2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    119名(単体) 51,373名(連結)
  • 平均年齢
    39.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    7.9年(単体)
  • 平均年収
    11,192,716円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

臨時従業員数(名)

HRテクノロジー

13,155

69

マッチング&ソリューション

24,439

521

人材派遣

13,657

1,357

全社(共通)

122

5

合計

51,373

1,952

 

 

(注1) 従業員は当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員です。臨時従業員は含みません。

(注2) 臨時従業、当連結会計年度の臨時従業員の年間平均雇用人員です。

(注3) 臨時従業員はアルバイト等を含み、派遣社員を除いています。

(注4) 全社(共通)として記載されている従業員は、主に持株会社である当社のファイナンス及びリスクマネジメント等の管理部門の従業員です。

(注5) 前連結会計年度末に比べ従業員数が7,120名減少しています。これは主に、HRテクノロジー事業傘下の子会社が2023年3月に発表した人員削減と、人材派遣事業の一部配下子会社において常用型派遣の集計方法を変更したことによる減少です。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(名)

臨時従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

119

5

39.8

7.90

11,192,716

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

臨時従業員数(名)

HRテクノロジー

-

-

マッチング&ソリューション

-

-

人材派遣

1

-

全社(共通)

118

5

合計

119

5

 

 

(注1) 従業員は当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員です。臨時従業員は含みません。

(注2) 臨時従業は、当事業年度の臨時従業員の年間平均雇用人員です。

(注3) 臨時従業員はアルバイト等を含み、派遣社員を除いています。

(注4) 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。前事業年度は報酬制度改定の移行期として調整が発生し、一時的に年間平均給与が増加しましたが、当事業年度は標準支給になっています。

(注5) 全社(共通)として記載されている従業員は、主に持株会社である当社のファイナンス及びリスクマネジメント等の管理部門の従業員です。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。

 

 

(4) 多様性に関する状況

当社グループでは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にし、多様な個人の好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで新たな事業やサービスを生み出してきました。あわせて、当社グループでは人権方針を定め、企業活動において差別や人権侵害を行わないよう努めるとともに、すべての人々に公正な機会を提供し、その人らしい生き方や働き方を尊重することを目指しています。当社グループの人的資本や人権に対する考え方や取組みについては「第2 事業の状況」「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

これらの方針のもとで、当社グループでは、属性や就労における制約等に関わらず、誰にとっても働きやすく働きがいのある職場の実現に向けて取り組んでいます。そして、2021年5月にDEI(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包括性)を経営戦略の一環として掲げ、「2031年3月期までにすべての階層における女性比率を約50%にする」目標を決め、その実現に向けて3カ年計画を定めて取組みを進めています。また、3カ年計画の達成如何を、業務執行取締役と主にサステナビリティテーマの推進を担う執行役員の長期インセンティブ報酬(注1)の一部に連動させることで、更に取組みを加速しています。DEIに関する取組みの進捗については「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(3)経営戦略」「ProsperTogether - ステークホルダーとの共存共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。

 

2031年3月期までに目指す女性比率50%の目標に向けた当社グループのマイルストン

 


 

 

2024年4月1日時点の当社グループ(注2)の無期雇用従業員、管理職、上級管理職に占める女性の割合は以下のとおりです。

 

名称

無期雇用従業員に占める

女性の割合(注3) (%)

管理職に占める

女性の割合(注4) (%)

上級管理職に占める

女性の割合(注5) (%)

当社グループ(注2)

49.0

39.4

26.8

 

 

(注1) 長期インセンティブ BIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何により支給有無を決定します。

(注2) 当社グループとして提出会社、SBU統括会社及び各SBU配下の主要連結子会社を集計しており海外子会社を含みます。なお、「無期雇用従業員」の定義は当社グループの雇用管理区分に基づきます。一方、「管理職」及び「上級管理職」の定義は、それぞれ注4、注5のとおりであり「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」)に基づく「一般事業主行動計画等に関する省令」の「管理職」の定義(課長級及び課長級より上位の役職(役員を除く)にある労働者の合計)とは異なります。

(注3) 無期雇用従業員として、期間の定めの無い従業員を集計しています。また、当社グループから他社への出向者を除き、他社から当社グループへの出向者を含む就業人員です。

(注4) 管理職は部下を持つすべての従業員を示し、委任契約役員を含みます。

(注5) 上級管理職は、提出会社及びマッチング&ソリューション事業においては執行役員及び専門役員、HRテクノロジー事業と人材派遣事業においては主要子会社社長及び重要機能トップを示しています。

 

当社の管理職に占める女性の割合、男性の育児休業等の取得率、男女間の賃金の差異は以下のとおりです(注1)。

 

名称

管理職に占める

女性の割合

(注2)(%)

男性の育児休業等の取得率

(注3)(注4) (%)

男女間の賃金の差異(注3)(注5) (%)

全労働者

うち無期雇用

従業員

(注6)

うちパートタイム・有期雇用従業員等(注7)

提出会社

52.9

166.7

83.9

85.5

116.8

 

 

(注1) 当社は女性活躍推進法及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業法」)」に基づく公表義務はありませんが参考情報として任意開示しています。

(注2) 管理職とは部下を持つ従業員であり、委任契約役員を除きます。当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員を対象に女性活躍推進法の規定に準じて算出しています。2024年4月1日時点。

(注3) 当社の労働者の大部分は㈱リクルートからの出向者で構成され、出向者の報酬は当社が定めるミッショングレードと基準に従って決定しています。このような就労と報酬決定の実情を踏まえ、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含めて集計しています。従って、後述する㈱リクルートが算定対象としている当該会社の労働者名簿に記載されている従業員(以下「原籍者」)のうち、当社に出向している従業員を含めて集計しており、当社の原籍者のみを対象に集計した場合は数値が異なります。

