2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがあります。これらは投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えておりますが、記載した項目は当社グループが当該有価証券報告書提出日現在で認識しているものに限られており、全てのリスクが網羅されているわけではありません。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

当社グループは、事業活動上のリスクの把握・評価および対策を実施する体制として、監査等委員会の監督下に内部監査部門を設置してガバナンス強化に努めるとともに、内部統制推進会議や安全推進会議を定期的に開催して、コンプライアンスおよび安全体制を確立するなど、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの顕在化の未然防止を図っております。

 

(1)貴金属相場および為替相場について

当社グループの「貴金属事業」における主力製品である貴金属および希少金属は、国際市場で取引されており、その価格は、国際的又は地域的な需給、政治経済社会動向、為替相場、金融政策等、世界の様々な要因により変動しております。このため、当社グループは基本的に先渡取引等を通して貴金属価格をヘッジしていますが、ロジウムは流動性に乏しくヘッジ手段が限られているため、他の手段も活用しながら、リスクの軽減に取り組んでおります。また、主要な貴金属価格の変動状況等について適時経営陣に報告しております。貴金属相場および為替相場の変動の幅、先渡取引の環境等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)法規制について

当社グループが事業展開している国および地域におきましては、事業の許可、輸出入・輸送規制、商取引、労働、租税、知的財産権、環境保全等のさまざまな法規制の適用を受けております。当社グループは、コンプライアンス重視の姿勢の下、全事業領域に関連する法改正情報を一元管理して現場へ周知徹底する仕組を構築し、法規制および社会的ルールの遵守を徹底しておりますが、万一、これらの法規制および社会的ルールが遵守できなかった場合や、法規制および社会的ルールの変化によって事業が制約を受ける等の事態が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)経済変動について

当社グループの2つの事業セグメントである「貴金属事業」「環境保全事業」の取引業界のひとつである製造業に関しては、日本のみならずさまざまな国や地域の経済状況の影響を受けます。景気後退等に伴ってそれらの業界の需要が減少した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、貴金属リサイクル分野は、エレクトロニクス関連機器や自動車などの最終製品に含まれる貴金属をリサイクルしていることから、消費動向の影響を受けるため、一般消費水準の減退による個人消費の落ち込み等が当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)事業環境について

当社グループの2つの事業セグメントである「貴金属事業」「環境保全事業」は、事業分野毎の関連する法規制や許認可等の変更により顧客ニーズが大きく変化する可能性や、顧客企業の海外移転が想定以上に進展する可能性があります。また、業界再編など事業環境が大きく変化する可能性もあります。加えて新事業・新分野への挑戦を進めています。事業の実施の際には執行会議等で十分な検討を行い、必要に応じてリスク管理体制を講じていますが、事業環境が想定と異なった場合などにはリスクが顕在化する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5)競合との競争激化について

当社グループの2つの事業セグメントである「貴金属事業」「環境保全事業」は、事業分野毎にさまざまな企業と競合しております。グループ各社は、営業努力をはじめ、技術・製品面やコスト対応面等での取り組みにより、顧客ニーズに的確にお応えすることで、競争優位性を確保すべく努力を続けておりますが、競合他社との競争の激化により、各社の製品・サービスが厳しい価格競争にさらされる可能性があります。その結果によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)海外事業展開について

当社グループは、海外事業の拡大を成長戦略の一つとして、北米・アジア等の国および地域において事業展開しておりますが、事業に不利な政治または経済的事象の発生、労働環境の違いによる労働争議等の発生、現地での適切な人材確保の不確実性、紛争・テロその他の要因による社会的混乱の可能性、ビジネスインフラ未整備による当該国および地域当局からの不当な介入等のリスクが内在しております。また北米精錬事業においては精錬を土台とした付加価値サービスを拡大しており、その中にはトレーディングや融資等も含まれています。また、新たな事業として貴金属倉庫業を開始しています。事業の実施の際には十分なリスク分析を行うとともに、リスク管理部門の関与や取締役会等で議論を行うなど十分な管理体制を講じていますが、経済環境や取引先の信用状況が悪化した場合は、リスクが顕在化する可能性があります。

これらの事態が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7)企業買収について

当社グループは、これまで企業買収によって事業内容および事業規模の拡大を図ってきており、今後も当社グループのさらなる成長に資する案件に対して前向きに取り組んで行く予定です。対象事業および企業との統合効果を最大限に高めるために、当社グループの事業戦略やオペレーションとの統合・融合を図っておりますが、人材や資産の統合等が想定通り進まなかった場合には、期待した統合・融合効果をあげられず、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8)のれん・固定資産の減損について

当社グループは、企業買収の際に生じたのれんや、事業用の様々な有形固定資産および無形資産を計上しております。買収時は、財務、法務、人事、設備等の観点から十分な調査を実施しておりますが、買収した企業や事業が、市場環境の変化等によって当初予定した業績を上げられず、経営成績や収益性が著しく悪化した場合、これらの資産の減損が発生する可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)自然災害・感染症について

大規模な地震・台風等の自然災害や新たな感染症の発生等によって、当社グループの生産・物流・販売および情報管理関連施設等の拠点に甚大な被害が発生する可能性があります。当社グループでは、事業継続マネジメント(BCM)の策定、水害対策、防災訓練、社員安否確認システムの構築などの対策を講じておりますが、これらは自然災害や未知の感染症等による被害を完全に排除できるものではなく、発生した場合には当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う規制は撤廃されましたが、今後同様の事態が発生すれば、国内外経済や市場に悪影響を与える可能性があり、その結果、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(10)安全衛生について

