リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
① 事業内容について
イ.インターネットについて
当社グループは、ヘルスケア領域においてインターネットを利用した事業を展開しており、同領域におけるインターネットの活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等が成長のために不可欠な条件と考えております。しかしながら、同領域におけるインターネット普及の障壁、利用に関する新たな規制やインターネットビジネス関連事業者を対象とする法的規制等の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、各法令順守体制の整備・強化とともに、社員教育の徹底により、新たな法的規制の導入等が生じた場合に速やかに対応できるよう努めております。
ロ.特定事業への依存について
当社グループの主たる収益は、製薬企業のマーケティング予算を中心とした集合知プラットフォーム事業による収入であります。2023年9月期における売上高(14,540,835千円)に占める同事業の売上高の比率は81.2%(11,802,115千円)であり、その依存度は高い状況にあります。従って、製薬企業における広告費の支出動向や他の媒体との競合の激化及び「MedPeer」サイトの健全性が損なわれること等により、「MedPeer」のブランド力が低下し、当社グループのマーケティング支援の売上高が減少した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、同事業には、一部顧客と会員の間でのメッセージのやりとりを伴うものが含まれます。メッセージの内容に関する責任は基本的に発信者自身が負いますが、当社グループのサービスを使った顧客、会員等による発信情報が当事者若しくは第三者に損害を与えた場合、それに関連して当社グループの責任が問われる可能性があります。
また、当社グループ会社のMIフォース株式会社において、各製薬企業の生産性向上のアプローチとして製薬企業に代わり営業やマーケティング業務を受託・代行するアウトソーシング事業(CSO事業)に対する需要が拡大傾向にありますが、今後の業界動向によっては当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、医師・薬剤師向けコミュニティサービス及びCSO事業を中心とした「集合知プラットフォーム事業」、医療機関・医療現場の業務効率化をサポートする「医療機関支援プラットフォーム事業」、主に企業の人事部門や健康保険組合をクライアントに持つ「予防医療プラットフォーム事業」の3つを事業の柱とすべく、それぞれの事業に対して投資を推進しております。
ハ.当社グループの事業領域特有の各種規制について
「MedPeer」サイトに掲載している医療用医薬品に関する記載については、薬機法による規制を受けております。薬機法による規制については、厚生労働省が管轄官庁でありますが、当社グループは、医療用医薬品に関する「MedPeer」サイト上の記載が薬機法に準拠していることの確認を行っております。
また法的規制以外では、日本製薬工業協会が定める「製薬協コード・オブ・プラクティス」が存在します。製薬協コード・オブ・プラクティスとは、製薬企業が薬機法・独占禁止法等の関係法規と公正競争規約等の自主規制を順守し、医薬情報を適正な手段で提供・収集・伝達するために定めている製薬業界の自主ルールであり、当社グループでは当該コードの順守に努めております。
しかしながら、業界では各種規制の見直しが進んでおり、関連法令や業界団体による規制等の改廃、新設が行われた際に、当社グループが何らかの対応を余儀なくされた場合や、これらに対応できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、主にMIフォース株式会社において人材派遣事業を行っており、有料職業紹介事業許可及び労働者派遣事業許可を受けております。有料職業紹介事業許可につきましては、有料職業紹介事業者が許可の欠格事由に該当する等、職業安定法に定められた事由のいずれかに該当する場合には、事業停止又は許可が取り消しとなります。また、労働者派遣事業許可につきましても、派遣元事業主が許可の欠格事由に該当する等、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に定められた事由のいずれかに該当する場合には、事業停止又は許可が取り消しとなります。当社グループでは、こうした事業の停止又は許可の取り消し事由はこれまで発生しておらず、今後におきましても、法令違反等により事業の停止又は許可の取り消しとなることのないよう努めてまいりますが、万一、事業の停止又は許可が取り消しとなった場合、当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、各種法的規制に関して、法令順守体制の整備・強化、社員教育を行っており、新たな各種規制の導入等が生じた場合に速やかに対応できるよう努めております。
ニ.サイトの健全性の維持について
当社グループが運営するサービス内では、不特定多数の会員同士が独自にコミュニケーションを図っております。こうしたコミュニケーションにおいては、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等の侵害が生じる危険性が存在しており、サイト内において発生したトラブルが起因となり、当社グループが法的責任を問われる可能性があります。また、当社グループの法的責任が問われない場合においても、トラブルの発生自体がサイトのブランドイメージ悪化を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、サービスにおける禁止事項を利用規約に明記するとともに、利用規約に基づいた利用がなされていることを確認するために、社内で独自のガイドラインを整備した上で監視を行っております。また、利用規約等に違反した会員に対しては担当者から改善要請等を行うことにより、一定の健全性は維持されているものと認識しております。
ホ.当社グループが運営するサービスの利用者の投稿コンテンツの利用について
当社グループが運営しているサービスの中には、会員が投稿したコンテンツを、投稿者への利用確認、個人情報の排除等の処理を行った上で、顧客へ提供、顧客の販促物に掲載、雑誌や新聞に掲載する場合があります。しかしながら、当該コンテンツの利用における権利処理に関連した風評問題が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、掲載するコンテンツについて弁護士その他の専門家の意見をふまえて、必要な場合には投稿者への個別の意思確認を行う等、法的には十分と考えられる権利処理手続きを行っており、また、法改正等に備えて十分な法的対応を取る体制を整えております。
