2024年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,705名(単体) 10,410名(連結)
  • 平均年齢
    40.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.1年(単体)
  • 平均年収
    6,605,000円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

タイヤ事業

10,030

(741)

自動車部品事業

その他

12

(32)

全社(共通)

368

(69)

合計

10,410

(842)

(注)1 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時従業員は( )内に外数で記載しております。

2 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

3 当社グループでは、セグメント毎の経営組織体系を有しておらず、同一の従業員が複数の事業の種類に従事しております。

4 全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

3,705

(486)

40.6

15.1

6,605

 

セグメントの名称

従業員数(名)

タイヤ事業

3,337

(417)

自動車部品事業

全社(共通)

368

(69)

合計

3,705

(486)

(注)1 従業員数は就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時従業員は( )内に外数で記載しております。

2 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4 当社では、セグメント毎の経営組織体系を有しておらず、同一の従業員が複数の事業の種類に従事しております。

5 全社(共通)として、記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は円満な労使関係を保っており、特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1,3

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

2.2

66.7

68.4

75.4

73.0

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

   3 労働者の男女の賃金の差異における賃金は給与・手当等の総支給額および賞与等の支給額合計であり、正規雇用労働者には、出向者を含んでおります。

     当社賃金体系及び制度上において、男女差はありません。役職別にみると、正規雇用労働者は役職が上がるほど、男女の賃金格差は縮小しております。

     一方、職種間や管理職比率等において男女構成比率に差があり(特に製造業務に従事する9割超は男性、かつ勤務時間が事務職に比して長くなる傾向から)、男女の賃金格差の一因と考えております。

     当社内の女性活躍推進に向けた意識醸成を継続実行し、当社のマテリアリティである「多様な人財の挑戦と働きがいを創出する」人財戦略を推進することで、女性社員数の増加及び管理職比率向上等を図り、差異是正に取組んでまいります。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1

男性労働者の育児休業取得率

  (%)

 (注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1,3

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

㈱トーヨータイヤジャパン

2.1

76.6

76.4

63.4

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

   2 連結子会社のうち、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないものについては、記載を省略しております。

   3 労働者の男女の賃金の差異における賃金は基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み退職手当を除いており、非正規労働者は、パートタイマー、嘱託を含み、派遣社員を除いております。

     また、労働者の男女の賃金の差異は、男性(主に営業職)と女性(主に事務職)の職種が異なることによる職責等に応じた人事処遇(資格・等級など)の差異によるものであります。今後は、女性社員の営業職への転換や管理職への登用を計画的に推進してまいります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

 当社グループは、「企業活動上のあらゆる働きがすべて社会と将来につながっている」という自覚を強く持ち、事業を通じた社会課題の解決、社会的価値の創出によって、自らの存在意義を追求していく方針です。

① ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関する議論を集約し、実行の質・スピードをさらに高めることを目的に、経営会議の下部組織として「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は、社長を委員長とし、委員は統括部門管掌役員で構成され、サステナビリティの全社戦略、マテリアリティの特定、機能分担の最適化、目標・計画に対する主要KPIの達成度合い等を報告・審議しております。事務局は経営基盤本部ESG推進部が担当し、原則として年に4回開催します。

 サステナビリティ委員会で報告・審議された重要な事項は適時に取締役会及び経営会議に報告され、経営会議では当該事項の執行に対する最終の意思決定を行い、取締役会議では、報告された内容に対し適切に監督する体制を構築しております。

 

 

② リスク管理

 当社グループでは、事業活動を行なうバリューチェーンにおいて直面し得るリスクのなかでも、万が一、発生・顕在化した場合に、経営に重大な影響を及ぼすリスクを「重要リスク」と位置づけ、これらを最優先で対策していくリスク管理を行っております。

 重要リスクのうち、気候変動に伴うリスクやサプライチェーンを含む事業活動全体の人権リスクについては、コーポレート部門がリスクの洗い出しと重要度評価を行い、関連する機能組織と連携して対策を立案し、その実行状況をサステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会に報告しております。

 その他の事業への影響が想定されるESGリスクについても、それぞれの機能組織において具体的な対策を立案・実行し、サステナビリティ委員会に報告しております。

 

