2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    5,480名(単体) 33,617名(連結)
  • 平均年齢
    41.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.2年(単体)
  • 平均年収
    6,414,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

(2023年12月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

タイヤ

29,178

M B

3,219

そ  の  他

1,220

合   計

33,617

 

(注)1.従業員数は、当社グループへの出向者を含む就業人員数であります。

 2.前連結会計年度に比べ従業員数が5,149名増加しておりますが、主な理由は、2023年5月にTrelleborg Wheel Systems Holding ABを買収したことによるものであります

 

(2) 提出会社の状況

(2023年12月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

5,480

(437)

41.0

17.2

6,414

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

タイヤ

3,959

(317)

M B

1,165

(105)

そ  の  他

356

(15)

合   計

5,480

(437)

 

(注) 1 従業員数は、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の年間平均雇用人員であります。

3 臨時従業員には、季節工及びパートタイマーを含み、派遣社員を除いております。

4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社には1946年に結成された労働組合があり、ユニオン・ショップ制で、主に全日本ゴム産業労働組合総連合を上部団体としております。
 2023年12月末現在の組合員数は5,080名であります。組合とは円満に労使間協調を保っております。

なお、組合組織をもつ連結子会社が一部ありますが、労使関係は良好であります。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

2.0

86.2

72.2

74.9

65.3

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。男女賃金差異が生じておりますが、人事・処遇制度は男女平等に設計・運用しており、当該差異は労務構成から生じている賃金差です。

   2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

②連結子会社(注1)

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注2)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注3)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注2)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

株式会社ヨコハマタイヤジャパン

0.2

45.8

66.2

64.4

78.7

横浜ゴムMBジャパン株式会社

2.7

0.0

62.7

64.0

60.6

愛知タイヤ工業株式会社

0.0

0.0

79.3

82.4

64.9

亀山ビード株式会社

0.0

50.0

56.6

65.1

37.1

ヨコハマモールド株式会社

12.5

100.0

81.4

82.2

48.6

浜ゴム物流株式会社

6.7

100.0

64.5

76.8

51.2

ハマゴムエイコム株式会社

5.4

162.5

82.1

82.1

 

(注)1.連結子会社のうち、常時雇用する労働者が101人以上の国内連結子会社を全て記載しております。それ以外の国内連結子会社については「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

   2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。男女賃金差異が生じておりますが、人事・処遇制度は男女平等に設計・運用しており、当該差異は労務構成から生じている賃金差です。なお「―」表示は対象者なしを示しております。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

③提出会社・国内連結子会社グループ(注1)

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注2)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注3)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注2)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

1.6

81.5

69.2

70.8

68.6

 

(注)1.上記①及び②の合計を記載しております。

   2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。男女賃金差異が生じておりますが、人事・処遇制度は男女平等に設計・運用しており、当該差異は労務構成から生じている賃金差です。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

(1)サステナビリティ共通

当社グループは「心と技術をこめたモノづくりにより幸せと豊かさに貢献します」を基本理念とし、世界各地のステークホルダーと協調しながら事業活動を展開しています。またサステナビリティ・スローガンとして「未来への思いやり」を掲げ、事業活動を通じた社会課題への貢献を持続的な企業価値向上につなげるべく、マテリアリティ(重要課題)に沿った取り組みを推進してきました。

今般、2024年度に開始した新中期経営計画「Yokohama Transformation 2026(YX2026)」の策定に合わせ、当社グループを取り巻く事業環境や社会課題の変化をふまえてマテリアリティの見直しを行い、事業活動が社会や環境に与える影響と社会や環境が事業活動にもたらす影響の双方を考慮して新たなマテリアリティを特定しました。これらのマテリアリティに沿った取り組みを進めることにより、サステナビリティ経営の実現を目指してまいります。

 

<横浜ゴムグループのマテリアリティ>

製品・サービス

 

持続可能な社会に貢献する製品・サービスの提供

 

 

・独自技術による品質と性能の向上を通じた安全で快適なモビリティ社会の実現

高付加価値オフハイウェイタイヤの提供を通じた経済・社会の発展への貢献

・DXを活用したサービスによる顧客の利便性・効率性の向上

環境

 