へ.サイト内に掲載される広告について
当社グループが運営するサイト及び当社グループが配信するメールマガジン等に掲載される広告において、法令や公序良俗に反するインターネット広告が掲載される等の瑕疵があった場合、状況によっては広告掲載申込者や会員等からのクレームや損害賠償請求がなされる可能性は完全には否定できず、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、サイトのシステム障害等を理由として広告掲載が行われなかった場合には、広告掲載申込者からのクレームや損害賠償請求がなされ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループは、当社グループ独自の広告掲載基準と当該基準を順守するための業務フローを定め、関連部門に対して周知徹底する等法令や公序良俗に反するインターネット広告の排除に努めております。
ト.競合について
資本力、マーケティング力、幅広い顧客基盤、高い知名度を有する先行同業他社による模倣や、資本力、マーケティング力、専門性を有する企業等の参入によって、当社グループの競争優位性が低下または競争が激化することにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
しかしながら、当社グループ運営サイト「MedPeer」は、会員である医師が臨床に有用な情報を効果的に得られるよう、医師目線を念頭に構成しており、医師間の情報共有に特化したサイトとして、様々な医師向けウェブサイトの中で特徴を有しているものと認識しております。
また、「MedPeer」会員数は約17万人となっており(本書提出日現在)、薬剤評価掲示板への投稿累計数も67万件(本書提出日現在)を超えていることから、「MedPeer」会員のサイトへの参画度合は相当に高いと認識しております。このような会員層と会員数を獲得することは容易ではないものと考えられることから、新規の参入障壁は比較的高いものと認識しています。
チ.当社グループサービスの陳腐化又は代替サービスの参入について
当社グループの主な事業である製薬企業の医療用医薬品販売を対象とするマーケティング支援は、「MedPeer」会員である医師が医療用医薬品の処方権を持ち、患者に対し処方行動を行うことを前提としております。そのため、医薬品の処方を医師ではなく薬剤師や患者が直接行うようになる、また、従来の医療システムが抜本的に変わった場合、当社グループの提供するサービスが陳腐化する可能性があります。
その他、薬機法に定められた医薬品の広告に関する規制が撤廃・改変され、製薬企業による特定の医薬品の広告に関して、医療従事者であることの確認が不要とされた場合、一般向けの広告代理店等による代替サービスの参入の可能性があり、その場合当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
今後、市場規模の拡大にともない、当社グループサービスの代替となる他のマーケティングツール等が普及する可能性及び当社グループの顧客が業務を自ら手がけて顧客内でマーケティング活動が完結する可能性等があり、その場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、業界環境や法規制の変化、市場動向を常に把握し、医師会員や顧客のニーズに合わせた新規事業の開発やサービス改善に努めております。
② 事業運営について
イ.個人情報、顧客情報の保護について
当社グループは、「MedPeer」サイト上で登録された医師会員の個人情報や特定保健指導や医療相談等により要配慮個人情報等を取得しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。
個人情報の流出等の重大なトラブルが当社グループ、当社グループの業務提携先又は当社グループの顧客で発生した場合には、個人情報保護法への抵触、損害賠償の請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、顧客より事業に関する機密情報を受け取る場合がありますが、当社グループの主な顧客は互いに競合する製薬企業であり、顧客情報の取り扱いに細心の注意を払う必要があります。しかしながら、機密情報の流出等の重大なトラブルが当社で発生した場合、損害賠償の請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループは、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、保護管理体制の確立に努めております。個人情報取扱規程を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理するとともに、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、個人情報の保護に関する法律及び関連法令並びに当社グループに適用される関連ガイドラインの順守に努めるとともに、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。顧客情報の取り扱いについても、顧客情報に関する業務フローを定め、厳格に管理するとともに社内教育の徹底を図っております。
ロ.知的財産権について
当社グループによる第三者の特許権、商標権等の知的財産権侵害の事実はないものと認識しております。しかしながら、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに当社グループの事業分野で第三者により知的財産権が成立する可能性は否定できません。かかる場合においては、当社グループが第三者の知的財産権を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等、又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの持つ知的財産権に対する第三者による侵害があったときにこれを把握できない、又は侵害に対して適切な対応ができない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、弁護士、弁理士その他の専門家の意見をふまえて、調査可能な範囲で対応を行い、第三者の知的財産権侵害の回避を図るとともに、当社グループの知的財産権を侵害されないよう細心の注意を払っております。
ハ.技術革新について
