2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,473名(単体) 12,097名(連結)
  • 平均年齢
    42.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.8年(単体)
  • 平均年収
    8,265,107円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

機能材料

2,972

(167)

金属

2,376

(198)

モビリティ

4,781

(614)

その他の事業

1,249

(81)

全社(共通)

719

(45)

合計

12,097

(1,105)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に外数で記載しております。

2.臨時従業員には、臨時工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

2,473

(229)

42.71

13.82

8,265,107

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

機能材料

1,164

(144)

金属

397

(27)

モビリティ

184

(12)

その他の事業

9

(1)

全社(共通)

719

(45)

合計

2,473

(229)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に外数で記載しております。

2.臨時従業員には、臨時工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、主要な労働組合として三井金属鉱業労働組合連合会(略称:三井金属労連)が結成されており、組合員数は2025年3月末現在4,028名であります。

また、日本基幹産業労働組合連合会(略称:基幹労連)に加盟しております。

なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者

割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注3)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

2.3

52.6

68.1

70.8

53.0

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき「課長級」以上を対象として算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

 ② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注2)

男性労働者の

育児休業
取得率(%)
 (注3)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注4)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

三井金属アクト㈱

87.5

76.2

79.3

53.0

神岡鉱業㈱

30.8

51.9

71.8

82.2

三井金属エンジニアリング㈱

16.7

71.0

71.0

58.0

彦島製錬㈱

0.0

66.7

61.9

66.5

74.6

八戸製錬㈱

0.0

三井金属ダイカスト㈱

25.0

45.9

49.0

52.4

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)等の公表義務の対象となる連結子会社を記載しております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき「課長級」以上を対象として算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

4.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

 

なお、女性の賃金が男性より低い理由は女性の管理職の割合が少ないこと、及び平均勤続年数が男性より短いことが主な理由であります。

多様な考えや価値観を活かしていくためには意思決定層に多様な人材を登用することが大切であるとの認識のもと、ライフイベント等により一時的に業務に制限がかかる社員についても昇進・登用にあたりその要因で不利にならないよう、実力に応じて適切に選抜してまいります。また、提出会社においては、23年度から役員報酬制度の見直しを行い、ESGの指標達成の程度に応じて付与される「ESG指標要件型譲渡制限付株式報酬」を導入し、ダイバーシティの取り組みが、経営層レベルで後押しされる仕組みとしております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループが目指している、「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」の両立による統合思考経営の実現に向け、2023年4月1日付で、技術基盤の強化を担う「技術本部」の新設とともに、「サステナビリティ推進部」を経営企画本部から本社部門の社長直下に移管し、事業部門を含めた関係部門との連携促進を図り、「社会的価値の向上」の取り組みを更に加速させることとしております。

さらに、気候変動への対応は、生物多様性の回復を含むネイチャーポジティブへの取り組みや天然資源の循環利用を根底とするサーキュラーエコノミーへの移行とも密接に関連していることから、気候変動への対応はもとより、自然との調和と合わせて環境全般への取り組みを強化すべく、2025年4月1日付でこれまでの気候変動対応チームを、低炭素・自然共生戦略室に改称、発展させています。また、同じく2025年4月1日付で技術本部 生産技術部を分割し、当社グループ製品製造活動に伴うエネルギー使用量効率向上による気候変動への対応を加速すべく技術本部内に基盤技術部を設置しております。

 

(1) 気候変動から自然共生への活動拡充

気候変動は地球全体に長期にわたり大きな影響を及ぼすことから、当社事業にとって特に重要な外部環境変化の一つであると認識しております。とりわけ当社グループは非鉄製錬、電解銅箔等エネルギー多消費型事業を有していることから、そのエネルギー消費に伴う温室効果ガス(以下GHGと表記)排出の適切な管理の一環として「気候変動への対応」を経営上の重要なマテリアリティであると位置付け、GHG削減につながる活動を推進しております。

