2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 10,232 100.0 554 100.0 5.4

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、研削盤の製造及び販売を事業としております。

研削盤は、旋盤やマシニングセンタ等の工作機械で加工したワークピース(加工対象となる部品)を、高速で回転する砥石を用いて表面を滑らかに研磨加工する(研削加工)工作機械であります。1マイクロメートル(0.001mm)単位の高い精度が求められる自動車エンジンのトランスミッションに使用されるシャフトや各種産業機械に使用されるベアリング等の部品の品質保持に用いられます。

なお、当社事業は単一セグメントであるため、製品の品目ごとに事業の概要を記載しております。

(1)立形研削盤

立形研削盤は、当社の独自の技術において開発した垂直方向からワークピースを削る研削盤であり、重力の影響による変形を極力抑え、部品の内外径・端面・テーパ加工(注)を効率的に加工することが可能であります。さらに、立形研削盤は、工場内での省スペース化を実現いたします。この立形研削盤製品のラインナップとしては、中大型部品の加工には、シンプル構造で高い汎用性を備えたハイコストパフォーマンスモデルのVertical Mateシリーズ、工程集約と作業性の向上が可能な高生産性モデルのCVGシリーズ、研削能力をさらに進化させたハイスペックモデルのNVGHシリーズを展開しており、小型部品加工には、高生産型のPGVシリーズ、超小型のUSGシリーズや、省スペース性に優れカスタムメイド可能なベストセラーのIGVシリーズを取り揃えております。また、大型深穴部品の加工に特化したNVG-LHシリーズも提供しており、お客様の幅広いご要望にお応えしております。

(2)横形研削盤

横形研削盤は、他社が主力製品とし、一般に広く利用されている研削盤であります。当社では、CNC内面研削盤のベストセラーで複合加工可能なIGHシリーズを始め、円筒研削盤で海外展開を視野に入れたCGXシリーズ、複合加工と工程集約が可能なMGXシリーズと用途に応じた製品を展開し、高い精度と剛性を追求しております。

(3)その他専用研削盤

その他専用研削盤は、ネジ部品の加工に特化したTGNシリーズを始め、お客様からの多様なオーダーに対応した専用機を、当社の高度な技術力をもって製品を提供しております。

 

(注)加工対象物を研削等によって円錐形状にする加工のことであります。

 

なお、当社は、工作機械の製造・販売会社として事業を行っているDMG森精機株式会社を親会社とするDMG森精機グループに属しており、当該グループにおいて研削盤の製造・販売会社として事業を行っております。

[事業の系統図]


※当社の親会社であるDMG森精機株式会社及び同社の国内・海外における連結子会社を指します。

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度の工作機械業界は、日本工作機械工業会が発表した工作機械受注実績(2023年1月1日から2023年12月31日まで)が前年比で15.5%減少しました。新型コロナウイルス感染症対策の緩和による経済正常化や供給制約の緩和を背景に景気回復への期待が高まっている一方、長期化するウクライナ情勢に伴う資源・エネルギー価格の高騰や、中国景気の減速、円安による物価上昇の継続などにより、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

こうした状況の中、当社の受注高は前期比20.2%の減少となりました。地域別では、米州においては航空機・船舶関連で中・大型立形研削盤の受注増により53.7%の増加、その他アジアにおいてはタイ向け産業機械関連で小型立形研削盤の複数台受注が寄与し26.8%の増加となりました。一方、日本では29.9%の減少、中国では18.9%の減少、欧州では15.5%の減少となりました。

当期においては、ドイツで開催されたEMOや中国でのCIMTへの展示会出展を通し、当社製品の技術力をアピールし、DMG MORIのオープンハウスや販売対象88カ国・113拠点のネットワークを活用することで海外での認知度向上と販路拡大を図りました。国内においてはGrinding Technology Japanやメカトロテックジャパンといった展示会、4年ぶりの開催となった太陽工機プライベートショーを通して、新たなお客様層の拡大や設備投資需要の汲み取りを図り、受注及び引合いの獲得に繋げてまいりました。

収益面では販売数量の増加により売上高の増加となりましたが、原材料費の高騰と人材等への先行投資によるコスト増加に加え、販売価格の改定の効果が限定的でしたので利益面では減少となりました。

