2026年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社は3か月に1回開催するリスク・コンプライアンス委員会でリスクの洗い出しや影響度の分析、対策を検討することに加え、日常的なリスクの把握と対応は人事総務部にて行っております。いずれも新たなリスクの発見やリスクの顕在化の兆候が見られた場合は直ちに代表取締役社長に報告し、代表取締役社長はリスク・コンプライアンス委員会または取締役会にてリスクを共有の上、リスクの影響を極小化するべく対応策を検討・実行いたします。リスク・コンプライアンス委員会の構成については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 有利子負債について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社は旧株主からの株式取得のための資金をLBOスキームによる金融機関からの借入にて調達しており、その後のM&A資金も金融機関からの借入にて調達しております。2026年3月期末時点で4,338百万円の借入金を計上しており、金利については市場金利と連動して6カ月毎に見直される契約となっているため、今後市場金利が上昇した場合、支払利息の増加による業績への悪影響が考えられます。

当リスクに対応すべく、当社では以下の取組を行っております。

① 収益性を重視した戦略立案と経営管理

当社グループでは、案件獲得時に維持すべき採算基準(ハードルレート)を設けております。具体的には、見積提出時にハードルレートを上回る採算であれば部門長が決裁可能ですが、ハードルレートを下回る採算の場合は社長決裁となり、安易な値下げによる受注を抑制しております。

また賃金上昇に伴う労務費の増加分を売上に転嫁するため、顧客との交渉を積極的に進めております。売上への転嫁の結果に関わらず、交渉は契約期間毎に継続的に行っており、合わせて人員配置の効率化による適正な収益管理も進めてまいります。

 

② 金利条件に係る金融機関との交渉の継続

当社では、金利条件に係る金融機関との交渉を継続的に実施しており、市場金利上昇の影響の抑制に努めております。

なお、2026年4月7日の東京証券取引所スタンダード市場上場に伴い財務コベナンツが撤廃されたため、提出日現在は財務コベナンツ抵触による期限の利益喪失のリスクは解消されております。

 

(2) 総資産に占めるのれんの割合が高いことについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループはIFRSに基づき連結財務諸表を作成しており、のれんの償却は不要ではありますが、2026年3月期末時点で5,951百万円ののれんを計上しており、総資産に占める割合は55.0%となっております。

2024年3月期において一部の資金生成単位に係るのれんを減損処理しましたが、残る資金生成単位については回収可能価額が使用価値の帳簿価額を大幅に上回っていることから、減損テストに用いた主要な仮定が合理的な範囲内で変更されたとしても、当該資金生成単位又はそのグループの回収可能価額が使用価値の帳簿価額を下回る可能性は低いと考えております。仮に税引前割引率が6.9%上昇した場合、又は将来キャッシュ・フローの見積額が41.5%減少した場合に減損損失が発生する可能性がありますが、今後3年間の成長率がゼロであった場合でも回収可能価額が使用価値の帳簿価額を十分に上回るため、減損の可能性は低いと考えております。

のれんの減損に係るリスクに対処すべく、当社グループでは事業の収益力強化及び株主資本の充実に努めており、主に以下の取り組みを実施しております。

① 新規案件の継続的な獲得

当社グループでは、日本最大のプロスポーツ興行であるプロ野球において計8球団へのサービス提供実績がございますが、その実績をプロスポーツ化が進むBリーグ等の新たなチームに提案することで、新規顧客の継続的な獲得を目指してまいります。また商業施設等の既存顧客においても、既存施設でのサービス品質や提案力を高めることで、新規施設においての案件獲得を目指してまいります。

② 収益性を重視した戦略立案と経営管理

前述のハードルレートに基づく採算管理と労務費増加分の売上転嫁を進めることで、利益の増大とともに将来キャッシュ・フローの増大も図り、回収可能価額が事業価値の帳簿価額を下回らないよう収益管理に努めてまいります。

③ 自己資本(株主資本)に対するのれん比率の減少

株主還元とのバランスを考慮しつつも利益剰余金の額を高めることで株主資本を充実させ、株主資本に対するのれん比率を減少させることで、万が一ののれん減損時に株主資本へ与える影響を極小化するよう努めてまいります。

 

(3) ファンドの投資判断の影響について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

プライベート・エクイティ・ファンドの日本成長投資アライアンス株式会社が運用受託するJ-GIA1号投資事業有限責任組合が2026年3月末日時点の当社の筆頭株主であり、上場時に保有する当社株式の一部を売出しましたが、今後の運用受託者の投資判断により当該株主所有の当社株式が一部または全て譲渡される可能性があります。

