2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は、以下のとおりです。

なお、以下の事項には将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらの事項に限られるものではありません。

 

①法的規制等の変更リスク

 当社グループの事業は、国内外の法律や諸規則、環境規制等に従って進められており、将来においてこれらの変更が当社グループの事業や業績に影響を与える可能性があります。

 

②為替レートの変動リスク

 当社グループは、資産・負債の一部を米国ドル建てで保有しています。また、当社グループは、原材料の多くを米国ドル建てで購入しており、為替ヘッジ取引により為替レートの変動による影響の緩和に努めていますが、為替変動リスクを完全に排除することは難しく、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

③市況変動リスク

 原油をはじめとする原材料価格が下落した場合、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)による棚卸資産評価損が発生し売上原価を押し上げることになります。また、石油製品市況は需給や原油価格の動向といった外部要因によって大きく変動します。かかる市況変動リスクに対しては、原材料並びに生産製品の在庫管理を徹底するとともに、主に海外市況に左右され市場リスクに曝される取引においてヘッジ対応を適切に行い、その抑制に努めていますが、市況変動リスクを完全に排除することは難しく、当社グループの業績に影響が生じます。また、タンカー市況が変動した場合にも、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

④金利変動リスク

 当社グループでは、長期・短期の有利子負債を有しており、金利が上昇した場合は営業外費用の増加要因となります。長期の有利子負債については金利の変動による影響を緩和すべく、金利スワップ取引等により金利の固定化を図っていますが、金利が変動した場合には、当社グループの金融収支に影響が生じる可能性があります。

 

災害、事故等による操業リスク

 当社グループは、国内において生産設備、事務所を、また、海外において事務所を有していますが、自然災害や事故等により生産設備、情報システム等に障害が発生した場合には、生産活動の抑制又は停止をせざるを得なくなる可能性があります。かかる状況に対処すべく、当社は事業継続計画(BCP)を策定しており、事業の継続・早期復旧を図るための体制を整備していますが、事業活動の抑制・停止が長期化した場合には当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑥感染症によるリスク

 新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症の流行が発生した場合においても、当社は国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な重要インフラ事業者として、石油製品の供給継続に努めることを基本方針としていますが、当社役職員に感染が確認された場合などにおいては、感染の拡大防止を図るべく出社人員の抑制等の措置をとる必要があることから事業規模の縮小を迫られる可能性があります。

 また、感染症の流行により経済活動の停滞が長期化し石油需要へ大きな影響を及ぼす場合、当社グループの業績に深刻な影響が生じる可能性があります。

 

⑦原材料の調達リスク

 当社グループは、原油の多くを中東地域から調達している一方で、中東以外の地域からの原油調達も行っており、リスクの分散に努めていますが、国際的な政治情勢の変動等により、原油調達に支障が生じた場合には、当社グループの事業や業績に影響が生じる可能性があります。

 

 

⑧競争環境に関するリスク

国内の石油製品需要は少子高齢化の進行や低燃費車の普及等によって構造的な内需減少傾向が続いており、国内の石油需要に対し精製設備能力が過剰となることで、国内需要を巡り激しい競争環境に曝される可能性があります。世界においても、貿易摩擦の激化に伴う経済成長鈍化への懸念など石油製品需要に対する不確実性が高まっており、需要に対して供給能力が上回るような状況においては、競争環境が一段と厳しいものになる可能性があります。当社グループは中長期的な経営戦略として、稼働信頼性の維持・強化やコスト競争力の強化、競争優位の確立のための石油精製業の更なる基盤強化に努めていきますが、これらの石油需要を巡る競争の激化により、当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑨気候変動に関するリスク

 先進国を中心に地球温暖化ガスの削減、省エネルギー等地球環境に配慮した低炭素化・脱炭素化の動きが進展しています。当社グループは、低炭素・循環型社会への貢献が、企業としての社会的責務かつ、当社グループの未来のための最重要経営課題であると捉え、中長期的な経営戦略として脱炭素社会に向けた取組み強化を進めていきますが、今後低炭素化・脱炭素化の動きの急激な進展により、想定を上回る速さで石油製品需要が減少した場合、当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

当社グループでは、重大な影響を及ぼすリスクの顕在化を未然に防止するとともに、経営危機に適切に対応し、経営危機発生に伴うグループの損失を最小化するために、平常時のリスク管理及び経営危機発生時の対応について体制並びに行動要領を定めた「リスク管理規程」を整備しています。

具体的には、取締役会で定めたリスク管理の基本方針に従い、平常時におけるグループのリスク管理全般を行うとともに、経営危機発生時においては社長の指揮のもと事案の処理に当たることとしています。

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主各位への利益還元を重要な経営課題のひとつと考えており、中・長期的な事業発展のための内部留保の充実に留意しつつ、業績及び資金バランス等を勘案の上、安定的な配当の継続に努めることを基本方針としています。また、当社の剰余金の配当は、現在年1回の期末配当を原則としています。なお、当社は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めています。

当期においては、親会社株主に帰属する当期純損失57億円と5期ぶりに赤字決算となった一方で、在庫影響を取り除いた実質ベースの損益では経常利益で48億円と3期連続の黒字決算を確保いたしました。また、当期をもって第三次中期事業計画が終了し、同計画の設定以上のフリー・キャッシュフローを創出したほか、財務目標として定めたネットD/Eレシオについても、大きく改善する結果となりました。

以上の事情等を総合的に勘案し、当事業年度末の期末配当については、2025年5月9日及び2025年5月22日開催の当社取締役会にて、1株当たり12円の普通配当を決議いたしました。

なお、次期の配当につきましては、大規模定期修理の影響等により赤字決算の見通しであり、厳しい業績が予想されますが、安定配当方針に基づき1株当たり12円を予定しています。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。なお、配当金の総額については、2025年5月22日の当社取締役会にて決議しました。

決議年月日

1株当たり配当額

(円)

2025年5月9日

取締役会決議

12

 

 

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

2025年5月22日

取締役会決議

928