2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

光学材料部品 電子材料部品 光学材料部品 電子材料部品
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
光学材料部品 50,039 45.3 14,556 38.2 29.1
電子材料部品 60,350 54.7 23,511 61.8 39.0

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社(デクセリアルズ株式会社)及び連結子会社9社及び持分法適用関連会社7社により構成されており、光学材料、電子材料等の製造・販売を主要な事業としております。

 当社グループは、「Value Matters 今までなかったものを。世界の価値になるものを。」を企業ビジョンに掲げ、卓越した独自の技術を組み合わせ、お客さまのニーズや課題に応え、エレクトロニクスや自動車、フォトニクス分野などに、高度な材料技術やプロセス技術に支えられた新しい高機能性材料やデバイスを提供することで、人間社会と地球環境の豊かさと質の向上に貢献してまいります。そして付加価値の高い製品を提供し続けるために、社名の元になっている「かしこく、機敏に」材料の力を組み合わせ、常に新しい価値を創造できる「人」を社内に創ることが大切な使命だと考えております。

 当社グループの社員は、常に、持てる技術に磨きをかけ、知恵をしぼり、仕事に向かう姿勢として、経営理念である「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」を心がけています。その真摯に取り組む姿勢が技術開発や製品品質の向上につながり、お客さまに喜んでいただける付加価値の高い製品を生む当社の基礎(いしずえ)となっていると考えております。

 当社グループは、2024年5月に「Empower Evolution. つなごう、テクノロジーの進化を。」をパーパスとして制定し、社会の効率化を実現するデジタルテクノロジーの進化に不可欠な技術・材料・ソリューションを提供することで、社会課題の解決に貢献することが自社の存在意義であると定義しました。

 

 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

 なお、次の2事業区分は「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  連結財務諸表注記」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1)光学材料部品事業

 当事業は光学フィルム、光学樹脂材料の2カテゴリーに分けられております。これら2カテゴリーには反射防止フィルム、光学弾性樹脂、精密接合用樹脂等が含まれており、特に主力製品である反射防止フィルムは当社独自の技術によりコンシューマーエレクトロニクス及び自動車用ディスプレイパネルでの採用が進んでおり、顧客から高い評価をいただいております。また、精密接合用樹脂は、精密な固定が要求されるセンサーモジュールの組み立て用接着剤として、スマートフォンをはじめとするさまざまなアプリケーションで採用が広がっています。

 

 当社及び連結子会社Dexerials America Corporationが製造・販売を行うほか、連結子会社Dexerials Europe B.V.、Dexerials Singapore Pte. Ltd.、持分法適用関連会社3社が販売を行っております。

 当事業は、主に製品技術として光学特性の向上に係る事業であり、全て顧客仕様にあわせてカスタマイズした上で、液晶パネルメーカー及びセットメーカー等に販売しております。

 主にスマートフォン、タブレットPC、パソコン及び自動車向けディスプレイの需要に対応しております。

 その中でも、反射防止フィルムは、ディスプレイの表面で発生する外光反射を抑制するフィルムとして、スパッタ製法を用いた優れた低反射特性と耐擦傷性を実現させ、ノートPC向けディスプレイや車載ディスプレイでの採用が拡大しております。

 

(各製品カテゴリーに含まれる主な製品・ソリューションの概要)

 光学フィルムカテゴリー

・反射防止フィルム:

 ディスプレイパネルの表面に貼り付けることで、外光の反射を低減し、パネルの視認性を向上させる機能を持つフィルム

・蛍光体フィルム:

 液晶ディスプレイの画像の色調等を向上させる機能性フィルム

 光学樹脂材料カテゴリー

・光学弾性樹脂:

 フラットパネルディスプレイでディスプレイモジュールとカバーガラスの貼り合わせに使われる透明な樹脂粘着剤

・精密接合用樹脂:

 カメラモジュールをはじめとする各種センサーモジュールの組み立て等に用いられる樹脂接着材

・光ディスク用紫外線硬化型樹脂:

 DVD・BD等の光ディスク用の表面保護のためのコーティング剤・接着剤

 

(2)電子材料部品事業

 当事業は異方性導電膜、表面実装型ヒューズ、フォトニクス、接合関連材料の4カテゴリーに分けられております。特に主力製品である異方性導電膜は1977年に業界で初めて開発・量産化しており、高い技術、品質で世界市場において高いシェアを有しております。

 

