人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数3,922名(単体) 35,631名(連結)
-
平均年齢46.3歳(単体)
-
平均勤続年数20.8年(単体)
-
平均年収8,211,911円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
2025年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人)(注1) |
デジタルワークプレイス事業 |
28,764 |
プロフェッショナルプリント事業 |
|
インダストリー事業 |
2,916 |
画像ソリューション事業 |
2,607 |
報告セグメント計 |
34,287 |
プレシジョンメディシン事業(非継続事業) |
95 |
その他 |
547 |
全社(共通) |
702 |
合計 |
35,631 |
(注1)従業員数は就業人員数であります。
(注2)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、総じて同一の従業員が両事業に従事しております。
(注3)当連結会計年度において従業員数が前期末比4,384名減少(前連結会計年度40,015名)しておりますが、主として、2024年4月4日に公表したグローバル構造改革の実施によるもの、中国子会社の生産終了によるもの、並びに、連結子会社の売却によるものであります。
(注4)当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記6 事業セグメント」に記載のとおりであります。
(2)提出会社の状況
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|
|
2025年3月31日現在 |
従業員数(人)(注1) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円)(注2) |
3,922 |
46.3 |
20.8 |
8,211,911 |
セグメントの名称 |
従業員数(人)(注1) |
デジタルワークプレイス事業 |
1,646 |
プロフェッショナルプリント事業 |
|
インダストリー事業 |
1,011 |
画像ソリューション事業 |
529 |
報告セグメント計 |
3,186 |
プレシジョンメディシン事業(非継続事業) |
34 |
全社(共通) |
702 |
合計 |
3,922 |
(注1)従業員数は就業人員数であります。
(注2)平均年間給与は、賞与及び基準外賃金が含まれております。
(注3)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、総じて同一の従業員が両事業に従事しております。
(注4)当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記6 事業セグメント」に記載のとおりであります。
(3)労働組合の状況
当社及び一部の子会社において労働組合が組織されております。
当社においては、コニカミノルタ労働組合があります。同組合は、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しております。労使間には労働協約が締結されており、労使における経営協議会を通じて円滑な意思疎通が図られております。2025年3月31日現在の組合員数は、3,731名であります。
また、一部の子会社における労働組合に関しましても、労使関係は良好であります。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
||
11.0 |
77.3 |
77.8 |
77.5 |
78.3 |
(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
② 連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注1) |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注1) |
||
全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
|||
コニカミノルタジャパン㈱ |
6.8 |
68.2 |
83.2 |
83.9 |
85.5 |
コニカミノルタメカトロニクス㈱ |
2.9 |
50.0 |
73.9 |
78.8 |
75.9 |
キンコーズ・ジャパン㈱ |
11.3 |
75.0 |
68.3 |
76.6 |
85.0 |
㈱コニカミノルタサプライズ |
6.7 |
66.7 |
85.8 |
91.4 |
78.2 |
コニカミノルタテクノプロダクト㈱ |
4.8 |
0.0 |
81.2 |
79.4 |
47.0 |
コニカミノルタIJプロダクト㈱ |
0.0 |
100.0 |
82.9 |
82.5 |
82.5 |
コニカミノルタプラネタリウム㈱ |
23.5 |
(注3) |
(注3) |
(注3) |
(注3) |
コニカミノルタコネクト㈱ |
7.1 |
0.0 |
101.5 |
84.6 |
94.0 |
コニカミノルタウイズユー㈱ |
(注3) |
(注3) |
106.3 |
105.6 |
113.3 |
コニカミノルタ情報システム㈱ |
2.9 |
66.7 |
(注3) |
(注3) |
(注3) |
(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
(注3)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する基本的な考え方 ―中長期の成長に向けて
当社グループの考えるサステナビリティとは、「事業によって社会・環境の課題を解決することで持続可能な社会の実現に貢献し会社が成長していくこと」です。社会・環境課題の解決を、経済合理性のある事業として実行することで、当社グループの持続的な成長を遂げることができると考えております。
この考えに基づき、2020年には、10年後の2030年のあるべき「持続可能な社会」の姿を見据えて、取締役会の決議を経て長期経営ビジョンを策定し、当社グループが向き合うべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
① 長期経営ビジョン-2030年の社会と当社グループの存在意義
当社グループは2020年に2030年の社会を考察し、世界人口の構造変化、デジタル革命の進行、バイオテクノロジーの産業利用拡大、世界構造の多極化、気候変動・温暖化の潮流から、「組織や個人が、爆発的に増加するデータを活用して多様な価値を創造し、持続的に発展する自律分散型の社会」が訪れると考えました。このような社会においては、組織や個人が求める豊かさが個別化・多様化し、それらの充足ニーズが高まる一方、資源不足や気候変動による影響、社会保障費の増大、雇用や創造への機会格差といった課題の解決が求められます。
この世界観のもと、当社グループは独自のイメージング技術をコアに、ニーズと課題のトレードオフを解消し、「人間中心の生きがい追求」と「持続的な社会の実現」とを高次に両立することが当社グループの存在意義であると結論付け、「Imaging to the People」という長期の経営ビジョンステートメントに集約しました。
当社グループ発足以来不変の「経営理念」の下、価値創造の源泉としての企業文化・風土である「6つのバリュー」を基盤に経営ビジョンステートメント「Imaging to the People」の実現を目指しております。
②マテリアリティと価値創造プロセス
当社グループは自社が向き合うべき重要課題として、「働きがい向上および企業活性化」、「健康で質の高い生活の実現」、「社会における安全・安心確保」、「気候変動への対応」及び「有限な資源の有効活用」の5つをマテリアリティとして特定しました。
2030年に想定される社会課題からバックキャストして、当社グループの強みである無形資産(顧客関係、技術の融合、多様な人財)を融合させ、4つの事業群を通じた顧客との共創により生み出される顧客価値、結果としての経済価値であるキャッシュ・フローを創出し、環境・社会課題の解決のインパクトを拡大していく価値創造プロセスを持続的に繰り返していくことで企業の成長を図ってまいります。
