一部の子会社においても労働組合が組織されております。いずれの労働組合に関しましても、労使関係は良好であります。

 コニカミノルタ労働組合は、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しております。労使間には労働協約が締結されており、労使における経営協議会を通じて円滑な意思疎通が図られております。2026年3月31日現在の組合員数は、3,534名であります。

 

④管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

1)提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

12.0

86.2

79.5

79.0

85.1

(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 

2)連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%) (注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

コニカミノルタジャパン㈱

7.2

77.1

84.9

84.4

106.7

コニカミノルタメカトロニクス㈱

5.4

100.0

74.1

76.9

75.6

キンコーズ・ジャパン㈱

11.6

60.0

67.4

76.7

80.2

㈱コニカミノルタサプライズ

8.7

80.0

92.7

93.9

96.9

コニカミノルタテクノプロダクト㈱

4.8

(注3)

81.1

77.7

66.7

コニカミノルタIJプロダクト㈱

0.0

(注3)

77.8

81.1

50.8

コニカミノルタプラネタリウム㈱

17.6

100.0

61.7

85.8

80.8

コニカミノルタコネクト㈱

0.0

66.7

95.7

80.5

90.8

コニカミノルタウイズユー㈱

33.3

(注3)

111.4

113.1

71.4

コニカミノルタ情報システム㈱

3.8

(注3)

81.3

78.7

112.8

(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

(注3)当連結会計年度において、配偶者が出産した男性労働者がいないため、算出対象外としております。

 

[女性活躍推進の取組について]

 当社グループはグローバルで女性従業員が約3割を占め、エグゼンプト(当社における管理職の呼称)における女性比率を戦略的に高めるべく、2030年度に当社グループ26%以上、当社18%以上という目標を定め、この目標に向け、様々な施策を実行しております。こうした活動を通じて、着実にエグゼンプトにおける女性比率は高まっており、2025年度末に当社グループでは19.8%、当社においては12.2%に達しており、競合他社の4~9%台の数値と比較しても高い数値となっております。

 例えば当社では、技術系中心の新卒採用において女性比率が30%以上となるよう積極的な女性採用施策を継続しており、エグゼンプトへのプール人財を補強するための採用強化等を行っております。

 また、女性リーダーのパイプライン強化のために、国内では2021年度より、エグゼンプト一歩手前の女性従業員に向けて、エグゼンプト登用を見据えた計画的な育成とリーダーシップを発揮するための力を身に付けるための研修を実施しております。これまでの経験を棚卸し経験やスキルの不足を見定めることで、エグゼンプト登用とその先の活躍を含めた成長につながる役割付与や能力開発を計画的に行っております。さらに、2025年度からは、女性エグゼンプト層を対象とした交流会を開始し、外部講師による講演や参加者同士の対話を通じ、エグゼンプト同士がつながり、相互に支え合い高め合う関係性の構築を促しています。こうした取り組みを通じて、キャリア形成における人的ネットワークの拡充や、組織を超えた連携力・リーダーシップ発揮の向上につなげ、多様な人財が能力を発揮できる基盤づくりの一環として継続的に推進してまいります。

 グローバルでは、2023年に当社が開始した次世代リーダー育成を目的とする「Women 2 Lead プログラム」を継続的に実施しております。これまでに3期・累計38名が本プログラムを修了しており、修了者の一部ではすでに昇格や役割拡大等キャリアアップにつながる成果が見られております。2025年には、人財開発コンサルティング会社Brandon Hall Group(米国フロリダ州)の主催する「第 33 回Human Capital Management (HCM) Excellence Awards」における「女性のリーダーシップ開発部門」で金賞を、シンガポールでもHuman Resources Online(HRM Asia)が主催する「HR Excellence Awards 2025」にて「Excellence in Championing Women Leaders部門」金賞を受賞いたしました。

 今後は当社グループ全体でさらに活動を進化させるべく体制を強化し、グローバル視点での方針策定や取組の統合・推進を行うと同時に、女性活躍における現場の課題に丁寧に向き合い、継続的に働きかけを行ってまいります。

(注)当社グループの女性管理職比率は、当社及び国内連結子会社並びに200名以上の海外連結子会社の主要な約50社を集計したものです。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方 ―中長期の成長に向けて

 当社グループの考えるサステナビリティとは、「事業によって社会・環境の課題を解決することで持続可能な社会の実現に貢献し会社が成長していくこと」です。すなわち、社会・環境課題の解決を経済合理性のある事業として推進することが、当社グループの持続的成長につながると考えております。

 この考えに基づき、2020年には、10年後の2030年のあるべき「持続可能な社会」の姿を見据えて、取締役会の決議を経て長期経営ビジョンを策定し、当社グループが向き合うべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

また、中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」においては、独自のコア技術をベースにAIを組み合わせ、既存領域に加えて成長領域である循環経済(CE)/脱炭素(GX)、人/産業の能力拡張へ貢献する姿を具体化しております。

 

① 長期経営ビジョン-2030年の社会と当社グループの存在意義

 当社グループは2020年に2030年の社会を考察し、世界人口の構造変化、デジタル革命の進行、バイオテクノロジーの産業利用拡大、世界構造の多極化、気候変動・温暖化の潮流から、「組織や個人が、爆発的に増加するデータを活用して多様な価値を創造し、持続的に発展する自律分散型の社会」が訪れると考えました。このような社会においては、組織や個人が求める豊かさが個別化・多様化し、それらの充足ニーズが高まる一方、資源不足や気候変動による影響、社会保障費の増大、雇用や創造への機会格差といった課題の解決が求められます。

 この世界観のもと、当社グループは独自のイメージング技術を中心として、ニーズと課題のトレードオフを解消し、「人間中心の生きがい追求」と「持続的な社会の実現」とを高次に両立することが当社グループの存在意義であると結論付け、「Imaging to the People」という長期の経営ビジョンステートメントに集約しました。

 当社グループ発足以来不変の「経営理念」の下、価値創造の源泉としての企業文化・風土である「6つのバリュー」を基盤に経営ビジョンステートメント「Imaging to the People」の実現を目指しております。

 

 

② 価値創造プロセス

 当社グループは自社が向き合うべき重要課題として、「働きがい向上および企業活性化」、「健康で質の高い生活の実現」、「社会における安全・安心確保」、「気候変動への対応」及び「有限な資源の有効活用」の5つをマテリアリティとして2020年に特定しました。

 2030年に想定される社会課題からバックキャストして「今なすべきこと」を定め、当社グループの強みである無形資産(顧客関係、技術の融合、多様な人財)を融合させながら、4つの事業群を通じた顧客との共創により顧客価値を生み出しています。その結果として生まれる経済価値(キャッシュ・フロー)を再投資し、環境・社会課題解決のインパクトをさらに拡大していく。このサイクルを回し続けることが、当社グループの価値創造の考え方です。

この価値創造プロセスを支える中核となる3つの無形資産は次のとおりです。

 

③持続的な価値創造を支える無形資産

 次の3つの無形資産は当社グループが継続的に価値を生み出すための源泉となるものです。

●顧客関係

 当社グループは長年にわたり事業活動を通じて世界各地で顧客との関係性を築いてきました。デジタルワークプレイス事業では、オフィス事業で培ったグローバルな顧客基盤からの知見を活かすとともに、オフィスや病院、物流、製造、教育といった様々な業種・業態における現場の課題に向き合い、顧客のワークフロー改革や価値創造を支援することで、顧客との関係性をより強固なものとしております。インダストリー事業では、業界をリードする先進的な顧客との長期的な関係性に基づき、時代の先を行く技術の実用化やバリューチェーンの変革等、当社グループが社会に大きな価値を提供する機会につなげております。