また、気候変動を巡る社会・経済のニーズは、直接的な事業活動上のリスクや機会に加えて、サプライチェーン全体を俯瞰した場合のリスクや機会への対応まで拡大することを求めています。さらに、気候変動への対応は、生物多様性の回復を含むネイチャーポジティブへの取り組みや天然資源の循環利用を根底とするサーキュラーエコノミーへの移行とも密接に関連していることも強調されています。そこで、当社グループではこれまでのTCFD提言のフレームワークに則った気候変動対応を事業活動に伴う間接的なGHG排出量(Scope3)の算定と削減検討へ拡大するとともに、TCFD提言への賛同、GXリーグへの参画に加えて、2024年度には新たに日本気候リーダーズ・パートナーシップの賛助会員加盟、TNFDフォーラム参加、経団連生物多様性宣言イニシアチブ参画、ネイチャーポジティブ経営推進プラットフォーム参加等、官民学一体となった活動への参加を通し、気候変動対応から自然共生への活動内容の深化にも取り組んでおります。

 

(2) TCFDにおける4つの中核的要素

①ガバナンス

当社グループにおける気候変動基本方針や重要事項は、取締役会の監督の下、社長が委員長を務めるCSR委員会において討議し、執行最高会議において審議・決定しております。執行最高会議は、代表取締役と業務執行取締役が参画しており、経営の観点から審議を行なっております。(体制図参照)

なお2024年度の執行最高会議では、気候関連課題に対する議論を計9回実施し、取締役会にて報告をしております。

 

 


 

②戦略

当社グループはグローバルに多数の事業を展開しており、気候変動に関わるリスク・機会が事業ごとに異なるという背景を考慮し、気候変動の影響を受ける可能性が相対的に高い事業から事業別にシナリオ分析を行なっております。

シナリオの定義

想定時期

2030年代初頭

シナリオ定義

4℃シナリオ

産業革命期比で21世紀末に2.7~4.0℃上昇

*主にIEAのSTEPSのデータを利用

2℃シナリオ

産業革命期比で21世紀末に0.9~2.3℃上昇

*主にIEAのAPS(以前のSDS)と一部NZEのデータを利用

 

これまでに、グループ全体のCO2排出量の約70%を占める金属部門、次いでCO2排出量が多い銅箔事業、気候変動による事業環境の変化が大きい触媒事業、機能性粉体事業など機能材料部門についてシナリオ分析を完了し、引き続き、その他の事業分野の分析と定期的なシナリオ分析のアップデートに取り組んでおります。

 

シナリオ分析では、それぞれのリスクによる収益低下を最小化するとともに、新たな製品や新規事業の創出による機会の獲得を実現するための対応案を検討しております。それらの多くは長期的な視点で取り組むべき内容ですが、2022年度からの中期経営計画である「22中計」に続き、2025年度からの中期経営計画である「25中計」にも反映させて、戦略のレジリエンスの確保に努めてまいります。

また、当社グループにおいては2030年GHG排出量削減目標及び2050年度目標であるカーボンニュートラル達成への道筋を描いたカーボンニュートラルロードマップを作成しています。このロードマップを用いPDCAサイクルを回すことで目標達成に向けたGHG排出量削減活動を確度高く進めています。

特に金属事業においては、2020年度に実施したシナリオ分析を踏まえ、CO2排出削減を最優先課題とし、事業部門内にカーボンニュートラル対応プロジェクトを立ち上げ、石炭、コークス燃料転換や石膏生産の見直しなど積極的なCO2削減に取り組んでいます。

さらに、CO2削減施策の実行を促進するため、2023年4月1日よりICP(社内炭素価格)を設定(注)1し、設備投資・開発投資の判断に活用しております。設定金額については、当社グループにおける削減策実行のハードルがScope1とScope2の特性によって大きく異なる部分もあることから、Scope別の設定としております。

具体的には、Scope1では当社主力事業の一つである亜鉛製錬のようにプロセスの原理上CO2削減対策のハードルが高く、試験等も含めた開発投資が不可欠であるものも想定されることから、電力の再生可能エネルギーへの移行による削減が可能なScope2よりも高い金額といたしました。

 

