人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,023名(単体) 27,908名(連結)
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平均年齢38.9歳(単体)
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平均勤続年数10.8年(単体)
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平均年収7,205,560円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年12月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しています。
2 臨時従業員には、契約社員、パートタイマーを含み、派遣社員を除いています。
(2) 提出会社の状況
2024年12月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に当事業年度の平均人員を外数で記載しています。
2 臨時従業員には、契約社員、パートタイマーを含み、派遣社員を除いています。
3 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
資生堂労働組合は、1946年2月に資生堂従業員組合として発足し、現在当社および国内主要連結子会社で組織され、組合員数は11,034名です。
なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。労働者の男女の賃金の差異は、男女の平均年間賃金について、男性を100とした場合の女性の割合です。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合(育児休業等+育児目的休暇を取得した男性社員・契約社員の数/配偶者が出産した男性社員・契約社員の数×100)を算出しています。
② 連結子会社
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。労働者の男女の賃金の差異は、男女の平均年間賃金について、男性を100とした場合の女性の割合です。
2 女性管理職比率は国内資生堂グループ全体で管理しており、国内資生堂グループ全体の女性管理職比率は41.1%です。グループ内で雇用管理が一体的になされているため、国内資生堂グループ全体として公表しています。
対象範囲:国内資生堂グループ(21社)
① 本社 株式会社資生堂、
② 連結子会社 資生堂ジャパン㈱、資生堂アステック㈱、花椿ファクトリー㈱、㈱エテュセ、㈱エフェクティム、㈱ジャパンリテールイノベーション、㈱ザ・ギンザ、資生堂美容室㈱、㈱資生堂パーラー、㈱エトバス、KODOMOLOGY㈱、㈱イプサ、資生堂インタラクティブビューティー㈱、資生堂クリエイティブ㈱
③ 連結子会社以外 ㈱ピエールファーブルジャポン、学校法人資生堂学園資生堂美容技術専門学校、資生堂健康保険組合、資生堂企業年金基金、公益財団法人資生堂子ども財団、資生堂労働組合
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出しています。
4 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではない連結子会社については、記載を省略しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) サステナビリティ全般
当社は、1872年の創業時から、人、社会、自然を敬い、社会価値の創造を行ってきました。企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD (美の力でよりよい世界を)」のもと、ビューティーカンパニーならではのアプローチで社会課題を解決し、2030年に向けては「美の力を通じて、人々が幸福を実感できるサステナブルな社会の実現」を目指しています。サステナビリティを経営戦略に組み込み、事業を通じた社会価値の創造と環境・社会課題の解決を促進します。
① ガバナンス