価値創造プロセス
③持続的な価値創造を支える無形資産
次の3つの無形資産は当社が継続的に価値を生み出すための源泉となるものです。
●顧客関係
当社グループは長年にわたり事業活動を通じて世界各地で顧客との関係性を築いてきました。デジタルワークプレイス事業では、オフィス事業で培ったグローバルな顧客基盤からの知見を活かすとともに、オフィスや病院、物流、製造、教育といった様々な業種・業態における現場の課題に向き合い、顧客のワークフロー改革や価値創造を支援することで、顧客との関係性をより強固なものとしております。インダストリー事業では、業界をリードする先進的な顧客との長期的な関係性に基づき、時代の先を行く技術の実用化やバリューチェーンの変革等、当社グループが社会に大きな価値を提供する機会につなげております。
●技術の融合
当社グループが根源的に持つ強みは、創業以来150年にわたり、社会の“みたい”に応え続けてきた4つのコア技術(材料・光学・微細加工・画像)です。このコア技術にAI技術を組み合わせることに2014年から取り組み、データ利活用によるインダストリー事業の生産性向上や、画像処理AIを活用した医療診断支援ソフトの開発、マルチモーダルセンシングとAI技術によるグリーントランスフォーメーションへの貢献など、成長が期待される領域へのAI技術の応用を進めております。また4つのコア技術を事業をまたいで「融合」させることで新たな価値を創造する取組も行っております。プロフェッショナルプリント事業のデジタル印刷機に対する自動品質最適化ユニット「IQ-601」の搭載はその一例で、「光学」、「微細加工」、「画像」を組み合わせ、印刷作業の自動化によるワークフロー改革を実現しております。
●多様な人財
当社グループの人財における優位性は、グローバルな事業展開や積極的なM&A等を通じて獲得してきた多様性にあります。獲得した多様性を活かすため、人事制度の整備とともに、ポテンシャルのある人財が挑戦できる機会の提供を進めており、特に女性活躍推進は、これを経営課題と位置付けて注力しております。同時にグループとしての一体感の醸成に向け、従業員の満足度調査をグローバルで毎年実施し、経営方針の浸透、職場の課題抽出と解決を行っております。また前述のコア技術とAI、IoTの技術を組み合わせる人財の増強にも目標値を設定して推進しております。
(2)重要なサステナビリティ課題への対応に関する基本的な方針
① ガバナンス <サステナビリティ関連のリスク・機会を監視及び管理するしくみ(プロセス・統制・手続き)>
当社グループでは、取締役である代表執行役社長がサステナビリティマネジメント全体についての最高責任と権限を有し、その有効性について責任を担っております。代表執行役社長のもと、サステナビリティを担当する各役員がグループ全体のサステナビリティマネジメントを推進しております。
重要なサステナビリティ課題に関する議論や意思決定は、ほかの重要な経営課題と同様に、社長及び執行役・執行役員が参加する経営審議会その他の会議体の場で行っております。
サステナビリティ中期経営計画は、担当する各役員が策定し、会社全体の経営計画としてとりまとめ、経営審議会その他会議体での審議・承認を経て、取締役会の承認を得ます。またマテリアリティについても、中期経営計画の策定プロセスの中で、経営企画を担当する役員を中心にサステナビリティを担当する各役員がリスクの変化度合いを見直すローリングを行い、必要に応じて見直しを行い、経営審議会その他の会議体での審議・承認のうえ、取締役会の承認を得ております。
サステナビリティを担当する各役員は、サステナビリティに関する中期計画を検討・推進する機関として、必要に応じて「推進会議」を設定しております。例えば、環境に関する中期計画を検討・推進する機関として「環境推進会議」を設定しております。経営企画部長が議長となり、各事業部門やコーポレート部門等の各組織長に任命された推進責任者が参加し、環境に関する中期計画、年度計画の審議、四半期ごとの進捗状況の確認やグループの環境課題に関する検討を行っております。
② リスク管理 <サステナビリティ関連のリスク・機会を識別・評価・管理するプロセス>
当社グループは、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付け、中長期的な視点でリスクを評価しております。
サステナビリティ関連の中長期のリスクは、マテリアリティをマネジメントするプロセスの一環として継続的に監視し、必要に応じてマテリアリティの改訂に反映させます。具体的には、中期経営計画の策定プロセスの中で、経営企画を担当する役員を中心にサステナビリティを担当する各役員がリスクの変化度合いに基づいて、必要に応じて見直すことで、その妥当性を継続的に担保しております。
短期・中期のリスクを含む全リスクはリスクマネジメント委員会において管理しております。
執行役及び執行役員の職務分掌に基づき、それぞれの担当職務ごとにリスク管理体制の構築と運用にあたっております。リスクマネジメント委員会は定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しており、抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告しております。
なお、当社グループのリスク管理体制・リスクマネジメントプロセスの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
(3)サステナビリティ課題に関する重要性の評価と優先順位付け <サステナビリティ課題を特定するプロセス>
当社グループでは2020年に、10年後の2030年にあるべき「持続可能な社会」の姿を見据えて、社会・環境課題が当社グループに与える影響をリスクと機会の観点から評価し、そこからのバックキャスティングによって「今なすべきこと」を「5つのマテリアリティ」として特定しました。その際のプロセスは次のとおりです。
STEP1:課題のリストアップ
GRIスタンダードやSDGs等の国際的なフレームワークやガイドライン、各専門分野のマクロトレンド等を参照しながら環境・社会・経済面での課題を広範囲にリストアップしました。ストックホルム・レジリエンス・センターの「SDGsウェディングケーキモデル」をベースとし、「ECONOMY(経済)」「SOCIETY(社会)」「BIOSPHERE(環境)」の関係性を念頭に置きながら、課題を抽出しました。抽出にあたっては、当社グループが関連する、あるいは関連する可能性がある事業領域、そのサプライチェーン/バリューチェーンを範囲として、社会・環境変化や規制・政策動向、ステークホルダーからの要請事項等を考慮して進めております。
STEP2:課題の抽出と重要度評価
リストアップした課題の中から、特に当社グループに関連性の高い分野を抽出したうえで、マテリアリティ分析(重要度評価)を行いました。当社グループのマテリアリティ分析は、リスクと機会の側面をそれぞれ評価している点に特徴があります。リスクと機会をそれぞれ評価することで、SDGsを進めるにあたり、企業に期待されている「社会課題を機会と捉えビジネスを通じて解決することで事業成長を図る」ことを実践しております。マテリアリティ分析は、それぞれ「ステークホルダーにとっての重要度(顧客、取引先、株主・投資家、従業員等)」と「事業にとっての重要度(財務的な影響度)」の2軸で5段階評価し、優先順位を付けました。
STEP3:妥当性確認、特定
経営企画を担当する役員は、これらのマテリアリティの評価プロセス及び評価結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを特定しております。特定したマテリアリティは、経営層による審議のうえ、取締役会による承認を受けております。またマテリアリティを定期的にレビューし、必要に応じて見直すことにより、その妥当性を担保してまいります。
(4)重要なサステナビリティ課題と、関連するリスク及び機会<特定したサステナビリティ課題の詳細と関連するリスクや機会>
2024年時点でのマテリアリティと関連するリスクと機会は次の表のとおりです。