脱炭素社会・循環型経済への貢献

 

 

・製品を通じた脱炭素社会への貢献

・温室効果ガス排出量、エネルギー使用量の削減

・再生可能・リサイクル原料の利用拡大によるサーキュラーエコノミーへの貢献

 

 

自然との共生

 

 

・ネイチャーポジティブに向けた取り組みの推進

・環境マネジメントの強化

地域社会

 

地域社会との共生

 

 

・地域社会の課題解決への貢献

人的資本

 

持続的な企業価値向上を実現する人材力

 

 

・ダイバーシティー&インクルージョンの推進

・従業員の能力開発によるイノベーションの創出と生産性の向上

・安全で健康的な職場環境

・従業員の人権の尊重

サプライチェーン

 

持続可能なサプライチェーンの構築

 

 

・持続可能な天然ゴム調達

・サプライチェーンにおける人権の尊重

ガバナンス

 

コーポレートガバナンス強化による経営のレジリエンス向上

 

 

・ステークホルダーエンゲージメントの強化

・サステナビリティ課題のガバナンスの強化

 

 

①ガバナンス

代表取締役社長が議長を務め、社内取締役(社内取締役監査等委員を含む)全員が出席する「CSR会議」を年に2回(5月および11月)開催し、横浜ゴムグループが取り組むべきサステナビリティ課題(環境、労働安全衛生、防災、品質、社会貢献等)について立案・検討する体制を整えています。個別のサステナビリティ課題について立案・検討する会議体としては、環境推進会議、中央安全衛生委員会、中央防災会議が設置され、より詳細な計画、施策を立案し、実行しています。また、サステナビリティ課題のうち、重大かつ緊急性の高い事案については、リスクマネジメント委員会と連携して対処しています。

 

②リスク管理

当社グループを取り巻くさまざまなリスクからの防衛体制を強固にするため、経営管理本部長を議長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、経営に重大な影響を及ぼすリスクを横断的に管理し、適切に評価対応しています。

また、環境、労働安全衛生、防災・BCP、品質管理、コンプライアンスなどの重要度の高いリスクに関しては、それぞれを専門に統括する部門と会議体を設置して重点的に管理する体制を取っており、事業活動におけるリスク管理体制の強化を図っています。

「リスクマネジメント委員会」「コンプライアンス委員会」等の活動状況は取締役会に定期的に報告され、その他の会議体の活動状況についても経営会議に適宜報告され、必要と判断されたものは取締役会に報告されます。


 

③戦略

当社グループは、2008年、CSR・サステナビリティ経営を進捗させるために、「CSR経営ビジョン」および「CSR行動指針」を定め、責任部門としてCSR本部を設置しました。さらに2014年には、国連グローバル・コンパクト分野10原則などの国際規範をもとに「横浜ゴムグループ行動指針」を制定、自社とステークホルダーの双方にとって影響が大きく、関心の高いテーマをマテリアリティとして特定し、その達成のためにPDCAサイクルを回して、継続的改善を図ってきました。創立100周年にあたる2017年にはCSRスローガン(現サステナビリティ・スローガン)を制定し、次の100年に向けてさらなる持続的な成長の実現を目指しています。

また、新中期経営計画「YX2026」に合わせて、社会・環境と当社の持続的成長に必要なマテリアリティを新たに特定し、中長期的視点で達成すべき具体的な指標を非財務目標として設定しています。

 

 

④指標及び目標

「YX2026」においては、それぞれのマテリアリティにおける目指す姿を実現するためのサステナビリティ指標(KPI)とリスクと機会の両面からサステナビリティ目標を設定し、企業価値向上と持続的な社会・環境への貢献を目指しています。

 

 製品・サービス:「持続可能な社会に貢献する製品・サービスの提供」

目指す姿

・独自技術による品質と性能の向上を通じた安全で快適なモビリティ社会の実現

高付加価値オフハイウェイタイヤの提供を通じた経済・社会の発展への貢献

・DXを活用したサービスによる顧客の利便性・効率性の向上

指標(KPI)