また、J-GIA1号投資事業有限責任組合が大株主としてとどまる場合、運用受託者の判断が当社グループ役員の選任・解任、他社との合併等の組織再編、増資・減資、定款変更等、当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

J-GIA1号投資事業有限責任組合が今後も大株主としてとどまる場合、当社はこれらのリスクに対応すべく、運用受託者との対話を通じて少数株主にも配慮した投資判断を求めるとともに、企業価値の向上を通じて株主利益を最大化する経営を行ってまいります。

なお、当社の取締役1名は、日本成長投資アライアンス株式会社に所属する社外役員でありますが、取締役会や株主総会の決定に関する同社の事前承認事項等は定められておらず、独立性や自律性は維持されているものと考えております。

 

(4) グループガバナンスについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループは持株会社と5つの事業子会社で組織されており、グループとして健全な成長を続けるためのグループガバナンスはたいへん重要なものと認識しております。しかしながらガバナンスが適切に機能していない場合、法令違反等のコンプライアンスリスクや内部統制の無効化リスク、経営方針の不徹底による事業計画未達のリスク等、持続的な成長や企業価値の向上を阻害するリスクが高まることになります。

これらのリスクに対応すべく、グループガバナンス強化のため、以下の取り組みを実施しております。

① 社外取締役の充実

当社は取締役8名(監査等委員である取締役3名を含む)のうち社外取締役が4名(独立役員3名、うち監査等委員である取締役2名)と、取締役の半数以上を社外取締役が占める構成としております。取締役会においても、これら社外取締役からそれぞれの専門性に依拠した意見が活発に述べられ、業務執行取締役の執行状況の監督に加えて執行判断にも影響を与えるなど、経営の透明性と公正性を高める努力をしております。

② 経営課題の共有と進捗管理

当社グループでは、取締役会に加えてグループ全社の常勤取締役と執行役員が参集するグループ経営会議を毎月開催しており、その会議にて月次業績等の経営状況の共有に加え、案件別採算や顧客との労務費転嫁交渉等の重要な経営課題の進捗管理を行い、グループ経営方針の統一に努めております。

③ 法令遵守体制の構築

会社法や金融商品取引法、労働基準法をはじめ、当社グループの業務に関する法令については当社人事総務部が主管部門となり、法令遵守のための教育や法令改正情報をグループ全社に共有することに加え、内部監査部門において定期的にグループ全社の遵守状況を監査する体制を整えております。また遵守状況は四半期毎に開催するリスク・コンプライアンス委員会でも共有され、法令遵守の徹底に努めております。

④ リスク情報の共有と低減策検討

日常的な事故やクレームについてはグループ各社にて報告ルールを定めており、軽微なものを除いて当社社長にまで直ちに報告されるとともに必要に応じて具体的な指示を行い、事業子会社の事故やクレームについても持株会社として責任を持って解消に努める体制を整えております。加えて重大な事故やクレームについてはリスク・コンプライアンス委員会でも共有され、解消までの進捗管理に加えて根本原因の解消によるリスク低減策の検討も行う体制を整えております。

 

(5) 人材の確保について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは警備員、イベントスタッフ、派遣社員等の人的労働力に依存しており、常時雇用に加えイベント需要に応じた臨時雇用の人的労働力を確保し、それらを配置・管理しております。現時点では十分な人数の臨時雇用者を雇用できているため問題は発生しておりませんが、有効求人倍率6.12倍(注)という厳しい採用環境にあり、今後人的労働力が流出した場合、または必要な人員が確保できない場合、業績へ悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対処すべく、プロスポーツや大型商業施設など働き手にとって魅力的な職場の更なる開拓や、女性や高齢者の活躍の場を広げるべくそれぞれの適性を考慮した職場の創出と役割分担を進め、より多くの求職者に応募してもらえる環境を整えてまいります。

(注)厚生労働省「一般職業紹介状況について 令和8年3月分」の参考統計表 保安職業従事者より

 