(注4) 育児・介護休業法に準じて「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(以下「育児・介護休業法施行規則」)」第71条の4第2号の育児休業等の取得割合を、当連結会計年度を対象に算出しています。また、育児休業等には法令で定められた育児休業及び出産育児を目的とした休暇制度等を含みます。

(注5) 女性活躍推進法の規定に準じて、当連結会計年度を対象に算出しています。

(注6) 無期雇用従業員とは期間の定めの無い従業員です。

(注7) パートタイム・有期雇用従業員等は、無期雇用従業員の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に試算しています。

 

また、女性活躍推進法及び育児・介護休業法に基づいて開示する国内の主要連結子会社における管理職に占める女性の割合、男性の育児休業等の取得率、男女間の賃金の差異は以下のとおりです。

 

 

名称

主要な事業

の内容

(注1)

管理職に占める女性の割合

(注2) (%)

男性の育児休業等の取得率

(注3) (%)

男女間の賃金の差異(注4) (%)

全労働者

うち無期雇用

労働者

(注5)

うちパートタイム・有期雇用労働者等(注6)

㈱リクルート

マッチング&ソリューション

32.4

99.2

77.6

81.6

99.3

㈱リクルートスタッフィング

人材派遣

38.9

35.4

74.1

61.0

79.0

㈱スタッフサービス・ホールディングス

人材派遣

35.1

66.7

74.1

78.0

39.8

 

その他23社(注7)

 

(注1) 主要な事業の内容欄にはセグメントの名称を記載しています。

(注2) 管理職は部下を持つ従業員であり、委任契約役員を除きます。当該会社から他社への出向者を除き、他社から当該会社への出向者を含む就業人員を対象に女性活躍推進法の規定に基づき算出しています。2024年4月1日時点。

(注3) 当該会社の原籍者を対象に集計しています。育児・介護休業法の規定に準じて、育児・介護休業法施行規則第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を、当連結会計年度を対象に算出しています。育児休業等には法令で定められた育児休業及び、出産育児を目的とした休暇制度等を含んでいます。

(注4) 当該会社の原籍者と当該会社を通じて他社に派遣されている労働者を含み、当該会社に派遣されている労働者を含まずに、当連結会計年度を対象に女性活躍推進法の規定に基づき算出しています。そのため、人材派遣セグメントの連結子会社は、当該会社を通じて他社に派遣されている労働者を含んでいます。

(注5) 無期雇用労働者とは期間の定めの無い従業員です。

(注6) パートタイム・有期雇用労働者等は、無期雇用労働者の所定労働時間(1日8時間)で換算した人員数を基に試算しています。

(注7) 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては「第7 提出会社の参考情報」「2 その他の参考情報」に記載しています。

 

今回示した男女間の賃金の差異について、当社及び主要な国内連結子会社では「Pay for Performance」を基本方針とし、無期雇用労働者については、年齢や入社年次等に関わらず、期待される役割とそれに対する成果の大きさで従業員の報酬を決定する「ミッショングレード制」を導入しているため、同一のミッショングレードや評価において男女間での賃金格差はありません。

 

そのため、男女間の賃金差異の低減に向けた第一の課題は、より高いミッショングレードや管理職の女性割合が低いことであると考えています。そこで、当社グループが掲げた女性管理職比率を約50%にする目標に向けた取組みを加速することで、高度プロフェッショナル人材を含めたより高いミッショングレードを担う女性比率の向上を目指しています。

 

またこの取組みを通じて、組織にある無意識の偏見(バイアス)に気づき、働く場所や時間等に対する先入観を低減し、多様な個人にとって更に働きやすく働きがいのある職場とするために創意工夫を凝らすことは、更に幅広い人材が活躍できる組織への進化に繋がると考えています。「仕事」に関わる事業を展開する当社グループとして、社会の更なる多様性と公平性、包括性の向上に向けて、事業やサービスを含めた企業活動全体を通じて貢献していきます。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーと共存共栄を目指していくことが、当社の持続的な成長に繋がると考えています。そこで当社では、サステナビリティに関する取組みを経営戦略の1つとして位置付け、2021年5月に「サステナビリティへのコミットメント」として、2031年3月期に向けた具体的な時間軸と目標を定め、取組みを進めています。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが本報告書提出日現在に合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1) サステナビリティ全般に対する対応

① ガバナンス

当社では、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会での審議を踏まえて、サステナビリティに関する取組みに必要な体制整備を行い、その取組みを取締役会において監督しています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関するインパクトやリスクと機会の評価、ネガティブインパクトの緩和とポジティブインパクトの拡大、リスク低減と機会獲得に向けた方針、戦略及び計画について議論します。取締役会では、その進捗とともに、対応策を含めた事業計画や投融資を確認し、その進捗を監督しています。

 

そして、サステナビリティ委員会の社内委員である各SBU統括会社のCEOを兼務する当社執行役員は、各SBUにおけるサステナビリティ戦略及び計画を策定し、事業運営の中でネガティブなインパクトやリスクを低減し、ポジティブなインパクトや機会を獲得するための取組みを進めています。

 

また、当社のサステナビリティに関する取組みは、サステナビリティ担当執行役員を責任者として進めています。当該責任者は、取締役会に対して、サステナビリティに関する取組みについて報告します。そして、当該責任者の配下にサステナビリティ所管部署を設置し、当社グループのサステナビリティ関連情報の収集、インパクトやリスクと機会の識別及び評価、その対応方針と戦略の検討、施策の推進及び進捗管理、ステークホルダーとの対話等を行います。