及び目標

指標(KPI)

目標

①E+マーク(電動車対応)タイヤの商品数

2026年度:10商品

②VF(Very High Flexion)規格及びPFO(Pressure Field Operation)規格(注)に適合したタイヤサイズ数

2026年度:合計384サイズ

③DXを活用したタイヤのマネジメント/メンテナンスサービス(T.M.S)の利用数

・車両登録台数

・タイヤ点検本数

 

2026年度:

・5万台

・年間45万本

 

(注)農作物の根への影響を最小限に抑える低圧走行可能なタイヤの規格

 

 環境:「脱炭素社会・循環型経済への貢献」

目指す姿

・製品を通じた脱炭素社会への貢献

・温室効果ガス排出量、エネルギー使用量の削減

・再生可能・リサイクル原料の利用拡大によるサーキュラーエコノミーへの貢献

指標(KPI)

及び目標

指標(KPI)

目標

①温室効果ガス排出量(Scope1+2)削減

2026年度:2019年度比30%削減

2030年度:同40%削減
2050年度:カーボンニュートラル達成

②再生可能エネルギーの割合

2050年度:100%達成

③再生可能原料・リサイクル原料使用率

2026年度:28%

2030年度:30%

2050年度:サステナブル原料100%達成

 

 

 環境:「自然との共生」

目指す姿

・ネイチャーポジティブに向けた取り組みの推進

・環境マネジメントの強化

指標(KPI

及び目標

指標(KPI)

目標

①「YOKOHAMA千年の杜」活動における植樹・苗木提供本数

2030年度:植樹・苗木提供本数累計150万本

②事業拠点の環境省「自然共生サイト」認定件数

2026年度:累計5拠点

③重大環境事故件数(大気、水、土壌)

0件の継続

 

 

 地域社会:「地域社会との共生」

目指す姿

地域社会の課題解決への貢献

指標(KPI)

及び目標

指標(KPI)

目標

従業員社会貢献基金「YOKOHAMAまごころ基金」による社会貢献団体支援

年間10件以上

 

 

 

 人的資本:「持続的な企業価値向上を実現する人材力」

目指す姿

・ダイバーシティー&インクルージョンの推進

・従業員の能力開発によるイノベーションの創出と生産性の向上

・安全で健康的な職場環境

・従業員の人権の尊重

指標(KPI)

及び目標

指標(KPI)

目標

①女性管理職(課長以上)比率(単体)

2026年度:5%

2030年度:10%

②男性育児休業取得率(単体)

2026年度:100%

2030年度:100%(取得期間の拡充)

③社員の65歳到達後の継続雇用率(単体)

2024~2026年度:期間平均65%以上

2027~2030年度:期間平均70%以上

④能力開発研修受講者数

・MBA等経営教育受講率(単体)

・DXリーダー育成教育受講率(単体)

2026年度:

・部門長の15%(累計)

事務・技術系職員の10%(累計)

⑤従業員エンゲージメントスコア

2024年度より従業員エンゲージメント調査を継続的に実施し、2026年度までに目標値を設定

 

 

 サプライチェーン:「持続可能なサプライチェーンの構築」

目指す姿

・持続可能な天然ゴム調達

・サプライチェーンにおける人権の尊重

指標(KPI)

及び目標

指標(KPI)

目標

①天然ゴム農園の調査件数

2030年度:累計1,200件

②天然ゴム農家向けセミナーイベントの実施件数

年間2件以上

③サプライチェーンにおける人権デューデリジェンス(インパクト・アセスメント)実施件数

年間1件

 

 

 ガバナンス:「コーポレートガバナンス強化による経営のレジリエンス向上」

目指す姿

・ステークホルダーエンゲージメントの強化

・サステナビリティ課題のガバナンスの強化

指標(KPI)

及び目標

指標(KPI)

目標

取締役会におけるサステナビリティ関連事案の報告・審議件数

年間4件(四半期に1回)以上

 

 

 

 