当社グループは、労働災害や設備事故等の撲滅に向けて、経営陣も参加する「安全推進会議」を開催し必要な措置を講じるなど、安全管理体制の強化ならびに定期的な災害・事故防止活動を行っておりますが、これらの発生を完全に防止または軽減できる保証はありませんので、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(11)人材について

当社グループの中長期的な成長は、社員が信頼と絆のもと、仕事に誇りを持ちながら革新に向け活き活きと挑戦することで、組織全体の生産性が最大化することにより達成されると考えます。そのため、多様な社員がそれぞれ自分らしく仕事と生活全体との調和を得られるダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進や健康経営を基盤に据えています。具体的には、障碍者雇用推進、女性活躍推進、週休3日モデルといった働き方改革、中長期的に中核人材を獲得するための採用活動や種々の人材育成プログラムを実施しています。しかしながら、事業展開のスピードが増し、優秀な人材の確保や必要な戦力の整備が適切なタイミングで実施できない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12)研究開発について

当社グループは、「貴金属のリサイクル」および「産業廃棄物の無害化・再資源化」を効果的に行うため、独自の研究開発と分析技術開発を進めております。しかしながら、新技術の研究開発は、市場環境の変化、競合状況、開発成果の事業化の可否等、様々な影響を受けることから、研究開発に要した費用の回収等について不確実性が高いと考えられます。そのため、当初想定した研究開発成果が上がらない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(13)重要な知的財産権について

当社グループは、事業展開にとって重要な知的財産権を保護すべく、適切な管理を行っております。しかしながら、予期せぬ事態により外部に流出する可能性があり、また特定の地域においてはこれらの知的財産権を完全に保護することが不可能なため、第三者による当社グループの知的財産権を使用した類似製品・サービスの製造・販売等を効果的に防止できない可能性があります。さらに、当社グループが将来に向けて開発している製品・技術が、意図せず他社の知的所有権等を侵害してしまう場合や、社員との関係において、職務発明の扱い等について係争となる可能性もあります。それらの結果によっては、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(14)製品品質保証・製造物責任について

当社グループは、品質保証部門が中心となり、お客様により安心・満足していただける製品を提供するためにISO9001を取得し、品質マネジメントシステムの継続的改善・品質の維持向上に努めるなど、製品の品質保証体制に万全を期しておりますが、当社グループの生産した製品に起因する損害が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(15)環境保護について

当社グループは、「環境方針」に基づいて「全社環境目標(年間計画)」を策定し、各拠点に環境委員会を設置して、環境法規制の遵守、計画の見直し、環境教育等を審議し経営層に報告するなど、地球環境保護に向けたさまざまな取り組みを継続しております。しかしながら、環境汚染等の環境に関するリスクを完全に防止または軽減できる保証はないため、当社グループに起因する重大な環境汚染等が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(16)気候変動について

国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。当社グループにおいても、気候変動への取り組みを事業マテリアリティの一つとして、2030年までにCO2排出量を2015年比63%削減する目標を掲げ、削減に努めています。また2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言するとともに、CO2排出量(Scope1、2及び3)を計測し第三者による検証結果も受領しています。加えて、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同し、提言に沿った対応を実施しています。その結果、将来的な気候変動が与える影響の、移行リスクとして炭素税を含むカーボンプライシング制度が導入された場合や、物理リスクとして異常気象により自然災害が激甚化し、当社グループの設備等に甚大な影響を及ぼし、事業活動が長期間にわたって停止した場合は、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(17)情報セキュリティについて

当社グループが利用しているパソコンやタブレット端末等には、最新のセキュリティ対策が施されており、これらの導入や運用に際しては、システムトラブルや情報の盗難・紛失が発生しないよう、十分な対策を講じるとともに、情報リテラシーを高めるための社員教育を定期的に実施しております。しかしながら、コンピュータウイルスへの感染やハッキングの被害、ソフトウエアの不備等によるシステム障害の発生、また外部からの想定を超える攻撃などによって、重要データの破壊、改ざん、情報の外部漏洩等の不測の事態が発生する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(18)訴訟・その他の法的手続きについて

当社グループが国内および海外で事業展開する上で、訴訟その他の法的手続きの対象になる可能性があり、当社グループにおいてすでに発生している、または発生のおそれのある重大な訴訟案件等については、適宜モニタリングを実施するとともに、必要に応じて対策を講じております。しかしながら、当社グループがその当事者となった場合には、多額の損害賠償金等が発生する可能性があり、その結果、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、安定した収益力と持続的成長の維持により企業価値の向上を図り、利益還元を通じて株主の期待に応えることを経営の重要な使命として位置づけています。

 剰余金の配当につきましては、成長戦略のための設備投資やM&Aに必要な内部留保の充実を図りながら、配当性向40%を目処とした配当を継続することを指針としております。

 当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としており、配当の決定機関は取締役会です。

 当事業年度の期末配当につきましては、上記の方針の下、1株あたり90円(うち中間配当45円)を実施することを決定いたしました。

 当社は、株主総会の決議によらず、取締役会決議により剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。

 なお、第15期の剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月26日

3,505

45

取締役会決議

2024年5月20日

3,505

45

取締役会決議