③ 戦略

 当社グループは、理念において、「お客さまの期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、豊かな社会づくりに貢献」することを使命(ミッション)とし、この理念を実現していくことが会社の存在意義であり、経営計画はこの実現のためにあると認識しています。

 サステナビリティ経営へのシフトに取り組むにあたっても、この認識に立ち、理念に包含されている「事業を通じた社会への貢献」や「ステークホルダーへの貢献、配慮」といった本質を捉えながら、サステナビリティを推進する方針とマテリアリティについて議論を行いました。中長期的なビジネス機会・社会価値とビジネスリスクの両側面からサステナビリティテーマを抽出し、理念との関連性や当社グループでの取り組み状況、業界課題等に照らして評価・検討を行った結果、当社が優先的に取り組むべき重要事項として7つのマテリアリティを特定しています。これらのマテリアリティに対し、社内リソースを戦略的に投下するとともに、従業員一人ひとりが業務と関連づけてサステナビリティ課題に取り組む組織風土の醸成や、マテリアリティを軸とした対外的なESG対話の充実などステークホルダーエンゲージメントの強化にもつなげていきます。

 

 マテリアリティに取り組むにあたっては、各マテリアリティに活動テーマを設定し、サステナビリティ委員会のサブ組織として設置したタスクフォース、もしくは既存の横断的組織・会議体を活用して、テーマの中長期の目標・KPI、その達成に向けた取り組み計画(プロセス・施策)を策定します。それらをサステナビリティ委員会と経営会議で承認したのち、各統括部門の年度方針書・事業計画に組み込んで実行しています。これらの取り組みを通じて、サステナビリティを統合的に事業経営へ落し込み、経済的価値のみならず、社会的価値、環境的価値を創出していけるように努めています。

 

領域

マテリアリティ

価値創出

持続可能なモビリティ社会の実現に寄与する

豊かなモビリティライフを支え、創造する

価値創出を支える基盤

多様な人材の挑戦と働きがいを創出する

次世代モビリティの技術革新を続ける

リスクマネジメント

全企業活動における脱炭素を追求する

サプライチェーンのサステナビリティを促進する

モノづくりの根幹(品質と安全性)を守り抜く

 

 

 

④ 指標と目標

 主要な指標と目標は下記の通りですが、これら以外のマテリアリティの進捗を管理する適切な定量指標について検討しており、順次、開示する予定にしております。

マテリアリティ

指標・目標

持続可能なモビリティ社会の実現に寄与する

Scope3(カテゴリー11):GHG排出量原単位

タイヤ1本あたりのGHG排出量について、2030年時点において2019年比20%の削減貢献をめざす。

次世代モビリティの技術革新を続ける

製品におけるサステナブル原材料使用比率

2030年に40%、2050年に100%をめざす。

全企業活動における脱炭素を追求する

Scope1, 2:GHG排出量

2030年に2019年度比46%の削減、2050年にカーボンニュートラルをめざす。

Scope3:GHG排出量原単位

タイヤ1本あたりのGHG排出量について、2030年時点において2019年比20%の削減貢献をめざす。

サプライチェーンのサステナビリティを促進する

サステナブルサプライヤー比率

2025年までに一次サプライヤーの環境・社会リスク評価実施率100%

 

 

(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)

 気候変動による影響が深刻化し、モビリティに対する社会的要請がますます高まるなか、モビリティ事業を事業経営の中核に据える当社グループにとって、気候変動対応は当社グループの成長を左右する最重要課題であると認識し、パリ協定が掲げる長期目標の達成に向けた温室効果ガスの排出削減やクリーンエネルギーの利活用拡大を進めております。

 また、当社はTCFD提言に賛同し、開示フレームワークに沿った情報開示を通じてステークホルダーとの対話やエンゲージメントを活性化させ、気候変動に関する取り組みを推進します。

 

① ガバナンス

 サステナビリティ委員会傘下に、品質環境安全統括役員を責任者とする「脱炭素タスクフォース」を設置し、事業活動におけるCO2削減に向けた活動計画や目標・KPIなどを議論しております。なお、タスクフォースの取り組みの進捗については、サステナビリティ委員会にて定期的に確認・モニタリングを実施しております。

 

