2026年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

報告セグメント合計 石油製品ほか 石油・天然ガス開発 機能材 電気 再生可能エネルギー その他 エネルギー 金属
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
報告セグメント合計 11,274,097 48.9 375,338 44.5 3.3
石油製品ほか 10,341,787 44.9 292,362 34.7 2.8
石油・天然ガス開発 216,744 0.9 50,833 6.0 23.5
機能材 336,507 1.5 11,076 1.3 3.3
電気 332,198 1.4 21,996 2.6 6.6
再生可能エネルギー 46,861 0.2 -929 -0.1 -2.0
その他 491,373 2.1 92,759 11.0 18.9

3【事業の内容】

当社を持株会社とする企業集団(当社、子会社476社、持分法適用会社等149社)が営む主要な事業の内容と主要な関係会社の当該事業における位置づけは、次のとおりです。主要な会社の詳細は、「4 関係会社の状況」に記載しています。

前第4四半期連結会計期間においてJX金属株式会社(以下、JX金属)が東京証券取引所プライム市場に上場しました。株式上場に際し、JX金属株式の一部売出しを行ったことにより、JX金属は子会社から持分法適用会社となったため、金属事業を非継続事業へ分類しています。これに伴い、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記7.セグメント情報」をご覧ください。

 

 

なお、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準は連結ベースの数値に基づき判断することとなります。

業績状況

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

前第4四半期連結会計期間において、当社の子会社であったJX金属株式会社(以下、JX金属)が東京証券取引所プライム市場に上場しました。株式上場に際し、当社が保有するJX金属株式の一部売出しを行ったことにより、JX金属は子会社から持分法適用会社となりました。

これに伴い、前第4四半期連結会計期間において、JX金属及び同社子会社等からなる金属事業(金属セグメント)を非継続事業に分類しており、前連結会計年度の売上高、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示しています。

また、当連結会計年度における金属事業の持分法による投資利益については、継続事業としてセグメント情報における「その他」の区分に含めています。

 

<ENEOSグループを取り巻く環境>

当連結会計年度における原油価格(ドバイ原油)は、期初は1バーレル当たり76ドルから始まり、アジア地域の需要動向やOPECプラスの生産調整等の影響を受け、年度を通じて軟調に推移しましたが、3月の中東情勢の緊迫化を背景に急騰し、期末には121ドルとなりました。期平均では、前年同期比7ドル安の72ドルとなりました。

円の対米ドル相場は、期初の150円から、米国の金融政策動向等を背景に4月中旬には一時140円台前半まで急速に円高が進行しました。その後は日米金利差や金融政策の動向を背景に円安傾向で推移し、3月には中東情勢の緊迫化を受けて更に円安が進行し、期末には160円となりました。期平均では前年同期比2円円高の151円となりました。

 

<連結業績の概要>

こうした状況のもと、当連結会計年度における連結売上高は、前年同期比4.5%減の11兆7,655億円となりました。また、営業利益は、前年同期比3,605億円増益の4,666億円となりました。在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、前年同期比3,107億円増益の4,744億円となりました。

金融収益と金融費用の純額178億円を差し引いた結果、税引前利益は、前年同期比3,606億円増益の4,488億円となり、法人所得税費用1,416億円を差し引いた当期利益は、前年同期比203億円増益の3,072億円となりました。

なお、当期利益の内訳は、親会社の所有者に帰属する当期利益が2,587億円、非支配持分に帰属する当期利益が485億円となりました。

 

セグメント別の概況は、次のとおりです。

 

[石油製品ほかセグメント]

<主な事業内容>

ENEOS株式会社は、国内最大の燃料油販売シェアを有する石油精製販売事業に加え、エネルギートランジション実現への取組として、SAF(*1)・水素・合成燃料といった次世代エネルギー事業にも取り組んでいます。

*1 SAF : 持続可能な航空燃料

 

