事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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日本事業 | 283,776 | 28.6 | - | - | - |
中国事業 | 249,952 | 25.2 | - | - | - |
アジアパシフィック事業 | 71,650 | 7.2 | - | - | - |
米州事業 | 118,547 | 12.0 | - | - | - |
欧州事業 | 132,665 | 13.4 | - | - | - |
トラベルリテール事業 | 107,834 | 10.9 | - | - | - |
その他 | 26,158 | 2.6 | - | - | - |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、当社、子会社71社および関連会社3社で構成され、化粧品、化粧用具、美容食品および医薬品の販売を主な事業内容とし、更に各事業に関連する研究およびその他のサービス等の事業活動を展開しています。
当社グループ各社の事業に係る位置づけおよびセグメントとの関連は、以下のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「7. 事業セグメント」をご参照ください。
(注) 各事業の会社数は、複数事業を営んでいる会社をそれぞれに含めて記載しています。
事業の系統図は以下のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
(単位:百万円)
(注) 1 コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失・買収関連費用等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
2 EBITDAは、コア営業利益に、減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)および償却費を加算しています。
3 売上高における実質増減率は、為替影響、当連結会計年度・前連結会計年度におけるすべての事業譲渡影響および譲渡に係る移行期間中のサービス提供に関わる影響(以下「事業譲渡影響」という。)および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除いて計算しています。
当連結会計年度における世界経済は、地政学リスクの高まり、物価高騰、為替相場のボラティリティ上昇等に伴う先行き不透明感が継続しました。中国では経済成長の減速が進んだ一方、欧州では緩やかな成長が続きました。また、米国では良好な雇用環境を背景に景気は堅調に推移したものの個人消費の勢いに陰りが見られるなど、先行きへの警戒感が高まりました。日本においては緩やかな景気回復となりました。
国内化粧品市場は物価上昇が家計の重石になる状況が続くなか、堅調に推移しました。訪日外国人旅行者数はコロナ禍前を上回り過去最高を更新しましたが、旅行者の消費行動の変化を背景にインバウンド消費は想定よりも緩やかな成長となりました。
海外化粧品市場の動向は地域ごとにばらつきが見られました。中国海南島などの免税市場では、規制強化に伴う流通在庫調整の影響は着実に縮小した一方で、中国人旅行者を中心とした消費の減速を背景に、厳しい市場環境が続きました。また中国では、景況感の悪化に伴う貯蓄の増加や消費低下を背景に停滞が続きました。欧米市場は下期に成長鈍化の兆しがみられ、全体としては緩やかな成長となりました。
当社グループは、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」のもと、環境問題やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを中心とした社会課題の解決に向けてイノベーションに積極的に取り組みながら、「Personal Beauty Wellness Company」として、スキンビューティーとウェルネスを融合し、一人ひとりの自分らしい健康美を実現する企業を目指します。そして2030年のビジョン「美の力を通じて“人々が幸福を実感できる”サステナブルな社会の実現」に取り組みます。
当期は、2023年から2025年までの3カ年を中心に取り組む中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」の2年目であり、グローバルコスト削減のための構造改革主要アクションの完遂と、グロスプロフィット最大化を追求する体制の構築に取り組みました。日本事業においては、「持続的な成長」、「稼げる基盤構築」、「人財変革」の3つを柱とする経営改革プラン「ミライシフトNIPPON 2025」の実行を通じて、収益性改善を着実に進めており、グローバルでも計画どおりにコスト構造改革の効果創出を実現しました。中国・トラベルリテール事業においては、組織構造の最適化を図るとともに、多様化する市場の変化を捉えた持続的な成長の実現を目指します。米州・欧州・アジアパシフィック事業においては、積極的な経営資源投下により成長加速を図ります。これらを通じ、適正な地域ポートフォリオへの転換を進め、不透明で変化の激しい市場環境にも柔軟に対応できる経営基盤の構築を進めていきます。