(2)気候変動

近年、世界中で気候変動の影響は深刻化しており、企業にも脱炭素など気候変動への積極的な対応が求められています。当社グループでは、「気候変動の緩和と適応」を持続可能な社会への貢献と企業の持続的な成長のための重要な経営課題の一つとして位置づけ、2022年1月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)※」の提言に賛同を表明しました。今後もTCFD提言に沿って気候変動への取り組みに関する情報開示を進め、ステークホルダーの皆様との信頼関係の構築を図ってまいります。

※ Task Force on Climate-related Financial Disclosures の略称。TCFDは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関が採るべき対応を検討するために2015年に設立されました。企業などに対して、気候変動によるリスクおよび機会が経営に与える財務的な影響を評価し、開示することを推奨しています。

 

 ①ガバナンス

代表取締役社長が議長を務めるCSR会議を年に2回(5月・11月)開催し、当社グループが取り組むべきCSR課題について立案・検討する体制を整えています。「気候変動の緩和と適応」に関しては、「環境推進会議」が設置され、環境推進会議の下部組織として4つの委員会、2つの部会、2つの会議を設け、環境活動を推進しています。「環境推進会議」はCSR本部長が議長として各課題を審議・決定し、当社グループの環境活動を統括しています

 


 

 ②リスク管理

気候変動にかかわるリスクについては、「環境推進会議」の下部組織である「カーボンニュートラル推進委員会」をはじめとする委員会、部会、会議が、それぞれリスクの特定・評価を実施し、その低減活動を行っています。委員会、部会、会議にて特定された重要なリスクについては、「環境推進会議」において対策を審議・決定しています。また、自然災害等の物理リスクについては、「中央防災会議」において防災、BCPに取り組み、リスク低減を推進しています。 重大かつ緊急性の高い事案については、当社を取り巻くさまざまなリスクからの防衛体制を強固にするために設置された「リスクマネジメント委員会」(議長:経営管理本部長)において審議され、適切に評価対応しています。「リスクマネジメント委員会」の活動状況は、取締役会に定期的に報告されています。

 

③戦略

当社グループは、気候関連のリスクについて、低炭素経済への移行に関連するリスク(移行リスク)と気候変動の物理的影響に関連するリスク(物理的リスク)の二つに分類、影響を受ける財務影響の大きさを評価し、事業に及ぼすリスクと機会を整理しました。さらに、気温上昇につきIEA(国際エネルギー機関)およびIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示すシナリオを用いてシナリオ分析を実施し、1.5℃シナリオ、4℃シナリオそれぞれのリスクと機会を踏まえた適応策・財務影響等について検証しました。今後も引き続き、リスクと機会の検討やシナリオ分析の精緻化を進めていきます。

 

 

<気候変動に関する主なリスクと機会>

 

重要な要因

区分

潜在的な財務的影響

財務影響

今後の対応策

スク

移行リスク

脱炭素社会への移行

政策・

法規制

カーボンプライシングの導入・上昇

・カーボンニュートラルのロードマップの策定と実践

・エネルギー使用量の「年1%削減活動」の推進(設備の効率化、運転の最適化、加工仕様の見直し等)

・再生可能エネルギーの利用拡大

・エネルギー新技術の導入

市場

資源(原料)価格の高騰・供給の不安定化

再生可能エネルギー・燃料価格(原油、天然ガス)の上昇

技術

製造プロセス効率の改善のための設備投資

評判

排出量削減の取り組みや取り組み姿勢に対する顧客評価、株価への影響

再生可能エネルギー利用を推進する世界的な動きへの対応(ステークホルダーからの評判)

製品・サービス需要の変化

市場

製造時CO2排出量評価による製品選別(同一製品内の競争)

製造時のCO2排出ゼロに向けた製造拠点のカーボンニュートラル化の推進

自動車業界の変革への対応

市場

MaaSによる自動車販売台数の低下

生産財タイヤの強化、コスト、サービス、DXの探索

物理的リスク

気温上昇に伴う気象災害の

激甚化

急性

サプライチェーンの寸断による原材料調達困難化、調達コストの上昇

・サプライヤー、原料産地の分散化

・風 水害や地震等に対応した生産拠点の補強、BCP策定

異常気象による設備損壊、運転停止

気候変動の激甚化

慢性

気候変動による天然ゴム(天然資源)の枯渇、調達困難化

サステナブル原料の研究開発強化

降雪の減少等による冬用タイヤ需要の低下

オールシーズンタイヤの開発・販売

製品性能向上に必要な研究開発投資の増加

ビジネスパートナーとの共同研究開発の推進

 