当社では、ブランド・地域事業を通じて全社横断でサステナビリティの推進に取り組んでいます。迅速な意思決定と確実な全社的実行のため、専門的に審議する「Sustainability Committee」を設置し、定期的に開催しています。「Sustainability Committee」では、資生堂グループ全体のサステナビリティに関する戦略アクションや方針、気候変動と自然環境に関するリスクおよび機会や、人権対応アクションなど具体的な活動計画に関する意思決定を行っています。また、サステナビリティ戦略における中長期目標の進捗状況についてモニタリングを行っています。出席者は代表執行役を含む経営戦略・財務・研究開発・サプライネットワーク・人事・DE&I・広報、およびブランドホルダーなど各領域のエグゼクティブオフィサーで構成され、それぞれの専門領域の視点から活発に議論をしています。その他、特に業務執行における重要案件に関する決裁が必要な場合は「Global Strategy Committee」や取締役会に提案もしくは報告しています。また、戦略アクションに係る確実な業務執行・推進を行うため、「Sustainability Committee」の下部に、主要関連部門の責任者から構成される「Sustainability TASKFORCE」を設置し、長期的な目標達成に向けての推進方法やサステナビリティに関連した課題解決について議論し、地域本社や海外を含むその他の関連部門も巻き込んだ活動を行っています。
② 戦略
当社は、サステナビリティを経営戦略に組み込み、事業を通じた社会価値創造と環境・社会課題の解決を促進しています。サステナブルな社会の実現のため、環境・社会領域でそれぞれ3つの戦略アクションを掲げています。
「環境」の領域では、社名の由来でもある「万物資生」(注)の考えに基づき、環境負荷を軽減し、使い捨てではなくサーキュラーエコノミーの実現を目指しイノベーションやビジネスモデルの構築に取り組んでいます。バリューチェーン全体を通してさまざまなステークホルダーとともに取り組みを推進する「地球環境の負荷軽減」「サステナブルな製品の開発」、環境や人権に対応した「サステナブルで責任ある調達の推進」の3つの戦略アクションを実行しています。
「社会」の領域では、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を中心に社会課題の解決に取り組んでいます。ジェンダーにかかわらず、公正な機会が得られ、一人ひとりが自分らしく生きられる社会の実現を目指した「ジェンダー平等」、美しさに関する無意識な思い込みや偏見を払しょくし、個々の美しさに共鳴しあえる社会を目指した「美の力によるエンパワーメント」、そして、すべての活動の根底となる「人権尊重の推進」の3つの戦略アクションを実行しています。
(注) 中国の古典「易経」の一節、「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」の一部
③ リスク管理
当社は、中長期の事業戦略の実現に影響を及ぼす可能性のあるリスクを総合的・多面的な手法を用いて抽出し、特定しています。その中には、「環境対応(気候変動・生物多様性など)」「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」「自然災害・感染症・テロ」といったサステナビリティ領域のリスクも含まれています。これらのリスクも、事業継続や戦略に影響を及ぼす要因の1つとして科学的または社会経済的なデータに基づいて分析され、全社のリスクマネジメントに統合されます。特定されたリスクは、重要度に応じて、「Global Risk Management & Compliance Committee」や「Global Strategy Committee」にて対応策などが審議されています。また、必要に応じて取締役会に提案もしくは報告される体制となっています。
④ 指標及び目標
当社は、戦略アクションに基づいた中長期目標を設定し、進捗を定期的にトラッキングしています。毎年グローバルのステークホルダーに向けた「サステナビリティレポート」を発行し、当社の事業を通じたサステナビリティアクションの中長期目標とその進捗を開示しています。
〔中長期目標〕
・環境
(注) 1 2024年実績は2025年発行予定のサステナビリティレポートにて開示予定
2 2026年までにカーボンニュートラル達成(資生堂全事業所、オフセット含む)の目標を含む
3 資生堂全事業所(対2019年)
4 資生堂全事業所を除くバリューチェーン全体、経済原単位(対2019年)
5 資生堂全事業所、経済原単位(対2014年)
6 プラスチック製容器について
7 RSPOの物理的なサプライチェーンモデルによる認証(アイデンティティ・プリザーブド、セグリゲーションまたはマスバランスのいずれかに基づくもの)、パーム油換算重量ベース
