2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上の重要なリスクとは考えていない事項についても、投資者の投資判断上あるいは当社グループの事業を理解する上で重要と考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、以下の記載内容及び将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定市場の依存度について

当社グループの事業活動は、2024年3月期において、建機用フィルタ事業向け売上高が約8割を占めており、中長期の事業展開も当該売上高の割合が高く推移するものと計画しております。当社グループは、景気停滞、公共投資低迷などの原因による建設機械メーカ各社の業績が悪化した場合、又は当社グループの強みである作動油フィルタに対する建設機械の構造革新や油圧動力に替わる新たな技術革新などが起きた場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 他社との競合について

当社グループ製品の主要市場である油圧ショベル市場は、中長期的には、新興国での市場の拡大を予測しております。

新興国市場においては、模倣品や廉価品の台頭が予想され、当社グループでは、継続して大手建設機械メーカを中心に純正部品として建機用フィルタ及び関連部品を安定供給することに努めます。しかしながら、今後、新興国において競合他社の模倣品・廉価品の販売が伸長した場合には、建機用フィルタの売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替レートの変動について

当社グループは、生産拠点を日本、フィリピン及びベトナムに擁し、販売拠点を日本、アメリカ、ベルギー、タイ及び中国に擁しております。

当社グループの原材料調達、物流、販売等の営業活動、海外事業等による外貨建資産及び負債は、為替レート変動の影響を受ける恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 公的規制等について

当社グループの事業活動は、各国の政策動向やその国固有の規制等の影響を受けており、今後、当社グループが事業展開するにあたって、新たな関税、通貨規制、税制度等が導入された場合には、これらの対応コストの発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 調達・生産・物流について

当社グループの製品原価に占める部品・資材の割合は大きく、その調達は素材市況の変動に影響を受けます。部品・資材価格の高騰は、当社グループの材料費を増加させ、製造原価の増加をもたらします。

また、部品・資材の品薄や調達先の倒産あるいは生産打ち切りにより、適時の調達・生産が困難になり、生産効率が低下する可能性があります。材料費の増加については他の原価低減や販売価格の見直しによって対応し、また適時の調達・生産の問題については関係部門の連携を密にすることによって、これらの影響を最小限に抑えることに努めております。しかしながら、予想を大きく上回る素材価格の高騰や供給の逼迫が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループは、生産拠点における部品・資材の輸入調達を行っているとともに、当社及び販売子会社を通じて海外顧客への輸出販売を行っております。そのため、物流を取り巻く外部環境の変化に伴うコンテナ船の需要変動により、輸送リードタイムの長期化、海上輸送費の高騰や、物流コストの高騰が継続した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 生産計画と適正在庫について

当社グループの事業活動は、2024年3月期において、建機用フィルタ事業向け売上高が約8割を占めており、その殆どがOEM(注)製品であります。当社グループの建設機械市場向け製品の販売は、最終顧客に接する販売代理店への直接販売は行わず、建設機械メーカを経由して販売する方法を採用しており、建設機械メーカの生産計画及び部品の販売計画が当社の生産計画に影響を及ぼす構造になっております。

当社グループは、建設機械メーカと定期的に情報交換するなど市場動向、生産計画及び部品の販売計画等の最新情報を入手し、在庫が適正水準を維持できるように常に監視・分析しておりますが、建設機械メーカからの急な発注数量の変更や納期の調整などにより、在庫を過剰に保有する可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(注) 製造委託者のブランドで製品製造を行うこと。

 

(7) 製品の品質について

当社グループは、グループ内において品質管理体制を整え、厳格な品質基準に基づく製品の製造をしております。しかしながら、当社グループが顧客に納入した製品について、顧客の要求規格及び仕様等を充足しなかった場合又は不適合が生じた場合には、重大な品質クレームを引き起こす可能性があります。

大規模なクレームの発生や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより販売が縮小し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害等について