② リスク管理

 TCFD対応を主管する経営管理本部、サステナビリティ委員会を主管する経営基盤本部 ESG推進部、脱炭素タスクフォースを主管する環境安全推進本部 環境衛生推進部を中心に、気候関連リスクの特定・評価を実施し、サステナビリティ委員会での審議を経て、当社グループとしての気候関連リスクを評価しております。

 サステナビリティ委員会の脱炭素タスクフォースを通じて、各国のGHG排出量削減目標(再生可能エネルギー導入目標を含む)や自動車の燃費規制、ガソリン車の新車販売禁止などの規制要件を注視するとともに、各リスクへの対応を主管部に促し、進捗管理を行っております。

 

③ 戦略

 気候変動が当社グループの事業活動に及ぼす影響を確認するためにシナリオ分析を実施しております。シナリオ分析にあたっては現行シナリオ(3~4℃シナリオ)及び移行シナリオ(1.5℃シナリオ)の2つのシナリオを前提に分析しました。

 分析の結果として、中長期で影響が大きいと見込まれるリスクの財務的影響及び対応策は下記の通りです。

※ 各シナリオに基づくリスクと機会の詳細については、当社ウエブサイト(https://www.toyotires.co.jp/csr/materiality/decarbonization/)をご参照ください。

(イ)気候パターンの変化に伴う天然ゴムの調達への影響

属性

気候関連事象/事業への財務的影響

影響額/発生年度

算定方法

対応策

慢性

気候パターンの変化

気候パターンの変化により、天然ゴムの木の生育可能地域変動、品質低下等の影響が生じ、天然ゴムの調達コストが増加する。

約7~約97億円

(中期:2030年)

(下限)

天然ゴム調達量×天然ゴムの上昇価格

・天然ゴム調達量は過去実績から推定した2030年時点の天然ゴム調達量。

・天然ゴムの上昇価格は、過去の大洪水発生月の価格上昇分を年間に均したもの。

(上限)

天然ゴム調達コスト増加額×天然ゴム調達量増加割合

・天然ゴム調達コスト増加額は、大規模洪水が発生した年の調達コスト増加分。

・天然ゴム調達量増加割合は、大規模洪水が発生した年から2030年迄の調達量における推定増加割合。

・タイヤ転がり抵抗低減を念頭に置いたタイヤの軽量化を推し進める事により、タイヤ1本あたりに使用する天然ゴム使用量を低減する。

・サステナブル原材料の使用比率向上に向けた取組みを継続し、使用済みタイヤ由来の再生ゴム等のリサイクル原材料を適用した商品を順次市場投入していく事で、天然ゴムの消費量を低減する。

・天然ゴムの生産現場における課題(森林減少、地域住民の権利侵害等)に対し、サプライチェーン全体で解決策を講じる事により安定した天然ゴム調達を実現する。具体策として、GPSNR※の掲げる「持続可能な天然ゴムの原則」を踏まえ、当社は「持続可能な天然ゴムの調達方針」を策定、公表し、全サプライヤーへの周知を図ると共に、その実現の為に公平で客観的なCSR評価を第三者専門機関に依頼している。また、各サプライヤーのサプライチェーン管理に関する取り組みの積極的な活用を検討している。

 

(ロ)カーボンプライシングメカニズム

属性

気候関連事象/事業への財務的影響

影響額/発生年度

算定方法

対応策

政策

カーボンプライシングの導入

カーボンプライシングの導入により、COの排出に対するコストが上昇する。

約5億円

(中期:2030年)

CO削減目標未達分×炭素税

・CO削減目標未達分は、2030年時点の当社CO目標削減量が仮に10%足りなかった場合の未達量。

・炭素税はIEAが公表する2050年Netゼロに向けて想定される2030年時点の先進国向け炭素税。

・当社グループにて、組織内外での事業活動及び製品を通じた効率的なエネルギー利用により、COの削減を継続する。

・CO削減への対策としては、ICP(社内炭素価格)を活用した製造拠点の再エネ調達、燃料転換、及び設備更新を進めていく。

約57億円

(中期:2030年)

CO排出量×炭素税

・CO排出量は、2030年時点の当社目標CO排出量。

・炭素税はIEAが公表する2050年Netゼロに向けて想定される2030年時点の先進国向け炭素税。

 

④ 指標と目標

(イ)温室効果ガス(GHG)の排出実績

(千t-CO2e)