●技術の融合

 当社グループが根源的に持つ強みは、創業以来150年にわたり培ってきた4つのコア技術(材料・光学・画像・微細加工)です。これまで長い歴史の中で、複数のコア技術を融合することで新たな事業を創出してまいりました。プロフェッショナルプリント事業のデジタル印刷機に対する自動品質最適化ユニット「IQ-601」の搭載はその一例で、「光学」、「画像」、「微細加工」を組み合わせ、印刷作業の自動化によるワークフロー改革を実現しております。さらに、当社グループでは、コア技術とAI 技術の組み合わせによる新材料やセンシング技術の開発等、コア技術をさらに高度化させる取組も進めております。今後も、循環経済(CE)/脱炭素(GX)、人/産業の能力拡張といった成長領域において、当社グループのコア技術の強みを生かした技術開発を進めてまいります。

●多様な人財

 当社グループでは、グローバルに広がる多様な人財を強みとし、「自ら学び、事業の壁・地域の壁を越え、結果にこだわり続ける人財」が「多様性を武器とし相互に切磋琢磨し挑戦し続ける文化」の中で、最大限の力を発揮することを目指しています。そしてこれらの人財に対する取組は従業員のエンゲージメントに現れると考えており、「Your Voice」と名付けたグローバルサーベイを毎年実施しスコア化することで、更なる改善に向けて経営と各職場、また各職場内での対話を促進する活動をグローバルに推進しております。

 

(2)ガバナンス <サステナビリティ関連のリスク・機会を監視及び管理するしくみ(プロセス・統制・手続き)>

 当社グループでは、取締役である代表執行役社長がサステナビリティマネジメント全体についての最高責任と権限を有し、その有効性について責任を担っております。代表執行役社長のもと、各サステナビリティ課題を担当する役員がグループ全体のサステナビリティマネジメントを推進しております。

 重要なサステナビリティ課題に関する議論や意思決定は、ほかの重要な経営課題と同様に、社長及び執行役・執行役員が参加する経営審議会その他の会議体の場で行っております。

 各サステナビリティ課題に関する中期経営計画は、担当する役員が策定し、会社全体の経営計画としてとりまとめ、経営審議会その他会議体での審議・承認を経て、取締役会の承認を得ます。またマテリアリティについても、中期経営計画の策定プロセスの中で、経営企画を担当する役員を中心に各サステナビリティ課題を担当する役員がリスクの変化度合いを見直すローリングを行い、必要に応じて見直しを行い、経営審議会その他の会議体での審議・承認のうえ、取締役会の承認を得ております。

 各サステナビリティ課題を担当する役員は、サステナビリティに関する中期計画を検討・推進する機関として、必要に応じて「推進会議」を設定しております。例えば、環境に関する中期計画を検討・推進する機関として「環境推進会議」を設定しております。経営企画部長が議長となり、各事業部門やコーポレート部門等の各組織長に任命された推進責任者が参加し、環境に関する中期計画、年度計画の審議、四半期ごとの進捗状況の確認やグループの環境課題に関する検討を行っております。

 

(3)リスク管理 <サステナビリティ関連のリスク・機会を識別・評価・管理するプロセス>

〔リスク管理プロセス〕

 当社グループは、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付け、サステナビリティの視点を含め中長期的にリスクを評価しております。これら短期・中期のリスクを含む全リスクはリスクマネジメント委員会において管理しております。

 当社グループのリスクマネジメント体制の詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照ください。

 特に、サステナビリティ関連の中長期のリスクは、マテリアリティをマネジメントするプロセスの一環として継続的に監視し、必要に応じてマテリアリティの改訂に反映させております。具体的には、中期経営計画の策定プロセスの中で、経営企画を担当する役員を中心に各サステナビリティ課題を担当する役員がリスクの変化度合いに基づいて、必要に応じて見直すことで、その妥当性を継続的に担保しております。

 

〔マテリアリティの特定プロセス〕

当社グループが取り組むべき経営課題として特定したマテリアリティは、リスクと機会の両面を含むものです。当社グループでは2020年に、10年後の2030年にあるべき「持続可能な社会」の姿を見据えて、社会・環境課題が当社グループに与える影響をリスクと機会の観点から評価し、「5つのマテリアリティ」を特定しました。その際のプロセスは次のとおりです。

 

STEP1:課題のリストアップ

 GRIスタンダードやSDGs、SASB等の国際的なフレームワークやガイドライン、各専門分野のマクロトレンド等を参照しながら環境・社会・経済面での課題を広範囲にリストアップしました。ストックホルム・レジリエンス・センターの「SDGsウェディングケーキモデル」をベースとし、「ECONOMY(経済)」「SOCIETY(社会)」「BIOSPHERE(環境)」の関係性を念頭に置きながら、課題を抽出しました。抽出にあたっては、当社グループが関連する、あるいは関連する可能性がある事業領域、そのサプライチェーン/バリューチェーンを範囲として、社会・環境変化や規制・政策動向、ステークホルダーからの要請事項等を考慮して進めております。

 

STEP2:課題の抽出と重要度評価

 リストアップした課題の中から、特に当社グループに関連性の高い分野を抽出したうえで、マテリアリティ分析(重要度評価)を行いました。当社グループのマテリアリティ分析は、リスクと機会の側面をそれぞれ評価している点に特徴があります。リスクと機会をそれぞれ評価することで、SDGsを進めるにあたり、企業に期待されている「社会課題を機会と捉えビジネスを通じて解決することで事業成長を図る」ことを実践しております。マテリアリティ分析は、それぞれ「ステークホルダーにとっての重要度(顧客、取引先、株主・投資家、従業員等)」と「事業にとっての重要度(財務的な影響度)」の2軸で5段階評価し、優先順位を付けました。

 

STEP3:妥当性確認、特定

 経営企画を担当する役員は、これらのマテリアリティの評価プロセス及び評価結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを特定しております。特定したマテリアリティは、経営層による審議のうえ、取締役会による承認を受けております。またマテリアリティを定期的にレビューし、必要に応じて見直すことにより、その妥当性を担保してまいります。

 

(4)戦略 <重要なサステナビリティ課題と、関連するリスク及び機会>

 当社グループの各事業は、5つのマテリアリティに関するリスク及び機会をふまえた価値創造に取り組んでおり、社会・環境の課題を解決することで持続可能な社会の実現に貢献するとともに、事業が成長していくことを追求しております。例えば、インダストリー事業では、製造現場での熟練工不足という課題に対して検査工程の自動化・省人化を支援することで、「働きがい向上および企業活性化」への貢献と同時に当社グループの売上成長をけん引しております。また、プロフェッショナルプリント事業では、顧客のサプライチェーン変革を通じた廃棄・中間材の削減という「気候変動への対応」「有限な資源の有効利用」の課題解決が、競合との差別化と顧客深耕による収益につながっております。さらに画像ソリューション事業においてはイメージング技術と医療ITを組み合わせた早期診断・早期発見への支援が「健康で質の高い生活の実現」という社会的需要に応えると同時に、事業の成長エンジンとなっております。

 

 当連結会計年度におけるマテリアリティごとのリスク・機会、関連するセグメントは次の表のとおりです。

 

マテリアリティ

社会・環境課題

(2030年想定)

