リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制について
当社グループは、企業としての社会的責任を遂行するため、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令に則った社内諸規程及び業務マニュアルを整備するとともに、担当部署で関係法令の改正情報の早期入手及び対策を講じ、当社代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会を毎月1回開催するなどコンプライアンスの状況を監視する体制を整え、コンプライアンスの徹底を図っております。今後とも、コンプライアンス体制の実効性を確保するための適切な運営を継続してまいりますが、社員並びに外部委託先等による重大な過失、不正、違法行為等が生じ、当社グループが行政指導・改善命令を受けた場合、又は、訴訟や損害賠償等に至った場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループに関連する主要な法的規制である労働基準法、職業安定法、労働者派遣法及び関連諸法令については、労働市場を取り巻く状況の変化や政策等に応じて改正が適宜行われておりますが、改正内容によっては、当社グループの事業活動及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
① 人材派遣
人材派遣は、労働者派遣法に基づき厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業許可」を受けて行っており、許可の有効期間は5年であります。
労働者派遣事業の適正な運営を確保するために「許可の取消し等」を定めている労働者派遣法第14条において、派遣元事業主(派遣事業を行う者、法人である場合にはその役員を含む。)が同条第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。
現時点において、当社グループが上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 請負
昭和61年労働省告示第37号により、請負と派遣の区分基準が示されており、請負を行うにはこの基準に準拠する必要があります。
当社グループは、労働省告示第37号の遵守を徹底しておりますが、当社グループが請負で受託した取引が、万一、各都道府県労働局により、実質的には人材派遣であると認定された場合には、「偽装請負」と見做され、それにより、業務停止等の処分を受けた場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材紹介
人材紹介は、職業安定法に基づく厚生労働大臣の「有料職業紹介事業許可」を受けて行っており、許可の有効期間は5年であります。
職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割に鑑み、その適正な運営を確保するために「許可の取消し等」を定めている職業安定法第32条の9において、有料職業紹介事業者が同条の9第1項のいずれかに該当するときは、許可の取消しができる旨を定めております。
現時点において、当社グループが上記の取消し事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 紹介予定派遣
紹介予定派遣は、上記①人材派遣及び③人材紹介の事業展開と重なるため、「一般労働者派遣事業許可」及び「有料職業紹介事業許可」を受けて行っております。
従って、紹介予定派遣を事業展開するに当たってのリスクは上記①及び③それぞれの記載内容を合わせたものであり、現時点においては、当社グループが両事業許可取消事由に抵触することはありませんが、今後何らかの理由で許可が取り消された場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定の事業部門への依存について
2024年3月期において、当社グループ全売上高に対する事務系人材サービス事業 BPO関連事業部門の売上高構成比は61.7%に達しており、また、この中でも官公庁特に地方自治体との請負取引の比率が高い状況にあります。今後のBPO関連事業部門を取り巻く環境等が変化して、官公庁特に地方自治体との請負取引の売上高が急激に減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、官公庁特に地方自治体との請負取引について、過度に依存することがないようにBPO関連事業部門では民間企業との請負取引やCRM関連事業部門、一般事務事業部門の特に派遣業務への取り組みを強化するとともに成長が期待できる製造系人材サービス事業の基盤拡大と盤石化を図ってまいります。
(3) 登録スタッフ及び就業スタッフの確保について
登録スタッフ募集については、インターネットや新聞、雑誌の広告等により常時実施しております。
事業展開するうえで、登録スタッフ及び就業スタッフの確保が重要な課題の一つであることから、未就業の登録スタッフに対して、定期的に連絡を取ることでコミュニケーションの緊密化を図り、登録スタッフ本人の希望に合った就業機会を提供する施策を実施しております。
また、就業スタッフに対しては、教育・研修等の支援、社員への登用制度を設けるなど、就業スタッフのスキル向上の施策を実施しております。しかしながら、雇用情勢や労働需要の変化により、人材の確保が当社グループの意図したとおりに進まなかった場合や顧客の要望に対して十分な人材の確保ができなかった場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) イノベーション・テクノロジーへの対応について
当社グループ事業である人材サービス事業では、派遣、請負、人材紹介、紹介予定派遣全ての事業においてIT技術を始めとするイノベーション・テクノロジーの活用は必要不可欠であります。当社グループでは、専門性を持つ人材の確保及び外部知見の導入や利用によりイノベーション・テクノロジーへの対応について体制を構築しておりますが、官公庁特に地方自治体とのBPO関連事業の比率が高い状況にあることから、主力事業であるBPO関連事業部門においてイノベーション・テクノロジーの導入が遅延する若しくは導入すべきイノベーション・テクノロジーの選択を誤る等適切に対応できない場合には、競争力の低下を招き、売上高が減少し財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人口構造の変化について
我が国では、少子高齢化が急激に進んでいることから、今後、労働人口の減少がさらに進む可能性が高いと考えられます。労働人口減少が進む状況下、当社グループでは、従来から女性、高年齢層、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方に向けて多様な勤務形態を整備するなどして就業機会の提供を積極的に取り組んでおり、高年齢層、ハンディキャップをお持ちの方、外国籍の方を中心とした業務運営、さらに少人数による業務運営を想定したオペレーションの開発についてDX化を軸に取り組んでおりますが、当社グループが人口構造の変化に対して、適切に対応できない場合には、労働人口、労働市場の縮小に伴い、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 合併、買収などの企業買収(M&A)について