 

 

2021年

2022年

2023年

Scope1:直接的GHG排出量

268.2

265.3

274.5

Scope2:間接的GHG排出量

ロケーションベース

284.4

253.6

280.5

Scope2:間接的GHG排出量

マーケットベース

105.8

Scope3:その他の間接的GHG排出量

12,932.2

13,019.8

16,388.7

 

(t-CO2/百万円)

 

 

2021年

2022年

2023年

排出原単位

(Scope1+2の総量/売上高)

1.40

1.04

0.69

※算定方法:Scope2排出量については、2022年度以前はロケーションベース、2023年度はマーケットベースで算定しています。

 

(ロ)温室効果ガス(GHG)排出削減目標

Scope1&2

GHG排出量   :2030年に2019年度比46%の削減、2050年にカーボンニュートラルをめざす。

Scope3

GHG排出量原単位:タイヤ1本あたりのGHG排出量について、2030年時点において2019年比20%の削減貢献をめざす。

 

(3)人的資本の拡充(人材育成、多様化推進に向けた取り組み)

 当社は、「中計'21」において、持続的な成長を支える経営基盤構築の一環として、(1)多様な人財が有機的に協働し、働きがいを持って活躍できる仕組みの整備、(2)個性と質と能力を極める育成システムの構築を掲げています。

 これに即し、国籍や性別、年齢、経歴・キャリア志向などに拘らず、多様な人財が成長・活躍できる基盤整備を推進していきます。また、採用・登用においては、能力・適性・実績に基づいた評価と最適配置を促進することで人財のベストミックスを進めていきます。

 人的資本への投資については、人財育成、ダイバーシティ推進、ウェルビーイングな職場づくり(働き方改革)の観点から「事業経営者及び各機能のプロフェッショナル人財の計画的な育成を促進するシステム」「多様な人財が働きやすいオフィス環境や人事制度」「従業員のパフォーマンスやコミュニケーション向上に資する勤務形態・ツール」などに対して中長期的にリソースを投下する考えです。

 なお、指標、目標は各連結子会社で従業員の規模や制度が大きく異なるため、連結グループにおける記載が困難であることから提出会社単体の記載としております。

 

① ガバナンス

 当社グループは、人財基盤の強化に向けた方針と重要な施策の方向性を組織人事委員会で協議・決定し、コーポレート統括部門経営基盤本部が責任主管として実行を主導します。サステナビリティ委員会が管轄する人財のマテリアリティに関わる活動テーマもこの方針に基づいており、その取り組みを推進するにあたっては必要に応じて組織人事委員会に諮問します。

 

② 戦略

(イ)人材育成方針

 人財は、当社グループが事業活動を通じて社会に対する価値を生み出す源泉であり、継続的事業成長を支える最重要資本であると捉え、人的資本開発の重要性を認識しています。不透明・不確実な事業環境下において「複雑化・多様化する課題や困難に対して挑戦を続けられる人財」、「挑戦の先に独自性を持って課題解決に繋げられる人財」が当社の成長を支え、社会に対する新たな価値創出を可能にすると考えています。そうした人財を育成するための人事施策と投資をサイクルさせることで、当社の人財基盤を構築していく方針です。

 「個性と質と能力を極める育成システム」の構築の一環として研修体系を2022年に見直し、当社が経営の支柱として掲げる理念、人事制度で明示している役割期待、及び中核社員が基礎的知見として有すべき事項(DX、ESG)について十分認識を醸成するために研修内容を再編し、各階層研修にも組み込むとともに選抜型研修の刷新も行いました。各部門長・本部長を対象とする研修では、自己変革を促してマネジメント力を強化し、中長期的な課題解決に向けたリーダーシップの向上を図るとともに中堅層への選抜型研修を通じてグローバルに活躍できる将来の事業経営候補者育成を強化しています。

 また、従業員が将来の目標に向けて意欲的に取り組めるよう、社内におけるキャリア育成方針を明確にし、従業員のキャリア開発に関する定期的なレビュー、上司・本人との面談を実施するとともに部署ごとに中長期的視点での人財ローテーションを含めた人員計画書を作成し、同計画書に基づいた人事異動を全社レベルで促進しています。

 