また、2030年度までのCO2排出量の削減と2050年度までのカーボンニュートラルの実現に向け、2023年12月にトランジション戦略の策定を公表いたしました。(詳細は以下URLをご参照ください。)

https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=AnTMXs7RlQ0%3d

(注)1 Scope1:30,000円/t-CO2,Scope2:20,000円/t-CO2

 

③リスク管理

シナリオ分析の過程では、リスク及び機会の特定をしております。とりわけエネルギーコストの増大リスクに加えて、低炭素・脱炭素経済への移行を見据えた顧客ニーズの変化、サプライチェーン取引先へのGHG排出量削減貢献におけるリスクと機会が重要であると認識しております。シナリオ分析で検討した対応策には、これらの動向を監視して必要な早期対応を経営計画に反映させることも含めており、随時経営層に報告を行い、リスク管理をしております。

 

④指標及び目標

当社グループでは、エネルギー起源のCO2の削減目標を設定しております。

・2030年度:CO2排出量をグローバルで38%削減する(2013年度比)

・2050年度:カーボンニュートラル(Net 排出ゼロ) を目指す

なお、上記の指標と目標に対する、2023年度の三井金属グループのScope1及びScope2のCO2合計排出量は1,712千t-CO2であり、2013年度比で7%の削減(注)2となりました。

Scope3については、サプライチェーン上流側のカテゴリーを中心に国内拠点の排出量把握を完了しました。さらに開示対象を拡充できるよう取り組みを進めております。

当社グループにおけるCO2排出量(2023年度)

 

単位:千t-CO2

 

Scope1(注)3

Scope2(注)3

合計

(参考)Scope3

輸送(注)4

廃棄物処理(注)5

日本国内

764

661

1,425

18

6

海外

40

246

287

1

合計

804

907

1,712

18

6

 

(注)2 基準年である2013年度の排出量を電力の調整後排出係数を使用して算出することに変更したため、第98期有価証券報告書に記載の2013年度比削減率よりも見かけ上、小さくなっております。

(注)3 エネルギー起源のCO2を対象としております。

(注)4 当社(三井金属単体)が荷主である輸送に伴うCO2排出量を対象としております。

(注)5 当社グループ(グローバル)で発生した外部に委託した廃棄物の処理によるCO2排出量を対象としております。

なお、最新のCO2排出量については、当社ホームページをご参照ください。

環境データ:https://www.mitsui-kinzoku.com/csr/data/esg_data/

また、当社グループの気候変動及び環境に対する取り組みについては、ESG説明会資料(12~18頁)、統合報告書(69~79頁)もご参照ください。

2024年度ESG説明会資料:

https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=9mThRC1rM3s%3d&tabid=159&mid=1060&TabModule1202=0

 

2024年度統合報告書:

https://www.mitsui-kinzoku.com/Portals/0/CSR/integrated_report/2024/JP1/integrated_report2024.pdf

 

(3) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

三井金属グループでは、人が最も重要な経営資本であると考えております。当社グループの目指す、事業を通じた環境・社会課題の解決と、そのためのイノベーション創出、新たな価値創造は、多様な考え、様々な価値観、経験とスキルを持った人材がいてこそ実現するものだからです。当社グループで働く全ての人が、それぞれの役割を担いながら、当社グループで働くことに誇りや幸せを感じ、安心して働ける職場環境を整えることで、個々の能力を最大限に発揮できる仕組みを構築しております。

具体的にはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、働きがい改革、健康経営、実力主義の人事制度、HRBP(注)6機能の強化の5つの施策を推進しております。また、パーパスを基軸とした全社ビジョンの実現を目指すうえで備えるべき文化・風土を明確にするために、新たにバリュー(行動指針)(注)7を制定いたしました。これらの取組みにより、個人を尊重することと、組織として人材を活用することを両立し、経営戦略の実現を人事の側面から推進しております。

(注)6 HRBP:Human Resource Business Partnerの略。経営者や事業部門のパートナーとして事業成長と戦略の実行を人材・組織の面から支える機能。

(注)7 バリューは以下5つの文言からなる。多様な角度から見よう、みんなで愉しもう、知恵を出し合おう、やってみよう変えていこう、手本となろう。

 

