2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 6,897 100.0 591 100.0 8.6

事業内容

3【事業の内容】

当社は、技術革新が急速に進む情報サービス産業において、システムインテグレーション(注1)サービスの提供を役務としており、既存技術の強化に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)(注2)やクラウドコンピューティングなど新たな技術分野にも事業展開しております。

当社は、この50年の歴史の中で、株式会社日立製作所と40年以上、三菱電機ソフトウエア株式会社と30年以上にわたりシステム開発実績を積み重ねることで、ビジネスパートナーとしての関係を築いており、売上高の大きな割合を占める大口取引先となっております。

 

当社事業は、システムインテグレーションサービス事業の単一セグメントでありますが、事業戦略上、事業領域を「金融事業」、「産業流通事業」、「社会公共事業」、「ITイノベーション事業」の4つのサービスラインに区分しております。

各サービスラインの概要及び特徴と、協力会社との連携は以下のとおりであります。

 

(1)サービスラインの概要

① 金融事業

地銀・都銀、保険、証券、クレジットの各分野のシステムインテグレーション、コンサルティング、ソフトウェアの設計・開発・保守等、ソフトウェア開発の全領域に対応した総合的なサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。

当サービスラインは、以下の分野で構成しております。

<地銀・都銀分野> 基幹系三大業務(預金、貸出、為替)及び付随業務、周辺業務のシステム開発、保守並びにミドルウェア(注3)の開発、保守

<保険分野>    損害保険業務(火災、自動車)及び生命保険業務(養老、終身、医療)のシステム
開発、保守

<証券分野>    保管振替システムの構築

<クレジット分野> 請求管理業務及び審査業務、個人ローン業務のシステム開発、保守

 

② 産業流通事業

産業流通、マイコン、医療の各分野は東京・名古屋・大阪に組織を配置し、ソフトウェアの設計・開発・保守全般における総合サービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。

当サービスラインは、以下の分野で構成しております。

<産業流通分野> 流通/医薬大手ユーザや自動車関連システムの開発、保守

<マイコン分野> 家電製品のマイコンソフト、モータ・ロボット系組み込みソフトの受託開発

<医療分野>   自社製品「臨床検査システム/CLIP」(注4)、「健診システム/MEX-Plus」(注5)の販売及び顧客ニーズに即したカスタマイズ開発、保守

 

③ 社会公共事業

社会基盤(電力ICT、社会インフラ、衛星通信)分野、メディア情報分野、公共分野、文教・教育系分野のシステムインテグレーション、コンサルティング、ソフトウェアの設計・開発・保守等、ソフトウェア開発の全領域に対応した総合的なサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発を中心に展開しております。

当サービスラインは、以下の分野で構成しております。

<電力ICT分野>   電力託送システム(注6)の開発、保守

<社会インフラ分野> 道路、河川、ダム等の監視制御システムの開発

<衛星通信分野>   衛星通信システムの開発

<メディア情報分野> クラウド環境でのWEBシステム(注7)、ビッグデータ加工システム(注8)の開発

<公共分野>     自治体業務のパッケージ導入や稼働維持並びに官公庁のシステム再構築

<文教・教育系分野> 教学事務(入試・教務・学生生活)及び教育支援システムの開発、保守

 

④ ITイノベーション事業

自社の競争力強化に向け、先端技術をリードする人材育成及び、様々な事業領域のデジタルソリューションサービス事業拡大に向け、元請システムインテグレーターとの協業を推進しております。また、各分野のシステム全体を支えるフロントシステムエンジニア(注9)として、システム全体の見積り、業務支援アプリケーションパッケージの設定、オンプレミスシステム(注10)及びクラウドシステムのインフラ構築、プロジェクトマネージメントのサービス事業を、顧客であるエンドユーザや国内ITメーカ、元請システムインテグレーターからの受託開発、運用保守を中心に展開しております。

当サービスラインは、以下の分野で構成しております。

<システム基盤ソリューション分野> オンプレミス環境におけるシステム開発、保守

<クラウドソリューション分野>   パブリッククラウド環境への移行・同環境におけるシステム開発、保守、データ利活用ソリューションの開発、保守

<金融ソリューション分野>     クレジットカードシステム、投資信託システム等の開発、保守

 

(2)サービスラインの特徴

① 金融事業

地銀・都銀のほか、流通系銀行の勘定系システムに加え、ネットバンキングシステムなどのサブシステムの開発・保守を基盤事業としておりますが、今後は、オープンイノベーション(注11)に関わるDX化へと基軸を移行しつつあります。

