2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)新規設備等の投資需要に関するリスク

 当社グループが製造販売する産業用機械業界は、消費マインドの低下や市場の動向により左右されます。また、原油の高騰又はテロ等世界経済の動向にも大きく左右されるため、社会的混乱やグローバル経済下での市場経済環境の大きな変化による設備投資需要の動向いかんによっては、計画の見直し又は中止により受注済案件のキャンセルに伴う棚卸資産の評価損失や、客先の経営環境の悪化による不良債権の発生など、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは特定分野の市場に依存することなく、エレクトロニクス、光分子化学、産業新素材、包装、医療等、多岐にわたる市場に対する技術を有し各種機器を製造・販売し市場分野を分散するとともに、販売地域を分散することによって、グローバル経済下における地政学的リスクを回避し、業績へのリスクを低減しております。

 

(2)技術者の確保と育成に関するリスク

 当社グループは多岐にわたる市場に技術を提供しており、提供先の設備の更新並びに増設の頻度は様々であります。数年から数十年にわたり利用される製品ゆえに、継続的な固有の技術からその時代に応じた新技術が求められます。しかしながら、労働市場の逼迫等により採用、育成や雇用に支障をきたす事態等の発生により従業員が大量に退職した場合には、当社グループの事業展開が制約される可能性があります。

 このため、次代を担う優秀な人材を育成し、固有技術の確実な継承と新技術の開発力の強化が必須であると考えており継続的な人材採用、OJTや研修等による人材育成を積極的に実施しております。

 

(3)材料調達に関するリスク

 当社グループの製品は他社にはない独自の革新的な技術のもとに成り立っており、当製品における製造原価のうち約6割を鋼材・部材等が占める他、各種電気部品等の供給についても外部からの購入に依存しております。

 市場の急激な変化により原材料や部材等及びそれらに含まれている加工費等の価格が高騰するなどのリスクがあります。それによる調達コストの上昇を販売価格に転嫁できない場合や、半導体不足等による電気部品が長納期化することによる納期遅延など、当社グループの生産活動に支障が生じる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このため、常に材料価格や人件費の市場動向に注視するとともに、関連部品の先行手配や、複数の仕入先を確保し、仕入価格の安定及び調達に努めております。

 

(4)退職給付債務に関するリスク

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響額は将来にわたり認識されるため費用に影響を及ぼします。よって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このため、定期的に財政再計算を実施し基礎率の見直しを行っており、主幹の運用機関から運用に関するアドバイスを受けるようにしております。また、年金資産については、運用に当たり当社が定めた運用基本方針に基づき、委託した運用受託機関において運用を行っております。所管部署である当社総務部では、運用受託機関との定期的な情報交換を行い、定量的・定性的な評価を実施し、運用状況を適切に管理しております。

 

(5)知的財産等に関するリスク

 当社グループは前連結会計年度末時点で、特許を166件保有しておりますが、製品や事業分野において第三者の特許が成立した場合や、当社グループが認識していない特許等が現在成立している場合、当該第三者より当該特許に関する対価の支払請求、又は損害賠償及び製品の販売差止め等の訴えを提起される可能性があります。

 また、当該特許等技術を使用した製品の納入先(顧客)より、当該製品が使用できなくなった場合や一部地域の法的制度の違い等の事由に関して、損害賠償等の訴えを提起される可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは特許管理部門が、複数の特許事務所と連携し定期的に関連の知的財産の確認及び当社グループが保有する特許等の適切な管理を実施しリスク回避を行っております。

 

(6)災害・感染症等に関するリスク

 当社グループでは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等による感染症の流行や、その他の社会的混乱により操業を停止せざるを得ないような事態に備え、従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止、早期復旧、取引先との連携等リスク分散を実施しております。

 本社工場につきましては、自治体より隣接する河川の大規模な氾濫により3m未満の浸水が予想されている地域にあります。そのため、生産工場や屋外キュービクルなど水防対策に取り組むほか、操業停止による影響を最小限に抑えるため、BCP(事業継続計画)も考慮した木津川工場(京都府木津川市)を第二の拠点として稼働させ、リスクの低減を図っております。

 しかしながら、予想を超える規模の被災により両拠点の建物・設備の倒壊・破損や感染症の発生などにより生産活動の休止等が生じた場合、客先への製品の供給が遅れること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外子会社の事業活動に関するリスク

 当社グループは、2023年3月にアメリカにメンテナンスサービス並びに各種工事を実施する子会社を設立いたしました。運営に際しては、相手国の政治・社会・経済等の環境変化に起因した様々なリスクが発生する恐れがあります。また、設立間もないことから投資利益実現までには一定の期間と資金を要する可能性があり、当初予定どおりに事業展開、及び収益が得られない可能性があります。

 このため、子会社及び各種専門家との連携を進め、経営判断の早期化によりリスク軽減に努めてまいります。

 

(8)為替変動に関するリスク

 当社グループでは、海外子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のために円換算しております。そのため、金融市場が混乱し大幅な為替変動が生じた場合は、輸出入の取引、連結財務諸表における財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 このため、このようなリスクに対応して、当社グループは取引の一部を円建てとするほか、仕入と売上げの決済通貨を統一するなど、急激な為替変動に備え適切なリスクヘッジ等の検討を行っており、リスクが顕在化した場合は速やかに意思決定できるように体制構築を目指してまいります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主各位への配当金は企業の収益状況により決定するものと考えており、安定的な配当の維持を基本方針としております。当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 この方針に基づき、当事業年度の剰余金の配当につきましては、当社創業88周年を記念して1株当たり期末普通配当60円とし、中間普通配当28円と合わせて88円としております。

 なお、2024年度~2027年度の配当金につきましては、中期経営計画(2024年度~2027年度)の株主還元方針に基づき、安定的かつ継続的な株主配当の充実を目的としてDOE3.5%又は配当性向60%のいずれか高い金額を目安に実施いたします。

 また、自己株式の取得につきましては、成長投資に必要な資金を確保しつつ、財務状況や株価水準等を総合的に勘案し、資本効率と株主利益の向上に向けて道義的に実施する方針であります。

 内部留保資金につきましては、長期的展望に立った新規技術の開発・事業の拡大及び経営体制の効率化・省力化のための基礎資金として充当し、企業体質と企業競争力の強化に取り組んでまいります。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月10日

422,295

28.00

取締役会決議

2024年6月26日

906,799

60.00

定時株主総会決議