リスク
3 【事業等のリスク】
当社では、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置して、リスク管理規程に則り、自然災害や製品品質、人材、安全、法令等の様々な事業運営・事業継続上のリスクについて管理を行うこととしており、これらのリスクが顕在化する可能性を認識した上で、顕在化の回避及び顕在化した場合の早期対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。リスク管理体制の整備の状況等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
<リスク評価の手法>
当社では個別のリスクを評価するため、発生の可能性と、発生した場合の影響度を評価軸とする「リスク評価マトリクス」※を用いて、リスクの重要性の識別をしております。
※リスク評価マトリクス
<個別のリスク>
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。また、以下の記載は、当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。
(特に重要なリスク)
経営環境に関するリスク
➀ 資材等の調達について
当社の製品に使用する主な原材料は鋼材やワイヤーロープ、モーター等ですが、鋼材の仕入価格については鉄鋼市場の影響を受けます。また、一部の資材については海外からの外貨建てによる調達を行っていることから、これらの原材料の市場価格が上昇した場合、為替相場が変動した場合、又は安定的な調達が困難となった場合には、当社の製造コストを上昇させることになり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、販売価格への転嫁を進めるとともに、国内外の複数の調達先との取引関係を強化して安定的な調達ができる体制を構築し、コスト削減などを図ることで、リスクの低減に努めております。
② 賃金の上昇について
インフレ率の上昇や労働力不足、最低賃金引上げなどにより、自社のみならず外注先の賃金も上昇した場合には、当社の製造コスト、販管費を上昇させることになり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、上昇したコストの販売価格への転嫁を進めるとともに、コスト削減などを図ることで、リスクの低減に努めております。
(重要なリスク)
(1) 経営環境に関するリスク
① 経済情勢について
当社が取り扱う荷物用エレベーターは主要な納入先である物流施設や工場等に対する建築需要の動向に、また、船舶用エレベーターは新造船需要の動向に、それぞれ影響を受けることから、これらの需要が減退して新規受注数が減少し、又は製品・サービス価格が下落した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、製造、据付及び保守・修理の各工程において内製化と外注委託の併用を図るとともに、日本及びアジア地域での資材調達先の拡大を図るなど、コスト削減や固定費の圧縮等を行いリスクの低減を図っております。
② 自然災害等について
当社では生産拠点として関東地区に2工場を設置し、また、販売及びサービス拠点等を国内主要都市及び中国上海市に展開しておりますが、自然災害等の発生に備えてBCP(事業継続計画)を策定しております。しかしながら、今後、想定を上回る大規模な自然災害の発生や感染症の流行拡大等により、建屋や生産設備、施工現場等の被災、サプライチェーンの混乱、従業員の就労不能、当社製品に対する需要の低下等が生じる可能性があり、当社の事業遂行に支障が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業活動に関するリスク
① 海外での事業活動について
当社は、中国や台湾等のアジア地域においても、船舶用エレベーターの販売や資材の調達などの事業活動を行っておりますが、各国の法律・規制や租税制度の変更、テロ・戦争・内乱などによる政治的社会的混乱や予期し得ない経済情勢の悪化、為替レートの変動等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、現地法人や取引先等を通じて、各国の経済・社会・政治的状況や法規制の動向について情報を収集するようにしており、対応が必要な事象が生じた際には、現地法人や専門家等と連携して対処していくことで、リスクの低減を図ってまいります。
② 情報セキュリティについて
当社は、顧客の技術、製造、営業活動及び個人情報等に関する機密情報を様々な形態で保有しており、これらの情報を保護するため適切なセキュリティ対策を講じておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により万一、これらの情報が漏えいした場合やデータの破壊、システム停止等が発生した場合には、その対応のための多額の費用負担や当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材の確保及び育成について
当社が事業の継続的な発展を実現するためには、国内外の市場で活躍できる人材や専門性を有する技術者の確保と育成が重要な課題であると認識しており、積極的な採用活動や人事評価制度の整備、教育研修体制の構築等の人事施策や労働環境の整備施策を講じております。しかしながら、必要な人材が確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 代表取締役社長への依存について
当社の代表取締役社長である守谷貞夫は、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、当社の事業推進において重要な役割を果たしております。当社では、後継者計画等を策定・運用するため、取締役会の諮問機関として指名・報酬委員会を設置し、事業拡大に伴い同人に依存しない経営推進体制の構築を進めておりますが、何らかの事由により同人が当社における職務を継続することができなくなった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
大株主について
当社の代表取締役社長である守谷貞夫は当社の大株主であり、同人の親族及び親族の資産管理会社である株式会社M2Wの保有する株式数を含めると、発行済株式総数の 65.9%を所有しております。同人等は支配株主には該当しませんが、安定株主として引き続き一定の議決権を有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しており、当社といたしましても、同人等は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により大株主である同人等の保有株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(リスク)
(1) 経営環境に関するリスク
競合について
当社が属するエレベーター業界においては、グローバルな生産・販売体制を敷いて事業活動を行う有力企業を含めた競合先との競争が続いております。当社では、経営資源を主に国内での荷物用エレベーターの製造、販売、据付及び保守・修理の一貫した事業と国内外での競争力を備えた船舶用エレベーターの分野に集中して投下することで競争力を高めておりますが、競合の激化により新規受注数が減少し、又は製品・サービス価格が下落した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業活動に関するリスク
① 外注委託について