 当社及び連結子会社Dexerials (Suzhou) Co.,Ltd.が製造・販売を行う他、デクセリアルズフォトニクスソリューションズ株式会社が製造を行い、連結子会社Dexerials America Corporation、Dexerials Europe B.V.、Dexerials Singapore Pte. Ltd.、持分法適用関連会社3社が販売を行っております。

 当事業は、主に接着、接合、導入製品の接続特性向上やフォトニクスに係る事業であり、顧客仕様に合わせたカスタマイズ製品と標準タイプの汎用製品を、電子部品メーカー及び材料加工メーカー等に販売しております。

 その中でも、異方性導電膜は、スマートフォン、タブレットPC等の小型化、薄型化、狭額縁化、軽量化に寄与しております。特にスマートフォン等の中小型フレキシブルOLEDパネルでは、当社の粒子整列型タイプが世界のデファクトスタンダード品として広く使われているなか、安定的に供給できる体制を確立しております。また、生成AIの社会への浸透によるデータセンターの増加等に伴って需要が伸びているフォトニクス領域においても、省エネルギー化、高速通信化のニーズに応えた製品の開発を進めております。

 

(各製品カテゴリーに含まれる主な製品の概要)

 異方性導電膜カテゴリー

・異方性導電膜:

 主に、ガラス・プリント基板に電子部品を接続する、導通と絶縁の機能を兼ね備えた接着フィルム

 表面実装型ヒューズカテゴリー

・表面実装型ヒューズ:

 リチウムイオン二次電池を過充電や過電流から保護するためのヒューズ

 フォトニクスカテゴリー

・マイクロデバイス:

 主にプロジェクター向けの無機偏光板・無機波長板・無機拡散板

・光半導体:

 光通信用デバイス・センシング用デバイス等の光半導体デバイス及びモジュール

 接合関連材料カテゴリー

・工業用機能性接合材:

 半導体・通信・車載機器向けの粘着テープ等の機能性接合材料

 

(3)研究開発・生産・販売体制

(研究開発・生産体制)

 研究開発・生産に関しては、生産効率及び管理効率の最大化を図るため、開発拠点及びメイン工場として栃木県下野市の本社・栃木事業所へ集約しております。

 研究開発の基本方針として、薄膜形成・コーティング技術、微細加工技術、光半導体技術、無機材料技術、有機材料技術、分析評価技術を6つの基軸に、技術の融合と進化によるコア技術の強化とビジネス拡大への貢献を掲げています。新規領域での事業成長を加速させるべく、研究開発体制につきましては、研究開発機能はコーポレートR&D本部、各事業の意思決定の迅速化を図るため商品開発機能を統合した各事業部が、それぞれに対しての権限と責任をより明確化した上で、自律的な運営を行っております。これらの研究開発からマーケティングまでの機能を連携させた全社の技術戦略の策定と推進をDexerials Innovation Group(DIG)推進部が担っております。

 また、分析・解析拠点を日本、中国、韓国の各拠点に設置し、顧客の実装ラインを保有することにより、迅速かつ顧客の生産工程に即した対応に加えて、同時に製品の改良・開発等へフィードバックが可能となっております。

 生産体制につきましては、流通及び管理効率化のため、生産拠点は本社・栃木事業所、鹿沼事業所をはじめ国内外の8拠点で構成しております。

 

(販売体制)

  当社グループはグローバルに事業を展開し、世界のメーカーと取引を行うなど、多くの顧客を有しており、直接の販売先だけでなく、最終顧客(最終製品メーカー)との直接のコミュニケーションに加え、装置メーカーやEMSとも連携し、強固な関係を築いております。特に、新製品投入の際には、外部からの分析や模倣が非常に難しい高機能な材料と、その性能を最大限引き出すプロセスを組み合わせたソリューションを提供しております。更に、顧客へのプロセス特許の無償提供や、顧客の製造設備の導入サポートにより製造プロセスのスタンダード化を実現しております。これらの販売機能はグローバルセールス&マーケティング本部が主体的に担っております。

 また、顧客に密着した営業活動を行うため、海外営業・販売子会社を米国、オランダ、中国、台湾、韓国及びシンガポールに置き、国内では東京、大阪に営業部門を置いており、製品カテゴリー別に組織しております。

 

[事業系統図]

 以上で述べた主な事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 当社の他、連結子会社6社は光学材料部品事業・電子材料部品事業共通であり、連結子会社Dexerials (Suzhou) Co.,Ltd.、デクセリアルズフォトニクスソリューションズ株式会社は電子材料部品事業に属しております。