<トピックス>

●製油所の競争力強化に向けた取組

国内既存事業の収益力強化を成し遂げるべく、製油所稼働率の最大化に向けた取組を推進しました。具体的には、製油所トラブルの抑制を目的に、保全計画の改善、検査の強化・前倒し、工事品質の向上、運転トラブルの削減の4本柱の施策を進めており、当第4四半期の定期修理除き稼働率は、前年同期の77%から良化し、中東情勢影響除き(*2)で86%となりました。

また、製油所高稼働の期間においては、国内における石油製品の安定供給責任を果たしつつ、海外市況に応じた機動的な製品輸出対応により、収益改善を図りました。

さらに、設備の評価精度向上や業務効率化を進めることによりエンジニアの環境を整備し、設備の信頼性向上を目指すべく、AI・DXを通じた抜本的な保全業務改革を推進する「E-MOREプロジェクト室」を専任組織として設置しました。

*2 中東情勢影響を受けた稼働率減 : 5%

●新たな収益機会の獲得に向けた取組

国内における石油製品の安定供給責任を果たしつつ、新たな収益機会の獲得に向けて取り組むべく、グローバルな事業拡大を目指し、トレーディングを含めた海外燃料油事業の拡大を進めました。

一方で、カーボンニュートラル社会の到来に向けて、低炭素事業においては、和歌山製造所のSAF量産供給体制構築の準備を進め、また、2025年4月には、グリーンメタノールのサプライチェーンを構築し、生産・販売ビジネスの事業開発につなげるべく、英国C2Xへの出資を決定しました。加えて、2025年7月には、米国Par Pacificが米国ハワイ州において推進するKapolei製油所でのバイオ燃料の製造・販売事業に参画することを決定しました。

 

 

<事業概況>

石油製品については、自動車の低燃費化を主因とする構造的な国内石油製品需要の減少や、採算販売の徹底の一方、製油所の稼働状況を受けて輸出数量が増加したことにより、販売数量は前年同期比2.7%増となりました。

石油化学製品にかかる当社のマージンについては、パラキシレンはインドの輸入規制撤廃等により市況良化となり前年同期比で良化、ベンゼンは米国による関税措置の影響から市況軟調となり前年同期比で悪化しました。

また、石油製品ほかセグメントの子会社であるENEOSオーシャン株式会社の原油タンカー事業以外の海運事業を同社が新たに設立したNYK Energy Ocean株式会社(以下、NEO)へ吸収分割により承継させた上で、NEOの株式の80%を日本郵船株式会社に譲渡したことにより売却益が発生しています。

こうした状況のもと、石油製品ほかセグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比5.3%減の10兆3,953億円となりました。営業利益は前年同期比3,431億円増益の2,924億円となりました。在庫影響による会計上の損失が78億円(前年同期は576億円の損失)含まれており、在庫影響を除いた営業利益相当額は、前年同期比2,933億円増益の3,002億円となりました。

なお、中東情勢の緊迫化を背景に原油供給を巡る不確実性が高まっており、当社の原油調達環境にも影響が生じています。

当社では、石油製品の安定供給を維持するため、国家備蓄の活用や調達先の多角化、市場からの原油及び石油製品の緊急調達等の対応を行っています。

また、国際的な原油及び石油製品市況、調達関連コストの変動が、当社の事業環境に影響を与えています。

 

 

[石油・天然ガス開発セグメント]

<主な事業内容>

ENEOS Xplora株式会社は、石油・天然ガスの開発・生産・販売事業に加え、CCS/CCUS(*3、4)を中心とした環境対応型事業にも取り組んでいます。

*3 CCS : 二酸化炭素回収・貯留

*4 CCUS : 二酸化炭素回収・有効利用・貯留

 