2024年11月には、早期の収益性改善と、その後の持続的な成長をより確実なものとするために、次の2カ年で実行する「アクションプラン2025-2026」を策定しました。注力ブランドへの選択と集中とグローバルでの聖域なきコスト構造改革実行を通じて、変化の激しい市場でも安定的な利益拡大を実現するレジリエントな事業構造を目指し、「ブランド力の基盤強化」、「高収益構造の確立」、および「事業マネジメントの高度化」に取り組みます。
① 売上高
売上高は、中国・トラベルリテールにおいて、中国人旅行者を中心とした消費低下が継続し減収、米州でも、売上回復が遅れ、減収となりました。一方、日本・欧州は、成長性・収益性の高い注力領域への積極投資や戦略的マーケティングが功を奏し、力強い成長が継続しました。また、アジアパシフィックは緩やかな成長となりました。その結果、前年比1.8%増の9,906億円、現地通貨ベースでは前年比2.7%減、為替影響、事業譲渡影響および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除く実質ベースでは前年比1.3%減となりました。
ブランド別には、事業譲渡・買収の影響を除いた「実質外貨前年比」の比較において、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」およびフレグランスは好調が継続した一方、「Drunk Elephant」は回復が遅れました。
② 売上原価
売上原価は、前年比8.6%減の2,374億円となりました。売上高に対する比率は、前年の減損損失や構造改革費用などによる影響に加え、在庫償却関連費用の減少や、事業譲渡に伴う製品供給影響の減少などにより前年比2.7ポイント減の24.0%となりました。なお、事業譲渡影響および減損損失影響などを除いた実質の原価率は生産数量減少に伴う原価増加により、前年比0.3ポイント増の23.4%となりました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、前年比7.9%増の7,514億円となりました。コア営業利益ベースの内訳は次のとおりです。
(イ) マーケティングコスト(注) 1
マーケティングコストの売上高に対する比率は、機動的なコストマネジメントにより減少したものの、ブランド価値向上のための投資継続強化により、前年比1.9ポイント増の28.6%となりました。
(ロ) ブランド開発費・研究開発費
ブランド開発費・研究開発費の売上高に対する比率は、前年比0.1ポイント減の3.9%となりました。
(ハ) 人件費(注) 2
人件費の売上高に対する比率は、インフレに伴い費用が増加したものの、構造改革等による人件費の適正化を進めた結果、前年比0.4ポイント減の23.0%となりました。
(ニ) 経費
経費(その他費用)の売上高に対する比率は、DX関連の投資費用が増加したことに伴い前年比0.4ポイント増の17.5%となりました。
販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は272億円となり、売上高に対する比率は2.7%となりました。なお、研究開発活動についての詳細は、「6 研究開発活動」に記載しています。
(注) 1 マーケティングコストは、PBP(パーソナルビューティーパートナー)関連諸費用を含めた場合は、売上高に対する比率は37.8%となりました。
2 人件費は、PBP(パーソナルビューティーパートナー)関連諸費用を除いた場合は、売上高に対する比率は13.8%となりました。
④ コア営業利益
コア営業利益は364億円、2024年11月に公表した業績予想の350億円は超過したものの、前連結会計年度に対しては35億円の減益となりました。トラベルリテール・米州事業の減益を、日本事業での大幅な増益や、全社を挙げた構造改革効果およびコストマネジメントにて一部相殺しました。また、「その他」は、トラベルリテール・中国事業向けの内部売上高減少に伴う差益減等により減益となったほか、「調整額」は未実現利益消去額の変動影響などにより、減益となりました。
⑤ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度にパーソナルケア製品の生産事業譲渡に伴う減損損失、構造改革費用、事業譲渡損に加え、大阪府内自社2工場の統合に係る減損損失等を計上したものの、社屋売却による固定資産除売却益の計上があった一方、当連結会計年度においては日本事業の早期退職支援プランに関する構造改革費用を計上したことなどから、前連結会計年度に対し206億円減益の76億円となりました。
⑥ 税引前利益又は損失
税引前利益又は損失は、営業利益が前連結会計年度に対し206億円減益の76億円となったことや、セラーノート(デットファイナンスの一種。売主が一部融資を行う)に関連する費用として128億円の長期貸付金の損失評価引当金繰入額を計上したことにより、前連結会計年度に対し323億円減少し、13億円の損失となりました。なお、長期貸付金の損失評価引当金繰入額の計上は当連結会計年度のキャッシュ・フローに影響を与えるものではありません。
⑦ 親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失
親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失は、前連結会計年度に対し326億円減少し、108億円の損失となりました。コア営業利益の減益や、非経常項目において主に日本事業の早期退職支援プランに関する構造改革費用を計上したことに加え、セラーノートに関連する費用として長期貸付金の損失評価引当金繰入額を計上したことが影響しました。
⑧ EBITDA
EBITDAは、前連結会計年度に対し23億円減益の896億円となり、マージンは9.0%となりました。