①人材育成方針

当社グループは、「人材開発基本方針」に基づき、事業を通じて環境・社会課題を解決し、価値創造を実現する人材の育成に取り組んでおります。

イ.人材開発基本方針

人材は最も重要な経営資本との認識のもと、パーパスを基軸として全社ビジョンを実現するための「バリュー」を行動の指針とし、事業を通じて環境・社会課題を解決し、価値創造を実現する人を育てます。

‐すべての人がいきいきと働き、相互信頼のもとで積極的に議論し新たな価値を追求する文化を築きます。

‐だれもがかけがえのない一人であり、それぞれが能力と個性を存分に活かすことで、これまでに無いものを生み出すこと、すなわち多様性の価値を実現します。

‐一人ひとりが自らの目指す方向に向けて自分らしいキャリアを選択し、叶えるための行動を支援します。

‐実力重視の人事制度の下、公正な評価に基づき、個人の意思を尊重しつつ適所適材を図り、能力開発を発揮する機会を提供します。

‐経営戦略と時代のニーズを反映した教育プログラムを整えるとともに継続的に検証と改善を図ります。

 

②社内環境整備方針

2050年の世界では、働き方は今とは大きく異なり、人材流動性が非常に高くなると予想されております。このような社会においても、働く人に選ばれる会社、そこで働くことに誇りを持てる会社、成長し続けられる会社であるために、今から何をすべきかが問われております。

個人の視点としては、チャレンジして自己成長を実感できること、キャリアを自律的に築けること、多様性に価値があることの実感、これらを実現していく必要があります。もちろん健康的に働き続けられることは大前提です。

組織の視点では、育成・拡大・再構築・強化の事業評価に対して、どのような人を配置するかという人材のアロケーション、そのための人材育成に加え、経営者をはじめとした重要なポジションの後継者育成をしっかりと計画的に行うことが重要です。これら、個人視点と組織視点の人材戦略の礎となるのが実力主義の人事制度です。


 

 

イ.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンと働きがい改革の推進

一人ひとりが優秀で知識が豊富でも、似通った視点や価値観の集団では、新しい価値の創造性や、組織としての強靭性に欠けます。そのため、異なる視点や経験、価値観があり、多角的に物事を捉えられるような多様性のある組織を目指します。その第一歩が女性活躍推進です。

さらに、どの様な価値観や経験・考え方の人であっても安心して働ける職場、自律的に働き、仕事の成功や失敗を通じて成長を実感できる職場を実現する働きがい改革を推進、加速しております。

 

・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進体制

2021年にダイバーシティ推進室、2022年に社長を委員長とするダイバーシティ推進委員会を設置し、ありたい姿に基づくロードマップとKPIを策定し取り組みを推進してきました。2023年度からは武川社外取締役がアドバイザーとなり、より幅広い視点での議論がすすみ、2024年度には、女性活躍推進に優れた上場企業として「なでしこ銘柄」に選定されました。25年度からは、各本部長が実行責任者として参画することで、現場まで取り組みが浸透する体制としております。

 

・働きがい改革推進の加速

2024年4月から、働きがい改革を加速するべく専任組織を設置いたしました。働きやすさ、働きがいが実感できることを早期に実現し、さらには「この会社だからこそ働きたい」と思えるような会社を目指しております。まずは組織と個人の関係性、つまりエンゲージメントが向上しやすい組織の特徴を分析し、データに基づいた各種の施策を立案・実行することで、ありたい姿を実現していきます。

 

・マネジメント体制

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンと働きがい改革は、密接に関係していることから、一つの委員会で議論しております。委員会で協議する方針や、KPIの策定・進捗と課題、今後の取り組みについては、執行最高会議と取締役会で報告・議論され、その結果が委員会活動に反映される体制となっており、経営戦略との連動、企業価値向上に資する仕組みとなっております。


 

 

[定期的な情報発信]

- 経営連絡会等における社長のメッセージ発信

- 社外取締役・ダイバーシティ推進室長メッセージ(採用ホームページ)

- 人事戦略・ダイバーシティ推進の取り組み進捗発信(ESG説明会)