<トピックス>

●石油・天然ガス開発事業の強化・拡充

エネルギーの安全・安定供給を実現するため、石油・天然ガス開発事業においても安全・安定操業を継続するとともに、事業の強化・拡充を図りました。

具体的には、日本を含む東アジア諸国へのエネルギーの安全・安定供給に今後も貢献すべく、1987年に権益を取得したマレーシア・サラワク州沖SK10鉱区の価値最大化に継続して取り組み、2025年6月には、同国国営エネルギー会社PETRONASとの間で、生産分与契約を2028年から2038年までの10年間延長する契約を締結しました。

●非炭化水素事業等の隣接領域への取組

収益源を多様化させるべく、石油・天然ガスの開発・生産事業で培った地下技術を生かし、希少資源の開発等の取組を推進しました。具体的には、既にカナダにおいて進出済のヘリウム事業について、オーストラリアを拠点とする天然水素及びヘリウムの探鉱・開発企業であるGold Hydrogenへの出資を決定しました。

●CCS/CCUSの推進

CO₂を回収・有効利用・貯留する環境対応型事業として、米国・Petra Nova CCUSプロジェクトを推進しています。

 

<事業概況>

原油及び天然ガスの生産量については、ベトナム沖15-2鉱区における新たな生産分与契約締結に伴う権益比率の上昇や、中東プロジェクトでの増産等の増加要因があったものの、マレーシア・サラワク州沖SK10鉱区において、前期の一過性の投資が完了したことに伴い、生産分与契約に基づく投資の回収分として受け取れる生産量が減少したことから、前年同期比減少しました。

また、原油及び天然ガスの販売価格は、市況を反映し、前年同期比下落しました。

こうした状況のもと、石油・天然ガス開発セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比10.7%減の2,167億円、営業利益は前年同期比366億円減益の508億円となりました。

 

[機能材セグメント]

<主な事業内容>

株式会社ENEOSマテリアルは、主にタイヤ材料として使用される合成ゴム及びその関連製品に加え、高機能化学品の生産・販売事業を展開しています。また、サステナブル原料の技術開発やカーボンニュートラル推進のための諸施策に取り組んでいます。

 

<トピックス>

●競争力強化の取組

機能材セグメントの中核を担うエラストマー事業における戦略商品である高機能タイヤ材料・S-SBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)は、次世代タイヤの性能向上及び環境負荷低減を支える材料として世界的に需要拡大が続いています。この状況に対応するため、製造における日本・タイ・ハンガリーの連携を一層強化し、今後も安定的なグローバル供給体制を構築すべく取組を進めています。その一環として、2025年11月、研究開発から製造までを一体で行う四日市工場において、S-SBRの生産能力を1万トン分増強することを決定しました。

●研究開発分野におけるAI活用

研究開発分野においては、これまでの断片的な情報に基づく“経験”中心のテーマ検討から、統合された知識に基づくデータドリブンな検討への転換を目的として、独自のナレッジグラフとAIエージェント技術を統合した新材料テーマ創出AIエージェントシステムを開発し、2025年10月から社内検証を開始しました。

同システムは一般的な生成AIでは辿りつかない材料の新たな組み合わせの自動提示ができ、今後の新材料テーマ創出までのリードタイムの短縮に寄与し、研究開発プロセス全体の効率化を後押しすることになります。

 

<事業概況>

機能材事業については、拡販等により販売数量は増加したものの、インフレ等に伴う経費増、ブタジエン市況の下落による影響に加え、機能材セグメントの子会社において減損損失を計上したことから、前年同期比減益となりました。

こうした状況のもと、機能材セグメントの当連結会計年度における売上高は前年同期比2.3%減の3,390億円、営業利益は前年同期比66億円減益の111億円となりました。

 

 

[電気セグメント]

<主な事業内容>

ENEOS Power株式会社は、発電事業や電気小売事業を主要事業領域として、事業を展開しています。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、電力の需給バランスの安定化に貢献するVPP(*5)事業にも取り組んでいます。

*5 VPP : 仮想発電所

 

