リスク
3【事業等のリスク】
投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1.事業環境に関するリスク
(1) 法的規制・制度の新設・改定等による影響について
現在、当社が営むインターネットを利用して提供するサービスに関連した規制法令等はありませんが、今後、インターネットの利用者や関連するサービス及び事業者を規制対象とする法令等の制定や、既存の法令等の適用、あるいは何らかの自主的なルールの制定等が行われた場合、当社グループの事業が制約され、AI事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが提供しているHT事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の規制の対象外でありますが、今後、同法律の改定等により、当社の事業も適用対象とされた場合には、事業運営に厚生労働大臣の許可が必要となり、許可の取得に時間を要する場合、認可の取得ができない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 技術革新について
AIの分野は、技術革新のスピードの変化が激しく、新しいサービスが逐次産み出されている分野です。当社においても、こうした技術革新への変化に対応するべく、積極的に最新情報の蓄積、分析及び当社のサービスへの導入に取組んでおります。しかしながら、技術革新において当社が予期しない急激な変化があり、対応が遅れた場合には、当社のサービスの陳腐化や競争力の低下を引き起こし、AI事業、HT事業及びメタバース事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 需要の変動について
当社グループのAI事業、HT事業の顧客は、製薬、化学、製造、IT業界などの事業会社が中心です。これらの顧客が属する業界において、何らかの法制度等の変更、景気変動、業界再編による企業数の増減等があった場合、あるいは顧客の方針変更(例:内製化、外注先の絞り込み等)があった場合には、当社グループが提供するサービスへの需要が大きく変動する場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、HT事業においては、米国・欧州・中国等の世界各国の政治・経済情勢等の変化、法律の改正、外交問題等の要因により顧客企業のグローバル展開に影響を与え、企業研修サービスへの需要が大きく変動する場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合と参入障壁について
民間企業ではありませんが、総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構が開発している専門分野別産業向け文書機械翻訳エンジンが当社のAI事業サービスに対して競合関係となっており、ユーザーの争奪等で激しい圧迫を受ける場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。官庁による後ろ盾の影響力や国庫からの資金力を利用した追随は脅威になり得ます。
2.事業内容に関するリスク
新規事業(メタバース事業及びAI等のAI事業における新規事業)に関する会計上の数値が費用先行型になるリスク
メタバース事業及びAI等のAI事業における新規事業について、開発・アジャイルブラッシュアップに伴い発生する開発コスト分により連結決算上の損失計上額が多額になるリスクがあります。
3.事業運営体制に関するリスク
(1) 人材の確保について
当社グループは、開発部門、営業部門、制作部門、管理部門等における優秀な人材の確保を重要な経営課題の一つと認識しており、積極的に採用活動を行い、全役職員が最大限の能力を発揮できる組織体制づくりなどに取組んでおります。しかしながら、これらの施策により優秀な人材を確保・維持できなかった場合等には、当社グループにおいて自動翻訳の開発の遅れ、販売戦略の見直し、提供しているサービスの質の低下、業務執行体制や内部管理体制の不備等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 内部統制について
内部統制の一部又は全部が適切に整備・運用されない場合、当社グループの経営成績及び財政状態、レピュテーション並びに金融機関との関係等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その他内部統制の整備上の欠陥や運用上の認識不足等の不備により財務報告等に重大な誤りが生じた場合にも、当社の信用が失墜するとともに、当社グループの経営成績及び財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
4.システムに関するリスク
当社が行っているAI事業は、インターネット環境で「SaaS」で提供するサービスであり、サービスの安定供給のために適切なセキュリティ対策を施しておりますが、ハードウエア・ソフトウエアの不具合、人為的なミス、コンピューターウイルス、第三者によるサイバー攻撃、自然災害等の予期せぬ事象が発生し、想定していないシステム障害等が発生した場合には、当社の事業活動に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
5.コンプライアンスに関するリスク
(1) 顧客の機密情報の保護について
当社グループでは、顧客の翻訳原稿に基づき翻訳成果物を納品するサービスを提供しており、その内容には顧客の機密情報も含まれます。これらの機密情報の流出や外部からの不正アクセスによる被害防止は、当社グループの事業にとって極めて重要であります。当社グループではこれら機密情報等の第三者への漏洩を防止するために、社員及び業務委託先に対し、雇用契約又は業務委託契約による相当の機密保持義務を課しており、また、各社ごとに執務室内への入室にセキュリティロックを施し、AI事業においては外部データセンターの選定はISMS認証取得を条件とし、通信にはSSL(暗号回線)を使用しております。