- 社内報の連載

- DE&I社内サイトにおける事例発信・制度説明動画掲載

[研修]

- アンコンシャスバイアス研修 (非管理職向け)

- マネジメント研修 (管理職向け)

- D&I推進ワークショップ(男性育休編)

- 女性交流会

[女性活躍推進の取り組み]

- 男性育休取得事例の社内共有、製造現場へのポスター掲示

- 職域拡大の検討

- 女性管理職育成計画

- 採用競争力向上と女性採用強化施策実施

 

ロ.健康経営の推進

当社グループに働く全ての従業員及びその家族が心身ともに健康であることは重要な経営課題です。従業員とその家族が健康であることは、従業員の生活を充実させ、その個性・能力を最大限に発揮できる基盤となり、会社にとっても生産性を高め、業績向上に繋がっていきます。従業員及びその家族の健康維持・増進活動に取り組むことを通じて、さらに活力のある会社づくりを推し進めることをもって社会に貢献し続けることを、健康経営宣言として社内外に公表しております。

当社は、2019年以降継続して健康経営優良法人に認定されております。2022年度以降は、健康関連の研修・イベント、全拠点でのメンタルヘルス研修を継続して実施してきました。2023年度には全社産業保健・健康経営施策の推進役として新たに統括産業医を選任し、事務局として人事部労政室内に健康経営担当を設置いたしました。また、フィジカル・メンタルの両面からの健康経営重点項目の設定、健診結果に基づく医療機関受診への費用補助制度の導入、治療と仕事の両立に資する制度改定として半日年次有給休暇制度利用上限の撤廃、全社での健康診断結果のデータ分析、各職場へのストレスチェック結果のフィードバック及び重点職場の状況確認や改善サポート等を行なっております。2024年度より、健康経営の投資効果を測定する事を目的に、出社しているものの何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状態を示すプレゼンティーズムと、健康問題によって仕事を欠勤している状態を示すアブセンティーズムを測定して社内外に公表しつつ、更なる健康経営の推進に役立てております。

 

ハ.実力重視の人事制度とHRBPによる戦略人事

・実力重視の人事制度

2022年4月より、これまでのヒト基準の人事制度から職務・役割基準のジョブ型人事制度へと改定いたしました。これにより、当社グループが掲げる“パーパス”、“全社ビジョン”、“バリュー”、そしてそこに向けた経営戦略と、人材マネジメントの整合性が強化されるようになります。すなわち、人に仕事を付けるという従来の発想・仕組みから、経営戦略遂行上必要な仕事を設定し、それに対して人を就けるという考え方への転換により、これまで以上に効率的な戦略遂行を実現していくことを意味します。

2024年度からは、いわゆる総合職、一般職の区分を廃止いたしました。

今後は、年次・年功・学歴など関係なく、“実力”のある優秀な人材に対して活躍する機会を提供することで、組織の活性化と挑戦する風土の醸成につながるものと期待しております。

 

・キャリア開発支援

“実力重視の適所適材”の人材マネジメント・人事制度への転換にともない、人材のキャリア形成のあり方に、大きく2点の変化が生じます。一点は一人ひとりが自分らしいキャリアビジョンを描き、定めた目標に向けて実力を身に付けていく、すなわち自律的なキャリア形成を志向することが求められるということです。そしてもう一点は、会社は社員のキャリア選択権を認め、一人ひとりと対話しながらキャリアビジョンの実現をサポートしていくというあり方です。当社はこのようなキャリアに関する会社と社員の新しい関係性を実現するための”キャリア開発支援“の取り組みとして、キャリア面談の実施、自己申告書の拡充などに取り組んでおります。

自己申告からは、個人のキャリア希望の方向性や個別事情を読み取ることができ、その情報を個人別配置育成計画に落とし込むことで、適性や本人の意思、発揮能力を踏まえたキャリア形成、能力開発が可能となります。一律にジェネラリストの育成だけでない、スペシャリストを含めたキャリアビジョンの複線化も意識できるような仕組みとなっております。具体的には、経営系、事業創造系、研究開発系又は人事、経理、法務などの機能系のマネジメントなのか、あるいはスペシャリストとして活躍したいのか、というキャリアビジョンを本人も上司も考えるようにしております。今後は、その計画を元に対話をする仕組みを構築しながら、個人と組織のすり合わせを強化していきます。