当社グループは、今後とも、事業を拡大させる手段として、関連事業を営む企業の買収等を行う可能性があります。買収等を行う場合には、対象となる企業の財務内容や事業推進状況等について問題がないか、細心の注意を払いデューデリジェンスを厳密に実施することにより、事前のリスク回避に努めてまいります。
しかしながら、国内外の経済環境の変化等から、当社グループが買収を行った企業の経営、事業、資産に対して十分なコントロールができない場合や買収した企業の人材や顧客が流出した場合には、当社グループが期待した買収効果を得られない可能性があります。すなわち、当初の期待どおりに事業を展開できない場合には、当社グループは投資額を十分に回収できない恐れがあり、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 競争の激化について
当社グループが属する人材サービス業界は、多くの競合会社が存在しております。当社グループは、BPO関連事業を始め様々な受注案件で培ってきた豊富なノウハウを基に、顧客に対して業務効率化や合理化を企画提案し、実施運用する人材サービスの提供を推進するなど、競合先との差別化を図っておりますが、競争がさらに激化した場合やDX化やAIの発展により省人化が進み、異業種からの参入が活発となり、当社グループがこのような変化に適時適切に対応できない場合には、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 自然災害・疫病並びにシステム障害について
① 自然災害等について
当社グループでは、営業活動を行っている地域において、大規模な地震、台風などの自然災害が発生した場合に備え、BCP(事業継続計画)マニュアルを整備し、安否確認システムを導入するなどBCP対策を講じ、派遣スタッフを含めた緊急連絡網を活用した安否確認訓練・防災訓練を定期的に実施しておりますが、想定した以上の大地震等の災害、疾病等が発生し、情報システムにかかるサーバー等が停止した場合には、当社グループの業務遂行に支障を来たし、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② システム障害について
当社グループは、事業活動をコンピューターシステムに大きく依存しており、情報システム内に社員及び登録スタッフ・就業スタッフの個人情報並びに顧客企業等に関する基本情報等を大量に保管しております。これらは顧客企業等のニ―ズに対し最適な登録スタッフを選択し、マッチングさせることを可能としております。また、当社グループは、社員及び就業スタッフの勤怠情報や労働債務、給与の支払、顧客企業等に対する売上高の請求、与信管理等も当該システムによって処理していることから、大規模なシステム障害が発生した場合には、業務処理及び事業活動に支障が生じることが予想されます。
そのため、当社グループでは、情報システム管理規程を定め、基幹システムの情報保管・管理は専門企業が運営するデータセンターに委託し、より安全な情報管理に努めております。また、システム開発並びにシステム改修時には慎重かつ綿密なテストを実施するなど、可能な限りの多面的な安全対策を取っております。
③ 情報システムのセキュリティについて
当社グループは、業務上、多くの個人情報並びに機密情報を取り扱っております。そのため、情報セキュリティに関しては、その重要性及びリスクを十分に認識し、情報セキュリティ規程を整備するとともに、2010年4月にISO/IEC27001(注)の認証を取得して、社員の教育やセキュリティ管理を組織的かつ継続的に行っております。しかしながら、不測の事態により情報セキュリティ事故が発生した場合には、当社グループの信用が失墜し、企業イメージの低下を招くなど、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)ISO/IEC27001とは、情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)の規格のことであり、情報セキュリティマネジメントシステムとは、組織が情報管理の有効性を維持するための体制のことで、情報の保管方法やマルウェア対策、メール使用のガイドライン、障害発生時の行動計画などの要素から構成されております。
(9) 個人情報の取り扱いについて
当社グループは、登録スタッフ、就業スタッフ、職業紹介希望者及び社員並びに顧客情報等に関する多くの個人情報を取り扱っており、2005年4月に施行された個人情報保護法が定める個人情報取扱事業者に該当し、個人情報保護法の適用を受けております。また、マイナンバー法(番号法)施行に伴い個人情報保護法が改正されており、より厳格な管理・運用が求められております。
当社グループは、プライバシーマーク認証を取得し、個人情報保護マニュアル、個人情報保護要領書、PMS関連法規制管理規程等を整備しており、また、マイナンバー法に基づく特定個人情報等取扱規程を整備して、その遵守徹底や定期的に開催する社員教育等を通して個人情報の厳正な管理を行っております。しかしながら、このような取り組みにもかかわらず、マイナンバーを含む個人情報の漏洩や不正使用等の事態が発生した場合には、社会的信用の失墜や企業イメージの悪化、また、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)機密情報の取り扱いについて
当社グループは、顧客の機密性の高い情報を取り扱っているため、2010年1月に情報セキュリティ体制を構築するための基本方針としてISMS基本方針を定め、情報セキュリティマネジメントシステムを導入し、その維持に努めております。しかしながら、万一、取引先企業等の重要な機密情報の漏洩が当社の責任で発生した場合には、社会的信用の失墜、企業イメージの低下、また、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人材の確保について
当社グループは、より高い付加価値を実現できる人材を提供する人材サービス企業になるために、年間を通して優秀な人材の採用及び人材の育成に努めておりますが、今後、必要とする優秀な人材を適時に採用できなかった場合や当社グループ内の有能な中核的人材が流出した場合には、今後の事業拡大に支障を来たすことが考えられ、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と位置づけており、成長を持続させるための事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績並びに経営全般を総合的に判断し、適正で安定した配当を継続実施していくことを基本方針としております。
なお、当社は、中間配当を取締役会の決議により行うことができる旨を定款に定めておりますが、一事業年度の配当回数は、期末配当の年1回を基本としており、実施に当たっては、上記基本方針に基づき、株主総会で決定するとしております。
当期の期末配当金につきましては、普通株式1株につき120円の配当としております。
また、次期の配当につきましては、普通株式1株につき120円の配当を予定しております。
なお、内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開に資する設備投資並びに経営基盤の一層の強化に有効活用していく所存であります。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。