2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあると考えられる事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

(1)事業内容に由来するリスク

① 広告事業

イ.競合について

 現在、契約する自治体数、取り扱う媒体数の観点から、当社と同規模以上にSRサービスについての事業展開をしている企業は存在しないものと認識しております。SCサービスにおけるマチレットについては、複数の競合企業を認識しておりますが、コンテンツの拡充による媒体価値の向上に努めることで、優位性を強固なものにしてまいります。

 一方で、大手企業の新規参入や地域ごとの同業者における事業規模拡大等により、マーケット・シェアの獲得競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.入札(商品仕入)に係るリスクについて

 当社グループの行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、自治体における入札により仕入れております。当社グループは適正な媒体価値の把握とノウハウ・営業力により、適切な応札価格(入札に応じる金額)で商品仕入を行うよう最善の努力を行っております。

 しかしながら、媒体価値の見誤り、他社の応札金額の保守的な見積り等による高い金額での落札により、売上原価が上昇するリスクがあります。また、他社による高い金額の応札、自治体による最低落札価格の引上げ等外部環境の変化により、十分に商品仕入を行えなくなるリスクがあります。これにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.商品特性に固有のリスク(在庫リスク)について

 当社グループの行うSRサービスにおいて販売する広告枠の大部分は、暦年度(4月から翌年3月)を一括の期間とし、12か月分を自治体から在庫リスクを負担する形で仕入れており、これを一定の単位に区切って広告主に販売しております。そのため、販売実績が計画から大幅に乖離した場合に、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② ジチタイワークス事業

イ.競合について

 現在、国内でジチタイワークスと類似する事業として自治体職員向けに情報誌を発行している競合企業が存在しております。当社は、情報提供だけでなく自治体職員の課題の把握、またそれに対する解決策の提案を行うなど、多面的な展開によって付加価値の向上に努めてまいりますが、競合企業の動向によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)共通的なリスク

① 優秀な人材の確保及び育成について

 当社グループは、優秀な人材の確保及び育成によって持続的な成長を実現するために、引き続き、一般的なビジネスリテラシー水準の向上と、経営者候補人材の育成に繋がる教育制度や仕組みの構築に積極的に取り組んでまいりますが、組織において中核的な役割を担う人材の確保と育成ができなかった場合、将来的にマネジメント人材不足に陥る可能性があります。

 

② わが国の人口動態に係るリスクについて

 自治体における持続性のある自治体運営と行政サービス提供の担保には、各自治体における人口が密接に関連しております。しかしながら、わが国の合計特殊出生率は、1960年代後半以降減少傾向にあり、極めて低い水準にあります。

 今後、人口の減少に伴い、税収や行政需要が減少することになれば、当社が取扱うサービスの需要が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 事業の成長性について

 当社グループの行う広告事業は、SRサービスについてはスタートして19年が経過し、現在はSCサービスも加えて安定した収益事業化を目指す段階に到達しております。ジチタイワークス事業におけるジチタイワークスは、2017年12月に創刊したメディアであり、国策や時流に応じて取り扱うテーマが多岐に渡り変化することから、今後もコンテンツの拡充や、ニーズに応えたメディアの制作によって、配布先自治体、顧客企業からの継続的な需要が見込めます。

 しかしながら、各事業における事業計画の立案や実施に何らかの支障が生じ、これらが実現できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 業績の季節変動による影響について

 売上高及び営業利益が一定の時期に偏重する傾向にあります

 これは、広告事業のマチレットにおける子育て情報冊子等の発行が、受注が集中する時期があるためです。

 当社グループは、マチレットにおける当該季節的要因を踏まえた受注計画及び制作計画を策定し、発行の増加が見込まれる時期の売上の確保に努める方針ですが、何らかの事情によりこれらを計画どおりに行えなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 風評の影響について

 当社グループが取扱うサービスにおいて、全国の自治体との取引が多く存在しております。そのため、何らかのリスクが顕在化し、風評の影響等により自治体との取引を制限された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 特定経営者への依存について

 当社グループ代表取締役社長である時津孝康は当社の経営方針や事業戦略の立案・決定における中枢として重要な役割を果たしております。

 当社グループでは、同氏に過度に依存しないための組織体制として、経営組織の強化を図っておりますが、当面の間は同氏への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状況において、同氏の事業への関与が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 小規模組織であることについて

 当社グループは、本書提出日現在、取締役5名(うち社外取締役2名)、監査役3名(うち非常勤監査役2名)、従業員数167名(臨時雇用者を除く)の人員数で事業を展開しており、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制を整備しております。万一、業容拡大等に応じた人員の確保・育成が順調に進まず、役職員による業務執行に影響が生じた場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 新株予約権行使の影響について

 当社グループは、当社グループ役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。

 これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末現在これらの新株予約権による潜在株式数は524,900株であり、潜在株式数を含む発行済株式総数16,983,700株の3.1%に相当しております。

 

⑨ 自治体をめぐる環境について

 世界規模で加速するデジタルトランスフォーメーション(DX)の環境下では、デジタル技術の革新スピードは年々速さを増しております。その中において、わが国はデジタル技術を通して地方の社会課題の解決を図る「デジタル田園都市国家構想」を掲げており、今後自治体をめぐる環境も大きく変わっていくことが予想されます。当社グループにおいては自治体ビジネスにつながる情報のキャッチアップを図っているものの、加速化する環境の変化に当社グループが迅速に対応できない場合、当社グループの中長期的な経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3)法的規制に関するリスク

① 事業に関する法的規制について

 当社が行う事業では、主に以下に掲げる法律等の規制を受けております。

 不当景品類及び不当表示防止法

・商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止が求められております。

 

② 個人情報の漏洩リスクについて

 当社は、顧客の個人情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当いたします。個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護基本規程の整備・運用等厳重な対策を講じています。また、個人情報の適切な保護措置を講ずる体制の構築・維持の一環として、ISMS(ISO 27001:2013)の認定を受け、個人情報の適切な取扱いに努めております。

 しかしながら、万一個人情報が外部に流出した場合には、当社の社会的信用が毀損され企業イメージの低下を招くなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、損害賠償請求等、不測の損害が生じる可能性もあります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、積極的な事業展開を推進するため、自己資本の一部について事業投資に活用することによってさらなる企業成長を実現し、株主価値を高めることを基本方針としております。その中において、2024年5月15日付で公表した2025年3月期から2027年3月期を対象とした中期経営計画にて、当社はオーガニックな成長により増加が見込まれる投下資本への対応、全社的なリスクマネジメントを踏まえたリスクバッファの確保及び将来の戦略的な投資に対する資本の確保を前提に、計画的な資本配分と自己株式の取得を含む資本政策を継続的に検討・実行していくことを優先事項と定めております。

 以上により、当連結会計年度の期末配当金につきましては、当期純利益を計上したものの、引き続き無配とさせて頂きますが、安定的な収益を確保する体制の維持及びより一層の事業成長の実現を目指すことを第一義的に捉えるとともに、上記に基づく適切な財務戦略や資本政策を踏まえ、株主還元策の実行に向けて取り組んでまいります。

 なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は、取締役会の決議に基づき毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。