リスク

機会

関連するセグメント

働きがい向上および企業活性化

デジタル格差

人手不足の解消

雇用や創造への機会格差

エンゲージメントを重視した環境づくりの停滞による、従業員の自律性、イノベーション力の低下

ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客の生産性の向上と創造的な業務へのシフトを支援

 

人が担ってきた「見る・判断する・調整する」能力を、拡張・継承する新たな産業の基盤を提供

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

画像ソリューション事業

健康で質の高い生活の実現

医療や介護の持続性が低下

医療アクセスの制限

社会保障費抑制

イメージングと医療ITサービスによる早期診断、医療費抑制、QOLの向上への貢献

画像ソリューション事業

社会における安全・安心確保

設備老朽化等による労働災害発生のリスク

製品・サービスに起因する重大事故による企業や社会における損害の発生

工場や設備の監視を非接触・遠隔で実現するソリューションを通じた企業や社会の安全・安心の確保

 

高度な計測・検査による顧客の製品・サービスの品質確保

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

画像ソリューション事業

気候変動への対応

脱炭素社会への移行による変化への適応

気候変動による社会・経済・生態系への影響

持続可能なエネルギーへの転換遅れによる競争力低下

プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換の遅れ

異常気象によるサプライチェーンの寸断

ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客企業や社会におけるエネルギー・CO2負荷低減

 

新材料・新エネルギー・新プロセスを産業として成立させる計測/検査技術・部材を提供

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

有限な資源の有効利用

循環型社会への移行による変化への適応

資源枯渇による社会・経済・生態系への影響

持続可能な原料への転換遅れによる競争力低下

資源不足による部材コストアップと供給不安定化

ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客企業や社会における資源の消費抑制・資源の有効利用

 

新材料・新エネルギー・新プロセスを産業として成立させる計測/検査技術・部材を提供

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

 

(5)指標と目標

 当社グループでは、5つのマテリアリティについて当社グループ全体で取組を進めております。その中で特に重要となる指標については、経営指標の非財務目標として設定し、経営全体で推進を行っております。

 

経営指標 非財務目標の状況

マテリアリティ

指標

2025年度目標

2025年度実績

働きがい向上および企業活性化

従業員エンゲージメントスコア

業界平均値以上

(7.3)

7.1

気候変動への対応

製品ライフサイクルCO2排出量

80万トン以下

70万トン

CO2の削減貢献量

80万トン以上

112万トン

 それぞれの指標に対する状況及び対応については、後述の「(6)重要なサステナビリティ課題への取組及び指標 ①気候変動 及び ③人的資本」を参照下さい。

 

(6)重要なサステナビリティ課題への取組及び指標

① 気候変動

 当社グループの環境経営は、「環境課題を解決していくことで、事業を成長させ、さらには新しい事業を創出していくこと」をコンセプトとし、社会から必要とされる会社になることを目指しております。自社責任範囲と定められる製品ライフサイクルCO2排出量(スコープ1,2,3)(注)において「2050年にネットゼロ(注)」を目指す長期の目標を設定し気候変動リスクに対処しております。また、社会・顧客の移行計画の実現に資するサービスやソリューションを提供することを事業の機会と捉え、CO2削減貢献量(注)の拡大を目指しております。環境価値及び財務価値の双方の目標を設定して中期経営計画へ組み入れ、経営指標として目標達成を推進することで脱炭素化の効果を最大化するとともに、当社グループとステークホルダーの結びつきを広げ、ともに事業成長していくことを目指しております。

 

(注)スコープ1:燃料の使用等を通じて企業が「直接排出」する排出量

スコープ2:他社から供給された電気、熱、蒸気を使用したことによる「間接排出」の排出量

スコープ3:スコープ1,2以外の、原料調達・物流・製品使用等バリューチェーンで発生する自社の事業活動に関連した排出量

ネットゼロ:温室効果ガス排出量の削減を優先的に実施しつつ、削減困難な残余排出量について吸収・除去等を組み合わせることにより、排出量全体を実質ゼロとする概念

CO2削減貢献量:スコープ1、2、3以外で、当社製品・ソリューションの提供によって社会・顧客先にて削減することができたCO2削減量(当社製品を提供しなかった場合の市場平均代替手段と比較)

 

〔ガバナンス〕 気候関連のリスク及び機会に係る組織のガバナンス

 当社グループでは、気候変動への対応をサステナビリティマネジメントの管理対象の一つと位置付けており、主要な目標値の設定や変更等の意思決定は、取締役会の承認を得て実施しております。具体的には、2008年、2017年、2020年、2023年に取締役会で目標値の設定や変更の承認を実施しております。2026年3月には、2026年度からの中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」においても同様に取締役会で承認され、新たな気候変動目標を定め取組を開始いたします。

 サステナビリティマネジメント体制については、「(2)ガバナンス <サステナビリティ関連のリスク・機会を監視及び管理するしくみ(プロセス・統制・手続き)>」に記載しております。

 

 

〔戦略〕 気候関連のリスク及び機会に係る組織の事業・戦略・財務に対する影響

 当社グループは気候変動リスクに対処するため、前述のように自社責任範囲と定められる製品ライフサイクルCO2排出量(スコープ1,2,3)において「2050年にネットゼロ」を目指す長期の目標を設定しております。気候変動に起因するリスクを事業リスクに融合し、気候変動対策にかかわる中期目標及び年度計画を、製品の企画・開発、生産・調達、販売等の事業中期計画と連動させることで、ビジネスを通じて目標の達成を目指しております。

 また機会の観点では、顧客企業や社会におけるエネルギー・CO2削減への貢献度を高め事業成長を図ることを目指しております。創業以来各事業が育ててきたコア技術を、AI活用と事業領域を跨ぐ技術融合で“進化したコア技術群”として強化し、ワークフロー、サプライチェーンの変革によるエネルギー・CO2削減での貢献度を高め、インダストリー事業の成長と、社会に必要とされる企業となるための事業創出を進めてまいります。

 

<気候変動シナリオ分析の実施と結果>

 当社グループでは、気温上昇が2℃以下(1.5℃相当)に抑えられ、世界全体が低炭素社会へ移行した場合と、気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合の2つのシナリオを想定し、2030年時点で当社グループの業績に影響を及ぼす事業リスクと、気候変動における課題の解決に先手を打って対応することで創出できる事業機会を、それぞれ特定しております。

 シナリオ分析を行う際の枠組みとして、気候変動シナリオ分析の対象事業分野の特定、重要な気候関連リスク及び機会の特定、気候変動に関する既存の科学的シナリオの検討、シナリオに対するリスク及び機会とその財務影響の検討と明確化、今後の対応の方針・戦略の検討のプロセスを経て実施しております。

 

●気温上昇が2℃以下(1.5℃相当)に抑えられ、世界全体が低炭素社会へ移行した場合

 

気候変動の「リスク」への対処

当社グループへの影響

対象セグメント

分類

財務影響

時間軸

対処

調達・製造コストの増加

ネットゼロ、再エネ化対応の遅れ

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

市場

評判

短期

生産・研究開発・販売拠点における再生可能エネルギー由来電力の導入

当社拠点の排出規制・化石燃料の代替化の必要性

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

政策・法律

中~長期

CO2フリー燃料・CCS等の導入検討、生産設備の電化、省エネ生産技術開発

製品開発コストの増加

製品の環境性能の向上と情報開示への対応

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

政策・法律

市場

短~中期

環境ラベル・製品規制の新基準要件への準拠、顧客調達要件への対応

製品サービスの需要変化による売上減少

森林資源の減少にともなう保護規制・紙需要の減少

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

市場

中~長期

プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換

 

 