これらDX化への取組みとしまして、次世代オープン勘定系システム(注12)開発への参画、保険分野での現行システムをサーバ環境で動作させるためのマイグレーション(注13)事業及び、ビッグデータ活用に向けたシステムのオープン化事業への参画等のDX化事業にも注力しております。

 

② 産業流通事業

産業流通分野では、ビッグデータを活用した受注予測システムの構築やクラウドコンピューティング需要が増加しております。DX関連事業は伸長しており、これまで培った要素技術に加え、分野間での技術融合による新しいソリューション事業の構築を目指しております。小売り事業者の販売、物流管理システム開発等に参画しております。また、マイコン分野では培った開発技術によるIoT組み込みソリューション事業の拡大に注力しております。

さらに、医療分野では臨床検査システム「CLIP-Version5」の拡販に努めております。この製品は、電子カルテ等の他システムとの連携性や操作性の向上を図っております。新健診システム「MEX-Plus」含め、ご利用いただいております全国の病院・施設システムの更改や新しい顧客への導入を目指しております。

なお、「CLIPシリーズ」におきましては、AIを活用して、正確性とスピードの両立が求められる臨床検査分野でシステム操作をサポートする機能の実装を目指し、開発に取り組んでおります。

 

③ 社会公共事業

メディア情報分野では、クラウド環境でのWEBシステム開発、ビッグデータ加工システム開発を中心とした、DX化に力を入れ顧客ニーズに対応しております。この一環として、電力ICT分野のシステム開発にも積極的に取組んでおり、大きな成長分野となっております。

また、公共分野では自治体のガバメントクラウド(注14)(Gov-Cloud)活用を見据えて、自治体情報システムの標準化対応へ参画する等、DX化事業にも注力しております。

 

④ ITイノベーション事業

当サービスラインの主な特徴は、顧客ファーストの観点で、一人ひとりがお客様目線で考え、お客様の事業継続、発展に貢献し、お客様に近いところでシステム全体を支えるフロントシステムエンジニアとして活動している集団であります。

顧客のDX化事業を含めた業務改革の取組みを支援するシステム開発や、元請システムインテグレーターとの協業によるデジタルソリューション事業の拡大に注力しております。

 

(3)協力会社との連携

顧客ニーズの高度化、オープン化(注15)の進展によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます増加しております。各サービスラインにおいては、システムインテグレーションサービスの提供に当たって、システムの構築にかかる顧客ニーズに柔軟に応えられるよう当社の社員のみならず、当社と協力会社(外注先)が技術を共有し連携して一体となってプロジェクトに参画しております。

当社では協力会社のシステムエンジニアが当社と一体になれるよう安定的、継続的な発注、定期的な情報交換を実施し、長期的な協力関係を構築できるよう推進しており、大型プロジェクトへの参画可能な環境を整えております。

 

(注)1.システムインテグレーションとは、利用目的に合わせて、多種多様のハードウェア・ソフトウェア・メディア・通信ネットワークなどのなかから最適のものを選択し、組み合わせて、コンピュータシステムを構築することであります。

 2.DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革し、新たなデジタル時代にも十分に勝ち残れるように自社の競争力を高めていくことであります。

 3.ミドルウェアとは、OS(基本機能を提供するオペレーティングシステム)と、アプリケーション(各種業務処理の遂行に特化したソフトウェア)との間に位置付けられ、OSが提供する基本機能を用いてアプリケーションの開発負担を軽減することに重点を置いたソフトウェアのことをいいます。

4.自社製品「臨床検査システム/CLIP」とは、血液、血清、細菌、病理、生理といった各検査部門ごとにデータ管理する分散型処理機構と検査室の依頼、検査データを一元管理する臨床検査システムです。

5.自社製品「健診システム/MEX-Plus」とは、病院及び健診センターにおける、人間ドックや企業健診などをサポートする健康診断支援システムです。

 6.電力託送システムとは、電力会社が所有する送配電網を利用して需要家に電気を供給する電力小売事業者に対して、請求する託送料金を送電線の使用量に応じて計算するシステムです。

 7.当社開発のWEBシステムには、違法動画コンテンツ検出システム及びテレビCM枠購入予約システム等があります。

 8.当社開発のビッグデータ加工システムには、テレビメーカ視聴ログを活用する各種システムがあります。

 9.フロントシステムエンジニアとは、ユーザの要望を的確に把握し、ITの技術をどう活かせば要望を満たせるかユーザと一緒に考え、システム導入に向けユーザと一緒にプロジェクトを推進していくエンジニアをいいます。