 

(注)1.デクセリアルズフォトニクスソリューションズ株式会社は、2024年4月1日付で旧Dexerials Precision Components株式会社及び旧株式会社京都セミコンダクターが統合して設立されました。

2.当社は、2024年2月5日開催の取締役会により、Dexerials Hong Kong Limitedの合弁会社化を目的とする株式譲渡契約及び株主間契約の締結を決定し、株式会社レスターホールディングス(現 株式会社レスター)との間で当該契約を締結いたしました。当該契約に基づく2024年7月1日での株式譲渡に伴い、同社は当社の連結範囲より除外され、持分法適用関連会社となりました。

3.当社は、2024年9月25日開催の取締役会において、旧Dexerials Korea Corporationの合弁会社化を目的とする株式譲渡契約及び株主間契約の締結を決定し、株式会社レスターとの間で当該契約を締結いたしました。当該契約に基づく2025年1月2日での株式譲渡に伴い、同社は当社の連結範囲より除外され、持分法適用関連会社となりました。同社の営業・マーケティング機能に係る事業については、同じく2025年1月2日に新設分割により設立した当社の連結子会社である新Dexerials Korea Corporationが継承しております。

4.当社は、2024年9月25日開催の取締役会において、Dexerials Taiwan Corporationの合弁会社化を目的とする株式譲渡契約及び株主間契約の締結を決定し、株式会社レスターとの間で当該契約を締結いたしました。当該契約に基づく2025年2月3日での株式譲渡に伴い、同社は当社の連結範囲より除外され、持分法適用関連会社となりました。同社の営業・マーケティング機能に係る事業については、2024年11月18日に設立した当社の連結子会社であるDexerials Marketing Taiwan Corporationが継承しております。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、当連結会計年度よりIFRSを適用しております。また、前連結会計年度の財務数値についても、IFRSに組替えて比較分析を行っております。

 なお、財務数値に係るIFRSと日本基準との差異については、「第5経理の状況 1連結財務諸表 連結財務諸表注記43.初度適用」をご覧下さい。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)における世界経済は、米国を中心に底堅さが続いた一方で、米政権の相互関税を含む諸政策による景気後退懸念、ロシア・ウクライナ情勢、中東紛争をはじめとする地政学リスクの高まりに加えて、為替動向の不安定さの継続により、先行き不透明な状況が続いています。

 当社の製品が関わる主要業界では、スマートフォン・タブレットは堅調に推移するなかで、特に中国及び韓国のスマートフォンでは液晶ディスプレイからOLEDディスプレイへの移行が継続しました。ノートPCはコロナ禍に伴う在宅需要で購入された製品の買い替え需要により好調に推移しました。自動車は中国メーカーの販売が拡大したものの、全体では横ばいとなりました。

 このような経営環境のなか、中期経営計画に基づき事業環境の変化の影響を受けにくい事業ポートフォリオの拡大に取り組みました。成長領域においては、自動車向け製品の販売拡大に加え、フォトニクスカテゴリーではデータセンター等で使われる光トランシーバー用製品の新規顧客を開拓し、製品の出荷を開始しました。また、既存領域においても、テクノロジーの進化を先回りした製品の開発・提案に取り組み、反射防止フィルムや粒子整列型異方性導電膜(ACF)などの高付加価値製品の販売が拡大しました。なお、為替相場は当期において前期に対して円安が進み、業績の押し上げ効果がありました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は110,390百万円(前連結会計年度比4.9%増)、事業利益は38,068百万円(前連結会計年度比11.7%増)、営業利益は39,735百万円(前連結会計年度比24.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、27,737百万円(前連結会計年度比22.9%増)となりました。

 

 各セグメントの業績、ならびに製品カテゴリー別の売上状況は以下のとおりであります。

 

(光学材料部品事業)

          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

売上高

51,453

50,647

△1.6%

事業利益

15,256

14,556

△4.6%

             (注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。

 

 ・ 売上高は50,647百万円(前連結会計年度比1.6%減)、事業利益は14,556百万円(前連結会計年度比4.6%減)となりました。

 ・ 光学フィルムでは、反射防止フィルムにおいてノートPC用ディスプレイ向け製品の好調に加え、車載ディスプレイ向け製品の採用モデル数が増加したものの、蛍光体フィルムの販売終息により減収減益となりました。

 ・ 光学樹脂材料では、光学弾性樹脂(SVR)が堅調に推移したものの、精密接合用樹脂において収益性の高いハイエンドモデルのスマートフォン向けセンサー関連製品の数量が減少し、増収減益となりました。