気候変動の「機会」

当社グループへの影響

対象セグメント

分類

財務効果

時間軸

製品サービスの需要変化による売上増加

商業/産業印刷サプライチェーンを変革するデジタルソリューション

プロフェッショナルプリント事業

製品/サービス

短~中期

低カーボンフットプリント製品・サービスの提供、循環社会における材料種判別の高度化技術、オンデマンド生産プロセスの提供による製造工程効率化、次世代エネルギーの実装を支える品質検査技術・高耐久材料の適用拡大、半導体量産工程における安定稼働と生産性向上

インダストリー事業

製品/サービス

短~中期

調達・製造コストの減少

当社拠点におけるエネルギー生産性向上(スコープ1,2削減)

インダストリー事業

エネルギー

短期

製品サービスの付加価値向上による売上増加

再生可能エネルギーによる製品生産(スコープ2削減)

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

エネルギー

短期

循環資源を活用した製品の拡大(スコープ3)

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

エネルギー

資源効率

短~中期

 

●気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合

 

気候変動の「リスク」への対処

当社グループへの影響

対象セグメント

分類

財務影響

時間軸

対処

生産能力減少による収益減

気候影響による天然資源の調達不安定化

インダストリー事業

慢性物理

長期

特定の自然資源に依存しない製品設計と開発

大規模気候災害によるサプライチェーン分断

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

急性物理

中期

事業継続管理(BCM)の構築、消耗材の域別分散生産及び供給

 

気候変動の「機会」

当社グループへの影響

対象セグメント

分類

財務効果

時間軸

製品サービスの需要変化による売上増加

異常気象・自然災害への防災・減災に貢献する画像ソリューション、災害医療現場で画像診断を活用したヘルスケアソリューション

画像ソリューション事業

製品/サービス

中期

 

 

「対象セグメント」

セグメント

インダストリー事業、デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、画像ソリューション事業

リスクと機会の「分類」

移行リスク

政策・法律、技術、市場、評判

物理的リスク

急性物理、慢性物理

機会

資源効率、エネルギー、製品/サービス、市場、レジリエンス

「財務影響」の定義と評価基準

追加コスト又は利益減少 10億円以上

追加コスト又は利益減少 1億円以上~10億円未満

追加コスト又は利益減少 1億円未満

「財務効果」の定義と評価基準

利益創出 100億円以上

利益創出 10億円以上~100億円未満

利益創出 10億円未満

「時間軸」の定義と評価基準

長期

10年以上

中期

3年以上~10年未満

短期

1年以上~3年未満

使用した科学的シナリオ

気温上昇が2℃以下(1.5℃相当)に抑えられ、世界全体が低炭素社会へ移行した場合

IPCC RCP2.6シナリオ、IEA NZE 2050シナリオ

気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合

IPCC RCP8.5シナリオ、IEA CPSシナリオ

シナリオ分析の評価時期

評価時期

2026年3月

 

〔リスク管理〕 気候関連のリスクを識別・評価・管理するために用いるプロセス

 当社は、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付け、中長期的な視点でリスクを評価しております。気候変動を含む環境リスクは、中長期的な観点から、「気温上昇が2℃以下(1.5℃相当)に抑えられ、低炭素社会へ移行した場合」と「気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合」の2つのシナリオで気候変動リスクの影響度と不確実性を評価し、管理しております。またこの環境リスクをグループ全体の経営リスクの一つとして位置付け、リスクマネジメント委員会において管理しております。

 気候変動への対応に関する計画や施策について、四半期ごとにグループ環境推進会議において審議するほか、リスクの変化の確認を同会議にて毎年2回行い、リスクを再評価しております。計画の進捗状況については、代表執行役社長のもと任命されたグループ環境責任者から代表執行役社長に毎月報告されております。また重要な環境課題についても、グループ環境責任者から経営審議会その他の会議体、リスクマネジメント委員会等に報告されております。取締役会では、気候変動への対応に関する経営計画の進捗について定期的に報告を受け、その執行状況を監督しております。

 なお、当社のリスク管理体制・リスクマネジメントプロセスの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

〔指標と目標〕気候関連のリスク及び機会を評価・管理するために使用する指標と目標

■中期経営計画(2023-2025)までの指標と目標

 当社グループでは、気候変動のリスクと機会を管理する指標として「カーボンマイナス」、「製品ライフサイクルCO2排出量」(スコープ1,2,3)、「再生可能エネルギー由来電力比率」に加え「CO2削減貢献量(スコープ1,2,3以外での削減)」を定めております。

 「カーボンマイナス」においては、当社グループの製品ライフサイクルの範囲外において、私たちが排出するCO2(製品ライフサイクルCO2排出量)よりも多くの排出削減貢献(CO2削減貢献量)を社会・顧客で創出する、「カーボンマイナス」の状態を2025年度末までに実現する目標に対し、2025年度は製品ライフサイクルCO2排出量が70万トン、削減貢献量は112万トンとなり目標を達成しました。「製品ライフサイクルCO2排出量」は、スコープ1,2の全てと、主要なスコープ3(調達段階、物流段階、製品使用段階のCO2排出量)を含めております。2025年度末までに2005年度比で61%削減(80万トン)する目標に対し、2025年度は66%削減(70万トン)で目標を達成しました。

 当社グループではCO2排出量(スコープ1、スコープ2、一部のスコープ3)を含む各非財務実績について、各年度に「環境/社会データ」にて第三者保証を受けており、妥当性を担保しております。なお2025年度のデータは第三者保証を取得予定です。

◆製品ライフサイクルCO2排出量削減の推移と目標

2005年度比

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

2025年度

目標

2030年度

目標

2050年度

目標

製品ライフサイクルCO2排出量

(スコープ1,2,3)

57%削減

(88万トン)(注)

62%削減

(79万トン)(注)

62%削減

(78万トン)

66%削減

(70万トン)

61%削減

(80万トン)

70%削減
(62万トン)

ネットゼロ

◆直近のCO2排出量の内訳

実績

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

スコープ1

15万トン

15万トン

15万トン

15万トン

スコープ2

15万トン

14万トン

12万トン

8万トン

主要なスコープ3

58万トン(注)

51万トン(注)

51万トン

47万トン

合計

88万トン(注)

79万トン(注)

78万トン

70万トン

(注)2022年度及び2023年度のスコープ3排出量において、これまで当社グループが未算定であった活動を認識し、その活動は今後も継続するため、算定範囲を見直すことで、CO2排出量の精度向上を図りました。

 

 「再生可能エネルギー由来電力比率」では、化石燃料を利用できなくなる将来予測を踏まえ、当社グループの事業活動で使用する電力における再生可能エネルギー由来の割合を、中期的には2030年までに50%以上に高め、2050年までに100%にする目標を設定しており、スコープ2の排出削減に寄与します。再生可能エネルギー由来電力比率は、日本の生産拠点及び研究開発拠点における再エネ電力使用の本格稼働により、2024年度の20.7%から2025年度は約40%程度まで高まりました。

 「CO2削減貢献量(スコープ1,2,3以外での削減)」では、アナログからデジタル印刷への作業工程変革による生産性向上を実現する産業用コンポーネント及びデジタルプリンター、電力消費量の多い光源を必要としないシネマ用プロジェクタレンズ、廃プラスチックの分別処理工程を画像分析に置き換えるハイパースペクトルイメージング等の販売拡大に取り組んでおります。その結果「CO2削減貢献量」は2025年度の目標80万トンに対して実績は112万トンでした。

 