当社グループの各事業はマテリアリティを意識した価値創造に取り組んでおります。例えば、インダストリー事業では、製造現場で熟練工の経験値に基づくスキルに依存していた検査工程を自動化・省人化することで熟練工の技術継承問題解決に貢献すると同時に、最終製品の高品質化に貢献することで「働きがい向上および企業活性化」に寄与しております。また、プロフェッショナルプリント事業では、適時・適量・適所での生産による輸送・保管・廃棄・中間材の低減といった顧客サプライチェーンの変革を通じて「気候変動への対応」と「有限な資源の有効利用」に寄与しております。さらに、ヘルスケア事業では早期発見・早期診断による「健康で質の高い生活の実現」に寄与しております。
なお、サステナビリティに関するリスクは、マテリアリティのマネジメントやリスクマネジメントのプロセスに落とし込んで対応しております。
|
社会・環境課題 (2030年想定) |
リスク |
機会 |
働きがい向上 および 企業活性化 |
デジタル格差 人手不足の解消 雇用や創造への機会格差 |
ダイバーシティを重視した環境づくりの停滞による、従業員の自律性、イノベーション力の低下 |
ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客の生産性の向上と創造的な業務へのシフトを支援 |
健康で質の高い生活の実現 |
医療や介護の持続性が低下 医療アクセスの制限 社会保障費抑制 |
- |
イメージングと医療ITサービスによる早期診断、医療費抑制、QOLの向上への貢献 |
社会における安全・安心 確保 |
設備老朽化等による労働災害発生のリスク |
製品・サービスに起因する重大事故による企業や社会における損害の発生 |
画像監視による企業や社会の安全・安心の確保 高度な計測・検査による顧客の製品・サービスの品質確保 |
気候変動への対応 |
脱炭素社会への移行による変化への適応 気候変動による社会・経済・生態系への影響 |
持続可能なエネルギーへの転換遅れによる競争力低下 プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換の遅れ 異常気象によるサプライチェーンの寸断 |
ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客企業や社会におけるエネルギー・CO2負荷低減 |
有限な資源の有効利用 |
循環型社会への移行による変化への適応 資源枯渇による社会・経済・生態系への影響 |
持続可能な原料への転換遅れによる競争力低下 資源不足による部材コストアップと供給不安定化 |
ワークフロー、サプライチェーンの変革による顧客企業や社会における資源の消費抑制・資源の有効利用 |
各事業の取組と関連するマテリアリティ(主要なもののみ)
(5)重要なサステナビリティ課題への取組及び指標
① 気候変動
当社グループの環境経営は、「環境課題を解決していくことで、事業を成長させていくこと」をコンセプトとし、社会から必要とされる会社になることを目指しております。地球規模での気候変動問題を解決するには、自社だけの取組では限りがあります。そのため、当社グループでは、取引先、顧客を中心とするステークホルダーとの連携によって地球上のCO2削減に積極的に関わっていく「カーボンマイナス」の実現を目指しております。カーボンマイナスとは“自社責任範囲と定められるCO2排出量(スコープ1,2,3)(注)に比べて、責任範囲外でのCO2削減貢献量(スコープ1,2,3以外での削減)を多くすること”と当社グループでは定義しております。
また、自社責任範囲のCO2排出量において「ネットゼロ」を目指す長期の目標を設定しております。ステークホルダーが社会的責任を果たす活動の支援をするだけでなく、自社の社会的責任を果たすことで、脱炭素化の効果を加速するとともに、当社グループとステークホルダーの結びつきを広げ、ともに事業成長していくことを目指しております。
(注)スコープ1:燃料の使用などを通じて企業が「直接排出」する排出量
スコープ2:他社から供給された電気、熱、蒸気を使用した事による「間接排出」の排出量
スコープ3:スコープ1,2以外の、原料調達・物流・製品使用などバリューチェーンで発生する自社の事業活動に関連した排出量
〔ガバナンス〕 気候関連のリスク及び機会に係る組織のガバナンス
当社グループでは、気候変動への対応をサステナビリティマネジメントの管理対象の一つと位置付けており、主要な目標値の設定や変更等の意思決定は、最終的には取締役会の承認を得て実施しております。具体的には、2008年、2017年、2020年、2023年に取締役会で目標値の設定や変更の承認を実施しております。
サステナビリティマネジメント体制については、「(2)重要なサステナビリティ課題への対応に関する基本的な方針 ①ガバナンス」に記載しております。
〔戦略〕 気候関連のリスク及び機会に係る組織の事業・戦略・財務に対する影響
当社グループは気候変動リスクに対処するため、2050年にバリューチェーン全体で温室効果ガス排出ネットゼロを目指すビジョンを設定しております。気候変動に起因するリスクを事業リスクに融合し、気候変動対策にかかわる中期目標及び年度計画を、製品の企画・開発、生産・調達、販売等の事業中期計画と連動させることで、ビジネスを通じて目標の達成を目指しております。
また機会の観点では、顧客企業や社会におけるエネルギー・CO2削減の貢献度を高め事業成長を図る「カーボンマイナス」を2025年度末までに達成することを目指しております。創業以来150年かけて各事業が育ててきたコア技術を、AI活用(データ駆動型開発・生産)と事業領域を跨ぐ技術融合で“進化したコア技術群”として強化し、ワークフロー、サプライチェーンの変革によるエネルギー・CO2削減の貢献度を高め、インダストリー事業の成長と、社会に必要とされる企業となるための事業創出を進めてまいります。
<気候変動シナリオ分析の実施と結果>
当社グループでは、気温上昇が2℃以下(1.5℃相当)に抑えられ、世界全体が低炭素社会へ移行した場合と、気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合の2つのシナリオを想定し、2030年の視点で当社グループの業績に影響を及ぼす事業リスクと、気候変動における課題の解決に先手を打って対応することで創出できる事業機会を、それぞれ特定しております。
シナリオ分析を行う際の枠組みとして、気候変動シナリオ分析の対象事業分野の特定、重要な気候関連リスク及び機会の特定、気候変動に関する既存の科学的シナリオの検討、シナリオに対するリスク及び機会とその財務影響の検討と明確化、今後の対応の方針・戦略の検討のプロセスを経て実施しております。
●気温上昇が2℃以下(1.5℃相当)に抑えられ、世界全体が低炭素社会へ移行した場合
気候変動の「リスク」への対処
当社グループへの影響 |
対象セグメント |
分類 |
財務影響 |
時間軸 |
対処 |
|
調達・製造コストの上昇 |
ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達及び温室効果ガス排出ネットゼロの要求 |
デジタルワークプレイス事業 インダストリー事業 |
市場 評判 |
中 |
短期 |
生産・研究開発・販売拠点における再生可能エネルギー由来電力の導入 |
化石資源・化石燃料の代替化 |
インダストリー事業 |
政策・法律 |
中 |
中~長期 |
CO2フリー燃料の導入検討、ICP(注1)の導入、調達戦略の最適化 |
|
新たな排出規制・税制への対応 |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 インダストリー事業 画像ソリューション事業 |
政策・法律 |
大 |
短~中期 |
省エネ生産技術開発 |
|
製品開発コストの上昇 |
新たな製品エネルギー効率規制と市場への対応 |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 |
政策・法律 |
中 |
短期 |
環境ラベル新基準相当の製品省エネ設計、公共調達・入札要件への対応 |
製品サービスの需要変化による売上減少 |
オフィスにおける紙への出力機会の減少 |
デジタルワークプレイス事業 |
市場 |
大 |
短~中期 |
プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換 |
(注1)インターナル・カーボンプライシング
気候変動の「機会」
当社グループへの影響 |
対象セグメント |
分類 |
財務効果 |
時間軸 |
|
製品サービスの需要変化による売上増加 |
印刷産業及びアパレル産業のサプライチェーンを変革するデジタルソリューション |
プロフェッショナルプリント事業 |
製品/サービス |
大 |
短~中期 |
製品カーボンフットプリントを低減した機能材料、使用済みプラスチックの分別性・リサイクル率向上に貢献する材料技術・センシング技術、インクジェット技術による生産プロセスの変革、メタンガスの漏えいの早期発見と排出量の削減に貢献できるガス漏えい検査システム |
インダストリー事業 画像ソリューション事業 |
製品/サービス |
中 |
短~中期 |
●気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合
気候変動の「リスク」への対処
当社グループへの影響 |
対象セグメント |
分類 |
財務影響 |
時間軸 |
対処 |
|
生産能力減少による収益減 |
気候パターンの変化に伴う自然資源の供給量不足・供給停止 |
インダストリー事業 |
慢性物理 |
大 |
長期 |
特定の自然資源に依存しない製品設計と開発 |
大規模気候災害の発生に伴うサプライチェーン分断 |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 |
急性物理 |
大 |
中期 |
事業継続管理(BCM)の構築、消耗材の域別分散生産及び供給 |
|
製品サービスの需要変化による売上減少 |
異常気象及び森林火災の発生に伴う森林資源へのアクセス制限 |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 |
慢性物理 |
大 |
長期 |
プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換 |
気候変動の「機会」
当社グループへの影響 |
対象セグメント |
分類 |
財務効果 |
時間軸 |
|
製品サービスの需要変化による売上増加 |
急性的な異常気象・自然災害への防災・減災に貢献するセンシングソリューション |
画像ソリューション事業 |
製品/サービス |
小 |
中期 |
「リスクと機会の分類」
移行リスク |
政策・法律、技術、市場、評判 |
物理的リスク |
急性物理、慢性物理 |
機会 |
資源効率、エネルギー、製品/サービス、市場、レジリエンス |
「財務影響」の定義と評価基準
大 |
追加コスト又は利益減少 10億円以上 |
中 |
追加コスト又は利益減少 1~10億円 |
小 |
追加コスト又は利益減少 1億円未満 |
「財務効果」の定義と評価基準
大 |
利益創出 100億円以上 |
中 |
利益創出 10~100億円 |
小 |
利益創出 10億円未満 |
「時間軸」の定義と評価基準
長期 |
10年以上 |
中期 |
3~10年以内 |
短期 |
1~3年以内 |
〔リスク管理〕 気候関連のリスクを識別・評価・管理するために用いるプロセス
当社は、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付け、中長期的な視点でリスクを評価しております。気候変動を含む環境リスクは、中長期的な観点から、「気温上昇が2℃以下(1.5℃相当)に抑えられ、低炭素社会へ移行した場合」と「気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合」の2つのシナリオで気候変動リスクの影響度と不確実性を評価し、管理しております。またこの環境リスクをグループ全体の経営リスクの一つとして位置付け、リスクマネジメント委員会において管理しております。
気候変動への対応に関する計画や施策について、四半期ごとにグループ環境推進会議において審議するほか、リスクの変化度合いを見直すローリング作業を同会議にて毎年2回行い、リスクを再評価しております。計画の進捗状況については、グループ環境責任者から代表執行役社長に毎月報告されております。また重要な環境課題についても、グループ環境責任者から経営審議会その他の会議体、リスクマネジメント委員会等に報告されております。取締役会では、気候変動への対応に関する経営計画の進捗について定期的に報告を受け、その執行状況を監督しております。
なお、当社のリスク管理体制・リスクマネジメントプロセスの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
〔指標と目標〕気候関連のリスク及び機会を評価・管理するために使用する指標と目標
当社グループでは、気候変動のリスクと機会を管理する指標として前述の「カーボンマイナス目標」、「製品ライフサイクルCO2排出量」(スコープ1,2,3)、「再生可能エネルギー由来電力比率」に加え「CO2削減貢献量(スコープ1,2,3以外での削減)」を定めております。
「カーボンマイナス目標」においては、当社グループの製品ライフサイクルの範囲外において、私たちが排出するCO2(製品ライフサイクルCO2排出量)よりも多くの排出削減貢献(CO2削減貢献量)を社会・顧客で創出する、「カーボンマイナス」の状態を2025年度末までを期限として実現することを目標としております。
また、「製品ライフサイクルCO2排出量」には、スコープ1,2の全て(生産段階、販売・サービス段階のCO2排出量)と、主要なスコープ3(調達段階、物流段階、製品使用段階のCO2排出量)を含めております。2025年度末までに2005年度比で61%削減(80万トン)、中期的には2030年までに70%削減(62万トン)することを目標として設定しております。長期的には、2050年にバリューチェーン全体で温室効果ガス排出をネットゼロにする目標を設定しております。
当社グループではCO2排出量(スコープ1、スコープ2、一部のスコープ3排出量)を含む各非財務実績について、各年度に「環境/社会データ」にて第三者保証を受けており、妥当性を担保しております。なお2024年度のデータは第三者保証を取得予定です。
◆製品ライフサイクルCO2排出量削減の推移と目標
2005年度比 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度目標 |
2030年度目標 |
2050年度目標 |
製品ライフサイクルCO2排出量 (スコープ1,2,3) |
58%削減 (85万トン) |
63%削減 (75万トン) |
62%削減 (78万トン) |
61%削減 |
70%削減 |
ネットゼロ |
◆直近のCO2排出量の内訳
実績 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
スコープ1 |
15万トン |
15万トン |
15万トン |
スコープ2 |
15万トン |
14万トン |
12万トン |
主要なスコープ3 |
55万トン |
46万トン |
51万トン(注) |
合計 |
85万トン |
75万トン |
78万トン |
(注)2024年度のスコープ3排出量において、これまで当社グループが未算定であった活動を認識し、その活動は今後も継続するため、算定範囲を見直しております。
「再生可能エネルギー由来電力比率」では、化石燃料を利用できなくなる将来予測を踏まえ、当社グループの事業活動で使用する電力における再生可能エネルギー由来の割合を、中期的には2030年までに50%以上に高め、2050年までに100%にする目標を設定しており、スコープ2の削減に寄与します。再生可能エネルギー由来電力比率は、日本の生産拠点及び研究開発拠点における再エネ電力使用の本格稼働により、2023年度の13.5%から2024年度は約20%程度まで高まりました。
「CO2削減貢献量(スコープ1,2,3以外での削減)」では、主にプロフェッショナルプリント事業で、アナログからデジタル印刷への作業工程変革による生産性向上を実現するデジタルプリンターの販売拡大に取り組んでおります。その結果「CO2削減貢献量」は2024年度の目標69万トンに対して実績は68万トンでした。