 

 

(電子材料部品事業)

          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

売上高

54,387

60,434

11.1%

事業利益

18,830

23,511

24.9%

             (注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。

 

 ・ 売上高は60,434百万円(前連結会計年度比11.1%増)、事業利益は23,511百万円(前連結会計年度比24.9%増)となりました。

 ・ 異方性導電膜では、主に中国及び韓国のスマートフォン向けに粒子整列型ACFの拡大が継続したことにより、増収増益となりました。

 ・ 表面実装型ヒューズでは、電動工具向け製品の主要顧客の在庫調整の終了や新規案件の獲得により、増収増益となりました。

 ・ フォトニクスでは、光半導体においてデータセンター等で使われる光トランシーバー用製品の新規顧客への出荷を開始したことにより、増収増益となりました。

 ・ 接合関連材料では、ノートPC向け汎用品等の数量が前期並みとなり、売上高及び事業利益は前期並みとなりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払による減少があった一方で、税引前利益が増加した結果、前連結会計年度に比べ12,034百万円増加し、40,433百万円の収入となりました。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度に比べ11,047百万円支出が増加し、22,316百万円の支出となりました。

 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出及び配当金の支払等があり、前連結会計年度に比べ10,551百万円支出が増加し、21,286百万円の支出となりました。

 

 上記の結果、当期における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ348百万円減少し、当連結会計年度末には34,979百万円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

光学材料部品

49,081

98.4

電子材料部品

59,814

107.6

合計

108,895

103.2

(注)金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

当社グループは主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

光学材料部品

50,039

98.2

電子材料部品

60,350

111.3

合計

110,390

104.9

(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社レスター

14,560

13.2

日東電工株式会社

10,147

9.6

13,671

12.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は売却目的で保有する資産が減少しましたが、有形固定資産、持分法で会計処理されている投資、営業債権及びその他の債権が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ11,447百万円増加し、151,821百万円となりました。

 

(負債)
 負債合計は、有利子負債(非流動負債)が減少しましたが、未払法人所得税、その他の金融負債、有利子負債(流動負債)が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ654百万円増加し、55,905百万円となりました。

 

(資本)
 資本合計は、利益剰余金、資本剰余金が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ10,793百万円増加し、95,915百万円となりました。

 

2)経営成績

経営成績については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は34,979百万円となり、前年度末に比べ348百万円の減少となりました。当社グループでは、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しており、当連結会計年度のキャッシュ・フローは以下のとおりであります。

 

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

28,398百万円

40,433百万円

12,034百万円

投資活動によるキャッシュ・フロー

△11,269百万円

△22,316百万円

△11,047百万円

フリー・キャッシュ・フロー

17,129百万円

18,117百万円

987百万円

 

 当社グループの主な短期的な資金の需要としては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金、配当金の支払等を見込んでおります。なお、当社の短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によって獲得した現金であります。資金調達は金融機関からの借入により調達を行っておりますが、当連結会計年度末の有利子負債残高は21,078百万円であり、総資産に対して13.9%と低い依存度となっております。

 

 当社グループでは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性を維持することを資金調達の基本としており、国内の主要金融機関との良好な関係に基づき、長期借入れを中心として必要資金を低いコストで調達しております。また、流動性資金の確保の面では、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末における総額は、13,000百万円(うち借入未実行残高は13,000百万円)であります。

 

 連結子会社が保有する資金は、当連結会計年度末において5,486百万円でありますが、グループ資金は当社での有効活用を前提に、可能な限り配当を実施することを基本方針としており、各連結子会社の配当可能利益をベースに、各社の手元必要流動性資金を考慮の上、当社への資金還流を今後も積極的に進めていく予定であります。

 

 株主還元方針については、中期経営計画の5年間累計で総還元性向60%を目途とし、うち年間現金配当は長期安定を基本として、配当性向40%を目安としながら、ROEや資本コスト、最適な資本構成を意識した経営を推進する意味も込めて、DOEで7%以上を下限値として設定しております。また自己株式の取得についても財務状況や株価水準、キャッシュポジションなどを勘案し機動的に実施する予定であります。

 

   ③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況

 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 2025年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりであります。

 

指標

2025年3月期

(期初計画)

2025年3月期

(修正計画)

2025年3月期

(実績)