 

② リスク管理

当社では、毎年、サステナビリティに関するステークホルダーの関心テーマを収集し、社会潮流の変化を分析します。そして、サステナビリティ委員会において、サステナビリティに関するインパクトやリスクと機会を評価し、対応すべき課題について審議しています。また、サステナビリティに関するリスクは、当社グループ全体のリスクマネジメントプロセスに統合して評価し、リスクマネジメント委員会において、包括的且つ一元的に管理しています。サステナビリティに関する中長期的なリスクと機会についてはサステナビリティ委員会に委任され、具体的な議論を行います。その結果はリスクマネジメント委員会に連携され、取締役会に報告されます。

 

 

サステナビリティに関するインパクトやリスクと機会の管理体制(役割と会議体)

 


 

サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」「(1) コーポレート・ガバナンスの概要」「① 企業統治の体制の概要等について」を、気候関連のリスク管理については本項目「(2)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示」「② リスク管理」を、人的資本に関するリスク管理については本項目「(3)人的資本の強化に向けた社内環境整備・人材育成」「② リスク管理」をあわせてご参照ください。

 

③ 戦略

(a) サステナビリティ重要項目(マテリアリティ項目)

当社では、サステナビリティに関する戦略の立案に向けて、インパクトやリスクと機会に繋がる可能性が高いと考えられる項目として、サステナビリティ重要項目(マテリアリティ項目)を特定しています。2024年3月期は、当社が社会や地球環境に対して与える影響(インパクト)と当社財務に対する影響(財務影響)の2軸で評価するダブルマテリアリティの考え方に基づき、以下のプロセスでマテリアリティ項目を特定しました。

 

ステップ1:サステナビリティ項目の抽出

分析対象となるサステナビリティ項目の包括的なリストを作成しました。リストの作成にあたっては、外部機関が定める基準(注2)を参考にしました。

 

ステップ2:サステナビリティ項目の評価

ステップ1で抽出した各サステナビリティ項目について、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、インパクトと財務影響の2軸で評価を行いました。インパクトの評価においては発生可能性と深刻度(範囲・規模・是正困難度)について、財務影響の評価においては発生可能性と影響金額について、それぞれ採点を行い、採点結果を総合して優先順位付けを行いました。採点にあたっては、従業員・個人ユーザー・NGO/NPO・投資家等の多様なステークホルダーとのエンゲージメントを通じて得たフィードバックを活用しました。また、社会潮流の変化を反映すべく、国際機関やNGO/NPO等が公表している情報を参照しました。

 

ステップ3:マテリアリティ項目の特定

ステップ2の評価結果が事業実態に即していることを、各SBU統括会社のCEO及びサステナビリティ担当役員が確認しました。その上で、社外の有識者が参加するサステナビリティ委員会での審議を経て、取締役会においてマテリアリティ項目を決議しました。

 

上記の分析を通じて特定したマテリアリティ項目は以下のとおりです。なお、マテリアリティ項目については、より正確に把握するために、外部機関が定める基準(注2)における詳細項目ごとに分析と特定を行いました。

 

リクルートグループのマテリアリティ項目

 


 

(b) 企業活動の重要基盤

当社では、特定したマテリアリティ項目に関わるインパクトやリスクと機会に対応するための戦略上の重点テーマとして「企業活動の重要な基盤」を定め、取締役会の諮問機関である各委員会での審議を踏まえて取組みを進め、取締役会にて進捗確認をしています。当社が定めた「企業活動の重要な基盤」と、基盤の強化に向けた対策は以下のとおりです。

 

- 地球環境の保全 (マテリアリティ項目1、2に対応)

当社は、すべての企業活動はあらゆる生命の生存基盤である地球環境が健全であってはじめて成り立つと考え、様々な活動を行っています。特に気候変動対策については重要テーマと位置づけ、当社グループ全体で温室効果ガス排出量のカーボンニュートラル達成に向けた目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗管理と議論をしていきます。当社の気候変動に対する取組みについては、本項目「(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示」をご参照ください。

 

- 人的資本の強化 (マテリアリティ項目3、4、5に対応)

当社グループでは、従業員の意欲を最大化することを改めて経営の重要テーマとし、特にダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)と従業員の職場におけるウェルビーイング、内発的動機を引き出す社内環境整備と人材育成に重点的に取組んでいます。当社の人的資本に対する取組みについては、本項目「(3) 人的資本強化に向けた社内環境整備・人材育成」もあわせてご参照ください。

 

- 人権の尊重 (マテリアリティ項目7、8、10、11、12、13、14、15に対応)

当社は、当社グループの役員と従業員、当社グループ会社の派遣サービスに登録している方々を直接の保護の対象と位置付けて「リクルートグループ人権方針」を掲げています。また、その中に個人ユーザーの人権をより尊重する方法を追求し、サービスを進化させていく方針を含めています。人権方針は、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて決議しています。

 

 

- データセキュリティ・データプライバシーへの対応 (マテリアリティ項目6、9に対応)

当社は、データセキュリティ・データプライバシー対応を当社グループの重要課題と定め、保有するデータを重要性に応じて分類し、事業内容や国・地域ごとの法規制や保護すべき情報資産の特性に応じて必要な体制や施策を整備しています。また、リスクマネジメント委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

- 企業倫理の徹底 (マテリアリティ項目16、17に対応)

