2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業において、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は、以下のとおりです。

なお、以下の事項には将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらの事項に限られるものではありません。

 

①法的規制等の変更リスク

 当社グループの事業は、国内外の法律や諸規則、環境規制等に従って進められており、将来においてこれらの変更が当社グループの事業や業績に影響を与える可能性があります。

 

②為替レートの変動リスク

 当社グループは、資産・負債の一部を米国ドル建てで保有しています。また、当社グループは、原材料の多くを米国ドル建てで購入しており、為替ヘッジ取引により為替レートの変動による影響の緩和に努めていますが、為替変動リスクを完全に排除することは難しく、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

③市況変動リスク

 原油をはじめとする原材料価格が下落した場合、在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)による棚卸資産評価損が発生し売上原価を押し上げることになります。また、石油製品市況は需給や原油価格の動向といった外部要因によって大きく変動します。かかる市況変動リスクに対しては、原材料並びに生産製品の在庫管理を徹底するとともに、主に海外市況に左右され市場リスクに曝される取引においてヘッジ対応を適切に行い、その抑制に努めていますが、市況変動リスクを完全に排除することは難しく、当社グループの業績に影響が生じます。また、タンカー市況が変動した場合にも、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

④金利変動リスク

 当社グループでは、長期・短期の有利子負債を有しており、金利が上昇した場合は営業外費用の増加要因となります。長期の有利子負債については金利の変動による影響を緩和すべく、金利スワップ取引等により金利の固定化を図っていますが、金利が変動した場合には、当社グループの金融収支に影響が生じる可能性があります。

 

災害、事故等による操業リスク

 当社グループは、国内において生産設備、事務所を、また、海外において事務所を有していますが、自然災害や事故等により生産設備、情報システム等に障害が発生した場合には、生産活動の抑制又は停止をせざるを得なくなる可能性があります。かかる状況に対処すべく、当社は事業継続計画(BCP)を策定しており、事業の継続・早期復旧を図るための体制を整備していますが、事業活動の抑制・停止が長期化した場合には当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑥感染症によるリスク

 新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症の流行が発生した場合においても、当社は国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な重要インフラ事業者として、石油製品の供給継続に努めることを基本方針としていますが、当社役職員に感染が確認された場合などにおいては、感染の拡大防止を図るべく出社人員の抑制等の措置をとる必要があることから事業規模の縮小を迫られる可能性があります。

 また、感染症の流行により経済活動の停滞が長期化し石油需要へ大きな影響を及ぼす場合、当社グループの業績に深刻な影響が生じる可能性があります。

 

⑦原材料の調達リスク

 当社グループは、原油の多くを中東地域から調達している一方で、中東以外の地域からの原油調達も行っており、リスクの分散に努めていますが、国際的な政治情勢の変動等により、原油調達に支障が生じた場合には、当社グループの事業や業績に影響が生じる可能性があります。

 

 

⑧競争環境に関するリスク

 国内の石油製品需要は少子高齢化の進行や低燃費車の普及等によって構造的な内需減少傾向が続いており、国内の石油需要に対し精製設備能力が過剰となることで、国内需要を巡り激しい競争環境に曝される可能性があります。また、世界の石油需要については、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済危機からの力強いリバウンドが予想される一方、中国、インド、中東を中心に、今後数年間の石油需要の増加量を上回る規模で最新鋭の大型製油所の新増設が同時期に計画されていることから、その進捗次第では一段と厳しい競争環境が想定されます。当社グループは中長期的な経営戦略として、稼働信頼性の維持・強化やコスト競争力の強化、競争優位の確立のための石油精製業の更なる基盤強化に努めていきますが、これらの石油需要を巡る競争の激化により、当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

⑨気候変動に関するリスク

 先進国を中心に地球温暖化ガスの削減、省エネ等地球環境に配慮した低炭素化・脱炭素化の動きが進展しています。当社グループは、低炭素・循環型社会への貢献が、企業としての社会的責務かつ、当社グループの未来のための最重要経営課題であると捉え、中長期的な経営戦略として脱炭素社会に向けた取組強化を進めていきますが、今後低炭素化・脱炭素化の動きの急激な進展により、想定を上回る速さで石油製品需要が減少した場合、当社グループの事業及び業績に影響が生じる可能性があります。

 

当社グループでは、重大な影響を及ぼすリスクの顕在化を未然に防止するとともに、経営危機に適切に対応し、経営危機発生に伴うグループの損失を最小化するために、平常時のリスク管理及び経営危機発生時の対応について体制並びに行動要領を定めた「リスク管理規程」を整備しています。

具体的には、取締役会で定めたリスク管理の基本方針に従い、平常時におけるグループのリスク管理全般を行うとともに、経営危機発生時においては社長の指揮のもと事案の処理に当たることとしています。

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主各位への利益還元を重要な経営課題のひとつと考えており、中・長期的な事業発展のための内部留保の充実に留意しつつ、業績及び資金バランス等を勘案の上、安定的な配当の継続に努めることを基本方針としています。また、当社の剰余金の配当は、現在年1回の期末配当を原則としています。なお、当社は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めています。

当期においては、4期連続の黒字決算となったことに加え、在庫影響を取り除いた実質ベースの損益でも2年連続の黒字決算となり、当社収益力の一定の向上が確認できる結果となりました。他方で、当社にとって財務体質の改善は引き続き重要であり、内部留保の一層の充実を図る必要があります。

以上の事情等を総合的に勘案し、株主還元を拡充することとし、2024年3月期の期末配当については、2023年3月期期末配当の1株当たり10円から2円増配し、普通配当として1株当たり12円とさせていただきます。また、2024年4月で、当社の前身となる旧富士石油株式会社の創立から60年を迎えたことから、1株当たり3円の記念配当を実施し、普通配当と併せ、2024年3月期の期末配当を1株当たり15円とさせていただきます。

なお、次期の配当につきましては、1株当たり12円を予定しています。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月26日

定時株主総会決議

1,159

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