脱炭素社会への移行

エネルギ

ー源

製造プロセス効率の改善によるエネルギーコスト削減

エネルギー使用量の「年1%削減活動」の推進(設備の効率化、運転の最適化、加工仕様の見直し等)

製品・

サービス

需要の変化(カーボンニュートラル対応・電動車(EV)装着の性能要求)や規制強化への早期対応によるシェアの拡大

・EV対応タイヤの新車装着強化

・E+マークのEV対応タイヤの販売拡大

製品・サービス需要の変化

製品・

サービス

再生可能/リサイクル原料を使用した環境負荷低減製品や低燃費、低炭素化製品の提供による競争力・収益力の向上

・再生可能/リサイクル原料を使用したタイヤ、ゴム製品の販売拡大

・環境性能に優れた低燃費タイヤの販売拡大

・製造時のCO2排出ゼロのタイヤ、ゴム製品の販売

自動車業界の変革への対応

製品・

サービス

次世代モビリティを支える製品・サービスの需要増

・センサータイヤ(IoTタイヤ)の販売

・タイヤソリューションサービスの強化

気候変動

製品・

サービス

防災・復旧・気温変動や食料・自然に資する製品・サービスの需要増

・オフハイウェイタイヤ(OHT)の販売拡大

・耐衝撃性、耐熱性の高いコンベヤベルト等のゴム製品の販売拡大

 

 

 

<シナリオ分析の結果概要>

シナリオ条件

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

シナリオの概要

持続可能な発展のため、厳しい気候政策や技術革新により、2100年までの世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1.5℃に抑えるシナリオ

厳しい気候政策や技術革新が進まず、気候変動の物理的影響が急速に強まり、2100年までの平均気温が産業革命前に比して4℃上昇することを想定するシナリオ

参照

シナリオ

移行リスク

IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)

IEA World Energy Outlook 2021(WEO2021)

物理リスク

IPCC第6次報告書SSP1-1.9

IPCC第6次報告書SSP5-8.5

分析結果

主に移行リスク・機会が顕在化。

(リスク)

厳格な気候変動規制への対応が求められ、再生可能エネルギーの調達やカーボンプライシング導入などによりエネルギーコスト負担や製造プロセス効率改善のための設備投資が増加。

環境負荷低減製品の増加に伴い、再生可能/リサイクル原料の研究開発費や調達コスト負担が増加。

(機会)

カーボンニュートラル対応、EV装着の性能要求への早期対応、環境負荷低減製品や低燃費、低炭素化製品の提供により、競争力・収益力が向上。

主に物理リスク・機会が顕在化。

(リスク)

拠点やサプライチェーンにおける甚大な自然災害の発生が増加。また、異常気象により天然資源が枯渇し、原料供給が不安定化。

降雪の減少等による冬用タイヤ需要の低下など、慢性的な気候変動により製品需要が変化。

(機会)

防災・復旧・気候変動などに対応する製品・サービスの需要が増加。

 

 

④指標及び目標

当社グループでは、環境関連のマテリアリティとして「脱炭素社会・循環型経済への貢献」「自然との共生」を掲げ、気候変動にかかわるリスクの最小化のため、以下の指標及び目標を設定しています

指標(KPI)

目標

温室効果ガス排出量(Scope1+2)削減

2026年度:2019年度比30%削減

2030年度:同40%削減
2050年度:カーボンニュートラル達成

再生可能エネルギーの割合

2050年度:100%達成

再生可能原料・リサイクル原料使用率

2026年度:28%

2030年度:30%

2050年度:100%達成

「YOKOHAMA千年の杜」活動における植樹・苗木提供本数

2030年度:植樹・苗木提供本数累計150万本

 

 

