2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、本項において将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業に関するリスク

① 特定の取引先への依存について

 当社のインターネットセキュリティ事業においては、TikTok Pte Ltd.に対するインターネットセキュリティ事業の販売実績が、第26期は14.8%を占め、他のクライアントよりも高くなっております。従いまして、TikTok Pte Ltd.の事業方針の変更または事業動向によっては、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 インターネットセキュリティ市場には当社グループと競合にある会社が数社ありますが、今後の成長が期待される市場であるため、国内外の多数の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。当社グループに比べ、資本力、マーケティング力、幅広い顧客基盤、より高い知名度を有する会社が新規参入する等他社との競合状況が激化した場合には、価格の下落、又は、競争価格以外の要因でも受注を失う恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新技術の出現について

 IT関連技術は技術革新の進歩が速く、それに応じて業界標準及び利用者ニーズが変化し、新技術が相次いで登場しております。これらの新技術等への対応が遅れた場合、当社グループの提供するサービスが陳腐化・不適応化し、業界内での競争力低下を招く恐れがあります。その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 設備及びネットワークの安全性について

 インターネットは重要な社会基盤として社会全般に浸透しており、そのネットワークは継続的に拡大を続けております。そのため、当社グループの設備及びネットワークは24時間稼動、年中無休での運用が求められております。インターネットセキュリティ事業はインターネットを通じて提供しているため、システムに支障が生じることは、サービス全般の停止を意味しており、設備面で電源の二重化やファイアーウォールの設置、ネットワークの監視など、障害の発生を未然に防止するべく最大限の取り組みを行っております。

 しかしながら、地震、火災などの災害のほか、コンピュータウイルスやハッカーなどの行為、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社グループの設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、サービス停止に伴う信用の低下を引き起こし、顧客の解約はもちろん今後の新規顧客の獲得に支障が生じることが考えられ、当社グループの業績に重要な影響が生じる可能性があります。

 

⑤ インターネット利用者及びソーシャルメディアの衰退について

 当社グループの主力事業であるインターネットセキュリティ事業の多くは、ブログやSNSなどソーシャルメディアと呼ばれるインターネットメディアに対するサービスであります。現在は消費者の多くがインターネットを通じてソーシャルメディアの積極的利用を行っており、それに比例して当社グループのインターネットセキュリティ事業に対するニーズも高まっております。

 しかしながら、将来においてインターネットに代わる新たなサービスが提供され消費者がインターネットを利用する機会が減少した場合や、ソーシャルメディアそのものの利用者数が減少した場合には、ソーシャルメディアに対するコメント等の投稿数が減少することが予想されるため、当社グループの業績に重要な影響が生じる可能性があります。

 

⑥ 個人情報の流出について

 当社グループが顧客向けに提供するサービスにおいて、個人情報や画像データ、コメント等をサーバ上へ保管する場合があり、採用している様々なネットワークセキュリティにも拘らず、不正アクセスによる個人情報の流出等の可能性が存在しております。

 このような個人情報の流出等が発生した場合、当社グループに対する損害賠償の請求、訴訟、行政官庁等による制裁、刑事罰その他の責任追及がなされる可能性があります。また、これらの責任追及が社会的な問題に発展し、当社グループが社会的信用を失う可能性があります。

⑦ M&Aによる事業拡大について

 当社グループは、既存事業の強化、事業規模の拡大及び多様な収益源の確保を目的として、M&Aを有効活用していく方針であります。M&Aにおいては、対象となる企業の財務内容、契約関係及び事業の状況等について事前にデューデリジェンスを実施し、可能な限りリスクの低減に努めております。

 しかしながら、M&A後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 子会社管理体制について

 当社は子会社の事業運営に関して管理責任を有しており、当社グループ全体のリスク管理体制やコンプライアンス体制の継続的な強化を図る必要があります。今後、何らかの理由によりこれらの管理体制が十分に機能しなくなった場合には、当社グループの業績、風評に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制について

① 労働者派遣法について

 当社グループの売上の一部に人材派遣による売上があります。当社グループは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という。)に基づく厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業」の許可を取得しており、労働者派遣法に基づく規制を受けております。

 当社グループは法令を遵守し、事業を運営しておりますが、万一法令違反に該当するような事態が生じた場合、又は関連法令や解釈が変更になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② その他

 インターネット関連法令については、当社グループ自体が遵守しなければならない法令はごく限られておりますが、当社グループが受注するクライアントが遵守しなければならない法令は多数存在しております。当社グループが監視するサイトにおいて重大な掲載可否判断誤り等のミスを犯した場合、クライアントに対する信用が下がり、クライアントから契約解消や取引停止を言い渡され、間接的に財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営体制に関するリスク

① 有能な人材の確保や育成について

 当社グループは、急激な事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、内部での人材育成と抜擢及び外部からの人材登用に努めております。しかしながら、当社グループの属する市場が今後拡大し、競争が激化すれば、競合他社との人材獲得競争も激化し、当社グループの人材が外部に流出することや、人材確保に支障をきたす可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの競争力に影響を与える可能性があります。

 

② オペレーター確保について

 当社グループの業務は実務部分を大量に雇用した臨時従業員であるオペレーターに拠っております。オペレーターの確保及び育成には万全を期しておりますが、何らかの理由でオペレーターの雇用に支障をきたした場合には、当社グループの円滑な業務の遂行及び積極的な受注活動が阻害される恐れがあります。

 

③ 内部管理体制について

 当社グループは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令・ルールの遵守を当社グループの行動基準として定めるとともに、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生する可能性は皆無でないため、これらの事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、企業価値を継続的に拡大し、株主への利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しております。利益配分は、長期的な企業価値拡大のため事業投資に優先配分するとともに、株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、持続的増配にも努めていく方針であります。当事業年度の期末配当金につきましては、設備投資計画及び財務体質等を勘案した結果、1株当たり26円の普通配当を実施することを決定いたしました。

 また、次期の配当につきましては、普通配当として1株当たり27円を予定しております。

 内部留保金の使途につきましては、経営基盤の強化及び事業拡大のため投入していくこととしております。

 当社は、毎事業年度における配当の回数についての基本方針を特段定めておりませんが、剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会の決議によって行うことができる旨、定款で定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年12月20日

264,802

26

定時株主総会決議