<トピックス>

●収益力向上及び安定化の実現

2025年3月に全面運開した五井火力発電所の供給力を最大限に活用して電力販売を強化し、収益力の向上を実現しています。具体的には、ENEOS公式アプリの活用推進とともに、都市ガス等とのバンドルサービス、オール電化、太陽光発電設置済みのお客様向け等の多様なメニューも販売し、顧客基盤を盤石化しました。また、CO2見える化サービスの提供や再生可能エネルギーを活用したオフサイト電力購入契約(PPA)の締結を推進する等、脱炭素化に貢献する付加価値販売を展開しました。

さらに、収益力安定化の実現に向け、卸電力市場のボラティリティリスクを回避するために、電力先物を活用したリスクヘッジを進めており、着実にその効果を発揮しています。

●分散型エネルギー活用の推進

蓄電池等の分散型エネルギーリソースの活用により電力需給調整力を高めることで、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。当連結会計年度は、お客様の蓄電池運用を受託し、需給調整による収益の最適化支援に関する新たなサービスサイトを立ち上げました。これにより、北海道室蘭市での蓄電池運用実績やAIを活用した運用ノウハウを一層活用し、需給バランスの安定化や収益性向上に貢献します。

また、パナソニック株式会社と連携した、蓄電池やHEMS/BEMS(*6)等を活用したエネルギーマネジメント実証に加え、京セラ株式会社と連携した、家庭用蓄電池を活用した電力の需給調整に取り組みました。

*6 HEMS/BEMS : 分電盤の各回路の電力測定とディスプレイによる見える化、機器の制御を行う装置

 

<事業概況>

電気事業については、前期に計上した一過性利益の反転や、減損損失の発生による影響があったものの、五井火力発電所の全基運開に加え、小売販売数量の増加等により前年同期比増益となりました。

こうした状況のもと、電気セグメントの当連結会計年度における売上高は前年同期比9.2%増の3,492億円、営業利益は前年同期比10億円増益の220億円となりました。

 

 

[再生可能エネルギーセグメント]

<主な事業内容>

ENEOSリニューアブル・エナジー株式会社は、太陽光・陸上風力・バイオマスといった再生可能エネルギーの電源開発・発電・販売事業を展開しており、今後は、洋上風力を含めた再生可能エネルギー全般を幅広くカバーし、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立すべく、諸施策に取り組んでいます。

 

<トピックス>

●エネルギートランジション実現に向けた再生可能エネルギー発電所の開発

カーボンニュートラル基本計画2025年度版の取組方針である「社会の温室効果ガス排出削減への貢献」を成し遂げるべく、当連結会計年度においても再生可能エネルギー発電所の開発を推進しました。

具体的には、計14か所の風力・太陽光発電所の運転を開始しました。また、出力制御のリスクを低減し、安定的な再生可能エネルギーの供給を図るため、太陽光発電所への蓄電池併設を推進し、計5か所の運転を開始しました。

●脱炭素社会への貢献と経済性確保の両立に向けた取組

再生可能エネルギー発電事業を通じ、脱炭素社会への貢献をしつつ、収益基盤を確立するために、当連結会計年度においても、各種企業に対し、当社グループ保有の発電所が発電する電力又は環境価値を供給・提供する電力購入契約(PPA)の締結を進めました。また、資本効率向上を実現するため、発電所の稼働率改善に向けた取組を推進しました。具体的には、発電所の稼働率向上に向けた遠隔監視の高度化や設備劣化が著しい発電所のリパワリングを通じた発電量向上に取り組みました。

 

<事業概況>

再生可能エネルギー事業については、当連結会計年度においても一部プロジェクトで開発中止に伴う減損損失等を計上しましたが、太陽光・陸上風力の新規発電所の稼働により発電量が増加し、前年同期比増益となりました。

こうした状況のもと、再生可能エネルギーセグメントの当連結会計年度における売上高は前年同期比10.7%増の487億円、営業損失は9億円(前年同期は169億円の損失)となりました。

 

 

[その他]

