2024年4月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)  建設市場の動向

 民間景気の減速や建設市場が縮小した場合等による受注環境が悪化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 このリスクの低減を図るための対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の記載をご参照下さい。

(2)  労務単価及び資材価格の高騰

 労務単価や原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、地域の主要単価を統計的に把握するとともに価格高騰を予見し早めの発注を行うことや、既存の取引先にとらわれず新規取引先の開拓に努めることにより、価格変動の影響を抑制し、リスクの低減に努めております。

(3)  取引先の信用リスク

 建設業界においては、1件当たりの請負金額が多額であり、また支払条件によっては工事代金の回収に期間を要する場合があります。万一、発注者、協力会社、共同施工会社等の取引先に信用不安が顕在化し、資金の回収不能や工期の遅延等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、与信管理規程及び債権管理規程に基づき、取引先の状況把握を定期的に実施し、回収懸念の早期把握や軽減を図り、リスクの低減に努めております。

(4)  人材確保

 建設業界においては、建設技術者・技術労働者の高齢化が進み、計画的な人員確保の重要性が高まってきております。当社では、計画的な人員確保に向けて採用の強化に努めておりますが、需給関係の急激な逼迫により人員確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や納期遅延等の問題が発生する恐れがあり、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、働き方改革を推進した労働環境の構築や、採用後の資格取得への積極的な支援、及び左記に基づく採用活動の実施により、リスクの低減に努めております。

(5)  施工物の瑕疵

 継続的な社員教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に重大な瑕疵(契約不適合)があった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、品質安全部を設置し、ISO規格に基づく徹底した品質管理を実施するとともに、社員教育の充実による施工技術の更なる向上を図り、リスクの低減に努めております。

(6)  建設活動に伴う事故

 建設業界は、作業環境や作業方法の特性より危険性を伴うことが多く、他の産業と比べると事故発生率が高くなっております。万一、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、工事着手に際し、施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどを実施し事故を撲滅するための活動を実施することで、リスクの低減に努めております。

(7)  法的規制等

 当社の事業運営上、建設業法、建築基準法、建築士法、宅地建物取引業法、独占禁止法他多数の法的規制を受けております。当社では、特定建設業許可、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業の許認可を受けております。将来、何らかの理由により法令違反の発生、許認可等の取消又は更新が認められない場合、若しくはこれらの法律等の改廃又新たな法的規制の新設、適用基準の変更によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社が取得している許認可等は、下表のとおりであります。

法令等

許認可等

有効期限

取消事由

建設業法

特定建設業許可

国土交通大臣許可

(特2)第4947号

2025年9月1日

建設業法第29条に定められております。

建築士法

一級建築士事務所登録

兵庫県知事許可

第01A03206号

2029年3月29日

建築士法第26条に定められております。

宅地建物取引業法

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣許可

(4)第6975号

2024年12月14日

宅地建物取引業法第66条に定められております。

 

 当社は、上記許認可等の諸条件や各法令の遵守に努めております。法改正については国土交通省、その他関係各所から発信されている情報にアクセスし、早期に対応を検討し対策することで、リスクの低減に努めており、継続に支障を来す要因は発生しておりません。

(8)  訴訟等に関するリスク

 当社の事業等に関連して予期せぬ問題や紛争が生じて、これによる訴訟等を提起、あるいは提訴された際に当社の主張や予測と相違する結果となった場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、訴訟等について、顧問弁護士等外部の専門家と緊密に連携し対応できる体制を構築することで、リスクの低減に努めております。

(9)  外壁タイル剥離に係るクレーム等発生リスク

 建物の外壁タイルに剥離が生じたとして、建物の所有者が施工者に対して不法行為に基づく損害金の支払を求める訴訟は、近時、建築関係訴訟の中で多くみられる類型の一つといわれております。当社は建築工事事業においてマンションを施工しており、発注者から指定された仕様書を遵守した施工は当然として、(5)に記載したとおり品質管理を徹底するとともに、タイルの接着効果を増大させる方法を取り入れて対策しております。ただし、外壁タイルの剥離現象の発生原因を解明するのは困難であり、クレームの発生や訴訟を提起された場合には、当社の施工に起因する剥離ではなかったとしても、風評への影響や経済的な負担等が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、本書提出日現在、訴訟中の事案はありませんが、当社においてクレームの発生や訴訟を提起された場合には、個別に誠実かつ適正に対応する方針であります。クレームの発生等を事前に把握することは困難でありますが、完成後2年経過後の自社点検を実施するとともに、その後も竣工後5年目の自主的調査を行うこととし、所有者においても3年、6年の検査と10年目の打診調査が行われます。当社点検調査の結果、剥離の可能性を検知した場合には、所有者、管理者に報告し適切な保全を促す等の対応をとることで、自社で行い得るクレーム等発生の抑止を図り、リスクの低減に努めております。

(10) 災害リスク

 地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、事業継続計画を定め、大規模災害発生時の役職員の安否の早期確認や、適正な初動活動が行えるように準備することで、リスクの低減に努めております。

(11) 情報セキュリティ

 事業活動を通して得た取引先の情報や、営業上・技術上の機密情報等に対して、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、情報の取扱い等に関する情報管理規程を整備・充実し役職員への周知・徹底を図るとともに、適正な情報セキュリティ強化を図ることで、リスクの低減に努めております。

(12) レピュテーションリスク

 ソーシャルメディアの普及に伴い、インターネット上の書き込み等で事実とは異なった情報や誹謗中傷による風評被害が発生・拡散した場合には、社会的信用が毀損し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、風評被害の恐れのある情報を監視するとともに、リスクが認識された場合に迅速な対応を行う体制を構築することで、リスクの低減に努めております。

(13) 履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識

 当社は、工事契約に係る収益認識について、少額又は期間がごく短い工事等を除いて、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。当該方法は、工事の進捗率に応じて収益を計上する方法であり、具体的には見積総工事原価に対する発生原価の割合をもって完成工事高を計上しております。工事ごとに継続的に見積総工事原価の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、想定していなかった状況の変化が生じて見直しが必要になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、工事原価の見積りの精度向上を図り、適宜決算に反映することで、リスクの低減に努めております。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元と当社事業の持続的な発展を重要課題として認識しており、利益配分に関しては、株主への剰余金の配当を安定的にかつ継続的に実施することを基本方針としております。

当社は、事業環境や経営成績、財政状況等を見極めた上で、配当と内部留保のバランスを勘案し、利益配分を行う予定でありますが、中期経営計画2024-2027においては120円の普通配当を維持したうえで、DOE(株主資本配当率)3%以上をめざしてまいります。株主還元の配当の実施時期につきましては、期末配当のほか、中間配当の実施を予定しております。配当の決定機関は、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、株主への利益還元の機会を充実させ、株式を継続して保有していただくことを目的とし、更に第60期を迎えたことに感謝の意を表するため、1株当たり120円の普通配当に加えて、1株当たり40円(中間配当20円、期末配当20円)の記念配当を実施し、年間配当は1株当たり160円といたしました。

内部留保資金の使途につきましては、経営体制強化及び事業拡大のための投資等に充当していく方針であります。

なお、中間配当は取締役会の決議により、実施できる旨を定款で定めております。

 (参考)※DOE((純資産)株主資本配当率)=年間配当総額(中間+期末)÷純資産(株主資本)

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たりの配当額

(円)

2023年12月15日

取締役会決議

412,047

80

2024年7月30日

定時株主総会決議

412,045

80