当事業年度の受注高は9,646,971千円(前期比20.2%減)となりました。うち当社主力機種である立形研削盤は8,140,423千円(前期比17.3%減)、横形研削盤は1,302,755千円(前期比27.3%減)、その他専用研削盤は203,792千円(前期比55.7%減)となりました。

生産高は8,907,694千円(前期比12.0%増)となりました。うち立形研削盤は7,279,275千円(前期比13.8%増)、横形研削盤は1,339,007千円(前期比10.3%減)、その他専用研削盤は289,412千円(前期比367.0%増)となりました。

売上高につきましては、10,231,942千円(前期比13.2%増)となりました。うち立形研削盤は8,201,831千円(前期比13.6%増)、横形研削盤は1,570,039千円(前期比4.9%減)、その他専用研削盤は460,071千円(前期比167.5%増)となりました。

損益につきましては、営業利益554,393千円(前期比10.8%減)、経常利益561,782千円(前期比10.0%減)、当期純利益415,038千円(前期比5.7%減)となりました。

 

(注)当社は、研削盤の製造及び販売を事業内容とする単一セグメントであるため、受注高、売上高及び損益につきましてはセグメントごとに区分しておりません。

 

② 財政状態の状況

(流動資産)

当事業年度の流動資産は前事業年度末に比べて513,675千円増加し、6,420,433千円となりました。これは主に現金及び預金が249,429千円、関係会社短期貸付金が700,000千円増加したこと、売掛金が43,000千円、製品が131,350千円、仕掛品が224,757千円、原材料及び貯蔵品が43,183千円減少したことによるものです。

(固定資産)

当事業年度末の固定資産は前事業年度末に比べて32,955千円増加し、2,384,268千円となりました。これは主に工具、器具及び備品が10,920千円、建設仮勘定が126,280千円増加したこと、建物が63,106千円、機械及び装置が21,784千円減少したことによるものです。

 

(流動負債)

当事業年度末の流動負債は前事業年度末に比べて390,768千円増加し、1,822,719千円となりました。これは主に前受金が486,255千円、流動負債(その他)に含まれる未払消費税等が209,001千円増加したこと、買掛金が144,178千円、未払金が45,174千円、未払法人税等が98,446千円減少したことによるものです。

(純資産)

当事業年度末の純資産は前事業年度末に比べて155,862千円増加し、6,981,983千円となりました。これは主に利益剰余金が150,698千円増加したこと、自己株式が4,891千円減少したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて249,429千円増加し、497,255千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、資金は1,407,857千円の増加(前期は432,737千円の減少)となりました。これは主に税引前当期純利益561,782千円の計上、減価償却費150,431千円、売上債権の減少43,000千円、棚卸資産の減少399,291千円、前受金の増加486,255千円の資金増加要因と、製品保証引当金の減少9,570千円、仕入債務の減少144,178千円、未払金の減少47,367千円、法人税等の支払234,178千円の資金減少要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、資金は894,182千円の減少(前期は1,304,525千円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得161,068千円、無形固定資産の取得27,776千円、関係会社貸付金の増加700,000千円の資金減少要因によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、資金は264,245千円の減少(前期は473,377千円の減少)となりました。これは配当金の支払264,245千円の資金減少要因によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社は、研削盤の製造及び販売を事業内容とする単一セグメントであるため、当事業年度の生産実績、受注実績及び販売実績につきましては、製品の品目ごとに記載しております。

 

イ 生産実績

品目

生産高(千円)

前年同期比(%)

立形研削盤

7,279,275

13.8

横形研削盤

1,339,007

△10.3

その他専用研削盤

289,412

367.0

合計

8,907,694

12.0

 

(注)金額は、販売価格によっております。

 

ロ 受注実績

品目

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

立形研削盤

8,140,423

△17.3

6,186,796

△1.0

横形研削盤

1,302,755

△27.3

1,052,842

△20.2

その他専用研削盤

203,792

△55.7

31,600

△89.0

合計

9,646,971

△20.2

7,271,238

△7.4

 

 

 

ハ 販売実績

品目

販売高(千円)

前年同期比(%)

立形研削盤

8,201,831

13.6

横形研削盤

1,570,039

△4.9

その他専用研削盤

460,071

167.5

合計

10,231,942

13.2

 