その他の事業の当連結会計年度における売上高は前年同期比3.5%増の5,200億円、営業利益は前年同期比423億円増益の928億円となりました。

建設事業については、公共投資は底堅く推移し、民間設備投資も企業の投資意欲を背景に増加傾向となった一方、原材料価格の上昇や労働需給のひっ迫を受け、厳しい経営環境が継続しました。このような事業環境下、技術の優位性を活かした受注活動の強化、生産性の向上及びコスト削減の推進により、競争力の強化に努めました。

金属事業については、金属価格の上昇に加えて、AI関連需要の拡大を背景に半導体及び情報通信材料市場は引き続き堅調に推移しました。このような事業環境下、技術を活用した差別化と高収益体質の確立に向けた取組を進めました。

 

上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高が合計1,035億円(前年同期は1,135億円)含まれています。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油製品ほか

5,879,636

89.1

石油・天然ガス開発

194,924

92.2

機能材

271,484

97.5

その他

81,678

103.6

合計

6,427,722

89.7

(注)上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。

 

電気セグメント及び再生可能エネルギーセグメントについては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。

 

イ.受注実績

当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。

 

ウ.発電容量 [参考]

当連結会計年度末時点における電気セグメント及び再生可能エネルギーセグメントの出資持分割合に応じた発電容量(kW)は以下のとおりです。※建設中の電源を除く

電気       :約220万kW

再生可能エネルギー:約130万kW

 

エ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油製品ほか

10,341,787

94.9

石油・天然ガス開発

216,744

89.3

機能材

336,507

97.7

電気

332,198

106.1

再生可能エネルギー

46,861

108.1

その他

491,373

103.1

合計

11,765,470

95.5

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しています。

 

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フローの概況

①流動性と資金の源泉

当社は、効率的で安定的な資金の確保と、事業活動のための流動性の維持を、財務活動の取組として重視しています。効率的な調達に向けて、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と、金融機関からの借入等の間接金融を、機動的に選択しています。

当社は、安定的な資金の確保に向けて、直接金融市場への継続的なアクセスを図るとともに、間接金融についても原油備蓄資金のための制度融資等も活用しており、政府系金融機関及び市中金融機関と幅広く関係を維持しています。また、トランジション・リンク・ローンといったサステナブル・ファイナンスによる資金調達を実施する等、調達ソースの多様化を図って十分な流動性を確保しています。

また、金融市場の環境変化にも対応できる流動性を維持するために、現金及び現金同等物を確保する他、取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は当連結会計年度末では2,275億円であり、また同契約に係る借入残高はありません。

連結における資金管理では、当社を中心に集中して資金調達を行い、国内外の金融子会社を通じてグループ各社に資金を配分するというグループファイナンス制度を設けています。その運営においてキャッシュマネジメントシステムを活用しており、流動性資金の一元管理及び効率化を実現しています。

当社は、資金調達とグローバルなビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)、ムーディーズ・ジャパン(ムーディーズ)の3社から格付けを取得しています。3社の2026年6月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがAA-(見通し安定的)/a-1+、JCRがAA-(見通し安定的)/J-1+、ムーディーズがBaa2(見通し安定的)/(短期は取得無し)となっています。

 

②連結財政状態計算書

ア.資産 当連結会計年度末における資産合計は、石油製品ほかセグメントの海運事業を一部売却したことによる資産の減少等があったものの、有形固定資産及びその他の金融資産の増加等により、前連結会計年度末比3,049億円増加の9兆943億円となりました。

 

イ.負債 当連結会計年度末における負債合計は、社債及び借入金の減少、石油製品ほかセグメントの海運事業を一部売却したことによる負債の減少等があったものの、リース負債及びその他の金融負債の増加等により、前連結会計年度末比173億円増加の5兆3,361億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比603億円減少の2兆6,157億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末比835億円減少の1兆7,038億円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めています。

 