(6) 人件費の上昇について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは警備員、イベントスタッフ、派遣社員等の人的労働力に依存しており、人件費の大幅な上昇は売上原価の増加に直結しますが、物価上昇のもとで賃上げが進展し、名目賃金上昇率2.7%の増加(注)となっている環境下にあり、今後、人件費上昇が継続し、人件費上昇に見合った売上増加、価格転嫁ができない場合、業績へ悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対処すべく、労務費と合わせて人件費の上昇分を適正に売上へ転嫁できるよう顧客との交渉を積極的に進めております。売上への転嫁の結果に関わらず、交渉は契約期間毎に継続的に行っており、合わせて人員配置の効率化による適正な収益管理も進めてまいります。

(注)厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年3月分結果確報」の月間現金給与額 調査産業計より

 

(7) 法的規制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの事業は、警備業法、派遣業法、職業安定法等の法規制の対象となっております。現時点では法令に違反する事実はないと認識しておりますが、仮にこれらの法令に違反した場合、営業停止、営業廃止等の行政処分を受ける可能性があります。万一法令違反により上記行政処分を受けた場合、当該業務の受託等が一時的又は永続的に行えなくなるため売上の減少を招く可能性があります。また行政処分や法令違反の公表に伴うレピュテーションリスクも考えられます。

これらのリスクに対処すべく、「(4) グループガバナンスについて ③ 法令遵守体制の構築」にも記載のとおり、法令遵守のための教育や法令改正情報の共有、内部監査部門における監査、リスク・コンプライアンス委員会での法令遵守状況の共有等により、法令遵守の徹底に努めております。

各業法に関する取得者名、取得年月、所管官庁、許認可等の内容、有効期限、法令違反の要件等については以下のとおりです。

 

(警備業)

取得・登録者名

ヒトトヒト(株)

(株)エース警備保障

(株)エースガード

取得年月

1982年12月

1992年12月

2002年7月

許認可等の名称

警備業(認定)

警備業(認定)

警備業(認定)

所管官庁等

警察庁

警察庁

警察庁

許認可等の内容

1号業務(施設警備)

2号業務(交通誘導警備、雑踏警備)

4号業務(身辺警護)

上記各号に付帯する業務

 

東京都公安委員会

第30000805号

1号業務(施設警備)

2号業務(交通誘導警備、雑踏警備)

上記各号に付帯する業務

 

兵庫県公安委員会

第63000825号

1号業務(施設警備)

2号業務(交通誘導警備、雑踏警備)

上記各号に付帯する業務

 

兵庫県公安委員会

第63001182号

有効期限

2024年2月9日から2029年2月8日まで以後5年ごとに更新

2022年12月22日から2027年12月21日まで以後5年ごとに更新

2022年7月23日から2027年7月22日まで以後5年ごとに更新

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

不正な手段による認定の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は認定取消(警備業法第8条)

警備業法等の違反により警備業務の適正な実施が著しく害される恐れがあると認められる場合等は営業停止(警備業法第49条第1項)

不正な手段による認定の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は認定取消(警備業法第8条)

警備業法等の違反により警備業務の適正な実施が著しく害される恐れがあると認められる場合等は営業停止(警備業法第49条第1項)

不正な手段による認定の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は認定取消(警備業法第8条)

警備業法等の違反により警備業務の適正な実施が著しく害される恐れがあると認められる場合等は営業停止(警備業法第49条第1項)

 

 

(人材派遣業・有料職業紹介事業)

取得・登録者名

ヒトトヒト

キャリアライズ(株)

ヒトトヒト(株)

ヒトトヒト

キャリアライズ(株)

取得年月

2006年2月

2018年12月

2011年9月

許認可等の名称

人材派遣業(許可)

人材派遣業(許可)

有料職業紹介事業(許可)

所管官庁等

厚生労働省

厚生労働省

厚生労働省

許認可等の内容

労働者派遣事業の許可

派13-301469

労働者派遣事業の許可

派13-312001

有料の職業紹介事業の許可

13-ユ-305134

有効期限

2024年2月1日から2029年1月31日まで以後5年ごとに更新

2021年12月1日から2026年11月30日まで以後5年ごとに更新

2024年9月1日から2029年8月31日まで以後5年ごとに更新

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

欠格事由に該当した場合や派遣法等またはそれに基づく命令等に違反した場合等は許可取消(派遣法第14条第1項)

派遣法等またはそれに基づく命令等に違反した場合や許可の条件に違反した場合は事業の停止(同第2項)

欠格事由に該当した場合や派遣法等またはそれに基づく命令等に違反した場合等は許可取消(派遣法第14条第1項)

派遣法等またはそれに基づく命令等に違反した場合や許可の条件に違反した場合は事業の停止(同第2項)