8 製品における、認証紙または再生紙など、紙重量ベース
・社会
(2) 気候変動関連等の取り組み
当社は、気候変動問題が事業成長や社会の持続性に与える影響の重大性を踏まえ、TCFD/TNFDおよびISSB/SSBJのフレームワークを参照して情報開示を行っています。脱炭素社会への移行、および気候変動に伴う自然環境の変化によって引き起こされるリスクおよび機会について、1.5/2℃シナリオと4℃シナリオにおける短期・中期・長期の定性的・定量的な分析を試みました。自然に関しては、生物多様性の喪失や水資源の動態を考慮した定量的な長期リスクを特定し、「資生堂 気候/自然関連財務情報開示レポート」として開示しました。
① ガバナンス
当社の気候変動関連等のガバナンスに関しては、サステナビリティ全般における推進体制と同様の体制で取り組んでいます。詳細は、前述「(1) サステナビリティ全般」の「① ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略
気候関連リスクおよび機会について、1.5/2℃から4℃の範囲で気温上昇を想定し、RCP-SSPシナリオに沿って分析を実施しました。移行リスクについては、脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を、物理的リスクについては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性/慢性的な変化要因について、各シナリオ条件における影響を分析しました。
2030年時点における移行リスクとして、炭素税によって約0.5~8.7億円規模の財務影響が発生する可能性を予測しています。物理的リスクについては、洪水により約9億円、水不足により約35億円の潜在的なリスクを見込んでいます。機会に関しては、1.5/2℃シナリオにおいて、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まると予想されます。4℃シナリオにおいては、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大すると予想されます。イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していくことで、リスクの緩和と新たな機会の創出を目指しています。
●がついている要因は定量分析も実施しています。
自然関連リスクおよび機会に関しては、ライフサイクルアセスメントによってバリューチェーンを通じた生物多様性への影響側面の定量分析を行い、特に原材料調達における影響が大きいことを明らかにしました。そこで、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って、生物多様性への依存度の高い化粧品原材料について原産地を推定し、依存側面における物理的リスク分析としてミツバチなどの花粉媒介者による生態系サービスの金額化を行いました。同時に、移行リスクとして、サステナビリティ関連規制に関わるリスク分析を、気候変動問題とあわせて実施しています。
資生堂 気候/自然関連財務情報開示レポートは、企業情報サイトで公開しています。
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/env/pdf/risks_report.pdf
気候変動に関わる対応として、当社では気候変動を重要課題として認識し、CO2排出量削減にバリューチェーン全体で取り組んでいます。CO2排出量の削減については、特にScope 1およびScope 2のCO2排出量について、2030年までに46.2%削減(2019年対比)を達成することを目標として設定しました。また、Scope 1、2に加えてバリューチェーンからの間接排出であるScope 3についても、1.5℃経路に整合した長期目標を設定し、SBTi(注)1 から認証を受けています。
当社のグローバル全サイトでは、再生可能エネルギーの使用を推進しています。2023年にはグローバル全11工場・自社物流センターにおける再生可能由来の電力への切り替えを100%完了しました。工場では、建物の断熱設計や、省エネルギーにつながる効率的な設備の選定や、環境マネジメントシステムISO 14001に基づく環境対策などを通じてエネルギー効率の向上に努めています。さらに、世界各国・各地域の工場や研究所の敷地内や建物に太陽光発電設備の設置を積極的に推進し、資生堂全体で9施設(注)2 に設置されています。