当連結会計年度における連結財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=151.5円、1ユーロ=163.8円、1中国元=21.0円です。
(報告セグメントの業績)
各報告セグメントの業績は次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいています。
売上高(外部顧客への売上高)
コア営業利益又は損失 (参考)
(注)1 当連結会計年度より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「日本事業」に計上していた一部業績を「その他」に計上しています。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。
2 売上高における実質増減率は、為替影響、事業譲渡影響および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除いて計算しています。
3 「その他」に計上しているパーソナルケア製品生産事業に係る売上高は、資生堂久喜工場の譲渡に伴い、2023年4月1日以降、一部を除き発生していません。
4 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業、飲食業およびヘルスケア事業(美容食品の販売)等を含んでいます。
5 コア営業利益又は損失における売上比は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高に対する比率です。
6 コア営業利益又は損失の調整額は、主にセグメント間の取引消去の金額です。
① 日本事業
日本事業では、経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じた収益性改善を引き続き進めています。成長性・収益性の高いブランド・商品・お客さま接点へ活動を集中させることで成長の加速に取り組み、愛用者数の増加が続いている「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」を中心とした注力ブランドで力強い成長を実現しました。また、戦略的マーケティングによりファンデ美容液という新市場創出に取り組み、「SHISEIDO エッセンス スキングロウ ファンデーション」などが好調に推移したほか、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「エリクシール」の新商品の好調も成長をけん引しました。訪日外国人旅行者数はコロナ禍前の水準を上回り過去最高を更新しましたが、旅行者の消費行動の変化を背景にインバウンド消費は想定よりも緩やかな成長にとどまりました。
以上のことから、売上高は2,838億円となりました。前年比は9.2%増、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比9.5%増となりました。コア営業利益は281億円、売上増による差益増や費用効率化などにより、前年に対し267億円改善しました。
② 中国事業
中国事業では、市場環境変化のなかで成長と収益性のバランスを取りながら、より消費者のニーズを踏まえたブランド・商品の価値伝達による持続的成長への転換を進めています。景況感の悪化に伴う消費低下の影響を受ける中でも、中国最大のEコマースイベントである「ダブルイレブン」では、ALPS処理水の海洋放出後の日本製品買い控えの影響があった前年からの反動もあり、大幅伸長しました。通期では、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「アネッサ」、「NARS」は成長しましたが、「SHISEIDO」は苦戦が続きました。
以上のことから、売上高は2,500億円となりました。前年比は0.8%増、現地通貨ベースでは前年比5.3%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比4.6%減となりました。コア営業利益は123億円、売上減に伴う差益減を、原価低減、固定費低減などの構造改革効果などにより相殺し、前年に対し53億円の増益となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業の国・地域では、台湾で市場鈍化の影響を受けましたが、タイを中心とする東南アジアがけん引し成長を維持しました。「アネッサ」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、フレグランスで力強い成長となりました。
以上のことから、売上高は717億円となりました。前年比は6.5%増、現地通貨ベースでは前年比0.9%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比2.5%増となりました。コア営業利益は60億円、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し9億円の増益となりました。
④ 米州事業
米州事業では、「NARS」や「Tory Burch」が増収となりました。一方、上期に一時的な生産減・出荷減が生じ、第3四半期において生産は安定化したものの、「Drunk Elephant」は売上回復が遅れました。