当社グループでは、コンプライアンスを法令遵守の枠を越えて企業と個人が適正な行動を行うことで社会的な期待や要請に応えていくことであると位置づけ、事業活動の大前提としています。企業倫理の徹底のため、従業員教育等の施策、内部通報窓口の設置を行うとともに、コンプライアンス委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」「(1)コーポレート・ガバナンスの概要」「②内部統制システム整備の状況」をご参照ください。

 

- コーポレート・ガバナンス (マテリアリティ項目18に対応)

当社は、取締役 兼 常務執行役員 兼 COOを、サステナビリティ推進を含めたコーポレート・ガバナンスの責任者と位置づけ、指名・ガバナンス委員会及び報酬委員会での審議を踏まえて、取締役会にて適切なコーポレート・ガバナンス体制や役員報酬のあり方を確認しています。当社のコーポレート・ガバナンス方針及び役員報酬については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

当社では、2021年5月に、経営戦略の1つとして「Prosper Together - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」を加え、地球環境や社会へのポジティブなインパクトを拡大するための具体的な指標と目標を定めた「サステナビリティへのコミットメント」を発表しました。特に、当社グループが事業として携わっている「仕事」は、人々にとって欠かせない生活基盤です。そこで、サステナビリティのコミットメントの中では、特にS(社会)の領域で事業を通じたインパクトを創出していくことで、主要な機会の獲得を目指しています。

 

E:Environmental 環境

すべての企業活動は、あらゆる生命の生存基盤である地球環境が健全であってはじめて成り立ちます。当社グループでは、気候変動対策として、温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量の削減に取組みます。

 

環境に関するコミットメント(マテリアリティ項目1に対応)

・2022年3月期中に、当社グループの事業活動(注3)において、カーボンニュートラルを目指す

・2031年3月期までに、当社グループの事業活動を含むバリューチェーン全体(注3)において、カーボンニュートラルを目指す

 

また、2031年3月期までに目指すバリューチェーン全体を含めたカーボンニュートラル(注3)に向けては、2015年12月に採択されたパリ協定が求める、地球の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5度未満に抑えることを目指す削減水準に沿った3カ年目標(注4)を定め、排出量削減に向けた取組みを加速しています。また、気候変動への対策に向けて、プロダクトやサービスを通じた貢献も進めていきます。当社の気候変動に対する取組みについては、本項目「(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示」をご参照ください。

 

S:Social 社会

OECDの調査によると、3カ月間収入が無い状態が続くと約40%の人々が貧困に陥ってしまう(注5)ことが分かっています。そこで、働きたいのに就業できない人を無くすことを目指して、求職者と仕事のマッチングを圧倒的に速くすることで失業期間の短縮に貢献します。また、雇用市場にはマッチングの効率化だけではすぐに解決することが難しい、様々な就業への障壁が存在します。そこで、当社グループでは、テクノロジーとパートナーシップを活用してこの障壁を低減することで、あらゆる人々の就業機会を拡大し、その失業期間の短縮に貢献します。

 

ソーシャルインパクトに向けたコミットメント(マテリアリティ項目8、14、15に対応)

・2031年3月期までに、就業までに掛かる時間(注6)を2022年3月期比で半分に短縮することを目指す

・2022年3月期から2031年3月期までに、雇用市場にある障壁を低減することで累計3,000万人(注7)の採用を支援する

 

また、当社では、創業以来、多様な従業員一人ひとりの違いを大切にし、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで新たな事業やサービスを生み出してきました。そこで、従業員の価値創造への意欲を最大化することを改めて経営の重要テーマとし、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)に取組みます。特に、ジェンダーについては当社グループ全体で目標を定め、取組みを加速します。

 

従業員の多様性に向けたコミットメント(マテリアリティ項目4、5に対応)

・2031年3月期までに、当社グループ全体における上級管理職・管理職・従業員(注8)それぞれにおける女性比率を約50%にすることを目指す

 

2031年3月期までにそれぞれの女性比率を約50%にする目標に向けては、3カ年目標(注4)を定めて取組みを加速しています。従業員の多様性に関する詳細は「第1 企業の概況」「5 従業員の状況」「(4) 多様性に関する状況」を、当社の人的資本に対する取組みについては、本項目「(3) 人的資本強化に向けた社内環境整備・人材育成」もあわせてご参照ください。

 

G:Governance ガバナンス

経営の透明性と健全性を向上し、経営の意思決定の質を上げるために、取締役会構成員(注9)の多様性を高めます。スキルや経験、バックグラウンドの多様性を高めることに加えて、特にジェンダーについては目標を定めて取組みます。

 

経営の多様性に向けたコミットメント(マテリアリティ項目4、5、18に対応)

・2031年3月期までに、当社の取締役会構成員(注9)の女性比率を約50%にすべく、定時株主総会の選任議案を上程することを目指す

 

2031年3月期までに女性比率を約50%にする目標に向けては、3カ年目標(注4)を定めて取組みを加速しています。また、当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減と女性比率向上の達成如何を、2023年3月期からの長期インセンティブ報酬(注10)の一部に連動させることを取締役会において決定し、取組みを加速しています。

 

2024年3月期の実績については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(3)経営戦略」「Prosper Together - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。

 

(注1)

本文書に記載の「20XX年3月期」は、その年の3月31日に終了する会計年度。

(注2)

外部機関が定める基準として、欧州連合(EU)の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)やサステナビリティ会計基準審議会 (SASB) の「サステナビリティ会計基準」 等を参考にしました。

(注3)

事業活動における温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。GHG排出量の測定、GHG排出量に対する第三者認証の取得、更に残存する排出量に対してオフセットを行った上で、カーボンニュートラルの達成を目指す。

(注4)