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

DMG森精機株式会社

3,100,837

34.3

2,830,657

27.7

株式会社山善

875,193

9.7

1,546,910

15.1

ユアサ商事株式会社

997,117

11.0

1,046,465

10.2

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しているとおりであります。

当社の財務諸表の作成において、損益又は資産・負債の状況に影響を与える見積り及び判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態の分析

当事業年度末の財政状態につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ 経営成績の分析

当事業年度における工作機械業界では、工作機械受注総額が3年ぶりに1兆5000億円を下回り、内需外需ともに前年同月比割れが続きましたが、概ね高めの水準を保っており、市場からの根強い設備投資需要に支えられ底堅い動きが継続しました。一般社団法人日本工作機械工業会の発表によると、2023年暦年の研削盤全体の受注額は874億円(前年比24.3%減)となりました。その中で、当社の提供する研削盤は、円筒・平面研削盤を除く「その他NC研削盤」の市場に属しており、その受注額は356億円であります。2023年暦年の工作機械全体の受注額14,865億円の規模に対して2.4%と極めてニッチな市場ではありますが、当社は引き続き独自の技術を開発しつつ、研削盤市場においてニッチ・トップの企業を目指して事業展開を進めてまいりました。

当事業年度における当社売上高は前事業年度比13.2%の増加、営業利益は同比10.8%の減少となりました。販売数量の増加により増収となりましたが、原材料費等の高騰や人件費の増加により営業利益は減益となりました。

 

2024年度の工作機械業界は、日本工作機械工業会が年間の工作機械受注額を1兆5,000億円になるとの見通しを示しております。2023年実績と比べて0.9%の増加となり、2年ぶりの増加を見込んでおります。年前半は欧米での高金利や経済減速に伴う設備投資の様子見から受注の調整局面が継続しますが、年後半から半導体やEVなどの需要の増加と、人手不足に伴う自動化や脱炭素に向けた環境関連投資が活発になり工作機械需要を下支えするとみており、総じて緩やかな回復局面に入る見通しです。

当社におきましても、受注については、年前半は調整局面が続きますが、製造現場の人手不足や省人化需要を背景に年後半に向けて緩やかに回復していくものと考えております。また業績については、期初受注残高約72億円(売上計画比約72%)を既に確保しており、販売価格の改定により粗利率は改善する見込みです。DMG MORIと連携した海外販売の強化、自動化・システム化をセットで提案することによる製品単価の向上、費用コントロールの徹底による経費削減に努め、営業利益率10.0%以上を目指します。

 

(売上高、売上台数)

当事業年度の売上高は10,231,942千円(前期比13.2%増)、売上台数は204台となりました。うち立形研削盤は8,201,831千円(前期比13.6%増)、横形研削盤は1,570,039千円(前期比4.9%減)、その他専用研削盤は460,071千円(前期比167.5%増)となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当事業年度の売上原価は7,955,681千円(前期比15.8%増)となりました。また販売費及び一般管理費は1,721,866千円(前期比11.0%増)となりました。これは主に販売促進費481,352千円、給料及び手当289,177千円、運賃154,258千円、研究開発費138,480千円を計上したことによるものです。

(営業利益、営業利益率)

当事業年度の営業利益は554,393千円(前期比10.8%減)、営業利益率は5.4%となりました。これは主に売上原価及び販売費及び一般管理費の増加によるものです。

(当期純利益)

当事業年度における当期純利益は415,038千円(前期比5.7%減)となりました。これは税引前当期純利益561,782千円、法人税等146,744千円を計上したことによるものです。

 

ハ キャッシュ・フローの分析

当事業年度末のキャッシュ・フローの分析につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資金需要の主なものは、原材料費、外注費、労務費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金と、生産設備の更新・改修等に係る設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本とし、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。

一方、中長期的な事業の拡大の実現のための成長投資を支える資金需要については、財務基盤の強化も視野に入れ、調達方法の多様化に向けた検討を進めてまいります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び営業利益率を重要な指標と位置付けております。なお、当事業年度における各指標の目標及び実績は次のとおりであります。

 

目標

実績

売上高

10,000百万円

10,231百万円

営業利益率

10.0%

5.4%