リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業に関するリスク
① SNSに関するリスク
当社グループでは、デジタル・ソーシャルに強いマーケティング支援を行っており、とりわけFacebook、Instagram、X(旧Twitter)などのSNSを活用したマーケティング支援を行っております。これらのSNSは、自社で運用しているものではないことから、1)新たなSNSの登場により既存のSNSの影響力が低下するリスク、2)SNS運営事業者の広告に関する方針変更により、当社グループが提供するサービスが突如として規制対象となるリスク、3)連携するSNSサービスの不具合により当社サービスが利用できなくなるリスク、4)顧客企業の広告予算の月ごとの変動により業績が変動しやすいリスクがあると認識しております。
当社グループは、これらのリスクに対応するため、SNS運営事業者との連携を強化するとともに、特定のSNSに依存し過ぎないサービスの設計等を進めておりますが、これらのリスクが急激に発生・拡大した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 人材の確保及び育成に関するリスク
当社グループでは、SaaSツールの提供とデジタルマーケティング人材によるソリューションの提供を2つの柱として事業を展開しておりますが、事業の展開及び拡大にあたってはSaaSツールの開発人材、営業人材、SNSを利用したマーケティング施策の立案・実行が可能な人材が必要不可欠となります。
当社グループは今後の事業拡大に応じて必要な人材の確保と育成に努めていく方針でありますが、必要な人材の確保が計画通り進まなかった場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ システム障害のリスク
当社グループが提供するソフトウエアの不具合、連携するSNSサービスの不具合、サイトへのアクセスの急増等の一時的な過負荷や電力供給の停止、コンピューターウィルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な様々な要因によってコンピューター又は当社サービスのシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。
また、サーバーの作動不能や欠陥に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、損害賠償請求が発生する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2)経営環境に関するリスク
① インターネット広告市場に関するリスク
当社グループが対象とするインターネット広告市場は、2021年にマスコミ四媒体広告費を上回った以降も成長を続けており、今後も当該市場は拡大していくものと推測されます。
しかしながら、企業の広告宣伝活動は景気動向や業績、事業方針の影響を受け易いものであり、また、インターネット広告は今後も他の広告媒体との競合が継続していくと考えられることから、今後においてこれらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、2023年10月に施行された『景品表示法』の改正により、ステルスマーケティング(※)を含む偽装広告や不正な情報操作が法律によって明確に禁止されました。当社グループでは、ガイドラインを作成し、適宜サイト内の確認を行う他、適法確認機能の開発等の対応を図っておりますが、広告主の不安が高まった場合等には、ソーシャルメディアを利用した広告市場の拡大に悪影響を与え、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(※)ステルスマーケティングとは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること。
② グローバル化によるリスク
当社グループが事業展開しているインターネット業界は、日本、米国、欧州及び中国の社会・経済動向に大きく左右されます。さらに、それらの国または地域における、経済環境の変化やデジタル変革の進度から、国家間の紛争や政治的な問題まで、様々なリスク要因が常に存在しています。
当社グループでは、日本、シンガポール、東南アジア地域、米国、欧州を中心に事業を展開していることから、これらのリスク動向を注視し適時に対策を講じておりますが、常に十分かつ適時の対策を講じられる保証はなく、またこのような経営環境の変化が予想を超えた場合等において、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
③ ゲーム業界に関するリスク
連結子会社であるCreadits Pte.Ltd.は、ゲーム業界をメインターゲットに広告クリエイティブの制作・提供を行っております。ゲーム業界は非常に変化の激しい産業であり、急激で大規模なレイオフが実際に何度も発生しております。ゲーム業界の景況感が急速に悪化する局面においては、Creadits Pte.Ltd.の業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(3)財務リスク
① 資金繰りに関するリスク
当社グループは、営業活動から生じるキャッシュ・フローに加え、主として銀行からの借入金により手元資金を確保しております。取引銀行との間では良好な関係を築いておりますが、当社グループの財政状態・経営成績が悪化した場合には機動的な資金調達が困難となり、事業活動に支障が生じるリスクがあります。
かかるリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 海外の連結子会社に対する貸付金に関するリスク
当社は、海外の連結子会社Creadits Pte. Ltd.に対し、外貨建の貸付を行っております。
当該子会社の業績は、将来の事業計画が想定どおりに進捗しなかった場合には、貸付金の全額が回収できないリスクがあります。また、当該貸付金に対し、急激な為替変動があった場合には、多額の為替差損が生じるリスクがあります。
これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新株予約権行使による株式価値の希薄化に関するリスク
当社では、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。
今後においても同様の目的で新株予約権を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