生物多様性に関わる対応として、当社ではTNFDの枠組みなどを活用し、事業と陸域・水域・海洋の生物多様性との関係を分析し、原材料調達による陸域生態系への依存と影響が大きいことを特定しています。なかでもパーム油や紙は影響も重大なため、企業の積極的な対応が求められており、当社はパーム油と紙について中長期目標を開示し、サステナブルな原材料への切り替えを進めています。加えて、生産事業所の敷地および周辺地域について生態系評価を行い、さらなる生態系理解と改善に努めています。
当社では、気候や生物多様性を含む地球システムと事業との関係性についての俯瞰的な視野を持つ重要性を理解しています。リスクと機会の評価を通じて重要な領域を特定し、優先順位をつけ、問題解決に貢献していくことが重要と考えています。再生可能エネルギーの活用や生物多様性を考慮した責任ある調達に加えて、環境配慮型の処方/成分の開発や、循環型の容器包装とリサイクルモデルの開発など、ライフサイクル思考に基づいた新しい価値創出に向けた取り組みを進めています。これら取り組みの詳細については、2025年発行予定の「サステナビリティレポート」をご参照ください。
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/report.html
(注) 1 パリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設定することを推進している国際的なイニシアティブ
2 掛川工場、大阪茨木工場、福岡久留米工場、上海工場、北京工場、台湾工場、イーストウィンザー工場(米国)、ジアン工場(フランス)、グローバルイノベーションセンター(横浜)で設置
③ リスク管理
当社の気候変動関連等の取り組みのリスク管理に関しては、サステナビリティ全般のリスク管理と合わせて取り組んでいます。詳細は、前述「(1) サステナビリティ全般」の「③ リスク管理」をご参照ください。
④ 指標及び目標
当社の気候変動関連等の取り組みの指標及び目標の詳細は、前述「(1) サステナビリティ全般」の「④指標及び目標」をご参照ください。
具体的には、気候変動に関してCO2排出量削減を目標として設定し、また定期的に気候変動に伴う状況をモニタリングし、対応策を講じることで、リスクの緩和に努めています。特にScope 1およびScope 2のCO2排出量について、2030年には46.2%削減(2019年対比)を達成することを目標として設定しました。また、自社サイトを除くバリューチェーンからのCO2排出量削減に関してもSBTイニシアティブ(SBTi)ベースでの目標設定をしています。1.5℃経路に整合したいずれの2030年目標も、SBTiの認証を取得し、CO2排出量削減に取り組んでいます。また2022年にはRE100(注) に加盟しています。Scope 1・2のCO2排出量削減のため、インターナルカーボンプライシング制度の導入を決定し、2024年から省エネ設備や再生可能エネルギー設備などの脱炭素投資判断への活用を始めました。
生物多様性に関しては、環境への影響の大きな紙やパーム由来原料について、中長期目標を開示し認証原材料などへの切り替えを進めています。
また、当社では気候変動や海洋プラスチックごみ問題はグローバルで喫緊に解決すべき環境課題と認識し、サステナブルな製品開発を強化しています。当社独自の容器包装開発ポリシー「5Rs:Respect(リスペクト)・Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)・Replace(リプレース)」を前提としたイノベーションを通じて、2025年までにプラスチック製容器においては、100%サステナブルな容器を実現するという目標を掲げています。
(注) 事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする企業で構成される国際的なイニシアティブ
(3) DE&Iの取り組み
資生堂は、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を重要な経営戦略と位置づけています。多様な人の力を通じてビューティーカンパニーとしての社会価値を創造し、持続的な成長を目指します。
① ガバナンス
当社のDE&Iのガバナンスに関しては、サステナビリティ全般における推進体制と同様に取り組んでいます。詳細は、前述「(1) サステナビリティ全般」の「① ガバナンス」をご参照ください。