ウ.資本 当連結会計年度末における資本合計は、配当金の支払による減少等があったものの、当期利益の計上等により、前連結会計年度末比2,876億円増加の3兆7,582億円となりました。

 

なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比1.8ポイント上昇し37.1%、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末比100.25円増加の1,252.75円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.07ポイント改善し、0.51倍(ハイブリッド債資本性調整前)となりました。

 

また、当連結会計年度よりネットD/Eレシオ算出方法を変更しており、ネット有利子負債にリース負債を加算するとともに、自己資本から非支配持分を除いて算出しています。

これに伴い、前連結会計年度末のネットD/Eレシオについても、変更後の計算式に基づき算出しています。

2025年度以降 ネットD/Eレシオ

=(有利子負債(*)-現金及び現金同等物-3ヵ月超の定期預金-拘束性預金)/

(資本合計-非支配持分)

* 有利子負債にはリース負債を含めています。

 

③連結キャッシュ・フロー

当社は、第4次中期経営計画において、「ポートフォリオ再編」を基本方針の柱の一つとして掲げ、投資の厳選とリターン最大化のための仕組みを強化します。

なお、当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況と主な要因は以下のとおりです。

ア.営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、現金及び現金同等物(以下、資金)は6,200億円増加しました(前期は5,768億円の増加)。これは、法人税の支払や持分法による投資損益等による減少要因があったものの、税引前利益や減価償却費等の増加要因が上回ったことによるものです。

イ.投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、資金は2,520億円減少しました(前期は1,308億円の増加)。これは、子会社株式の売却による収入等の増加要因があったものの、石油製品ほかセグメントの石油精製設備の維持・更新のための投資や石油・天然ガス開発事業への投資等の減少要因が上回ったことによるものです。

ウ.財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、資金は3,610億円減少しました(前期は6,304億円の減少)。これは、長期借入金やリース負債の返済、配当金の支払等の減少要因によるものです。

 

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は8,773億円となり、期首に比べ307億円増加しました。

 

(4)重要性のある会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しています。当社は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第312条の規定を適用しています。

重要性のある会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記3、4」をご参照ください。

 

セグメント情報

7.セグメント情報

(1)報告セグメントの概要

当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち、分離された財務情報が入手可能であり、取締役会(最高経営意思決定者)が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっている、「石油製品ほか」、「石油・天然ガス開発」、「機能材」、「電気」及び「再生可能エネルギー」を事業セグメント及び報告セグメントとしています。また、報告セグメントに含まれない事業については「その他」の区分に集約しています。

なお、前第4四半期連結会計期間において、JX金属が東京証券取引所プライム市場に上場しました。株式上場に際し、JX金属株式の一部売出しを行ったことにより、JX金属は子会社から持分法適用会社となったため、金属事業を非継続事業に分類しています。非継続事業の詳細については、注記15.「売却目的保有に分類される処分グループ及び非継続事業」に記載しています。

これに伴い、前連結会計年度のセグメント情報は、金属事業を除いた継続事業のみの金額を表示しており、当連結会計年度のセグメント情報は、金属事業の持分法による投資利益を継続事業として「その他」の区分に含めています。

 

各報告セグメント及び「その他」の区分の主な製品・サービス又は事業内容は、以下のとおりです。

石油製品ほか

石油精製販売、基礎化学品、潤滑油、ガス、水素

石油・天然ガス開発

石油・天然ガスその他の鉱物・エネルギー資源の探鉱・探査及び開発、

副産物の採取・加工・貯蔵・売買及び輸送、二酸化炭素の回収・輸送・貯留及び利用

機能材

合成ゴム、特殊合成ゴム、二次電池材料、エマルション、熱可塑性エラストマー、高機能モノマー、高機能ポリマー

電気

発電事業、電力の調達・販売、都市ガス、海外再生可能エネルギー、VPP

再生可能エネルギー

風力発電、太陽光発電、バイオマス発電

その他

アスファルト舗装、土木工事、建築工事、非鉄金属製品及び機能材料・薄膜材料の製造・販売並びに非鉄金属リサイクル、不動産賃貸、資金調達等のグループ共通業務

 

