2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループは、事業戦略に対して直接または間接の損失発生、事業の中断や停止、信用・ブランドイメージを損なう等のリスクについて管理を行っております。

 なお、紛争や政治的な不安による地政学的リスク、原材料価格の高騰のような経済的リスク等をはじめとするサプライチェーンリスクに対しても、事業別に総合的分析を行い、事前に軽減策を検討しております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあると考えております。
 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済情勢及び景気動向等

 当社グループは、コモディティビジネスから脱却して経済情勢及び景気動向に左右されにくい強固で安定した経営基盤の構築を目指して事業運営をしておりますが、当社グループの製品需要は販売している国・地域の経済情勢及び景気動向の影響を免れるものではなく、特に日本国内の景気後退による需要の縮小、あるいは顧客ニーズの大幅な変化は、販売減少等により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替相場の変動

 当社グループの外貨建ての売上、費用、資産、負債等の項目は、連結財務諸表作成のために邦貨換算しており、換算時の為替相場により現地通貨ベースの価値に変動がなくても邦貨換算後の価値に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、為替変動が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を軽減するために、外貨建ての資産・負債の一部について先物為替予約等によりヘッジを実施しておりますが、為替変動が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 金利動向

 当社グループの金融機関等からの借り入れには変動金利によるものが含まれており、これに係る支払利息は金利変動により影響を受けます。当社グループは、金利変動が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を軽減するために、変動金利の借り入れの一部について金利スワップ契約によりヘッジを実施しておりますが、金利変動が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 商品市況変動等

 当社グループは、主要原材料であるアルミニウム地金等を海外(国内外商社経由を含む)から調達しております。アルミニウム地金等の価格変動に対しては長期契約や先渡取引によるヘッジの実施に加え、基本的に価格変動部分は製品価格に転嫁しております。また、重油等の燃料価格や補助原材料の価格、原材料等を輸入する際の船賃等の仕入に係る価格変動についても、価格上昇を当社グループの製品価格に転嫁することを基本としております。しかしながら、価格上昇の製品コストへの影響を完全に排除できるわけではなく、特に最終ユーザーに近い加工製品等については、アルミニウム地金等の価格上昇分等を直接製品価格に転嫁することが困難となる場合があります。当社グループは商品市況変動等が財政状態及び経営成績等に及ぼす影響を軽減するため、コスト削減及びより高付加価値の製品への転換等により対処を図っておりますが、商品市況変動等が当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事故・自然災害

 火災、地震、水災、停電等の災害を想定して、近隣まで含めた災害発生時の対処、復旧計画、各種損害保険加入による対策、データのバックアップ体制等について、製造設備関連のみならず情報システム関連についても訓練・点検等を実施し、定期的に内容の見直しを行っておりますが、災害発生により損害を被る可能性があります。
 かねてより大地震発生の可能性が言及されてきた、東海、東南海、南海トラフの連動巨大地震に対して、当社グループとしても、製造現場での防災対策等、重点的に対処しておりますが、大地震発生により当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 公的規制

 当社グループは、日本国内のみならず事業展開する各国において、事業の許認可、国家安全保障、独占禁止、通商、為替、租税、特許、環境等、様々な公的規制を受けております。当社グループは、これらの公的規制の遵守に努めておりますが、将来、コストの増加につながるような公的規制や、当社グループの営む各事業の継続に影響を及ぼすような公的規制が課せられる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 係争事件等

 当社グループは、日本国内のみならず各国において法令遵守に努めておりますが、広範な事業活動の中で、今後係争事件等の対象となる可能性があり、裁判等で不利益な判決や決定がなされる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 債務保証等

 当社グループは、投資先の借入金等に対しての債務保証契約等を金融機関等との間で締結しております。当社グループでは、債務保証等の履行を要求される可能性は僅少であると判断しておりますが、将来、債務保証等の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 製品・サービスの品質

 当社グループでは、社会やお客様からの要求事項や関連法令を把握し遵守することを徹底し、安全で安定した製品やサービスを提供し続けていくために、品質保証・管理活動を推進しておりますが、製品・サービスに関する品質問題が生じた場合は、顧客等から代品納入や補償等を求められるほか、製品・サービスへの信頼性低下から売上が減少する等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 雨畑ダム堆砂対策

 当社の連結子会社である日本軽金属㈱が保有する雨畑ダム(山梨県南巨摩郡早川町)上流の雨畑川の水位が2019年8月の台風10号、同年10月の台風19号などによる豪雨の影響を受け上昇したことにより、周辺地域で浸水被害が発生いたしました。現在、地域の皆さまの安全を最優先に、関係各所との連携により浸水被害を防ぐための対策を進めております。また、国土交通省より抜本的な解決に向け、堆砂対策の計画を取りまとめ、計画的に取り組むよう指導されております。
 この状況を厳粛に受け止め、日本軽金属㈱は国土交通省、山梨県及び早川町との4者で構成する雨畑地区土砂対策検討会を設立し、周辺地域における浸水被害発生に対する応急対策、及び堆積土砂の抜本対策について検討を重ね、その内容に基づき雨畑ダム堆砂対策基本計画を策定し、その実行に伴う費用等を合理的に見積り、堆砂対策引当金という名称で連結貸借対照表に計上しております。今後の工事等の進捗状況によって見積りの前提となっている仮定に変更が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があり、そのリスク内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 日本軽金属㈱は、基本計画に基づき対応を進めており、応急対策(堤防設置)、短期計画(2020年度~2021年度の土砂搬出計画)を概ね計画通り進捗させました。2022年度からの中期計画(2022年度~2024年度の土砂搬出計画)についても、関係機関との協議を重ね、具体的な搬出計画に基づき着実に実行し、今後も、地域の皆様の安全確保を最優先に、関係機関のご協力もいただきながら、誠心誠意対応してまいります。

 

(11) 品質不適切行為に関する対応

当社グループ会社において「鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格(JIS)への適合性の認証に関する省令」に定める基準に関する不適切行為の事実が判明したことを受け、2021年6月に外部専門家等によって構成する特別調査委員会を設置し、以降、特別調査委員会の調査範囲をJIS認証事業所以外に拡大して調査を実施いたしました。当社は、2023年3月29日に特別調査委員会より「調査報告書」を受領し、同日公表しております。

なお、同調査において判明した不適切行為については、関連する顧客等への事実関係および製品の安全性の説明等を進めております。今後の進捗次第では、顧客等への補償費用を始めとする損失等の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループ会社で判明した品質等に関する不適切行為について2023年3月に策定・公表した再発防止への取組みについては、2023年4月に新設した「改革推進室」が中心となり、グループ・ガバナンス体制の再構築、内部統制機能の強化、そして、当社グループが真に持続可能な企業グループとなるための企業風土の改革にグループ一丸となって取り組んでおります。

 

 なお、現時点では予想できない上記以外の事象により、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社の利益配分については、財務体質と経営基盤の強化を図りつつ、中長期的な視点から連結業績等を総合的に勘案し、株主への配当を実施することを基本方針としております。

 利益配分の指標としては、自己株式の取得を含む総還元性向を30%以上を基準とし、配当額等を決定いたします。

 また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 上記の点をふまえ、当事業年度の剰余金の配当については、1株当たり年間50円(中間10円、期末40円の配当)といたします。

 当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 なお、当事業年度の剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月31日

619

10

取締役会決議

2024年6月25日

2,478

40

定時株主総会決議