また、中期経営計画の目標達成へのインセンティブを高めるとともに自社株保有の促進を図るため、中期株式報酬(業績連動型)を構成する評価指標のうち、非財務指標として「施策によるCO2排出削減量(注)」を設定しております。代表執行役社長及びその他の執行役の役員報酬は、中期経営計画の終了後、目標達成度に応じて0%~200%の範囲で決定され、当社株式が交付されます。
(注)当初「CO2排出量削減率」を指標として設定した気候変動への対応においては、生産量・販売量の影響を考慮し、「施策によるCO2排出削減量」に改定することを2024年4月23日開催の報酬委員会において決議しました。
② 自然資本
当社グループでは、自然資本による事業への依存とインパクト、その評価及び機会とリスクに取り組んでいく姿勢を明確にするため、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD:Task Force on Nature-related Financial Disclosures)」の理念と提言に賛同しております。2024年1月、スイスで開催された世界経済フォーラムにおいて、TNFDアーリーアダプター企業として登録し、同年7月にTNFDフォーラムへ加盟いたしました。自然資本の依存とインパクトの評価及びその情報をTNFDフレームワークに沿って開示いたします。
〔ガバナンス〕 自然関連のリスク及び機会にかかる組織のガバナンス
当社では、代表執行役社長が生物多様性への対応を含む環境マネジメント全体についての最高責任と権限を有し、環境マネジメントの有効性について責任を担っております。 サステナビリティマネジメント体制については、「(2)重要なサステナビリティ課題への対応に関する基本的な方針 ①ガバナンス」に記載しております。
また自然関連の依存・インパクト、リスク・機会を評価・管理する際に考慮すべきステークホルダーの影響については、当社グループの人権方針、人権デュー・デリジェンスに沿って考慮しております。当社グループの人権方針、人権デュー・デリジェンスについては、「(5)重要なサステナビリティ課題への取組及び指標 ④人権」に記載しております
〔戦略〕 自然関連のリスク及び機会にかかる組織の事業・戦略・財務に対する影響
当社グループはマテリアリティの1つである「有限な資源の有効利用」について、当社グループの長期的な環境ビジョンである「エコビジョン2050」において2050年の定量的な目標を設定しております。具体的には、地球資源(注)使用ゼロに向けて、自社製品における地球資源使用量を90%以上削減するとともに、自社製品以外での地球資源の削減貢献量を拡大していきます。自社製品やサービスの提供に使用する資源において、枯渇資源に該当する地球資源に依存しない事業形態へ変革するとともに、事業活動を通じた取組により非財務価値を財務と同期させて企業価値を向上することを目指しております。
中期的に取り組む活動計画の具体化にあたっては、2023年9月に発表されたTNFDの提言内容を参照し、当社グループの事業における地球資源及び生物多様性への依存とインパクトを評価しております。TNFDが提唱する9つのグローバル中核指標の視点においてイシューを抽出して事業活動における自然への依存とインパクトを評価し、リスクと機会を特定しております。
(注)地球資源:原油や鉱物資源等の新たな採掘を伴う資源。一般に枯渇性資源と同義
TNFD中核指標 |
当社への影響 |
|||
自然の変化要因 |
9つの中核指標 |
リスク |
機会 |
|
依存 |
土地/淡水/海洋利用の変化 |
1 土地の総フットプリント |
- |
- |
2 土地/淡水/海洋利用の変化の範囲 |
- |
- |
||
資源の利用 |
3 水ストレス地域からの取水・消費 |
・サプライチェーン:取水制限等による高い水ストレス地域(東南アジア)からの供給量が低下 |
・捺染ドライプロセス:水ストレスが高い地域(インド、トルコ、イタリア)での水レス染色システム |
|
4 土地/海洋/淡水から調達する高リスクの天然資源 |
・天然資源:規制強化等によるリスクの高い天然資源の供給不足 ・紙:森林資源へのアクセス制限、社会嗜好変化などによる紙利用・出力機会が減少 |
- |
||
インパクト |
汚染・汚染除去 |
5 土壌汚染 |
- |
・有害物質フリー技術:残留性有害物質等のフリー技術の提供 |
6 排水量 |
- |
・デジタル印刷/捺染、インクジェット技術:水質汚染の深刻な地域(南アジア)での廃水削減技術 |
||
7 廃棄物の発生と処分 |
・使用済み製品:循環型社会促進策等による製品へのリサイクル義務化 ・プラスチック:循環型社会促進策等による製品への再生資源利用への要求 |
・再生プラスチック技術:循環型社会形成促進策等による再生技術・材料技術・センシング技術の需要増 |
||
8 プラスチックによる汚染 |
- |
- |
||
9 非GHG大気汚染物質 |
- |
- |
<自然シナリオ分析の実施と結果>
当社グループでは、2030年の視点で業績に影響を及ぼす事業リスクと、課題解決に先手を打って対応することで創出できる事業機会を、それぞれ特定しております。政策強化により自然が保護・回復に向かう場合と、現行の延長で自然が劣化し続ける場合の2つのシナリオを想定し、リスクの発現あるいは機会獲得の可能性がある対象セグメント、分類、時間軸及び対処を、それぞれ特定しております。
シナリオ分析を行う際の枠組みとして、自然シナリオ分析の対象事業分野の特定、重要な自然リスク及び機会の特定、自然に関するシナリオの検討、今後の対応の方針・戦略の検討のプロセスを経て実施しております。分析にあたっては、直接操業だけでなく、上流・下流における自然関連の依存・インパクトを含め、リスク・機会の特定・評価・優先順位付けを行っております。
●政策強化により自然が保護・回復に向かう場合
自然に関連する「リスク」への対処
当社グループへの依存と影響 |
自然の変化要因 |
対象セグメント |
分類 |
時間軸 |
対処 |
|
調達・製造コストの上昇 |
循環型社会促進策等による製品への再生プラスチック資源利用への要求 |
インパクト |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 インダストリー事業 |
政策技術 |
短~中期 |
「最小化(Minimization)」 環境ラベル新基準相当の製品サーキュラーエコノミー設計、公共調達・入札要件への対応 |
製品開発コストの上昇 |
使用済み製品へのリサイクル義務化 |
インパクト |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 |
政策 |
中期 |
「最小化(Minimization)」 環境ラベル新基準相当の製品サーキュラーエコノミー設計、公共調達・入札要件への対応 |
製品サービスの需要変化による売上減少 |
森林生態系保護による森林資源へのアクセス制限 |
依存 |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 |
政策市場 |
短~中期 |
「回避 (Avoidance)」 プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換 |
自然に関連する「機会」
当社グループへの影響 |
自然の変化要因 |
対象セグメント |
分類 |
時間軸 |
|
ビジネスパフォーマンスに関わる機会 |
印刷産業のサプライチェーンを変革するデジタルソリューション技術 |
インパクト |
プロフェッショナルプリント事業 |
製品/サービス |
短~中期 |
アパレル産業のサプライチェーンを改革するデジタルソリューション |
インパクト |
プロフェッショナルプリント事業 |
製品/サービス |
短期 |
|
生産ラインのインクジェット化による顧客のワークフロー改革、水・溶剤削減 |
インパクト |
インダストリー事業 |
製品/サービス |
短~中期 |
|
水ストレスが高い地域での水レス染色システムの需要増 |
依存 |
プロフェッショナルプリント事業 |
製品/サービス |
短~中期 |
|
サステナビリティパフォーマンスに関わる機会 |
循環型社会形成促進策等による再生プラスチック技術・材料技術・センシング技術の需要増 |