売上高

107,000百万円

110,000百万円

110,390百万円

事業利益

33,500百万円

37,000百万円

38,068百万円

親会社の所有者に帰属する

当期利益

23,000百万円

27,000百万円

27,737百万円

EBITDA

39,500百万円

43,700百万円

44,708百万円

ROIC

18.8%

21.0%

22.9%

ROE

25.5%

29.1%

30.6%

(注)2025年3月期(期初計画)は2024年5月13日、2025年3月期(修正計画)は2025年2月12日公表値

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「4 経営者による財政状

態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状

況」に記載のとおりであります。

 

   ④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて

は、「第5経理の状況 1連結財務諸表 連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

(3)並行開示情報

 連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。

 なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

 

①要約連結貸借対照表(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

69,063

63,531

固定資産

 

 

有形固定資産

35,703

47,588

無形固定資産

24,840

24,744

投資その他の資産

8,407

10,101

固定資産合計

68,952

82,433

資産合計

138,016

145,965

 

 

 

負債の部

 

 

流動負債

30,996

38,439

固定負債

22,065

14,273

負債合計

53,062

52,712

 

 

 

純資産の部

 

 

株主資本

79,063

89,424

その他の包括利益累計額

5,890

3,829

純資産合計

84,953

93,253

負債純資産合計

138,016

145,965

 

②要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)

要約連結損益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

売上高

105,198

110,390

売上原価

47,930

47,449

売上総利益

57,268

62,940

販売費及び一般管理費

23,846

26,125

営業利益

33,421

36,815

営業外収益

521

1,713

営業外費用

3,914

1,330

経常利益

30,028

37,197

特別利益

131

2,473

特別損失

225

635

税金等調整前当期純利益

29,935

39,035

法人税等合計

8,600

11,830

当期純利益

21,334

27,205

非支配株主に帰属する当期純利益又は非支配株主に帰属する当期純損失(△)

△47

親会社株主に帰属する当期純利益

21,382

27,205

 

要約連結包括利益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

当期純利益

21,334

27,205

その他の包括利益合計

2,090

△2,061

包括利益

23,425

25,144

(内訳)

 

 

親会社株主に係る包括利益

23,473

25,144

非支配株主に係る包括利益

△47

 

③要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)

前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の包括利益累計額

純資産合計

当期首残高

69,097

3,799

73,774

当期変動額

9,965

2,091

11,178

当期末残高

79,063

5,890

84,953

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の包括利益

累計額

純資産合計

当期首残高

79,063

5,890

84,953

当期変動額

10,361

△2,061

8,300

当期末残高

89,424

3,829

93,253

 

④要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

27,457

39,857

投資活動によるキャッシュ・フロー

△10,866

△22,316

財務活動によるキャッシュ・フロー

△10,343

△20,710

現金及び現金同等物に係る換算差額

1,875

277

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

8,123

△2,892

現金及び現金同等物の期首残高

29,286

37,410

現金及び現金同等物の期末残高

37,410

34,518

 

⑤連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)

前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(持分法適用の範囲の変更)

 前連結会計年度において、ORTHOREBIRTH株式会社を持分法の範囲から除外いたしました。これは、前連結会計年度において当社が当該株式をすべて売却したためであります。

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 (持分法適用の範囲の変更)

 当連結会計年度において、連結子会社であったDexerials Hong Kong Limited、Dexerials Korea Corporation、Dexerials Taiwan Corporationについて株式の一部を売却したため、持分法適用関連会社となっております。加えて、当該会社はそれぞれ、Restar Dexerials Hong Kong Limited、Restar Dexerials Korea Corporation、Restar Dexerials Taiwan Corporationへ商号を変更しております。

 また、SemsoTec GmbH、SemsoTec Engineering Services and Product GmbHへ出資を行い、当該2社は当社の持分法適用関連会社となっております。

 

(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

 

前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 43.初度適用」に記載のとおりであります。

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

(のれんの償却)

 日本基準では、合理的に見積られたのれんの効果が及ぶ期間にわたって、定額法により、「販売費及び一般管理費」としてのれんを償却しておりましたが、IFRSでは、IFRS移行日以降は非償却としております。

 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が2,341百万円減少しております。

 

(株式報酬)

 日本基準では、株式給付信託(J-ESOP及びBBT)について、株式等の給付が見込まれる額を負債に計上しておりましたが、IFRSでは、J-ESOP及びBBTともに持分決済型株式報酬のため、資本として認識し、付与日の公正価値に基づいて測定しております。