以上のことから、売上高は1,185億円となりました。前年比は7.5%増、現地通貨ベースでは前年並み、為替影響、事業譲渡影響および「Dr. Dennis Gross Skincare」買収影響を除く実質ベースでは前年比7.0%減となりました。コア営業利益は2億円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し110億円の減益となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、「SHISEIDO」や「NARS」が伸長したほか、フレグランスでは「narciso rodriguez」や新商品が貢献した「ISSEY MIYAKE」が好調をけん引しました。
以上のことから、売上高は1,327億円となりました。前年比は13.4%増、現地通貨ベースでは前年比5.2%増、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比8.2%増となりました。コア営業利益は37億円、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し3億円の増益となりました。
⑥ トラベルリテール事業
トラベルリテール事業(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)では、訪日外国人旅行者数の増加により、日本において堅調な回復を実現しました。一方、中国海南島・韓国では、中国人旅行者を中心とした消費の大幅な減少の影響を受け、低い出荷レベルが続きました。
以上のことから、売上高は1,078億円となりました。前年比は18.6%減、現地通貨ベースでは前年比23.8%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比23.8%減となりました。コア営業利益は50億円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し121億円の減益となりました。
(生産、受注および販売の実績)
生産、受注および販売の実績は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、増減率は変更後の区分方法に基づいています。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しています。
2 金額は製造原価によっています。
② 受注状況
当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間取引については相殺消去しています。
(2) 財政状態
① 資金調達と流動性マネジメント
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、ならびに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入や社債発行により調達しています。資金調達に関しては、有利な条件で調達が可能となる格付シングルAレベルを維持すべく、ネットデット・エクイティ・レシオ0.2倍、ネットデット・EBITDA・レシオ0.5倍を目安としながら、市場環境などを勘案して最適な方法でタイムリーに実施します。ただし、今後の収益力およびキャッシュ・フロー創出力を考慮したうえで、上記指標は株主還元方針と併せて、さらなる資本効率の向上に資する最適資本構成になるよう、適宜見直します。
手元流動性については、連結売上高の1.5ヶ月程度を一つの目安としています。当連結会計年度末の現金及び預金の総額は1,229億円となり、手元流動性は連結売上高(2024年1月1日から2024年12月31日までの期間)の1.5ヶ月分となりました。
一方、当連結会計年度末現在の有利子負債残高は3,656億円となっています。金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円、国内普通社債の発行登録枠の未使用枠2,850億円を有し、資金調達手段は分散化されています。
当連結会計年度末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。
② 格付け
当社グループは、流動性および資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持が必要であると考えています。当社グループは、社債による資金調達を行うため、ムーディーズ・ジャパン株式会社より格付けを取得しています。
2025年2月28日現在の発行体格付けはA3(見通し:ネガティブ)となっています。
③ 資産および負債・資本
(資産)
総資産は、持分法で会計処理されている投資が減少した一方、「Dr. Dennis Gross Skincare」の買収によりのれんおよび無形資産などが増加したことにより、前連結会計年度末に比べ764億円増の13,318億円となりました。
(負債)
負債は、営業債務及びその他の債務が減少したものの、社債及び借入金の増加などにより、621億円増の6,772億円となりました。
(資本)
資本は、配当金支払いにより利益剰余金が減少した一方、円安により在外営業活動体の換算差額が増加したことなどから、143億円増の6,546億円となりました。
