2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    12名(単体) 2,523名(連結)
  • 平均年齢
    49.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.9年(単体)
  • 平均年収
    8,264,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

国内事業

1,040

(187)

海外事業

1,483

(105)

合計

2,523

(292)

 (注) 従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員、季節工を含む。)は、年間の平均人員を(  )外数で記載しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

12

49.9

17.9

8,264

 

セグメントの名称

従業員数(人)

国内事業

12

合計

12

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数については、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しております。

2.平均勤続年数は、グループ会社間での勤続年数を通算しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

 労働組合との間に特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率

 (%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用労働者

非正規雇用労働者

ジャパンパイル㈱

0.0

55.6

71.4

71.6

65.2

ジャパンパイル基礎工業㈱

(注)3

0.0

50.0

64.6

58.2

83.6

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.育児休業取得対象者及び非正規雇用労働者はおりません。

4.提出会社アジアパイルホールディングス㈱は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「世界に通じる基礎を造る」「進歩の原点は現場にあり」「仕事を天職として社会に尽くす」を企業理念として、基礎建設事業を通じて、大規模地震等の自然災害に対する安全性、信頼性の確保という社会的課題解決に取り組むことで、持続的成長と中長期的な企業価値の向上の実現を目指しております。当社グループは、社会貢献活動等を通じて、サステナビリティ全般に関する理解を深め、「気候変動への取り組み」と「人的資本」の2点をサステナビリティに関する重点項目として取り組んでおります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス

 気候変動への取り組み、人的資本に関連するグループ内の関係部門の部門長を中心に、当社の社長直属のワーキンググループを組成し、サステナビリティ関連のテーマについて集中的に検討を行い、定期的に取締役会、執行役員連絡会に報告を行っております。

 

(2)気候変動への取り組み

 当社グループはTCFD提言に賛同し、TCFD提言に基づいた取り組みを通じて、企業価値の向上と社会への貢献を実現してまいります。

① ガバナンス

 当社グループでは、気候変動への取り組みを経営課題の一つとして認識し、CO2排出削減をはじめとした気候変動に関する重要な案件について、取締役会にて報告・審議・決議を行っております。最高執行責任者である社長は、取締役会において、CO2排出削減に関する重要な案件、気候変動関連問題についての最高責任を負っており、社長直属の「気候変動に関するワーキンググループ」において、気候変動関連の業務や活動を行っております。

② 戦略

a.重要なリスクと機会

 2030年(短期)、2050年(中期)、2100年(長期)を想定して気候変動に伴う当社のリスク・機会を特定し、重要度の評価を行いました。特定されたリスク・機会のうち、特に重要なものは次に示す表のとおりです。

 特定されたリスク・機会の重要度は「確からしさ」(外部レポート、過去に生じた影響、当社の計画・方針)の評価と、「影響の大きさ」(リスクについては影響の深刻度、影響をうける部門、影響をうける範囲、機会については市場規模、生産能力、競争優位性)により重要度を判定しました。

 特定されたリスクと機会のうち、「炭素税の導入」と「気候変動による災害の激甚化」については、当社の組織戦略に反映すべく、公的機関の将来予測結果に基づくシナリオ分析を行い、財務影響の試算を行いました。

 

◆重要なリスク

主なリスク

自社への影響

重要度評価

時期

優先課題との関係※

炭素税の導入

・エネルギー価格上昇による電気使用コスト、原材料・製品輸送コストの増加

・原材料・セメント・鋼材価格の上昇による資材調達コストの増加

中~高

短中期

①・③

環境規制

/GHG排出規制の強化

・省エネ設備の導入、既存設備の更新、関連インフラの整備が必要となり、設備投資コストが発生・増加する。

・低炭素コンクリート等、使用材料の変更が求められ、新たな機材等を導入するコストが発生する/材料変更に伴い生産コストが増加する。

中~高

短中期

自然災害の頻発化

・工場、ピット(建設機械や機器の設置個所のくぼみ)の浸水被害や落雷による機械故障により、生産が停止/生産能力が低下し、売上や利益が減少する。

中長期

平均気温の上昇

・労働環境が悪化することにより建設・製造部門で人員不足が生じることで、人員コストが増加/人員不足による事業縮小による売上の減少

中~高

中長期

 