■中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」での指標と目標

 2026年度から始まる中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」では、2024年7月に認定を受けたSBTi目標に沿って、算定範囲の変更及び算定方法の見直しを行っております。算定範囲は、スコープ1,2及び主要なスコープ3(従来管理してきた調達段階、物流段階、製品使用段階に加え、製品廃棄段階)としています。算定方法は、国際的に標準化及び公開されている排出係数のデータソースへの統一を図り、活動による削減効果の算定プロセスの明確化と比較可能性の向上を目的に算定方法を変更しております。

 この変更により、2028年度末までに2018年度比で33%削減(98万トン)、中期的には2030年までに36%削減(94万トン)することを新たな目標として設定しております。尚、この変更は、SBTi目標(スコープ1,2及びスコープ3目標)の変更を行うものではありません。

 

◆新たな算定基準における製品ライフサイクルCO2排出量の実績と目標

実績

2018年度

(基準年度)

2025年度

2028年度目標

2030年度目標

2035年度目標

2050年度目標

スコープ1、2

33万トン

21万トン

45%削減

(18万トン)

51%削減

(16万トン)

72%削減

(9万トン)

ネットゼロ

主要なスコープ3

113万トン

78万トン

29%削減

(80万トン)

31%削減

(78万トン)

43%削減

(64万トン)

合計

146万トン

99万トン

33%削減

(98万トン)

36%削減

(94万トン)

50%削減

(73万トン)

 

 

② 自然資本

 当社グループでは、自然資本による事業への依存とインパクトの評価と、それに基づく機会とリスクへの対処に取り組んでいく姿勢を明確にするため、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD:Task Force on Nature-related Financial Disclosures)」の理念と提言に賛同しております。TNFDアーリーアダプター企業として登録するとともに、TNFDフォーラムへ加盟しております。自然資本の依存とインパクトの評価の結果、及び当社グループの対処をTNFDフレームワークに沿って開示いたします。

 

〔ガバナンス〕 自然関連のリスク及び機会にかかる組織のガバナンス

 当社グループでは、代表執行役社長が自然資本への対応を含む環境マネジメント全体についての最高責任と権限を有し、環境マネジメントの有効性について責任を担っております。そして代表執行役社長から任命されたグループ環境責任者が自然資本への対応を含む環境マネジメントを推進し、中期計画を作成するとともに、その進捗状況について、経営審議会その他会議及び取締役会へ定期的に報告し、経営課題として審議しています。主要な目標値の設定や変更等の意思決定は、取締役会の承認を得て実施しております。具体的には、2008年、2020年、2023年に取締役会で目標値の設定や変更の承認を実施しております。 サステナビリティマネジメント体制については、「(2)ガバナンス <サステナビリティ関連のリスク・機会を監視及び管理するしくみ(プロセス・統制・手続き)>」に記載しております。

 また自然関連の依存・インパクト、リスク・機会を評価・管理する際に考慮すべきステークホルダーの影響については、当社グループの人権方針、人権デュー・デリジェンスに沿って考慮しております。当社グループの人権方針、人権デュー・デリジェンスについては、「(6)重要なサステナビリティ課題への取組及び指標 ④ 人権」に記載しております。

 

〔戦略〕 自然関連のリスク及び機会にかかる組織の事業・戦略・財務に対する影響

 当社グループはマテリアリティの1つである「有限な資源の有効利用」について、長期ビジョンとして2050年の定量的な目標を設定しております。具体的には、地球資源(注)使用ゼロに向けて、自社製品における地球資源使用量を90%以上削減するとともに、自社製品以外での地球資源の削減貢献量を拡大していきます。自社製品やサービスの提供に使用する資源において、枯渇資源に該当する地球資源に依存しない事業形態へ変革し、事業活動を通じて企業価値を向上することを目指しております。これらの取組は、調達コストの安定化や製品競争力の維持・向上を通じて、当社グループの財務に影響を与えるものと認識しております。

 中期的に取り組む活動計画の具体化にあたっては、2023年に発表されたTNFDの提言内容を参照し、当社グループの事業における地球資源及び生物多様性への依存とインパクトを評価しております。TNFDが提唱する9つのグローバル中核指標の視点においてイシューを抽出して事業活動における自然への依存とインパクトを評価し、リスクと機会を特定しております。

(注)地球資源:原油や鉱物資源等の新たな採掘を伴う資源。一般に枯渇性資源と同義

TNFD中核指標

当社への影響

自然の変化要因

9つの中核指標

リスク

機会

依存

土地/淡水/海洋利用の変化

1 土地の総フットプリント

2 土地/淡水/海洋利用の変化の範囲

資源の利用

3 水ストレス地域からの取水・消費

・サプライチェーン:水ストレスが高い地域(東南アジア)でのサプライヤー操業停止・供給量低下

・捺染ドライプロセス:水ストレスが高い地域(インド、トルコ、イタリア)での水レス染色システム

4 土地/海洋/淡水から調達する高リスクの天然資源

・天然資源:環境汚染による規制化・気候影響にともなう調達不安定化

・紙:森林資源の減少にともなう保護規制・紙需要の減少

インパクト

汚染・汚染除去

5 土壌汚染

・化学物質規制・土壌汚染防止の強化による事業影響

・有害物質フリー技術:有害物質フリー製品の拡大

6 排水量

・インクジェット技術:オンデマンド生産プロセスの提供による製造工程効率化

7 廃棄物の発生と処分

・使用済み製品:循環型社会促進策等による製品へのリサイクル義務化

・プラスチック:循環型社会促進策等による製品への再生資源利用への要求

・枯渇資源:レアアース等の循環利用対応不足

・商業/産業印刷サプライチェーンを変革するデジタルソリューション

・循環社会における材料種判別の高度化技術

・循環資源を活用した製品の拡大

8 プラスチックによる汚染

9 非GHG大気汚染物質

<自然シナリオ分析の実施と結果>

 当社グループでは、2030年時点で業績に影響を及ぼす事業リスクと、課題解決に先手を打って対応することで創出できる事業機会を、それぞれ特定しております。政策強化により自然が保護・回復に向かう場合と、現行の延長で自然が劣化し続ける場合の2つのシナリオを想定し、リスクの発現あるいは機会獲得の可能性がある対象セグメント、分類、時間軸及び対処を、それぞれ特定しております。

 シナリオ分析を行う際の枠組みとして、自然シナリオ分析の対象事業分野の特定、重要な自然リスク及び機会の特定、自然に関するシナリオの検討、今後の対応の方針・戦略の検討のプロセスを経て実施しております。分析にあたっては、直接操業だけでなく、上流・下流における自然関連の依存・インパクトを含め、リスク・機会の特定・評価・優先順位付けを行っております。

 

●政策強化により自然が保護・回復に向かう場合

 

自然に関連する「リスク」への対処

当社グループへの依存と影響

自然の変化要因

対象セグメント

分類

時間軸

対処

調達・製造・製品コストの増加

循環型社会促進策等による製品への再生プラスチック資源利用への要求

インパクト

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

政策技術

短~中期

「最小化(Minimization)」

環境ラベル・製品規制の新基準要件への準拠、顧客調達要件への対応、材料技術による積極的な再生プラスチック利用拡大

製品開発コストの増加

使用済み製品のリサイクル義務化

インパクト

デジタルワークプレイス事業

政策

中期

「最小化(Minimization)」

製品の再製造・再使用体制/製品回収サプライチェーンの構築

製造・製品コストの増加

化学物質規制・土壌汚染防止の強化による事業影響

インパクト

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

政策

短~中期

「最小化(Minimization)」

早期規制動向の察知と予防的な製品開発、計画的な土壌浄化

調達コストの増加

枯渇資源の循環利用対応不足

依存

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

市場

中期

「最小化(Minimization)」

循環資源の積極的な活用と自社製品の循環利用促進

製品サービスの需要変化による売上減少

森林資源の減少にともなう保護規制・紙需要の減少

依存

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

政策市場

短~中期

「回避 (Avoidance)」

プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換

 