1株当たり親会社所有者帰属持分は、前連結会計年度末に対し35.27円増の1,583.47円となり、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末比1.8ポイント減の47.5%となりました。また、親会社の所有者に帰属する持分に対する現金及び預金の総額を除いた有利子負債(リース負債除く)の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオは0.18倍となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ62億円減少し、985億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費及び償却費(757億円)、長期貸付金の損失評価引当金繰入額(128億円)などの増加項目があった一方、税引前損失(13億円)、営業債務の増減額(301億円)、営業債権の増減額(105億円)などの減少項目があったことにより、前連結会計年度末に比べ406億円減少の484億円の収入となりました。なお、利息及び配当金の受取額には(株)ファイントゥデイホールディングス(以下「FTH」という。)からの配当金(36億円)が含まれています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、FTHの全株式を譲渡したことによる関連会社株式の売却による収入(128億円)があった一方、子会社の取得による支出(489億円)や、ITシステムへの投資等の無形資産の取得による支出(258億円)、工場設備への投資等である有形固定資産の取得による支出(249億円)などにより、前連結会計年度末に比べ482億円支出は増加し、837億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入(510億円)、短期借入金の増加(420億円)、社債の発行による収入(150億円)があった一方、長期借入金の返済による支出(300億円)、リース負債の返済による支出(264億円)、配当金の支払額(240億円)などにより、前連結会計年度末に比べ990億円収入は増加し、234億円の収入となりました。
(4) 重要性がある会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」および「4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しています。
セグメント情報
7.事業セグメント
(1) セグメントの概要
当社グループの事業セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、経営者が、経営資源の配分の決定および業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、主に化粧品を製造・販売しており、お客さまの購買接点タイプ別に区分したブランドカテゴリーと、6つの地域(日本、中国、アジアパシフィック、米州、欧州、トラベルリテール)を掛け合わせたマトリクス型の体制のもと、事業活動を展開しています。その上で、各地域の責任者が、地域ごとに幅広い権限と、売上・利益への責任を持ち、機動的な意思決定を行っていることから、当社のセグメントは地域を主として、「日本事業」「中国事業」「アジアパシフィック事業」「米州事業」「欧州事業」および「トラベルリテール事業」の6つを報告セグメントとしています。
「日本事業」は、国内におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、プレミアム等)およびヘルスケア事業(一般用医薬品の販売)を包括しています。
「中国事業」は、中国におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス等)を包括しています。
「アジアパシフィック事業」は、日本、中国を除くアジア・オセアニア地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス等)を包括しています。
「米州事業」は、アメリカ地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス等)を包括しています。
「欧州事業」は、ヨーロッパ、中東およびアフリカ地域におけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス等)を包括しています。
「トラベルリテール事業」は、全世界の免税店エリアにおけるブランドカテゴリー別事業(プレステージ、フレグランス、コスメティクス等)を包括しています。
「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業、飲食業およびヘルスケア事業(美容食品の販売)等を包括しています。
(報告セグメントの変更等に関する事項)
当連結会計年度より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「日本事業」に計上していた一部業績を「その他」に計上しています。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。
(2) 報告セグメントごとの売上高、利益または損失その他の項目の金額の算定方法
報告セグメントの会計方針は、注記「3.重要性がある会計方針」で記載している会計方針と同一です。
報告セグメントの利益は営業利益(または損失)から構造改革に伴う費用・減損損失・買収関連費用等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出したコア営業利益で表示しています。
なお、セグメント間の取引価格および振替価格は市場実勢を勘案して決定しています。
(3) セグメント収益および業績
当社グループの報告セグメントによる収益および業績は以下のとおりです。
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 1 「欧州事業」は、中東およびアフリカ地域を含みます。
