2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)原材料価格の高騰、納期長期化や調達難のリスク

 原油価格等のエネルギー価格の上昇や、円安傾向の継続により、原材料や商品の仕入れ価格の高騰が続いていることに加え、電気・電子関連部品を中心に仕入れ納期の大幅な遅延は未だ解消されておりません。当社においては、令和4年10月発刊の新総合カタログでインテリア商品の価格を全面的に見直したほか、各種製商品の価格も見直して、適正な収益率の維持をはかっておりますが、原材料や商品の仕入れ価格が一段と上昇した場合は、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、仕入納期の長期化については在庫積み増し等の対策を講じておりますが、更に調達が難しくなった場合等は、生産・販売計画に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)新型コロナウイルス感染症の感染拡大のリスク・機会

 新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月に感染法上の分類が5類に変更されるなど、感染状況に景気が左右されないアフターコロナ期への移行が進み、景気の回復につながるものと期待しておりますが、再び急速な感染拡大等により社会活動全体が停滞した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、感染拡大で生じた大きな変化には「元の状態に戻る変化」と「決して元には戻らない変化」の二種類の変化があると考えられ、例えばコロナ禍で実施したリモート営業活動や、リアル開催からリモート開催に変更した畳店向けセミナー等の新しい営業方式は、ともに大きな効果があったことから「元に戻らない変化」と言えましょう。そうした「元に戻ることのない変化」を先取りして実施することは、新商品、新事業、新制度等の創出の機会となっております。

 

(3)国内需要が減退するリスク

 プロフェッショナルセグメントの畳事業部門及びインテリア事業部門が販売する製商品のエンドユーザーは、新設住宅着工戸数の増減やリフォーム工事の動向等により受注状況が左右される傾向にあります。新設住宅着工戸数は長期的には減少していくと予測されておりますが、長期的な変動に対しては製商品の拡充やシェア拡大、販売マーケットの拡大で対応する計画であります。しかしながら、新設住宅着工戸数が短期間で大幅に減少した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)畳需要の減少による畳店の減少リスク・機会

 当社は畳製造装置市場でトップシェアを維持していると判断しておりますが、新設住宅着工戸数の減少に加え住宅の洋風化で畳の需要は減少し、畳店の減少も続いて畳製造装置販売事業へのリスクとなっております。そうした環境の中で、当社は畳店に畳製造装置単体を販売するだけではなく、営業力の強化や事業の多角化、取扱商品の多様化等の提案を含む畳店経営の近代化コンサルティングを実施し、全国で約750店の畳店の事業承継・発展に尽くしてまいりました。この戦略提案は伝統産業の継承としてまさにSDGsに適うものでもあり、シェア拡大をはかっていく機会を与えてくれるものと考えております。

 

(5)建物内装の工法変更のリスク・機会

 当社は壁紙糊付機のマーケットで圧倒的なシェアを占めておりますが、将来建物内装で壁紙貼り付け工法に変わる工法が出現した場合、壁紙糊付機のマーケットが縮小し当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また同時に、今後益々社会問題化していく「人手不足」の根本解決策としての自動化・省力化へのニーズは高まる一方であることが想定され、内装施工における新たな自動化・省力化工法をいち早く確立し提案することによって、逆に事業拡大に向けた機会にもなるものと考えます。

 

(6)競合のリスク

 当社は、70年以上にわたり各種製品を開発・製造した実績により、インテリア内装施工機器や畳製造装置の市場、並びにそうした機器開発で得たコア技術を活かした顧客仕様による産業用機械市場で確固たる地位を築き、高品質かつ顧客ニーズに適合した製品を供給することで、競合するメーカーとの差別化をはかっておりますが、今後競合製品の品質向上等により当社製品の優位性が維持できない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)仕入先への依存リスク

 当社は多品種の商品を販売しておりますが、一部の商品について特定の仕入先に依存しているものがあります。そのような特定の仕入先とは取引開始以来、良好な関係を継続しており、今後も仕入取引を継続していく方針であり、また継続的かつ安定的に仕入ができるよう情報交換等含め連携を強化しております。

 しかしながら、今後、自然災害、品質問題及び仕入先の経営悪化等何らかの要因により商品を継続的かつ安定的に仕入れることが困難な状況となった場合、他の仕入先の商品へ切替えることにより、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権にかかるリスク・機会