 

自然に関連する「機会」

当社グループへの影響

自然の変化要因

対象セグメント

分類

時間軸

ビジネスパフォーマンスに関わる機会

商業/産業印刷サプライチェーンを変革するデジタルソリューション

インパクト

プロフェッショナルプリント事業

製品/サービス

短~中期

循環社会における材料種判別の高度化技術

インパクト

インダストリー事業

製品/サービス

短~中期

オンデマンド生産プロセスの提供による製造工程効率化

インパクト

インダストリー事業

製品/サービス

短~中期

水ストレスが高い地域での水レス染色システム

依存

プロフェッショナルプリント事業

製品/サービス

短~中期

サステナビリティパフォーマンスに関わる機会

循環資源を活用した製品の拡大

インパクト

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

天然資源の持続可能な利用

中期

有害物質フリー製品の拡大

インパクト

インダストリー事業

生態系の保護・回復・再生

長期

 

●現行の延長で自然が劣化し続ける場合

 

自然に関連する「リスク」への対処

当社グループへの影響

自然の変化要因

対象セグメント

分類

時間軸

対処

生産能力減少による収益減

天然資源の環境汚染による規制化にともなう調達不安定化

依存

インダストリー事業

慢性物理

長期

「回避 (Avoidance)」

特定の天然資源に依存しない製品設計と開発

水ストレスの高い地域でのサプライヤー操業停止・供給量低下

依存

インダストリー事業

デジタルワークプレイス事業

プロフェッショナルプリント事業

慢性物理

長期

「最小化(Minimization)」

 生産・調達拠点の水リスク評価、水使用量の削減

 

自然に関連する「機会」

 なし

 

「対象セグメント」

セグメント

インダストリー事業、デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業、画像ソリューション事業

 

リスクと機会の「分類」

移行リスク

政策、市場、技術、評判、法的責任

物理的リスク

急性物理、慢性物理

システミックリスク

生態系不安定化、金融不安定化

ビジネスパフォーマンスに関わる機会

市場、資本の流れと資本調達、製品/サービス、資源効率、評判資本

サステナビリティパフォーマンスに関わる機会

天然資源の持続可能な利用、生態系の保護・回復・再生

「時間軸」の定義と評価基準

長期

10年以上

中期

3年以上~10年未満

短期

1年以上~3年未満

「自然の変化要因」

依存

土地の総フットプリント、土地/淡水/海洋利用の変化の範囲、水ストレス地域からの取水・消費、土地/海洋/淡水から調達する高リスクの天然資源

インパクト

土壌汚染、排水量、廃棄物の発生と処分、プラスチックによる汚染、非GHG大気汚染物質

 

 

〔リスクとインパクト管理〕 自然関連のリスクとインパクトを識別・評価・管理するために用いるプロセス

 当社では、資源及び生物多様性を含む環境リスクは、グループ全体の経営リスクの一つとして位置付け、リスクマネジメント委員会において管理しております。また、特定の自然資源への依存を有する事業においては、事業中期計画の中で、生産・調達リスクを評価・特定して対応を行っております。なお、当社のリスク管理体制・リスクマネジメントプロセスの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。また、自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の特定・評価・優先順位付けのプロセスについては、「②自然資本〔戦略〕」に記載しております。

 

〔指標と目標〕 自然関連のリスク及び機会を評価・管理するために使用する指標と目標

 当社グループの長期的なビジョンとして、「地球資源使用ゼロに向けて、自社製品における地球資源使用量を2050年までに90%以上削減する」「自社製品以外での地球資源の削減貢献量を拡大する」及び「生物多様性の修復と保全に取り組む」を目標設定しております。この長期目標を達成するためのマイルストーンとして、中期経営計画(2023-2025)に紐づく「中期環境計画2025」において管理指標を設定しております。2025年度末までに自社製品における地球資源使用量を20%削減すること、自社製品以外での顧客・社会における地球資源使用削減貢献量を40万トン創出することを目標として設定し、2025年度実績においていずれも目標達成となりました。

 2026年度から始まる中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」においても、自社製品における地球資源使用量の削減、自社製品以外での顧客・社会における地球資源使用削減貢献量の増加を目標として掲げ、自然資本への依存低減と貢献拡大を進めてまいります。

 なお、各国地域における法規制及び条例順守に関連する環境項目につきましては、排水量、廃棄物、非GHG大気汚染物質を管理指標として設定し、定常的にモニタリングしております。

 

 

 

③ 人的資本

〔戦略:人財育成方針及び社内環境整備方針〕

[経営戦略に連動した人財育成]

 少子高齢化による生産人口の減少やAI/ロボティクスをはじめとしたデジタル技術の進化、持続可能社会の要請の一方で急速に高まる地政学リスクといったマクロ環境の中、当社は、「Imaging to the people」という経営ビジョンを掲げ、ROE8%を実現するための経営戦略を中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」にて打ち出しております。この実現のために従業員一人ひとりが、社内外の全てのステークホルダーと共創し、“コニカミノルタならでは”の価値を提供していく姿を目指し、「自ら学び続け、事業の壁・地域の壁を越え、結果にこだわり続ける人財」を創る人財育成方針と「多様性を武器にし、相互に切磋琢磨し、挑戦し続ける文化」を創る社内環境整備方針を掲げております。

 

 

〔指標と目標〕

 上記に掲げる戦略を実現するため、人財・企業文化の変革をグローバルで進めていきます。

 そして、これらが効果を発揮しているかは、「多様な人財が活躍できる組織になっているか」「そこで働く人財の状態が高く保てているか」が重要であり、この実現レベルを確認し、更なる改善を進めるには従業員のエンゲージメントを見ることが重要と考えています。これに対して、当社グループでは、「Your Voice」と名付けたグローバルサーベイを毎年実施し、従業員エンゲージメントをスコア化しており、以下の目標を掲げております。

 

■エンゲージメント

 目標:エンゲージメントスコアが2030年度に業界上位25%に到達すること

 

 会社の持続的成長のため、多様なプロフェッショナル人財が共創し新たな価値を創出する姿を目指し、様々な取組を進めており、中期経営計画(2023-2025)の期間である2023年度から2025年度において、スコアは10点満点中6.8から7.1へと向上しております。

 

〔具体的施策]

 上記方針、目標達成のため実行している代表的な取組を以下に紹介します。

 

・従業員エンゲージメント向上

 上記のとおり多様な人財が活躍できる組織の状態及びそこで働く人財の状態を高く保つことが人的資本経営の基盤であると考えており、その改善の起点として、上記サーベイにてエンゲージメント及びその推進要因を把握し、そこから各職場で注力すべきポイントを対話を軸に明らかにして次期の取組に活かしております。

 具体的には、サーベイを通して経営と従業員の距離感を課題認識し、社長自ら国内外の各拠点を訪問して従業員との直接対話を行っております。また、四半期決算においては、社長からの直接説明に加え、webを通して質問を受け付け、その場で回答しております。毎回、多くの質問があり時間内に答えきれない程であり、事後の回答を含めて、双方向コミュニケーションの場として機能しております。