当社グループが事業を展開するインターネット業界においては、事業に関連する技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新機能の導入が相次いで行われております。この変化に対する適切な対応に支障が生じた場合、当社グループの業界における競争力が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
これらの変化に対応するため、当社グループでは、技術者の確保に注力するとともに、スキル向上のための投資を積極的に行い開発環境の整備を進めております。
ニ.システム面について
当社グループの運営するサイトへのアクセスの急増等の一時的な過負荷や電力供給の停止、当社グループが利用するソフトウエアの不具合、コンピューターウイルスや外部からの不正な手段によるコンピューターへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な様々な要因によってコンピューターシステムがダウンした場合、当社グループの事業活動に支障を生ずる可能性があります。現在、多くのサーバーに関してクラウドサービスへの移行をしておりますが、クラウドサービス自体に障害が発生した場合は、当社グループサービスの提供に支障をきたす可能性があります。また、サーバーの作動不能や欠陥に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至る場合や、当社グループに対する損害賠償請求が発生する場合も想定され、このような場合には当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループは、利用するソフトウエア等の更新管理やアンチウイルスソフトの導入、パスワード管理、アクセスコントロールの徹底、ネットワーク内の多層防御の構築等の対策を講じるとともに、BCP対策を進めております。
ホ.ポイントシステムについて
当社グループは、一部サービスにおいて、寄付金やギフト券等に交換可能なポイントを会員に対して付与しております。このポイントが不正な操作等により、当社グループが正式に発行した以上に集められ、交換を求められた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、ポイントシステムに関連するシステムに対する脆弱性診断等を定期的に実施しております。また、付与・利用状況のモニタリングを行う等、必要な内部統制を構築し、運用しております。
③ その他
イ.新規事業展開に伴うリスクについて
当社グループでは、「MedPeer」サイトによるサービスを中心として、新規事業を展開する可能性があります。また、M&Aを新規事業への進出や事業拡大のための重要な手段の一つとして位置付けており、今後も既存事業とのシナジーが見込まれる場合には積極的に実施する方針です。これらの新規事業の展開にあたってはその性質上、計画どおりに事業が展開できず投資を回収できなくなる可能性や、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対しては、グループの企業価値向上に資するM&Aを実施すべく、事前に対象となる企業の経営状況を確認するほか、財務・法務面でのリスクの有無等、当該企業の風土や実態、価値を十分見極めた上で実施を決定しております。また、M&Aの実行後は、グループ会社間の連携を図り、シナジーを高めることにより、更なる業容拡大に努めます。
ロ.配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、引き続き成長投資を行うことを優先しつつ、各期の経営成績及び財政状態等を総合的に勘案しながら株主還元の充実を目指していく方針であります。しかしながら、当社グループの業績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。
ハ.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
本書提出日における新株予約権の個数は7,844個であり、発行済株式総数21,953,590株の7.1%に相当しております。当社の株価が行使価額を上回り、かつ権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化することになります。
ニ.新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルスの感染拡大による経済環境の悪化等が事業に与える影響について、今後も注視する必要があるものの、現時点では当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与えるものとは認識しておりません。しかしながら、コロナ禍の長期化や感染拡大が継続した場合、従業員の感染による営業活動の制限や、クライアントの事業活動の縮小等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記リスクに対して、当社グループでは、取引先、従業員及びその家族の安全及び健康の確保を最優先事項に掲げ、リモートワークへの対応やWeb会議の促進等の取り組みを実施しております。
ホ.事業の拡大に伴う経営管理体制の確立について
当社グループは、2023年9月末日時点で、連結ベースでの従業員611名(臨時従業員を除く)と成長途上であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。当社グループでは、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も内部管理体制の一層の充実を図る予定ですが、従業員数の増加に対して、組織体制の構築が順調に進まなかった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、引き続き成長投資を行うことを優先しつつ、各期の経営成績及び財政状態等を総合的に勘案しながら株主還元の充実を目指していく方針であります。
しかしながら、当社グループの業績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。
当社の剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であり、期末配当の年1回を基本方針としております。
当社は中間配当を取締役会決議によって行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 |
1株当たり配当額 |
2023年12月19日 定時株主総会決議 |
97,596 |
4円50銭 |
なお、当社は、2023年12月19日開催の定時株主総会において、会社法第459条の規定に基づき、取締役会決議によって剰余金の配当ができる旨、定款の変更を決議しております。