(ロ)ダイバーシティの推進

 当社グループでの採用・登用においては、能力や適性、実績のほか理念への共感や体現も考課項目に加え、本人の意欲を見極めた人財のベストミックス(適時適材適所の人財配置)を図るとともに、国籍や性別、年齢などにかかわらず、多様な人財が活躍できる職場づくりを推進しています。

 また、広く国内外に新規卒業者やキャリア人財の獲得を進めているほか、障がい者雇用、定年退職者の再雇用など多様な人財が活躍できる機会提供にも積極的に取り組んでいます。定年退職を迎えながらも、卓越したマネジメント力や戦略推進力を有する人財、特定分野のエキスパートとして技術・技能伝承に寄与できる人財が引き続き当社で活躍し、当社がその力を活用できるよう、2024年に制度の柔軟化を行いました。

 また、「ダイバーシティ&インクルージョン」をテーマにしたeラーニング、女性活躍を推進する企画として外部講師を招聘した講演会の開催など、従業員の意識改革を企図したさまざまな施策を実施しています。

 

(ハ)働きやすい環境の整備

 当社らしい働き方や働き場所が挑戦と独創性を育み、多様な人財、組織の能力・活力を最大化すると考えています。

 2023年、それまでのコロナ期間中に定着させた在宅勤務を選択肢に加えた新しい就業様式を制度として導入しました。また、出社時には社員が自ら働く場所を選び、集中して業務の生産性を向上させるとともに周囲との調和を図ることのできるオフィス環境を本社に整えました。働き方の選択肢を広げ、自在かつ自律的に働ける当社独自の就業様式・職場環境に対しては、9割以上の従業員が「満足している」との意識調査結果を得ています。また、改装した本社は、社外のオフィス評価団体より奨励賞を受賞しました。

 2024年には、猛暑下での通勤負担軽減を目的に期間中の100%在宅勤務を推奨し、ワーク・ライフ・バランスの側面で高い従業員満足度に繋がっていることが確認できたことから、同年11月より「在宅勤務100%選択可」とする勤務態様を恒常的な制度へ更新しました。

 このほか、従業員が人生で迎えるライフイベントによる生活変化に理解を深め、仕事と生活の調和を実現する選択肢の提供に努めています。2歳以下の子の養育及び家族の介護に専念できる休業制度や男性が育児休暇を取得しやすい制度や職場環境を整え、従業員の育児・介護を支援しているほか、育児・介護やボランティア活動、妊娠・不妊治療などの事由に該当する場合には、失効した年次有給休暇を復活させて使用できる制度なども整備しています。また、事務技術拠点では労使協議の上で「ワーク・ライフ・バランス年休取得推進日」を年間で複数日設定しており、生産拠点では年間生産計画に合わせた年次有給休暇の計画的取得を進めています。2023年度の年休取得率は64.8%で、直近3年間で約7ポイント良化しています。2024年に更新した行動計画では、子の看護休暇の有給化や有休となる育児休業日数の拡大の検討等を対策に織り込み、性別を問わず育休取得率100%を目標として、子育て支援制度の拡充と職場環境の整備に取り組んでいます。

 今後も、働きやすい環境の整備を進め、多様な人財が能力・活力を発揮できる施策を継続的に取り組んでいきます。

 

③ 指標と目標

 当社では、女性が働きがいをもって活躍できる基盤整備を進めるべく、さまざまな指標を目安に取り組んでいます。2020年までの5年間においては、管理職候補となる係長級層の女性比率を従前(2016年2.0%)から倍増(2020年4.7%)しました。また、2024年時点で2016年にくらべると8.8%まで増加しています。

 また、係長級から課長級以上の管理職層への女性登用比率は、「中計’21」期間中(2021~2025年)に同男性登用比率比の0.8~1.2倍へ引き上げることを目標に定めて取り組んでおり、2022~2024年の3か年平均では0.75倍となっています。

 また、個人の能力及び組織力のさらなる向上を企図し、各種研修の体系化・充実化を進め、スキル獲得・リーダーシップ育成といった「人財が学ぶ機会・培う機会」の充足に注力しています。併せて、これらの研修有効性を研修受講後のアンケート調査に基づく受講者満足度(目標75%以上)で確認し、都度、研修内容の改善を図っています。なお、2024年に実施した研修教育実績は下記記載の通りです。