人権に関しては、「Sustainability Committee」の下にチーフ DE&I オフィサーが率いる人権プロジェクト体制を構築し、人権デューデリジェンスを実施しています。2年に1度の人権リスクアセスメントによって特定した人権の重要課題については、半年に1度、課題ごとに責任を持つ部門が是正措置と改善状況を報告しています。人権プロジェクトはこれらを定期的に「Sustainability Committee」に報告し、全社のリスク軽減状況をモニタリングしています。重要な実績や課題は、取締役会へ毎年報告もしくは提案しています。
② 戦略
本業を通じた社会価値創出と社会課題の解決に向けて、当社は社員だけでなく生活者をはじめとするステークホルダーとともに、私たちの企業活動において、誰もが自分らしくいられる、インクルーシブな(包摂性豊かな)社会づくりに注力します。特にDE&Iに注力しており、ジェンダー、年齢、国籍、性的指向、性自認、障がいなどの多様性を尊重し合い、イノベーションを生み出す企業文化を醸成します。
美で勇気づけ、違いを認め合い、尊重し合う社会をつくるという考えのもと、より大きなインパクトをもたらすには、DE&I戦略を地域社会ごとのニーズに合わせて対応する必要があります。私たちは社会のイニシアティブに参画するなど、幅広いステークホルダーとの協働と対話によって、各地域のニーズおよびリスクへの考察を深めています。資生堂グローバル本社は地域本社やブランドと定期的なコミュニケーションを取り、各地域のニーズに応えて継続的な変化を起こすよう促しています。
当社は、女性活躍や化粧によって人々を勇気づけてきたこれまでの経験と知見を活かし、「ジェンダー平等」「美の力によるエンパワーメント」「人権尊重の推進」の3つの戦略アクションを設定しました。「ジェンダー平等」では、日本におけるジェンダーギャップ解消やグローバルでの女子教育支援を通じて、2030年までに100万人を支援します。「美の力によるエンパワーメント」では、自己効力感の醸成や無意識の偏見への取り組みを通じて、同じく100万人を支援します。これらの取り組みは、ビューティービジネスと社内DE&Iの強みを活かし、グローバルな社会課題の解決に貢献します。コミットメント達成に向け、資生堂グローバル本社、地域本社、ブランドが、国際機関やNGOなどのステークホルダーとも連携しつつアクションを展開します。マーケティングやクリエイティブを担う社員のDE&Iリテラシー向上にも注力し、ブランドや事業活動におけるDE&Iのアプローチによる新たな価値創造を促します。
ジェンダー平等
当社は日本発の企業として、ジェンダー平等を最優先事項としています。日本企業の役員に占める女性比率の向上を目指す「30% Club Japan」に参画し、TOPIX 100とTOPIX Mid 400に含まれる企業34社の会長・社長からなるコミュニティ「TOPIX社長会」の活動をリードしてきました。企業横断でのベストプラクティスの共有や機関投資家・大学とのパートナーシップによって、同質性からの脱却とイノベーションの創出に向けたインパクトが強化されました。また、大学との共同研究である「資生堂DE&Iラボ」では、日本が世界に大きく後れをとっている女性活躍について、企業がジェンダー平等を実現する際の課題を可視化しています。その解決策や知見を社内外へ広く発信することで、日本社会のDE&I推進を牽引しています。2019年より、クレ・ド・ポー ボーテはユニセフとのグローバルパートナーシップを通じて、STEM教育の推進や職業訓練の提供など、ジェンダー平等の実現にも貢献しています。また、同ブランドではグローバルチャリティープログラム「パワー・オブ・ラディアンス・アワード」を設立し、少女たちの社会的地位向上とエンパワーメントを推進するために女子教育に貢献した女性を毎年表彰しています。
美の力によるエンパワーメント
当社は、深い肌悩みの方へ向けた「SLQM (Shiseido Life Quality Makeup)」や、がんサバイバーの社会参画を支援する「LAVENDER RING MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」などのプログラムを通じて、さまざまな悩みや困難を抱える人の心身および社会的な満足(注)を実現する活動を行っています。私たちの組織においては、従業員の参加と対話によって、DE&Iの課題と範囲が広がり、よりインクルーシブな職場づくりにつなげています。従来から米州地域本社にて従業員リソースグループがDE&Iを進めてきました。2024年からは国内資生堂グループ社員向けにDiversity Weekを開催し、従業員リソースグループによりLGBTQ+や障がいのある当事者との対話機会を増やしました。