■温室効果ガス排出量実績(Scope1、2)(連結)

Scope(単位:千トン)

2019年度

(基準年)

2020年度

2021年度

2022年度

Scope1

656

605

699

648

Scope2

614

550

601

593

Scope1、2合計

1,270

1,155

1,300

1,241

Scope1、2合計の削減率

(基準年:2019年度)

▲9.1%

2.3%

▲2.3%

 

(注)各年度の温室効果ガス排出量実績(Scope1、2)には、合併前のYokohama TWSの排出量実績を含みます。

 

 

■温室効果ガス排出量実績(Scope3)(連結)

カテゴリ(単位:千トン)

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

購入した製品・サービス

2,628

2,317

4,031

4,022

資本財

58

52

152

175

Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動

106

135

147

129

輸送、配送(上流)

141

167

154

125

事業から出る廃棄物

2

16

50

27

出張

11

3

5

5

雇用者の通勤

25

20

21

19

リース資産(上流)

輸送・配送(下流)

54

59

72

59

10

販売した製品の加工

10

10

10

14

11

販売した製品の使用

18,394

16,776

19,940

21,087

12

販売した製品の廃棄

1,179

1,132

875

906

13

リース資産(下流)

14

フランチャイズ

15

投資

135

112

246

92

上記の合計

22,745

20,799

25,702

26,661

 

(注)各年度の温室効果ガス排出量実績(Scope3)には、合併前のYokohama TWSの排出量実績を含みません。また、カテゴリ8、13、14に分類される排出量実績はありません。

(3)人的資本(人材の多様性を含む)

①戦略

■ 求める人材像

経営戦略を実現し、企業価値を持続的に向上するため、当社グループでは、基本理念、経営方針、行動指針及び企業スローガンからなる企業理念の浸透と、長期ビジョンに定めた事業の方向性の共有をベースとし、求める人材像として「世代・性別・国籍に関わらず、厳しくとも結果にコミットし、自らの成長をもって会社の成長に貢献できる人材」を掲げ、その育成と社内環境整備に取り組んでいきます。

 

■ 人材育成方針

<プロ人材の育成と「適所」適材の人員配置>

グローバルに事業展開する当社グループでは、高い達成意欲と幅広い視野を持ち、周囲に影響を及ぼしながら力を発揮していく「プロの人材」の配置が必須であり、そのための育成・選抜や「『適所』適材」の人員配置等の施策を進めています。一人ひとりが育成の場を積極的に活用し成長していくことが、会社の発展をもたらすとの考えに基づき、それを全面的にバックアップしています。また、グローバルな競争に勝ち抜いていくために、会社を背負って立つ経営人材の確保と育成にも取り組んでいきます。

 

<人材育成プログラム>

グローバルな事業環境の変化に対応するため、人材育成プログラムを通じて人的資本の強化に取り組んでいます。的確に物事を判断・実行するのに必要なマインド、能力、スキルの開発や、階層別のリーダーシップ、職場に密着した問題の解決能力、プレゼンテーションや交渉といった個別スキルの開発を目指して、体感・体験から学ぶ三現教育を実施しています。また、将来の経営人材育成のための管理職層の国内MBA派遣や事務・技術系職員のDX人材化促進のためのDXリーダー育成教育などにより、求める人材像の育成に取り組んでいきます。

 

<コア人材の育成>

新中期経営計画「YX2026」の実現を人材面で支えるため、管理職層については、ポスト(ジョブ)と成果・報酬の連動性を高めるとともに、一般層については、階層ごとに求められる付加価値(期待成果や期待行動)を明示し、育成体系ともリンクさせることで、コア人材として必要となる能力を段階的に身につけられる人事制度としています。管理職層においては、2020年にポスト(ジョブ)と報酬の連動性をさらに高める改定を行いました。また一般層については、2021年に最速30歳から管理職への配置を可能とする早期登用制度を導入し、年齢にとらわれない適材適所の仕組みとしています。


 

