リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)公共事業への依存について
当社は、鋼構造物の設計から製作、現場施工を主事業としており、2025年3月期末の受注残高においては鋼橋が7割以上を占め、その大部分は公共工事であります。国及び地方公共団体の厳しい財政状態を反映し、公共事業は発注量の減少が続き、今後の市場動向は不透明であります。そのため、実際の発注量と金額が想定を大きく下回る場合、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、橋梁事業の中でも今後の成長が期待される保全事業及び民需関連事業である鉄構事業において競争優位性のある生研トラス事業に優先的に経営資源を投下し拡大を図っております。
(2)法的規制について
事業を営むにあたり建設業法等の法的規制を受けております。法令遵守の意識は社内で徹底しておりますが、万一法令違反があった場合には行政処分等により、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、社内通報制度の導入により、社内での業務運営上の問題点の吸い上げ等を通じて、リスクマネジメントに努めております。また、コンプライアンス室からコンプライアンスに係る情報を定期的に全社に発信し、社員の法令遵守の意識を高めております。
(3)自然災害・事故等による影響について
当社は、生産設備を和歌山工場に集中し、業務の効率化を図っております。そのため自然災害等で和歌山工場の機能がストップした場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の製品は非常に大きく重いことから、工場製作・輸送・現場施工の各工程に危険な作業を含んでおり、万一事故を起こした場合は、事故による損害だけでなく、顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、現在拠点ごとの対応となっている緊急時対策や備蓄品確保を、従業員等の安全確保を最優先として全社レベルでの「災害対策BCPマニュアル」へ統合すべく作業を進めております。また、現在各本部にある安全管理をつかさどる部署を全社統括する組織へと再編し、全社レベルでの安全管理体制の構築に向けて準備を進めております。
(4)品質管理について
当社にて製作・施工される製品について、万一重大な瑕疵担保責任が発生した場合には、補修費用の発生だけでなく顧客からの信頼も失墜し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを運用することで、全社レベルでの品質向上に取り組んでおります。
(5)主要原材料の価格変動等について
当社の主力事業である鋼構造物事業は、鋼材が主要原材料であります。鋼材価格はここ数年値動きが大きく、今後鋼材価格が上昇を続け、上昇分が受注価格に転嫁されない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、鋼材の需給関係が逼迫し、数量の確保が困難になる可能性は否定できず、鋼材の納入が遅延した場合や、必要数量を確保できない場合は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、株式の政策保有を含め製鉄会社等との取引の維持強化に努めております。
(6)金利変動による影響について
当社の借入金残高は2025年3月期末において64億円でありますが、資金繰りに合わせ毎月短期借入金残高で調整を行っております。国内金利上昇や主要原材料の値上げ等の急激なインフレが当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
2025年3月期は固定長期資金を30億円調達し、今後の金利上昇に備えるとともに資金繰りの安定化を図っております。
(7)固定資産の減損に関わるリスク
当社は、橋梁事業及び鉄構事業に係る固定資産を主に和歌山工場において保有しております。受注状況により今後も各事業における経営環境の著しい悪化等により減損損失を計上する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対応すべく、中長期的な市場動向を見越した生産体制を再構築し、「中期経営計画2024」の着実な実施による事業の持続的な成長・安定化・高収益化を目指してまいります。
(8)時価変動による影響について
当社が保有する資産の時価の変動によっては、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、保有する資産の時価を管理部門が定期的に確認し、必要に応じて売却等の処理を行っております。特に政策保有株式については、その保有の適否を管理部門が精査し、取締役会にて報告し見直しを行っております。見直しの結果、保有意義の薄れた銘柄につきましては、順次売却を進めることとし、保有額を縮減することでリスク低減に努めております。
(9)繰延税金資産の回収可能性の評価について
当社は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合や税率の変更等を含む税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得についてのみ繰延税金資産を計上することとしております。
(10)人財確保について
当社の事業継続には専門性を有する技術者・技能者の確保が不可欠ですが、少子高齢化が進むなかで必要な人財の確保が出来なかった場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、新卒者・中途採用者を問わず採用活動を強化するとともに、重要拠点である東京本社の規模拡大と機能向上を図り関東圏での採用活動の強化に努めております。さらに、元社員の採用や定年を迎えた社員の継続雇用を図ることで多様な人財確保に努めております。
また、採用活動の強化と並行して、人的資本の強化を目的とした人事体系・人財育成体系の見直しを進め、多様な働き方・働きやすい職場環境の提供に努めております。
(11)情報システムに関するリスクについて
当社は、業務の効率化や情報共有の手段として全社的な情報システムを構築し運営しております。情報システムの安全性確保には細心の注意を払っておりますが、外部からの不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等による機密情報・個人情報の漏洩や、事故等による情報システムの不稼働は当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、情報システム担当部門の人財強化を図り、常に最新のセキュリティ対策を整備するだけでなく、定期的に担当部署から全社員に対して情報セキュリティ教育を実施し、社員の情報セキュリティに対する意識を高めております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、株主の皆様に安定的な配当を継続的にお届けすることを基本方針とし、業績の推移及び事業展開を勘案して機動的に実施しております。内部留保金につきましては、将来を見据えた製造設備や研究開発、新たな事業展開に向けての活用を検討しております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の期末配当につきましては、「中期経営計画2024」Ⅵ 資本コストと株価を意識した経営について ③株主還元方針 に記載の基本方針を踏まえて、普通配当25円を、2025年6月26日開催予定の定時株主総会で決議して実施する予定であります。
なお、当社は2024年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っており、中間配当額75円は株式分割前の配当額、期末配当額25円は株式分割後の配当額であります。
当社は、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年11月8日 |
152,692 |
75.0 |
取締役会決議 |
||
2025年6月26日 |
144,123 |
25.0 |
定時株主総会決議(予定) |