 各事業部や各社・職場単位でも、調査結果を起点にした対話を通して改善アクションを実行するサイクルを回し続け、2024年度のエンゲージメントスコアは事業構造を見直している状況ではありましたが、前年度スコアを維持しました。2025年度は現場での対話の好事例から導き出した「対話ハンドブック」を作成し、「Your Voice」 の調査結果に基づき、「結果の共有」「メンバーとの対話」「アクションの実行」の3つのステップを着実に回すための「型」を展開しました。

 これらの取組を通して、2026年3月の調査では過去最高のエンゲージメントスコア7.1(業界の平均水準)を達成いたしました。

 

・グローバルリーダーシップの育成加速

 会社経営を担える次世代リーダーを計画的に配置・育成するため、2020年度よりポテンシャル人財を可視化し、社長と事業トップが1on1で育成の方向性を確認・議論する場を設けております。この議論を通して、次の事業トップ候補はいるか、3~5年後を見据えたらどうか、という組織課題を明確にし、そのうえで、後任候補の特定とさらなる成長に向けて担わせる役割を社長と事業トップが握り、次の1年間の成長度合いを確認する、というサイクルを回しており、150名規模の計画的育成を行っております。その一環として当社グループ約4万人のうち4分の3を占める海外人財の全社での活用を加速するために、各地域の重要ポジションのサクセッションプランと連動する形で、グローバルリーダーシップ育成を進めております。主要地域の優秀人財を可視化し、選抜された人財に対し、育成プログラムや経営トップによるメンタリングの提供、個別育成計画の策定を経て、国境や事業を越えたアサイメントを進めております。

 この取組が先行して進んでいる欧州では、個々の専門性や経験をより広いスコープで活かしたアサインメントを行っています。具体的には、ハイポテンシャル人財を事業横断プロジェクトの欧州リードにアサインし、日本本社での事業視察や関係者との連携強化、経営層への報告等を通じて、事業をまたいだビジネス拡大に貢献しています。また、販売責任者の取組範囲を国ごとに閉じるのではなく、データ及びAIを活用したDXによる営業生産性向上の取組において、国を跨いだアサインメントにより汎欧州でのリードを担わせています。 こうした取組を通じ、グローバルで活躍する人財の育成と同時に、現場で活躍する優秀人財を国や事業の枠を超えて活用することにより、事業の競争力強化にもつながる成果が表れています。

 ここで選抜した人財が将来的に全社の経営を担う人財層として活躍できるよう、育成強化を図っていきます。

・AI前提の組織設計と人財力強化

 ここ数年のAI技術の加速度的な進化の中で、当社においても対話型AIの全社員向けライセンス配布等、日々の業務への活用は進み始めています。ただし、技術の進化に対して、組織・人財の前提が追いついておらず、全社の業務・組織変革までには至っていません。

 これに向けては、「AIに任せる領域/人が価値を出す領域」を整理し、AI時代に求められる人財像とは何かを明らかにする必要があります。その上で、その人財像を評価し、不足部分に対しては育成を図ることが必要です。

 当社では、中期経営計画「Corporate Plan 2026-2028」において、「AIを使う会社」から「AIが前提で回る会社」に向け、AIを部分導入する段階から脱却し、業務/組織/人財/マネジメントの前提条件を同時に書き換えることを重点課題とおき、取組を開始しております。

・事業戦略に即する要員把握と予測型計画策定

 事業環境の不確実性が高まる中、当社が持続的に成長する上で、従業員一人ひとりのスキルや経験を把握し、それを基に将来の人財構成を見通すことが不可欠となっています。

 すなわち、中長期の事業戦略や技術動向を踏まえ、将来必要となるスキルや人員構成を想定することで、採用・育成・配置転換を計画的に進め、個人のキャリア形成と企業価値向上の両立を図ることができます。

これに向け、当社ではグローバルを統合したHR情報システムの構築の検討を開始いたしました。

従業員のスキル・経験の把握と将来予測は、単なる人事施策ではなく、経営戦略と直結した重要な投資判断であり、統合システムを基盤としたタレントマネジメントをグローバルで推進していきます。

・成長推進のための技術人財強化

 当社は、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を実現するため、成長戦略の実行を支える技術人財の強化を重要な経営課題の一つと位置づけています。150年にわたり培ってきた材料、光学、微細加工、画像といったコア技術を基盤に、AIを融合させた価値創出を推進する上で、それを担う技術人財の中長期的な強化は不可欠です。

 こうした認識のもと、中核施策の一つとして全社技術人財育成の抜本的な再構築に着手しています。従来、部門ごとに分散していた育成を見直し、コア技術、基盤技術、生産技術、AI・データサイエンス等の専門領域ごとに、事業・技術戦略と整合した育成方針を定め、教育体系の再編及び育成基盤の整備を進めてきました。また、技術人財育成を全社の重要業務と位置付け、社員の教育活動への参画を正当に評価する仕組みを導入することで、育成施策を持続的に機能させる体制を構築しています。

 今後も、育成施策を人財マネジメント全体と連動させながら技術人財の強化を進め、成長戦略の実行力向上を通じた企業価値の持続的な向上に貢献していきます。

④ 人権

〔基本的な考え方〕

 人権は、全ての人間が持って生まれた権利であり、普遍的な価値の一つです。2011年に国連で「ビジネスと人権に関する指導原則(以下「UNGPs」)」が採択されたことにより、人権尊重に関する企業の責任が明確になりました。各国で人権に関連した法規制化や調達要件への組み込みが進み、UNGPsに沿った人権取組の重要性が益々高まっております。このような社会要請に応えていくことはもちろん重要ですが、加えて、人権尊重の姿勢を社内外に示すことでステークホルダーからの信頼の獲得、従業員との信頼構築につながり、結果的にサプライチェーン全体の競争力の向上や持続的な成長が実現できると考えております。

 

〔方針〕

 当社グループは、UNGPsの考えに基づき、経営審議会での承認を経て2021年9月に「コニカミノルタグループ人権方針」を制定いたしました。本方針に基づき、自社内のみならず当社グループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者に対しても、人権の尊重を求めております。また2022年4月に取締役会で承認を経て改定を行ったコニカミノルタグループ行動憲章においても、事業活動における最も基本的な要件の一つとして人権尊重を規定し、グローバルに従業員を対象に毎年実施するコンプライアンス研修に組み込んで周知を行い、バリューチェーン全体での人権侵害の低減に取り組んでおります。

 

〔体制〕

 当社グループの人権尊重の取組は、サステナビリティを所管する経営企画部門を中心に、機能部門、事業部門と連携しながら推進しています。さらに、人権尊重に関する活動状況や抽出された重大な人権リスクについては、年2回開催されるリスクマネジメント委員会において報告・審議される体制を整えています。

 

〔取組〕

●人権デュー・デリジェンス(以下「人権DD」)

 当社グループは、UNGPsに則り人権DDの仕組みを構築しております。当社グループの事業活動や取引の結果、潜在的又は顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題を抽出し、抽出した負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題に対して影響度を評価し、特に優先度が高いと思われる人権課題を特定しております。評価は定期的に見直すとともに、特に優先度が高いと思われる人権課題に関しては、人事/法務/調達/品質/IT/サステナビリティを担当する各部門がそれぞれ目標設定、施策の検討・実施を行っております。なお、自社の事業活動には、新規及び追加投資、M&Aによる事業拡大、新規プロジェクトへの参入を含む投資判断基準に人権に関する評価項目を盛り込んでいます。