2 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業および飲食業等を含んでいます。
3 セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去の金額です。
4 「その他」に計上しているパーソナルケア製品生産事業に係る売上高は、資生堂久喜工場の譲渡に伴い、2023年4月1日以降、一部を除き発生していません。
5 セグメント資産および負債の金額は、経営資源の配分の決定および業績を評価するための定期的な検討の対象となっていないため記載していません。
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)
(注) 1 「欧州事業」は、中東およびアフリカ地域を含みます。
2 「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、生産事業、飲食業およびヘルスケア事業(美容食品の販売)等を含んでいます。
3 セグメント利益(△は損失)の調整額は、主にセグメント間取引消去の金額です。
4 注記「5. 会計上の見積りの変更」に記載のとおり、当社グループは、当連結会計年度より、一部のソフトウエアの耐用年数をより実態に即した経済的使用可能予測期間に基づく耐用年数に変更しています。
この変更により、当連結会計年度のセグメント利益が「日本事業」で115百万円、「中国事業」で77百万円、「アジアパシフィック事業」で215百万円、「米州事業」で228百万円、「トラベルリテール事業」で221百万円、「その他」で1,509百万円、それぞれ増加しました。
5 セグメント資産および負債の金額は、経営資源の配分の決定および業績を評価するための定期的な検討の対象となっていないため記載していません。
セグメント利益から、営業利益への調整は、以下のとおりです。
前連結会計年度における事業譲渡益は、アジアでプロフェッショナル事業を展開する当社子会社3社(台湾資生堂股份有限公司、法徠麗國際股份有限公司および資生堂マレーシアSdn. Bhd.)が当該事業の資産をHenkel AG & Co. KGaAグループ会社に譲渡したことによる対象資産の譲渡益です。連結損益計算書上、当該譲渡益は「その他の営業収益」に含まれています。
前連結会計年度における事業譲渡損は、パーソナルケア製品の生産事業を営む資生堂久喜工場および資生堂ベトナムInc.を㈱ファイントゥデイホールディングスへ譲渡したことによる譲渡損です。連結損益計算書上、当該譲渡損は「その他の営業費用」に含まれています。
前連結会計年度における構造改革費用は、主に資生堂久喜工場および資生堂ベトナム工場におけるパーソナルケア製品の生産事業譲渡の契約締結に付随する費用です。連結損益計算書上、当該費用は「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「その他の営業費用」に含まれています。
当連結会計年度における構造改革費用は、主に資生堂ジャパン㈱のビジネストランスフォーメーションの一環としての早期退職支援プランに伴う費用および関連する退職給付債務の清算益です。連結損益計算書上、当該費用は「売上原価」、「販売費及び一般管理費」、「その他の営業収益」および「その他の営業費用」に含まれています。
前連結会計年度における減損損失は、資生堂久喜工場および資生堂ベトナム工場におけるパーソナルケア製品の生産事業譲渡の契約締結に伴う資産グループの減損損失、資生堂アメリカズCorp.が賃借しているオフィスのサブリースによる収益性低下に伴う減損損失、および資生堂大阪工場の生産を資生堂大阪茨木工場に統合することに伴う資産グループの減損損失です。連結損益計算書上、当該費用は「売上原価」および「販売費及び一般管理費」に含まれています。
当連結会計年度における減損損失戻入は、前連結会計年度に減損損失を認識した資生堂大阪工場の製造設備のうち、収益性が回復した設備から生じた減損損失戻入です。連結損益計算書上、当該収益は「その他の営業収益」に含まれています。
前連結会計年度における固定資産売却益は、当社および当社子会社所有の不動産売却に伴い発生した収益です。連結損益計算書上、当該収益は「その他の営業収益」に含まれています。
当連結会計年度における固定資産売却益は主に当社子会社所有の不動産売却に伴い発生した収益です。連結損益計算書上、当該収益は「その他の営業収益」に含まれています。
当連結会計年度における買収関連費用は、DDG Skincare Holdings LLCの買収に伴う直接的な費用です。なお、従来構造改革費用に含めていましたが、当連結会計年度より区分掲記しています。連結損益計算書上、当該費用は「販売費及び一般管理費」に含まれています
当連結会計年度における社内制度変更に伴う一時費用は、連結損益計算書上、「販売費及び一般管理費」に含まれています。
(4) 製品及びサービスに関する情報
化粧品事業の外部顧客への売上高が連結損益計算書上の「売上高」のほとんどを占めているため、記載を省略します。
(5) 地域別に関する情報
売上高および非流動資産の地域別内訳は以下のとおりです。
売上高
(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しています。
非流動資産
(注) 非流動資産は、資産の所在地を基礎とし、国または地域に分類しています。また、金融商品、繰延税金資産および退職給付に係る資産を含んでいません。
(6) 主要な顧客に関する情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める特定の外部顧客への売上高がないため、記載を省略しています。