GHG排出削減目標については2023年3月期から2025年3月期、従業員における女性比率目標については2022年4月1日時点から2025年4月1日時点まで、取締役会構成員における女性比率については2022年7月1日時点から2025年7月1日時点までを対象とする。

(注5)

出典:OECD「How's Life? 2020」に基づく、OECD加盟28カ国の数値。

(注6)

Indeedの求人広告プラットフォームにおいて、求職者が仕事に応募してから就業するまでの推定期間。入手できた対象データの平均値。

(注7)

当社のオンライン求人プラットフォームを通じた支援や、当社が協働するNPO等とのパートナーシップを通じた支援等を実施。当社は、2031年3月期に向けて今後新たに発生し得る雇用市場の障壁についても、その低減を目指した取組みを更に追加する可能性がある。

(注8)

上級管理職は、提出会社及びマッチング&ソリューション事業においては執行役員及び専門役員、HRテクノロジー事業と人材派遣事業においては主要子会社社長及び重要機能トップを示す。管理職・従業員の女性比率は、当社グループとして提出会社、SBU統括会社及び各SBU配下の主要連結子会社を集計。管理職は部下を持つすべての管理職を示し、委任契約役員を含む。

(注9)

取締役会構成員は、取締役及び監査役の合計を示す。

(注10)

長期インセンティブ BIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何によって支給有無を決定する。

 

 

(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った情報開示

当社では、地球環境の保全は、持続的な企業価値の向上に向けてステークホルダーと共存共栄をする上で重要な企業活動の基盤であると定めています。その上で、特に気候変動については、2031年3月期までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラル(注1)を目指す目標を定めて、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出削減を進めています。その一環として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、本項目にて、そのフレームワーク(注2)に沿って気候変動への移行計画に関する開示を行っています。

 

(注1)

事業活動におけるGHG排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。GHG排出量の測定、排出量に対する第三者認証の取得、更に残存する排出量に対してオフセットを行った上で、カーボンニュートラルの達成を目指す。

(注2)

気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が定める、気候変動関連リスク及び機会を示す項目。

 

 

① ガバナンス

(1)で記載のサステナビリティに関するガバナンスの一環として、気候変動に対するガバナンスを行っています。責任者であるサステナビリティ担当執行役員は、取締役会に対して、気候変動によるリスクや機会の評価、リスク低減と機会の獲得方法について報告します。また、当該責任者配下のサステナビリティ所管部署において、当社グループの環境関連情報の収集、GHG排出量削減の進捗管理、気候変動によるリスクや機会の識別及び評価、その対応方針の検討及び推進、ステークホルダーとの対話や関連調査を行います。

 

② リスク管理

前述のサステナビリティに関するテーマの一環として、気候変動によるリスク及び機会を特定し管理しています。リスク管理に対する取組みについては、本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「②リスク管理」をご参照ください。

 

③ 戦略

a. 戦略の前提

当社は、気候変動によって平均気温が4℃上昇することが世界に大きな影響を及ぼすことを認識し、気温上昇を1.5℃未満に抑制することが重要であると考えています。そこで、複数の気候変動シナリオ(4℃と1.5℃)に基づき、2031年3月期までの短期・中期・長期のリスクと機会の発生可能性と財務影響を評価し、主要なリスクの低減及び機会の獲得に向けた対策を取締役会において確認しています。また、シナリオ分析においては、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)(注1)や国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)等の国際機関及びそれに準ずる調査機関が発行するレポートを参照しています。

 

(注1) 代表濃度経路シナリオ(RCP: Representative Concentration Pathways)8.5, RCP1.9、共通社会経済経路(SSP: Shared Socioeconomic Pathways)5-8.5、SSP1-1.9に該当。

 

 

b. 気候変動による主要なリスク

当社がシナリオ分析を経て特定した主要なリスクとその発生可能性、財務影響は以下のとおりです。財務影響は項目ごとに試算しており、金額根拠の確度が比較的高いと考えられる炭素税のみ数値で示しています。

 

 

なお、2031年3月期に向けて、発生可能性が上昇する見込みである場合は「


」、発生可能性が大きく変化し

 

 

ない見込みの場合は「


」と記載しています。

 

 

気候変動による主要なリスク

発生可能性

財務影響

リスク低減施策

1

カーボンニュートラルに向けたカーボンクレジット価格の高騰


 

2031年3月期に目指す自社の事業活動及びバリューチェーン全体を通したカーボンニュートラルに向けて、オフィスの省エネルギー化と再生可能エネルギーへの転換、リモートワーク推進や公共政策への関与(注2)、主要バリューチェーンへのエンゲージメント等を通してGHG排出量の実質削減を進める。

2

炭素税課税の導入及び

その価格高騰


 

(約4億円
(注1))

3

サーバーの水没や損壊


 

サーバー設置地域の水没や損壊リスクモニタリングを開始し、一定リスクに達した際に移転や代替サーバー等の検討を行う。

 

 

(注1)

2031年3月期時点の炭素税算定における前提は以下のとおり。

炭素税価格はInternational Institute for Applied Systems Analysis提供の"NGFS Climate Scenarios for central banks and supervisors (2023 version, Net Zero 2050シナリオ)"を参照し、約$300/t-CO2とする。

当社グループの事業活動におけるGHG排出量(Scope1,2)は2023年3月期の実績である約9,600t-CO2を用いる。

(注2)

当社グループでは、パリ協定及び気候変動戦略の目標に照らして、気候変動におけるすべてのエンゲージメント活動(バリューチェーンとの協働、業界団体への加盟、公共政策への関与、及び関連する活動の検討等)の実施可否を評価し、担当執行役員の承認を得て実施しています。