 また、人権DDを通じて人権侵害の可能性が発見された場合、ステークホルダーとの真摯な対話と速やかな調査を実行します。その結果、人権に対する負の影響を直接的に引き起こしている(Cause)、直接的又は間接的に助長している(Contribute)、取引関係を通じて人権への負の影響との直接関連している(Directly Linked)ことが明確となった場合は、社内外のしかるべき手続きを通じて是正策を講じていきます。

 

人権DDプロセス

 

 

・優先的に取り組む課題

 当社グループとして優先的に取り組むべき課題を以下のように特定しています。

活動領域

優先的に取り組む課題

自組織

・過重労働、労働安全衛生、差別(女性活躍)、ジェンダーに関する人権問題、強制労働、児童労働・若年労働、プライバシーの権利

製品・サービス

・顧客のプライバシー保護

調達品とサプライヤー

・サプライヤーでの過重労働、労働安全衛生、差別、外国人移民労働者の権利侵害及び先住民の人権侵害

・自組織領域での取組

 グローバルの従業員を対象に毎年実施するコンプライアンス研修にて人権尊重の教育を実施しているほか、人権侵害の起きやすい生産機能を有している拠点において、Responsible Business Alliance(以下「RBA」)(注1)のフレームワークを軸にリスク評価の取組を進めております。具体的には、RBAが提供している自己評価質問票(以下「SAQ」)を用いて、労働・安全衛生・環境・倫理・サプライチェーンにおける人権侵害リスクの評価を行い、人権侵害につながる可能性のある課題が発見された場合は是正措置を行っております。また、特に従業員規模が大きく当社グループの主力製品の製造を担っている重要生産拠点においては、定期的にRBA VAP監査(注2)を受審し、人権リスクの低減に取り組んでおります。

 

(注1)RBA:電子機器業界を中心に、グローバルなサプライチェーンにおける責任あるビジネスを促進することを目的とする非営利団体。

(注2)RBA VAP(Validated Assessment Program)監査:RBA行動規範に対する準拠状況を第三者監査機関が確認する監査。適合レベルに応じてPlatinum、Gold、Silverのランクが付与される。

 

・製品・サービス領域での取組

個人や企業を狙ったサイバー攻撃が増加するなかで、その手口はますます高度化・巧妙化しております。当社グループが提供する製品やサービスにおいても、セキュリティの脅威にお客様を晒すリスクを持つ可能性があるため、セキュリティを確保した製品・サービスを提供し、市場における製品セキュリティ事故を未然に防ぐとともに、万が一事故が発生した場合には、お客様の被害を最小限にとどめ、迅速に復旧・解決する取組が必要と考えております。

当社グループは、品質担当役員を責任者とする製品セキュリティの全社推進体制を確立し、品質本部主管のもと、事業部門を通じてすべての製品・サービスにおける重大セキュリティ事故の防止に取り組んでおります。セキュア開発・運用を実現するための「製品セキュリティガイドライン」を制定し、グループ全体で製品・サービスのセキュア開発・運用プロセスを推進しております。製品セキュリティガイドラインは、原則としてコニカミノルタグループのすべての製品・サービスの企画・提案から廃棄・サービス終了に至るまでのライフサイクル全体、ならびに開発・運用委託先やサプライヤー等のサプライチェーン全体に適用し活動リスクの低減に取り組んでおります。

 

・調達品とサプライヤー領域での取組

 調達品に対しては「責任ある鉱物調達への対応」、サプライヤーに対しては「コニカミノルタCSR調達推進プログラム」を適用してリスクの低減に取り組んでおります。

 調達品に関して、当社グループの製品には多くの鉱物が使用されており、コンゴ民主共和国及び周辺地域におけるタングステン、タンタル、金、スズの鉱物資源の採掘が紛争の資金源になっている可能性や、鉱山や精錬所における強制労働や児童労働の問題が指摘されていることを重要なリスクと捉えております。当社グループでは、「OECDによる紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンス・ガイダンス」に従い「鉱物サプライチェーンにおけるリスクに基づいたデュー・デリジェンスのための5ステップのフレームワーク」に準じた鉱物調達の取組を行っております。具体的にはResponsible Minerals Initiative (RMI)(注3)が発行している調査票であるCMRTやEMRTを使用して精錬所の調査を行い、その結果サプライチェーン上に紛争への関与が否定できない精錬所が存在する可能性がある場合はサプライヤーに対して是正を要請しております。

 サプライヤーに対しては、すべてのサプライヤーに対して、当社グループが定める「コニカミノルタ調達方針」、「コニカミノルタサプライチェーン行動規範」及び「コニカミノルタ責任ある鉱物調達方針」遵守への合意を要請しております。さらに上流のサプライヤーにも、直接のサプライヤーを通じて要請を依頼しております。また、取引金額やESGリスクの大きさを踏まえて選定した重要サプライヤーを対象に、SAQによるリスク評価を実施しています。その結果、リスクが高いと判断されたサプライヤーに対しては、改善指導を実施しております。加えて製品の最終組立を委託しているサプライヤーに対しては定期的なRBA VAP監査の受審を要請し、人権リスクの低減に取り組んでおります。

 

(注3)RMI:紛争鉱物や高リスク地域からの鉱物調達に関する企業の責任ある行動を支援する国際団体。

 

●グリーバンスメカニズム(相談・通報窓口)の整備

 当社グループでは、事業活動及びサプライチェーンに関わる人権への負の影響を早期に把握し、是正及び救済につなげることを目的として、社内外のステークホルダーを対象とした複数の相談・通報窓口から構成されるグリーバンスメカニズムを整備・運用しています。通報者の匿名性及び守秘性に配慮し、内容に応じた調査を行い、必要な是正措置及び再発防止策を講じるとともに、不利益な取扱いを防止しています。

 

 主な相談、通報窓口としては、ヘルプラインとして、当社グループの従業員及びサプライヤーを対象に、人権侵害や法令違反を含むコンプライアンス上の懸念について相談・通報を受け付けています。また、ハラスメント相談窓口として、当社グループの従業員を対象に、職場におけるハラスメントに関する相談・通報を受け付けています。さらに、対話救済プラットフォームとして、当社グループの従業員及び社外ステークホルダーを対象とした第三者機関による外部通報窓口を備え、匿名での通報も可能としています。

 

〔目標と実績〕

 当社グループ及びサプライヤーにおける人権に関するリスク管理の主要な目標及び実績は以下のとおりです。自組織領域については、計画どおりの対応を実施いたしましたが、調達品とサプライヤー領域については一部のサプライヤーにからの方針に対する合意又は適合確認、及びSAQの実施において遅れが生じており、課題の対応を進めてまいります。

 

・自組織領域

指標

2025年度目標

2025年度実績

生産拠点におけるSAQ実施率

100%

100%

重要生産拠点におけるRBA VAP監査の受審

Konica Minolta Business Technologies (DONGGUAN) Co., Ltd.

認証の取得・維持

Platinum認証 取得中

Konica Minolta Business Technologies (Malaysia) Sdn. Bhd.

Platinum認証 取得中

コニカミノルタメカトロニクス株式会社

Platinum認証 取得中

人権DDの実施

デジタルワークプレイス事業でのリスク抽出

実施完了

 

・調達品とサプライヤー領域

指標

2025年度目標

2025年度実績

「コニカミノルタ調達方針」「コニカミノルタ責任ある鉱物調達方針」「コニカミノルタサプライチェーン行動規範」への合意又は適合確認

100%

91%

重要サプライヤーにおけるSAQ実施率

100%

99%