欠格事由に該当した場合や職業安定法等またはそれに基づく命令等に違反した場合等は許可取消(職業安定法第32条の9第1項)

派遣法等またはそれに基づく命令等に違反した場合や許可の条件に違反した場合は事業の停止(同第2項)

 

 

(廃棄物収集運搬業・建設業)

取得・登録者名

ヒトトヒト(株)

ヒトトヒト(株)

(株)ノティオ

取得年月

1982年3月

1997年7月

2020年11月

許認可等の名称

一般廃棄物収集運搬(許可)

産業廃棄物収集運搬(許可)

一般建設業(許可)

所管官庁等

環境省

環境省

国土交通省

許認可等の内容

道路・公園ごみ、普通ごみの収集・運搬(保管・積替えを除く。)

東京23区清掃協議会会長第633号

燃え殻、汚泥等13種類の産業廃棄物の収集・運搬(積替え保管を除く。)

東京都知事第13-00-048799号

内装仕上工事業に関する許可

神奈川県知事許可(般-2)第87811号

有効期限

2025年7月1日から2027年6月30日まで以後2年ごとに更新

2022年7月11日から2027年7月10日まで以後5年ごとに更新

2025年11月5日から2030年11月4日まで以後5年ごとに更新

法令違反の要件及び主な許認可取消事由

不正の手段により許可の取得や欠格事由に該当した場合は許可取消(廃棄物処理法第7条の4)

廃棄物処理法違反、能力が法令に定める基準に適合しなくなった場合等は事業停止(廃棄物処理法第7条の3)

不正の手段により許可の取得や欠格事由に該当した場合は許可取消(廃棄物処理法第14条の3の2)

廃棄物処理法違反、能力が法令に定める基準に適合しなくなった場合等は事業停止(廃棄物処理法第14条の3)

不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は許可取消(建設業法第29条)

不正入札等不誠実な行為があった場合は業務停止等の処分(同法第28条)

 

 

(8) 労務管理・コンプライアンス違反リスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは多くの従業員(正社員・有期雇用社員等)の人的労働力に依存しております。近時は、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の全面施行による同一労働同一賃金の義務付け、ワーク・ライフ・バランスの趨勢とそれに伴う働き方改革関連法の施行、その一環である労働基準法改正による週60時間超の時間外労働に係る賃金割増率の引き上げなど、労働環境とそれに係る法規制に大きな変化が起きており、このような動きへの当社の対応により、優秀な人財の流出や人件費の上昇が生じる可能性がある他、これら法令への違反が発生した場合には、関係省庁からの改善命令や刑事処分や従業員からの訴訟による社会的信用の失墜、追加コスト発生等の可能性があります。

また、当社グループではこれら従業員に対するコンプライアンス教育の充実を図り実践しておりますが、法令違反等のコンプライアンス違反が生じる可能性があり、その場合はクレーム発生によるレピュテーションリスクや社会的信用の失墜に加え、顧客からの訴訟や解約による収益への影響が生じる可能性があります。

これらのリスクに対処すべく、管理監督者に対してこれら法令の教育を行い、管理監督者を通じてアルバイト含む従業員への指導を行わせることに加え、万が一の法令違反発生の際には「(4) グループガバナンスについて ④ リスク情報の共有と低減策検討」にも記載のとおり、ルールに基づいて当社社長にまで報告され、持株会社として責任を持ってリスクの軽減に努める体制を整えております。またリスク・コンプライアンス委員会にも共有され、リスク低減策の検討を行う体制を整えております。

 

(9) 同業他社との競争について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの中核である業務は小規模事業者が多く(警備会社数約1万社(警察庁「令和6年における警備業の概況」より)、派遣会社数約4万4千事業所(厚生労働省職業安定局需給調整事業課「派遣元事業所数の推移」より))、当社はサービス品質と価格、独自のスタッフ動員力により他社との競争を制して事業を拡大してまいりましたが、今後何らかの要因によってこれらの当社の強みを維持できない場合、他社との競合に敗れ業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。

これらのリスクに対処すべく、プロ野球で長年培った興行運営管理のノウハウを他のプロスポーツに展開したり、大型商業施設での施設警備のノウハウを今後開業が見込まれるスタジアム・アリーナに展開したりすること等により、小規模事業者には実施困難な業務の開拓を続けてまいります。

 