 

・自律的な学びを後押しする人材育成

一人ひとりのキャリアビジョンを実現するための仕組みとして、教育体制を充実させております。従業員がスキルを向上し自らの強みを発揮できるよう、また、生涯キャリアの形成に向けた各従業員の継続的な努力をサポートすべく、自律的な学びを支援できるカリキュラムと学習環境の提供に努めております。

2022年度より「個」のキャリア自律を実現すべく教育体系制度の刷新並びに、それをサポートするDXツールとして、MLP(Mitsui₋kinzoku Learning Platform) を導入いたしました。ここでは選択型能力開発プログラムを更に強化し、各階層で必要な能力を開発する必須研修に加え、従業員が自由に受講できる学習コンテンツを大幅に拡充しカフェテリア型の研修体系といたしました。リーダーシップやアンガーマネジメントなど管理職のマネジメントスキルを高めるコンテンツ、DXやAIなどのテクノロジー、心理的安全性など働き方改革に関する学習、サステナビリティに関する学習など世の中のトレンドに対応したコンテンツも用意しております。加えて、全従業員のITリテラシーの更なる向上を目標とし、三井金属総デジタル人材化と銘打ったICT教育を実施しております。本取り組みの継続的な実施を通じて、DXによる新たなビジネスモデル創出が出来るような人材の輩出を目指しております。

新入社員に対するきめ細やかな教育も特徴です。選出されたOJT指導員への教育を行いつつ、指導員-新入社員のコミュニケーション方法など育成上の課題を集約してフィードバックするとともに、得られた知見をフォローアップ研修に反映させるなどタイムリーに内容をブラッシュアップしております。また、統合思考経営の実践に向け、環境・社会課題を起点としたビジネスを創出できる人材の育成にも力を入れており、外部環境の変化を考慮しSDGs、ESG、CSRに対応する研修の拡大・強化に取り組んでおります。

これらの個別の研修のつみかさねにより、事業を通じて環境・社会課題を解決していく人材、当社の掲げる「人材開発基本方針」にもとづいた人材育成が実現されております。

 

・HRBPによる戦略人事の実施

2022年4月に設置された人事ビジネスパートナー室は、経営戦略、事業戦略の実現を人事の面から推進することをミッションとしております。従業員は個人として尊重されつつ、組織としてはこれを活用していく必要があります。各本部にあるHRBPは人事部と連携しつつ、全社視点における事業ポートフォリオの動的管理に紐づく人材アロケーションを実行し、必要なところに必要な人材を投入するようにしております。また、重要ポジションのサクセッションプランを通した中長期的な必要人材の特定、両利き経営をけん引できる人材の育成、各部門でのタレントマネジメントなどについても、デジタル技術の活用も進めながら先見性をもって迅速な課題解決に努めております。

 

 

③指標及び目標

ダイバーシティの推進と働きがい改革をモニタリングするために、以下のような指標及び2027年度までの達成目標を設定しております。

 

イ.働きがい改革の加速

- いきいき度(エンゲージメント測定指標)全社平均 55%(2024年度実績:51%)

 

ロ.多様な人材の採用定着

- 正社員採用女性比率 24%(2024年度実績:25%)

- 男性育休取得率 85%(2024年度実績:52%)

- えるぼし維持、くるみん取得、なでしこ銘柄選定(2024年度実績:えるぼし維持、なでしこ銘柄選定)

 

ハ.多様な視点を活かした価値創出

- コミュニケーション指数の向上

- 女性管理職比率  6.8%(2024年度実績:5.1%)

注:係長級以上の比率

 

当社では2023年度から役員報酬にESGの指標達成の程度に応じて付与される「ESG指標要件型譲渡制限付株式報酬」を導入しており、人に対する取り組みが、経営レベルで後押しされる仕組みとなっております。