■ 社内環境整備方針

<多様な働き方を認める組織風土の醸成>

環境変化の激しい中で持続的な成長を果たしていくためには、人的資本の価値向上が不可欠です。当社グループでは、多様な人材がそれぞれの分野で能力を最大限に発揮できるよう、これまでのルールや考え方にとらわれない働き方や、共に明るく生き生きと仕事ができる職場環境の整備などを通じて働き方改革を推進しています。ワークライフバランスを尊重し、多様な働き方を認め合うことで、すべての社員が成長を続け、仕事と生活を両立しながらキャリアの形成を実現できるよう支援しています。

 

<場所・時間にとらわれない働き方の推進>

当社グループは、機能集約による業務効率化および働き方改革を目的として、2023年3月に本社機能を東京都港区から神奈川県平塚市の平塚製造所に移転・統合しました。在宅勤務制度などの諸制度の適用を拡大して、さまざまな状況に対応できる勤務体制を整えるとともに、企画・生産・販売・技術・物流の一体運営ならびにスピーディな意思決定を実現していきます。

 

<ホームオフィス制度の導入>

2023年3月、本社・平塚製造所の統合後の遠距離通勤者および配偶者の転勤に同行する社員を対象に、オフィスに固定デスクを持たず、会社負担で自宅をオフィス化して基本的な就業場所とする「ホームオフィス制度」を導入しました。2023年12月末現在では108名がこの制度を利用して業務を行っています。場所にとらわれない働き方を推進し、多様な人材が活躍できる基盤をつくっていきます

 

<東京事務所、サテライトオフィスの設置>

本社・平塚製造所の統合に伴い、東京都・品川インターシティに東京事務所およびサテライトオフィスを設置しました。東京事務所には株式会社ヨコハマタイヤジャパン、横浜ゴムMBジャパン株式会社の本社および横浜ゴムの販売部門の一部が移転しました。フリーアドレスのサテライトオフィスは、組織の壁を越えた社員間のコミュニケーション促進に役立っています。

 

<在宅/フレックス勤務の拡充>

仕事と育児・介護などの家庭の両立支援の推進、業務効率化の向上並びに長時間拘束防止(健康への配慮)を目的として2018年より在宅勤務制度を導入し、2023年からは通勤負担軽減目的でも利用できるよう要件を拡大しました。併せて利用上限を撤廃し、仕事(成果と効率)に合わせて各職場で最も適した在宅勤務の運用へ移行しました。また、事務・技術系職員については、原則としてすべてフレックスタイム制の適用対象とし、コアタイムを撤廃、短時間勤務フレックスタイム制度なども拡充し、場所や時間を問わず仕事の成果を出せる仕組みを整えています。

 

<労働安全衛生>

当社グループでは、事業の特性上、生産工場で大型機械を取り扱う必要があるため、設備仕様の不具合や誤操作が大きな事故につながる可能性があり、安全面での対策が必要です。そのため、すべての設備や作業に対しリスクアセスメントを計画的かつ継続的に実施し、設備面から未然防止の安全対策を実施しています。また、国内外35拠点が労働安全衛生マネジメントシステム(JISHA/OSHMS・ISO45001)認証を取得しており、グループで働くすべての人が安全・安心して働けるよう職場の安全衛生環境のさらなる向上を目指した取り組みを行っています。さらに、健康で長く働くことのできる職場づくりのため、健康保険組合と連携した「コラボヘルス※」による健康経営に取り組み、健康・体力向上を推進しています。

※ 保険者と事業者が積極的に連携し、明確な役割分担と良好な職場環境のもと、加入者の予防・健康づくりを効率的・効果的に実行すること

 

<従業員エンゲージメント>

自らの成長をもって会社の成長に貢献できる多様な人材が生き生きと働ける職場環境と企業風土を目指して、「従業員意識調査」を継続的に実施し、組織の目指すべき姿と現状のギャップを把握し、組織風土の改革と生産性の向上による企業価値向上への取り組みを進めていきます。

 