 

◆重要な機会

主な機会

自社への影響

重要度評価

時期

優先課題との関係※

炭素税の導入/環境規制の強化に応じた効率の改善

・従来のコンクリート工法の見直しにより発生残土を軽減することで、残土の運搬コストを低減/同工法の活用が増えることによる売上の増加

・リサイクル杭(既存杭)と新規環境配慮杭のハイブリッド設計の組み合わせによる売上の増加

中~高

短中期

①・②

低炭素技術への移行による低炭素工法、建物における再エネ活用、ZEB・ZEH、DX対応施設に対するニーズの増加

・省エネルギーにつながる新工法の開発による売上の増加

・地熱を活用した地熱トルネード工法、施工効率の高いSmart-MAGNUM工法の受注機会・売上の増加

短中期

①・②

土砂災害、洪水、高潮の頻発・激甚化

・災害・浸水地域からの工場等移転に伴う新築需要/浸水リスク増による避難所(学校を含む)の増改築需要が増加し、売上が増加する

中~高

中長期

物流コストの上昇に伴う市場の変化

・海外投資事業から国内事業へのシフトが進むことで、国内の建設需要が増加し、当社の受注機会・売上が増加する。

短中期

①・③

※「優先課題との関係」の符号は以下の当社優先課題の通りです

① 事業の拡大:効率的施工による省資源化、生産・施工における継続的技術革新

② 収益構造の転換:再エネ分野での基礎工事、アセアン地域の事業拡大

③ 経営基盤の強化:パートナーシップの推進、人材育成、デジタル化の推進

 

b.シナリオ群の定義

 移行リスクとして炭素税導入による追加コスト、物理的リスクとして洪水・高潮発生時に拠点が浸水することによる追加コスト・被害額、を対象とし、シナリオ分析は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)の情報に基づき、1.5℃/2℃上昇、4℃上昇を想定しました。

 

使用するシナリオ群

温度上昇帯

(2100年)

IEA

WEO

IPCC

RCP

IPCC

SSP

4℃上昇

RCP8.5

SSP5-8.5

(化石燃料依存)

2℃上昇

APS

(ネットゼロ宣言国は全て達成)

RCP2.6

SSP1-2.6

(持続可能性重視)

1.5℃上昇

NZE

(2050年ネットゼロ達成)

SSP1-1.9

(持続可能性重視)

使用する財務影響試算

炭素税導入

洪水

高潮

 

 

c.インパクト評価

 重要度が高く、試算可能なリスクについて、移行リスクとして炭素税導入による追加コスト、物理的リスクとして洪水・高潮発生時の拠点の浸水による追加コスト・被害額を試算しました。

イ.移行リスク

 国際エネルギー機関(IEA)の情報に基づき、国内(連結含む)の事業所等のエネルギー消費に伴い排出される温室効果ガス排出量に応じて課税される追加コストを算定しました。1.5℃上昇シナリオで追加コストが大きくなり、2050年の影響額は約6億円、2024年3月度売上に対して約0.6%となります。

リスク

シナリオ

財務影響(売上対比)

2030年(短期)

2050年(中期)

炭素税導入

1.5℃上昇

4億円(0.4%)

6億円(0.6%)

2℃上昇

4億円(0.4%)

5億円(0.5%)

(注) 1.計算方法

現在の二酸化炭素排出量×将来の炭素税価格

2.使用した炭素税価格の将来シナリオ

IEA(国際エネルギー機関)が提供するWorld Energy Outlook2022に記載される下記シナリオを採用。

・ 1.5℃上昇:NZE2050(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)

・ 2℃上昇 :APS(Announced Pledges Scenario)

 