 

 

今回の分析を通じて、事業戦略に影響を及ぼす重大なリスクは特定されませんでした。今後も、前述のガバナンス体制の下で気候変動が当社グループに及ぼす影響を注視し、継続的に評価の見直しと情報開示を充実させていきます。

 

c. 気候変動による主要な機会

当社グループが特定した主要な機会とその発生可能性、財務影響は以下のとおりです。

 

 

なお、2031年3月期に向けて、発生可能性が上昇する見込みである場合は「


」と記載しています。

 

 

気候変動による主要な機会

発生可能性

財務影響

1

気候変動への適応に向けた労働移動の取込み


2

低炭素社会実現に向けた求人ニーズの取込み


 

 

今回のシナリオ分析を通じて、当社が定める3つの経営戦略であるSimplify Hiring、Help Businesses Work Smarter そしてProsper Togetherを推進することが、気候変動に対するレジリエンスを高め、主要リスクを低減し、機会を獲得することに繋がることを確認しました。今後も気候変動に関する社会やステークホルダーの動向を注視し、その変化を捉えて当社グループの機会としていくことで、労働市場のレジリエンスと持続可能性の向上に貢献したいと考えています。具体的な取組みについては、本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「サステナビリティへのコミットメント」をご参照ください。

 

 

④ 指標・目標と実績

a. 指標

当社では、GHGプロトコルに則った温室効果ガス排出量(Scope1,2,3の絶対量(注1,2))を、気候関連のリスクと機会を管理する指標に定めています。

 

b. 目標

当社は、2021年5月に発表した「サステナビリティのコミットメント」において、2022年3月期までに自らの事業活動におけるカーボンニュートラル(注1,3)、2031年3月期までにバリューチェーン全体におけるカーボンニュートラルを目指す目標を経営戦略として定めています(注2,3)。そして、カーボンニュートラルの達成に向けては、SBTi(Science Based Targets initiative)より認定を取得した以下の「1.5℃目標」(注4)に基づき排出削減を進めると共に、残存排出量のオフセットを行います。

 

・スコープ1+2(注1):GHG排出量を2030年度までに46.2%削減 (基準年2019年度)

・スコープ3(注2):GHG排出量を2030年度までに30%削減 (基準年2019年度)

 

また、当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減の達成如何を、2023年3月期からの長期インセンティブ報酬(注5)の一部に連動させることを取締役会において決定しています。詳細は本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「④指標及び目標」をご覧ください。

 

c. 実績

当社では、2020年3月期より、GHGプロトコルに則ったGHG排出量の算定を開始し、2023年3月期の事業活動を通じた排出量(Scope1+2)は9,551t-CO2(前年比+1.6%)(注6)。このスコープ1及び2のGHG排出量については第三者保証(注7)を取得しています。また、短期目標である2023年3月期事業活動におけるスコープ1及び2のカーボンニュートラルは、計画どおり達成しています(注1,3)。

 

 

2020年3月(注5)

(t-CO2)

2021年3月(注5)

(t-CO2)

2022年3月(注5)

(t-CO2)

2023年3月(注5)

(t-CO2)

Scope 1

12,268

7,526

9,053

7,289

Scope 2

(マーケットベース)

29,854

12,831

351

2,262

Scope 1+2

(マーケットベース)

42,122

20,357

9,404

9,551

 

 

(注1)

事業活動における温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)、スコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。

(注2)

バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。

(注3)

GHG排出量に対して第三者認証を取得。更に残存排出量に対してオフセットを行い、カーボンニュートラル第三者認証も取得している。2022年3月期及び2023年3月期に引き続き、2024年3月期のカーボンニュートラルも達成予定。

(注4)

The Science Based Targets initiative (SBTi)が定めるGHG排出量削減に関わる短期目標であり、企業が設定する目標値を地球温暖化を産業革命前の温度レベルと比較して1.5℃以内に維持するために必要な削減のレベルと一致させることを前提に定められている。

(注5)

GHG排出削減目標については2023年3月期から2025年3月期の実績を対象とする。長期インセンティブ BIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何によって支給有無を決定する。

(注6)

GHG排出量の数値は、すべて概数。

(注7)

GHG排出量はSOCOTEC Certification Japan及びSCS Global Servicesによる「独立した第三者保証」を受領。

 

 

(3) 人的資本の強化に向けた社内環境整備・人材育成

当社では、人的資本の強化を重要な企業活動の基盤として定め、持続的な企業価値の向上に向けた社会環境の整備と人材育成を進めています。

 

① ガバナンス

当社は、グループの基幹組織設計と主要ポストのサクセション、多様性向上に向けた風土醸成を主軸に人的資本強化に向けたガバナンスを行っています。経営戦略の実現に向けた基幹組織と人事については、指名・ガバナンス委員会での諮問を経て、取締役会において決議しています。また、当社グループの主要事業や機能トップといった主要ポストのサクセションに向けては、経営戦略会議の諮問機関として「人材開発委員会」を設置し、当社CEOが議長となり、戦略ビジネスユニット(SBU: Strategic Business Unit) ごとにサクセション議論とその進捗確認を行なっています。ポストごとに求める職務要件や人材要件を定め、短期・中長期の候補者を選定し、候補者の強みと課題を明らかにした上で育成計画を議論します。そして、年に1回、育成状況の進捗確認を行うことで取組みを加速しています。多様性の向上に向けた施策については「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「③戦略」「(b) 企業活動の重要基盤」を、また従業員の多様性の状況については「第1 企業の概況」「5 従業員の状況」「(4) 多様性に関する状況」をご参照ください。