こうしたステークホルダーエンゲージメントによって、取り組む社会課題の範囲を広げ、インクルーシブな企業文化の構築に役立てています。コミットメント達成に向け、資生堂グループの各ブランドは事業を通じたDE&Iの社会活動に取り組んでいます。「SHISEIDO」は、「SEE, SAY, DO.」 プロジェクトの一環として、「自分らしい美しさ」を制限する無意識の思い込みや偏見とどう向き合うかを主体的に考え、話し合う若年層向けプログラムを開発しました。2024年からは、日焼け止めブランド「アネッサ」が、太陽のもとでの活動を通じて、アジア12の国と地域で子どもたちの心と身体の健全な成長を支援する「ANESSA Sunshine Project (アネッサ サンシャイン プロジェクト)」を始動しました。
(注) 社会や人とのつながりが維持できている状態
③ リスク管理
当社のDE&Iの取り組みのリスク管理に関しては、サステナビリティ全般のリスク管理と合わせて取り組んでいます。詳細は、前述「(1) サステナビリティ全般」の「③ リスク管理」をご参照ください。
人権に関しては、2年に1度の人権リスクアセスメントを実施し、バリューチェーンにおける人権課題を抽出しています。これに基づき、エグゼクティブオフィサーおよび関連部門が人権に対する負の影響の停止、防止、軽減に向けた活動を行っています。
④ 指標及び目標
当社DE&Iの取り組みの指標及び目標の詳細は、前述「(1) サステナビリティ全般」の「④指標及び目標」をご参照ください。
(4) 人的資本の取り組み
当社の企業理念「THE SHISEIDO PHILOSOPHY」を構成する「OUR DNA」の1つである「PEOPLE FIRST」は、ビューティー・イノベーションが、社員(PEOPLE)から最初(FIRST)に始まる、ということを意味しています。価値創造の源泉である社員を最も重要な資産と捉え、価値創造を最大化するために、人と組織文化に対する取り組みや投資を継続しています。人と組織文化への取り組みに関するプロセスをトラッキングしながら、そのリターンの最大化を図り、2030年ビジョン「Personal Beauty Wellness Company」の実現を目指します。
① ガバナンス
経営戦略の一部としての人事戦略の策定および実行をはかるため、当社ではチーフピープルオフィサー(CPO)を設置しています。CPOは、中期経営戦略に基づき、人事戦略を策定し、「Global Strategy Committee」(注)での議論を経て、取締役会に提案もしくは報告しています。さらに、設定した事項の推進にあたっては、透明性・客観性を高く実現する体制を整えています。例えば、キーポジションに対する後継者の指名・育成計画、適材適所な配置・登用、個人業績評価の妥当性確認、地域本社の経営メンバーの評価・報酬の決定(地域本社報酬委員会)等、特に経営上の重要事項については複眼で公平公正に審議され、執行役や代表執行役の承認・支援の下で実行しています。
(注) 詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」の「① コーポレート・ガバナンス体制」をご参照ください。
② 戦略
当社の企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(美の力でよりよい世界を)」の実現に向けて、150年を超える歴史のなかで受け継いできた「美の感性」を軸に据えながら、経営戦略を実行するための変革に対する強固な意志と情熱にあふれる人を確保・強化するとともに、多様な人の知と能力を集結させ、イノベーションを連続的におこす組織文化の構築に力を入れています。
理想とする組織文化の姿を「Beauty Innovation Atelier – Energized by Passion, Collaboration and Excellence(パッション、コラボレーション、エクセレンスのエネルギーで満たされたビューティー・イノベーション・アトリエ)」として英語で定義をしました。社員一人ひとりがパッション(自発的モチベーション)を高く保ち、異なる強みを融合して高いアウトプットを共に創出し、ビューティー・イノベーションを連続的におこす姿を描いたキービジュアルも併せて作成し、この姿を世界約100カ国の国・地域から集まった社員と共有・浸透を図ると共に人事施策を展開しています。