インパクト |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 インダストリー事業 |
天然資源の持続可能な利用 |
中期 |
残留性有害物質等のフリー技術の提供 |
インパクト |
インダストリー事業 |
生態系の保護・回復・再生 |
長期 |
●現行の延長で自然が劣化し続ける場合
自然に関連する「リスク」への対処
当社グループへの影響 |
自然の変化要因 |
対象セグメント |
分類 |
時間軸 |
対処 |
|
生産能力減少による収益減 |
気候パターンの変化に伴う天然資源の供給量不足・供給停止 |
依存 |
インダストリー事業 |
慢性物理 |
長期 |
「回避 (Avoidance)」 特定の天然資源に依存しない製品設計と開発 |
水資源の枯渇・取水制限による生産・調達拠点の生産能力低下 |
依存 |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 インダストリー事業 |
慢性物理 |
長期 |
「最小化(Minimization)」 生産・調達拠点の水リスク評価、水使用量の削減 |
|
製品サービスの需要変化による売上減少 |
異常気象及び森林火災の発生に伴う森林資源へのアクセス制限 |
依存 |
デジタルワークプレイス事業 プロフェッショナルプリント事業 |
慢性物理 |
長期 |
「回避 (Avoidance)」 プリントチャージに依存しない収益モデルへの転換 |
自然に関連する「機会」
なし
リスクと機会の「分類」
移行リスク |
政策、市場、技術、評判、法的責任 |
物理的リスク |
急性物理、慢性物理 |
システミックリスク |
生態系不安定化、金融不安定化 |
ビジネスパフォーマンスに関わる機会 |
市場、資本の流れと資本調達、製品/サービス、資源効率、評判資本 |
サステナビリティパフォーマンスに関わる機会 |
天然資源の持続可能な利用、生態系の保護・回復・再生 |
「時間軸」の定義と評価基準
長期 |
10年以上 |
中期 |
3~10年以内 |
短期 |
1~3年以内 |
「自然の変化要因」
依存 |
土地の総フットプリント、土地/淡水/海洋利用の変化の範囲、水ストレス地域からの取水・消費、土地/海洋/淡水から調達する高リスクの天然資源 |
インパクト |
土壌汚染、排水量、廃棄物の発生と処分、プラスチックによる汚染、非GHG大気汚染物質 |
〔リスクとインパクト管理〕 自然関連のリスクとインパクトを識別・評価・管理するために用いるプロセス
当社では、森林生態系等、生物多様性を含む環境リスクは、グループ全体の経営リスクの一つとして位置付け、リスクマネジメント委員会において管理しております。また、特定の自然資源への依存を有する事業においては、事業中期計画の中で、生産・調達リスクを評価・特定して対応を行っております。なお、当社のリスク管理体制・リスクマネジメントプロセスの詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。また、自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の特定・評価・優先順位付けのプロセスについては、「〔戦略〕」に記載しております。
〔指標と目標〕 自然関連のリスク及び機会を評価・管理するために使用する指標と目標
当社グループの長期的な環境ビジョンである「エコビジョン2050」において、「地球資源使用ゼロに向けて、自社製品における地球資源使用量を2050年までに90%以上削減する」「自社製品以外での地球資源の削減貢献量を拡大する」及び「生物多様性の修復と保全に取り組む」を目標設定しております。この長期目標を達成するためのマイルストーンとして、中期経営計画(2023-2025)に紐づく「中期環境計画2025」において管理指標を設定しております。2025年度末までに自社製品における地球資源使用量を20%削減すること、自社製品以外での顧客・社会における資源削減貢献量を40万トン創出することを目標として設定し、年度計画を策定して四半期ごとに達成度を確認するとともに追加施策の検討を行っております。
また、各国地域における法規制及び条例順守に関連する環境項目につきましては、排水量、廃棄物、非GHG大気汚染物質を管理指標として設定し、定常的にモニタリングしております。
③ 人的資本
〔人財育成方針及び社内環境整備方針〕
[経営戦略に連動した人財育成]
少子高齢化による生産人口の減少やデジタル革命の進行、加えて新型コロナウイルス感染の拡大による人々の価値観やワーク・ライフスタイルの変容といったマクロ環境の中、当社は、Imaging to the peopleという経営ビジョンを掲げ、新たな成長戦略・事業転換方針を中期経営計画にて打ち出しております。この実現のために当社が求める人財像も大きく変化しており、従業員一人ひとりが、優れた知識・知見や経験に裏打ちされた独自のスキルをもち、課題解決のために自律的に考え、行動する人財、すなわち、プロフェッショナル人財となることに向けて、教育等の人財育成投資を積極的に進めております。
この活動の一つとして、2023年度までDX専門技術者1,000名を目標に掲げ、必要な教育を提供し、達成に至りました。現在は人財の活用フェイズに移っており、データ活用の優先度が高い部門への配置を進めており、職場内で実践につなげています。
[プロフェッショナル人財のポテンシャルとパフォーマンス最大化につながる社内環境の整備]
当社は、全社員の行動指標となる6バリューと社員の健康を基礎に、「プロフェッショナル人財個々の持つ違い」が有機的につながり、違いが“力”になることによるイノベーション創出、及びエンゲージメント・レジリエンス力の向上が必要と考えており、これにつながる社内環境の整備を進めております。
〔指標と目標〕
当社グループでは、会社の持続的成長を担うプロフェッショナル人財を最大限に育成し、活躍させていくために様々な取り組みを進めておりますが、その効果を測る指標として「Your Voice」と名付けたグローバルサーベイを毎年実施し、従業員エンゲージメントをスコア化しており、以下の目標を掲げております。
■エンゲージメント
目標:エンゲージメントスコアが2030 年度に業界上位25%に到達すること
このサーベイにてエンゲージメント及びその推進要因を把握し、そこから各職場で注力すべきポイントを明らかにして次期の取り組みに活かしております。
具体的には、サーベイを通して経営と従業員の距離感を課題認識し、社長自ら国内外の各拠点を訪問して従業員との直接対話を行っております。また、四半期決算においては、社長からの直接説明に加え、webを通して質問を受け付け、その場で回答しております。毎回、多くの質問があり時間内に答えきれない程であり、事後の回答を含めて、双方向コミュニケーションの場として機能しております。
各事業部や各社・職場単位でも、調査結果を起点にした対話を通して改善アクションを実行するサイクルを回し続け、2024年度のエンゲージメントスコアは事業構造を見直している状況ではありましたが、前年度スコアを維持しております。2025年度は現場での好事例から導き出した「対話ハンドブック」を作成し、「Your Voice」 の調査結果に基づき、「結果の共有」「メンバーとの対話」「アクションの実行」の3つのステップを着実に回すための「型」を展開していきます。
これらの取り組みを通して、エンゲージメントスコアを2025年度に業界の平均水準まで、2030年度には業界上位25%に入ることを目標としております。また、エンゲージメントスコアは役員の報酬決定スキームに組み込まれており、重要な経営指標の一つとし、グループ一体となって取り組んでおります。
〔具体的施策]
上記方針、目標達成のため実行している代表的な取り組みを以下に紹介します。
[個人への投資]
当社ではプロフェッショナル人財のポテンシャルとパフォーマンスを最大化し、ビジネスへの貢献につなげるため、4つの軸で教育体系を構築しております。すなわち、将来の社長候補やグローバルでの活躍を期待するポテンシャル人財など、人財を定めて必要な投資を行う「選抜育成」、入社時やプロモーションタイミングの人財あるいは組織をリードする立ち位置にある人財を対象とした「階層別教育」、女性リーダー育成に向けたマインドチェンジやメンター教育等の「キャリア形成支援」、最大150万円/年の自己啓発支援、豊富な社内教育プログラム等の自らが学びたいものを定めそこに必要な支援を行う「Re/Up skilling」となります。これらの教育投資とチャレンジ評価や人財公募、副業解禁等の多様な制度をかけ合わせ、個の力の最大化と同時にこれら人財の力を最大限に引き出せる組織風土づくりに取り組んでおります。