しかし、これらの対策にも関わらず、機密情報の流出等を完全に排除できるとまでは言えず、何らかの原因により流出等が発生した場合、当社グループの信用低下や法的責任を問われる可能性もあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 個人情報の保護について
当社グループでは、自動翻訳の登録ユーザー、翻訳通訳の発注者、教育研修の受講者、翻訳通訳の業務委託先である登録翻訳者・通訳者等の個人情報を保有しております。当社グループでは、個人情報を各社別にシステムで管理しており、これらの情報へのアクセスは職位及び業務内容により制約されております。
また、当社グループではプライバシーマーク(プライバシーマークとは、日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を認定する制度)を取得しており、情報管理規程の策定・運用、全役職員を対象に定期的な研修等による教育を実施するなど、個人情報の保護に努めております。
しかし、不測の事態の発生により、当社グループの保有する個人情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償等の補償や信用低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) コンプライアンスについて
当社グループでは、コンプライアンス体制が有効に機能していることが極めて重要であると認識しております。そのため「コンプライアンス規程」を策定し、全役職員を対象に「行動規範」の周知徹底に努めております。また、代表取締役CEOを委員長とする「メタリアルグループ・コンプライアンス委員会」を設置し、コンプライアンス体制の強化に取組んでおります。
しかし、これらの取組みにも関わらず、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの企業価値が毀損し、事業継続及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 第三者との係争について
当社グループは、法令遵守を基本としたコンプライアンス活動の推進により、法令違反、情報漏洩、知的財産侵害等を防止し、法改正等への適切な対応、契約行為が及ぼす法的効果の充分な検討を行うことで、訴訟に発展するリスクを排除するよう努めております。
しかしながら、何らかの予期せぬ事象により、法令違反等の有無に関わらず、顧客や取引先、第三者との予期せぬトラブルが訴訟等に発展する可能性があります。AI事業の自動翻訳の開発においては、第三者が保有する知的財産権を侵害する可能性が、HT事業の翻訳においては、顧客から預かった翻訳原文が第三者の著作権等を侵害していることに伴い、依頼主である顧客だけでなく当社グループにも損害賠償等を求められる可能性があり、かかる訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や信用低下等により、当社グループの事業継続及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.その他のリスク
(1) 配当政策について
当社グループでは、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先しつつ、株主への配当を実施しております。株主への利益配分につきましては、今後も経営の最重要課題の一つと位置付け、企業体質の強化と将来の事業展開に備える内部留保とのバランスを図りながら、利益成長に応じた配当政策を実施する予定であります。
しかしながら、想定どおりの利益成長が達成できないなどの理由により、配当を実施できなくなる可能性があります。
(2) 新株予約権について
当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役職員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めること及び資金調達を目的として、当社役員及び従業員並びに社外協力者及び機関投資家に対して新株予約権を付与しております。
2023年4月末現在、新株予約権による潜在株式数は1,339,600株であり、発行済株式総数10,769,660株の12.4%に相当しております。
これらの新株予約権が権利行使された場合は、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があり、将来における株価形成へ影響を及ぼす可能性があります。
(3) 自然災害について
地震や津波、台風等の自然災害、感染症の蔓延、事故、火災、テロ、戦争等により人的・物的な被害が生じた場合、あるいはそれらの自然災害及び事故等に起因する電力・ガス・水道・交通網の遮断等により、正常な事業活動が阻害された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 企業買収等
当社グループは、AI事業、HT事業、メタバース事業の強化補強を目的に、企業買収及び資本参加を含む投資を行うことがあります。実施に当たっては、事前に収益性や投資回収可能性に関する十分な調査及び検討を行いますが、買収及び投資後における事業環境の急変や想定外の事態の発生等により、期待した利益やシナジー効果を確保できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社では、株主に対する利益還元を経営の重要な課題の一つとして認識しており、将来の事業展開と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、業績の成果に応じた利益配分を行うこと及び、期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会であり、「取締役会の決議により、毎年8月31日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
しかしながら、当期の実績を鑑みて誠に遺憾ながら前期に引き続き当期の配当を見送らせていただくことといたしました。
今後は、内部留保を確保したうえで、利益水準を考慮しつつ、株主への利益還元に努めてまいりたいと考えております。