ロ.物理的リスク

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提供する将来予測データを用いて、国内事業所・工場が、洪水又は高潮で浸水被害を受けた場合、事業継続に必要な代替オフィスの借り上げ費(追加コスト)、事業停止による売上減少額、浸水による資産毀損額を算定しました。4℃上昇シナリオで財務影響が最も大きくなり、2100年の影響は約24億円、2024年度3月期売上に対して約2%となります。

リスク

シナリオ

財務影響(売上対比)

2030年(短期)

2050年(中期)

2100年(長期)

洪水・高潮による拠点の浸水

1.5℃上昇

(高潮)

-億円( -%)

-億円( -%)

-億円( -%)

2℃上昇

(洪水・高潮)

3億円(0.3%)

6億円(0.6%)

22億円(2.1%)

4℃上昇

(洪水・高潮)

11億円(1.1%)

15億円(1.5%)

24億円(2.3%)

(注) 1.計算方法

自然災害による追加コスト・被害額(将来-現在)を計算

追加コスト・被害額は、公的機関が公表するデータを用いて洪水・高潮発生時の各拠点の浸水深を判定し、浸水被害実績に基づく国の算定方法に準拠して、拠点別にオフィス代替費用、売上減少額、資産毀損額を試算。

2.使用した浸水深の将来シナリオ

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する下記シナリオを採用。

・ 洪水:AR5(第5次評価報告書)のRCPシナリオ(2℃、4℃上昇相当)

・ 高潮:AR6(第6次評価報告書)のSSPシナリオ(1.5℃、2℃、4℃上昇相当)

 

③ リスク管理

 当社では、グループの横断的且つ網羅的なリスクの監視及び対応の報告・協議を社長が主宰する「執行役員連絡会議」にて行っています。国内事業のリスクについては、関連会社も含めた各部門のリーダクラスの職員が参加するワークショップを適宜開催して対応しております。

 

 ワークショップにおける具体的なリスク洗い出し手順は以下の通りです。

a.気候変動に伴い、短期、中期及び長期的に想定される事業環境の変化を洗い出して取りまとめる。

b.これをもとに各部門で国内事業の不確実性に与える影響の洗い出しと評価を行う。

c.各部門からの不確実性についてワークショップにてレビューする。

d.不確実性の重要度の判定、その原因となる状況変化の特定・見直しを行い、結果を国内事業リスクとして「気候変動に関するワーキンググループ」が取りまとめる。

e.「気候変動に関するワーキンググループ」から「執行役員連絡会議」に報告し、検討する。

f.特定されたリスクは、ワークショップのメンバーを通じて、国内事業全体でPDCAサイクルにのせて「執行役員連絡会議」が総括レビューする。

 

④ 指標及び目標

 当社では、2023年度(2023年4月~2024年3月)における当社国内連結事業*に伴う温室効果ガス排出量を、国際基準であるGHGプロトコルに準拠して算定しました。算定の対象は、2022年度はScope1(燃料の燃焼、工場廃水の処理)、Scope2(他社から供給された電気使用)としましたが、2023年度はこれらに加えてScope3(その他の間接排出)についても算定しました。Scope1、Scope2及びScope3の排出量は以下のとおりです。

 今後、グループ全体として温室効果ガス排出削減の取組みを進めるため、具体的な排出量削減目標の設定に取り組んでまいります。

*対象となる「国内連結事業」の子会社:ジャパンパイル㈱、ジャパンパイル基礎工業㈱、シントク工業㈱

 

区分

2022年度

排出量(tCO2)

2023年度

排出量(tCO2)

Scope1(燃料の燃焼、工場廃水の処理)(注)1.2

14,081

12,127

Scope2(電気の使用)

ロケーション基準(注)3

4,664

4,212

マーケット基準(注)4

4,713

4,432

計(Scope1+2)

(ロケーション基準)

18,745

16,339

(マーケット基準)