[組織開発]
・経営者候補人財の育成
会社経営を担える次世代リーダーを計画的に配置・育成するため、2020年度よりポテンシャル人財を可視化し、社長と事業トップが1on1で育成の方向性を確認・議論する場を設けております。この議論を通して、次の事業トップ候補はいるか、3~5年後を見据えたらどうか、という組織課題を明確にし、そのうえで、後任候補の特定とさらなる成長に向けて担わせる役割を社長と事業トップが握り、次の1年間の成長度合いを確認する、というサイクルを回しており、150名規模の計画的育成を行っております。
2024年度は、これに加えて、将来の社長候補に絞って、経営トップ層で人財を共有し、育成のための計画的な配置・教育プログラムを検討するための場として「人財委員会」を設置しました。社長を委員長として、事業担当・経理・人事の担当常務が委員となり、昨年は4回の委員会を通して、2030年代をターゲットとした人財を選定いたしました。また、4月からは、個々の強化領域を見ながら、事業を超えるようなアサインメントの実施や、外部教育機会の提供を具体的に進めております。
・グローバルビジネスリーダー育成
当社グループ約4万人のうち4分の3を占める海外人財の全社での活用も優先順位の高い課題です。それを加速するためにDX関連で実績のあるスイスのビジネススクールIMDと協業し、グローバルビジネスリーダー育成を進めております。全グループの優秀人財を可視化し、選抜された人財に対し、育成プログラムや経営トップによるコーチングの提供、個別育成計画の策定を経て、実際の国境を越えたアサイメントを進めております。
具体例としては、ヨーロッパのハイポテンシャル人財を日本本社に呼び、中期経営戦略策定メンバーに加えました。その中で、現場意見の計画への反映、そして海外販社施策との整合性を取ること等、目に見える貢献をしてくれております。ほかにもアメリカとオーストラリアの間での戦略的な人財ローテーションを実現する等、このプログラムの成果として表れております。
ここで選抜した人財が全社の経営人財候補となるよう、育成強化を図っていきます。
・ミドルマネジメント強化
当社では2022年より、いわゆる管理職制度を単線型から複線型に変更しております。昨今のビジネス環境の変化を受け、その中で求められる管理職のミッションを明確化し、専門性を突きつめビジネスに貢献する人財「エキスパート」と、多様な人財の力を引き出し組織に活力を与え実行力を上げる組織リーダー人財「エンパワーメントリーダー」に分け、それぞれの任用要件も大幅に見直しております。またこの変更に伴い、従来の管理を連想させる「管理職」という名称を「エグゼンプト」に変更しております。
エキスパートに関しては、報酬制度も刷新し、高い成果を上げたエキスパートには執行役員レベルの報酬を提供できることとなっており、これは社外の優秀な専門人財の採用にも大きく貢献しております。
一方、エンパワーメントリーダーには、コーチングやチームビルディング、コミュニケーションスキルをはじめとしたマネジメントスキル強化のためのプログラムを、実際に現場の組織、チームを率いるいわゆる課長クラス全員に対し、体系的かつ継続的に実施しております。2025年度はこれに加え、V字回復・中長期の利益成長実現のコアとなる部長クラスに対して、意識・行動両面の強化に向けたプログラムを実施していく予定です。
また、エキスパート・エンパワーメントリーダーともに、求められる行動がとれているかを、半期に1度の多面評価でチェックし、自らの行動を持続的にアップデートできるようにしております。
これらを通して、継続的な成長を促し、さらなる人財力強化を図っていきます。
・レジリエンス力の向上
組織の変革と成長への回帰を目指すにあたり、この変革はトップから起こすことが重要だと考え、まずは、経営層がプロフェッショナル人財・プロフェッショナル経営チームになるために当社では社長を含む役員と役員候補に対し、「レジリエンスプログラム」を導入しております。
「レジリエンスプログラム」とは、医学・脳科学・心理学的な観点から、人と組織が最高のパフォーマンスを出すために本質的に必要な要素について学び、それを1年間かけて習慣にしていくプログラムです。
具体的には、身体・情動・思考・精神性という4つの切り口にわかれております。例えば、脳のパフォーマンスを高めるための運動・栄養・睡眠だけではなく、困難で複雑な状況においても、高い視座と広い視点で自身と組織を統合する「人間性」も高めていくものになっております。
経営層自らが変革することで、その影響を次世代そして会社全体に波及させ、当社がプロフェッショナル人財集団へ変貌する根幹になると考えております。
[多様な人財の活躍推進]
・女性活躍推進
当社グループはグローバルで女性従業員が約3割を占め、セールス等の売上部門で働く女性は20.5%、STEM関連業務に携わる社員の女性割合も14.4%と、職種によらず女性が活躍しております。
当社グループ並びに当社での管理職における女性比率を戦略的に高めるべく、2030年度に当社グループ26%以上、当社18%以上という目標を定め、この目標に向け、様々な施策を実行しております。こうした活動を通じて、着実に管理職における女性比率は高まっており、2024年度末に当社グループでは19.2%超、当社においては11.1%に達しており、競合他社の3~9%台の数値と比較しても高い数値となっております。
例えば当社では、技術系中心の新卒採用において女性比率が30%以上となるよう積極的な女性採用施策を継続しており、また管理職へのプール人財を補強するための採用強化などを行っております。
また2021年度から、女性リーダーのパイプライン強化のために、エグゼンプト(当社における管理職の呼称)一歩手前の女性従業員に向けて、エグゼンプト登用を見据えた計画的な育成とリーダーシップを発揮するための力を身に付けるための研修を実施しております。これまでの経験を棚卸し経験やスキルの不足を見定めることで、エグゼンプト登用とその先の活躍を含めた成長につながる役割付与や能力開発を計画的に行っております。
今後も女性活躍における現場の課題に丁寧に向き合い、継続的に働きかけを行ってまいります。
(注)当社グループの女性管理職比率は、全グループ会社での集計が困難なため、当社及び国内連結子会社並びに200名以上の海外連結子会社の主要な約50社を集計したものです 。
・海外派遣プログラム「GLOW」
グローバルに広がる多様な人財の発掘を狙い、将来を担うマネジメント人財のパイプラインを戦略的に強化していく「GLOWプログラム」を進めております。
このプログラムは6ヶ月短期海外派遣で、2022年度より一新し、適用範囲を日本人のみから海外グループ社員にも広げ、日本から海外だけでなく、海外から日本、海外から海外という派遣も可能としております。
また、このプログラムは会社主導でミッションを与えるのではなく、強い意志をもった社員により、自らの力でミッションを設定する必要がある点も特徴的です。具体的には、派遣候補者は、自ら派遣先への受入交渉を行い、現地での貢献やミッション、そして派遣プラン策定を行う必要があります。自らがチャレンジする機会を掴み、現地の協力を得て目標に挑むことで、これまで培ったスキルや武器を国外でも通用するものに磨き上げながら、派遣者の多様性やグローバル視点を養い、世界と戦える真のグローバル人財の持続的な育成を目指していきます。
2023年5月から3期にわたり派遣しており、3期合計で31名、そのうち海外人財は10名となります。実際に派遣された際には、現場で短期に成果を上げるために、いかに早く現場に溶け込むか、いかに協力を引き出すか、苦労しながらも必死になって成果を上げてくれております。受入れ先からも派遣者による組織貢献に対して非常に高い評価を得ており、事業課題解決と人財育成両面で成果をあげております。
現在第3期として2025年4月から派遣を実施しており、次なる第4期の選考を開始しております。今後も、厳しくもリターンの大きいプログラムとして、しっかりと継続していきたいと考えております。
④人権
●基本的な考え方