 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて「売上原価」が1,020百万円、販売費及び一般管理費400百万円増加し、法人税等調整額が444百万円減少しております。

 

(未消化の有給休暇)

 日本基準では負債を認識していない従業員の未消化の有給休暇について、IFRSでは負債として認識しております。

 この影響により、IFRSでは未消化の有給休暇について「従業員給付」に含めて1,320百万円計上しております。

 

(リース)

 日本基準ではオペレーティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理しておりましたが、IFRSでは「使用権資産」及び「リース負債」を計上しております。

 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債がそれぞれ1,277百万円及び1,324百万円増加しております。

 

セグメント情報

6.セグメント情報

(1)報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている事業セグメントを基礎として決定しております。

 当社グループの報告セグメントは「光学材料部品」、「電子材料部品」としております。なお、製品及びソリューション等が概ね類似している「光学フィルム」、「光学樹脂材料」を集約し、「光学材料部品」としており、「接合関連材料」、「異方性導電膜」、「表面実装型ヒューズ」、「フォトニクスソリューション」を集約し、「電子材料部品」としております。各報告セグメントに属する主要な製品は次のとおりであります。

 

報告セグメント名称

報告セグメントに属する主要な製品

光学材料部品

反射防止フィルム、光ディスク用紫外線硬化型樹脂、光学弾性樹脂、

蛍光体フィルム等

電子材料部品

工業用機能性接合材、異方性導電膜、表面実装型ヒューズ、無機偏光板、

光半導体等

 

(2)報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、及びその他の項目の金額の算定方法

 報告セグメントの会計処理の方法は、注記「3.重要性がある会計方針」における記載と概ね同一であります。

 報告セグメントの利益は、事業利益ベースの数値であります。

 セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 

(3)報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、及びその他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注1)

連結損益

計算書計上額

光学材料部品

電子材料部品

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

50,975

54,222

105,198

105,198

セグメント間の内部売上高

又は振替高

478

165

643

△643

51,453

54,387

105,841

△643

105,198

事業利益(注2)

15,256

18,830

34,086

34,086

その他の収益

 

 

 

 

346

その他の費用

 

 

 

 

△2,548

営業利益

 

 

 

 

31,884

金融収益

 

 

 

 

577

金融費用

 

 

 

 

△1,574

持分法による投資損益(△は損失)

 

 

 

 

4

税引前利益

 

 

 

 

30,891

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

2,418

3,072

5,491

5,491

(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高の調整額には、控除すべき報告セグメント間の内部売上高又は振替高の金額を表示しております。

2.事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した当社グループの経常的な事業の業績を測る利益指標です。

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注1)

連結損益

計算書計上額

光学材料部品

電子材料部品

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

50,039

60,350

110,390

110,390

セグメント間の内部売上高

又は振替高

608

83

692

△692

50,647

60,434

111,082

△692

110,390

事業利益(注2)

14,556

23,511

38,068

38,068

その他の収益

 

 

 

 

2,568

その他の費用

 

 

 

 

△901

営業利益

 

 

 

 

39,735

金融収益

 

 

 

 

272

金融費用

 

 

 

 

△944

持分法による投資損益(△は損失)

 

 

 

 

296

税引前利益

 

 

 

 

39,359

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

3,431

3,269

6,700

6,700

(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高の調整額には、控除すべき報告セグメント間の内部売上高又は振替高の金額を表示しております。

2.事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した当社グループの経常的な事業の業績を測る利益指標です。

 

(4)製品およびサービスごとの情報

 セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

(5)地域別に関する情報

 当社グループの地域別収益は顧客の地理的分布に基づいており、その内訳は注記「28.売上高」に記載のとおりです。

 

 非流動資産の地域別内訳は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

移行日

(2023年4月1日)

前連結会計年度

(2024年3月31日)

当連結会計年度

(2025年3月31日)

日本

60,591

63,250

76,843

その他

978

1,239

1,310

合計

61,569

64,490

78,153

(注)非流動資産は、資産の所在地を基礎とし、持分法で会計処理されている投資、その他の

   金融資産(非流動)、繰延税金資産、その他の非流動資産を含んでおりません。

 

(6)主要な顧客に関する情報

 連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客は以下の通りであります。

 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

(単位:百万円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

株式会社レスター及びその子会社

19,231

光学材料部品

電子材料部品

 

 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

(単位:百万円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

株式会社レスター及びその子会社

31,741

光学材料部品

電子材料部品

日東電工株式会社及びその子会社

13,672

光学材料部品