18,794

16,559

Scope3(その他の間接排出)(注)5

算定せず

388,841

(注) 1.燃料の燃焼:年間使用量×単位発熱量×CO2排出係数×44/12

単位発熱量、CO2排出係数は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」に基づく値を採用。ただし、ジャパンパイル㈱の都市ガスに関する単位発熱量は供給会社より入手した値を採用した。

2.工場廃水の処理:年間の工場廃水処理施設流入水量×流入水中の濃度

3.全国平均係数に基づき算定

4.「地球温暖化対策の推進に関する法律」で定められた電気事業者別の調整後排出係数に基づき算定

 

5.その他の間接排出内訳

Scope3内訳

2023年度排出量(tCO2)

備考

カテゴリ1

購入した製品・サービス

350,527

主にコンクリートパイルの原材料

カテゴリ2

資本財

8,167

 

カテゴリ3

その他燃料

5,080

 

カテゴリ4

輸送・配送(上流)

4,404

 

カテゴリ5

事業廃棄物

161

 

カテゴリ6

出張

155

 

カテゴリ7

雇用者の通勤

356

 

カテゴリ8

リース資産(上流)

対象外

カテゴリ9

輸送(下流)

対象外

カテゴリ10

販売した製品の加工

13,068

 

カテゴリ11

販売した製品の使用

対象外

カテゴリ12

販売した製品の廃棄

5,566

 

カテゴリ13

リース資産(下流)

90

 

カテゴリ14

フランチャイズ

1,263

 

カテゴリ15

投資

対象外

合計

388,841

 

 

 

(3)人的資本

① 戦略

 当社グループは、経営目標として「基礎建設業界のリーディングカンパニーとしてサステナビリティ社会に貢献する」を掲げ、その実現のための最重点施策として長期的視野に立ったグループの人材育成、人材増強に取り組んでおります。また、性別・国籍・年齢等にかかわらず誰にとっても働きやすい職場(健康で安心できる働きやすい会社)であるよう多様性の確保に努めております。

 斯業界では、少子高齢化に伴う技術者・技能労働者の不足、時間外労働の特例の撤廃等への対応が急務となっております。そのような環境の中、基礎建設の設計に関する専門家である建築基礎設計士、杭基礎工事を安全かつ効率的に施工する国の登録基礎ぐい工事試験合格者等の公的資格取得の他、社内資格制度、施工マニュアル、施工管理者育成プログラムを整備するなど、基礎建設に関する専門的人材の育成に注力しております。

 そのほか、海外技能実習制度等の在留資格を活用して海外事業部門の人材育成にも取り組んでおります。これらの戦略により、基礎建設事業の専門性、独自の技術体系の構築を目指しております。

 

② リスク管理

 適切な労働時間管理を維持すべく、勤怠管理システムの導入、専門コンサルタントによる労働管理研修の実施など、労務管理上のリスク対応を行っています。

 国内の女性管理職は1名(外国籍、2025年3月31日現在)で、海外から技術者・技能者を国内工場及び設計部門等へ受け入れるにあたって、日本での受け皿としての役割を担っております。なお、有価証券報告書提出日現在における国内の女性管理職は4名です。

 

③ 指標及び目標

 建築基礎設計士54名、同士補38名、工学博士5名、国の登録基礎ぐい工事試験合格者の基礎施工士269名を育成しております。今後、資格の対象となる業務の従事者全員の資格取得を目標とし、目指してまいります。また、ベトナムの事業子会社Phan Vu Investment Corporationからはこれまで技能実習生など累計34名を受け入れてきました。また、ミャンマーの事業子会社VJP Co., Ltd.からも同様に19名の人材を受け入れてきました。

 基礎建設業としての当社グループ独自の強みとなっております基礎設計部門は、総勢52名の陣容に成長し、業界随一の規模を有しています。その内30名が女性部員であり、女性の活躍が大きなウエイトを占めています。将来的には同部門に限らず女性管理職が増え、一層活躍するようになることを期待しています。

 なお、人数は2025年3月末時点での実績です。