(2)報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債及びその他の項目

前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

石油製品ほか

石油・天然

ガス開発

機能材

電気

 

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高(注2)

10,902,305

242,813

344,262

313,228

 

セグメント間の内部売上高又は

振替高(注3)

77,390

2,776

6,670

 

 計

10,979,695

242,813

347,038

319,898

 

セグメント利益又は損失(△)(注4)

△50,705

87,407

17,671

20,970

 

セグメント資産

5,621,315

1,215,581

313,970

240,850

 

セグメント負債

3,855,094

387,581

186,521

160,926

 

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

192,436

72,472

8,126

7,275

 

減損損失

172,899

7,482

 

持分法による投資利益又は損失(△)

△12,213

17,563

405

△157

 

持分法で会計処理されている投資(注5)

120,174

91,823

8,096

24,995

 

有形固定資産及び無形資産の

資本的支出(注6)

175,621

65,347

13,139

21,338

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

再生可能

エネルギー

報告セグメント

合計

その他

調整額

(注7)

連結財務諸表

計上額

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高(注2)

43,338

11,845,946

476,548

12,322,494

セグメント間の内部売上高又は

振替高(注3)

704

87,540

25,930

△113,470

 計

44,042

11,933,486

502,478

△113,470

12,322,494

セグメント利益又は損失(△)(注4)

△16,906

58,437

50,414

△2,758

106,093

セグメント資産

566,718

7,958,434

3,342,463

△2,511,520

8,789,377

セグメント負債

351,953

4,942,075

2,727,584

△2,350,845

5,318,814

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

21,525

301,834

13,782

4,560

320,176

減損損失

17,472

197,853

117

△164

197,806

持分法による投資利益又は損失(△)

△277

5,321

4,481

△177

9,625

持分法で会計処理されている投資(注5)

12,079

257,167

353,221

610,388

有形固定資産及び無形資産の

資本的支出(注6)

28,772

304,217

11,094

61,766

377,077

(注)1.報告セグメントの会計方針は、連結財務諸表作成における会計方針と同一です。

2.外部顧客への売上高には、顧客との契約から生じた収益及びその他の源泉から生じた収益が含まれています。

3.報告セグメント間の内部売上高又は振替高は市場実勢価格に基づいています。

4.セグメント利益又は損失は、連結損益計算書における営業損益で表示しています。

5.持分法で会計処理されている投資の「その他」353,221百万円は、主に持分法適用会社となったJX金属への投資に係る金額です。

6.資本的支出には、使用権資産の新規取得を含めています。

7.調整額は以下のとおりです。

①セグメント利益又は損失の調整額△2,758百万円には、各報告セグメント及び「その他」の区分に配分していない全社収益・全社費用の純額1,150百万円が含まれています。

②セグメント資産の調整額△2,511,520百万円は、主にセグメント間の債権の相殺消去です。

③セグメント負債の調整額△2,350,845百万円は、主にセグメント間の債務の相殺消去です。

④有形固定資産及び無形資産の資本的支出の調整額61,766百万円は、非継続事業に係る金額です。

 

当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

石油製品ほか

石油・天然

ガス開発

機能材

電気

 

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高(注2)

10,341,787

216,744

336,507

332,198

 

セグメント間の内部売上高又は

振替高(注3)

53,532

3

2,481

17,021

 

 計

10,395,319

216,747

338,988

349,219

 

セグメント利益又は損失(△)

(注4,5)

292,362

50,833

11,076

21,996

 

セグメント資産

5,938,078

1,294,205

319,009

248,997

 

セグメント負債

4,010,046

422,789

185,580

163,007

 

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

209,097

65,077

7,873

8,408

 

減損損失

26,877

4,597

5,681

8,047

 