人事施策を推進するにあたっては、社員一人ひとりのパッションに火がつき、可能性や能力を遺憾なく発揮して、当社で成功できるように支援することが大切です。そのため、パッションにつながる8つの要素を「パッションドライバー」として定義し、重要な指標に位置づけたうえで、グローバルエンゲージメント調査のなかで確認し、課題の認識・改善につなげるというPDCAサイクルを取り入れました。
<強固な意志と情熱にあふれる人の確保および強化>
当社の企業使命の実現に向け、ブランドを軸とした当社の商品、サービス、活動に大きな変革をおこすために、「美の感性」を磨き、強い意志と情熱で未来を創造することへの意欲にあふれた人材で会社を埋め尽くすことが重要と考えています。そして、多様な知と能力の融合によって価値が生まれるとの考えのもと、異なる価値観を尊重し共感し合うダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を大切にしています。一人ひとりの異なる強みを融合させる化学反応によって、インスピレーションに満ちた創造的思考と多様なアイデアが生まれ、価値創造につながると考えています。そのため、採用においては、高い採用基準によるトップタレントの採用と多様性を活動の中核に据えています。
特に国内資生堂グループでは、障がいのある方の雇用と活躍にも積極的に取り組んでおり、多様な障がいのある社員がそれぞれの経験や強みを活かして働いています。一人ひとりの障がいの状況に応じた支援ツールや設備、本人の要望に応じた柔軟な環境整備など、ソフトおよびハードの両面で合理的な範囲で充実させています。当社の特徴的な施策の1つとして、雇用の創出を目指す「職域拡大プロジェクト」があります。2021年には視覚に障がいのある社員が通信営業として働けるシステムや体制を構築しました。2024年に開始した聴覚に障がいのあるお客さまを対象とした無料のオンライン美容相談サービス「Online Beauty」では、手話を日常的に使っている障がいのある社員を採用し、今後資生堂パーソナルビューティーパートナー(PBP)として活躍していく準備を進めています。
人材育成においては、不確実性や課題に直面しながらも、企業使命を実現するために、また、このような環境のなかで生まれるチャンスを活かすために、変革をリードするマインドと能力を兼ね備えたリーダーの育成が重要と考えています。2024年度は、美の感性と変革をリードするマインド・能力を兼ね備えたリーダーの育成に注力しました。資生堂におけるリーダーシップモデルを「Futurists, Leading Change(未来を創造する変革リーダー)」と定義し、導入・展開を開始しました。グローバル本社においては、合計1,000名以上を対象としたワークショップを開催し、このリーダーシップモデルの定着を図りました。今後はグローバル各地域での展開を進めるとともに、育成や評価などに活用していきます。
そのほかにも人材の強化を図る施策として、資生堂グループ全体での適材適所な人材配置と戦略的にタレントを育成する「戦略的タレントマネジメント」、中長期的な業績の向上とストレッチした業務アサインメントにより社員の成長を図る「パフォーマンスマネジメント」、主体的なキャリア開発と専門性強化のためのキャリアワークショップやeラーニング、社員自身が作成した中長期的なキャリアゴールを描く「キャリア・ディベロップメントプラン(CDP)」などの「自律的キャリア開発支援」があります。トレーニングプログラムとしては、目的と対象者に応じて、選抜型プログラム、選択型プログラム、必須プログラムの3種類を提供しています。幹部候補の女性社員が自身や周囲のアンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)から自由になり、マネジメントや経営のスキルを学びながら、自分らしいリーダーシップスタイルを見つける「NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN」は当社の特徴的な選抜型プログラムの1つです。また、グローバルに働く社員が同じプラットフォームでオンライン受講できる「LinkedInラーニング」を展開しています。必須プログラムには、新入社員研修や3年目研修、新任職制マネジャー研修、マネジャーワークショップ等があります。日本国内の社員に対しては、既に導入されている「ジョブ型人事制度」のもと、社員の専門性を強化し、社員一人ひとりのキャリア自律を高める支援をしています。