当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を海外に設けグローバルに事業を展開しております。また、生産の拠点については日本、フィリピン及びベトナムに設けており、2024年3月期において、建機用フィルタ事業における生産の約6割(販売価格ベース)をフィリピンに集約しております。これらの拠点において、地震・水害等の自然災害、戦争・テロ又は第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。当社グループでは、一定規模の災害等を想定した、リスク対応施策を講じておりますが、こうした自然災害等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 情報管理について

当社グループの事業活動において、顧客情報に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの各種情報の取り扱い及び機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、漏えい及び紛失などから守るために管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。

しかしながら、万が一、情報漏えい等の事故が起きた場合には、当社グループの評価・信用に悪影響を与えるなどのリスクがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 知的財産権について

当社グループが開発した独自技術等は、特許権等の取得により、知的財産権の保護を行っております。しかしながら、特定の地域では当社グループの知的財産権が完全に保護されない場合があり、第三者が当社の製品と類似した製品を製造、販売することにより、当社グループが損害を受ける可能性があります。

また、製品開発においては、第三者が保有する権利をチェックすること等によって、第三者の知的財産権を含む権利侵害を行わないように努めております。しかしながら、当社グループが第三者から知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受けた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(11) 係争・紛争について

当社グループの事業活動にあたっては、内部統制を強化し、法令遵守、社会道徳遵守を含めたコンプライアンスの強化、各種リスクの低減に努めると共に、必要に応じて弁護士等の外部専門家の助言等を受けております。

しかしながら、事業活動にあたっては、法令などの違反の有無にかかわらず訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、本報告書提出日現在において係争・紛争は発生しておりません。

 

(12) M&A、業務提携について

当社グループは、今後の業容拡大等においてM&A及び業務提携戦略は重要かつ有効であると認識しております。

M&Aや業務提携を行う場合においては、対象会社を慎重に検討し、対象会社の財務内容や契約関係等について詳細なデュー・デリジェンス(Due diligence)(注)を行うことによって、極力リスクを回避するように努める方針としておりますが、事前に買収・提携成立後に偶発債務の判明等、不測の事態が発生する可能性を完全には防止できません。また、のれんが発生する場合はその償却額を超過する収益力が安定的に確保できることを前提としておりますが、買収後の事業環境の変化等により買収当初の事業計画遂行に支障が生じた場合は、当該のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)デュー・デリジェンス(Due diligence):M&Aなどの取引に際して行われる、対象企業の法務・財務・ビジネス・人事・環境などを含めた総合的な資産評価に係る調査活動のことであります。

 

(13)新型コロナウイルス等感染拡大に関するリスク

当社グループは佐賀県、大阪府及びフィリピン、ベトナムの各生産拠点において厳重な対策を実施した上で、生産活動を含む事業活動を継続し、顧客に対する製品供給体制を維持しておりますが、新型コロナウイルスやその他感染症の感染拡大の影響により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社の利益配分に関する基本方針は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付けたうえで、将来の成長に向けた戦略的投資に必要な内部留保の充実と連結配当性向(注1)、配当利回り(注2)、総還元性向(注3)並びにDOE(株主資本配当率)(注4)を踏まえた利益還元とのバランスを勘案して決定することとしております。

当期末の剰余金の配当につきましては、当期の業績並びに今後の事業展開を勘案し、1株当たり3円の配当を予定しております。なお、当期の年間配当は、中間配当3円を含め、前期と同額である1株当たり6円となり、連結配当性向54.5%、配当利回り1.26%、総還元性向121.0%、DOE(株主資本配当率)2.0%となる見込みであります。

なお、当社は中間配当及び期末配当を取締役会決議によって行うことができる旨を定款に定めております。

決議年月日

配当総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2023年11月6日

臨時取締役会決議

216,120

3.0

2024年5月15日

取締役会決議

211,794

3.0

 

 

(注1)連結配当性向=(配当金総額÷親会社株主に帰属する当期純利益)×100

(注2)配当利回り=(1株あたり配当金÷期末日現在の株価)×100

(注3)総還元性向={(配当金総額+株主優待+自己株式取得)÷親会社株主に帰属する当期純利益}×100

(注4)DOE(株主資本配当率)=(年間配当総額÷株主資本)×100