 当社は、「真似はされても、真似するな」の考え方の下、他社との差別化技術の研究開発を推進しており、自社が保有する技術等については特許権の取得により保護をはかっております。しかしながら、当社が保有する知的財産権が第三者に不正に侵害された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 一方、当社が販売している製品や今後販売する製品が、第三者の知的財産権に抵触する可能性を完全には否定することはできません。また、当社が認識していない特許権等が成立することにより、第三者より損害賠償等の訴訟が起こされる可能性もあります。しかしながら、守りではなく攻めのための、他社に先駆けた差別化技術の開発とそれに伴う知的財産権の取得は、他社製品との差別化による収益力の強化のための機会につながっております。

 

(9)金利変動のリスク

 当社は、運転資金及び設備資金について主に金融機関からの借入れにより資金調達をおこなっております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが借入契約の財務制限条項に抵触し、金利引き上げを請求されたり期限の利益を喪失した場合、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。

 

(10)物流コストの高騰・物流2024年問題に係るリスク

 当社は、販売先への納品について物流業者へ委託しており、全国3カ所に物流拠点を置いて物流コストの削減に取り組んでおります。しかしながら、運送費が高騰し、コスト削減努力でも補えない場合や、それらを販売価格に転嫁できない場合などは、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。また、物流2024年問題として、運送業者の業務逼迫が広範囲かつ多様な影響を引き起こすことが予想されています。当社においても、何らかの支障が予見されれば、速やかに対応すべく影響を注視しておりますが、充分な対応ができない場合は当社グループの配送サービスの低下や、物流コストの高騰につながる可能性があります。

 

(11)製品の品質に係るリスク

 当社の製品は、品質管理部門で厳格に管理しておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできないため、製造物責任賠償保険に加入するなど当該問題発生に際しての備えを強化しております。しかしながら、製造物責任賠償につながるような製品の欠陥の発生は、当社グループに対する評価を著しく毀損させ、売上高の減少等により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)研究開発におけるリスク・機会

 当社は、顧客ニーズを捉えた製品開発をおこなうことで、幅広い産業分野における販売拡大に努めておりますが、必ずしも想定した成果を得られる保証はなく、タイムリーに新製品を供給できない場合や顧客が要求する水準を満たすことができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。ただし、幅広い産業分野に向けて長年製品開発を続けてきた結果、7つのコア技術(縫製・裁断・塗布・検尺・折畳・剥離・測定)を培うことができ、新しい市場の開発につながる機会となっております。

 

(13)システム関連のリスク

 当社は、業務を円滑におこなうため、ハードウェア・ソフトウェアの円滑な運用や、コンピュータウイルス等による障害発生の防止に万全を期しておりますが、システム・サーバーダウン、コンピュータハッカーの侵入、ウイルス等による破壊的な影響を受ける場合があり得ます。システムに重大なトラブルが発生した場合には、受注・生産活動に支障が起こり当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)特定の人物への依存に係るリスク

 当社の代表取締役社長である頃安雅樹は、経営方針や経営戦略等の立案・決定における中枢として当社の事業活動において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。

 当社では、今後の業容及び人員拡大も視野に入れ、経営企画部門の強化、充実をはかっているほか、取締役会や経営会議等における案件の審議、経営情報の報告等を通して、役員及び部門長クラスの人員育成をはかり、代表取締役に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

 しかしながら、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主への利益還元を重要課題の一つと認識し、経営基盤、財務体質強化に向けた内部留保の確保に留意しつつ、財政状況及び経営成績等を総合的に勘案し、継続的に安定した配当を実施することを基本方針としております。

 当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としておりますが、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当をおこなうことができる旨を定款に定めており、配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 以上の方針に基づき、第75期の株主配当金については、財務状況、経営成績等を総合的に勘案し、期末配当は1株当たり10円となりました。年間配当も1株当たり10円となりました。この結果、第75期の配当性向は28.6%となりました。

 なお、内部留保資金につきましては、効果的な投資に充当し安定的な経営基盤の強化に努める所存であります。

   当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

令和5年12月22日

53,909

10

定時株主総会