■ 人材の多様性の確保

<目指すべき姿>

当社グループでは、多様な人材が多様な働き方を認め合い、これまでのルールや考え方にとらわれない働き方や、共に明るく生き生きと仕事ができる職場環境の整備など、人材の多様性をさらに推進していくことが重要な課題と認識しています。そのため、国籍、性別やLGBTQ+といった属性や学歴、経験にとらわれない採用を行い、YX2026の事業戦略、技術戦略の実現に向けて最適な人材の配置がなされている状態を継続していきます。また、ワークライフバランスを尊重し、多様な人材、多様な働き方を認め合うことで、すべての社員が成長を続け、キャリアを形成できる職場を目指します

 

<女性の活躍推進>

種制度の拡充や施策の実施、ならびに管理職における女性比率向上などの取り組みを通じて、女性にとって働きやすい環境づくりに取り組んでいます。当社の2023年12月末現在の女性管理職(課長以上)比率(単体)は2.0%ですが、次期管理職候補である係長は14.2%、早期登用で管理職配置が可能な主任は42.8%の女性比率となっており、今後はさらに女性管理職が増加していく見込みです。女性活躍推進を目的としたキャリア開発支援セミナーの実施や仕事と生活の両立支援制度の整備を行うとともに早期登用制度も活用し、より一層の女性管理職比率の向上を目指します

 

<障がい者の雇用>

障がい者の雇用の場を創出する目的の子会社として、ヨコハマピアサポート株式会社を2012年に設立し、知的障がい者を中心に31名(2023年12月末現在)を雇用しています。横浜ゴム、ヨコハマピアサポート、ヨコハマタイヤジャパン、横浜ゴムMBジャパンの4社で障がい者雇用率制度および障がい者雇用納付金制度上の関係会社特例認定を受け、4社合算しての雇用率は、2023年申告(2022年4月~2023年3月実績)で2.58%となりました。今後も、障がい者雇用の幅を広げるにあたり、新たな業務の開発を進めていきます。

 

<シニア人材の活用>

60歳以降の労働意欲の高い人材に対して、豊富な知識や経験を活かした活躍の場を提供するため、定年退職した社員を再雇用(事務・技術系社員は、100%出資子会社ヨコハマビジネスアソシエーション株式会社が再雇用して当社に派遣)し、最長70歳まで活躍できる制度を導入しています。

 

<性的マイノリティに関する取り組み>

LGBTQ+と総称される性的マイノリティを含む多様な人材の活躍を支援するため、同性パートナー、事実婚のパートナーを配偶者と認め、パートナーの家族も配偶者の家族として認める「パートナー&ファミリーシップ制度」を2023年10月に導入しました。また、外部有識者を招いた「LGBTQ+セミナー」を開催して社員の理解を深めるとともに、社内外にLGBTQ+に関する相談窓口を設置し、制度や悩みごとの相談に対応できる体制を整備しています。

 

②指標及び目標

当社グループでは、人的資本関連のマテリアリティとして「持続的な企業価値向上を実現する人材力」を掲げ、主要な施策について、以下の指標(KPI)及び目標を設定しています。

指標(KPI)

実績

目標

2021年度

2022年度

2023年度

①女性管理職(課長以上)比率(単体)

1.6%

1.7%

2.0%

2026年度:5%

2030年度:10%

 

参考

係長クラス女性比率(単体)

10.7%

11.0%

14.2%

主任クラス女性比率(単体)

38.5%

40.9%

42.8%

②男性育児休業取得率(単体)

66.3%

59.5%

86.2%

2026年度:100%

2030年度:100%(取得期間の拡充)

③社員の65歳到達後継続雇用率(単体)

(注2)

期間平均63.6%

2024~2026年度平均:65%以上

2027~2030年度平均:70%以上

④能力開発研修受講率

・MBA等経営教育受講率(単体)

・DXリーダー育成教育受講率(単体)

 

 

 

6.0%

2026年度:

・部門長の15%(累計)

・事務・技術系職員の10%(累計)

⑤従業員エンゲージメントスコア

2024年度より従業員エンゲージメント調査を継続的に実施し、2026年度までに目標値を設定

 

(注)1 「―」表示は実績なしを示しております。

   2 65歳に到達した事務職、技術職および技能職の社員のうち、当社又は子会社にて65歳以降も継続雇用された社員の割合を示しております。