 10.オンプレミスシステムとは、サーバやソフトウェアなどの情報システムを、使用者が管理している施設の構内に機器を設置して運用することです。

 11.オープンイノベーションとは、メーカやベンダに拘らず、異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウを組み合わせ、革新的なビジネスモデルにつなげる方法論です。

12.次世代オープン勘定系システムとは、株式会社静岡銀行と株式会社日立製作所が共同開発したオープン基盤上で稼働する勘定系システムです。株式会社日立製作所は本システムを製品化し、他の金融機関への導入を進めています。

 13.マイグレーションとは、サーバを移行することです。最近では、クラウド環境への移行が主流となってきております。

 14.ガバメントクラウドとは、政府の情報システムについて、共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境のことです。

 15.オープン化とは、従来、大規模な情報システムで採用されていた、メーカごとに非公開の固有の仕様を持つメインフレーム(大型汎用機)を中核とするシステム構成から、標準規格や公開仕様に基づく汎用製品を主体としたシステム構成に置き換えることです。

 

 

[事業系統図]

当社の主要なサービスライン別に、当社と顧客等との関連を事業系統図で示すと以下のとおりであります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産は4,121,025千円となり、前事業年度末に比べ281,904千円減少いたしました。これは主に売掛金が160,074千円増加した一方、現金及び預金が483,590千円減少したことによるものであります。固定資産は1,757,916千円となり、前事業年度末に比べ941,653千円増加いたしました。これは主に満期保有目的の債券の購入(600,000千円)や時価の変動により投資有価証券が1,067,705千円増加した一方、繰延税金資産が173,503千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は939,909千円となり、前事業年度末に比べ307,326千円減少いたしました。これは主に買掛金が55,633千円、人件費関連の引当金(賞与引当金及び役員賞与引当金)が56,435千円増加した一方、未払金が483,090千円減少したことによるものであります。固定負債は227,390千円となり、前事業年度末に比べ84,741千円増加いたしました。これは主に繰延税金負債が112,210千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は4,711,642千円となり、前事業年度末に比べ882,334千円増加いたしました。これは主に東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う増資及び自己株式の処分並びにオーバーアロットメントに係る新株発行によって資本金が115,630千円、資本剰余金が282,682千円増加したこと、また、その他有価証券評価差額金が324,681千円、利益剰余金が266,719千円増加したことによるものであります。

 

b.経営成績の状況

当事業年度における国内経済は、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進み、東欧・ロシアや中東地域をめぐる情勢の不安、国内における円安によるコスト負担増加や能登半島地震等の自然災害の影響はあったものの、インバウンド消費の拡大や大手企業を中心とした賃上げをはじめとした雇用、所得環境の改善により、引き続き回復傾向がみられました。

当社が属する情報サービス業界におきましては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けた企業の旺盛なIT投資による需要拡大が続いております。また、供給面では、システムエンジニア等のIT関連の人材不足は続いており、需給ギャップの拡大に伴い、システムソフトウェアの開発単価の上昇も続いております。このような需要拡大と単価上昇を受け、足元の国内情報サービス市場は過去最高水準を更新するとともに、中長期的においても市場規模の拡大が期待されております。

こうした環境のもと、当社はクラウド、ビッグデータなどのDX関連事業、AIの活用を成長の柱とする中期経営計画を推進しており、当事業年度においては、不足する人材を確保するためリファラル採用等、経験者採用へのアプローチを積極的に実施してきました。また、DX人材の教育育成にも力を入れ、早期に戦力化することに全力をあげております。また、既存顧客とのパートナーシップの強化による当社事業領域の拡大及び顧客満足度の向上に努め、DX関連分野をはじめとする新分野に係る案件獲得に努めてまいりました。

 

この結果、当事業年度の業績は、売上高6,896,830千円(前年同期比11.9%増)、営業利益591,194千円(前年同期比17.7%増)、経常利益632,479千円(前年同期比22.2%増)、当期純利益441,579千円(前年同期比11.2%減)となりました。

 

当社事業は、システムインテグレーションサービス事業の単一セグメントでありますが、事業戦略上、事業領域を「金融事業」、「産業流通事業」、「社会公共事業」、「ITイノベーション事業」の4つのサービスラインに区分しております。

 

当社のサービスライン別の業績を示すと、次のとおりであります。

 

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

売上高

 

(千円)

6,163,836

6,896,830

111.9

 

金融事業

(千円)

2,469,705

2,726,279

110.4

産業流通事業

(千円)

1,757,123

1,898,927

108.1

社会公共事業

(千円)