(4)その他のリスク
① 個人情報管理に関するリスク
当社グループはサービス提供にあたり、顧客、サービス利用会員等の個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、セキュリティ環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行うと同時に、個人情報として管理すべき情報の範囲についても厳密な判断が必要であると考えております。
しかし、今後何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② サイトの健全性に関するリスク
当社グループが提供するサービスを展開するSNS上では不特定多数の利用者同士が独自にコミュニケーションを図っており、こうしたコミュニケーションにおいては、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害が生じる危険性が存在しております。
このため、当社グループサービスの利用者には利用規約に禁止事項を明記するとともに、利用規約に基づいた利用がされていることを確認するためにユーザーサポート体制を整備し、利用規約に違反した利用者に対してはユーザーサポートから改善要請等を行っているため、一定の健全性は維持されているものと認識しております。
なお、利用規約に明記されている禁止事項の内容は以下となっております。
(ア)当社、他の利用者もしくは第三者の著作権、商標権等の知的財産権を侵害する行為、又は侵害するおそれのある行為
(イ)他の会員もしくは第三者の財産、プライバシーもしくは肖像権を侵害する行為、又は侵害するおそれのある行為
(ウ)特定個人の氏名・住所・電話番号・メールアドレス等第三者が見て個人を特定できる情報の提供
(エ)一人の利用者が複数のメールアドレスを利用して重複してIDを取得する行為
(オ)IDの使用を停止ないし無効にされた利用者に代わりIDを取得する行為
しかしながら、急速な利用者数の増加による規模拡大に対しては、サイト内における不適切行為の有無等を完全に把握することは困難であり、サイト内においてトラブルが発生した場合には、規約の内容に関わらず、当社グループが法的責任を問われる可能性があり、この場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 法的規制に関するリスク
当社グループ事業を規制する主な法規制として、(ア)「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、(イ)「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」という。)及び(ウ)「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下「不正アクセス禁止法」という。)があります。
特定電子メールの送信の適正化等に関する法律については、無差別かつ大量に短時間の内に送信される広告等といった迷惑メールを規制し、インターネット等を良好な環境に保つものです。また、当社グループは、プロバイダ責任制限法における「特定電気通信役務提供者」に該当し、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合に、権利を侵害された者に対して、権利を侵害した情報を発信した者に関する情報の開示義務を課されております。また、権利を侵害した情報を当社グループが媒介したことを理由として、民法の不法行為に基づく損害賠償請求を受ける可能性もあり、これらの点に関し訴訟等の紛争が発生する可能性もあります。さらに、当社グループには、不正アクセス禁止法における「アクセス管理者」として、努力義務ながら不正アクセス行為からの一定の防御措置を講ずる義務が課されております。
上記に加え、公正取引委員会より2001年4月26日に公表されている「インターネット上で行われる懸賞企画の取扱いについて」、消費者庁より2011年10月28日に公表された「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」、及び2023年10月1日に施行された「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示の運用基準」についても、業界に対して影響を及ぼす可能性があります。
その他、インターネット上の情報流通や電子商取引のあり方等については現在も様々な議論がなされており、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきている状況にあり、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象として、新たな法令等の制定や、既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 自然災害・テロ・感染症等のリスク
当社グループは、国内外に複数の事業拠点を有しております。各拠点では、不慮の災害や感染症発生等に対する防災・防疫対策等を施しておりますが、想定を超えた大規模な地震、台風や洪水等の自然災害やそれに起因する大規模停電、未知の感染症の流行、テロ等の犯罪行為等によって大きな被害を受ける可能性があります。
それらの影響を受け、情報通信インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害もしくは顧客自身に大きな被害が生じた場合など、受注や供給が長期間にわたって滞り、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社の利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保に意を用いつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。配当の決定機関は、期末配当については定時株主総会、中間配当については取締役会であります。
しかしながら当社は、成長過程にあり、今後の事業発展及び経営基盤強化といった、内部留保の充実を図るため設立以来配当を行っておらず、当事業年度の剰余金の配当についても無配としております。
今後の配当実施につきましては、業績及び財務状況等を鑑み、決定する予定であります。
内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めておりますが、剰余金の配当は期末配当の年1回を基本方針としております。