 

また、人的資本の責任者である取締役兼COOは、取締役会に対して、人的資本に関するリスクや機会の評価、その対応策を含んだ組織人事案について報告します。また、当該責任者の配下に人事所管部署を設置し、経営戦略の実現に向けて最適なグループストラクチャーや基幹人事の検討、主要ポストのサクセション、多様性の向上に向けた風土醸成の推進等を行います。

 

人的資本強化に向けたグループ推進体制

 


 

 

② リスク管理

人的資本に関する中長期的なリスク及び機会の議論は人材開発委員会に委任され、リスク低減と機会獲得に向けた組織人事案に関する具体的な議論を行い、その結果は取締役会に報告されます。また、人的資本に関するリスクについてはリスクマネジメント委員会に連携され、取締役会に報告された上で、当社グループ全体のリスクマネジメントプロセスに統合して評価し、リスクマネジメント委員会において包括的且つ一元的に管理しています。

 

③ 戦略と指標及び目標

当社は、グループの基幹組織設計、主要ポストのサクセションと多様性向上の方針をガバナンスした上で、事業の成功に向けては、ビジネスモデルや事業戦略と人材・組織戦略との合致(アラインメント)が何よりも重要であると考えています。そこで当社では、組織人事に関する主要な権限をSBUに移譲し、事業戦略との接続を強化しています。各SBUでは、事業成功に向けて重要な人的資本に関する指標や目標を定めて取組みを進めていますが、当社が最も重視する多様性向上については、グループで指標と目標を定めて取組みを加速しています。

 

a.多様な個人の好奇心や情熱を最大化する

当社は、創業以来、大切にする価値観(バリューズ)として「個の尊重 - Bet on Passion」を掲げ、多様な従業員一人ひとりの違いを尊重し、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで、新たなサービスや事業を生み出してきました。そこで、多様な個人の好奇心や情熱こそが競争優位の源泉であると考え、個人の内発的動機を高めるための社内環境整備を行っています。

 

まず、多様な個人の違いを尊重する起点として、「リクルートグループ人権方針」において、企業活動において階級や人種、肌の色、性別、言語、宗教、ジェンダー、年齢、政治的・その他の意見、国民的若しくは社会的出身、国籍、財産、性的指向、性自認、障がい、出生等を理由とした差別や人権侵害を行わないように努め、すべての人々に平等な機会を提供し、その人らしい生き方や働き方を尊重することを定めています。そして、国や地域、事業に応じて多様性を高めるためのテーマを定めて取組んでいますが、グループ共通の課題であるジェンダーについては、経営戦略の一環として指標と目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認をしています。具体的な指標・目標については「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「③主要なリスクと機会」「c. 戦略と指標・目標」「(b) サステナビリティのコミットメント-S(Social)」を、また従業員の多様性の状況については「第1 企業の概況」「5 従業員の状況」「(4) 多様性に関する状況」をご参照ください。

 

また、当社グループでは、人的資本及び知的財産への投資の一環として、多様な個人の内発性動機を最大限に引き出す組織文化の醸成に継続的に取組んでいます。その実現に向けて、例えば、当社及び国内外の主要子会社では従業員エンゲージメント・サーベイを行い、従業員のエンゲージメント向上に向けて対処すべき課題を把握し、組織風土を継続的に改善するサイクルを実施しています。

 

各SBUにおける組織文化の醸成に向けた取組みは以下をご確認ください。

 

HRテクノロジーSBU

 

HRテクノロジーSBUは、当社グループが保有する膨大なデータとテクノロジーを活用して、より効率的な求職活動及び採用活動を実現するためのグローバル人材マッチングプラットフォームを運営しています。この事業成功に向けては、世界中から、エンジニアをはじめとした優秀な人材を獲得し、中長期的な事業価値向上に向けて従業員の意欲を高めていくことが重要です。

 

そこで、2021年より、役員や従業員を対象とした株式交付制度(Employee Stock Ownership Plan信託)を導入し、グローバルに展開する上場テクノロジー企業と比肩する採用競争力を確保するとともに、当社の中長期的な企業価値向上に向けた貢献意欲を高めています。また、主要子会社であるIndeedでは、従業員のパフォーマンス向上やイノベーションの促進、そしてキャリアアップの支援を目的に、様々な研修プログラムを提供してい ま す。たとえば「 Indeedスキルアカデミー」と呼ばれる学習プラットフォームを通じて、従業員は複数のメンバーから成るコミュニティにおいて同僚や専門家から学ぶ、あるいは自分のペースで学ぶ等、自分で学ぶ環境を選択し、継続して学習できるようになりました。

 

また、多様な従業員の働く意欲を高めるために、従業員データを活用して、採用から退職までの従業員ライフサイクル全体における従業員エクスペリエンスの向上に取組んでいます。また、更なる多様性の向上に向けては、候補者の多様性を担保した上で採用面接や任用検討を始めるインクルーシブ・インタビュー・ルールを展開するとともに、従業員主導で会社横断の課題を解決するために組成されているインクルージョン・ビジネス・リソース・グループ(IBRGs)と連携して、様々なマイノリティ従業員のエクスペリエンス改善を目指しています。

 

そして、多様な働き方のニーズに応えるために、従業員の健康やワークライフバランス、ウェルビーイングを高めるための制度や仕組みを整備しています。例えば、必要に応じて有給を追加取得できるオープン有給休暇制度を設定しています。また、快適な在宅勤務に向けた周辺機器の提供や、オフィスにフィットネススペースを用意する等によって快適なワークプレイスの実現を支援しています。

 

マッチング&ソリューションSBU

 