1,449,100

1,684,978

116.3

ITイノベーション事業

(千円)

487,906

586,645

120.2

営業利益

(千円)

502,153

591,194

117.7

経常利益

(千円)

517,413

632,479

122.2

当期純利益

(千円)

497,479

441,579

88.8

 

(a) 金融事業

金融事業は、地銀・都銀、保険、証券、クレジットの各分野のソフトウェア設計開発及び運用保守を中心に事業を展開しております。

注力している生損保関連分野において、大型マイグレーション案件の受注が順調に拡大できたこと、及び、地銀・都銀、証券分野においても中型案件の受注拡大、新規案件の獲得ができたことにより堅調に推移いたしました。

この結果、売上高は2,726,279千円(前年同期比10.4%増)となっております。

(b) 産業流通事業

産業流通事業は、産業流通、マイコン、医療の各分野のソフトウェア設計開発及び運用保守を中心に事業を展開しております。

主力である産業流通分野につきましては、流通システム案件、医薬システム案件を中心に継続して堅調に推移いたしました。また、医療分野におきましては下半期に複数の大規模案件が受注できたことにより大きく伸長いたしました。一方、マイコン分野におきましては、開発の延期、縮小の影響が残っているものの、家電案件、車載案件を中心に引き合いは活発になってきており、回復の途上ではありますが、その手応えを感じております。

この結果、売上高は1,898,927千円(前年同期比8.1%増)となっております。

(c) 社会公共事業

社会公共事業は、電力ICT分野、社会インフラ分野、メディア情報分野、公共分野、文教・教育系分野のソフトウェア設計開発及び運用保守を中心に事業を展開しております。

主力である電力ICT分野、メディア情報分野につきましては堅調に推移しております。また、公共分野においても自治体及び独立行政法人向けの案件は堅調に推移しており、下半期は上半期に比し、受注も増加傾向になってきております。なお、自治体標準化、ガバメントクラウド案件は本格始動を前に準備段階であり、緩やかな立ち上がりとなっております。

この結果、売上高は1,684,978千円(前年同期比16.3%増)となっております。

(d) ITイノベーション事業

ITイノベーション事業は、システム全体を支えるフロントシステムエンジニアとして、受託開発、運用保守を中心に事業を展開しております。

金融機関における自社運用のサーバから仮想サーバ、クラウドサーバへの移行ニーズを計画通り受注拡大に結び付けることができました。また、クラウドを中心とした案件の獲得に注力した結果、継続して案件を受注できたことにより業績は堅調に推移いたしました。

この結果、売上高は586,645千円(前年同期比20.2%増)となっております。

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ116,409千円増加し、2,205,544千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は30,973千円(前事業年度は305,821千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が632,479千円、未払金の減少額が493,236千円、売上債権の増加額が161,319千円、仕入債務の増加額が55,633千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は7,245千円(前事業年度は18,112千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入及び払戻による収入(純額)が600,000千円、投資有価証券の取得による支出が600,000千円、固定資産の取得による支出が6,340千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は92,681千円(前事業年度は106,850千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入が231,260千円、自己株式の売却による収入が224,967千円、自己株式の取得による支出が165,295千円、配当金の支払額が174,764千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当事業年度の生産実績をサービスラインごとに示すと、次のとおりであります。

サービスライン名称

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

金融事業

(千円)

2,260,674

107.8

産業流通事業

(千円)

1,577,564

106.4

社会公共事業

(千円)

1,314,985

116.3

ITイノベーション事業

(千円)

494,285

121.1

合計

(千円)

5,647,510

110.4

(注)金額は製造費用によっております。なお、サービスラインに共通して発生する品質管理等費用(29,306千円)は上記には含めておりません。

 

b.受注実績

当事業年度の受注実績をサービスラインごとに示すと、次のとおりであります。

サービスライン名称

当事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

金融事業

2,827,674

111.5

652,381

118.4

産業流通事業

1,932,255

106.7

374,301

109.8

社会公共事業

1,678,628

107.5

300,201

97.9

ITイノベーション事業

595,430

119.0

127,928

107.4

合計

7,033,988

109.7

1,454,813

110.4

(注)金額は販売価格で表示しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をサービスラインごとに示すと、次のとおりであります。

サービスライン名称

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

金融事業

(千円)

2,726,279

110.4

産業流通事業

(千円)

1,898,927

108.1

社会公共事業

(千円)

1,684,978

116.3

ITイノベーション事業

(千円)

586,645

120.2

合計

(千円)