当社は、生産性の向上や外部企業のスキル活用、保守・修理サービス拠点のカバー等を目的に、協力会社に製造工程の一部を委託し、又は役務の提供を受けております。協力会社とは事業展開方針等について情報共有を図る等、取引関係をより強固とする施策を行っておりますが、今後、協力会社の人材の確保難や取引価格の上昇、事業承継問題等が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、生産工程の一部や、一部地域の保守メンテナンス業務の内製化を図ることで、リスクの低減に努めております。
② 取引先の信用リスクについて
当社では、売掛金や受取手形等、取引先に対する売上債権を有しており、これら取引先の信用リスクについて信用調査を行う等の適切な管理を行っておりますが、取引先の業績悪化や経営破綻等により、売上債権の回収に支障が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 労働災害について
当社が関与するエレベーター等の製造、据付及び保守・修理の各作業では、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り、安全衛生体制の整備を図っております。当社では安全衛生委員会を設置し、日常的な安全衛生教育を実施している他、安全衛生部による安全パトロールを実施する等、事故の未然防止を図るための安全管理を徹底しております。しかしながら、万一、重大な労働災害が発生した場合には、一時的に補償金等の負担が生じ、また、当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 資金調達について
当社は、営業活動から得られる自己資金に加えて、金融機関によるコミットメントラインの設定及び手形割引等により事業活動に必要な資金を調達する体制を整えております。金利水準の上昇や金融機関の当社に対する信用の低下等により調達コストが上昇した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 資金使途について
当社は、株式会社東京証券取引所への上場に際して公募増資によって調達した資金を、工場の新設及び生産設備の更新・合理化投資、DX及びシステム化投資、本社部門の一部移転等の費用、人材採用に伴う人件費並びに借入金返済に充当しております。しかしながら、予定どおり上記の資金使途に充当したとしても、経営環境の急激な変化等により、想定した投資効果を上げられない可能性があります。
(3) 法的規制及び訴訟等に関するリスク
① 許認可等及び法規制について
当社は、建設業法に基づき、下表のとおり一般建設業の許可を取得してエレベーターの据付施工等を行っておりますが、虚偽の事実の申告等不正な手段による許可の取得や役員等の欠格要件に該当した場合等には、建設業法第29条により許可の取消しとなります。
また、クレーン等安全規則に基づき、下表のとおりエレベーター製造許可を取得して、エレベーターの製造を行っておりますが、製造許可条件を満たさなくなった場合に許可の取消しとなります。
当社では、社内規程の整備や役職員に対する教育研修等を通じて法令遵守に努めていることから、現時点でこれら許可の取消事由に該当する事実はありませんが、万一取消事由に抵触して許可が取り消された場合には、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
上記の一般建設業の許可やエレベーターの製造許可のほか、当社は、建築基準法や労働安全衛生法、消防法、船舶安全法等、幅広い法令等による規制を受けており、それらにしたがって事業活動を行う必要がありますが、当社では、これらの法令等が遵守されるよう、役職員に対して教育研修等を通じて周知徹底を図っております。現時点で当社の事業継続に支障をきたす事項はありませんが、今後、何らかの理由により法令違反等が発生して処罰・処分等の制裁を受けた場合には、当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来、これらの法令等が改正された場合、当社の事業継続に影響を及ぼす可能性があります。
② 製造者責任について
当社では、エレベーターの製造、据付及び保守等の各業務に関して適用される法令や規格等に準拠するとともに、ISO9001を取得して生産・据付工程等の品質管理を行っております。しかしながら、当社の製品に重大な欠陥や施工不良があった場合には、損害賠償や当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権について
当社は、知的財産権に係るトラブルを回避するため、必要に応じてWeb検索システムの活用や弁理士事務所に調査を依頼する等の対応に努めておりますが、万一、第三者との間で知的財産権の問題が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟等の提起について
当社は、事業活動を進めていく中で様々な訴訟等を受ける可能性があり、訴訟等が提起された場合には、結果によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、法令の遵守や人権の尊重等に関して役職員が実践すべき行動のあり方を示した「企業行動規範」を制定して役職員に周知等を図るとともに、内部通報制度を導入するなど、コンプライアンス・リスクへの対応を図っております。
(4) その他のリスク
① 新株発行による株式価値の希薄化について
当社は取締役及び従業員に対するインセンティブ等を目的としたストックオプション制度を採用しております。現在付与している新株予約権に加え、今後付与する新株予約権の行使等が行われた場合、発行済株式数が増加し、1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。なお、本書提出日の前月末日現在における新株予約権による潜在株式数は205,000株であり、発行済株式総数17,513,000株の1.1%に相当しております。
また、当社取締役に対する報酬の一部について譲渡制限付株式を割り当てることとしております。今後割り当てる当社普通株式は、その全株数について新株発行を予定しており、発行済株式数が増加し、株式価値を希薄化させる可能性があります。
② 当社株式の流動性について
当社は、株式会社東京証券取引所への上場に際して公募増資及び売出しを行うなど、当社株式の流動性の確保に努めており、今後も大株主からの売出し協力や当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 保有資産について
当社では、保有資産に関して、時価情報を把握するなど適正なモニタリングを行って資産価値の維持、保全に努めておりますが、保有する不動産や有価証券等の時価の著しい下落等により減損損失が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰延税金資産について
繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果が予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要課題の一つとして認識し、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主への剰余金の配当を安定かつ継続的に実施することに加え、業績向上に伴って株主への剰余金配当の内容を充実していくことを、剰余金配分についての基本方針として位置付けており、その具体的な指標として、配当性向25%程度を目安に配当を実施していきたいと考えております。
剰余金の配当は年2回を基本的な方針としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
なお、当社は取締役会の決議による中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。