(10)気候変動や自然災害等の影響について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループの顧客は国内外で幅広く事業を営む企業が多く、それら企業が気候変動や環境保全に関する社会的要請に対応するため、大規模商業施設の開発計画見直しや既存施設の縮小・閉鎖、スポーツ興行事業の再編等を行う場合、当社グループの収益機会減少の可能性があります。

当社グループは、首都圏や阪神地域をはじめとする日本国内の主要都市に所在する顧客施設等で事業を行っていますが、当該地域に地震や台風等の大規模な自然災害が発生した場合は、顧客施設が営業を休止し収益機会減少の可能性がある他、当該地域に居住する従業員とその家族に人的・経済的な影響が生じる可能性があります。

また新型コロナウイルスの蔓延により2020年3月期以降3年にわたり、各種イベントの中止、延期または規模縮小による当社の収益機会の減少の一方、コロナ関連業務の受託による収益機会の増大等がありました。今後も、新型コロナウイルスと同等の感染症の拡大により、感染症対策関連業務の受託による収益機会の増大の反面、行動制限に伴うイベント中止や商業施設休業による収益機会の減少、パンデミック発生による当社のスタッフ動員力への悪影響の可能性も考えられます。

これらのリスクに対処すべく、人財サポート事業のような気候変動の影響を受けづらい業務の拡大を目指すことに加え、地震や台風等の自然災害に対してはBCP計画を定める等により影響の軽減に努めております。また感染症への対応については、収益機会の減少を補うような対策関連業務の対応拡充に努めてまいります。

 

(11)特定の取引先への依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループの売上構成においては主要取引先10社の合計が連結売上高の約4割を占めております。現時点では安定した信頼関係・取引関係を築けていると認識しておりますが、仮に取引先の意思決定に伴う業務縮小または解約等が発生した場合、当社グループの収益が減少する可能性があります。

これらリスクに対応すべく、主要取引先との良好で安定した信頼関係・取引関係の維持発展に加え、既存業務のノウハウを活かした新たな取引先の開拓に努めております。

 

(12)個人情報及び顧客情報について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループは、事業活動を通して取引先の機密情報を入手することがあり、また、営業上・技術上の機密情報及び多数の社員・スタッフの個人情報を保有しております。これらの情報は犯罪者、ハッカーなどの悪意を持った第三者や当社グループ従業員の故意または過失により侵害を受ける可能性があります。万が一上記の侵害が発生した場合、侵害の回復のための費用、訴訟費用の発生、売上や顧客の喪失に加え、信用の失墜等の悪影響の可能性があります。

これらのリスクに対処すべく、これらの情報についての厳格な管理体制を構築し、情報の取扱い等に関する規程類の整備・充実や従業員への周知・徹底を図る他、個人情報に関して中核となる子会社2社にてプライバシーマークを認証取得するなど、適切な管理により侵害の防止に取り組んでおります。

 

(13)AI技術等の新技術について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

AI、ロボット、IoT機器の技術の進化はめざましく、これまで機械化が難しかった業務においても置き換わりが起きております。当社グループの業務がこれらに一気に置き換わる可能性は低いと考えておりますが、Chat GPTをはじめとするAIの進化スピードはますます加速しており、今後の技術の進展によっては当社の業務の一部がAI等のシステムに置き換わる可能性も考えられます。

これらのリスクに対処すべく、当社グループにおいてもこれら技術の活用を図り、「人」の行う業務の補完をさせながら「人」が行うべき業務にリソースを集中していく方針です。

 

(14)M&Aについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)

当社グループの中核業務は全国各地に小規模事業者が多いため、売上収益拡大のためにはM&Aが有効な手段と考えております。2022年3月期には(株)アプメス(現 ヒトトヒトキャリアライズ株式会社)、2024年3月期には(株)エース警備保障及び(株)エースガードの株式を取得し、連結子会社化いたしました。今後も必要に応じ積極的にM&Aを活用していく方針ですが、未認識債務の発生や事業環境の変化により想定したシナジーが発揮できないこと等、計画通りに事業拡大ができず、業績に悪影響を与える可能性も考えられます。

また、M&Aに伴い、有利子負債及びのれんが増加するため、M&A先の業績が悪化した場合は、のれん減損の可能性が高まることが考えられます。

これらのリスクに対処すべく、M&A実施時には対象会社の財務内容や法令遵守状況等について詳細なデュー・デリジェンスを行うことによりリスク回避に努めるとともに、「(2) 総資産に占めるのれんの割合が高いことについて」に記載のとおり、新規案件の継続的な獲得や収益性を重視した戦略立案と経営管理により、のれん減損リスクの軽減に努めてまいります。