6,896,830

111.9

(注)1.金額は販売価格で表示しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社日立製作所

2,755,932

44.7

3,061,872

44.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の状況

当事業年度末における総資産は5,878,942千円となり、前事業年度末と比較して659,749千円の増加となりました。また、当事業年度末における自己資本は4,711,642千円となり、前事業年度末と比較して882,334千円の増加となりました。

以上の結果から、当事業年度末における自己資本比率は80.1%(前事業年度末は73.4%)となり前年同期比で6.7ポイント上昇いたしました。

 

b.経営成績の状況

(売上高、売上原価及び売上総利益)

当事業年度の売上高は6,896,830千円であり、前事業年度より732,994千円増加(11.9%増)いたしました。主な要因としては、企業の旺盛なIT投資による需要拡大によるものであります。

また、売上原価は5,683,586千円となり、前事業年度より552,032千円増加(10.8%増)となりました。これにより、売上総利益につきましては、前事業年度より180,961千円増加(17.5%増)の1,213,243千円となっております。

当事業年度におけるサービスライン別の経営成績(売上高)の状況に関する認識及び分析は、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績の状況 の項目をご参照ください。

 

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は622,048千円であり、前事業年度より91,919千円増加(17.3%増)いたしました。主な要因は、外形標準課税の適用により租税公課が38,720千円、人員増加に伴い給料及び手当が31,823千円増加したことによるものであります。

その結果、営業利益は591,194千円となり、前事業年度より89,041千円増加(17.7%増)いたしました。

 

(営業外損益及び経常利益)

当事業年度の営業外収益は64,937千円となり、前事業年度より46,677千円増加(255.6%増)いたしました。これは主として保険解約返戻金44,431千円の計上によるものであります。また、当事業年度の営業外費用は23,652千円であり、前事業年度より20,652千円増加いたしました。これは主として上場関連費用が20,487千円増加したことによるものであります。

その結果、経常利益は632,479千円となり、前事業年度より115,066千円増加(22.2%増)いたしました。

 

(当期純利益)

当事業年度の法人税等合計は190,900千円となり、前事業年度より170,966千円増加(857.7%増)いたしました。主な要因としては、前事業年度においてスケジューリング可能となった長期未払金に係る繰延税金資産の計上(152,900千円)に伴う法人税等調整額の減少が生じたことによるものであります。

以上の結果より、当期純利益は441,579千円となり、前事業年度より55,900千円減少(11.2%減)いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討)

当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の項目をご参照ください。

当事業年度においては、未払金の減少により営業活動によるキャッシュ・フローは減少したものの、財務活動で獲得した資金と合わせ、投資活動により使用した資金を賄えており、財務健全性を維持できているものと判断しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社の主な資金需要は、労務費、外注費、事務所の賃借料並びに経費等の支払いを目的とした運転資金となります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で賄うことを基本としております。また、財務資本提携等に関連する必要な資金需要に対しては、財務健全性を勘案しながら金融機関からの借入等も含め、柔軟な資金調達を行ってまいります。

なお、当事業年度末現在、当社は通常の営業上の運転資金に対して十分な規模の現金及び現金同等物を保有しており、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりであります。この財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(繰延税金資産)

当社は、一時差異等のスケジューリングの結果、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。しかしながら、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得水準の見積りに依存するため、結果として将来の繰延税金資産の計上額が変動し、税金費用に影響を与える可能性があります。

 

(受託開発のソフトウェアに係る収益及び費用の計上基準)

当社は、受託開発のソフトウェアに係る収益について、原則として、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合に、その進捗を、発生したコストに基づくインプット法(原価比例法)により見積って収益を認識しております。

収益総額、見積原価総額及び決算日における進捗度について、最新の情報を使用しておりますが、作業内容及び工数等に不確実性を伴う要素が含まれるため、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(受注損失引当金)

当社は、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末において損失の発生可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる開発案件について、翌事業年度以降に発生が見込まれる損失を引当計上しております。損失見込額は最新の情報を使用して算定しておりますが、予見不能な事象の発生や作業内容及び工数等に不確実性を伴う要素が含まれるため、見積りと実績に差異が生じる可能性があります。なお、当事業年度末におきましては、計上はありません。

 

(プログラム保証引当金)

当社は、販売済ソフトウェアの保証期間中における補修費に備えるため、過去の実績に基づく補修見込額及び個別案件に対する補修見込額を引当計上しております。補修見込額は最新の情報を使用して算定しておりますが、予見不能な事象の発生や作業内容及び工数等に不確実性を伴う要素が含まれるため、見積りと実績に差異が生じる可能性があります。