持分法による投資利益又は損失(△)

 (注5)

23,513

12,237

268

△2,486

 

持分法で会計処理されている投資(注6)

159,563

99,539

8,247

13,099

 

有形固定資産及び無形資産の

資本的支出(注7)

319,155

61,441

17,149

5,607

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

再生可能

エネルギー

報告セグメント

合計

その他

調整額

(注8)

連結財務諸表

計上額

売上高

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高(注2)

46,861

11,274,097

491,373

11,765,470

セグメント間の内部売上高又は

振替高(注3)

1,796

74,833

28,658

△103,491

 計

48,657

11,348,930

520,031

△103,491

11,765,470

セグメント利益又は損失(△)

(注4,5)

△929

375,338

92,759

△1,470

466,627

セグメント資産

583,062

8,383,351

3,338,120

△2,627,157

9,094,314

セグメント負債

367,445

5,148,867

2,621,242

△2,433,996

5,336,113

その他の項目

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費

21,589

312,044

12,363

4,788

329,195

減損損失

2,469

47,671

340

48,011

持分法による投資利益又は損失(△)

 (注5)

△194

33,338

47,684

81,022

持分法で会計処理されている投資(注6)

10,990

291,438

405,493

696,931

有形固定資産及び無形資産の

資本的支出(注7)

27,086

430,438

12,878

14,042

457,358

(注)1.報告セグメントの会計方針は、連結財務諸表作成における会計方針と同一です。

2.外部顧客への売上高には、顧客との契約から生じた収益及びその他の源泉から生じた収益が含まれています。

3.報告セグメント間の内部売上高又は振替高は市場実勢価格に基づいています。

4.セグメント利益又は損失は、連結損益計算書における営業損益で表示しています。

5. セグメント利益又は損失の「その他」92,759百万円には、持分法適用会社となったJX金属及び同社子会社等からなる金属事業の持分法による投資利益が含まれています。

6.持分法で会計処理されている投資の「その他」405,493百万円は、主に持分法適用会社となったJX金属への投資に係る金額です。

7.資本的支出には、使用権資産の新規取得を含めています。

8.調整額は以下のとおりです。

①セグメント利益又は損失の調整額△1,470百万円には、各報告セグメント及び「その他」の区分に配分していない全社収益・全社費用の純額871百万円が含まれています。

②セグメント資産の調整額△2,627,157百万円は、主にセグメント間の債権の相殺消去です。

③セグメント負債の調整額△2,433,996百万円は、主にセグメント間の債務の相殺消去です。

 

セグメント利益又は損失の合計額から税引前利益又は損失への調整は下記のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

セグメント利益又は損失(△)

106,093

466,627

金融収益

23,684

20,782

金融費用

41,558

38,654

税引前利益又は損失(△)

88,219

448,755

 

(3)製品及びサービスに関する情報

「(1)報告セグメントの概要」における事業セグメントごとの製品及びサービスについて、「(2)報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債及びその他の項目」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています。

 

(4)売上高の区分別情報及び地域別情報

売上高は物品の販売によるものです。

外部顧客の所在地域別売上高は、以下のとおりです。

 

 

(単位:百万円)

 

 前連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2025年4月1日

  至 2026年3月31日)

日本

9,697,822

8,789,295

シンガポール

660,769

984,106

中国

496,470

553,434

その他

1,467,433

1,438,635

合計

12,322,494

11,765,470

(注)売上高は顧客の所在地に基づき、国又は地域に分類しています。

 

所在地域別の非流動資産の金額は、以下のとおりです。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2025年3月31日)

当連結会計年度

(2026年3月31日)

日本

 

2,967,999

 

3,134,020

その他

 

599,079

 

544,947

合計

 

3,567,078

 

3,678,967

(注)非流動資産は金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産等を含んでいません。

 

(5)主要な顧客に関する情報

当社グループの収益の10%を超える外部顧客がないため、記載を省略しています。