 

(15)季節による収益の変動について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:低)

当社グループではプロスポーツ関連の業務を行っておりますが、プロスポーツは年間の数か月間を1シーズンとして開催されております。プロスポーツ関連業務の中ではプロ野球とプロゴルフ関連の売上収益比率が高いことから、当社の連結業績においても、プロ野球とプロゴルフのシーズン最盛期にあたる第1四半期と第2四半期の売上収益が大きく、試合数が減少する第3四半期とオフシーズンに重なる第4四半期にかけて売上収益が減少する傾向があります。

第3四半期と第4四半期がオンシーズンとなるBリーグ関連の業務も増加していますが、プロ野球とプロゴルフ関連の売上減少を補うほどではなく、利益についても売上収益に連動した増減が生じる可能性があります。

第6期(2025年3月期)第1四半期から第7期(2026年3月期)第4四半期までの四半期毎の売上収益及び営業損益の推移は以下のとおりです。

(売上収益)                                  (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

2025年3月期

4,433

4,564

4,052

3,755

2026年3月期

5,344

5,707

4,823

4,220

 

 

(営業損益(△損失))                             (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

2025年3月期

345

436

14

△90

2026年3月期

480

626

117

△186

 

 

これらのリスクに対処すべく、Bリーグ業務の拡大に加えて第3四半期と第4四半期の臨時イベント等の業務拡大、及び季節変動の影響が少ないビルマネジメント事業の施設警備及び施設管理業務や人財サポート事業の店舗運営受託業務等の拡大に努めることにより、売上収益の季節変動の低減を図ってまいります。

 

(16)上場維持基準への抵触について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社は、2026年4月7日に東京証券取引所スタンダード市場へ上場いたしました。上場の売出し後も当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、当面当社の流通株式比率は株式会社東京証券取引所が定めるスタンダード市場の上場維持基準に近接した水準となる見込みです。何らかの事情によりスタンダード市場の上場維持基準に抵触した場合、上場を維持できなくなる可能性がありますが、今後、大株主への一部売出しの要請によって流通株式数を増加させること等により、当社株式の流動性の向上を図っていく方針です。

 

(17)経済状況等の事業環境について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:高)

当社グループがサービスを提供する顧客の多くは、スポーツ興行や商業施設運営など消費者の余暇への支出を収益とする事業を営んでおります。

現下の経済状況は、不動産や生活必需品のインフレが進展しながらも賃金の上昇も続いており、消費者の余暇支出に関して顕著な変動はみられませんが、国内外の金融・貿易政策や国際紛争等に端を発する経済危機が生じた際は消費者の生活防衛のために余暇支出が抑制され、当社グループの顧客の収益低下と当社グループへの発注量減少による当社の収益機会減少の可能性が考えられます。

これらのリスクに対処すべく、新規顧客の開拓や新規事業の創出、M&Aによる事業多角化等により、経済状況の変動の影響を受けづらい経営体制を構築してまいります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を最重要課題の一つとして位置づけており、業績、経営基盤の強化及び将来の成長性等を総合的に勘案して、安定的・継続的な利益配当を実施することを基本的な方針としておりますが、2026年3月期末時点で4,338百万円の借入金債務があるため、その圧縮による財務バランス改善を優先すべく、配当は行っておりませんでした。

一方、上場後の2027年3月期末を基準日とする配当からは、財務バランスの改善や将来の事業拡大に必要不可欠な設備投資、企業買収等の成長投資を考慮しつつ、安定した成長から創出される利益と営業キャッシュ・フロー、さらに利益剰余金を原資として、成長投資や借入金返済等とのバランスを考慮した株主への配当を行ってまいります。具体的には、総還元性向30%以上を当面の目標とし、年間3億円を下限とする配当を継続していく方針です。また配当実施後の余剰資金については、借入金債務の圧縮による財務バランス改善に加え、将来のM&A資金として内部留保する方針です。

なお、当社の剰余金の配当の基準日は、期末配当については毎年3月31日、中間配当については毎年9月30日とするほか、基準日を定めて配当をすることができる旨を定款で定めております。また、配当など会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めておりますが、株主総会決議によって配当の決定を行うことを排除するものではありません。なお、剰余金の配当を行う場合は、年1回の期末配当を基本とし、配当の決定機関は取締役会とする方針です。