人権は、全ての人間が持って生まれた権利であり、普遍的な価値の一つです。2011年に国連で「ビジネスと人権に関する指導原則(以下「UNGPs」)」が採択されたことにより、人権尊重に関する企業の責任が明確になりました。各国で人権に関連した法規制化や調達要件への組み込みが進み、UNGPsに沿った人権取組の重要性が益々高まっております。このような社会要請に応えていくことはもちろん重要ですが、加えて、人権尊重の姿勢を社内外に示すことでステークホルダーからの信頼の獲得、従業員との信頼構築につながり、結果的にサプライチェーン全体の競争力の向上や持続的な成長が実現できると考えております。
●方針
当社グループは、UNGPsの考えに基づき、経営審議会での承認を経て2021年9月に「コニカミノルタグループ人権方針」を制定いたしました。本方針に基づき、自社内のみならず当社グループの事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者に対しても、人権の尊重を求めております。また2022年4月に取締役会で承認のうえ改訂を行ったコニカミノルタグループ行動憲章においても、事業活動における最も基本的な要件の一つとして人権尊重を規定し、グローバルの従業員を対象に毎年実施するコンプライアンス研修に組み込んで周知を行い、バリューチェーン全体での人権侵害の低減に取り組んでおります。
●人権デュー・デリジェンス(以下「人権DD」)プロセス
当社グループは、UNGPsに則り人権DDの仕組みを構築しております。当社グループの事業活動や取引の結果、潜在的または顕在的に負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題を抽出し、抽出した負の影響を受けるステークホルダーとその人権課題に対して影響度を評価し、特に優先度が高いと思われる人権課題を特定しております。評価は定期的に見直すとともに、特に優先度が高いと思われる人権課題に関しては、人事/法務/調達/品質/IT/サステナビリティを担当する各部門がそれぞれ目標設定、施策の検討・実施を行っております。
また、人権DDを通じて人権侵害の可能性が発見された場合、または人権に関する通報窓口を通じて社内外から人権侵害の申し立てが発生した場合には、ステークホルダーとの真摯な対話と速やかな調査を実行します。その結果、人権に対する負の影響を直接的に引き起こしている(Cause)、直接的または間接的に助長している(Contribute)、取引関係を通じて人権への負の影響との直接関連している(Directly Linked)ことが明確となった場合は、社内外のしかるべき手続きを通じて是正策を講じていきます。
<人権DDプロセス>
<優先的に取り組む課題>
活動領域 |
優先的に取り組む課題 |
自組織 |
・過重労働、労働安全衛生、差別(女性活躍)、ジェンダーに関する人権問題、強制労働、児童労働・若年労働、プライバシーの権利 |
製品・サービス |
・顧客のプライバシー保護 |
調達品と取引先 |
・取引先企業での過重労働、労働安全衛生、差別、外国人移民労働者の権利侵害および先住民の人権侵害 |
・自組織領域での取り組み
上述の通り、グローバルの従業員を対象に毎年実施するコンプライアンス研修にて人権尊重の教育を実施しているほか、人権侵害の起きやすい生産機能を有している拠点において、Responsible Business Alliance(以下「RBA」)(注1)のフレームワークを軸にリスク評価の取り組みを進めております。具体的には、RBAが提供している自己診断票(以下「SAQ」)を用いて、労働・安全衛生・環境・倫理・サプライチェーンにおける人権侵害リスクの評価を行い、人権侵害につながる可能性のある課題が発見された場合は是正措置を行っております。また、特に従業員規模が大きく当社グループの主力製品の製造を担っている重要生産拠点においては、定期的にRBA VAP監査(注2)を受審し、人権リスクの低減に取り組んでおります。
(注1)RBA:電子機器業界を中心に、グローバルなサプライチェーンにおける責任あるビジネスを促進することを目的とする非営利団体。
(注2)RBA VAP監査:RBA行動規範に対する準拠状況を第三者監査機関が確認する監査。適合レベルに応じてPlatinum、Gold、Silverのランクが付与される。
・製品・サービス領域での取り組み
個人や企業を狙ったサイバー攻撃が増加するなかで、その手口はますます高度化・巧妙化しております。当社グループが提供する製品やサービスにおいても、セキュリティの脅威にお客様を晒すリスクを持つ可能性があるため、セキュリティを確保した製品・サービスを提供し、市場における製品セキュリティ事故を未然に防ぐとともに、万が一事故が発生した場合には、お客様の被害を最小限にとどめ、迅速に復旧・解決する取り組みが必要と考えております。
当社グループは、品質担当役員を責任者とする製品セキュリティの全社推進体制を確立し、品質本部主管のもと、事業部門を通じてすべての製品・サービスにおける重大セキュリティ事故の防止に取り組んでおります。セキュア開発・運用を実現するための「製品セキュリティガイドライン」を制定し、グループ全体で製品・サービスのセキュア開発・運用プロセスを推進しております。製品セキュリティガイドラインは、原則としてコニカミノルタグループのすべての製品・サービスの企画・提案から廃棄・サービス終了に至るまでのライフサイクル全体、ならびに開発・運用委託先や取引先などのサプライチェーン全体に適用し活動リスクの低減に取り組んでおります。
・調達品と取引先領域での取り組み
調達品に対しては「責任ある鉱物調達への対応」、取引先に対しては「コニカミノルタCSR調達推進プログラム」を適用してリスクの低減に取り組んでおります。
調達品に関して、当社グループの製品には多くの鉱物が使用されており、コンゴ民主共和国および周辺地域におけるタングステン、タンタル、金、スズの鉱物資源の採掘が紛争の資金源になっている可能性や、鉱山や精錬所における強制労働や児童労働の問題が指摘されていることを重要なリスクと捉えております。当社グループでは、「OECDによる紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンス・ガイダンス」に従い「鉱物サプライチェーンにおけるリスクに基づいたデュー・デリジェンスのための5ステップのフレームワーク」に準じた鉱物調達の取り組みを行っております。具体的にはResponsible Minerals Initiative (RMI)(注3)が発行している調査票であるCMRTやEMRTを使用して精錬所の調査を行い、その結果サプライチェーン上に紛争への関与が否定できない精錬所が存在する可能性がある場合は取引先に対して是正を要請しております。
取引先に対しては、すべての取引先に対して、当社グループが定める「コニカミノルタ調達方針」、「コニカミノルタサプライチェーン行動規範」および「コニカミノルタ責任ある鉱物調達方針」の遵守を要請し、書面での合意取得を行っております。さらに上流の取引先にも、直接の取引先を通じて要請を依頼しております。また、取引金額やESGリスクの大きさより選定した重要取引先に対してSAQを実施し、リスクが高い結果となった取引先に対して是正指導を実施しております。加えて製品の最終組立を委託している取引先に対しては定期的なRBA VAP監査の受審を要請し、人権リスクの低減に取り組んでおります。
(注3)RMI:紛争鉱物や高リスク地域からの鉱物調達に関する企業の責任ある行動を支援する国際団体。
●目標と実績
自組織および取引先のリスク管理について、定量的な目標を設定し取り組みを行っております。自組織に関する目標である自社生産拠点のSAQによる自己診断実施率は、2025年度までの累積目標100%に対して2023年度実績は30%(30拠点中9拠点)です。調達品・取引先に関する目標である重要取引先での自己診断(SAQ)実施率は、2025年度までの累積目標100%に対して、2023年度実績は29%(103拠点中30拠点)です。また、鉱物調査票CMRT回収率は毎年95%の目標に対して、2023年度の実績は95%です。なお記載している数値は「サステナビリティレポート2024」にて開示している実績値であり、2024年度実績は2025年7月ごろに確定予定となっております。