マッチング&ソリューションSBUでは、日本を主な市場として、販促オンラインプラットフォームや人材マッチングサービス、SaaSソリューション等を運営しています。これらの事業成功に向けては、多様な従業員のアイデアや情熱から生まれる市場ニーズを捉えたプロダクトやサービス開発を促進することに加えて、進化を続ける個人が集まりチームとしての力を最大化することが重要です。

 

そこで、「価値の源泉は人」を基本方針として、年齢や入社年次、経験に関係なく従業員の可能性に期待して求める役割と報酬を決める「ミッショングレード制度」、従業員の意志を起点として仕事を通じた能力開発を行う「Will-Can-Mustシート」、組織全体で従業員の進化に向けた機会提供を議論する「人材開発委員会」、自ら手を挙げて仕事機会を獲得する社内異動の仕組みである「キャリアウェブ」、自ら発見した社会の不や違和感から新規ビジネスを創造する「Ring」、イノベーティブな仕事とナレッジを共有する「FORUM」を軸として人材マネジメントを行うことで、従業員と組織の自律的な進化を促進しています。

 

また、事業戦略の実現に向けては、ポストごとに人材要件を定めて人材獲得と育成を進めています。中途採用はもちろん新卒採用においても、ビジネスグロース、プロダクトグロース、エンジニア、データスペシャリスト、デザイン、ファイナンスといった職種別採用を行うことで、個人の志向やスキル、経験を活かした活躍を促進しています。

 

そして、能力開発を促進する配置やミッションアサインといったOJTと、それをサポートするOFFJTを組み合わせて育成を進めています。OFF-JTとしては、プロダクト開発者向けのITブートキャンプ研修や、役割変更後の早期立ち上がりを支援するトランジション研修等様々なプログラムを用意しています。

 

あわせて、「公園(CO-EN/Co-Encounter)」を新たなコンセプトとして、一人ひとりの好奇心や情熱を起点に組織や会社の垣根を超えた協働や協創を生み出し、価値創造につなげる場を目指しています。その実現に向け、個人とチームが自律的に生産性高く働き、創造性を最大限発揮できるように、副業兼業や再入社等を通じて社外で自己実現することも応援する環境を整備し、多様な働き方のニーズに応えています。

 

また、2006年にはDEI推進の専門組織を立ち上げ、多様な従業員の「働きやすさ」向上に向けた制度やサポート体制の整備を進めてきました。そして、2021年からは、多様な個人の活躍を推進する「働きがい」の向上に向けて、まずはジェンダーについて管理職比率の目標を定めて取組みを加速しています。その一つである「管理職要件の明文化」では、女性と男性の両方の管理職候補者が増え、多様なリーダーが生まれる兆しが出てきています。また、エンゲージメントサーベイを含めた様々な従業員データを用いて人的資本を可視化することで、その強化に向けた取組みを加速しています。

 

人材派遣SBU

 

人材派遣SBUは、多くの国や地域や業界で、求職者に就業機会を、企業クライアントに柔軟な労働サービスを提供し、調整後EBITDAマージンの維持改善を通じて安定的な事業運営を目指しています。この実現に向けては、対峙する地域や市場ごとに、EBITDAマージンを最大化するために最適な意思決定を、柔軟且つ迅速に行うことが重要です。

 

この実現に向けて、SBU配下の子会社に「ユニット経営」と呼ばれる経営手法を導入しています。「ユニット経営」では、権限移譲されたユニットの長が、自分のユニットを独立した会社のように運営します。ユニットごとの自由裁量を促すことで責任者の当事者意識を高め、迅速で質の高い意思決定を促進する仕組みです。この経営手法によって、従業員は、成果に向けて意思決定をする権限を持つことで高い貢献意欲を持つとともに、リーダーとして意思決定力を高める機会を得ています。

 

また、意思決定ボードの多様性を重視し、主要ポストのサクセションプランニングでは候補者の多様性を担保してから採用や任用を議論する仕組みを導入しています。あわせて、会社や国を超えてSBU全体で多様なリーダーを育成するためのグローバルメンター制度を導入しています。

 

あわせて、国や地域を超えて主要子会社においてエンゲージメントサーベイを導入し、従業員のエンゲージメントを定点把握することで、組織風土を継続的に改善するサイクルを実施しています。

 

b. 社会の「不」の解消に向けて、組織を変え続ける

また、当社では「新たな価値の創造 - Wow the World」を掲げ、社会の「不」を解消するために従業員が生み出すプロダクトやサービスを起点に、市場環境の変化にあわせて組織を変容(トランスフォーメーション)し続けてきました。当社では、多様な従業員を起点にした価値創造サイクルを強化し、会社を変容し続ける力を経営における重要なスキルであると定め、社内・社外問わずすべての取締役会メンバーに求めるスキルとして「トランスフォーメーション」を特定しています。取締役会のスキル要件については「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 」「(1) コーポレート・ガバナンスの概要 」「① 企業統治の体制の概要等について」を、具体的な指標・目標については本項目「(1)サステナビリティ全般に対する対応」「④指標及び目標」「G:Governance ガバナンス」をご参照ください。

 

 

リクルートグループの価値創造サイクル

 


 

 

当社グループの人的資本については「Recruit Group Profile」「リクルートの人的資本経営」(https://recruit-holdings.com/files/sustainability/data/Recruit_insideout2023_ja.pdf#page=32)を、人的資本に関するデータや詳細施策については「ESG Data Book」「社会」「人的資本」(https://recruit-holdings.com/en/sustainability/data/、2024年6月・2025年1月の年2回更新予定)をご参照ください。