また、2023年秋に創設した未来を創る人の自己成長の場「Shiseido Future University」においては、全世界のリーダーを対象とした選抜型リーダーシップ研修や、ラーニングカルチャーの醸成を目的に全社員を対象とした「資生堂ラーニングフェスティバル(2024年実績:参加者延べ700名以上)」を実施しました。最先端でグローバルレベルのビジネススクールの学びと、「美の感性」や心の豊かさ、好奇心や時代の一歩先を行く遊び心など創業以来追求してきた当社のヘリテージへの学びを掛け合わせたオリジナルカリキュラムで社員の成長を支援しています。
<多様な人の知と能力を集結させ、イノベーションを連続的におこす組織文化の構築>
当社では、さまざまなバックグラウンドを持つ社員一人ひとりが高いパッションを保ちながらいきいきと働き続けるために、社員体験の充実、心理的安全性や生産性向上など、ソフトおよびハードの両面での社内環境の整備に力を入れています。2024年度は、多様な知と能力の融合によって価値が生まれるとの考えのもと、社員同士のつながりを生むことを目的に、広報、マーケティング、ファシリティマネジメント、人事の部門が連携して、グローバル本社を中心にさまざまなイベントを開始しました。経営方針への共感と理解促進のため、経営陣と直接対話できる機会を増やしたり、社員にブランド・新商品を深く理解し、愛着を高めてもらうための「ブランドデー」などを実施し、グローバル本社の社員食堂ではこれらのイベントのテーマに合わせたオリジナルのコラボレーションメニューを提供しました。
社員が自分のライフスタイルやワークスタイルに合せて働き方を選択できるように、コアタイムのない「フレックスタイム制度(スーパーフレックス)」、業務の目的に合わせてリモートワークとオフィスワークを柔軟に組み合わせる「資生堂ハイブリッドワークスタイル」を推奨しています。また、ハード面においては、働き方の変革による生産性向上や社員体験の充実を図るため、AIやデジタルツールを活用した「SHISEIDO Work Smart」の取り組みを開始。生成AIをベースにした「Shiseido AI コンシェルジュ」や人事サポートの新たなプラットフォームとして「PASS(People Assistance Solutions Salon)」をリリースしました。
企業使命の実現を支える社員が健康で豊かで幸せな生活を送り、健やかな美を体現することが重要であるため、「健康経営」にも力を入れています。資生堂健康保険組合と協力し、社員が健やかに美しく生活することへのサポートを明確にするための「資生堂健康宣言」に加え、資生堂グループで働く人にとって安心・安全な職場環境を実現する「労働安全衛生マネジメントシステム体制」を2022年に構築しました。さらにすべての職場において休業災害ゼロを目指す「資生堂ビジョン・ゼロ宣言(安全宣言)」を策定しました。今後もこれらの宣言に基づく活動を進化させ、労働安全リスクを最小限とすることはもちろん、健康投資を行うことで、社員がより健やかになり、結果として社会へ還元する、このような好循環を目指します。
社員一人ひとりがありのままの個人としての可能性と良さを発揮できるようにするための活動として、LGBTQ+に関する環境の整備や啓発にも力を入れています。日本国内では、特別休暇、介護制度、育児制度などの福利厚生等の利用にあたり、社員の同性パートナーも異性の配偶者と同様に取り扱うことを就業規則で定めています。その他にも、当事者社員の体験談や外部有識者を招いたトークセッションなど、当事者を取り巻く現状について社員一人ひとりが考える機会となる社内イベントを実施しています。毎年、プライド月間にあわせた「Diversity Week for LGBTQ+(「Diversity Week for People with Disabilities」と併せて参加者延べ約1,800名)」を実施し、LGBTQ+に関する正しい知識の習得、職場におけるアライ(理解者であり、支援者を指す)コミュニティの醸成につなげています。(注)
昨今の変化する働き方や子育て環境に伴う社員のニーズに対応するため、連結子会社であるKODOMOLOGY㈱を通じて当社および提携企業の社員向けに子育て支援サービス「KANGAROOM+(カンガルームプラス)」を提供しています。働きながら子育てをする社員を、産前から小学生まで切れ目なくサポートしています。
(注) DE&Iの取り組み詳細に関しては、前述「(3) DE&Iの取り組み」をご参照ください。
③ リスク管理
当社の人的資本の取り組みのリスク管理に関しては、サステナビリティ全般のリスク管理と合わせて取り組んでいます。詳細は、前述「(1) サステナビリティ全般」の「③ リスク管理」をご参照ください。
④ 指標及び目標
指標については下表のとおりであり、中長期目標については現在策定中です。